(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083658
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 1/25 20180101AFI20240617BHJP
【FI】
F25C1/25 303B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197577
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】富永 祐之
(57)【要約】
【課題】汚れを除去するための主洗浄運転後に濯ぎ洗浄をする濯ぎ洗浄運転とを実行するときに、タンク内に主洗浄運転を実行したときの洗浄水に含まれる汚れ等が残りにくくする。
【解決手段】製氷機10は、給水手段31によりタンク24内に供給された水よりなる洗浄水をポンプ25により製氷部21に送出させてから再びタンク24内に戻して循環させて洗浄する洗浄運転を実行可能としたものであり、洗浄運転は、タンク24と製氷部21に付着した汚れを除去するための主洗浄運転と、主洗浄運転後に濯ぎ洗浄をする濯ぎ洗浄運転とを実行するものであり、濯ぎ洗浄運転を実行するときに給水手段31により供給される濯ぎ用の洗浄水の水量を主洗浄運転を実行するときの洗浄水の水量よりも多くした。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を凍結させて氷を製造する製氷部と、
前記製氷部を冷却する冷凍装置と、
前記製氷部に送出する水を貯えるタンクと、
給水源からの水を前記タンク内に供給する給水手段と、
前記タンク内の水を前記製氷部に送出するポンプとを備え、
前記給水手段により前記タンク内に供給された水を製氷水として用い、この製氷水を前記ポンプにより前記冷凍装置によって冷却した前記製氷部に送出させてから再び前記タンク内に戻して循環させ、前記製氷部にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷運転と、
前記給水手段により前記タンク内に供給された水を洗浄水として用い、この洗浄水を前記ポンプにより前記製氷部に送出させてから再び前記タンク内に戻して循環させ、前記タンクと前記製氷部とを洗浄水により洗浄する洗浄運転とを実行可能とした製氷機であって、
前記洗浄運転は、前記タンクと前記製氷部に付着した汚れを除去するための主洗浄運転と、前記主洗浄運転後に濯ぎ洗浄をする濯ぎ洗浄運転とを実行するものであり、前記濯ぎ洗浄運転を実行するときに前記給水手段により供給される濯ぎ用の洗浄水の水量を前記主洗浄運転を実行するときの洗浄水の水量よりも多くしたことを特徴とする製氷機。
【請求項2】
請求項1に記載の製氷機において、
前記濯ぎ洗浄運転を実行するときには、前記ポンプにより洗浄水を前記製氷部との間で循環開始後に前記給水手段により前記タンク内に洗浄水を追加で供給するようにしたことを特徴とする製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク内の製氷水を製氷部に送出させてから再びタンク内に戻して循環させ、タンク内と製氷部との間で循環する製氷水を製氷部で凍結させて氷を製造する製氷機に関し、製氷水が通過する経路を洗浄水により洗浄可能とした製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、氷を製造する製氷機の発明が開示されている。この製氷機は、下側に開口した製氷小室を有した製氷部と、製氷部を冷却する冷凍装置と、製氷部の製氷小室の下側を開閉自在に塞ぐ水皿と、水皿の下側に一体的に設けられて製氷水を貯える製氷水タンクと、製氷水タンク内の製氷水を製氷部に供給するポンプと、製氷水タンク内に水を供給する給水管と、給水管に介装された給水弁とを備えている。
【0003】
この製氷機は、氷を製造する製氷運転と、製氷運転にて製造した氷を離脱させる除氷運転とを交互に実行することによって氷が製造されるように制御されている。この製氷機にて製氷運転を実行すると、製氷水タンク内に供給された製氷水はポンプにより製氷部の製氷小室に噴射供給されるとともに製氷部の製氷小室から流下して製氷水タンク内に回収され、製氷水タンク内の製氷水は冷凍装置により冷却された製氷部との間で循環することによって冷却されて製氷小室内にて徐々に凍結して氷となる。製氷運転後に除氷運転を実行すると、製氷部の製氷小室は冷凍装置によりホットガスが供給されて加熱され、製氷部の製氷小室内に生成された氷は下側に落下して離脱する。
【0004】
この製氷機にて製氷運転を実行すると、製氷水タンク内の製氷水は、製氷部の製氷小室内で徐々に凍結するのに伴い、カルシウム等のスケール成分が濃縮されるようになる。製氷運転を繰り返し実行すると、製氷水タンクや製氷部等の製氷水が循環する循環経路にはスケールが付着しやすくなる。このため、この製氷機は、製氷水タンクや製氷部等の製氷水が循環する循環経路に付着したスケールを取り除くために、製氷水と同じ水よりなる洗浄水を用いて洗浄する通常洗浄モードと、薬剤を用いて洗浄する特別洗浄モードとが設定されている。通常洗浄モードの洗浄運転を実行したときには、給水弁を所定の給水時間で開放させることによって製氷水タンクに供給された製氷水と同じ水よりなる洗浄水をポンプで製氷部の製氷小室に噴射供給し、製氷水が循環する循環経路は製氷水と同じ水よりなる洗浄水により洗浄される。
【0005】
