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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083610
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】止血クリップ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/08 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
A61B17/08
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024067385
(22)【出願日】2024-04-18
(62)【分割の表示】P 2022031384の分割
【原出願日】2019-01-18
(31)【優先権主張番号】62/623,282
(32)【優先日】2018-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】サエンス ビラロボス、ゴンサロ ホセ
(72)【発明者】
【氏名】マケビリー、ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ブレネス アコスタ、アレハンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ベレンソン、ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】アルタビア サラス、ビビアナ
(57)【要約】
【課題】組織を治療するためのクリップ装置を提供する。
【解決手段】組織を処置する為の装置は、内部を貫通して延びるチャンネルを形成するカプセルと、クリップアームとを含む。各アームは、遠位部材と、遠位部材に対して着脱可能に連結される近位部材とを含み、遠位部材の近位部分は、カプセルのチャンネル内に受承され、アームはアームの遠位端が互いに離間した組織受け入れ姿勢と、アームの遠位端が互いに接近した組織クリップ姿勢との間でカプセルに対して近位方向又は遠位方向に移動される。各アームの近位部材は、対応する遠位部材から離脱して、アームの遠位部材を、クリップすべき標的組織の一部にロックし体内から除去される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を治療するための装置であって、
前記装置は、身体内の標的部位に挿入されるように構成された可撓性部材を含む挿入部を備え、前記挿入部は連結部材を含み、
前記装置は、内部を貫通して延びるチャンネルを画定するカプセルと、第1及び第2のクリップアームとを含むクリップを備え、前記第1及び第2のクリップアームのそれぞれは遠位部材に着脱自在に連結される近位部材を含み、前記第1及び第2のクリップアームのそれぞれの前記遠位部材の少なくとも近位部は、前記第1及び第2のクリップアームが、前記第1及び第2のクリップアームの前記遠位部材の遠位端が互いに離間している組織受け入れ姿勢と、前記第1及び第2のクリップアームの前記遠位部材の前記遠位端が互いに向かって移動している組織クリップ姿勢との間で、前記カプセルに対して相対的に近位方向及び遠位方向に移動するように、前記カプセルのチャネル内に摺動可能に受承されるように構成され、前記第1及び第2のクリップアームのそれぞれの前記近位部は、対応する遠位部材から離脱し、クリップされるべき標的組織の一部に前記第1及び第2のクリップアームのそれぞれの前記遠位部材がロックし、前記第1及び第2のクリップアームの前記近位部材が体内から除去されるように構成され、前記第1及び第2のクリップアームの前記近位部材が前記連結部材で湾曲させられて、前記第1及び第2のクリップアームを前記組織受け入れ姿勢に向かうように付勢力を発生させる、装置。
【請求項2】
前記クリップは、前記チャネル内に延びるカムをさらに備え、前記カムは、クリップされるべき標的組織の一部に前記第1及び第2のクリップアームのそれぞれの前記遠位部材がロックし、前記第1及び第2のクリップアームの前記近位部材が体内から除去されるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カムは、前記第1及び第2のクリップアームのそれぞれの前記近位部材に貫通する第1の長手方向スロット内を貫通して前記第1及び第2のクリップアームのそれぞれの前記近位部材をカプセルに着脱可能に連結する寸法と形状とに形成され、前記第1の長手方向スロットのそれぞれは、前記第1及び第2のクリップアームの対応する1つの前記近位部材の遠位端の遠位開口部から前記第1及び第2のクリップアームの対応する1つの前記近位部材の長手方向軸に沿ってスロットの近位部まで延び、前記第1の長手方向スロットのそれぞれは、互いに向かい合って付勢される第1の一対の対向部を画定する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の長手方向スロットのそれぞれは、前記第1及び第2のクリップアームが前記組織受け入れ姿勢にあるときに前記カムを受承するように構成される近位部と、前記遠位開口部と前記近位部との間に延びる遠位部とを含み、前記第1の長手方向スロットのそれぞれの遠位部は、前記カムの断面積よりも小さい断面積を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のクリップアームの前記近位部材を前記第1のクリップアームの前記遠位部材に連結する第1の連結機構をさらに備え、前記第1の連結機構はフックを含み、該フックは前記第1のクリップアームの前記遠位部材の遠位部の外面から遠位方向に延びるとともに前記第1のクリップアームの前記近位部材のフック受容空間内に着脱可能に受承されるように構成され、前記フック受容空間は、前記第1のクリップアームの前記近位部材の前記第1の長手方向スロットの前記近位部の遠位に配置される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のクリップアームの前記第1の長手方向スロットの前記近位部は、前記遠位部に向かって遠位方向に先細りする遠位テーパ部を含み、前記カムが前記遠位テーパ部に当接した時、前記第1のクリップアームの前記近位部材にかかる近位方向の力が前記第1の長手方向スロットの前記一対の対向部を広げ、前記カム及び前記フックが前記第1のクリップアームの前記第1の長手方向スロットの外側に遠位方向に通過することを可能にして、前記第1のクリップアームの前記近位部材を前記カプセル及び前記第1のクリップアームの前記遠位部材から離脱させる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のクリップアームの前記遠位部材は、第2の長手方向スロットを含み、前記第2の長手方向スロットは前記第2のクリップアームの前記遠位部材の近位端のスロット近位開口部からスロット遠位端まで延び、前記第2の長手方向スロットは、互いに向かって付勢された一対の対向部を形成し、前記対向部は広げられて、前記カムが前記第2の長手方向スロットの中に遠位方向に通過することを可能にして、前記組織クリップ姿勢で前記カプセルに前記第1のクリップアームの前記遠位部材をロックする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の長手方向スロットは近位ネック部と遠位部とを含み、前記近位ネック部は、前記カムの断面積よりも小さな断面積を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記スロット近位開口部は、前記第1のクリップアームの前記遠位部材の前記近位端から前記近位ネック部に向かって先細りして、前記第2の長手方向スロットに前記カムを案内する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
組織をクリップするためのシステムであって、前記システムは、
内部を貫通して延びるルーメンを含む挿入部材と、
前記挿入部材のルーメン内を通過して延びる制御部材であって、前記制御部材の遠位端は、連結部材に連結されており、前記制御部材の近位端は、アクチュエータに連結されており、前記アクチュエータの駆動により前記挿入部材に対して相対的に遠位方向及び近位方向に前記制御部材及び前記連結部材を移動するように使用者が前記アクチュエータにアクセス可能である、前記制御部材と、
前記連結部材に連結されるクリップと、
を備え、
前記クリップは、前記挿入部材の遠位端に対し着脱可能に連結される近位端を含むカプセルを含み、前記カプセルは、内部を貫通するチャンネルを画定し、
前記クリップは、第1及び第2のクリップアームを含み、前記第1及び第2のクリップアームは、それぞれが遠位部材に対し着脱可能に連結される近位部材を含み、前記第1及び第2のクリップアームのそれぞれの前記遠位部材の少なくとも近位部は、前記アクチュエータの駆動により前記挿入部材に対し相対的に近位方向と遠位方向に前記制御部材と前記連結部材とが移動するように移動されると、前記第1及び第2のクリップアームが、前記第1及び第2のクリップアームの前記遠位部材の遠位端が互いに離間している組織受け入れ姿勢と、前記第1及び第2のクリップアームの前記遠位部材の前記遠位端が互いに向かって移動している組織クリップ姿勢との間で、前記カプセルに対して相対的に近位方向及び遠位方向に移動するように、前記カプセルのチャネル内に摺動可能に受承されるように構成され、前記第1及び第2のクリップアームのそれぞれの近位部は、対応する遠位部材から離脱されるように構成され、前記第1及び第2のクリップアームの前記近位部材が前記連結部材で湾曲させられて、前記第1及び第2のクリップアームを前記組織受け入れ姿勢に向かうように付勢力を発生させる、システム。
【請求項11】
前記クリップは、前記チャネル内に延びるカムであって、クリップされるべき標的組織の一部に前記第1及び第2のクリップアームのそれぞれの前記遠位部材がロックし、前記第1及び第2のクリップアームの前記近位部材が体内から除去されるように構成される前記カムをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記カムは、前記第1及び第2のクリップアームのそれぞれの前記近位部材に貫通する第1の長手方向スロット内を貫通して前記第1及び第2のクリップアームのそれぞれの前記近位部材をカプセルに着脱可能に連結する寸法と形状とに形成され、前記第1の長手方向スロットのそれぞれは、前記第1及び第2のクリップアームの対応する1つの前記近位部材の遠位端の遠位開口部から前記第1及び第2のクリップアームの対応する1つの前記近位部材の長手方向軸に沿ってスロットの近位部まで延び、前記第1の長手方向スロットのそれぞれは、互いに向かい合って付勢される第1の一対の対向部を画定する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の長手方向スロットのそれぞれは、前記第1及び第2のクリップアームが前記組織受け入れ姿勢にあるときに前記カムを受承するように構成される近位部と、前記遠位開口部と前記近位部との間に延びる遠位部とを含み、前記第1の長手方向スロットのそれぞれの遠位部は、前記カムの断面積よりも小さい断面積を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のクリップアームの前記近位部材を前記第1のクリップアームの前記遠位部材に連結する第1の連結機構をさらに備え、前記第1の連結機構はフックを含み、該フックは前記第1のクリップアームの前記遠位部材の前記遠位部の外面から