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特開2024-83727印刷データ処理方法、印刷データ処理装置、印刷システム、および印刷データ処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083727
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】印刷データ処理方法、印刷データ処理装置、印刷システム、および印刷データ処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/21 20060101AFI20240617BHJP
   B41J 2/205 20060101ALI20240617BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B41J2/21
B41J2/205
B41J2/01 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197703
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】鬼西 裕也
(72)【発明者】
【氏名】北村 輝夫
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EC78
2C056EC79
2C056ED05
2C056EE18
2C056FA13
2C056FB01
2C056HA42
2C056HA44
2C056HA46
2C057AF21
2C057AJ01
2C057AN05
(57)【要約】
【課題】プロセスカラーのインクと主に下地用に使用される特定色のインク(典型的には、白色のインク)とを用いた印刷に関し、印刷品質を低下させることなく最終的な印刷データの生成に要する時間の短縮を実現する。
【解決手段】まず、RIP処理後の白版データに低解像度化が施される(S10)。次に、低解像度化後の白版データに収縮・膨張処理が施される(S20)。次に、収縮・膨張処理で得られたデータを参照しつつ、白版図形を収縮させる白版図形収縮処理が行われる(S30)。次に、白版図形収縮処理後の白版データに高解像度化が施される(S40)。次に、印刷品質の低下が抑制されるよう、高解像度化後の白版データに含まれている白版図形を加工する図形修正処理が行われる(S50)。最後に、印刷装置への印刷データの出力が行われる(S60)。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスカラーのインクの塗布対象の領域に相当する主図形を含むプロセスカラーデータとプロセスカラー以外の特定色のインクの塗布対象の領域に相当する第1の特定色図形を含む第1の特定色データとからなるラスターデータである印刷データを処理する方法であって、
前記第1の特定色データの解像度を低下させることによって、前記第1の特定色図形に対応する第2の特定色図形を含む第2の特定色データを生成する低解像度化ステップと、
前記第2の特定色図形に対して収縮処理を施すことによって、第3の特定色図形を含む第3の特定色データを生成する特定色図形収縮ステップと、
前記第3の特定色データの解像度を高めることによって、前記第3の特定色図形に対応する第4の特定色図形を含む第4の特定色データを生成する高解像度化ステップと、
前記第4の特定色データに対応する全体領域のうちの少なくとも一部の領域における前記第4の特定色図形を前記第1の特定色図形に置換することによって、第5の特定色図形を含む第5の特定色データを生成する図形修正ステップと
を含むことを特徴とする、印刷データ処理方法。
【請求項2】
前記図形修正ステップでは、前記第4の特定色図形のうち前記第1の特定色図形の輪郭の外側の部分が削除されるよう前記第4の特定色図形に対して前記第1の特定色図形を用いたマスク処理を施すことによって、前記第5の特定色図形を含む前記第5の特定色データが生成されることを特徴とする、請求項1に記載の印刷データ処理方法。
【請求項3】
前記図形修正ステップでは、前記第4の特定色図形と前記主図形とが重なっていない領域において前記第4の特定色データにおける画素値を前記第1の特定色データにおける画素値に置換することによって、前記第5の特定色図形を含む前記第5の特定色データが生成されることを特徴とする、請求項1に記載の印刷データ処理方法。
【請求項4】
前記図形修正ステップでは、前記第4の特定色図形のうち前記第1の特定色図形の輪郭の外側に相当する部分が削除されるよう前記第4の特定色図形に対して前記第1の特定色図形を用いたマスク処理を施し、かつ、前記第4の特定色図形と前記主図形とが重なっていない領域において前記第4の特定色データにおける画素値を前記第1の特定色データにおける画素値に置換することによって、前記第5の特定色図形を含む前記第5の特定色データが生成されることを特徴とする、請求項1に記載の印刷データ処理方法。
【請求項5】
前記図形修正ステップでは、前記第4の特定色データにおいて画素値が0以外である画素の画素値を前記第1の特定色データにおける画素値に置換することによって、前記第5の特定色図形を含む前記第5の特定色データが生成されることを特徴とする、請求項1に記載の印刷データ処理方法。
【請求項6】
前記低解像度化ステップの後かつ前記特定色図形収縮ステップの前に、前記第2の特定色図形を前記特定色図形収縮ステップでの収縮処理の対象とするか否かを区別する閾値である第1幅だけ収縮させた後に前記第1幅だけ膨張させることによって収縮判定用データを生成する収縮・膨張ステップを含み、
前記特定色図形収縮ステップでは、対応する図形が前記収縮判定用データに含まれていない第2の特定色図形は、収縮処理の対象外とされることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の印刷データ処理方法。
【請求項7】
MおよびNを自然数として、前記低解像度化ステップでは、前記第1の特定色データに関して(M×N)個の画素毎に画素値の平均値を求めることによって、前記第1の特定色データの解像度を横軸方向にM分の1倍かつ縦軸方向にN分の1倍にした前記第2の特定色データが生成されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の印刷データ処理方法。
【請求項8】
前記高解像度化ステップでは、最近傍補間法を用いて前記第3の特定色データの解像度を高めることによって、前記第4の特定色データが生成されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の印刷データ処理方法。
【請求項9】
前記プロセスカラーデータと前記第5の特定色データとを印刷装置に対して出力する印刷データ出力ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の印刷データ処理方法。
【請求項10】
前記特定色は、白色であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の印刷データ処理方法。
【請求項11】
前記特定色図形収縮ステップは、
前記第2の特定色データに含まれる第2の特定色図形を収縮させる領域の候補である収縮候補領域を求める収縮候補領域算出ステップと、
プロセスカラーのインクの塗布対象の領域である有色領域を前記プロセスカラーデータに基づいて求める有色領域算出ステップと、
前記有色領域と前記第2の特定色データに基づく前記特定色のインクの塗布対象の領域との少なくとも一方に含まれる画素の集合領域を塗り対象領域として求める塗り対象領域算出ステップと、
前記塗り対象領域に対して収縮処理を施すことによって、前記第2の特定色データに含まれる第2の特定色図形の収縮を許可する領域である収縮許可領域を求める収縮許可領域算出ステップと、
前記収縮候補領域,前記有色領域,および前記収縮許可領域の全てに含まれる画素の集合領域を収縮対象領域に定める収縮対象領域特定ステップと、
前記第2の特定色データのうち前記収縮対象領域に含まれる画素の画素値を当該画素における前記特定色のインクの塗布量が少なくなるように書き換えることによって前記第3の特定色データを生成する特定色データ更新ステップと
を含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の印刷データ処理方法。
【請求項12】
画像形成用のインクの塗布対象の領域に相当する主図形を含む画像データと下地塗料の塗布対象の領域に相当する第1の下地図形を含む第1の下地データとからなるラスターデータである印刷データを処理する方法であって、
前記下地データの解像度を低下させることによって、前記第1の下地図形に対応する第2の下地図形を含む第2の下地データを生成する低解像度化ステップと、
前記第2の下地図形に対して収縮処理を施すことによって、第3の下地図形を含む第3の下地データを生成する特定色図形収縮ステップと、
前記第3の下地データの解像度を高めることによって、前記第3の下地図形に対応する第4の下地図形を含む第4の下地データを生成する高解像度化ステップと、
前記第4の下地データに対応する全体領域のうちの少なくとも一部の領域における前記第4の下地図形を前記第1の下地図形に置換することによって、第5の下地図形を含む第5の下地データを生成する図形修正ステップと
を含むことを特徴とする、印刷データ処理方法。
【請求項13】
プロセスカラーのインクの塗布対象の領域に相当する主図形を含むプロセスカラーデータとプロセスカラー以外の特定色のインクの塗布対象の領域に相当する第1の特定色図形を含む第1の特定色データとからなるラスターデータである印刷データを処理する印刷データ処理装置であって、
前記第1の特定色データの解像度を低下させることによって、前記第1の特定色図形に対応する第2の特定色図形を含む第2の特定色データを生成する低解像度化手段と、
前記第2の特定色図形に対して収縮処理を施すことによって、第3の特定色図形を含む第3の特定色データを生成する特定色図形収縮手段と、
前記第3の特定色データの解像度を高めることによって、前記第3の特定色図形に対応する第4の特定色図形を含む第4の特定色データを生成する高解像度化手段と、