特別洗浄モードの洗浄運転では、製氷水タンク内に供給した薬剤をポンプにより製氷部に噴射供給してから再び製氷水タンク内に戻して循環させて薬剤により洗浄する薬剤洗浄工程(主洗浄運転)と、製氷水タンク内に供給した濯ぎ用の洗浄水をポンプにより製氷部に噴射供給してから再び製氷水タンク内に戻して循環させて濯ぎ用の洗浄水により洗浄する複数回の濯ぎ洗浄工程(濯ぎ洗浄運転)とが行われる。特別洗浄モードの薬剤洗浄工程を実行したときには、薬剤ポンプにより供給される薬剤が製氷水タンクに供給され、製氷水タンク内の薬剤をポンプにより製氷部に噴射供給してから製氷水タンクに戻して循環させ、製氷水タンクや製氷部等の製氷水が循環する循環経路は薬剤によって洗浄される。濯ぎ洗浄工程の実行前には、水皿を閉成姿勢から開放姿勢に傾斜させて製氷水タンク内の薬剤を排出し、水皿を再び閉成姿勢に戻す。薬剤洗浄工程後の濯ぎ洗浄工程を実行したときには、給水弁を所定の給水時間で開放させることによって濯ぎ用の洗浄水が製氷水タンクに供給され、製氷水タンク内の濯ぎ用の洗浄水をポンプにより製氷部に噴射供給してから製氷水タンクに戻して循環させ、薬剤洗浄工程にて洗浄水中に除去された汚れや洗浄水に含まれる薬剤が残る製氷水タンクや製氷部等の製氷水の循環経路は濯ぎ用の洗浄水によって洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の製氷機においては、薬剤洗浄工程(主洗浄運転)後に濯ぎ洗浄工程(濯ぎ洗浄運転)を実行して、薬剤洗浄工程を実行したときに循環経路に残る洗浄水中に除去された汚れや薬剤を濯ぎ用の洗浄水により洗い流すようにしている。濯ぎ洗浄工程を実行後に、循環経路に薬剤洗浄工程中の汚れや薬剤が含まれた洗浄水が残っていると、洗浄運転後に製氷運転を実行したときに、氷に汚れや薬剤が混入するおそれがある。特に、製氷水タンクの側壁内面の上部には薬剤洗浄工程時に用いた洗浄水の水位の上縁部の位置に汚れや薬剤を含む洗浄水が残りやすかった。本発明は、汚れを除去するための主洗浄運転後に濯ぎ洗浄をする濯ぎ洗浄運転を実行するときに、タンク内に主洗浄運転を実行したときの洗浄水に含まれる汚れ等が残りにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するため、水を凍結させて氷を製造する製氷部と、製氷部を冷却する冷凍装置と、製氷部に送出する水を貯えるタンクと、給水源からの水をタンク内に供給する給水手段と、タンク内の水を製氷部に送出するポンプとを備え、給水手段によりタンク内に供給された水を製氷水として用い、この製氷水をポンプにより冷凍装置によって冷却した製氷部に送出させてから再びタンク内に戻して循環させ、製氷部にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷運転と、給水手段によりタンク内に供給された水を洗浄水として用い、この洗浄水をポンプにより製氷部に送出させてから再びタンク内に戻して循環させ、タンクと製氷部とを洗浄水により洗浄する洗浄運転とを実行可能とした製氷機であって、洗浄運転は、タンクと製氷部に付着した汚れを除去するための主洗浄運転と、主洗浄運転後に濯ぎ洗浄をする濯ぎ洗浄運転とを実行するものであり、濯ぎ洗浄運転を実行するときに給水手段により供給される濯ぎ用の洗浄水の水量を主洗浄運転を実行するときの洗浄水の水量よりも多くしたことを特徴とする製氷機を提供するものである。
【0009】
上記のように構成した製氷機においては、洗浄運転は、タンクと製氷部に付着した汚れを除去するための主洗浄運転と、主洗浄運転後に濯ぎ洗浄をする濯ぎ洗浄運転とを実行するものであり、濯ぎ洗浄運転を実行するときに給水手段により供給される濯ぎ用の洗浄水の水量を主洗浄運転を実行するときの洗浄水の水量よりも多くしている。濯ぎ洗浄運転を実行するときに給水手段により供給される洗浄水の水量を主洗浄運転を実行するときの洗浄水の水量よりも多くしているので、主洗浄運転後にタンクの側壁内面に残る汚れを含んだ洗浄水は濯ぎ用の洗浄水により洗い流されるようになり、洗浄運転の実行後にタンク内に汚れが残りにくくなる。これにより、洗浄運転の実行後に製氷運転を実行したときに、氷に汚れが含まれにくくすることができる。
【0010】
上記のように構成した製氷機においては、濯ぎ洗浄運転を実行するときには、ポンプにより洗浄水を製氷部との間で循環させた後で給水手段によりタンク内に洗浄水を追加で供給するのが好ましい。濯ぎ洗浄運転を実行してポンプにより濯ぎ用の洗浄水を製氷部との間で循環させたときには、タンク内の水位は濯ぎ用の洗浄水が製氷部との間を循環するために低下する。ポンプにより洗浄水をタンクと製氷部との間で循環させた後で給水手段によりタンク内に洗浄水を追加で供給しているので、製氷部との間を循環することによって減少したタンク内の製氷水の水位が上昇し、タンク内の側壁内面には汚れを含む洗浄水が残りにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】
図3の水皿を開放位置に傾動させた状態を示す概略図である。
【
図9】洗浄プログラムを実行したときのタイムチャートである。
【
図10】洗浄プログラムの主洗浄運転の給水時間経過時に洗浄水位を検出しなかったときに追加給水時間で給水するときのタイムチャートである。
【
図11】洗浄プログラムの主洗浄運転の実行中に排水弁等に不具合が生じたときのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の製氷機の一実施形態を図面を用いて説明する。本発明の製氷機は、所謂クローズドセルタイプの製氷機であり、製氷部21にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷運転と、製氷水が循環する循環経路を洗浄水により洗浄する洗浄運転とを実行可能としたものである。
図1及び
図2に示したように、この実施形態の製氷機10は、ハウジング11内の上部に製氷室12と機械室13と、ハウジング11内の下部に貯氷室14とを備えている。
図1では貯氷室14内の氷を一点鎖線にて示している。
【0013】
図2に示したように、製氷機10は氷を製造する製氷機構部20を備え、製氷機構部20は、製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部21と、製氷部21を冷却及び加温する冷凍装置40と、製氷部21に製氷水を送出する送水手段22とを備えている。製氷部21は、製氷室12内に配設されており、下側が開口した浅い箱形状の内部に格子状の仕切部材を設けることで下側に開いた複数の製氷小室21aが形成されている。各製氷小室21aに下側から製氷水が噴射送出され、各製氷小室21a内には製氷水が凍結することでブロック形の氷が形成される。
