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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083701
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】吸着パッド
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
B25J15/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197654
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敏教
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀平
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707DS01
3C707FS01
3C707FT06
3C707FT11
3C707FU04
3C707FU06
3C707KV15
3C707KX08
3C707MT04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ワークの吸着の有無を容易に確認する。
【解決手段】吸着パッド10は、ボデイ12およびスポンジ部材20を備え、ボデイは、負圧室16および負圧室に連通する複数の連絡通路18を有し、スポンジ部材は、ワークに向かって開口する複数の空洞部22を有する。空洞部は、連絡通路を介して負圧室に連通し、流路面積を調整する流路調整弁26が連絡通路に配置される。吸着パッドは、複数の空洞部のうち1つ以上の空洞部の圧力を検出するための圧力検出ポート50を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボデイおよびスポンジ部材を備えた吸着パッドであって、
ボデイは、負圧室および前記負圧室に連通する複数の連絡通路を有し、前記スポンジ部材は、ワークに向かって開口する複数の空洞部を有し、前記空洞部は、前記連絡通路を介して前記負圧室に連通し、
流路面積を調整する流路調整弁が前記連絡通路に配置され、前記負圧室に真空圧が生成され、かつ、前記空洞部が前記ワークによって塞がれていないときは、前記連絡通路の流路面積が小さくなるように調整され、前記複数の空洞部のうち1つ以上の前記空洞部の圧力を検出するための圧力検出ポートを備える吸着パッド。
【請求項2】
請求項1記載の吸着パッドにおいて、
前記ボデイは、前記スポンジ部材の前記空洞部と連通する検出通路を有する吸着パッド。
【請求項3】
請求項2記載の吸着パッドにおいて、
前記検出通路は、前記ボデイを縦断し、前記検出通路の端部が圧力検出ポートを構成する吸着パッド。
【請求項4】
請求項3記載の吸着パッドにおいて、
前記圧力検出ポートは、前記ボデイの上面の4辺の中央付近に配置される吸着パッド。
【請求項5】
請求項1記載の吸着パッドにおいて、
複数の前記圧力検出ポートに個別に圧力センサが接続される吸着パッド。
【請求項6】
請求項1記載の吸着パッドにおいて、
複数の前記圧力検出ポートにチェック弁を介して共通の圧力センサが接続される吸着パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空圧を用いてワークを吸着する吸着パッドに関し、特に、ワークの吸着状態を確認することができる吸着パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、多孔質材料から構成されるスポンジ部材をワークに接触させ、スポンジ部材の内側に真空圧を発生させてワークを吸着する吸着パッドが知られている。また、真空圧を吸着パッドに導入する経路における圧力を検出し、ワークの吸着状態を検出する技術も知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、通気性を有する連続気泡スポンジで形成された内側スポンジパッドと、通気性を有しない独立気泡スポンジで形成された外側スポンジパッドとを備えた吸着パッドが記載されている。この吸着パッドがエジェクタに接続される経路には圧力センサが配置され、内側スポンジパッドによるワークの吸着状態と外側スポンジパッドによるワークの吸着状態が順次検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-17935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の吸引部(吸着パッド)を備え、様々な大きさのワークを吸着可能な真空吸着装置において、真空発生器から分岐して各吸引部に至る経路のそれぞれにチェック弁(流路調整弁)が配置される場合がある。チェック弁の作用により、ワークを吸着するために必要な真空圧がワークに有効に作用する。多数の吸引用孔部を有する大きなスポンジパッドを使用することによって、様々なサイズのワークを吸着する場合も、同様に、チェック弁を配置するのが望ましい。
