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  • 特開-固形肥料生成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083651
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】固形肥料生成方法
(51)【国際特許分類】
   C05G 5/10 20200101AFI20240617BHJP
   C05F 5/00 20060101ALI20240617BHJP
   C05F 3/00 20060101ALI20240617BHJP
   C05F 9/00 20060101ALI20240617BHJP
   B09B 3/60 20220101ALI20240617BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20240617BHJP
   B09B 3/40 20220101ALN20240617BHJP
   B09B 3/70 20220101ALN20240617BHJP
【FI】
C05G5/10
C05F5/00 ZAB
C05F3/00
C05F9/00
B09B3/60
B09B5/00 L
B09B3/40
B09B3/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197567
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】522439504
【氏名又は名称】株式会社土と野菜
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】大土井 克明
(72)【発明者】
【氏名】谷川 巧
【テーマコード(参考)】
4D004
4H061
【Fターム(参考)】
4D004AA02
4D004AA04
4D004AA31
4D004AC05
4D004BA04
4D004CA04
4D004CA15
4D004CA17
4D004CA30
4D004CC07
4D004CC11
4H061AA01
4H061AA02
4H061CC36
4H061CC42
4H061EE42
4H061FF08
4H061GG13
4H061GG24
4H061GG48
(57)【要約】
【課題】バイオガスプラントから発生する消化液や、検知器現場から発生する石膏ボードの廃材などを有効利用して、一般農家でも使用できるようにした肥料製造方法を提供する。
【解決手段】家畜糞尿や農業系廃棄物や食品残渣などを発酵させて生じた消化液を収集するステップと、廃材の石膏ボードを粉砕して再焼成した後、前記収集された消化液と再焼成した石膏粉とを1:3から1:4の体積比で混合させて肥料用固形物を生成するステップと、当該肥料用固形物を粉砕させるステップと、を備えて肥料用固形物を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜糞尿や農業系廃棄物や食品残渣などを発酵させて生じた消化液を収集するステップと、
廃材の石膏ボードを再焼成し、前記収集された消化液と混合させて肥料用固形物を生成するステップと、
当該肥料用固形物を粉砕させるステップと、
を備えたことを特徴とする肥料生成方法。
【請求項2】
前記廃材の石膏ボードが粉砕させたものである請求項1に記載の肥料生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオガスプラントから発生した消化液を用いて肥料を生成できるようにした肥料生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、家畜糞尿や農業系廃棄物、食品加工残渣などを原料とするバイオガスプラントにおいては、発酵に伴う消化液が大量に発生することが知られている。このような消化液は、アンモニアを多く含むため、即効性を有する肥料として、有効に利用することが検討されている。.
【0003】
しかしながら、このような消化液を液肥として利用する場合、液肥のアンモニア濃度は、2000ppm程度と水耕栽培として使用する養液としては強すぎるため、100ppm程度に希釈して使用する必要がある。これに対して、日本の圃場は比較的狭い場合が多く、発生した消化液を液肥として使用するには、使用しきれない。
【0004】
また、露地栽培で液肥を使用する時期は、年間でごく限られた期間でしかないため、使用しない期間においては、新たに保管用の貯留槽を設けておき、その貯留槽に保管しておかなければならないといった問題を生ずる。
【0005】
さらに、このような液肥を使用する場合、圃場への運搬や散布などが必要になるが、圃場に入りうる大きさの輸送車両や散布車両などが特別に必要になるため、一般に圃場で使用されている農業機械とは別に、新たな導入コストがかかってしまうといった問題も生ずる。
【0006】
これに対して、下記の特許文献には、消化液と石膏とを混合させ、肥料としての硫安を生成できるようにした方法が提案されている。
【0007】