【0014】
図2に示したように、製氷部21の上面には冷凍装置40を構成する蒸発器44が配設されている。冷凍装置40は、冷却運転及び加温運転によって製氷部21を冷却または加温可能とするものであり、製氷室12内にて製氷部21の上側に配設された蒸発器44を除いて機械室13内に配設されている。冷凍装置40は、冷媒を圧縮する圧縮機41と、圧縮機41から圧送された冷媒を冷却して液化させる凝縮器42と、凝縮器42にて液化させた液化冷媒を膨張させて低圧の液化冷媒とする膨張弁43と、膨張弁43により膨張させた液化冷媒を気化させて製氷部21を冷却する蒸発器44とを備えている。冷凍装置40は圧縮機41、凝縮器42、膨張弁43及び蒸発器44を冷媒管によって環状に接続して冷凍回路が構成されている。冷凍装置40の冷却運転を実行すると、圧縮機41から圧送された冷媒が凝縮器42にて冷却されて液化冷媒となり、液化冷媒は膨張弁43にて低圧の液化冷媒となり、低圧の液化冷媒は蒸発器44にて蒸発するときの気化熱によって製氷部21を冷却する。
【0015】
また、冷凍装置40は蒸発器44にホットガスを供給するホットガス管(ホットガス経路)45を備えている。ホットガス管45は、圧縮機41の下流と蒸発器44の上流とを接続して、圧縮機41からのホットガスを蒸発器44に導くようにしている。ホットガス管45にはホットガス弁46が介装されており、ホットガス弁46はホットガス管45を開閉可能としている。冷凍装置40を加温運転すると、圧縮機41から送出されるホットガスはホットガス弁46の開放によって蒸発器44に導かれ、ホットガスは蒸発器44を通過するときに製氷部21を加温する。このように、製氷部21は、冷凍装置40の冷却運転によって循環する冷媒が蒸発器44で蒸発することによって冷却され、冷凍装置40の加温運転によって圧縮機41から蒸発器44に送出されるホットガスによって加温される。
【0016】
図2~
図4に示したように、製氷部21の下側には製氷水を送出する送水手段22が設けられている。送水手段22は、製氷部21の製氷小室21aの下側を開閉自在に塞ぐ水皿23と、水皿23の下側にて製氷水を貯えるタンク24と、タンク24内の製氷水を製氷部21に送出するポンプ25とを備えている。水皿23は、製氷小室21aの下側を塞ぐ閉塞位置(
図2及び
図3に示した)と製氷小室21aの下側を開放する開放位置(
図4に示した)との間で水平軸線回りに回動可能(傾動可能)に軸支されている。水皿23には開閉機構26が設けられており、水皿23は開閉機構26のアクチュエータモータ26aの駆動によって閉塞位置と開放位置との間で傾動して製氷小室21aの下側を開閉している。
図3に示したように、水皿23にはタンク24から送出される製氷水を各製氷小室21aに送るための製氷水通路23aが形成されており、水皿23の上面には製氷水通路23aから各製氷小室21aに製氷水を噴射させる噴射孔23bが形成されている。
【0017】
図2~
図4に示したように、水皿23の下側にはタンク24が一体的に設けられており、タンク24は傾動する水皿23とともに傾動可能となっている。タンク24内は、製氷運転を実行するときの製氷水及び洗浄運転を実行するときの洗浄水を貯えるものである。タンク24の底部にはポンプ25が接続されており、ポンプ25の吐出口は送水管25aを介して水皿23の製氷水通路23aに接続されている。タンク24内の製氷水はポンプ25の作動によって製氷水通路23aに送出され、製氷水通路23aから噴射孔23bを通って各製氷小室21aに噴射される。
【0018】
図3及び
図4に示したように、タンク24の底部には排水口24aが形成されており、排水口24aには排水管27が接続されている。この排水管27は後述する洗浄運転を実行したときに、タンク24内の洗浄水を排出するのに用いられる。排水管27の先端部の排水口は後述するドレンパン34の上面の近い位置で開口している。排水管27には排水弁28が介装されており、タンク24内の洗浄水は排水弁28を開放することによってドレンパン34の上側に排出される。なお、
図3及び
図4は製氷部等の概略図であるため、、排水管27の排水口がドレンパン34の氷の放出口34aから離れていない位置に配置されているように示されているが、排水管27の排水口はドレンパン34の氷の放出口34aから離れた位置に配置されており、排水管27から排出される洗浄水は放出口34aを通って貯氷室14に流入しにくくなっている。
【0019】
図3及び
図4に示したように、タンク24の上部には溢出口24bが形成されており、溢出口24bには溢出管29が接続されている。溢出口24bは、水皿23が閉塞位置にある状態でタンク24の上限水位を越える製氷水を溢出管29を介して排水するものである。溢出管29の先端部の排水口は後述するドレンパン34の上側で開口している。また、溢出口24bは、水皿23が開放位置にある状態でタンク24内の製氷水を溢出管29から排出するものである。
図3及び
図4に示した角度で溢出管29が配置されているときには、水皿23が開放位置にある状態でタンク24内の製氷水は一部の製氷水が残るように溢出口24bから溢出管29を通ってドレンパン34の上側に排出される。また、溢出管29を下方に回動させることで、水皿23が開放位置にある状態でタンク24内の全ての製氷水は溢出口24bから溢出管29を通ってドレンパン34の上側に排出される。
【0020】