【0006】
しかしながら、チェック弁が配置された真空吸着装置において、単純に圧力センサを配置しても、ワークの吸着状態を容易に確認することができない。ワークを吸着していない状態であっても、ワークを吸着した状態であっても、チェック弁の作用により真空圧が維持されるので、圧力センサで検出される圧力に差異がなく、二つの状態を判別することができないからである。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ボデイおよびスポンジ部材を備えた吸着パッドであって、ボデイは、負圧室および負圧室に連通する複数の連絡通路を有し、スポンジ部材は、ワークに向かって開口する複数の空洞部を有し、空洞部は、連絡通路を介して負圧室に連通する。流路面積を調整する流路調整弁が連絡通路に配置され、負圧室に真空圧が生成され、かつ、空洞部がワークによって塞がれていないときは、連絡通路の流路面積が小さくなるように調整される。吸着パッドは、複数の空洞部のうち1つ以上の空洞部の圧力を検出するための圧力検出ポートを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る吸着パッドは、スポンジ部材の空洞部を負圧室に接続する連絡通路に流路調整弁が配置された構造を有し、スポンジ部材の1つ以上の空洞部の圧力を検出するための圧力検出ポートを備えるので、ワークの吸着の有無を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る吸着パッドの断面を模式的に示す図である。
図2図2は、図1の吸着パッドの流路調整弁について具体的な構造例を示す図である。
図3図3は、サイズの小さいワークを吸着したときの図1の吸着パッドの断面を模式的に示す図である。
図4図4は、サイズの大きいワークを吸着したときの図1の吸着パッドの断面を模式的に示す図である。
図5図5は、図1の吸着パッドにおける圧力検出ポートの配置例を示す図である。
図6図6は、本発明の第2実施形態に係る吸着パッドの断面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る吸着パッド10について、図1図5を参照しながら説明する。図1に示されるように、吸着パッド10は、ボデイ12およびスポンジ部材20を含む。以下の説明において、上下の方向に関する言葉を用いたときは、図面上での方向をいうものであって、実際の配置を限定するものではない。
【0012】
ボデイ12は、下方に開口する箱型のボデイ本体12a、および、ボデイ本体12aを下方から覆う厚肉のプレート12bから構成される。ボデイ本体12aは、図示しない真空発生器に接続される吸引ポート14を備える。ボデイ12は、吸引ポート14に連通する負圧室16を内部に有する。プレート12bは、負圧室16に連通する複数の連絡通路18を有する。
【0013】
板状のスポンジ部材20は、接着等の手段により、プレート12bの下面に取り付けられる。スポンジ部材20は、ワークWに向かって開口する複数の空洞部22を有する。スポンジ部材20の空洞部22は、プレート12bの連絡通路18を介して負圧室16に連通する。スポンジ部材20は、その下面(底面)24においてワークWと接触する。
【0014】
スポンジ部材20は、半連半独気泡を有する材料から構成され、例えば、EPDM(エチレンプロピレンゴム)を発泡成形することによって製造される。スポンジ部材20は、自然状態から所定量圧縮されるまでは、連続気泡がもつ性質である柔軟性を発揮し、所定量圧縮された後は、独立気泡がもつ性質である気密性を発揮する。
【0015】
スポンジ部材20は、柔軟性を発揮することにより、ワークWの表面形状に合わせて変形することができる。飲料容器が包装された段ボール箱等、表面に凹凸を有するワークWであっても、スポンジ部材20とワークWとの間に隙間が生じない。スポンジ部材20は、ワークWに密着した上で、気密性を発揮することにより、ワークWの吸着に必要な真空圧をワークWに作用せしめる。
