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特開2024-83643安全閉鎖具用の射出成形部品、安全閉鎖具の製造方法および安全閉鎖具
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  • 特開-安全閉鎖具用の射出成形部品、安全閉鎖具の製造方法および安全閉鎖具 図1
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  • 特開-安全閉鎖具用の射出成形部品、安全閉鎖具の製造方法および安全閉鎖具 図19
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083643
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】安全閉鎖具用の射出成形部品、安全閉鎖具の製造方法および安全閉鎖具
(51)【国際特許分類】
   B65D 50/04 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
B65D50/04
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024071036
(22)【出願日】2024-04-25
(62)【分割の表示】P 2020570449の分割
【原出願日】2019-06-18
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/066066
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516290900
【氏名又は名称】カパルティス アーゲー
【氏名又は名称原語表記】CAPARTIS AG
【住所又は居所原語表記】Grabenstrasse 15 CH-8200 Schaffhausen Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヴォールゲナント、ヘルベルト
(57)【要約】
【課題】安全閉鎖具用の射出成形部品、安全閉鎖具の製造方法および安全閉鎖具を提供すること。
【解決手段】安全閉鎖具(1)用の射出成形部品(2)において、第1の係合部(8)は、円周方向(U)に互いに離間して配置されるとともに、その間に中間空間(9)を有する複数の係合部部分(8e、8f)からなり、複数の係合部部分(8e、8f)の間の中間空間(9)は、これら係合部部分(8e、8f)に対して減少した外径を有していることと、第1の係合部(8)は少なくとも2つの第1の係合部部分(8e)および2つの第2の係合部部分(8f)を含んでいることと、第1および第2の係合部部分(8e、8f)は円周方向(U)において長さが異なることと、を特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全閉鎖具(1)用の射出成形部品(2)であって、
長手方向軸の方向に互いに続けて配置された、閉鎖キャップ(4)を有する回転閉鎖具(3)と、複数の分断ポイント(11)と、作動部(20)とを有し、回転閉鎖具(3)は、分断ポイントを介して作動部(20)に接続され、閉鎖キャップ(4)は、外面(4d)を有する外側部分(4e)を有し、外側部分(4e)は長手方向軸(L)に対して円周方向(U)に延在し、かつ、外径(D)を有しており、閉鎖キャップ(4)はまた、外側部分(4e)に第1の係合部(8)を有しており、第1の係合部(8)は、長手方向軸(L)に対して半径方向(R)において外面(4d)上に突出しており、作動部(20)は、内面(20a)を有する内側部分(20b)を有し、内側部分(20b)は長手方向軸(L)に対して円周方向(U)に延在し、かつ、内径(D)を有しており、作動部(20)はまた、内側部分(20b)に第2の係合部(21)を有しており、外径(D)は内径(D)と等しいか内径(D)よりも小さく、第1および第2の係合部(8、21)は長手方向軸(L)に対して半径方向に部分的に重なる、射出成形部品(2)において、
第1の係合部(8)は、円周方向(U)に互いに離間して配置されるとともに、その間に中間空間(9)を有する複数の係合部部分(8e、8f)からなり、複数の係合部部分(8e、8f)の間の中間空間(9)は、これら係合部部分(8e、8f)に対して減少した外径を有していることと、
第1の係合部(8)は少なくとも2つの第1の係合部部分(8e)および2つの第2の係合部部分(8f)を含んでいることと、
第1および第2の係合部部分(8e、8f)は円周方向(U)において長さが異なることと、を特徴とする、射出成形部品。
【請求項2】
第1の係合部(8)が、上向きでかつ円周方向(U)において相互に離間して配置される複数の歯(8a)を有するともに、下向きの側面(8g)を有しており、前記側面(8g)が、長手方向軸(L)の方向における作動部(20)の移動を制限することを特徴とする、請求項1に記載の射出成形部品。
【請求項3】
中間空間(9)が外面(4d)の外径(D)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の射出成形部品。
【請求項4】
第1の係合部(8)のみが外面(4d)上に配置されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の射出成形部品。
【請求項5】
外面(4d)が、長手方向軸(L)の方向に全長(L)を有しており、外面(4d)が、中間空間(9)の領域において全長(L)に沿って同じ外径(D)を有することを特徴とする、請求項4に記載の射出成形部品。