前記第4の特定色データに対応する全体領域のうちの少なくとも一部の領域における前記第4の特定色図形を前記第1の特定色図形に置換することによって、第5の特定色図形を含む第5の特定色データを生成する図形修正手段と
を備えることを特徴とする、印刷データ処理装置。
【請求項14】
プロセスカラーのインクの塗布対象の領域に相当する主図形を含むプロセスカラーデータとプロセスカラー以外の特定色のインクの塗布対象の領域に相当する第1の特定色図形を含む第1の特定色データとからなるラスターデータである第1の印刷データを処理することによって第2の印刷データを生成する印刷データ処理装置と、前記第2の印刷データに基づいて印刷媒体への印刷を行う印刷装置とを含む印刷システムであって、
前記印刷データ処理装置は、
前記第1の特定色データの解像度を低下させることによって、前記第1の特定色図形に対応する第2の特定色図形を含む第2の特定色データを生成する低解像度化手段と、
前記第2の特定色図形に対して収縮処理を施すことによって、第3の特定色図形を含む第3の特定色データを生成する特定色図形収縮手段と、
前記第3の特定色データの解像度を高めることによって、前記第3の特定色図形に対応する第4の特定色図形を含む第4の特定色データを生成する高解像度化手段と、
前記第4の特定色データに対応する全体領域のうちの少なくとも一部の領域における前記第4の特定色図形を前記第1の特定色図形に置換することによって、第5の特定色図形を含む第5の特定色データを生成する図形修正手段と、
前記プロセスカラーデータと前記第5の特定色データとを前記第2の印刷データとして前記印刷装置に対して出力する印刷データ出力手段と
を備え、
前記印刷装置は、
前記印刷媒体を搬送する搬送機構と、
前記プロセスカラーデータに基づいて、前記搬送機構によって搬送されている前記印刷媒体に対してプロセスカラーのインクを吐出する第1の印刷部と、
前記第1の印刷部から吐出されたインクを前記印刷媒体に定着させる第1の定着部と、
前記第5の特定色データに基づいて、前記搬送機構によって搬送されている前記印刷媒体に対して前記特定色のインクを吐出する第2の印刷部と、
前記第2の印刷部から吐出されたインクを前記印刷媒体に定着させる第2の定着部とを備えることを特徴とする、印刷システム。
【請求項15】
プロセスカラーのインクの塗布対象の領域に相当する主図形を含むプロセスカラーデータとプロセスカラー以外の特定色のインクの塗布対象の領域に相当する第1の特定色図形を含む第1の特定色データとからなるラスターデータである印刷データを処理する印刷データ処理プログラムであって、
コンピュータに、
前記第1の特定色データの解像度を低下させることによって、前記第1の特定色図形に対応する第2の特定色図形を含む第2の特定色データを生成する低解像度化ステップと、
前記第2の特定色図形に対して収縮処理を施すことによって、第3の特定色図形を含む第3の特定色データを生成する特定色図形収縮ステップと、
前記第3の特定色データの解像度を高めることによって、前記第3の特定色図形に対応する第4の特定色図形を含む第4の特定色データを生成する高解像度化ステップと、
前記第4の特定色データに対応する全体領域のうちの少なくとも一部の領域における前記第4の特定色図形を前記第1の特定色図形に置換することによって、第5の特定色図形を含む第5の特定色データを生成する図形修正ステップと
を実行させるための印刷データ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用のデータを処理する方法(印刷データ処理方法)に関し、より詳しくは、プロセスカラーのインクに加えて主に下地用に使用される特定色のインク(典型的には、白色のインク)を用いた印刷を行う印刷システムにおいてRIP処理後の特定色のデータを処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット印刷装置の普及が顕著である。インクジェット印刷装置の印刷部には、典型的には、プロセスカラーと呼ばれる4つの色(C色:シアン色,M色:マゼンタ色,Y色:黄色,およびK色:黒色)のそれぞれについて、インクを吐出する多数のノズルを有する印刷ヘッドが設けられている。これら多数のノズルから熱や圧力によりインクを印刷用紙などの印刷媒体に吐出することによって、印刷が行われる。インクジェット印刷装置による印刷は、オフセット印刷などの有版印刷とは異なり、印刷版を作製する工程や印刷装置に印刷版を取り付ける工程が不要である。従って、注文を受けてから短時間での印刷が可能である。
【0003】
上記のようなインクジェット印刷装置に関し、近年、ラベル印刷向けのものや軟包装印刷向けのものも開発されている。ラベル印刷や軟包装印刷に関しては、ビニールやセロハンなどの透明基材が印刷媒体として用いられることが多々ある。例えば、「透明基材に対して印刷を行い、印刷済みの透明基材を円筒形状の缶の側面に貼り付ける」ということが行われている(図38参照)。このような場合、印刷の際にインクが塗られなかった領域については、缶自体の色がそのまま表面に現れる。このように透明基材に対して印刷が行われる場合に、仮に白い印刷用紙への印刷時と同じように印刷が行われると、所望の色が再現されない。何故ならば、各色(C,M,Y,およびK)のデータの値(濃度)が、白い印刷用紙への印刷が行われた場合に所望の色が再現されるように調整されているからである。そこで、透明基材に対する印刷が行われる際には、従来より、「印刷すべき画像や文字とほぼ同じ形状の領域に予め白色のインクを塗り、その上にプロセスカラーのインクを重ねて塗る(もしくは、プロセスカラーのインクを塗った上に白色のインクを重ねて塗る)」という手法が採用されている。従って、ラベル印刷向けのインクジェット印刷装置や軟包装印刷向けのインクジェット印刷装置には、プロセスカラーのインクを吐出する印刷ヘッド(C色用の印刷ヘッド,M色用の印刷ヘッド,Y色用の印刷ヘッド,およびK色用の印刷ヘッド)に加えて、白色のインクを吐出する印刷ヘッドが設けられている。
【0004】
ところで、オフセット印刷においてプロセスカラー用の4つの色版(C版,M版,Y版,およびK版)に加えて白版が用いられた場合に、印刷媒体の伸縮などに起因して白版と色版との間での版ずれが生じることにより図形(ここでの「図形」とは、文字を表す形状を含む概念である)の周囲に白いスジが現れることがある。プロセスカラーのインクに加えて白色のインクを用いてインクジェット印刷装置で印刷が行われた場合にも、プロセスカラーのインクの吐出位置と白色のインクの吐出位置とのずれなどに起因して、オフセット印刷が行われた場合と同様に図形の周囲に白いスジが現れることがある。
【0005】
なお、以下においては、インクジェット印刷装置での印刷で上記のような白いスジを引き起こす「ずれ」のことも「版ずれ」という。このように、本明細書では、無版印刷を行うインクジェット印刷装置の説明に関して、説明の便宜上、「版」という語を用いる。例えば、プロセスカラーのデータのことを「色版データ」といい、白色のデータのことを「白版データ」といい、色版データに基づき所望の色のインクが塗られる領域に相当する図形のことを「色版図形」といい、白版データに基づき白色のインクが塗られる領域に相当する図形のことを「白版図形」という。
【0006】
版ずれに起因して図形の周囲に白いスジが現れることを抑制するために、従来より、色版図形よりも白版図形の方が小さくなるように白版図形を細くする処理が行われている。ところで、図形の周縁部に位置するピクセル(画素)のデータ値(画素値)を変えることによって当該図形を全体的に細くする処理は、画像処理の分野では「収縮処理」と呼ばれている。そこで、本明細書においては、白版図形を細くするための一連の処理のことを「白版図形収縮処理」という。白版図形の収縮は、次のように行われる。白版データに関し、データ値が0以外であるピクセルを着目ピクセルとし、着目ピクセルの周囲に1つでもデータ値が0であるピクセルが存在すれば、着目ピクセルのデータ値が元の値から0に書き換えられる。このようにして、白色の図形が全体的に縮められる。
【0007】
図39を参照しつつ、白版図形収縮処理について更に説明する。白版図形収縮処理を行わなかった場合に例えば図39のA部で符号91を付した部分に示すような白いスジが現れると仮定する。このとき、白版図形収縮処理によって白版図形を1ピクセル幅だけ細くすると、例えば図39のB部で符号92を付した部分に示すように白いスジは細くなる。また、この例において、白版図形収縮処理によって白版図形を細くする幅(以下、「細らせ幅」という。)をさらに大きくすることによって、白いスジのない印刷画像(例えば図39のC部に示すような印刷画像)が得られる。
【0008】
上記のように、白版図形収縮処理によって、版ずれに起因して図形の周囲に白いスジが現れることは抑制される。しかしながら、処理対象のデータが複雑な図形で構成されている場合、白版図形収縮処理に要する時間が長くなり、印刷全体の処理効率が低下する。そこで、特開2018-012262号公報には、白版図形収縮処理をベクトルデータに対して行うのではなくラスターデータに対して行うことによって白版図形収縮処理を高速に行う技術が開示されている。また、白版図形収縮処理に関する技術ではないが、オーバーコート処理などのコート処理用のデータを生成する画像処理に関して入力画像データを低解像度化することによって処理時間を短縮する技術が特開2013-071426号公報に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2018-012262号公報
【特許文献2】特開2013-071426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、一般に、軟包装印刷ではラベル印刷に比べて基材サイズや解像度が大きい。従って、白版図形収縮処理で処理対象となるピクセル数は、ラベル印刷よりも軟包装印刷の方が多くなる。また、UVインク(紫外線硬化型インク)を用いるラベル印刷と水性インクを用いる軟包装印刷とを比較すると、インクの定着(UVインクについては硬化、水性インクについては乾燥)に要する時間がラベル印刷よりも軟包装印刷の方が長いため、プロセスカラー用の印刷ヘッドと白色用の印刷ヘッドとの間隔がラベル印刷よりも軟包装印刷の方が長くなっている。これにより、プロセスカラーのインクの印字位置と白色のインクの印字位置とのずれ(見当ずれ)がラベル印刷よりも軟包装印刷の方が大きくなる。それ故、白版図形収縮処理において、軟包装印刷ではラベル印刷に比べて細らせ幅を大きくする必要がある。以上より、軟包装印刷では白版図形収縮処理に要する時間が長いため印刷処理全体の効率が低下している。ラベル印刷でも将来的に例えば解像度が大きくなったときに同様のことが懸念される。
