(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083650
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】法務相談管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20240617BHJP
【FI】
G06Q50/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197566
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】517299951
【氏名又は名称】GVA TECH株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC32
5L050CC32
(57)【要約】
【課題】契約書の審査業務や法務相談業務をはじめとする法務相談案件について判断にブレが生じないように支援する技術を提供すること。
【解決手段】本発明による法務相談管理システムは、依頼者端末と、法務担当者端末と、法務相談管理サーバとを有している。システムは、法律に関する相談を案件ごとに相談案件として管理する管理部と、依頼者端末から相談対象案件を受け付ける相談受付部と、相談対象案件を法務担当者端末に表示する相談案件表示部と、管理されている相談案件を参照して、相談対象案件と類似する類似案件を検索する検索部と、検索された類似案件に関する情報を法務担当者端末に表示する類似案件表示部と、を備えている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
依頼者端末と、法務担当者端末と、法務相談管理サーバとを有する法務相談管理システムであって、
法律に関する相談を案件ごとに相談案件として管理する管理部と、
前記依頼者端末から相談対象案件を受け付ける相談受付部と、
前記相談対象案件を前記法務担当者端末に表示する相談案件表示部と、
管理されている前記相談案件を参照して、前記相談対象案件と類似する類似案件を検索する検索部と、
検索された前記類似案件に関する情報を前記法務担当者端末に表示する類似案件表示部と、を備える
法務相談管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の法務相談管理システムであって、
前記相談案件は、ファイルドキュメント若しくは相談ドキュメントと;前記依頼者端末及び前記法務担当者端末間でなされたメッセージ情報とを含んでおり、
前記相談案件表示部は、前記ファイルドキュメント若しくは相談ドキュメントを表示可能なメイン表示領域と前記メッセージ情報を表示するメッセージ表示領域と、検索された前記類似案件の件数に関する情報を表示する類似案件表示領域とを第1のウインドウに表示する、
法務相談管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の法務相談管理システムであって、
類似案件一覧表示部は、検索された前記類似案件に含まれる前記ファイルドキュメント若しくは前記相談ドキュメントとのサムネイル画像を生成して、前記相談案件ごとに第1のウインドウとは異なる第2のウインドウに一覧で表示する、
法務相談管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の法務相談管理システムであって、
類似案件詳細表示部は、前記サムネイル画像が選択された場合に、当該ファイルドキュメント若しくは当該相談ドキュメントを前記一覧の上にオーバーレイして表示する、
法務相談管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の法務相談管理システムであって、
前記検索部は、前記相談案件に含まれる文字情報、前記相談案件に関連付けられた属性情報、前記相談案件に関連付けられた担当者情報の少なくともいずれかに基づいて前記類似案件を検索する、
法務相談管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法務相談管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる法務分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)技術として、契約書の審査業務を支援する技術(例えば特許文献1乃至特許文献3)が開示されている。一方、法務担当者と契約担当者(現場担当者)とのコミュニケーションを円滑に行うための技術も開示されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-013524号公報
【特許文献2】特開2021-174474号公報
【特許文献3】特開2021-117844号公報
【特許文献4】特開2020-166870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術は、いずれも、個別の作業の効率化を図ることができるが、全体を把握し管理する技術としては不十分である。
【0005】
特に、このような技術によって契約書の審査業務や法務相談業務の成果物(過去の審査結果や相談結果)が増加してきた場合、法務担当者間や、同一法務担当者でも異なる時期で判断がブレることのないように過去の案件を参考にしたい場合が生じる(例えば、同一の契約相手に対して、自社の担当者による条件許容度にブレが生じないようにしたいというニーズが存在している)。
【0006】
そこで、本発明は、契約書の審査業務や法務相談業務をはじめとする法務相談案件について判断にブレが生じないように支援する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
依頼者端末と、法務担当者端末と、法務相談管理サーバとを有する法務相談管理システムであって、