【請求項6】
第1の係合部部分(8e)および第2の係合部部分(8f)が、円周方向(U)において、両側に、外面(4d)の方へ延在する端部分(8d)を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の射出成形部品。
【請求項7】
第2の係合部(21)が内面(20a)に対して半径方向に後退し、
内側部分(20b)が、第2の係合部(21)に対して長手方向軸(L)の方向に間隔を置いて配置され、かつ、長手方向軸(L)に向かって突出する停止部(22)を含むことで、第2の係合部(21)と停止部(22)との間に保持部分(23)が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の射出成形部品。
【請求項8】
作動部(20)が、内面(20a)に沿って円周方向(U)に内周長(U)を有し、
第1の係合部(8)が円周方向(U)において中間空間(9)とともに外周長(U)を有し、
内周長(U)が外周長(U)と等しいか外周長(U)よりも大きいことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の射出成形部品。
【請求項9】
回転閉鎖具(3)が、品質保証部(5)を備え、
品質保証部(5)が、長手方向軸(L)の方向において閉鎖キャップ(4)に続いて配置され、脆弱点(10)を介して閉鎖キャップ(4)に接続されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の射出成形部品。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の射出成形部品(2)から安全閉鎖具(1)を製造する方法であって、
長手方向軸(L)の方向に作用する力(F)が射出成形部品(2)に作用することにより、閉鎖キャップ(4)と作動部(20)とが長手方向軸(L)の方向に相互に変位し、押し込み動作中に第1の係合部(8)によって弾性的に楕円形に変形する作動部(20)によって、閉鎖キャップ(4)が少なくとも部分的に作動部(20)の方へ変位し、その過程で第1の係合部(8)が長手方向軸(L)の方向に押されて第2の係合部(21)上に完全に位置し、
押し込み動作が完了した後に元の形状に戻る作動部(20)によって、第1の係合部(8)および第2の係合部(21)が次に長手方向軸(L)の方向において互いに反対側に配置されることを特徴とする方法。
【請求項11】
長手方向軸(L)を有する閉鎖キャップ(4)を備える回転閉鎖具(3)と、作動部(20)とを有する安全閉鎖具(1)であって、
閉鎖キャップ(4)は、外面(4d)を有する外側部分(4e)を有し、外側部分(4e)は長手方向軸(L)に対して円周方向(U)に延在し、かつ、外径(D)を有しており、閉鎖キャップ(4)はまた、外側部分(4e)に第1の係合部(8)を有しており、第1の係合部(8)は長手方向軸(L)に対して半径方向(R)において外面(4d)上に突出しており、作動部(20)は、内面(20a)を有する内側部分(20b)を有し、内側部分(20b)は長手方向軸(L)に対して円周方向(U)に延在し、かつ、内径(D)を有しており、作動部(20)はまた、内側部分(20b)に第2の係合部(21)を有しており、外径(D)は内径(D)と等しいか内径(D)よりも小さく、閉鎖キャップ(4)と作動部(20)とは長手方向軸(L)に対して同心状に配置され、閉鎖キャップ(4)は端側部(4b)を有し、作動部(20)は外面(4d)に沿って閉鎖キャップ(4)を取り囲んで端側部(4b)を固定せず、第1の係合部(8)および第2の係合部(21)は長手方向軸(L)に対して半径方向に部分的に重なり、第1の係合部(8)および第2の係合部(21)は、互いに係合できるように、長手方向軸(L)の方向において反対側に配置されて、長手方向軸(L)の方向において相互に変位可能である、安全閉鎖具(1)において、
第1の係合部(8)は円周方向(U)に互いに離間して配置されるとともに、間に中間空間(9)を有する複数の係合部部分(8e、8f)を含み、複数の係合部部分(8e、8f)の間の中間空間(9)は、これら係合部部分(8e、8f)に対して減少した外径を有しており、
第1の係合部(8)は少なくとも2つの第1の係合部部分(8e)および2つの第2の係合部部分(8f)を含んでいることと、
第1および第2の係合部部分(8e、8f)は円周方向(U)において長さが異なることと、ことを特徴とする安全閉鎖具。
【請求項12】
第1の係合部(8)が、上向きでかつ円周方向(U)において相互に離間して配置される複数の歯(8a)を有するともに、下向きの側面(8g)を有しており、前記側面(8g)が、長手方向軸(L)の方向における作動部(20)の移動を制限することを特徴とする、請求項11に記載の安全閉鎖具。
【請求項13】
中間空間(9)が外面(4d)の外径(D)を有することを特徴とする、請求項11または12に記載の安全閉鎖具。
【請求項14】
第1の係合部(8)のみが外面(4d)上に配置されることを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載の安全閉鎖具。
【請求項15】
外面(4d)が、長手方向軸(L)の方向に全長(L)を有し、外面(4d)が、中間空間(9)の領域において全長(L)に沿って同じ外径(D)を有することを特徴とする、請求項14に記載の安全閉鎖具。
【請求項16】
第1の係合部部分(8e)および第2の係合部部分(8f)が、円周方向(U)において、両側に、外面(4d)の方へ延在する端部分(8d)を有することを特徴とする、請求項11~15のいずれか一項に記載の安全閉鎖具。