溢出管29は主として製氷運転を実行したときに残る製氷水を排出することを目的としており、上記の排水管27は洗浄運転を実行しときの洗浄水を排出することを目的としたものである。洗浄水には薬剤や汚れが含まれていることがあるため、洗浄水を排出する排水管27の排水口がドレンパン34の上面から離れていると、薬剤や汚れが含まれる洗浄水がドレンパン34の上側で跳ね上がるおそれがある。洗浄水を排出する排水管27の排水口は溢出管29の排水口よりもドレンパン34の上面に近い位置に配置されているので、排水管27の排水口から排出される薬剤や汚れが含まれている洗浄水はドレンパン34の上面で跳ね上がらずに周囲に飛び散りにくい。同様に、洗浄水を排出する排水管27の排水口がドレンパン34の氷の放出口34aに近いと、薬剤や汚れが含まれる洗浄水がドレンパン34の上側で跳ね上がるおそれがある。洗浄水を排出する排水管27の排水口は溢出管29の排水口よりもドレンパン34の放出口34aよりも離れた位置に配置されているので、排水管27の排水口から排出される薬剤や汚れが含まれている洗浄水はドレンパン34の放出口34aから貯氷室14に流入しにくい。
【0021】
図3に示したように、タンク24内には水位センサ30が設けられており、水位センサ30はタンク24内にて洗浄運転を実行するときに必要となる洗浄水の水位を規定した洗浄水位L1を検出するものである。水位センサ30は、洗浄水位L1より低い水位であるときにオフ信号を出力し、洗浄水位L1以上となるとオン信号を出力することで、洗浄水位L1以上の水位を検出している。この実施形態の水位センサ30は、フロートスイッチを採用したものであり、タンク24内にて上下動するフロートの位置に基づいてタンク24内の洗浄水位L1を検出している。なお、水位センサ30は、フロートスイッチに限られるものでなく、一対の電極を備えた電極式のレベルスイッチを採用したものであってもよい。
【0022】
タンク24には水道等の給水源からの水を供給する給水手段31が設けられている。給水手段31は、水道等の給水源の水を供給する給水管32と、給水管32に介装された給水弁33とを備えている。水道等の給水源の水は、水道からの給水圧が加えられた状態で給水管32に供給されており、給水弁33を開放することによって給水管32を通ってタンク24に供給される。
【0023】
タンク24の下側にはドレンパン34が設けられており、ドレンパン34は、製氷運転後にタンク24内に残る製氷水の一部を溢出管29の排水口から受け、洗浄運転後にタンク24内の洗浄水を排水管27の排水口から受けるようにしたものである。ドレンパン34には排水管35が接続されており、ドレンパン34で受けた製氷水は排水管35を通ってハウジング11の外側に排出される。また、ドレンパン34は、製氷機構部20の製氷部21と送水手段22の下側を覆っており、製氷部21により製造された氷を貯氷室14に放出する放出口34aを有した状態で製氷室12と貯氷室14とを仕切る仕切部として機能している。
【0024】
図5に示したように、タンク24には後述する洗浄運転を実行するときに薬剤を供給する薬剤供給手段36が設けられており、薬剤供給手段36はハウジング11の前面パネルに設けた供給口36aと、供給口36aからタンク24に延びる薬剤供給パイプ36bとを備えている。薬剤供給パイプ36bはハウジング11の前面側から供給口36aを通してタンク24の上部まで差込可能となっており、薬剤供給パイプ36bが供給口36aに差し込まれた状態で、薬剤供給パイプ36bはハウジング11の前面側からタンク24まで延出している。この実施形態では、薬剤は、低い円柱形をしたタブレット形状(錠剤の形状)の固形薬剤が用いられ、薬剤供給パイプ36bによりタンク24内に投入される。なお、薬剤は、タブレット形状(錠剤の形状)の固形薬剤に限られるものでなく、粉末または顆粒の薬剤や、濃度を濃くした液状の濃縮薬剤を用いたものであってもよい。また、薬剤供給手段36は、供給口36aと薬剤供給パイプ36bとを備えたものに限られるものでなく、タンク24内に薬剤を供給できるようにしたものであればよい。
【0025】
図2に示したように、製氷部21には製氷部温度センサ37が設けられており、製氷部温度センサ37は製氷部21の温度を検出することにより後述する製氷運転での製氷完了及び除氷運転での除氷完了を検知可能としている。貯氷室14には氷が満たされたことを検知する貯氷検知器38が設けられており、貯氷検知器38は貯氷室14内の上部に堆積した氷を検知して、貯氷室14内の氷が満たされたことを検知する。
【0026】
製氷機10は制御装置50を備えており、
図6に示したように、この制御装置50は、ポンプ25、開閉機構26のアクチュエータモータ26a、排水弁28、水位センサ30、給水弁33、製氷部温度センサ37、貯氷検知器38、圧縮機41、ホットガス弁46及びハウジング11の前面パネルに設けた操作パネル51に接続されている。制御装置50はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。
【0027】
制御装置50は、製氷部21にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷運転と、製氷運転により製氷部21で凍結させた氷を離脱させて除氷する除氷運転とを交互に繰り返し実行させる製氷プログラムを有している。制御装置50は、貯氷検知器38により貯氷室14内に氷が満たされたことを検知していないときには、製氷モードとして製氷運転と除氷運転とを交互に繰り返す製氷プログラムを実行して、貯氷室14内に貯える氷を製造している。また、制御装置50は、貯氷検知器38により貯氷室14内に氷が満たされたことを検知したときには、待機モードとして製氷運転と除氷運転とを繰り返す製氷プログラムを実行せずに待機している。
【0028】
また、制御装置50は、製氷運転にて製氷水が循環する循環経路を洗浄する洗浄運転を実行する洗浄プログラムを有しており、この実施形態の洗浄運転は、製氷水が循環する循環経路を薬剤を含む洗浄水により洗浄する主洗浄運転(薬剤洗浄運転)と、主洗浄運転後に濯ぎ洗浄水により濯ぎ洗浄する濯ぎ洗浄運転とを備えている。この実施形態では、濯ぎ洗浄運転は、主洗浄運転後に3回(複数回)実行するように制御されている。