【0011】
また、白版図形収縮処理に関し、印刷画像として必要な細線が収縮処理によって消滅することを防止するために一定幅以下の細線を収縮対象外にすることが可能となっている。例えば、収縮対象外幅を0.4mmに設定した上で白版図形収縮処理を実行すると、幅が0.4mm以下の細線は白版図形収縮処理によって消滅することはない。これを実現するために白版図形収縮処理の実行前に白版データに対して収縮および膨張を施す処理(以下、「収縮・膨張処理」という。)が行われているが、この収縮・膨張処理に要する時間が顕著に長くなっている。ある実験によれば、RIP処理の開始時点から白色図形収縮処理の終了時点までの時間が、収縮対象外幅を0mmに設定して白版図形収縮処理を実行した場合(この場合、収縮・膨張処理は行われない)には29秒であるのに対して、収縮対象外幅を0.4mmに設定して白版図形収縮処理を実行した場合には10分19秒となっている。このように収縮・膨張処理に多大な時間を要することによっても印刷処理全体の効率が低下している。
【0012】
以上のような状況を鑑みると白版図形収縮処理や収縮・膨張処理に要する時間の短縮を図る必要性があるが、それらの処理時間を短くすることによって印刷品質が低下することは好ましくない。
【0013】
そこで、本発明は、プロセスカラーのインクと主に下地用に使用される特定色のインクとを用いた印刷に関し、印刷品質を低下させることなく最終的な印刷データ(印刷装置に与える印刷データ)の生成に要する時間の短縮を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の発明は、プロセスカラーのインクの塗布対象の領域に相当する主図形を含むプロセスカラーデータとプロセスカラー以外の特定色のインクの塗布対象の領域に相当する第1の特定色図形を含む第1の特定色データとからなるラスターデータである印刷データを処理する方法であって、
前記第1の特定色データの解像度を低下させることによって、前記第1の特定色図形に対応する第2の特定色図形を含む第2の特定色データを生成する低解像度化ステップと、
前記第2の特定色図形に対して収縮処理を施すことによって、第3の特定色図形を含む第3の特定色データを生成する特定色図形収縮ステップと、
前記第3の特定色データの解像度を高めることによって、前記第3の特定色図形に対応する第4の特定色図形を含む第4の特定色データを生成する高解像度化ステップと、
前記第4の特定色データに対応する全体領域のうちの少なくとも一部の領域における前記第4の特定色図形を前記第1の特定色図形に置換することによって、第5の特定色図形を含む第5の特定色データを生成する図形修正ステップと
を含むことを特徴とする。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、
前記図形修正ステップでは、前記第4の特定色図形のうち前記第1の特定色図形の輪郭の外側の部分が削除されるよう前記第4の特定色図形に対して前記第1の特定色図形を用いたマスク処理を施すことによって、前記第5の特定色図形を含む前記第5の特定色データが生成されることを特徴とする。
【0016】
第3の発明は、第1の発明において、
前記図形修正ステップでは、前記第4の特定色図形と前記主図形とが重なっていない領域において前記第4の特定色データにおける画素値を前記第1の特定色データにおける画素値に置換することによって、前記第5の特定色図形を含む前記第5の特定色データが生成されることを特徴とする。
【0017】
第4の発明は、第1の発明において、
前記図形修正ステップでは、前記第4の特定色図形のうち前記第1の特定色図形の輪郭の外側に相当する部分が削除されるよう前記第4の特定色図形に対して前記第1の特定色図形を用いたマスク処理を施し、かつ、前記第4の特定色図形と前記主図形とが重なっていない領域において前記第4の特定色データにおける画素値を前記第1の特定色データにおける画素値に置換することによって、前記第5の特定色図形を含む前記第5の特定色データが生成されることを特徴とする。
【0018】
第5の発明は、第1の発明において、
前記図形修正ステップでは、前記第4の特定色データにおいて画素値が0以外である画素の画素値を前記第1の特定色データにおける画素値に置換することによって、前記第5の特定色図形を含む前記第5の特定色データが生成されることを特徴とする。
【0019】
第6の発明は、第1から第5までのいずれかの発明において、
前記印刷データ処理方法は、前記低解像度化ステップの後かつ前記特定色図形収縮ステップの前に、前記第2の特定色図形を前記特定色図形収縮ステップでの収縮処理の対象とするか否かを区別する閾値である第1幅だけ収縮させた後に前記第1幅だけ膨張させることによって収縮判定用データを生成する収縮・膨張ステップを含み、
前記特定色図形収縮ステップでは、対応する図形が前記収縮判定用データに含まれていない第2の特定色図形は、収縮処理の対象外とされることを特徴とする。
【0020】
第7の発明は、第1から第5までのいずれかの発明において、
MおよびNを自然数として、前記低解像度化ステップでは、前記第1の特定色データに関して(M×N)個の画素毎に画素値の平均値を求めることによって、前記第1の特定色データの解像度を横軸方向にM分の1倍かつ縦軸方向にN分の1倍にした前記第2の特定色データが生成されることを特徴とする。
【0021】
第8の発明は、第1から第5までのいずれかの発明において、
前記高解像度化ステップでは、最近傍補間法を用いて前記第3の特定色データの解像度を高めることによって、前記第4の特定色データが生成されることを特徴とする。
【0022】
第9の発明は、第1から第5までのいずれかの発明において、
前記印刷データ処理方法は、前記プロセスカラーデータと前記第5の特定色データとを印刷装置に対して出力する印刷データ出力ステップをさらに含むことを特徴とする。
【0023】
第10の発明は、第1から第5までのいずれかの発明において、
前記特定色は、白色であることを特徴とする。
【0024】
第11の発明は、第1から第5までのいずれかの発明において、
前記特定色図形収縮ステップは、
前記第2の特定色データに含まれる第2の特定色図形を収縮させる領域の候補である収縮候補領域を求める収縮候補領域算出ステップと、
プロセスカラーのインクの塗布対象の領域である有色領域を前記プロセスカラーデータに基づいて求める有色領域算出ステップと、
前記有色領域と前記第2の特定色データに基づく前記特定色のインクの塗布対象の領域との少なくとも一方に含まれる画素の集合領域を塗り対象領域として求める塗り対象領域算出ステップと、
前記塗り対象領域に対して収縮処理を施すことによって、前記第2の特定色データに含まれる第2の特定色図形の収縮を許可する領域である収縮許可領域を求める収縮許可領域算出ステップと、
前記収縮候補領域,前記有色領域,および前記収縮許可領域の全てに含まれる画素の集合領域を収縮対象領域に定める収縮対象領域特定ステップと、
前記第2の特定色データのうち前記収縮対象領域に含まれる画素の画素値を当該画素における前記特定色のインクの塗布量が少なくなるように書き換えることによって前記第3の特定色データを生成する特定色データ更新ステップと
を含むことを特徴とする。
【0025】
第12の発明は、画像形成用のインクの塗布対象の領域に相当する主図形を含む画像データと下地塗料の塗布対象の領域に相当する第1の下地図形を含む第1の下地データとからなるラスターデータである印刷データを処理する方法であって、
前記下地データの解像度を低下させることによって、前記第1の下地図形に対応する第2の下地図形を含む第2の下地データを生成する低解像度化ステップと、
前記第2の下地図形に対して収縮処理を施すことによって、第3の下地図形を含む第3の下地データを生成する特定色図形収縮ステップと、
前記第3の下地データの解像度を高めることによって、前記第3の下地図形に対応する第4の下地図形を含む第4の下地データを生成する高解像度化ステップと、
前記第4の下地データに対応する全体領域のうちの少なくとも一部の領域における前記第4の下地図形を前記第1の下地図形に置換することによって、第5の下地図形を含む第5の下地データを生成する図形修正ステップと
を含むことを特徴とする。
【0026】
第13の発明は、プロセスカラーのインクの塗布対象の領域に相当する主図形を含むプロセスカラーデータとプロセスカラー以外の特定色のインクの塗布対象の領域に相当する第1の特定色図形を含む第1の特定色データとからなるラスターデータである印刷データを処理する印刷データ処理装置であって、
前記第1の特定色データの解像度を低下させることによって、前記第1の特定色図形に対応する第2の特定色図形を含む第2の特定色データを生成する低解像度化手段と、
前記第2の特定色図形に対して収縮処理を施すことによって、第3の特定色図形を含む第3の特定色データを生成する特定色図形収縮手段と、
前記第3の特定色データの解像度を高めることによって、前記第3の特定色図形に対応する第4の特定色図形を含む第4の特定色データを生成する高解像度化手段と、
前記第4の特定色データに対応する全体領域のうちの少なくとも一部の領域における前記第4の特定色図形を前記第1の特定色図形に置換することによって、第5の特定色図形を含む第5の特定色データを生成する図形修正手段と
を備えることを特徴とする。
【0027】
第14の発明は、プロセスカラーのインクの塗布対象の領域に相当する主図形を含むプロセスカラーデータとプロセスカラー以外の特定色のインクの塗布対象の領域に相当する第1の特定色図形を含む第1の特定色データとからなるラスターデータである第1の印刷データを処理することによって第2の印刷データを生成する印刷データ処理装置と、前記第2の印刷データに基づいて印刷媒体への印刷を行う印刷装置とを含む印刷システムであって、