【請求項17】
作動部(20)が、内面(20a)に沿って円周方向(U)に内周長(U)を有し、
第1の係合部(8)が円周方向(U)において中間空間(9)とともに外周長(U)を有し、
内周長(U)が外周長(U)と等しいか外周長(U)よりも大きいことを特徴とする、請求項11~16のいずれか一項に記載の安全閉鎖具。
【請求項18】
内側部分(20b)が、第2の係合部(21)に対して長手方向軸(L)の方向に間隔を置いて配置され、かつ、長手方向軸(L)に向かって突出する停止部(22)を含んでおり、
停止部(22)が、閉鎖キャップ(4)の端側部(4b)に向かう作動部(20)の移動を制限することを特徴とする、請求項11~17のいずれか一項に記載の安全閉鎖具。
【請求項19】
第1の係合部(8)が外面(4d)から半径方向に突出し、
第2の係合部(21)が、内面(20a)に対して半径方向に後退し、
内側部分(20b)が、第2の係合部(21)に対して長手方向軸(L)の方向に間隔を置いて配置され、かつ、長手方向軸(L)に向かって突出する停止部(22)を含むことで、第2の係合部(21)と停止部(22)との間に保持部分(23)が形成され、
第1の係合部(8)が保持部分(23)に係合し、長手方向軸(L)の方向において保持部分(23)に沿って変位可能であることを特徴とする、請求項11または18に記載の安全閉鎖具。
【請求項20】
保持部分(23)が、長手方向軸(L)の方向における回転閉鎖具(3)および作動部(20)の移動を制限し、
第1の係合部(8)および第2の係合部(21)が、長手方向軸(L)の方向の閉鎖キャップ(4)と作動部(20)との相互位置に応じて、噛み合うか、または相互に接触していないことを特徴とする、請求項19に記載の安全閉鎖具。
【請求項21】
第1の係合部(8)および第2の係合部(21)が、相互に位置合わせされた係合面(8b、8c、21d、21e)を有し、係合面(8b、8c、21d、21e)が、作動部(20)が閉鎖方向である一方の円周方向(U)に回転すると、閉鎖キャップ(4)を閉めるのに十分なトルクを閉鎖キャップ(4)に伝達することができ、
作動部(20)が開放方向である反対の円周方向(U)に回転し、その回転中に、長手方向軸(L)の方向において作動部(20)に力が作用して、閉鎖キャップ(4)を開けるのに十分なトルクが伝達されることを特徴とする、請求項11~20のいずれか一項に記載の安全閉鎖具。
【請求項22】
第1の係合部(8)および第2の係合部(21)が鋸歯状であり、第1の係合面(8b、21d)が長手方向軸(L)の方向に延び、第2の係合面(8c、21e)が長手方向軸(L)に対して横断する方向に延びることを特徴とする、請求項21に記載の安全閉鎖具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器用の安全閉鎖具の製造方法に関する。本発明はまた、安全閉鎖具の射出成形部品に関する。本発明はまた、容器用の安全閉鎖具に関する。
【背景技術】
【0002】
ボトルまたは容器の回転式閉鎖具に安全装置を設けて、子供が回転式閉鎖具を開けることができない、または容易に開られなくすることが知られている。このような安全閉鎖具は、例えば、医薬物質を含む容器を閉じるのに適している。既知の安全閉鎖具には、その製造が他と比較して高価であるという欠点がある。(特許文献1)は、安全閉鎖具を開示しており、その製造は2つの方法ステップで行われ、第1のステップでは、閉鎖キャップと作動部分とを含む射出成形部品が製造され、閉鎖キャップと作動部分は互いに接続される。第2のステップでは、閉鎖キャップと作動部分が互いに移動して重ねられ、その過程で互いに分離されて、最終的に閉鎖キャップと作動部分から構成される安全閉鎖具となる。この安全閉鎖具には、作動部分が閉鎖キャップ内に押し込まれるときに損傷する可能性があること、および安全閉鎖具を開けるのが難しいという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1803656号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0014404号明細書
【特許文献3】国際公開第2017/143084号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は上記した問題を解決することができる安全閉鎖具およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、より費用効果が高く、より信頼性の高い安全閉鎖具を作成するという目的に基づいている。この目的は、請求項1の特徴を含む、安全閉鎖具の製造方法によって達成される。従属請求項2~4は、さらに有利な方法ステップに関連している。目的は、請求項5の特徴を含む、安全閉鎖具の射出成形部品によって達成される。従属請求項6~14は、さらに有利に構成された射出成形部品に関連している。目的はさらに、請求項15の特徴を含む、射出成形部品から安全閉鎖具を製造する方法によって達成される。目的はさらに、請求項16の特徴を含む安全閉鎖具によって達成される。従属請求項17~28は、さらに有利に構成された安全閉鎖具に関連している。
【0006】