遠位方向に延びるとともに前記第1のクリップアームの前記近位部材のフック受容空間内に着脱可能に受承されるように構成され、前記フック受容空間は、前記第1のクリップアームの前記近位部材の前記第1の長手方向スロットの前記近位部の遠位に配置される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のクリップアームの前記第1の長手方向スロットの前記近位部は、前記遠位部に向かって遠位方向に先細りする遠位テーパ部を含み、前記カムが前記遠位テーパ部に当接した時、前記第1のクリップアームの前記近位部材にかかる近位方向の力が前記第1の一対の対向部を広げ、前記カム及び前記フックが前記第1のクリップアームの前記第1の長手方向スロットの外側に遠位方向に通過することを可能にして、前記第1のクリップアームの前記近位部材を前記カプセル及び前記第1のクリップアームの前記遠位部材から離脱させる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1のクリップアームの前記遠位部材は、第2の長手方向スロットを含み、前記第2の長手方向スロットは前記第2のクリップアームの前記遠位部材の近位端のスロット近位開口部からスロット遠位端まで延び、前記第2の長手方向スロットは、互いに向かって付勢された一対の対向部を形成し、前記対向部は広げられて、前記カムが前記第2の長手方向スロットの中に遠位方向に通過することを可能にして、前記組織クリップ姿勢で前記カプセルに前記第1のクリップアームの前記遠位部材をロックする、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮クリップに関し、より詳細には、内視鏡内を貫通して標的部位に搬送されて、胃腸管に沿って位置する血管の止血を行う圧縮クリップに関する。
【背景技術】
【0002】
食道、胃、胆管、十二指腸、結腸、及び関連する解剖学的構造などの胃腸(GI)系の疾患は、内視鏡を用いた処置によって治療されることがしばしばあり、多くの場合には、積極的及び/又は予防的な止血を行って内部出血を制御する必要がある。内視鏡を介して止血クリップを配備するカテーテルベースの低侵襲性装置を用いて、傷口または切開の端をまとめて挟持することにより内部出血が阻止されることが多い。止血クリップは、傷口周囲の組織を掴んで傷口の縁部をまとめて保持して自然治癒の過程で傷口を閉鎖可能にする。特殊な内視鏡クリップ装置が用いられ、クリップを体内の所望の位置に搬送して体内の所望する部位に位置決めして配備した後、クリップ搬送装置は体内から撤退され、クリップは体内に留置される。一般的な処置では、大きめの傷口を閉鎖したり複数の出血部位を処置したりする際には1つ以上のクリップが用いられる。
【0003】
現在の止血クリップは、一般に配備後に組織を把持するアームの所定の長さの一部を収容するのに十分な長さを備えるカプセルと、アームをカプセルから出し入れしてアームを開閉する展開機構とを備える。さまざまな理由により、現在のクリップはサイズが大きい場合が多く、狭い場所で移動させたり、1つ以上のクリップが既に配備されている傷口部の近くに更なるクリップを配置させたりすることは困難である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、組織を処置する為の装置に関する。装置は、内部を貫通して延びるチャンネルと、遠位部材に着脱可能に連結される近位部材を備える第1のクリップアーム及び第2のクリップアームと、第1,第2のクリップアームそれぞれの遠位部材の少なくとも近位部はカプセルのチャンネル内に摺動可能に受承されて第1,第2のクリップアームが第1,第2のクリップアームの遠位端が互いに離間した組織受け入れ姿勢と、第1,第2のクリップアームの遠位端が互いに接近した組織クリップ姿勢との間で近位方向と遠位方向とに相対移動されることと、第1,第2のクリップアームの近位部材は対応する特定の遠位部材から離脱されて第1,第2のクリップアームの遠位部材をクリップされるべき標的組織の一部にロックすることと、第1,第2のクリップアームの近位部材は体内から除去されることと、を備える。
【0005】
一実施形態では、カプセルは、チャンネル内に延びるカムを含み、カムは、近位部材の第1の長手方向スロット内を通過して延びてクリップアームをカプセルに着脱可能に連結する寸法と形状とに形成され、第1の長手方向スロットは、近位部材の遠位端の遠位開口部からスロットの近位端まで延び、第1の長手方向スロットは、互いに向かって付勢された第1の一対の対向部を形成する。
【0006】
一実施形態では、第1の長手方向スロットは、アームが組織受け入れ姿勢にある時、カムを受承する近位部と、遠位開口部と近位部との間に延びる遠位部とを含み、遠位部は、カムの断面積より小さな断面積を有する。
【0007】
一実施形態では、連結機構は、遠位部材の外面から遠位方向に延びるフックを含み、フックは、近位部材のフック受容空間に着脱可能に受承され、フック受容空間は、第1の長手方向スロットの近位部の遠位に配置される。
【0008】
一実施形態では、第1の長手方向スロットの近位部は、遠位部に向かって遠位方向に先細りする遠位テーパ部を含み、カムが遠位テーパ部に当接した時、近位部材にかかる近位方向の力は第1の対向部を広げ、カム及びフックが第1の長手方向スロットの外側に遠位方向に進行することを可能にして、近位部材をカプセル及び遠位部材から離脱させる。
【0009】
一実施形態では、遠位部材は、第2の長手方向スロットを含み、第2の長手方向スロットは遠位部材の近位端の近位開口部からスロットの遠位端まで延び、第2の長手方向スロットは、互いに向かって付勢された一対の対向部を形成し、対向部は広げられて、カムが第2の長手方向スロットの中に遠位方向に進入することを可能にして、遠位部材を組織クリップ姿勢でカプセルにロックする。
【0010】