前記印刷データ処理装置は、
前記第1の特定色データの解像度を低下させることによって、前記第1の特定色図形に対応する第2の特定色図形を含む第2の特定色データを生成する低解像度化手段と、
前記第2の特定色図形に対して収縮処理を施すことによって、第3の特定色図形を含む第3の特定色データを生成する特定色図形収縮手段と、
前記第3の特定色データの解像度を高めることによって、前記第3の特定色図形に対応する第4の特定色図形を含む第4の特定色データを生成する高解像度化手段と、
前記第4の特定色データに対応する全体領域のうちの少なくとも一部の領域における前記第4の特定色図形を前記第1の特定色図形に置換することによって、第5の特定色図形を含む第5の特定色データを生成する図形修正手段と、
前記プロセスカラーデータと前記第5の特定色データとを前記第2の印刷データとして前記印刷装置に対して出力する印刷データ出力手段と
を備え、
前記印刷装置は、
前記印刷媒体を搬送する搬送機構と、
前記プロセスカラーデータに基づいて、前記搬送機構によって搬送されている前記印刷媒体に対してプロセスカラーのインクを吐出する第1の印刷部と、
前記第1の印刷部から吐出されたインクを前記印刷媒体に定着させる第1の定着部と、
前記第5の特定色データに基づいて、前記搬送機構によって搬送されている前記印刷媒体に対して前記特定色のインクを吐出する第2の印刷部と、
前記第2の印刷部から吐出されたインクを前記印刷媒体に定着させる第2の定着部とを備えることを特徴とする。
【0028】
第15の発明は、プロセスカラーのインクの塗布対象の領域に相当する主図形を含むプロセスカラーデータとプロセスカラー以外の特定色のインクの塗布対象の領域に相当する第1の特定色図形を含む第1の特定色データとからなるラスターデータである印刷データを処理する印刷データ処理プログラムであって、
コンピュータに、
前記第1の特定色データの解像度を低下させることによって、前記第1の特定色図形に対応する第2の特定色図形を含む第2の特定色データを生成する低解像度化ステップと、
前記第2の特定色図形に対して収縮処理を施すことによって、第3の特定色図形を含む第3の特定色データを生成する特定色図形収縮ステップと、
前記第3の特定色データの解像度を高めることによって、前記第3の特定色図形に対応する第4の特定色図形を含む第4の特定色データを生成する高解像度化ステップと、
前記第4の特定色データに対応する全体領域のうちの少なくとも一部の領域における前記第4の特定色図形を前記第1の特定色図形に置換することによって、第5の特定色図形を含む第5の特定色データを生成する図形修正ステップと
を実行させる。
【発明の効果】
【0029】
上記第1の発明によれば、版ずれに起因して図形の周囲に特定色(例えば、白色)のスジが現れることが抑制されるよう主図形(プロセスカラーの図形)よりも特定色の図形の方が小さくなるように特定色の図形を細くする収縮処理(例えば、白版図形収縮処理)が、低解像度化後の特定色のデータ(第2の特定色データ)に対して行われる。これにより、特定色の図形を細くする収縮処理において処理対象となる画素数が従来よりも少なくなる。従って、特定色の図形を細くする収縮処理の所要時間が短縮される。ここで、従来の手法に比べて解像度変換(低解像度化および高解像度化)の処理が追加されるが、解像度変換の処理に用いるアルゴリズムを適宜に選択することによって、最終的な印刷データの生成に関わる全体の処理時間を短縮することができる。また、解像度変換が行われることに起因する印刷品質の低下が抑制されるよう、高解像度化後の特定色のデータ(第4の特定色データ)に対して図形修正処理が施される。以上より、プロセスカラーのインクと特定色のインクとを用いた印刷に関し、印刷品質を低下させることなく最終的な印刷データ(印刷装置に与える印刷データ)の生成に要する時間の短縮が実現される。
【0030】
上記第2の発明によれば、図形修正ステップの処理によって、解像度変換が行われることに起因して本来よりも太くなった図形の幅が本来の幅に修正される。これにより、解像度変換に起因して不適切に図形の幅が太くなることが防止される。
【0031】
上記第3の発明によれば、図形修正ステップの処理によって、解像度変換が行われることに起因して輪郭の滑らかさが損なわれた図形が本来の図形に置換される。これにより、解像度変換が行われることに起因して特定色の図形に基づく印刷画像がぼやけた印刷画像になることが防止される。
【0032】
上記第4の発明によれば、図形修正ステップの処理によって、解像度変換が行われることに起因して本来よりも太くなった図形の幅が本来の幅に修正される。これにより、解像度変換に起因して不適切に図形の幅が太くなることが防止される。また、図形修正ステップの処理によって、解像度変換が行われることに起因して輪郭の滑らかさが損なわれた図形が本来の図形に置換される。これにより、解像度変換が行われることに起因して特定色の図形に基づく印刷画像がぼやけた印刷画像になることが防止される。
【0033】
上記第5の発明によれば、上記第4の発明と同様の効果が得られる。
【0034】
上記第6の発明によれば、一定幅以下の図形(細線など)を特定色図形収縮ステップでの収縮処理の対象外にすることが可能となる。印刷画像として必要な図形が収縮処理によって消滅することが防止される。
【0035】
上記第7の発明によれば、第1の特定色データの解像度を低下させる処理が比較的短時間で実行される。
【0036】
上記第8の発明によれば、第3の特定色データの解像度を高める処理が比較的短時間で実行される。
【0037】
上記第9の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
【0038】
上記第10の発明によれば、プロセスカラーのインクと白色のインクとを用いた印刷に関し、印刷品質を低下させることなく最終的な印刷データ(印刷装置に与える印刷データ)の生成に要する時間の短縮が実現される。
【0039】
上記第11の発明によれば、特定色の図形に対して単純な収縮処理が施されるのではなく、特定色の図形の収縮対象の候補とされる収縮候補領域に含まれる画素のうちプロセスカラーの図形が存在する領域に含まれる画素のみが収縮対象に定められる。換言すれば、特定色のインクの上にプロセスカラーのインクが塗布されない画素については、収縮対象とはならない。このため、特定色の図形(例えば、特定色の文字や特定色の細線)の一部あるいは全部が消滅することや細くなることが防止される。また、特定色のデータで形成された抜き文字に関し、文字部分が太くなることが防止される。以上より、特定色図形収縮ステップでの収縮処理が、充分な印刷品質を確保しつつ実行される。
【0040】
上記第12の発明によれば、下地塗料(プライマー)が塗布された領域が印刷画像の一部のように扱われるケースに関し、印刷品質を低下させることなく最終的な印刷データ(印刷装置に与える印刷データ)の生成に要する時間の短縮が実現される。
【0041】
上記第13の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
【0042】
上記第14の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
【0043】
上記第15の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の一実施形態に係る印刷システムの全体構成図である。
図2】上記実施形態において、インクジェット印刷装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図3】上記実施形態において、インクジェット印刷装置の機能的構成の別の例を示すブロック図である。
図4】上記実施形態における印刷データ生成装置のハードウェア構成図である。
図5】上記実施形態における印刷データ生成装置の機能的構成を示すブロック図である。
図6】上記実施形態における印刷データ処理の全体の概略手順を示すフローチャートである。
図7】上記実施形態において、収縮・膨張処理について説明するための図である。
図8】上記実施形態において、収縮・膨張処理について説明するための図である。
図9】上記実施形態において、収縮・膨張処理について説明するための図である。
図10】上記実施形態において、収縮・膨張処理について説明するための図である。
図11】白色文字の一例を示す図である。
図12】収縮処理によって白色文字の一部が消滅することについて説明するための図である。
図13】白抜き文字の一例を示す図である。
図14】収縮処理によって白抜き文字が太くなることについて説明するための図である。
図15】白版図形とK版図形とを用いたケースについて説明するための図である。
図16】白版図形とK版図形とを用いたケースについて説明するための図である。
図17】白版図形とK版図形とを用いたケースについて説明するための図である。
図18】白版図形とK版図形とを用いたケースについて説明するための図である。
図19】白版図形とK版図形とを用いたケースについて説明するための図である。
図20】上記実施形態における白版図形収縮処理の手順を示すフローチャートである。
図21】上記実施形態において、3×3の収縮フィルターを用いた収縮処理について説明するための図である。
図22】上記実施形態において、通常図形に対する処理について説明するための図である。
図23】上記実施形態において、通常図形に対する処理について説明するための図である。
図24】上記実施形態において、通常図形に対する処理について説明するための図である。
図25】上記実施形態において、白色文字に対する処理について説明するための図である。
図26】上記実施形態において、白抜き文字に対する処理について説明するための図である。
図27】上記実施形態において、通常図形と白色文字とが混在する場合の処理について説明するための図である。
図28】上記実施形態において、通常図形と白色文字とが混在する場合の処理について説明するための図である。
図29】上記実施形態において、通常図形と白色文字とが混在する場合の処理について説明するための図である。
図30】上記実施形態において、通常図形と白色文字とが混在する場合の処理について説明するための図である。