目的は、特に、安全閉鎖具の製造方法によって達成される。製造方法の第1のステップにおいては、長手方向軸の方向に互いに続けて配置された、閉鎖キャップを有する回転閉鎖具と、複数の分断ポイントと、作動部とを有する一体型射出成形部品を製造し、回転閉鎖具は、分断ポイントを介して作動部に接続され、閉鎖キャップは、外面を有する外側部分を有し、外側部分は長手方向軸に対して円周方向に延在し、かつ、外径を有しており、閉鎖キャップはまた、外側部分に第1の係合部を有しており、作動部は、内面を含む内側部分を有し、内側部分は長手方向軸に対して円周方向に延在し、かつ、内径を有しており、作動部はまた、内側部分に第2の係合部を有しており、外径は内径と等しいか内径よりも小さく、第1および第2の係合部が長手方向軸に対して半径方向に部分的に重なる。製造方法の第2のステップにおいては、長手方向軸の方向に作用する力が射出成形部品に作用することにより、閉鎖キャップと作動部が長手方向軸の方向に相互に変位し、閉鎖キャップが少なくとも部分的に作動部の方へ変位し、その過程で第1の係合部が長手方向軸の方向に押されて第2の係合部の上に完全に位置し、作動部は、押し込み動作中に第1の係合部によって弾性的に楕円形に変形して、押し込み動作が完了した後に元の形状に戻る。
【0007】
目的は、特に、安全閉鎖具用の射出成形部品によって達成される。射出成形部品は、長手方向軸の方向に互いに続けて配置された、閉鎖キャップを有する回転閉鎖具と、複数の分断ポイントと、作動部とを有し、回転閉鎖具は、分断ポイントを介して作動部に接続され、閉鎖キャップは、外面を有する外側部分を有し、外側部分は長手方向軸に対して円周方向に延在し、かつ、外径を有しており、閉鎖キャップはまた、外側部分に第1の係合部を有しており、作動部は、内面を有する内側部分を有し、内側部分は長手方向軸に対して円周方向に延在し、かつ、内径を有しており、作動部はまた、内側部分に第2の係合部を有しており、外径は内径と等しいか内径よりも小さく、第1および第2の係合部は長手方向軸に対して半径方向に部分的に重なる。第1の係合部は、円周方向に互いに離間して配置されるとともに、間に中間空間を有する複数の係合部部分からなり、複数の係合部部分の間の中間空間は、これら係合部部分に対して減少した外径を有している。
【0008】
目的は、特に、長手方向軸を有する閉鎖キャップを備える回転閉鎖具と、作動部とを有する安全閉鎖具によって達成される。閉鎖キャップは、外面を有する外側部分を有し、外側部分は長手方向軸に対して円周方向に延在し、かつ、外径を有しており、閉鎖キャップはまた、外側部分に第1の係合部を有しており、第1の係合部は長手方向軸に対して半径方向において外面上に突出しており、作動部は、内面を有する内側部分を有し、内側部分は長手方向軸に対して円周方向に延在し、かつ、内径を有しており、作動部はまた、内側部分に第2の係合部を有しており、外径は内径と等しいか内径よりも小さく、閉鎖キャップと作動部とは長手方向軸に対して同心状に配置され、閉鎖キャップは端側部を有し、作動部は外面に沿って閉鎖キャップを取り囲んで端側部を固定せず、第1の係合部および第2の係合部は長手方向軸に対して半径方向に部分的に重なる。第1の係合部および第2の係合部は、互いに係合できるように、長手方向軸の方向において反対側に配置されて、長手方向軸の方向において相互に変位可能であり、第1の係合部は円周方向に互いに離間して配置されるとともに、間に中間空間を有する複数の係合部部分を含み、複数の係合部部分の間の中間空間は、これら係合部部分に対して減少した外径を有している。
【0009】
本発明による安全閉鎖具は、製造方法の第1のステップにおいて、一体型の射出成形部品を製造し、第2のステップにおいて、長手方向に作用する力が射出成形部品に作用し、続いて射出成形部品を一緒に押すことにより、回転閉鎖具と作動部とを含む安全閉鎖具を極めて費用効果が高く、かつ、高い信頼性をもって製造することができるという利点を有している。前述の方法で製造された既知の安全閉鎖具の場合、とりわけ、回転閉鎖具と作動部が、相互に適合した方法で配置されたが確実に噛み合わない係合部を有するという問題が生じ、特に長期的には確実ではないため、たとえば安全閉鎖具を開くことができなかった。長期にわたって確実な係合を可能にするために、相互に配置された係合部の端側部は、長手方向軸に対して半径方向において特定の幅で重なる必要があり、その幅で端側部が互いに直接向かい合うことができ、したがって噛み合うことができる。既知の安全閉鎖具の場合、作動部は、押し合い動作中に円形対称にかつ極めて強力な方法で拡張されるため、この操作中に作動部が損傷したり、もろくなったりするリスクがある。それにもかかわらず、係合部の両端側部の結果として生じる係合幅は制限される。本発明による方法の場合、作動部は、押し合い動作中に弾性的にも楕円形にも変形し、押し込み動作が完了した後で、作動部は元の、好ましくは円形に戻る。この方法には、押し合い動作中に作動部に生じる張力が低く、相互に配置された係合部の端側部がより広い係合幅を有することができるため、より確実に噛み合うことができ、また長期的に確実に噛み合うことができるという利点がある。
【0010】
作動部は、内面に沿って円周方向に内周長を有する。作動部は、作動部の内周長が、第1の係合部によって生じる楕円形の変形の間でさえ維持されるか、または実質的に維持されるように、回転閉鎖部上で特に有利に押され、したがって、作動部は、たとえあったとしても、ごくわずかに円周方向に伸びるので、損傷はない。楕円形変形とは、押し合い動作時に、作動部が、第1の係合部の作用により一時的に円形とは異なる形状をとることを意味し、一時的に非円形、例えば、卵形、細長い形、丸形、または楕円形の形状となる。第1の係合部は、作動部が第1の係合部上に押されているときにとる形状を有利に実質的に決定するので、変形中の作動部は、好ましくは、係合部の外側輪郭に実質的に従う。係合部はまた、例えば、少なくとも部分的に多角形の外側輪郭を有することができ、したがって、作動部が一時的に占める非円形の形状は、例えば、角が丸い多角形であってもよい。作動部の楕円形の変形はまた、作動部が押し合い運動中に過度に負荷をかけられたり損傷したりすることなく、作動部を比較的厚い壁厚で構成できるという利点を有する。