【0016】
スポンジ部材20に上下方向の圧縮力が加わっていないときのスポンジ部材20の厚さをT0とし、スポンジ部材20に上下方向の圧縮力が加わったときのスポンジ部材20の厚さをTとする。スポンジ部材20の圧縮量(%)は、(T0-T)/T0×100で定義される。連続気泡と独立気泡の割合にもよるが、スポンジ部材20は、例えば、圧縮量が少なくとも約70%になるまで圧縮されると、十分な気密性を発揮する。
【0017】
ボデイ12の各連絡通路18の途中に流路調整弁26が配置される。流路調整弁26は、ワークWの吸着状態に応じて、連絡通路18の流路面積を調整する。空洞部22がワークWによって塞がれているとき、連絡通路18の流路面積は十分に大きくなり、空洞部22の圧力は、負圧室16の圧力と同等になる。すなわち、空洞部22がワークWによって塞がれているとき、負圧室16で生成される真空圧と同じ真空圧が空洞部22にも生成される。空洞部22がワークWによって塞がれていないとき、連絡通路18の流路面積は十分に小さくなり、負圧室16で高い真空圧が生成される一方、空洞部22の圧力は大気圧とほぼ等しくなる。
【0018】
流路調整弁26の具体的な構造例が図2に示されている。流路調整弁26は、第1継手部材28、第2継手部材32および弁体36を含む。筒状の弁体36は、筒状の第1継手部材28の内部に配置され、第1継手部材28に対して上下方向に変位可能である。第1継手部材28は、弁体36の頭部38が当接可能なテーパ状のシート部30を備える。筒状の第2継手部材32は、第1継手部材28に連結固定される。第2継手部材32には、弁体36の下端と当接可能なストッパ34が取り付けられる。弁体36は、ストッパ34に当接することで下方への変位が規制される。
【0019】
弁体36の頭部38は、中央にオリフィス40を有し、オリフィス40は、弁体36の内側空間44と連通する。弁体36の側壁は、複数の開口部42を有し、複数の開口部42は、弁体36の内側空間44と連通する。開口部42の面積は、オリフィス40の面積よりも十分に大きい。弁体36の内側空間44は、下端において、第2継手部材32の内部空間と連通する。弁体36を下方に付勢するスプリング46が第1継手部材28と弁体36との間に配置される。
【0020】
弁体36の頭部38が第1継手部材28のシート部30から離間した状態では、シート部30より上方の第1継手部材28の内部空間は、弁体36のオリフィス40および複数の開口部42を介して弁体36の内側空間44と連通する。弁体36の頭部38が第1継手部材28のシート部30に当接した状態では、シート部30より上方の第1継手部材28の内部空間は、弁体36のオリフィス40のみを介して弁体36の内側空間44と連通する。
【0021】
空洞部22がワークWによって塞がれていない状態で、負圧室16に真空圧が生成されると、弁体36のオリフィス40を下方から上方に向かってエアが大きな流速で通過する。このため、弁体36は、オリフィス40の前後で生じる圧力差により上方に変位し、弁体36の頭部38が第1継手部材28のシート部30に当接する。弁体36の頭部38がシート部30に当接すると、連絡通路18の流路面積が小さくなり、オリフィス40を通過するエアの流速はさらに大きくなる。これにより、弁体36の頭部38が第1継手部材28のシート部30に当接した状態が確実に維持される。
【0022】
空洞部22がワークWによって塞がれると、弁体36のオリフィス40を通過するエアの流量が小さくなり、オリフィス40を通過するエアの流速が低下する。このため、オリフィス40の前後で生じる圧力差が小さくなり、弁体36は、スプリング46の付勢力により下方に変位し、弁体36の頭部38が第1継手部材28のシート部30から離れる。弁体36の頭部38がシート部30から離れると、連絡通路18の流路面積が大きくなる。
【0023】
吸着パッド10は、様々なサイズのワークWを吸着することができる。ワークWがスポンジ部材20の底面24の一部のみに接触する小さいサイズであって、スポンジ部材20の空洞部22の一部が大気に開放された状態であっても、ボデイ12の負圧室16の圧力は上昇しない。すなわち、ワークWによって塞がれない空洞部22が存在しても、流路調整弁26の作用により、負圧室16で生成される真空圧は低下しない。
【0024】