しかしながら、この方法は、消化液からアンモニア成分を回収し、石膏と反応させて生成された硫安と炭酸カルシウムから硫安を分離して、肥料として利用できるようにしたものであるため、アンモニアを回収するための装置が必要になり、コストがかかってしまうといった問題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-96171号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】http://reneria.co.jp/howabout/process_digestate/fertilizer/(2022/12/11日確認)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、上記課題に着目してなされたもので、バイオガスプラントから発生する消化液や、建築現場から発生する石膏ボードの廃材などを有効利用して、一般農家でも使用できるようにした肥料製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、家畜糞尿や農業系廃棄物や食品残渣などを発酵させて生じた消化液を収集するステップと、廃材の石膏ボードを再焼成し、前記収集された消化液と混合させて肥料用固形物を生成するステップと、当該肥料用固形物を粉砕させるステップと、を備えるようにしたものである。
【0012】
また、このような発明において、廃材の石膏ボードとして、粉砕された石膏ボードを用いるようにする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、消化液を貯留する貯留槽も不要になり、また、建築現場から出た廃材を利用して固形肥料を生成することができるため、それぞれの分野から生じた廃材を有効活用することができるようになる。また、石膏ボードを再焼成するようにしているため、紙などの不純物を除去できるとともに、消化液の水分を多く吸収させることができ、そのまま窒素を含んだ固形肥料を生成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態における各工程を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について、詳細に説明する。
【0016】
この実施の形態における肥料生成方法は、バイオガスプラントから発生した消化液と、建築現場から生じた廃材としての石膏ボードとを用いて、固形肥料を生成できるようにしたものであって、具体的には、バイオガスプラントから消化液を収集する工程と、建築現場から発生した廃材として石膏ボードを粉砕し、再焼成して石膏粉を生成する工程と、石膏粉と消化液を反応させて固形化された固形肥料を生成する工程とを備えるようにしたものである。以下、各工程について詳細に説明する。
【0017】
まず、消化液を収集する場合は(ステップ1)、バイオガスプラントから排出された消化液を用いる。このバイオガスプラントは、家畜糞尿や農業系廃棄物、食品残渣などを受け入れる受入槽や、この受入槽に受け入れた原料を粉砕する粉砕機、水分調整などの前処理を行って一次発酵させる一次発酵槽、この一次発酵槽で生じたガスを脱硫してガスホルダーに貯留するガス貯留槽、一次発酵槽で生じた原料を二次発酵させて液肥を抽出する二次発酵槽などを備えて構成される。そして、このうち、ガスホルダーに貯留されたガスを用いて、発電を行い、電気や熱のエネルギーとして使用できるようにしている。一方、二次発酵槽から発生した消化液は、順次、消化液タンクに貯留される。
【0018】
この消化液は、揮発性脂肪酸、有機態窒素、アンモニア態窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、全炭素、水分などの成分が含まれるものであるが、本実施の形態においては、アンモニアを抽出することなく、消化液そのものを用い、肥料としての窒素、リン、カリウム、カルシウムを利用できるようにしている。
【0019】
石膏ボードから石膏粉を抽出する場合(ステップ2)、廃材として石膏ボードを粗粉砕し(ステップ21)、ロータリーキルンなどを用いて焼成する(ステップ22)。このような粉砕を行うと、石膏ボードに付着した壁紙などを分離することができ、また、再焼成を行うことにより、残った壁紙や糊成分などを取り除くことができるというメリットがある。さらに、再焼成することにより、二水石膏粉から半水石膏へと変化させることができるため、多くの水を吸収させることができるようになる。
【0020】
次に、このように再焼成された石膏粉を、消化液と混合させる(ステップ3)。このとき、消化液と石膏粉との割合としては、消化液:石膏粉の体積比として1:3から1:5の範囲内(好ましくは、1:4)で撹拌させる。すると、石膏粉が多くの消化液を吸収し、消化液に含まれるアンモニア態窒素、リン酸、カリウム、カルシムなども吸収していく。そして、石膏粉を固化させ、その後、粒状あるいはパウダー状に粉砕させて(ステップ4)、固体肥料として散布できるようにする。
【0021】
このように上記実施の形態によれば、家畜糞尿や農業系廃棄物や食品残渣などを発酵させて生じた消化液を収集するステップと、廃材の石膏ボードを再焼成し、前記収集された消化液と混合させて肥料用固形物を生成するステップと、当該肥料用固形物を粉砕させるステップと、を備えるようにしたので、消化液を貯留する貯留槽も不要になり、また、建築現場から出た廃材を利用して固形肥料を生成することができる。これにより、それぞれの分野から生じた廃材を有効活用することができるようになる。また、石膏ボードを再焼成するようにしているため、紙などの不純物を除去できるとともに、消化液の水分を多く吸収させることができ、そのまま窒素を含んだ固形肥料を生成することができるようになる。
【0022】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0023】
例えば、廃材として石膏ボードを粗粉砕させてロータリーキルンなどの装置で再焼成するようにしたがが、細粉砕させてから再焼成させるようにしてもよい。
【0024】
また、上記実施の形態では、再焼成させた石膏ボードを用いるようにしたが、再焼成後に再粉砕させ、選別後、再焼成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1・・・消化液抽出工程
2・・・石膏ボードの粉砕と再焼成の工程
3・・・消化液と石膏粉の反応工程
4・・・粉砕工程
図1