【0011】
射出成形部品は、好ましくは単一部品として構成される。ただし、回転閉鎖具と作動部を別々に製造し、次に作動部を回転閉鎖具に押し付けることによって安全閉鎖具を製造することも可能である。
【0012】
本発明による安全閉鎖具は、単純かつ安全に操作することができる。また、本発明による安全閉鎖具は、多様な可能性において構成することができる。例えば、閉鎖キャップの端側部は、本発明による安全閉鎖具が広告目的に有利に適するように、刻印、スタンプまたは三次元的に突出する本体を備えるなど、多様な可能性を持って構成することができる。本発明による安全閉鎖具は、特に、デザインとともに提供することもできる。さらに、作動部の外面は、任意の方法で構成することができ、例えば、丸い形状に加えて、三角形、正方形、または多角形の形状、または球根状の形状に構成することもできる。したがって、本発明による安全閉鎖具は、多様な形状で製造することができる。
【0013】
さらに、他の可能な実施形態では、閉鎖キャップは、例えば、物質を容器に遡及的に導入するための通路を有することができ、これは、特に医薬品の場合に、追加の物質が使用直前に容器に依然供給可能である場合に有利であろう。
【0014】
特に有利な改良において、本発明による安全閉鎖具は、安全閉鎖具がまだ開けられていないことを保証するために、不正開封防止シールを含む。
本発明は、例示的な実施形態を参照して以下に説明される。例示的な実施形態を説明するために以下の図面が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】安全閉鎖具の射出成形部品の斜視図を示す。
図2図1による射出成形部品の側面図を示す。
図3図1による射出成形部品の端面図を示す。
図4図3による射出成形部品の右側の縁部の詳細を示す。
図5図3による射出成形部品の上側の縁部の詳細を示す。
図6図1による射出成形部品の縦断面を示す。
図7図6による射出成形部品の底面図を示す。
図8】回転閉鎖具を通る縦断面を示す。
図9】作動部を通る縦断面を示す。
図10】回転閉鎖具を通る縦断面を示す。
図11】第2の位置における図10による安全閉鎖具を通る縦断面を示す。
図12】断面線A-Aに沿った図10による安全閉鎖具を通る縦断面を示す。
図13】ボトルに配置された安全閉鎖具の側面図を示す。
図14図13による安全閉鎖具の斜視図を示す。
図15】安全閉鎖具のさらなる例示的な実施形態の縦断面を示す。
図16】回転閉鎖具のさらなる例示的な実施形態の縦断面を示す。
図17図16による回転閉鎖具に合わせた作動部の縦断面を示す。
図18】作動部のさらなる例示的な実施形態の縦断面を示す。
図19図12による断面を示しており、実質的に第1の係合部のみが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
同一部品は、基本的に図面において同じ参照符号が付けられている。
図1、2、3、6および7は、1つの同じ射出成形部品2を異なる図で示し、図4および5は、その射出成形部品2の詳細図を示している。一体構成された射出成形部品2は、安全閉鎖具1を製造することができる半製品である。特に図6から明らかなように、射出成形部品2は、長手方向軸Lの方向に相前後して配置された、閉鎖キャップ4を有する回転閉鎖具3と、複数の分断ポイント11と、作動部20とを備える。ここで、回転閉鎖具3は、分断ポイント11を介して作動部20に接続されている。閉鎖キャップ4は、好ましくは容器またはボトルを閉鎖するために、例えば、外ねじを有する出口などの開口部を閉鎖するように構成される。図示された例示的な実施形態では、閉鎖キャップ4は内ねじ7を有する。しかしながら、閉鎖キャップ4はまた、例えば、バヨネット型閉鎖具のための手段を有する閉鎖キャップ4の内側によって、他の種類の回転閉鎖具用に構成することができる。
【0017】
閉鎖キャップ4は、円形の端部4aと、側部4cであって、実質的に中空円筒の形状をしており、その内側には内向きに突出したねじ7が一体的に形成されている側部4cとを備えている。
【0018】
閉鎖キャップ4は、長手方向軸Lに対して円周方向Uに延び、外径Dを有する外面4dを含む外側部分4eを有する。閉鎖キャップ4はまた、外側部分4eに第1の係合部8を有する。作動部20は、長手方向軸Lに対して円周方向Uに延び、内径Dを有する内面20aを含む内側部分20bを有する。作動部20はまた、内側部分20bに第2の係合部21を有する。外径Dは内径Dと等しいか内径Dよりも小さい。第1および第2の係合部8、21は、長手方向軸Lに対して半径方向に部分的に重なり合う。すなわち、第1の係合部8および第2の係合部21は、長手方向軸Lの方向から見て、部分的に重なり合う。したがって、例えば、図10に示すように、第1の係合部8を第2の係合部21の下流に配置するために、内側部分20bは、長手方向軸Lに対して少なくとも部分的に半径方向に拡張されなければならないことは、例えば、図6から明らかである。
【0019】