【0029】
操作パネル51には洗浄プログラムを実行するための洗浄操作スイッチが設けられており、洗浄操作スイッチにより洗浄プログラムを実行する操作がなされると、制御装置50は、洗浄プログラムにより主洗浄運転と3回(複数回)の濯ぎ洗浄運転を実行するように制御している。主洗浄運転は、製氷水が循環する循環経路(この実施形態では、製氷部21の各製氷小室21a、水皿23、タンク24、ポンプ25及び送水管25a)に付着したスケール等の汚れを薬剤を含んだ洗浄水により洗浄するものである。濯ぎ洗浄運転は、製氷水が循環する循環経路を濯ぎ洗浄水により洗浄するものであり、主洗浄運転を実行したときに用いた洗浄水に含まれている薬剤や洗浄水に含まれるようになった汚れを濯ぎ洗浄水により洗い流すものである。
【0030】
図7に示したように、主洗浄運転は、給水手段31によりタンク24内に洗浄水となる水を供給する給水処理(
図7でのステップ101)と、給水処理後に蒸発器44にホットガスを送出することで製氷部21を加温した状態でポンプ25を作動させており、タンク24内の洗浄水を加温された製氷部21との間で循環させながら加温する加温処理(
図7でのステップ102)と、加温処理後にタンク24内の洗浄水を製氷部21との間で循環させて製氷水が循環する循環経路を洗浄する洗浄処理(
図7でのステップ103)と、洗浄処理後にタンク24内の水を排水する排水処理(
図7でのステップ104)とを実行するものである。
図8に示したように、濯ぎ洗浄運転は、主洗浄運転で示した加温処理を実行せずに、給水処理(
図8でのステップ201)と洗浄処理(
図8でのステップ202)と排水処理(
図8でのステップ203)とを実行するものである
【0031】
次に、製氷プログラムについて説明する。制御装置50は、製氷モード中に製氷プログラムを実行して製氷運転と除氷運転とを交互に繰り返し実行する。制御装置50は、製氷運転を実行したときには、冷凍装置40を冷却運転させており、圧縮機41から圧送された冷媒が凝縮器42により液化されて液化冷媒となり、液化冷媒は膨張弁43により膨張して低圧の液化冷媒となり、低圧の液化冷媒は蒸発器44で気化してから圧縮機41に戻り、製氷部21は蒸発器44で液化冷媒が気化することによって冷却される。また、制御装置50は、開閉機構26のアクチュエータモータ26aにより水皿23を閉塞位置に傾動させた状態で、給水処理として製氷部21の製氷小室21aに氷を形成させるのに必要な水量となるように設定された給水時間で給水弁33を開放しており、タンク24には製氷部21にて氷を形成するのに必要な水量の製氷水が貯えられる。
【0032】
制御装置50は、給水処理後に冷凍装置40を冷却運転させた状態でポンプ25を作動させており、タンク24内の製氷水はポンプ25の作動によって製氷部21の各製氷小室21aに噴射送出され、噴射送出された製氷水は各製氷小室21a内で冷却されてタンク24内に再び戻り、製氷水はタンク24と各製氷小室21aとの間を循環する過程で冷却されて各製氷小室21a内で徐々に凍結する。タンク24内の製氷水が減少し、製氷水が各製氷小室21a内で凍結してブロック形の氷が形成されるようになり、製氷部温度センサ37による検出温度が製氷完了温度以下となると、制御装置50は製氷運転を終了させて除氷運転を開始する。
【0033】
製氷運転後の除氷運転では、制御装置50は、冷凍装置40を加温運転させるとともに、開閉機構26のアクチュエータモータ26aにより水皿23を開放位置に傾動させる。冷凍装置40を加温運転させることで、圧縮機41から送出されたホットガスがホットガス管45を通って蒸発器44に導入され、製氷部21の蒸発器44に導入されるホットガスにより加温される。また、水皿23は、開閉機構26のアクチュエータモータ26aによって開放位置に傾動され、加温された製氷部21の製氷小室21aから離脱する氷は水皿23を滑り落ちて放出口34aから貯氷室14内に落下する。
【0034】
また、タンク24は傾動する水皿23とともに傾動しており、傾動するタンク24内に残る製氷水の一部は溢出口24bから溢出管29を通ってドレンパン34の上側に排出され、傾動するタンク24内には製氷水の一部が残る。なお、ドレンパン34の上側に排出された製氷水は排水管35を通ってハウジング11の外側に排出されている。タンク24内に製氷運転時に冷却された製氷水の一部が残ることで、冷却されて残る製氷水の一部は除氷運転後に実行される製氷運転時に給水手段31によりタンク24内に供給される製氷水と混ざり、タンク24内の製氷水は給水源から供給される水の温度よりも低くなる。これにより、除氷運転後に実行される製氷運転では、タンク24内の製氷水の温度を低くする時間が短くなるので、製氷運転に要する時間を短くすることができる。
【0035】
製氷部21の温度は氷が離脱することにより徐々に上昇し、製氷部温度センサ37の検出温度が除氷が完了したことを検知する除氷完了温度以上となると、制御装置50は、製氷部21の製氷小室21aに氷が残ってない、即ち除氷が完了したと検知して、ホットガス弁46を閉止させ、開閉機構26のアクチュエータモータ26aにより水皿23を閉塞位置に傾動させて除氷運転を終了する。制御装置50は、貯氷検知器38により貯氷室14内に氷が満たされたことを検知していなければ、製氷モードにて上述した製氷運転及び除氷運転を交互に繰り返す製氷プログラムを再び実行し、貯氷検知器38により貯氷室14内に氷が満たされたことを検知すれば、待機モードにて上述した製氷運転及び除氷運転を交互に繰り返す製氷プログラムを実行せずに待機する。
【0036】
製氷モードまたは待機モード中に、操作パネル51により洗浄プログラムを実行するための操作がされると、制御装置50は、洗浄プログラムを実行する。この実施形態の洗浄プログラムは、主洗浄運転と3回の濯ぎ洗浄運転とを実行するものである。