一実施形態では、第2の長手方向スロットは、近位ネック部と遠位部とを含み、ネック部は、カムの断面積よりも小さな断面積を有する。
一実施形態では、近位開口部は、近位端からネック部に向かって先細りして、カムを第2の長手方向スロットに案内する。
【0011】
一実施形態では、カプセルは、第1の対向部がカムの周囲を移動する為に必要とされる空間を形成する一対のウインドウを含む。
本発明は、組織をクリップする為のシステムにも関する。システムは、内部を貫通して延びるルーメンと、挿入部材のルーメン内を貫通して延びる制御部材と、連結部材に連結される制御部材の遠位端と、装置使用者にアクセス可能にアクチュエータに接続される制御部材の近位端とを含み、アクチュエータの駆動により、制御部材及び連結部材は、挿入部材と連結部材とに連結されたクリップに対して遠位方向と近位方向とに移動され、クリップは、挿入部材の遠位端に着脱可能に連結された近位端を含むカプセルであって、内部を貫通して延びるチャンネルを形成するカプセルを備え、第1のクリップアーム及び第2のクリップアームは、遠位部材に着脱可能に連結される近位部材を備え、第1,第2のクリップアームの遠位部材の少なくとも近位部はカプセルのチャンネル内に摺動可能に受承され、アクチュエータの駆動により制御部材及び連結部材が挿入部材に対して近位方向と遠位方向とに移動されると第1,第2のクリップアームは第1,第2のクリップアームの遠位端が互いに離間した組織受け入れ姿勢と、第1,第2のクリップアームの遠位端が互いに接近した組織クリップ姿勢との間で、カプセルに対して近位方向と遠位方向とに移動され、第1,第2のクリップアームの近位部材は、対応する特定の遠位部材から離脱されて第1,第2のクリップアームの遠位部材をクリップされるべき標的組織の一部にロックし、第1,第2のクリップアームの近位部材は体内から除去されることを備えてなる。
【0012】
一実施形態では、カプセルはチャンネル内に延びるカムを含み、カムは、近位部材の第1の長手方向スロット内を通過して延びてクリップアームをカプセルに着脱可能に連結する寸法及び形状に形成され、第1の長手方向スロットは、近位部材の遠位端の遠位開口部からスロットの近位端まで延び、互いに向かって付勢された第1の一対の対向部を画定する。
【0013】
一実施形態では、第1の長手方向スロットは、アームが組織受け入れ姿勢にある時、カムを受承する近位部と、遠位開口部と近位部との間に延びる遠位部とを含み、遠位部の断面積は、カムの断面積より小さい。
【0014】
一実施形態では、連結機構は、遠位部材の外面から遠位方向に延びて近位部のフック受容空間内に着脱可能に受承されるフックを含み、フック受容空間は、第1の長手方向スロットの近位部の遠位に配置される。
【0015】
一実施形態では、第1の長手方向スロットの近位部は、第1の長手方向スロットの遠位部に向かって遠位方向に先細りする遠位テーパ部を含み、カムが遠位テーパ部に当接した時、近位部材にかかる近位方向の力により第1の対向部は広げられて、カム及びフックが第1の長手方向スロットの外側に遠位方向に進行することを可能にし、近位部材はカプセル及び遠位部材から離脱される。
【0016】
一実施形態では、遠位部材は、第2の長手方向スロットであって、遠位部材の近位端の近位開口部からスロットの遠位端まで延びる第2の長手方向スロットを含み、第2の長手方向スロットは、互いに向かって付勢された一対の対向部を画定し、対向部は広げられてカムが遠位方向に第2の長手方向スロットの中に進入することを可能にして、遠位部材を組織クリップ姿勢でカプセルにロックする。
【0017】
本開示は、組織を処置する方法にも関する。方法は、生体内の標的組織にクリップ装置の遠位部を挿入する工程であって、クリップ装置の遠位部は、近位端から遠位端に長手方向に延びるカプセルであって、内部を貫通するチャンネルを備えて、カプセルの第1の壁からカプセルの第1の壁に対向する壁までカプセルの長手方向軸に直交する方向に延びるカムを備えるカプセルと、近位端から遠位端に延びるクリップアームであって、カプセルのチャンネル内に受承されて、クリップアームの遠位端が互いに離間した組織受け入れ姿勢と、クリップアームの遠位端が互いに接近した組織クリップ姿勢との間で移動されるクリップアームとを備え、クリップアームは、連結機構で互いに連結された近位部材と遠位部材とを含み、近位部材は遠位部材から離脱されて、遠位部材は組織クリップ姿勢で体内に留置され、近位部材は体内から除去されるように構成されていることと、クリップアームを標的組織に接触して配置する工程と、開いた姿勢のクリップアームの間に組織の標的部を配置することにより組織の標的部位をクリップする工程と、クリップアームを閉じた姿勢に向かって引いて組織の標的部分を把持する工程と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の例示的な実施形態に係るクリップ装置を示す長手方向部分透視上面図。
図2図1のクリップ装置のクリップアームの近位部材及び遠位部材を示す拡大側面図。
図3図1のクリップ装置の一部を示す拡大斜視図。
図4図1のクリップ装置の一部を示す拡大部分透視図。
図5】クリップ姿勢にある図1のクリップ装置を示す部分透視上面図。
図6図1のクリップ装置の一部の示す拡大部分透視図。
図7図1のクリップ装置の一部を示す拡大部分透視図。
図8】配備された姿勢の図1のクリップ装置の一部を示す部分透視上面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、以下の説明及び添付図面を参照してさらに理解することができる。図面では、類似の要素は、同一参照番号で参照する。本開示は、組織の穿孔、欠損、及び/又は出血を処置するための内視鏡クリップ装置に関する。本開示の例示的な実施形態は、2部材からなるアームの構成を有する止血クリップについて説明する。具体的には、アームは、近位部材と遠位部材とを含み、クリップを配備する時、近位部材は遠位部材から離脱されるため、体内に留置するクリップの寸法は小さくされる。本願の実施形態は、遠位部材をクリップ姿勢に保持するためのより小さなカプセルの構成も含む。本明細書で使用される「近位」、「遠位」という用語は、装置使用者に向かう方向(近位)及び離間する方向(遠位)を指すことが意図されていることに留意されたい。