図1~14に示される例示的な実施形態において、作動部20は、環状をなすように構成されるとともに、長手方向軸Lに対して円周方向Uに延び、かつ、内径Dを有する、円形または略円筒形の内面20aを有する。図示された例示的な実施形態では、第1の係合部8は、外面4d上で半径方向に突出するように構成されるとともに、上向きに突出する歯8aを有する。第2の係合部21は、内面20aに対して半径方向に後退するとともに、歯を備える下向きの端側部分21aを有する。内側部分20bはまた、有利には、第2の係合部21に対して長手方向軸Lの方向に間隔を置いて配置されるとともに、長手方向軸Lに向かって突出する停止部分22を含むことで、内面23aを有する保持部分23が、第2の係合部21と停止部22との間に形成される。
【0020】
特に図1および図2から明らかなように、第1の係合部8は、円周方向Uに相互に離間して配置された複数の係合部8e、8fからなり、係合部部8e、8f間の中間空間9は外径Dを有する。中間空間9は、係合部8e、8f間の円周方向Uにおいて、係合部8e、8fに対して減少した外径を有するように、外面4d上にわずかに突出するように構成することができる。言い換えれば、この構成では、係合部8は、円周方向Uに連続的かつ完全に延び、係合部8e、8fが半径方向に顕著に突出し、半径方向に後退し、かつ、中間空間9を形成する部分を有するように構成されてもよい。
【0021】
有利には、図1に示されるように、第1の係合部8のみが、長手方向軸Lに対して半径方向に突出するように外面4d上に配置される。円周方向Uに相互に離間して配置される係合部8e、8fは、作動部20が閉鎖キャップ4に押しつけられるにつれて、一時的に楕円形に変形するという効果を有する。係合部8e、8fの円周方向Uの長さおよび相互距離は、楕円形に変形する際の形状を実質的に決定する。第1および第2の係合部8e、8fは、円周方向Uにおいて長さが異なることは有利である。
【0022】
第1の係合部8eおよび/または第2の係合部8fは、有利には、図1に示されるように、円周方向Uの両側に、外面4dに突き出た端部8dを有する。
外面4dは、有利には、長手方向軸Lの方向に全長Lを有する。外面4dが、中間空間9の領域において全長Lに沿って同じ外径Dを有することで、作動部20が支障なく外面4dに沿ってこの位置で移動することができる。
【0023】
第1の係合部8には、2つの異なる役目がある。第1の係合部8は、最初に、作動部20について既に説明した一時的な楕円形の変形をもたらす。この目的のために、特に作動部20に作用する側面8gが重要である。さらに、第1の係合部8は、上側部分8hに配置されたその歯8aによって、第2の係合部21に係合を生じさせる。側面8gは、図2に示されるように、長手方向Lに対して垂直に延びる。しかしながら、側面8gはまた、例えば、作動部20が第1の係合部上をより静かに摺動できるように、作動部20と回転閉鎖具3の押し合い動作中に、斜めに、円形に、または半円形に延びるように構成することも可能である。
【0024】
特に図6から明らかなように、第2の係合部21は、複数の部分体21cからなり、複数の部分体21cは、長手方向に延びるとともに、中間空間21bによって外円周方向Uに相互に離間しており、係合部8またはその歯8aと係合可能な係合面21d、21eを有する端側部分21aを形成する。21a、21b、21c、21dおよび21eによって示される部分は、係合部21の部分的な構成要素を形成する。
【0025】
図示される例示的な実施形態では、回転式閉鎖具3は、閉鎖キャップ4と、複数の脆弱ポイント10を介して閉鎖キャップ4に接続されている不正開封防止シール部5とを含む。不正開封防止シール部5の内側はまた、少なくとも1つの内向きに突出する保持カム12を有し、これは、例えば、単一の部品、または円周方向Uで相互に離間された複数の部品から構成することができる。さらなる例示的な実施形態では、回転閉鎖具3は、不正開封防止シール部5を有していなくてもよく、したがって、閉鎖キャップ4は、分断ポイント11を介して作動部20に直接接続される。
【0026】
閉鎖キャップ4の外面4dの外径Dは、作動部20の内径D以下であるため、閉鎖キャップ4は、長手方向軸Lの方向へ変位することによって作動部20内に変位可能である。回転閉鎖具が不正開封防止シール部品5を含む場合、当然、この条件は、不正開封防止シール部品5の外径Dについても満たしていなければならない。閉鎖キャップ4の第1の係合部8および作動部20の第2の係合部21は、安全閉鎖具1が組み立てられると、2つの係合部8、21が噛み合い、その過程で、閉鎖キャップ4および作動部20の長手方向軸Lの一方向への可能な最大の動きの範囲を定めるような方法で、相互に適合されるように構成されるか、または、長手方向軸Lに対して半径方向に延びる。
【0027】
本発明による安全閉鎖具1は、第1の方法ステップにおいて、一体射出成形部品が、好ましくはプラスチックから射出成形によって製造される。また、図6に示されるように、第2の方法ステップにおいて、長手方向軸Lの方向に作用する力Fが射出成形部品2に加えられると、閉鎖キャップ4と、場合によっては不正開封防止シール5とを有する回転閉鎖具3、および作動部品20は、長手方向軸Lの方向に互いに変位し、回転閉鎖具3は、図10および11に示されるように、少なくとも部分的に作動部20の内部に変位し、作動部20は、第1の係合部8が長手方向軸Lの方向に押されて完全に第2の係合部21上に位置するまで、第1の係合部8によって楕円形に変形する。その結果、第1の係合部8と第2の係合部21またはその係合面8b、8c、21d、21eは、長手方向軸Lの方向に互いに向かい合って配置され、作動部20は、元の、好ましくは円形の形状に回復することができる。
【0028】