法律に関する相談を案件ごとに相談案件として管理する管理部と、
前記依頼者端末から相談対象案件を受け付ける相談受付部と、
前記相談対象案件を前記法務担当者端末に表示する相談案件表示部と、
管理されている前記相談案件を参照して、前記相談対象案件と類似する類似案件を検索する検索部と、
検索された前記類似案件に関する情報を前記法務担当者端末に表示する類似案件表示部と、を備える
法務相談管理システム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、法務担当者等が契約書の審査業務や法務相談業務を行う場合に、過去に判断をした類似案件の情報を簡便に参照することができるため法務相談案件について判断にブレが生じないように支援することが可能となる。
【0009】
また、特に、類似案件の詳細をサムネイル等によって一覧表示をしたり、当該サムネイルを選択操作することにより当該類似案件の中身を同一のウインドウ上で確認することができることから迅速な業務が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態による法務相談管理システム(以下「システム」という)の構成例を示す図である。
【
図2】
図1の法務相談管理サーバの機能ブロック図である。
【
図3】
図2の管理部の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図3の相談案件の要素を示すブロック図である。
【
図5】
図1の法務担当者端末上に表示される相談案件の画面例である。
【
図6】
図1の法務担当者端末上に表示される類似案件一覧の画面例である。
【
図7】
図6の類似案件のサムネイルの詳細を示す図である。
【
図8】
図1の法務担当者端末上に表示される類似案件の内容がオーバーレイされる様子を示す図である。
【
図9】
図1の法務担当者端末上に表示される類似案件の内容がオーバーレイされる様子を示す図である。
【
図10】
図1の法務担当者端末上に表示される類似案件の内容がオーバーレイされる様子を示す図である。
【
図11】
図1の法務担当者端末上に表示される類似案件の内容がオーバーレイされる様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、以下のような構成を備える。
[項目1]
依頼者端末と、法務担当者端末と、法務相談管理サーバとを有する法務相談管理システムであって、
法律に関する相談を案件ごとに相談案件として管理する管理部と、
前記依頼者端末から相談対象案件を受け付ける相談受付部と、
前記相談対象案件を前記法務担当者端末に表示する相談案件表示部と、
管理されている前記相談案件を参照して、前記相談対象案件と類似する類似案件を検索する検索部と、
検索された前記類似案件に関する情報を前記法務担当者端末に表示する類似案件表示部と、を備える
法務相談管理システム。
[項目2]
請求項1に記載の法務相談管理システムであって、
前記相談案件は、ファイルドキュメント若しくは相談ドキュメントと;前記依頼者端末及び前記法務担当者端末間でなされたメッセージ情報とを含んでおり、
前記相談案件表示部は、前記ファイルドキュメント若しくは相談ドキュメントを表示可能なメイン表示領域と前記メッセージ情報を表示するメッセージ表示領域と、検索された前記類似案件の件数に関する情報を表示する類似案件表示領域とを第1のウインドウに表示する、
法務相談管理システム。
[項目3]
請求項2に記載の法務相談管理システムであって、
類似案件一覧表示部は、検索された前記類似案件に含まれる前記ファイルドキュメント若しくは前記相談ドキュメントとのサムネイル画像を生成して、前記相談案件ごとに第1のウインドウとは異なる第2のウインドウに一覧で表示する、
法務相談管理システム。
[項目4]
請求項3に記載の法務相談管理システムであって、
類似案件詳細表示部は、前記サムネイル画像が選択された場合に、当該ファイルドキュメント若しくは当該相談ドキュメントを前記一覧の上にオーバーレイして表示する、
法務相談管理システム。
[項目5]
請求項1に記載の法務相談管理システムであって、
前記検索部は、前記相談案件に含まれる文字情報、前記相談案件に関連付けられた属性情報、前記相談案件に関連付けられた担当者情報の少なくともいずれかに基づいて前記類似案件を検索する、
法務相談管理システム。
【0012】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
<概要>
図1に示されるように、本発明の実施の形態による法務相談管理システム1(以下「システム」と呼ぶ)は、法務担当者端末10と、依頼者端末20と、法務相談管理サーバ100とを有している。本発明は、例えば、依頼者が依頼者端末20を利用して、法務担当者に依頼したい法律に関する相談案件(契約書審査業務、相談業務、その他法務担当者に確認を依頼すべき業務や報告等:以下「相談案件」という。)を法務相談管理サーバ100に提供/出力する。法務担当者は、法務担当者端末10を利用してかかる相談案件の処理を行う。この際、類似している相談案件(「類似相談案件」という)が過去にある場合には、当該類似案件を法務担当者に対して表示する。
【0014】
<機能構成>
より詳しくは、
図2に示されるように、法務相談管理サーバ(以下、「サーバ」という)100は、相談受付部201と、管理部202と、記憶部204及び外部記憶部204-1と、相談案件表示部210と、類似案件表示部212と、類似案件一覧表示部222と、類似案件詳細表示部224と、相談結果共有部240とを備えている。
【0015】
相談受付部201は、依頼者端末20から各種の相談の依頼を受け付ける。本実施の形態による法務相談管理システム1においては、依頼者に対して所定のフォームを利用して相談の内容や必要なドキュメントを入力させる方法によって、相談の依頼を受け付けることとしている。
【0016】