図31】上記実施形態において、オーバーラップ部を有するデータに対する処理について説明するための図である。
図32】上記実施形態において、図形修正処理について説明するための図である。
図33】上記実施形態において、図形修正処理について説明するための図である。
図34】上記実施形態において、図形修正処理について説明するための図である。
図35】上記実施形態において、図形修正処理について説明するための図である。
図36】上記実施形態において、図形修正処理について説明するための図である。
図37】上記実施形態において、図形修正処理について説明するための図である。
図38】透明基材に対する印刷について説明するための図である。
図39】白版図形収縮処理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態に係る印刷システムでは無版印刷が行われるが、上述したように、説明の便宜上、「版」という語を用いる。また、印刷に関する解像度は一般に縦方向の解像度と横方向の解像度とによって表されるが、以下の説明においては、便宜上、縦方向の解像度と横方向の解像度とが一致しているものと仮定し、1つの解像度で縦方向および横方向の双方の解像度を表す。例えば、「解像度が1200dpiである」とは、縦方向および横方向の双方の解像度が1200dpiであることを意味する。
【0046】
<1.印刷システムの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷システムの全体構成図である。この印刷システムは、インクジェット印刷装置10と印刷データ生成装置30とによって構成されている。インクジェット印刷装置10は、印刷機本体100と、印刷機本体100の動作を制御する印刷制御装置200とによって構成されている。インクジェット印刷装置10と印刷データ生成装置30とは通信回線4によって互いに接続されている。印刷データ生成装置30は、PDFファイルなどの入稿データにRIP処理を施すことによってビットマップ形式の印刷データを生成する。印刷データ生成装置30は、また、そのビットマップ形式の印刷データに対して白版図形収縮処理などのデータ処理を施す。以下、RIP処理で得られたビットマップ形式の印刷データに対して施される一連の処理を「印刷データ処理」という。また、以下、印刷データ処理の実行前後の印刷データを区別するときには、印刷データ処理の実行前の印刷データを「第1の印刷データ」といい、印刷データ処理の実行後の印刷データを「第2の印刷データ」という。第2の印刷データは、通信回線4を介して印刷データ生成装置30から印刷制御装置200へと送信される。そして、印刷制御装置200が印刷機本体100に対して印刷指示を行うことにより、第2の印刷データに基づく印刷が行われる。これに関し、本実施形態においては、印刷機本体100は、印刷版を用いることなく、透明基材である軟包装フィルムなどの印刷媒体にインクを吐出することにより印刷を行う。なお、本実施形態においては、印刷データ生成装置30によって印刷データ処理装置が実現される。
【0047】
<2.インクジェット印刷装置の構成>
図2は、本実施形態におけるインクジェット印刷装置10の機能的構成の一例を示すブロック図である。上述したように、インクジェット印刷装置10は、印刷機本体100と印刷制御装置200とによって構成されている。
【0048】
印刷機本体100は、軟包装フィルムなどの印刷媒体5を搬送する搬送機構110と、下地層を形成するためのプライマー(塗布液)を印刷媒体5に塗布するプライマー塗布部120と、下地層が形成された印刷媒体5にプロセスカラーのインクを吐出することにより印刷を行うカラー印刷部130と、カラー印刷後の印刷媒体5の印刷面を予備的に乾燥させるプレ乾燥部140と、カラー印刷後の印刷媒体5に白色のインクを吐出することにより印刷を行う白色印刷部150と、白色印刷後の印刷媒体5の印刷面を乾燥させる上方乾燥部160と、カラー印刷部130および白色印刷部150で印刷が行われた印刷媒体5の印刷面およびその裏面の両面を乾燥させるメイン乾燥部170とを含んでいる。この例では、カラー印刷部130によって第1の印刷部が実現され、プレ乾燥部140によって第1の定着部が実現され、白色印刷部150によって第2の印刷部が実現され、上方乾燥部160によって第2の定着部が実現される。なお、印刷が正しく行われたかを検査するために印刷画像(印刷後の印刷媒体5)を撮像する撮像部(例えば、CISセンサ)を備えたインクジェット印刷装置もある。
【0049】
カラー印刷部130は、C色,M色,Y色,およびK色のインクをそれぞれ吐出する4つの印刷ヘッドによって構成されている。白色印刷部150は、白色のインクを吐出する印刷ヘッドによって構成されている。各印刷ヘッドは、例えば、千鳥状に配置された複数個のヘッドモジュールによって構成されている。各ヘッドモジュールには、インクを吐出する多数のノズルが含まれている。なお、プロセスカラーのインクおよび白色のインクは水性インクである。以上の構成から把握されるように、本実施形態においては、プロセスカラーのインクに加えて白色のインクを用いて印刷が行われる。従って、印刷データは、4つの色版データ(C版データ,M版データ,Y版データ,およびK版データ)と白版データとによって構成されている。
【0050】
印刷制御装置200は、プライマー制御部210と印刷制御部220と乾燥制御部230と搬送制御部240とを備えている。プライマー制御部210は、プライマー塗布部120による印刷媒体5へのプライマーの塗布を制御する。印刷制御部220は、カラー印刷部130および白色印刷部150を構成する各印刷ヘッドに含まれている各ノズルからのインクの吐出を制御する。乾燥制御部230は、プレ乾燥部140、上方乾燥部160、およびメイン乾燥部170が印刷媒体5を乾燥させる際の温度を制御する。搬送制御部240は、搬送機構110が印刷媒体5を搬送する速度(搬送速度)を制御する。
【0051】
図2には水性インクを用いて印刷を行うインクジェット印刷装置10の一構成例を示しているが、UVインク(紫外線硬化型インク)を用いて印刷を行うインクジェット印刷装置が採用されている場合にも本発明を適用することができる。そこで、図3を参照しつつ、UVインクを用いて印刷を行うインクジェット印刷装置の機能的構成の一例について説明する。このインクジェット印刷装置も、印刷機本体100と印刷制御装置200とによって構成されている。印刷機本体100は、印刷媒体5を搬送する搬送機構110と、印刷媒体5に白色のインクを吐出することにより印刷を行う白色印刷部150と、印刷媒体5上に吐出された白色のインクを硬化させる白色硬化部161と、白色印刷後の印刷媒体5にプロセスカラーのインクを吐出することにより印刷を行うカラー印刷部130と、印刷媒体5上に吐出されたプロセスカラーのインクを硬化させるカラー硬化部141とを含んでいる。なお、白色硬化部161およびカラー硬化部141は、インクにUV光(紫外線)を照射することによってインクを硬化させる。印刷制御装置200は、印刷制御部220と硬化制御部231と搬送制御部240とを備えている。印刷制御部220は、白色印刷部150およびカラー印刷部130を構成する各印刷ヘッドに含まれている各ノズルからのインクの吐出を制御する。硬化制御部231は、白色硬化部161およびカラー硬化部141がインクを硬化させる際のUV光の強度を制御する。搬送制御部240は、搬送機構110が印刷媒体5を搬送する速度(搬送速度)を制御する。この例では、カラー印刷部130によって第1の印刷部が実現され、カラー硬化部141によって第1の定着部が実現され、白色印刷部150によって第2の印刷部が実現され、白色硬化部161によって第2の定着部が実現される。
【0052】
なお、本実施形態においては、白色のインクが特定色のインクに相当する。
【0053】
<3.印刷データ生成装置>
<3.1 ハードウェア構成>
図4は、本実施形態における印刷データ生成装置30のハードウェア構成図である。印刷データ生成装置30は、本体310、補助記憶装置321、光ディスクドライブ322、表示部323、キーボード324、およびマウス325などを備えている。本体310は、CPU311、メモリ312、第1ディスクインタフェース部313、第2ディスクインタフェース部314、表示制御部315、入力インタフェース部316、およびネットワークインタフェース部317を含んでいる。CPU311、メモリ312、第1ディスクインタフェース部313、第2ディスクインタフェース部314、表示制御部315、入力インタフェース部316、およびネットワークインタフェース部317は、システムバスを介して互いに接続されている。第1ディスクインタフェース部313には補助記憶装置321が接続されている。補助記憶装置321は磁気ディスク装置などである。第2ディスクインタフェース部314には光ディスクドライブ322が接続されている。光ディスクドライブ322には、CD-ROMやDVD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体としての光ディスク7が挿入される。表示制御部315には、表示部(表示装置)323が接続されている。表示部323は液晶ディスプレイなどである。表示部323は、オペレータが所望する情報を表示するために使用される。入力インタフェース部316には、キーボード324およびマウス325が接続されている。キーボード324およびマウス325は、この印刷データ生成装置30に対して作業者が指示を入力するために使用される。ネットワークインタフェース部317は、有線通信または無線通信のインタフェース回路であって、通信回線4に接続されている。
【0054】
補助記憶装置321には、印刷データ処理を実行するための印刷データ処理プログラム6が格納されている。CPU311は、補助記憶装置321に格納された印刷データ処理プログラム6をメモリ312に読み出して実行することにより、印刷データ処理に関わる各種機能を実現する。メモリ312は、RAMおよびROMを含んでいる。メモリ312は、補助記憶装置321に格納された印刷データ処理プログラム6をCPU311が実行するためのワークエリアとして機能する。なお、印刷データ処理プログラム6は、例えば上記コンピュータ読み取り可能な記録媒体(非一過性の記録媒体)に格納されて提供される。
【0055】
<3.2 機能構成>
図5は、印刷データ生成装置30の機能的構成を示すブロック図である。図5に示すように、印刷データ生成装置30は、RIP処理部31と低解像度化部32と収縮・膨張処理部33と白版図形収縮処理部34と高解像度化部35と図形修正部36と印刷データ出力部37とを有している。なお、低解像度化部32、収縮・膨張処理部33、白版図形収縮処理部34、高解像度化部35、および図形修正部36は、印刷データ生成装置30で印刷データ処理プログラム6が実行されることによって実現される。
【0056】
RIP処理部31は、PDFファイルなどの入稿データDINに対してRIP処理を施すことによって、ラスターデータである印刷データ(第1の印刷データ)を生成する。第1の印刷データは、色版データ(C版データ,M版データ,Y版データ,およびK版データ)PDと白版データとによって構成されている。なお、以下、RIP処理によって生成される白版データを「第1の白版データ」といい、第1の白版データには符号W1を付す。また、以下、第1の白版データW1によって表される図形であって白色のインクの塗布対象の領域に相当する図形のことを「第1の白版図形」という。
【0057】
低解像度化部32は、第1の白版データW1の解像度を低下させることによって、第1の白版図形に対応する第2の白版図形を含む第2の白版データW2を生成する。この低解像度化部32によって、例えば、解像度が1200dpiである第1の白版データW1に低解像度化が施されることによって、解像度が200dpiである第2の白版データW2が生成される。
【0058】
収縮・膨張処理部33は、第2の白版データW2に含まれている各第2の白版図形が白版図形収縮処理での収縮対象外の図形であるか否かを判定するために、第2の白版データW2に収縮・膨張処理を施す。その収縮・膨張処理によって、収縮判定用データWDが生成される。
【0059】
白版図形収縮処理部34は、収縮判定用データWDおよび色版データPDを参照しつつ、第2の白版データW2に含まれている白版図形である第2の白版図形に対して上述した白版図形収縮処理を施す。これにより、収縮が施された後の白版図形である第3の白版図形を含む第3の白版データW3が生成される。ところで、白版図形収縮処理によって白版図形を細くする幅(細らせ幅)については、予め設定することが可能となっている。本実施形態に関しては、説明の便宜上、低解像度化後の白版データ(すなわち、第2の白版データW2)内の収縮対象の白版図形が1ピクセル分だけ細くなるように細らせ幅の設定が行われているものと仮定する。なお、この白版図形収縮処理部34によって特定色図形収縮手段が実現されている。
【0060】
高解像度化部35は、白版図形収縮処理によって生成された第3の白版データW3の解像度を高めることによって、第3の白版図形に対応する第4の白版図形を含む第4の白版データW4を生成する。この高解像度化部35によって、例えば、解像度が200dpiである第3の白版データW3に高解像度化が施されることによって、解像度が1200dpiである第4の白版データW4が生成される。
【0061】
図形修正部36は、低解像度化後の白版データ(第2の白版データW2)を用いて白版図形収縮処理を行ったことに起因する印刷品質の低下を抑制するために、高解像度化後の白版データ(第4の白版データW4)に含まれている白版図形(第4の白版図形)を加工する図形修正処理を行う。この図形修正処理によって、第4の白版データW4に対応する全体領域のうちの少なくとも一部の領域における第4の白版図形が第1の白版図形(第1の白版データW1に含まれている白版図形)に置換される。これにより、第5の白版図形を含む第5の白版データW5が生成される。
【0062】
印刷データ出力部37は、RIP処理部31によって生成された色版データPDと図形修正部36によって生成された第5の白版データW5とを第2の印刷データとしてインクジェット印刷装置10に対して出力する。
【0063】
<4.印刷データ処理の全体の概略手順>
図6は、本実施形態における印刷データ処理の全体の概略手順を示すフローチャートである。なお、この印刷データ処理の実行前に入稿データDINに対してRIP処理が施されることによってラスターデータである印刷データ(第1の印刷データ)が生成されているものと仮定する。その印刷データは、上述したように、色版データPDと第1の白版データW1とによって構成されている。
【0064】
印刷データ処理の開始後、まず、低解像度化部32によって、第1の白版データW1に対して低解像度化が施される(ステップS10)。上述したように、例えば、解像度が1200dpiである第1の白版データW1に低解像度化が施されることによって、解像度が200dpiである第2の白版データW2が生成される。低解像度化のアルゴリズムについては特に限定されないが、本実施形態においては、平均化処理を用いたアルゴリズムが採用される。具体的には、MおよびNを自然数とし、第1の白版データW1に関して(M×N)個のピクセル毎にデータ値(画素値)の平均値を求めることによって、第1の白版データW1の解像度を横軸方向にM分の1倍かつ縦軸方向にN分の1倍にした第2の白版データW2が生成される。上記の例では、第1の白版データW1の解像度が横軸方向に6分の1倍かつ縦軸方向に6分の1倍にされることによって第2の白版データW2が生成される。
【0065】
次に、収縮・膨張処理部33によって、第2の白版データW2に対して収縮・膨張処理が施される(ステップS20)。この収縮・膨張処理について、図7図10を参照しつつ説明する。なお、図7図10は印刷対象の画像全体のうちの一部を示しており、図7図10において点線で囲まれた1つの区画が1つのピクセル(画素)を表している。第2の白版データW2に図7に示すような4ピクセル幅の白版図形が存在すると、5×5の収縮フィルターを用いた公知の手法による収縮処理を行うことによって、当該白版図形は図8に示すように消滅する。このとき、収縮処理後のデータに膨張処理を施しても、4ピクセル幅の白版図形は現れない。これに対して、第2の白版データW2に図9に示すような5ピクセル幅の白版図形が存在すると、5×5の収縮フィルターを用いた公知の手法による収縮処理を行うことによって、5ピクセル幅の白版図形は図10に示すような1ピクセル幅の白版図形へと変化する。このとき、収縮処理後のデータに膨張処理を施すと、図9に示した5ピクセル幅の白版図形が現れる。以上のことから把握されるように、収縮・膨張処理によって、白版図形収縮処理での収縮対象外となる図形を消滅させることができる。従って、このステップS20で生成される収縮判定用データWDに含まれていない図形については白版図形収縮処理での収縮対象外とすることによって、一定幅以下の細線が収縮処理によって消滅することを防止することができる。上記の例では、200dpiでの4ピクセルが第1幅(第2の白版図形を後述するステップS30での収縮処理の対象とするか否かを区別する閾値)に相当する。
【0066】
次に、白版図形収縮処理部34によって、第2の白版データW2に含まれている第2の白版図形に対して白版図形収縮処理が施される(ステップS30)。これにより、第3の白版図形を含む第3の白版データW3が生成される。ところで、白版図形収縮処理の実行の際には、ステップS20で生成された収縮判定用データWDが参照される。そして、対応する図形が収縮判定用データWDに含まれていない第2の特定色図形は、収縮処理の対象外とされる。その結果、一定幅以下の細線が収縮処理によって消滅することが防止される。なお、このステップS30で行われる白版図形収縮処理についての詳しい説明は後述する。
【0067】
次に、高解像度化部35によって、第3の白版データW3に対して高解像度化が施される(ステップS40)。上述したように、例えば、解像度が200dpiである第3の白版データW3に高解像度化が施されることによって、解像度が1200dpiである第4の白版データW4が生成される。ところで、高解像度化の際には補間処理が必要となる。これに関し、補間アルゴリズムとしては、例えば最近傍補間法や線形補間法が知られている。このステップS40の処理で採用する補間アルゴリズムについては特に限定されないが、処理時間を短くするという観点では線形補間法よりも最近傍補間法を採用する方が好ましい。何故ならば、線形補間法よりも最近傍補間法の方が計算量が少ないからである。
【0068】
次に、図形修正部36によって、低解像度化後の白版データ(第2の白版データW2)を用いて白版図形収縮処理を行ったことに起因する印刷品質の低下が抑制されるよう、高解像度化後の白版データ(第4の白版データW4)に含まれている白版図形(第4の白版図形)を加工する図形修正処理が行われる(ステップS50)。これにより、第5の白版図形を含む第5の白版データW5が生成される。なお、このステップS50で行われる図形修正処理についての詳しい説明は後述する。
【0069】
最後に、印刷データ出力部37によって、色版データPDとステップS50で生成された第5の白版データW5とが出力される(ステップS60)。これら色版データPDおよび第5の白版データW5は、印刷データ(第2の印刷データ)としてインクジェット印刷装置10内の印刷制御装置200に与えられる。
【0070】
本実施形態においては、ステップS10によって低解像度化ステップが実現され、ステップS20によって収縮・膨張ステップが実現され、ステップS30によって特定色図形収縮ステップが実現され、ステップS40によって高解像度化ステップが実現され、ステップS50によって図形修正ステップが実現され、ステップS60によって印刷データ出力ステップが実現されている。
【0071】
なお、本実施形態においては図6に示す一連の処理は印刷データ生成装置30で行われるが、これら一連の処理が印刷制御装置200で行われるようにしても良い。但し、この場合、ステップS60の処理は不要となる。
【0072】
<5.白版図形収縮処理>
以下、本実施形態における白版図形収縮処理(白版図形を細くするための一連の処理)について説明する。
【0073】
<5.1 概要>