図6、10および11から明らかなように、第2の係合部21および停止部分22は、内面23aを有する保持部分23を形成し、第1の係合部8は、保持部分23に係合し、長手方向軸Lの方向において保持部分23に沿って変位可能である。保持部分23の長さは、長手方向軸Lの方向における回転閉鎖具3および作動部20の相互に最大可能な変位経路Vを決定する。ここで、第1の係合部8および第2の係合部21は、長手方向軸Lの方向の閉鎖キャップ4と作動部20との相互位置に応じて、部分的または完全に噛み合うか、または相互に間隔を置いて接触していない。
【0029】
安全閉鎖1具が完成すると、第1の係合部8および第2の係合部21は、相互に位置合わせされた係合面8b、8c、21d、21eを有する。係合面8b、8c、21d、21eは、例えば、波状または歯形であるように構成され、閉鎖キャップ4を開けるために、長手方向Lに作用する力が、開放目的のため、および、閉鎖キャップ4が開くように閉鎖キャップ4に対して円周方向Uに作用する、十分な大きさのトルクを伝達するために、作動部20に加えられなければならない。
【0030】
図1、2、6および9に示されるように、第1の係合部8および第2の係合部21は、特に有利には鋸歯状であり、第1の係合面8b、21dが長手方向軸Lの方向に延び、第2の係合面が8c、21eが長手方向軸Lに対して横方向に延びる。鋸歯状の形状は、長手方向Lに作用する力が作動部20に加えられる必要がないので、閉鎖キャップ4の閉鎖を特に容易にする。
【0031】
第1の係合部8および第2の係合部21の相互構成に応じて、作動部20を一方向に回転させると、閉鎖キャップ3を回転させることができる。図1~14に示される例示的な実施形態では、作動部20を反時計回りに回転させると、作動部20に長手方向Lの力が加えられない場合、作動部20が閉鎖キャップ4に対して上昇する。回転中に作動部20に長手方向Lの力が加えられると、トルクが閉鎖キャップ4に伝達され、閉鎖キャップ4を開くことができる。作動部20が時計回りに回転している間、閉鎖キャップ4が閉鎖方向に回転するか、すでに閉鎖している閉鎖キャップ4がさらに締め付けられる。
【0032】
図10および11から明らかなように、閉鎖キャップ4の第1の係合部8および作動部20の第2の係合部21は、安全閉鎖具1において相互に係合するように相互に適合された方法で構成されるか、または、移動方向Bの相互変位により相互に係合させることができる。この相互の係合は、回転閉鎖具3と作動部20が互いに接続され、長手方向軸Lの方向または移動方向Bにおける変位経路Vによって、最大限に相互に変位可能であるという効果を有する。図11は、長手方向の断面において、作動部20が閉鎖キャップ4に対して移動方向Bに最大限に持ち上げられている状態の第1の極限位置にある安全閉鎖具1を示している。この位置では、第1の係合部8と第2の係合部21は噛み合わないため、作動部20は、閉鎖キャップ4にトルクを発生させることなく両方向において、円周方向Uに回転可能である。図10は、さらなる長手方向の断面において、作動部20が閉鎖キャップ4に対して移動方向Bに最大限に下降した状態の第2の極限位置にある安全閉鎖具1を示しており、この位置において、第1の係合部8と第2の係合部21は完全に係合している。第1および第2の係合部8、21は、現在の回転位置に応じて、それらの相互に位置合わせされた係合面8b、8c、21d、21eで相互に接触しており、その係合面は、長手方向に対して半径方向に係合幅を形成する。相互に位置合わせされた係合面8b、8c、21d、21eは、長手方向L方向の変位によって噛み合うことができる。信頼できる係合を可能にするために、そしてこの係合により、十分に大きなトルクが作動部から回転閉鎖部に伝達されるように、十分に大きな係合幅が有利に必要とされ、この係合幅は、例えば、0.5~2mmの範囲内であることが有利である。長手方向軸Lに関して同心円状に配置される回転閉鎖具3と、作動部20とを備えた安全閉鎖具1は、有利には、円周方向U全体にわたって同一の係合幅を有する。
【0033】
図3は射出成形部品2の端面図を示し、図7は射出成形部品2の底面図を示しており、特に、閉鎖キャップ4と、2つの第1の係合部部分8eおよび2つの第2の係合部部分8fを含む第1の係合部8とが示されている。図4は、図3の第2の係合部部分8fを詳細に示し、図5は、図3の第1の係合部部分8eを詳細に示している。第1の係合部8eおよび第2の係合部8fの両方は、中心の長手方向軸Lに対して半径方向に最大高さを有し、図1および2から明らかなように、円周方向Uに中間空間9が形成されるように外面4dに突き出た、円周方向Uの両側に端部8dを有する。特に図4および図5から明らかなように、第1の係合部8は、長手方向軸Lに対して半径方向に作動部20と部分的に重なっており、その結果、図7から明らかなように、第1の係合部8が作動部20の背後に配置され、したがって、第1の係合部8が作動部20に導入されると、作動部20の内径を広げる必要がある。
【0034】