図9に示したように、洗浄プログラムを実行するときには、製氷部21の製氷小室21aに氷が残ってないように事前に除氷運転とタンク24内の排水を実行する。制御装置50は、圧縮機41を作動させた状態でホットガス弁46を開放して冷凍装置40を加温運転させ、開閉機構26のアクチュエータモータ26aにより水皿23を開放位置に傾動させ、排水弁28を開放させる。製氷部21は圧縮機41から送出されるホットガスが蒸発器44に送出されることで加温され、製氷部21の製氷小室21aに氷が残らないようになる。また、タンク24を開放位置に傾動させているとともに、排水弁28を開放させているので、タンク24内に残る製氷水はドレンパン34の上側に排出されるようになる。また、冷凍装置40を加温運転させているときに、給水弁33が一時的に開放されるように制御されており、製氷部21の製氷小室21aから融け落ちた氷は給水管32から供給される水によって流されるようになる。
【0037】
除氷運転にて製氷部温度センサ37による検出温度が除氷完了温度以上となると、圧縮機41の作動を停止させるとともにホットガス弁46を閉止させて冷凍装置40の加温運転を停止させ、開閉機構26のアクチュエータモータ26aにより水皿23を閉止位置に傾動させる。タンク24内に残る製氷水は底部の排水口24aから排水管27を通ってドレンパン34の上側に排出される。タンク24内に水が残らないように設定した所定時間経過後に排水弁28を閉止して、タンク24内の排水を終了する。なお、タンク24内に残る水の全てを排水管27から排出しているので、主洗浄運転を実行したときの洗浄水の水量を一定とすることができ、主洗浄運転を実行したときの洗浄水に含まれる薬剤の濃度が薄くならないようにすることができる。
【0038】
制御装置50は、製氷部21の除氷運転とタンク24内の排水が終了すると、主洗浄運転を実行する。制御装置50は、主洗浄運転の給水処理として、給水弁33をタンク24の水位が洗浄水位となるように設定した給水時間T1で開放する。制御装置50は、給水処理中に操作パネル51の表示部に薬剤を投入するタイミングであることを表示(報知)する。制御装置50は、給水時間T1経過時に水位センサ30により洗浄水位L1以上の水位を検出した(水位センサ30からオン信号が入力された)か否か判定し、水位センサ30により洗浄水位L1以上の水位を検出しているときには、タンク24内に洗浄に十分な水量の洗浄水が供給されているので、給水弁33を閉止させるように制御して給水処理を終了する。
【0039】
製氷機10を設置した設置場所の水道等の給水源によって給水圧が低いことがあり、タンク24には給水時間が経過しても洗浄水位L1まで給水されないこともある。
図10に示したように、給水時間T1経過時に水位センサ30により洗浄水位L1以上の水位を検出していないときには、給水弁33を閉止させずに追加給水時間T2で継続して開放させ、追加給水時間T2経過後に給水弁33を閉止させるように制御して給水処理を終了する。追加給水時間T2は、洗浄水位L1とタンク24から水が溢出する水位L2(
図3に示した)として溢出口24bの下端位置の間の水量以下の水を供給するのに要する時間で設定されている。追加給水時間T2で給水弁33を開放させても、タンク24内の水位は溢出口24bを越えることがなく、タンク24内の水は溢出口24bから溢れ出ない。
【0040】
排水弁28等の不具合が生じたときには、給水処理によりタンク24内に洗浄水位L1以上の洗浄水を貯えられないことがる。このため、制御装置50は、給水処理後に水位センサ30により洗浄水位L1以上の水位を検出していなければ(洗浄水位L1より低い水位を検出すると)、報知手段として操作パネル51の表示部に洗浄水が不足していることを表示(報知)する。また、給水処理によりタンク24内に洗浄水位L1以上の洗浄水が貯えられた後であっても、排水弁28等の不具合が生じたときには、タンク24内の水位が徐々に減少することになり、
図11に示したように、給水処理後の洗浄処理中に水位センサ30により洗浄水位L1を間欠的(断続的)に検出するようになる。給水処理後の洗浄処理中に水位センサ30により洗浄水位L1を検出しなくなってから、所定時間内に水位センサ30により洗浄水位L1を間欠的に2回に検出したときには(水位センサ30からオン信号が間欠的(断続的)に2回入力されたときには)、タンク24内の洗浄水が排水弁28等の不具合によって徐々に低下していることを検知し、洗浄プログラムを中止するとともに操作パネル51の表示部に洗浄水が不足していることを報知(表示)する。なお、排水弁28を開放及び閉止操作を数回繰り返すことで、排水弁28の不具合が解消することもある。この場合には、排水弁28を開放及び閉止操作を数回繰り返すようにし、再度給水処理を行った後に水位センサ30により洗浄水位L1を検出しなくなってから、所定時間内に水位センサ30により洗浄水位L1を間欠的に2回に検出したときには、タンク24内の洗浄水が排水弁28等の不具合によって徐々に低下していることを検知し、洗浄プログラムを中止するとともに操作パネル51の表示部に洗浄水が不足していることを報知(表示)するようにしてもよい。
【0041】
制御装置50は、給水処理後に、洗浄水の加温処理として、ポンプ25を作動させてタンク24内の洗浄水を製氷部21との間で循環させるとともにホットガス弁46を開放させた後で圧縮機41の作動を開始させる。加温処理は、タンク24内の洗浄水をホットガスによって加温させた製氷部21との間で循環させて、洗浄水の温度を高くすることで洗浄水に含まれる薬剤の洗浄力を高くするための処理である。製氷部21は蒸発器44を通過するホットガスにより加温された状態となり、タンク24内の洗浄水は製氷部21との間を循環しながら加温される。また、タンク24内の洗浄水は製氷部21との間を循環する過程で薬剤が溶けるようになり、洗浄水には薬剤が含まれるようになる。圧縮機41の最低作動時間以上で設定された加温時間が経過し、製氷部温度センサ37の検出温度が所定温度以上(この実施形態では10℃以上)となると、圧縮機41の作動を停止させるとともにホットガス弁46を閉止させて洗浄水の加温を停止する。なお、除氷運転から継続して製氷部21を加温させずに、給水処理の実行時に製氷部21を加温させていないので、製氷部21が過熱状態とならないようにすることができる。