【0020】
図1に示すように、本開示の例示的な実施形態にかかるクリップ装置100は、内部、例えば、処置されるべき標的組織に内視鏡のワーキングチャンネル内を貫通して生体内に挿入される遠位部102を備える。装置100は、装置が体内の蛇行路を通過する(例えば、生来の身体開口部を介してアクセスされる生来の体管腔内に挿入される内視鏡のワーキングチャンネル内を進行する)ことを許容するのに十分な可撓性を備える。遠位部102は、カプセル108の長手方向チャンネル106内に摺動可能に受承される、第1,第2のクリップアーム104を含む。両クリップアーム104は、これら遠位端110が互いに離間され、両者間に標的組織を受承する開いた姿勢と、両クリップアーム104の遠位端110が互いに接近され、標的組織を把持する閉じた姿勢との間で移動させることができる。遠位部102は、装置100の近位部112に着脱可能に連結され、装置100は搬送システムを含み、搬送システムは制御部材114と、連結部材124と、ハンドル(図示せず)とを備え、ハンドルは、遠位部102が配備された際、装置使用者がアクセス可能なように体外に留まる。クリップアーム104は、カプセル108内に延びる制御部材114を介して、開いた姿勢と閉じた姿勢との間で移動させることができる。制御部材114の近位端は、ハンドルでアクチュエータに接続される。この実施形態では、制御部材の遠位端116は、例えば成形されたコア部材などの連結部材124を用いてクリップアーム104の近位端118に連結され、アーム104の近位部材120が連結部124の面で湾曲された時、アーム104の湾曲は、開いた組織受け入れ姿勢に向かう付勢力を発生させる。
【0021】
図1にさらに示すように、装置100は、本開示の例示的な実施形態によれば、クリップアーム104を含み、クリップアーム104はそれぞれ、近位端118から遠位端110に延びる。この実施形態のクリップアーム104は、開いた組織受け入れ姿勢に向かって付勢されているため、カプセル108の外側に遠位方向に移動された時、開いた組織受け入れ姿勢に戻ることは、当業者であれば理解できる。しかしながら、ギア機構、カム接続、追加の付勢部材など、クリップを開くために他の任意の機構を使用できることは、当業者であれば理解できる。組織受け入れ姿勢では、クリップアーム104の遠位端110は、互いに離間する方向に広がり、組織を受承する空間を形成する。しかしながら、装置100は、付勢に加えて又は付勢に代えて、アーム104を互いに離間させるように押圧する別個の部材を含んでもよいことは、当業者であれば理解できる。クリップアーム104がカプセル108内に引き込まれた時、カプセル108はクリップアーム104を拘束し、クリップアームの遠位端118は、ともに引かれて組織クリップ姿勢に保持され、クリップアームは間に捕捉した組織を把持する。この実施形態では、クリップアーム104の近位端118は、連結部材124に連結される。例示的な実施形態では、クリップアーム104の遠位端118は、連結部材124と一体形成される。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、クリップアセンブリ(例えば、クリップアームを含むカプセル)を挿入装置に着脱可能に連結するための様々な任意の公知の機構を使用できることは、当業者であれば理解できる。クリップアーム104は、間に組織の把持し易くするように構成された任意の把持要素を含み得る。例えば、クリップアーム104の遠位端110は、互いに向かって横方向内方に延びる先端、及び/又は歯、突起、スパイク、又はクリップアーム104の遠位端110間に組織を把持する別の構造を含んでもよい。
【0022】
図1~3に示す本開示の例示的な実施形態に係るクリップアーム104は、互いに着脱可能に連結された近位部材120と遠位部材122とを有する。特には、アーム104の近位部材120は、近位端118から遠位端126まで延び、遠位部材122は、遠位部材の近位端128から遠位端110まで延びる。近位部材120及び遠位部材122は、連結された時、任意の公知のクリップアームとほぼ同一形状及び長さを有し得る。近位部材120の遠位湾曲部121は、クリップアーム104の遠位部材122の近位湾曲部123の外面に沿って適合するような寸法と形状とで形成され、湾曲部121は、遠位部材122の湾曲部123にほぼ対応する。
【0023】
近位部材120は、長手方向スロット132を画定する対向部材144を介して遠位部材122のフック130に連結される。長手方向スロット132は、近位部材120の遠位端126の遠位開口部134から近位部材120の長手方向軸に沿ってスロット132の近位部136まで延び、スロット132の近位部136は、カプセル108のカム138を受承する寸法と形状とに形成される。スロット132は、フック130を受承するような寸法及び形状に形成された近位部136の遠位に配置されたフック受容空間140を含む。遠位開口部134とフック受容空間140との間に延びるスロット132の遠位部142の断面積(例えば、直径)は、フック受容空間140の断面積よりも小さい。対向部材144は広げられてフック130を受承することが可能であり、互いに向かって付勢されているため、フック130が近位方向にフック受容空間140内に入ると、対向部材144は跳ね返ってフック144をフック受容空間140にロックし、クリップアーム104の近位部材120と遠位部材122とを互いに連結する。フック受容空間140とスロット132の近位部136との間に延びるスロット132の中間部143の断面積(例えば、直径)は、スロット136の近位部の断面積よりも小さい。図2に示すように、スロット132の近位部136の遠位端135は、スロット132の中間部143に向かって先細りにされ、スロット132の外側にカプセルのカム138を案内する。以下でさらに詳細に説明するが、対向部材144は、カム138がテーパ状の遠位端135内を通過して近位方向に移動させられた際に広げられ、カム138をスロット132及びアーム104の近位部材120から離脱する。カム138がスロット132内を通ってスムーズに移動可能にするために、フック受容空間140の長さは、カム138の直径よりも短い。