本実施形態においては、白版図形収縮処理は、RIP処理後のデータ(第1の白版データW1)に対して、すなわちラスターデータに対して行われる。これに関し、仮にRIP処理後の白版図形に対して単純に収縮処理を施した場合(白版図形と色版図形との関係を考慮することなく白版図形の輪郭部分を例えば1ピクセル分だけ収縮させた場合)、当該白版図形に相当する文字・細線の一部あるいは全てが消滅することや細くなることがある。例えば、図11に示すような白色文字が存在している場合に(白色の部分が白色のインクが塗布されるべき領域を表している)、当該白色文字の形状は収縮処理によって図12に示すような形状となる。また、白版を用いていわゆる「抜き文字」が構成される場合があるが、このような場合に白版図形に対して単純に収縮処理を施すと、文字の部分が太くなってしまう。例えば、図13に示すような白抜き文字が存在している場合に(白色の部分が白色のインクが塗布されるべき領域を表している)、当該白抜き文字の形状は収縮処理によって図14に示すような形状となる。
【0074】
また、白版図形とK版図形(K版データに基づき黒色のインクが塗られる領域に相当する図形)とを用いた次のようなケースでも、単純に収縮処理を施した場合には印刷品質の低下が懸念される。図15は、白版データを模式的に示した図であり、図16は、K版データを模式的に示した図である。白版データに関し、図15における白い部分が白色のインクで塗られるべき領域である。また、K版データに関し、図16において符号66で示す網掛け領域以外の領域が黒色のインクで塗られるべき領域である。なお、図16において符号67で示す太枠内の領域が、図15における白い部分(白色のインクで塗られるべき領域)に相当する。ここで、白版データとK版データとを重ねると、図17において符号69で示す網掛け領域で、白版図形とK版図形とが重なる。このように白版図形とK版図形とが重なる領域が設けられているのは、白版とK版との間で版ずれが生じても基材の色(基材が透明な場合、基材を貼り付ける物体の色)が現れないようにするためである。このようなケースにおいて白版図形に対して単純に収縮処理が施されると、図18に示すように、白版図形とK版図形とが重なる領域が無くなる。その結果、白版とK版との間で版ずれが生じた場合に、例えば図19において符号70で示す網掛け部分のように基材の色が表面に現れる部分が生じる。
【0075】
上述したように、RIP処理後の白版図形に対して単純に収縮処理が施されると、充分な品質の印刷結果が得られない。そこで、本実施形態においては、白色のインクの上に白色以外の色のインクが塗られるか否かを考慮しつつ、白版図形を細くする処理が行われる。以下、本実施形態における白版図形収縮処理の手順について説明する。なお、以下の説明では、各版のデータに関し、該当色のインクで塗る対象となっていないピクセルのデータ値(画素値)は0であり、該当色のインクで塗る対象となっているピクセルのデータ値は階調に応じた値(0以外の値)であると仮定する。例えば白版データに関し、データ値が0以外であるピクセルにはデータ値に応じた量の白色のインクが塗布され、データ値が0であるピクセルには白色のインクは塗布されない。また、例えばC版データに関し、データ値が0以外であるピクセルにはデータ値に応じた量のシアン色のインクが塗布され、データ値が0であるピクセルにはシアン色のインクは塗布されない。
【0076】
<5.2 処理手順>
図20は、本実施形態における白版図形収縮処理の手順を示すフローチャートである。なお、本実施形態においては、この白版図形収縮処理が開始される前に、入稿データDINにRIP処理が施されることによって色版データPDと第1の白版データW1とが生成され、さらに第1の白版データW1に低解像度化が施されることによって第2の白版データW2が生成されている。
【0077】
白版図形収縮処理の開始後、まず、第2の白版データW2に基づいて、白版図形(第2の白版図形)を形成する領域のうち収縮対象領域(白色のインクで塗らないことにするピクセル)に定める候補の領域(以下、「収縮候補領域」という。)が求められる(ステップS310)。このステップS310において、収縮候補領域は、各ピクセルに3×3の収縮フィルターを適用する収縮処理によって求められる。例えば、第2の白版データW2に関し、図21において符号51で示すピクセル(以下「着目ピクセル」という。)のデータ値(画素値)が0以外であると仮定する。このとき、着目ピクセル51を中心とする9ピクセル(符号52で示す太枠内のピクセル)のデータ値の最小値が0であれば(すなわち、当該9ピクセルのうち1つでもデータ値が0であるピクセルが存在すれば)、収縮処理後の着目ピクセル51のデータ値は0となる。このような処理を第2の白版データW1全体に対して行うことにより、データ値が0以外の値から0に書き換えられたピクセルの集合が収縮候補領域となる。換言すれば、収縮処理による収縮前の領域(第2の白版データW2に基づく第2の白版図形を形成する領域)のうち収縮処理による収縮後の領域以外の領域が収縮候補領域となる。
【0078】
次に、色版データPDに基づいて、色版図形の論理和を表す領域(以下、便宜上「有色領域」という。)が求められる(ステップS320)。このステップS320では、データ値「0」は論理値「0」に割り当てられ、「0」以外のデータ値は論理値「1」に割り当てられる。そして、少なくとも1つの色版のデータの論理値が1であるピクセルは有色領域に含められ、全ての色版のデータの論理値が0であるピクセルは有色領域には含められない。以上のようにして、白色以外の色のインク(プロセスカラーのインク)の塗布対象の領域である有色領域が定められる。
【0079】
次に、第2の白版データW2と有色領域との論理和を表す領域(以下、「塗り対象領域」という。)が求められる(ステップS330)。このステップS330では、第2の白版データW2に基づく白色のインクの塗布対象の領域と有色領域との少なくとも一方に含まれるピクセルの集合領域が塗り対象領域に定められる。換言すれば、少なくともいずれか1つの色のインクの塗布対象となっているピクセルの集合領域が塗り対象領域に定められる。
【0080】
次に、ステップS330で求められた塗り対象領域のうち白版図形(第2の白版図形)の収縮を許容する領域(以下、「収縮許可領域」という。)が求められる(ステップS340)。このステップS340では、収縮許可領域は、ステップS310と同様にして、塗り対象領域内の各ピクセルに3×3の収縮フィルターを適用する収縮処理によって求められる。すなわち、収縮処理による収縮前の領域(ステップS330で求められた塗り対象領域)のうち収縮処理による収縮後の領域以外の領域が収縮許可領域に定められる。
【0081】
次に、白版図形(第2の白版図形)についての最終的な収縮対象領域が求められる(ステップS350)。具体的には、ステップS310で求められた収縮候補領域とステップS320で求められた有色領域とステップS340で求められた収縮許可領域との論理積を表す領域(すなわち、収縮候補領域,有色領域,および収縮許可領域の全てに含まれるピクセルの集合領域)が最終的な収縮対象領域に定められる。
【0082】
最後に、第2の白版データW2のうち最終的な収縮対象領域に含まれるピクセルのデータ値が0に書き換えられることによって、第3の白版データW3が生成される(ステップS360)。これにより、白版図形収縮処理は終了する。
【0083】
なお、本実施形態においては、ステップS310によって収縮候補領域算出ステップが実現され、ステップS320によって有色領域算出ステップが実現され、ステップS330によって塗り対象領域算出ステップが実現され、ステップS340によって収縮許可領域算出ステップが実現され、ステップS350によって収縮対象領域特定ステップが実現され、ステップS360によって特定色データ更新ステップが実現されている。
【0084】
以下、様々な白版図形(第2の白版データW2に含まれる第2の白版図形)に対してどのような処理が行われるのかについて具体例を挙げて説明する。
【0085】
<5.2.1 通常図形に対する処理>
まず、通常図形に対してどのような処理が行われるのかについて説明する。ここでの「通常図形」とは、色版図形の形状と白版図形の形状とが完全に一致している図形のことをいう。このような図形は、典型的には、透明基材に対して印刷が行われる際に白色のインクが下地用のインクとして塗布される場合に生成される。ここでは、K版図形および白版図形の双方が図22で符号53で示す矩形図形であるケースに着目する。なお、K版データ以外の色版データについては、全てのピクセルのデータ値が0であると仮定する。
【0086】
上記ステップS310では、矩形図形53に含まれる各ピクセルに対して、上述した3×3の収縮フィルターが適用される。第2の白版データW2に関し、矩形図形53に含まれるピクセルのデータ値は0以外の値であって、矩形図形53に含まれないピクセルのデータ値は0である。従って、収縮処理によって、矩形図形53s(図22参照)で表される領域が得られる。上述したように、収縮処理による収縮前の領域(ここでは、矩形図形53で表される領域)のうち収縮処理による収縮後の領域(ここでは、矩形図形53sで表される領域)以外の領域が収縮候補領域となるので、図23において符号54で示す網掛け領域が収縮候補領域に定められる。上記ステップS320では、K版データに基づいて、矩形図形53で表される領域すなわち図24において符号55で示す網掛け領域が有色領域に定められる。
【0087】
上記ステップS330では、第2の白版データW2とステップS320で求められた有色領域とに基づいて、有色領域と同じ領域(図24の網掛け領域55)が塗り対象領域に定められる。ステップS340では、塗り対象領域に含まれる各ピクセルに対して、上述した3×3の収縮フィルターが適用される。その3×3の収縮フィルターを用いた収縮処理によって、矩形図形53s(図22参照)で表される領域が得られる。上述したように、収縮処理による収縮前の領域(ここでは、図24の網掛け領域55)のうち収縮処理による収縮後の領域(ここでは、図22の矩形図形53sで表される領域)以外の領域が収縮許可領域となるので、収縮候補領域と同じ領域(図23の網掛け領域54)が収縮許可領域に定められる。
【0088】