管理部202は、法律に関する相談を案件ごとに相談案件として管理する。管理部202は、
図3に示されるように、サーバ100の記憶部204や外部ストレージサービスが有する外部記憶部204-1に記憶された相談案件の所在を管理する。相談案件は、各記憶部において、相談案件001~999及び相談案件g001~g999のように案件単位で管理されて記憶される。更に詳しくは、
図4に示されるように、相談案件001は、相談に関する契約書等のファイル、参考資料、詳細項目、メッセージ(後述)がセットでひとつの案件として管理される。
【0017】
相談案件表示部210は、依頼者端末20から依頼された相談案件を法務担当者端末10に表示する。
図5に示されるように、相談案件表示部210は、上述した相談に関する契約書等のファイル、参考資料、詳細項目、メッセージ(後述)を一の画面に領域毎に区切って法務担当者に提供する。
【0018】
詳しくは、図示されるように、メイン画面300を生成し、当該メイン画面300上に相談依頼等を表示する案件詳細表示領域302と、法務担当者端末10及び依頼者端末20の間でコミュニケーションを行ったメッセージ情報を表示するメッセージ表示領域304と、参考資料及び詳細項目を表示するための参考情報領域308とを有している。
【0019】
一方、類似案件表示部212は、相談案件と類似する類似案件(後述)の検索結果として類似案件の件数に関する情報を表示する類似案件表示領域306に表示すべき情報を検索し、表示する。本実施の形態においては、案件詳細表示領域302と、メッセージ表示領域304と、類似案件の件数を表示する類似案件表示領域306と、参考情報領域308とは同一のメイン画面300に表示する。
【0020】
検索部220は、
図3に示されるように、管理されている相談案件を参照して、相談対象案件と類似する類似案件を検索する。本実施の形態による検索部220は、相談案件に含まれる文字情報、相談案件に関連付けられた属性情報(契約類型、ひな型状態、担当者等)、相談案件に関連付けられた担当者情報の少なくともいずれかに基づいて類似案件を検索する。
【0021】
類似案件一覧表示部222は、
図5の類似案件表示領域306に表示された類似案件を法務担当者が選択操作した場合に、
図6に示されるような類似案件のサムネイル画像を相談案件ごとに複数のサムネイル領域207の一覧を生成して表示する。
【0022】
サムネイル領域207には、類似案件に含まれるファイルドキュメント若しくは相談ドキュメントを例えば3つ表示される。サムネイル領域207に表示されるファイルドキュメント若しくは相談ドキュメントの数は画面レイアウト等を考慮して適宜変更可能である。本実施の形態においては、
図6に示されるサムネイル領域207の一覧は、
図5に示されるメイン画面300とは別のウインドウに表示される。これにより、メイン画面300において相談案件を対応しながら、類似案件を確認することが可能となる。
【0023】
本実施の形態におけるサムネイル領域207には、サムネイル以外にも、様々な情報を表示可能である。
図7に示されるように、前回対応をした日付や、ファイル等の名称、当事者、担当者などの情報502を併記することとしてもよい。また、関連付けられているドキュメントが多数ある場合には、表示されているサムネイル画像の数よりも多くのファイルがあることを表示504によって明示することとしてもよい。
【0024】
図8に示されるように、類似案件詳細表示部224はサムネイル画像が選択された場合に、当該ファイルドキュメント若しくは当該相談ドキュメントの詳細画面800をサムネイル領域207の上にオーバーレイして表示する。
【0025】
詳細画面800は、類似案件に含まれるドキュメント(ファイルドキュメント若しくは相談ドキュメント、参考資料、詳細項目、メッセージ等)の詳細を確認できる詳細メイン画面802と、ドキュメントタブ領域804とを備えている。詳細メイン画面802は、各ドキュメントを上述した案件詳細表示領域302(
図5)に表示するかの如く詳細表示可能である。
【0026】
ドキュメントタブ領域804における参考資料のタブを選択すると、
図9に示されるように、当該類似案件に関連付けられた参考資料が詳細メイン画面802に表示される。また、ドキュメントタブ領域804における詳細項目のタブを選択すると、
図10に示されるように、当該類似案件に関連付けられた詳細項目が詳細メイン画面802に表示される。更に、ドキュメントタブ領域804におけるメッセージのタブを選択すると、
図11に示されるように、当該類似案件に関連付けられたメッセージ情報が詳細メイン画面802に表示される。
【0027】
相談結果共有部240は、最終的に法務担当者が(類似案件を確認すると否とにかかわらず)現在の相談案件についての対応結果を依頼者端末20に提供する。
【0028】
以上説明したように、本発明の実施の形態による法務相談管理システム1によれば、法務担当者が受けた相談案件に類似している相談案件を簡易に検索することができることから、相談案件の対応の効率化を図ることができる。
【0029】
本システムは、インターネットによって互いに通信可能に構成された法務案件管理サーバと、法務担当端末と、契約担当端末とを備えている。なお、本システムは、所定の事業者が提供するクラウド型/ネットワーク型のシステム構成としてもよいし、システム導入企業内で独立して運用されるオンプレミス型のシステム構成としてもよい。
【0030】
<ハードウェア構成例>
なお、上述した機能ブロックのそれぞれは、例えばサーバ装置(端末装置)に備えられたハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロックは、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0031】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0032】
1 管理サーバ
2 ユーザ端末
3 ネットワーク