【0024】
上記のように、遠位部材122は、遠位部材122の外面から遠位方向に延びるフック130を含む。フック130は、フック受容空間140内に収容され、アーム104の近位部材120と遠位部材122を遠位部材122に連結する。アーム104の遠位部材122は、一対の対向部材148であって、遠位部材122の長手方向軸に沿って遠位部材122の近位端128の近位開口部152からカプセル108のカム138を受承する寸法と形状とに形成されたスロットの遠位部154まで延びる長手方向スロット150を画定する一対の対向部材148を含む。図2に示すように、近位開口部152は、カプセルのカム138をスロット150の中に案内するために、近位端128からスロット150のネック部156まで先細りしている。対向部材148は、カム138の断面積よりも小さな断面積(例えば、直径)を有するスロット150のネック部156を画定する。対向部材148は、以下で詳細に説明するが、広げられてカムを受承することができ、互いに向かって付勢されている為、カム138が遠位方向にスロット150内に入ると、対向部材148は跳ね返ってカム138を長手方向スロット150にロックし、遠位部材122を組織クリップ姿勢でカプセル108にロックする。
【0025】
この実施形態によれば、遠位部材122のフック130は、近位部材120の遠位開口部134を介して近位部材のスロット132内に挿入される。フック130が所定の閾値よりも大きな力で近位部材120の中に遠位方向に押された時、スロット132の対向部材144は変形して、フック130はその内部を通過してスロットのフック受容空間140に入ることができる。言い換えると、対向部材144は、フック130が遠位開口部134内を近位方向に通過してフック受容空間140内に移動することを可能な程度に十分な距離だけ互いに離間されている。フック130がフック受容空間140内に受承されると、遠位開口部134は元の寸法に戻って、フック130をフック受容空間140にロックする。フック130がフック受容空間140内に受承されると、フック130は、フック受容空間140の遠位壁によりフック受容空間140の外側に遠位方向に移動することが防止される。
【0026】
図1に戻る。カプセル108は、近位端から遠位端まで延び、内部を貫通して長手方向に延びるチャンネル106を含む。チャンネル106は、内部にクリップアーム104の一部を摺動可能に受承するような寸法及び形状に形成される。上記のように、カプセル108は、カプセル108の第1の側壁からカプセル108の第2の対向する側壁までチャンネルの長手方向軸に直交して、チャンネル106の中間部を横切って延びるカム138を含む。カム138は略円筒形であり、この実施形態では、クリップアーム104の近位部材120及び遠位部材122の長手方向スロット132、150内に受承されるような寸法及び形状に形成される。しかしながら、カム138は、カム138が対向部材144,148を介してスロット132,150の中に受承される寸法で形成されていれば、任意の断面形状(すなわち、正方形、三角形、楕円形)を有してもよいことは、当業者であれば理解できる。以下でさらに詳細に説明するが、カプセル108は、クリップが離脱する工程で、近位部材120の対向部材144がカム138の周りを通過可能にする一対の直径方向に対向するウインドウ160をさらに含む。クリップアーム104の近位部材120は、クリップ100の配備後に、クリップアーム104の遠位部材122から離脱されて体内から除去されるため、カプセル108は、クリップアーム104の遠位部材122をクリップ姿勢に維持するのに十分な長ささえあればよい。したがって、この実施形態では、カプセル108は、標準的なクリップカプセルよりも長さが実質的に短い。例えば本願のカプセルは、一般には長さが約0.40から0.43である標準的なカプセルと比較して、長さが約0.19から0.22であってよい。
【0027】
体内に挿入する前のクリップ100の初期構成を図1に示す。この構成では、クリップアームの近位部材120及び遠位部材122は、上記のように互いに連結される。さらに、近位部材120は、カプセル108内に配置され、カム138は、長手方向スロット132の長手方向軸に直交する方向に長手方向スロット132内を通過して延びる。近位部材120の近位端118は、カプセル108の外側に近位方向に延びて、装置100の近位部112の連結部材124及び制御部材114に連結される。
【0028】