安全閉鎖具を製造するための第2の方法ステップにおいて、閉鎖キャップ4と作動部20が長手方向軸Lの方向に互いに変位するように、長手方向軸Lの方向に作用する力Fが射出成形部品2に加えられなければならない。その過程で、第1の係合部8が長手方向軸Lの方向に押されて完全に第2の係合部21上に位置する。完成した安全閉鎖具1が図10に示されており、図12は断面線A-Aに沿った断面を示している。これで、第1の係合部8は保持部分23と係合する。半径方向に突出する第1の係合部部分8e、第2の係合部部分8fおよび中間空間9を伴う、円周方向Uにおける第1の係合部8のコースは、第1の係合部8が作動部20の内側20bに導入されると、第1の係合部8に対して係合する内側20bによる作動部20の楕円形の弾性変形の発生を決定する。楕円の弾性変形中に、中間空間9には作動部20が楕円形に変形することができるという効果があり、その結果、作動部20で最大に発生する応力を予測することができるため、中間空間9が特に重要である。作動部20および閉鎖キャップ4の寸法、ならびにそれらの材料は、好ましくは、閉鎖キャップ4が作動部20に導入されたときに、弾性変形のみが発生するように選択される。それによって、導入後に、図10~12に示されるように、作動部20および場合によっては閉鎖キャップ4もまた元の形状に戻る。第1の係合部8は、この条件を満たすために、多数の組み合わせで構成することができる。特に、中間空間9の数は、例えば、1~10の範囲内で変えることができ、または、第1の係合部部分8eおよび/または第2の係合部部分8fの円周方向Uの長さを変えることができ、および/または、閉鎖キャップ4および/または作動部20の弾性は、対応する材料の選択によって変えることができ、および/または、長手方向軸Lに対して半径方向の第1および第2の係合部8、21の相互の重なりの距離を変えることができる。
【0035】
図13および14は完成した安全閉鎖具1を示しており、安全閉鎖具1は、図13において、容器30の開口部を閉じている。閉鎖キャップ4および作動部20は、長手方向軸Lに対して同心円状に配置されており、閉鎖キャップ4は端側部4bを有し、作動部20は、外面4dに沿って閉鎖キャップ4を取り囲み、端側部4bを固定しない。端側部4bは、作動部20によって覆われておらず、固定されていないため、多様な可能性をもって構成することができる。例えば、端側部4bに刻印することができ、または図6および8に示されるように、グラフィックデザインに使用することができるくぼみを設けることができる。さらに、端側部4bには、三次元的に突出した本体、好ましくは、例えばフィギュアなどの広告媒体を設けることができる。しかしながら、端側部4bにはまた、例えばストローなどの飲用補助付きの、液体のための出口が設けられてもよく、出口を介して容器から液体を取り出すことができる。これは、例えば、容器の開口部が保護フィルムによって元の状態で閉じているときはいつでも有利である。したがって、容器を開けるには、まず安全閉鎖具1を開け、次に保護フィルムを容器の開口部から剥がし、その後で、容器内の液体を安全閉鎖具1の出口から取り出せるように、安全閉鎖具を回して容器の開口部に戻す必要がある。
【0036】
図示された例示的な実施形態は、作動部20の外側が円形であることを示している。しかしながら、作動部20は、内面20aの形状のみが安全閉鎖具1の機能のために事前に決定されているので、外側で任意の所望の形状をとることができる。作動部20はまた、例えば、外側が三角形、正方形、多角形または楕円形の形態で構成されてもよい。
【0037】
図15は、安全閉鎖具1を製造するための射出成形部品2のさらなる例示的な実施形態を縦断面において示す。この射出成形部品2は、停止部22が閉鎖キャップ4上に配置され、そこで保持部分23の範囲を定めること、および閉鎖キャップが内側リップ4fを有することを除いて、図1~7に示される射出成形部品2と実質的に同一に構成される。
【0038】
図16は、一部のみが示された縦断面において、脆弱ポイント10を介して接続された閉鎖キャップ4および不正開封防止シール5を含む回転閉鎖具3のさらなる例示的な実施形態を示している。閉鎖キャップ4はまた、停止部22と第1の係合部8とを有する外側部分4eを備える。停止部22と第1の係合部8は、保持部23の長さ分だけ長手方向軸L方向に離間している。第1の係合部8は、上方に向けられ、円周方向Uにおいて相互に離間している複数の歯8aを有する。閉鎖キャップ4はまた、外径Dを有する外面4dを備える。図17は、図16による回転閉鎖具に合わせて構成された作動部20の縦断面を示す。作動部20は、内面20a、内側部分20b、および下方に向けられ、円周方向Uにおいて相互に離間している複数の歯21aを有する、内方に突出する第2の係合部21を備える。安全閉鎖具の製造中に、示される図面において、第1の係合部8が長手方向軸Lの方向に押されて完全に第2の係合部21の上方に位置し、それによって第2の係合部21が保持部23内に配置されるように、回転閉鎖具3が作動部20に導入される。そして、第2の係合部21の長手方向軸Lの方向における移動の範囲が、停止部22および閉鎖キャップ4の第1の係合部8によって定められる。
【0039】
図9および18に示されるように、作動部20は、周方向Uにおいて内面20aに沿って全体の内周長Uを有し、図19に示されるように、第1の係合部8は、中間空間9とともに、周方向Uにおいて全体的な外周長さUを有する。内周長Uは、閉鎖キャップ4と作動部20が一緒にされたときに、内側部分20bが、周方向Uに伸びることがないように、外周長U以上である。図19は、第1の係合部8および中間空間9に沿って延びて、全体の外周長さUを定める外面Uを示している。
【0040】
図18は、長手方向軸Lの延びる方向における、作動部20のさらなる例示的な実施形態の長手方向断面を示す。作動部20は、周方向に全体にわたって環状をなし、かつ、中間空間21bがない入力部分20cを有する。作動部20は、長手方向軸Lに対して半径方向に壁厚Wを有し、停止部22の長手方向軸L方向における上流または下流の領域における入力部分20cよりも小さい壁厚W、好ましくはより小さい最大壁厚Wを有する。作動部20は、作動部20がより寸法的に安定するような厚い壁厚を入力部分20cが有するので、特に寸法的に安定して構成される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19