ボデイ12は、スポンジ部材20の所定の空洞部22の圧力を検出するための検出通路48を有する。検出通路48は、1つ以上の選択された空洞部22に対応して、空洞部22ごとに配置される。検出通路48は、負圧室16を縦断してボデイ12の上面から下面まで延び、検出通路48の下端は、空洞部22と連通する。各検出通路48の上端は、圧力検出ポート50を構成する。各圧力検出ポート50に個別に圧力センサ52が接続される。選択された空洞部22の圧力は、圧力センサ52によって検出される。
【0025】
複数の空洞部22のうちいずれの空洞部22に対応して検出通路48を配置するかは、吸着対象であるワークWのサイズを考慮して決められる。所定サイズのワークWがスポンジ部材20に接触したとき、ワークWによって塞がれる1つ以上の空洞部22、および、ワークWによって塞がれない1つ以上の空洞部22に対応して、検出通路48が配置される。単純な図面を用いて本発明の原理を説明するため、図1には、3つの空洞部22a~22cが示されている。これらの空洞部のうち、空洞部22aおよび空洞部22cに対応して、検出通路48および圧力センサ52が配置されている。
【0026】
次に、本実施形態に係る吸着パッド10がワークWを吸着する作用について説明する。吸着パッド10は、例えば、搬送装置(図示せず)に取り付けられて使用される。
【0027】
床面等に置かれたワークWを吸着して所定の場所まで搬送する指令がPLC等の上位コントローラ(図示せず)から出されると、搬送装置が駆動され、吸着パッド10がワークWに接触する。これと同時に、あるいは、これに先立って、負圧室16のエアが真空発生器に向かって吸引ポート14から吸引される。スポンジ部材20のすべての空洞部22が大気に開放されているが、流路調整弁26により、連絡通路18の流路面積が小さく絞られているので、負圧室16で高い真空圧が容易に生成される。
【0028】
サイズの小さいワークW1がスポンジ部材20の底面24の一部に接触すると、スポンジ部材20の空洞部22の一部がワークW1によって塞がれる。図3に基づいて説明すれば、空洞部22aおよび空洞部22bは、ワークW1によって塞がれ、空洞部22cは、ワークW1によって塞がれない。ワークW1によって塞がれた空洞部22a、22bは、流路調整弁26により流路面積が十分に大きくなった連絡通路18を介して、負圧室16に連通する。このため、負圧室16で生成される真空圧がそのまま空洞部22a、22bに及び、空洞部22a、22bと接するワークW1の上面部分に作用する。ワークW1によって塞がれない空洞部22cは、流路面積が小さく絞られた連絡通路18を介して負圧室16に連通しているので、負圧室16で生成される真空圧は低下しない。
【0029】
負圧室16で生成される真空圧によって、ワークW1に上向きの力(リフト力)が作用する。大気圧と負圧室16の圧力との差分をΔPとし、ワークW1によって塞がれる空洞部22の総断面積をSとすると、リフト力は、ΔP・Sで表わされる。一方、ワークW1に作用する下向きの力は、ワークW1の重量をWとし、スポンジ部材20の圧縮に伴う反発力をFとすると、(W+F)で表わされる。反発力Fは、スポンジ部材20の圧縮量に応じて変化する。スポンジ部材20が所定量圧縮されたところで、ΔP・S=W+Fが成立する。すなわち、ワークW1に作用する上下方向の力が釣り合い、ワークW1は、吸着パッド10に安定的に保持される。
【0030】
サイズの大きいワークW2がスポンジ部材20の底面24全体に接触すると、スポンジ部材20のすべての空洞部22がワークW2によって塞がれる。図4に基づいて説明すれば、空洞部22a~22cは、流路調整弁26により流路面積が十分に大きくなった連絡通路18を介して負圧室16に連通し、空洞部22a~22cと接するワークW2の上面部分に真空圧が作用する。サイズの小さいワークW1の場合と同様に、ワークW2に作用する上下方向の力が釣り合うことで、ワークW2が吸着パッド10に安定的に保持される。
【0031】
次に、本実施形態に係る吸着パッド10によりワークWの吸着状態を確認する方法について説明する。
【0032】
スポンジ部材20の底面24の一部のみに接触するサイズのワークW1が吸着されている場合、少なくとも1つの圧力センサ52で真空圧が検出され、残りの圧力センサ52で大気圧が検出される。図3に基づいて説明すれば、ワークW1によって塞がれた空洞部22aに対応する圧力センサ52は、真空圧を示し、ワークW1によって塞がれない空洞部22cに対応する圧力センサ52は、大気圧を示す。一方、ワークW1が吸着されていない場合は、これらの圧力センサ52で大気圧が検出される。したがって、各圧力センサ52で検出される圧力を監視すれば、ワークW1が吸着されているか否かを判別することができる。