使用時には、クリップ100は内視鏡(又は他の挿入装置)のワーキングチャンネル内を貫通して挿入され、体内に(例えば、自然な体腔を通して)クリップされるべき組織の標的部位の隣接する部位まで挿入される。クリップ100は、ワーキングチャンネル内の進行を容易にする為に挿入姿勢で標的組織に挿入される。標的組織部位に到達すると、クリップ100はワーキングチャンネル106の遠位端の外側に進行されて、クリップアーム104はカプセル108の外側に延ばされて、クリップアーム104は組織受け入れ姿勢に移動される。標的組織がクリップアーム104の間に受承されると、クリップ100は、組織クリップ姿勢に向かって移動され、標的組織は、その遠位端110の間に把持される。クリップアーム104は、制御部材114をカプセル108に対して近位方向に引くことにより組織クリップ姿勢に向かって移動される。クリップ100が組織クリップ姿勢になったら、制御部材114をさらに近位に引いて、クリップアーム104をカプセル108にロックすることができる。具体的には、制御部材114を近位方向に引くと、クリップアーム104の近位部材120及び遠位部材122は近位に引かれ、カムは、図4,5に示すようにクリップアーム104の遠位部材122の対向部材148に当接するまで、近位部材120の長手方向スロット132内を通過して遠位方向に移動される。制御部材をさらに近位方向に引くと、対向部材148のテーパ端により、カムは、遠位部材122の近位開口部152内を通過して長手方向スロット150内に移動することができる。カム138が遠位方向にスロット150内に入ると、対向部材148が跳ね返ってカムを長手方向スロット150内にロックし、図5に示すように、遠位部材122を組織クリップ姿勢でカプセル108にロックする。
【0029】
クリップ100を配備するために、制御部材114は、図6に示すように、カム138が長手方向軸スロットの近位部136の遠位テーパ端135に当接するまで、さらに近位方向に引かれる。図7に示すように、スロット132の遠位テーパ端135により、近位部材120はさらに近位方向に移動することが可能となり、フック130がフック受容空間140から離脱されるまで、近位部材120の対向部材144は互いに離間する方向に広げられる。対向部材144が離間する方向に広げられる際、カプセル108のウインドウ160は、対向部材144がカム138の周囲を移動するのに必要な空間を形成する。このようにして、近位部材120及び遠位部材122は、互いに分離され、遠位部材122及びカプセル108は体内に留置され、近位部112(すなわち、連結部材124、制御部材114など)及び取り付けられた近位部材120は、図8に示すように体内から除去される。
【0030】
(付記)
好ましい実施形態として、上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下記載する。
[付記1]
組織を治療するためのクリップ装置であって、
前記クリップ装置は生体内に挿入可能な遠位部を備え、前記遠位部はカプセルの長尺状のチャンネル内に摺動可能に受け入れられる第1クリップアーム及び第2クリップアームを含み、前記第1、第2クリップアームはそれぞれ、遠位部材と、前記遠位部材に着脱自在に連結される近位部材とを有し、前記第1クリップアームの前記近位部材は、湾曲形状をなして、前記第1クリップアームの遠位端が前記第2クリップアームの遠位端から離間する組織受け入れ姿勢に向かって前記第1クリップアームの前記遠位部材を付勢するように構成されており、前記第1クリップアームの前記近位部材は、生体内から退出可能に構成されており、前記第1クリップアームの前記近位部材は、前記第1クリップアームの前記遠位部材がクリップされるべき標的組織の一部にロックされた後に、前記第1クリップアームの前記遠位部材から離脱するように構成されており、
前記クリップ装置は、前記遠位部に着脱自在に連結される近位部を備え、前記近位部は、前記チャンネル内に延びる制御部材を含み、前記制御部材の遠位端は、各第1、第2クリップアームの前記近位部材に対して作動可能に連結されて、前記組織受け入れ姿勢と、前記第1クリップアームの前記遠位端が前記第2クリップアームの前記遠位端に向かって接近する組織クリップ姿勢との間で前記第1、第2クリップアームを移動するように構成されている、クリップ装置。
[付記2]
前記カプセルは、前記チャンネル内に延びるカムを含み、前記カムは、各第1、第2クリップアームの前記近位部材の第1の長手方向スロットを貫通して延びて前記第1、第2クリップアームを前記カプセルに着脱自在に連結するサイズ及び形状に構成されており、前記第1の長手方向スロットは、各第1、第2クリップアームの前記近位部材の遠位端に設けられた遠位開口部からスロット近位端まで延びており、互いに向かって付勢された一対の第1の対向部分を有する、付記1に記載のクリップ装置。
[付記3]
各第1の長手方向スロットは、前記第1、第2クリップアームが前記組織受け入れ姿勢にあるとき前記カムを受け入れる近位部と、前記遠位開口部と各第1の長手方向スロットの近位部との間に延びる遠位部とを含み、各第1の長手方向スロットの前記遠位部は、前記カムの横断面よりも小さな横断面を有する、付記2に記載のクリップ装置。
[付記4]
各第1、第2クリップアームの前記近位部材及び前記遠位部材は、各第1、第2クリップアームの前記遠位部材の外面から遠位方向に延びるフックを介して互いに着脱自在に連結され、各フックは、各第1、第2クリップアームの前記近位部材のフック受容空間内に着脱自在に受け入れられるように構成されており、各フック受容空間は、各第1の長手方向スロットの前記近位部の遠位側に設けられている、付記3に記載のクリップ装置。
[付記5]
各第1の長手方向スロットの各近位部は、各第1の長手方向スロットの前記遠位部まで遠位方向に先細りした遠位テーパ部を含んでいるため、前記カムがこの遠位テーパ部に当接したとき、各第1、第2クリップアームの前記近位部材に付与される近位方向の力により、前記一対の第1の対向部分は離間して、前記カム及び前記フックを前記第1の長手方向スロットの外方に遠位方向に進行可能にして、前記カプセル及び各第1、第2クリップアームの前記遠位部材から、各第1、第2クリップアームの前記近位部材を離脱させる、付記4に記載のクリップ装置。
[付記6]