【0042】
タンク24内の洗浄水の水位は給水処理後にポンプ25を作動させることで製氷部21との間で循環して洗浄水位L1の水位より低下するおそれがある。ポンプ25を作動させることでタンク24内の洗浄水を製氷部21との間で循環させたときに、水位センサ30により洗浄水位L1より低い水位を検出し、上述した報知手段により操作パネル51の表示部に洗浄水が不足していることを表示(報知)すると、ユーザが、排水弁28等に不具合が生じてタンク24内に洗浄水を貯えることができない状態と勘違いをするおそれがある。このため、給水処理後にポンプ25の作動中に水位センサ30により洗浄水位L1より低い水位を検出しても、報知手段による操作パネル51の表示部に洗浄水の不足を表示(報知)しないようにしている。
【0043】
制御装置50は、加温処理による製氷部21の加温停止後に、洗浄処理としてポンプ25を引き続き作動させている。タンク24内の薬剤を含むようになった洗浄水はポンプ25の作動によって製氷部21との間を循環し、製氷水が循環する循環経路は循環する薬剤を含む洗浄水によって洗浄される。制御装置50は、洗浄処理にて所定の洗浄時間が経過すると、排水処理としてポンプ25の作動を停止させるとともに、排水弁28を開放させるように制御する。製氷部21との間を循環する洗浄水はタンク24に戻り、タンク24内の洗浄水は排水管27からドレンパン34の上側に排出されるようになる。制御装置50は、製氷部21との間を循環する洗浄水がタンク24内に落下するのに要する時間と、タンク24内の洗浄水が排水管27を通ってドレンパン34の上側に排出されるのに要する時間が経過すると、排水弁28を閉止して排水処理を終了し、薬剤を含んだ洗浄水を用いた主洗浄運転が終了する。
【0044】
制御装置50は、薬剤を含んだ洗浄水を用いた主洗浄運転後に、主洗浄運転を実行したときの薬剤及び汚れを含んだ洗浄水を濯ぎ洗浄により洗い流す濯ぎ洗浄運転を実行する。制御装置50は、濯ぎ洗浄運転での給水処理として、給水弁33を開放して給水管32からタンク24内に給水を開始し、タンク24の水位が洗浄可能な水位となるように設定した給水時間T3となるとポンプ25を作動させる。タンク24内に供給された洗浄水はポンプ25によって製氷部21との間を循環するので、タンク24内の水位は給水時間T3経過時よりも低下するが、ポンプ25を作動させることによって低下したタンク24内の水位は給水管32から継続して給水されることによって上昇する。給水時間T3経過後の追加給水時間T4となると、給水弁33を閉止させて給水処理を終了する。
【0045】
濯ぎ洗浄運転での給水処理の給水時間T3は、主洗浄運転の給水処理の給水時間T1より短く設定されているものの、給水時間T3に追加給水時間T4を加えた濯ぎ洗浄運転の給水時間T3+T4は主洗浄運転の給水時間T1より長く設定されている。濯ぎ洗浄運転の追加給水時間を含めた給水時間T3+T4により供給された洗浄水のタンク24内の水位は、主洗浄運転の給水時間T1により供給された洗浄水のタンク24内の水位より高くなっている。特に、タンク24内の水位はポンプ25を作動させたときに洗浄水が循環することで低下するため、濯ぎ洗浄運転の給水時間T3+T4は、濯ぎ洗浄運転の洗浄処理時にポンプ25を作動させたときのタンク24内の水位が主洗浄運転の給水処理後にてポンプ25の作動開始前のタンク24内の水位よりも高くなるように設定されている。
【0046】
給水弁33を閉止させることで濯ぎ洗浄運転の給水処理させた後にポンプ25が継続して作動して濯ぎ洗浄運転の洗浄処理が実行され、タンク24内の濯ぎ用の洗浄水はポンプ25によって製氷部21との間を循環し、主洗浄運転時に薬剤を含む洗浄水によって洗浄された循環経路は循環する濯ぎ用の洗浄水によって濯ぎ洗浄される。特に、循環経路に残る洗浄水には主洗浄運転を実行したときの薬剤や汚れ等が含まれているが、濯ぎ洗浄運転の給水処理により供給される濯ぎ用の洗浄水は主洗浄運転の洗浄水の水量よりも多く、この実施形態では、濯ぎ用の洗浄水が製氷部21との間を循環した状態で、タンク24内の濯ぎ用の洗浄水はタンク24から洗浄水が溢出する位置となる溢出口24bの下端の水位または下端の水位より少し低い水位となっているので、主洗浄運転時にタンク24内の側壁内面に残る洗浄水に含まれる薬剤や汚れが残りにくい。
【0047】
制御装置50は、所定の濯ぎ洗浄時間が経過すると、排水処理としてポンプ25の作動を停止させるとともに、排水弁28を開放させるように制御する。製氷部21との間を循環する洗浄水はタンク24に戻り、タンク24内の洗浄水は排水管27からドレンパン34の上側に排出されるようになる。制御装置50は、製氷部21との間を循環する洗浄水がタンク24内に落下するのに要する時間と、タンク24内の洗浄水が排水管27を通ってドレンパン34の上側に排出されるのに要する時間が経過すると、排水弁28を閉止して排水処理を終了し、濯ぎ用の洗浄水を用いた濯ぎ洗浄運転が終了する。この実施形態では、洗浄プログラムは濯ぎ洗浄運転を3回実行するように設定されており、濯ぎ洗浄運転を3回実行して洗浄プログラムを終了する。洗浄プログラムの終了後に、貯氷検知器38により貯氷室14内に氷が満たされていることを検知していなければ、製氷モードとして製氷運転と除氷運転とを交互に繰り返す製氷プログラムを実行するように制御し、貯氷検知器38により貯氷室14内に氷が満たされていることを検知していれば、待機モードとして製氷運転と除氷運転とを交互に繰り返す製氷プログラムを実行せずに待機するように制御する。
【0048】