【0033】
スポンジ部材20の底面24全体に接触するサイズのワークW2が吸着されている場合、すべての圧力センサ52で真空圧が検出される。図4に基づいて説明すれば、ワークW2によって塞がれた空洞部22aおよび空洞部22cに対応する圧力センサ52は、いずれも真空圧を示す。一方、ワークW2が吸着されていない場合は、これらの圧力センサ52で大気圧が検出される。したがって、各圧力センサ52で検出される圧力を監視すれば、ワークW2が吸着されているか否かを判別することができる。
【0034】
複数の圧力検出ポート50を効率良く配置すれば、ワークWの吸着状態を精度よく確認することができる。4つの圧力検出ポート50がボデイ12の上面の4辺の中央付近に配置された例が図5に示されている。特にサイズの小さいワークW1がスポンジ部材20の底面24に接触する位置にばらつきがあっても、これら4つの圧力検出ポート50に対応する4つの空洞部22のうち少なくとも1つは、スポンジ部材20によって塞がれる蓋然性が高い。すなわち、スポンジ部材20に対するワークWの吸着位置の精度が低くても、ワークWが吸着されているか否かを容易に確認できる。
【0035】
本実施形態に係る吸着パッド10は、ワークWの吸着状態に応じて連絡通路18の流路面積を調整する流路調整弁26を備える。このため、負圧室16で生成される真空圧を低下させることなく、空洞部22と接するワークWの上面に作用させることができる。また、スポンジ部材20の1つ以上の空洞部22の圧力を検出するための圧力検出ポート50を備えるので、ワークWの吸着の有無を容易に確認することができる。
【0036】
本実施形態では、検出通路48は、負圧室16を縦断してボデイ12の上面から下面まで延びているが、検出通路は空洞部22と連通していればよく、検出通路の配置はこれに限られない。例えば、流路調整弁26よりも下方の位置で連絡通路18から検出通路を分岐させ、負圧室16内を通過させずにボデイ12の側面に開口させてもよい。
【0037】
また、本実施形態では、流路調整弁26がすべての連絡通路18に配置されているが、流路調整弁26が一部の連絡通路18に配置されなくてもよい。例えば、ワークWのサイズに関わらずワークWによって塞がれる蓋然性が高い空洞部22に対応する連絡通路18については、流路調整弁26を配置しなくてもよい。この場合、圧力検出ポート50を有する検出通路48は、流路調整弁26が配置されない1つの空洞部22のみに対応して配置されてもよい。
【0038】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る吸着パッド60について、図6を参照しながら説明する。なお、第1実施形態に係る吸着パッド10と同一または同等の構成要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0039】
ボデイ12の検出通路48は、複数の選択された空洞部22に対応して、空洞部22ごとに配置される。各検出通路48の上端は、圧力検出ポート50を構成する。各圧力検出ポート50は、チェック弁62を介して共通流路64に接続され、共通流路64に単一の圧力センサ66が接続されている。すなわち、複数の圧力検出ポート50にチェック弁62を介して共通の圧力センサ66が接続されている。
【0040】
複数の選択された空洞部22のうち少なくとも1つの空洞部22がワークWによって塞がれると、該空洞部22に真空圧が発生し、該真空圧が圧力センサ66で検出される。一方、複数の選択された空洞部22がワークWによって塞がれない場合、圧力センサ66で検出される圧力は、大気圧のままである。したがって、圧力センサ66で検出される圧力を監視すれば、ワークWが吸着されているか否かを判別することができる。
【0041】
本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0042】
10、60…吸着パッド 12…ボデイ
16…負圧室 18…連絡通路
20…スポンジ部材 22…空洞部
26…流路調整弁 50…圧力検出ポート
52、66…圧力センサ 62…チェック弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6