各第1、第2クリップアームの前記遠位部材は、各第1、第2クリップアームの前記遠位部材の近位端に設けられた近位開口部からスロット遠位端まで延びる第2の長手方向スロットを含み、前記第2の長手方向スロットは、互いに向かって付勢された一対の第2の対向部分を形成しており、前記一対の第2の対向部分は離間して、前記カムを前記第2の長手方向スロットの中に遠位方向に進行可能にして、各第1、第2クリップアームの前記遠位部材を前記カプセルに対して前記組織クリップ姿勢でロックする、付記2に記載のクリップ装置。
[付記7]
各第2の長手方向スロットは、近位ネック部と遠位部とを備え、各近位ネック部は、前記カムの横断面よりも小さな横断面を有する、付記6に記載のクリップ装置。
[付記8]
各近位開口部は、各第2の長手方向スロットの前記近位端から前記近位ネック部までテーパを有し、前記カムを各第2の長手方向スロット内に案内する、付記7に記載のクリップ装置。
[付記9]
前記カプセルは、前記一対の第1の対向部分が前記カムの周囲を移動するのに必要な空間を形成する一対のウインドウを含む、付記2に記載のクリップ装置。
[付記10]
組織をクリップするためのシステムであって、前記システムは、
内部を貫通して延びるルーメンを含む挿入部材と、
前記挿入部材のルーメン内を通過して延びる制御部材であって、前記制御部材の遠位端は、連結部材に連結されており、前記制御部材の近位端は、アクチュエータの駆動により前記制御部材及び前記連結部材を前記挿入部材に対して遠位方向及び近位方向に移動するように使用者がアクセス可能な前記アクチュエータに連結されている、前記制御部材と、
前記連結部材に連結されるクリップと、
を備え、
前記クリップは生体内に挿入可能な遠位部を備え、前記遠位部はカプセルの長尺状のチャンネル内に摺動可能に受け入れられる第1クリップアーム及び第2クリップアームを含み、前記第1、第2クリップアームはそれぞれ、遠位部材と、前記遠位部材に着脱自在に連結される近位部材とを有し、前記第1クリップアームの前記近位部材は、湾曲形状をなして前記第1クリップアームの遠位端が前記第2クリップアームの遠位端から離間する組織受け入れ姿勢に向かって前記第1クリップアームの前記遠位部材を付勢するように構成されており、前記第1クリップアームの前記近位部材は、生体内から退出可能に構成されており、前記第1クリップアームの前記近位部材は、前記第1クリップアームの前記遠位部材がクリップされるべき標的組織の一部にロックされた後に、前記第1クリップアームの前記遠位部材から離脱するように構成されており、
前記クリップは近位部を備え、前記近位部の遠位端は前記遠位部に対して着脱自在に連結されており、前記近位部の近位端は前記連結部材に連結されて、前記第1、第2クリップアームを前記組織受け入れ姿勢と、前記第1クリップアームの前記遠位端が前記第2クリップアームの前記遠位端に向かって接近する組織クリップ姿勢との間で移動するように構成されている、前記近位部とを備える、組織をクリップするためのシステム。
[付記11]
前記カプセルは、前記チャンネル内に延びるカムを含み、前記カムは、各第1、第2クリップアームの前記近位部材の第1の長手方向スロットを貫通して延びるサイズ及び形状に構成されて前記第1、第2クリップアームを前記カプセルに対して着脱自在に連結するように構成されており、前記第1の長手方向スロットは、各第1、第2クリップアームの前記近位部材の遠位端に設けられた遠位開口部からスロット近位端まで延びており、前記第1の長手方向スロットは、互いに向かって付勢された一対の第1の対向部分を有する、付記10に記載のシステム。
[付記12]
各第1の長手方向スロットは、前記第1、第2クリップアームが前記組織受け入れ姿勢にあるとき前記カムを受け入れる近位部と、前記遠位開口部と各第1の長手方向スロットの前記近位部との間に延びる遠位部とを含み、各第1の長手方向スロットの前記遠位部は、前記カムの横断面よりも小さな横断面を有する、付記11に記載のシステム。
[付記13]
各第1、第2クリップアームの前記近位部材及び前記遠位部材は、各第1、第2クリップアームの前記遠位部材の外面から遠位方向に延びるフックであって、各第1、第2クリップアームの前記近位部材のフック受容空間内に離脱可能に受け入れられるように構成された前記フックを介して互いに着脱自在に連結されており、前記フック受容空間は、前記第1の長手方向スロットの前記近位部の遠位側に設けられている、付記12に記載のシステム。
[付記14]
各第1の長手方向スロットの近位部は、各第1の長手方向スロットの遠位部まで遠位方向に先細りする遠位テーパ部を含んでおり、前記カムがこの遠位テーパ部に当接したとき、各第1の長手方向スロットの前記近位部に付与される近位方向に作用する力により、前記一対の第1の対向部分は離間して、前記カム及び各フックを各第1の長手方向スロットの外方に遠位方向に進行可能にして、前記カプセル及び前記第1、第2クリップアームの前記遠位部材から、前記第1、第2クリップアームの前記近位部材を離脱させる、付記13に記載のシステム。
[付記15]
各第1、第2クリップアームの前記遠位部材は、前記第1、第2クリップアームの前記遠位部材の近位端に設けられた近位開口部からスロット遠位端まで延びる第2の長手方向スロットを含み、前記第2の長手方向スロットは、互いに向かって付勢された一対の第2の対向部分を形成しており、前記一対の第2の対向部分は離間されて、前記カムを前記第2の長手方向スロットの中に遠位方向に進行可能にして、前記第1、第2クリップアームの前記遠位部材を前記カプセルに対して前記組織クリップ姿勢でロックする、付記11に記載のシステム。
本発明の概念から逸脱することなく上記実施形態を変更できることは、当業者であれば理解できる。さらに、実施形態の1つに関連する構造的な特徴及び方法は、他の実施形態に組み込むことができることも理解できる。したがって、本発明は、説明した特定の実施形態に限定されず、変更形態も添付の請求項によって定義される本発明の範囲内に含まれることが理解できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8