この製氷機10においては、洗浄プログラムを実行させているときに、エラーが生じたときには、洗浄プログラムを中止または中断するように制御している。製氷機10の各種部品の機械的な故障等が生じたときに洗浄プログラムの主洗浄運転を中止したときには、薬剤や汚れを含む洗浄水がタンク24から溢出せず、薬剤や汚れを含む洗浄水が貯氷室14に流出することを防ぐことができる。これに対し、製氷機10の一時的な不具合が生じただけで、洗浄プログラムの主洗浄運転を中断したときには、洗浄プログラムをリトライをさせることでエラーが解除されることもある。この場合に、洗浄プログラムの主洗浄運転の給水処理から再開すると、薬剤や汚れを含む洗浄水が残るタンク24内に新たに洗浄水が給水されるようになり、薬剤や汚れを含む洗浄水がタンク24から溢出し、溢出した薬剤や汚れを含む洗浄水が貯氷室14に流出するおそれがある。このため、洗浄プログラムをリトライさせたときには、上述した除氷運転及びタンク24内の排水を実行するようにしてから、洗浄プログラムの主洗浄運転の給水処理を実行する。これにより、洗浄プログラムをリトライさせても、薬剤や汚れを含む洗浄水が貯氷室14に流出するのを防ぐことができる。
【0049】
上記のように構成した製氷機10は、水を凍結させて氷を製造する製氷部21と、製氷部21を冷却する冷凍装置40と、製氷部21に送出する水を貯えるタンク24と、給水源からの水をタンク24内に供給する給水手段31と、タンク24内の水を製氷部21に送出するポンプ25とを備えている。この製氷機10においては、給水手段31によりタンク24内に供給された水を製氷水として用い、この製氷水をポンプ25により冷凍装置40によって冷却した製氷部21に送出させてから再びタンク24内に戻して循環させ、製氷部21にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷運転と、給水手段31によりタンク24内に供給された水を洗浄水として用い、この洗浄水をポンプ25により製氷部21に送出させてから再びタンク24内に戻して循環させ、タンク24と製氷部21とを洗浄水により洗浄する洗浄運転とを実行可能としている。この実施形態の洗浄運転は、製氷水が循環する循環経路を薬剤を含む洗浄水により洗浄する主洗浄運転(薬剤洗浄運転)と、主洗浄運転後に濯ぎ洗浄水により濯ぎ洗浄する濯ぎ洗浄運転とを備えている。
【0050】
この製氷機10においては、洗浄運転は、タンク24と製氷部21に付着した汚れを除去するための主洗浄運転と、主洗浄運転後に濯ぎ洗浄をする濯ぎ洗浄運転とを実行するものであり、濯ぎ洗浄運転を実行するときに給水手段31により供給される濯ぎ用の洗浄水の水量を主洗浄運転を実行するときの洗浄水の水量よりも多くしている。濯ぎ洗浄運転を実行するときに給水手段31により供給される洗浄水の水量を主洗浄運転を実行するときの洗浄水の水量よりも多くしているので、主洗浄運転後にタンク24の側壁内面に残る薬剤や汚れを含んだ洗浄水は濯ぎ用の洗浄水により洗い流されるようになり、濯ぎ洗浄運転の実行後にタンク24内に汚れが残りにくくなる。これにより、主洗浄運転と濯ぎ洗浄運転よりなる洗浄プログラムを実行後に製氷運転を実行したときに、氷に汚れや薬剤が含まれにくくすることができる。
【0051】
この実施形態においては、濯ぎ洗浄運転での給水処理の追加給水時間を含めた給水時間T3+T4は、主洗浄運転の給水処理の給水時間T1よりより長く設定されており、濯ぎ洗浄運転の追加給水時間を含めた給水時間T3+T4により供給された洗浄水のタンク24内の水位は、主洗浄運転の給水時間T1により供給された洗浄水のタンク24内の水位より高くなっている。特に、タンク24内の水位はポンプ25を作動させたときに洗浄水が循環することで低下するため、濯ぎ洗浄運転の給水時間T3+T4は、濯ぎ洗浄運転の洗浄処理時にポンプ25を作動させたときのタンク24内の水位が主洗浄運転の給水処理後にてポンプ25の作動開始前のタンク24内の水位よりも高くなるように設定されている。このように、濯ぎ洗浄運転の洗浄処理時におけるタンク24内の水位は主洗浄運転の給水処理後にてポンプ25の作動開始前のタンク24内の水位よりも高くなっているので、主洗浄運転後にタンク24の側壁内面に残る薬剤や汚れを含んだ洗浄水は濯ぎ用の洗浄水により確実に洗い流されるようになり、濯ぎ洗浄運転の実行後にタンク24の側壁内面に汚れや薬剤が残りにくくなる。なお、この実施形態では、主洗浄運転の給水処理にて追加給水時間T2で追加の給水を実行したときには、濯ぎ洗浄運転での給水処理の追加給水時間を含めた給水時間T3+T4は、主洗浄運転の給水処理の追加給水時間を含めた給水時間T1+T2と同じ程度または短くなるが、主洗浄運転にて追加の給水を行うことは稀であるため、通常の主洗浄運転後にタンク24の側壁内面に残る薬剤や汚れを含んだ洗浄水は濯ぎ洗浄運転の濯ぎ洗浄水によって洗い流されるようになっている。なお、濯ぎ洗浄運転での給水処理の追加給水時間を含めた給水時間T3+T4を主洗浄運転の給水処理の追加給水時間を含めた給水時間T1+T2より長く設定してもよい。
【0052】
この製氷機10においては、濯ぎ洗浄運転を実行するときには、ポンプ25により洗浄水を製氷部21との間で循環させた後で給水手段31によりタンク24内に洗浄水を追加で供給している。濯ぎ洗浄運転を実行してポンプ25により濯ぎ用の洗浄水を製氷部21との間で循環させたときには、タンク24内の水位は濯ぎ用の洗浄水が製氷部21との間を循環するために低下する。ポンプ25により洗浄水をタンク24と製氷部21との間で循環させた後で給水手段31によりタンク24内に洗浄水を追加で供給しているので、製氷部21との間を循環することによって減少したタンク24内の製氷水の水位が上昇し、タンク24内の側壁内面には汚れを含む洗浄水が残りにくくなる。
【0053】
なお、本発明は、所謂クローズドセルタイプの製氷機に限られるものでなく、所謂オープンセルタイプの製氷機や、水平方向に開口した製氷小室に製氷水を流下させるバーチカルタイプの製氷機等の他の製氷機にも適用されるものである。
【符号の説明】
【0054】
10…製氷機、21…製氷部、22…送水手段、24…タンク、25…ポンプ、31…給水手段、40…冷凍装置。