最終的な収縮対象領域は、収縮候補領域と有色領域と収縮許可領域との論理積を表す領域である。収縮候補領域および収縮許可領域は図23の網掛け領域54であって、有色領域は図24の網掛け領域55であるので、最終的な収縮対象領域は図23の網掛け領域54となる。
【0089】
以上より、白版図形を形成するピクセル(図22の矩形図形53に含まれるピクセル)のうち図23の網掛け領域54内のピクセルについては、印刷の際に白色のインクは塗布されない。これにより、白版とK版との間で版ずれが生じても、白版図形に対して所望の収縮処理が行われているので、K版データに基づく黒色の矩形図形の周囲に白いスジが現れることが抑制される。
【0090】
<5.2.2 白色文字に対する処理>
次に、白色文字に対してどのような処理が行われるのかについて説明する。ここでは、図11に示した白色文字に着目する。なお、全ての色版データについて、全てのピクセルのデータ値が0であると仮定する。
【0091】
上記ステップS310では、図11において白色で表されている各ピクセルについて、上述した3×3の収縮フィルターが適用される。第2の白版データW2に関し、図11において白色で表されているピクセルのデータ値は0以外の値であって、図11において網掛けが施されている領域のピクセルのデータ値は0である。従って、収縮処理によって、図12において白色で表されている領域が得られる。上述したように、収縮処理による収縮前の領域(ここでは、図11において白色で表されている領域)のうち収縮処理による収縮後の領域(ここでは、図12において白色で表されている領域)以外の領域が収縮候補領域となるので、図25において符号56で示す網掛け領域が収縮候補領域に定められる。全ての色版データについて全てのピクセルのデータ値が0であるので、上記ステップS320で有色領域に定められる領域(ピクセル)は無い。
【0092】
上記ステップS330では、第2の白版データW2に基づいて、図11に示す白色文字を構成する領域が塗り対象領域に定められる。ステップS340では、塗り対象領域に含まれる各ピクセルに対して、上述した3×3の収縮フィルターが適用される。その3×3の収縮フィルターを用いた収縮処理によって、図12において白色で表されている領域が得られる。上述したように、収縮処理による収縮前の領域(ここでは、図11において白色で表されている領域)のうち収縮処理による収縮後の領域(ここでは、図12において白色で表されている領域)以外の領域が収縮許可領域となるので、収縮候補領域と同じ領域(図25の網掛け領域56)が収縮許可領域に定められる。
【0093】
最終的な収縮対象領域は、収縮候補領域と有色領域と収縮許可領域との論理積を表す領域である。収縮候補領域および収縮許可領域は図25の網掛け領域56であって、有色領域に定められた領域は無いので、最終的な収縮対象領域は無い。
【0094】
以上より、図11に示した白色文字の収縮は行われない。従って、所望の太さで白色文字が印刷される。なお、この例のように全ての色版データについての全てのピクセルのデータ値が0である場合、有色領域に定められる領域(ピクセル)は無いため、収縮許可領域に関わらず、最終的な収縮対象領域は無い。従って、ステップS320の終了後、ステップS330~S360の処理を行うことなくこの白版図形収縮処理を終了しても良い。
【0095】
<5.2.3 白抜き文字に対する処理>
次に、白抜き文字に対してどのような処理が行われるのかについて説明する。ここでは、図13に示した白抜き文字に着目する。なお、全ての色版データについて、全てのピクセルのデータ値が0であると仮定する。
【0096】
上記ステップS310では、図13において白色で表されている各ピクセルについて、上述した3×3の収縮フィルターが適用される。第2の白版データW2に関し、図13において白色で表されているピクセルのデータ値は0以外の値であって、図13において網掛けが施されている領域のピクセルのデータ値は0である。従って、収縮処理によって、図14において白色で表されている領域が得られる。上述したように、収縮処理による収縮前の領域(ここでは、図13において白色で表されている領域)のうち収縮処理による収縮後の領域(ここでは、図14において白色で表されている領域)以外の領域が収縮候補領域となるので、図26において符号57で示す網掛け領域が収縮候補領域に定められる。全ての色版データについて全てのピクセルのデータ値が0であるので、上記ステップS320で有色領域に定められる領域(ピクセル)は無い。
【0097】
上記ステップS330では、第2の白版データW2に基づいて、図13において白色で表されている領域が塗り対象領域に定められる。ステップS340では、塗り対象領域に含まれる各ピクセルに対して、上述した3×3の収縮フィルターが適用される。その3×3の収縮フィルターを用いた収縮処理によって、図14において白色で表されている領域が得られる。上述したように、収縮処理による収縮前の領域(ここでは、図13において白色で表されている領域)のうち収縮処理による収縮後の領域(ここでは、図14において白色で表されている領域)以外の領域が収縮許可領域となるので、収縮候補領域と同じ領域(図26の網掛け領域57)が収縮許可領域に定められる。
【0098】
最終的な収縮対象領域は、収縮候補領域と有色領域と収縮許可領域との論理積を表す領域である。収縮候補領域および収縮許可領域は図26の網掛け領域57であって、有色領域に定められた領域は無いので、最終的な収縮対象領域は無い。
【0099】
以上より、図13に示した白抜き文字の収縮は行われない。従って、所望の太さで白抜き文字が印刷される。なお、この例においても、白色文字に対する処理と同様、ステップS320の終了後、ステップS330~S360の処理を行うことなくこの白版図形収縮処理を終了しても良い。
【0100】
<5.2.4 通常図形と白色文字とが混在する場合の処理>
次に、通常図形と白色文字とが混在する場合にどのような処理が行われるのかについて説明する。ここでは、図27に示すケースに着目する。第2の白版データW2については、図27において符号60,61で示す網掛け領域に含まれるピクセルのデータ値が0以外の値であって、それ以外のピクセルのデータ値が0である。K版データについては、図27において符号61で示す網掛け領域に含まれるピクセルのデータ値が0以外の値であって、それ以外のピクセルのデータ値が0である。なお、K版データ以外の色版データについては、全てのピクセルのデータ値が0であると仮定する。
【0101】
上記ステップS310では、図27の網掛け領域60,61に含まれる各ピクセルに上述した3×3の収縮フィルターが適用される。第2の白版データW2に関し、図27の網掛け領域60,61に含まれるピクセルのデータ値は0以外の値であって、それ以外のピクセルのデータ値は0であるので、図28において符号62で示す網掛け領域が収縮候補領域に定められる。上記ステップS320では、K版データに基づいて、図29において符号63で示す網掛け領域が有色領域に定められる。
【0102】
上記ステップS330では、第2の白版データW2とK版データとに基づいて、図27の網掛け領域60,61が塗り対象領域に定められる。ステップS340では、塗り対象領域に含まれる各ピクセルに対して、上述した3×3の収縮フィルターが適用される。その3×3の収縮フィルターを用いた収縮処理によって、図28において符号65を付した白色部分の領域が得られる。上述したように、収縮処理による収縮前の領域(ここでは、図27の網掛け領域60,61)のうち収縮処理による収縮後の領域(ここでは、図28の白色部分65の領域)以外の領域が収縮許可領域となるので、収縮候補領域と同じ領域(図28の網掛け領域62)が収縮許可領域に定められる。
【0103】
最終的な収縮対象領域は、収縮候補領域と有色領域と収縮許可領域との論理積を表す領域である。収縮候補領域および収縮許可領域は図28の網掛け領域62であって、有色領域は図29の網掛け領域63であるので、最終的な収縮対象領域は図30において符号64で示す網掛け領域となる。
【0104】
以上より、白版図形を形成するピクセル(図27の網掛け領域60,61に含まれるピクセル)に関し、図30の網掛け領域64内のピクセルについては印刷の際に白色のインクは塗布されず、それ以外のピクセルについては印刷の際に白色のインクが塗布される。これにより、白版とK版との間で版ずれが生じても、白版図形に対して所望の収縮処理が行われているので、K版データに基づく黒色の矩形図形の周囲に白いスジが現れることが抑制される。また、白色文字の収縮は行われないので、所望の太さで白色文字が印刷される。
【0105】
同様に、通常図形,白色文字,および白抜き文字が適宜に混在する場合にも、通常図形を構成する白版図形に対しては所望の収縮処理が行われ、白色文字および白抜き文字に対しては収縮処理は行われない。
【0106】
<5.2.5 白版図形と色版図形とが重なる領域を有するデータに対する処理>
白色のインクを下地として用いるケース以外のケースで白版図形とK版図形とが重なる領域(以下、「オーバーラップ部」という。)があえて設けられている場合の処理について説明する。ここでは、図15に示したような第2の白版データW2と図16に示したようなK版データ(符号66で示す網掛け領域以外の領域が黒色のインクで塗られるべき領域である)とに基づいて白版図形収縮処理が行われるケースに着目する。なお、K版データ以外の色版データについては、全てのピクセルのデータ値が0であると仮定する。
【0107】
上記ステップS310では、図15において白色で表されている各ピクセルに対して、上述した3×3の収縮フィルターが適用される。白版データに関し、図15において白色で表されているピクセルのデータ値は0以外の値であって、それ以外のピクセルのデータ値は0である。従って、収縮処理によって、図17において白色で表されている領域が得られる。上述したように、収縮処理による収縮前の領域(ここでは、図15において白色で表されている領域)のうち収縮処理による収縮後の領域(ここでは、図17において白色で表されている領域)以外の領域が収縮候補領域となるので、図17の網掛け領域69が収縮候補領域に定められる。上記ステップS320では、K版データに基づいて、図16の網掛け領域66以外の領域が有色領域に定められる。
【0108】
上記ステップS330では、第2の白版データW2とステップS320で求められた有色領域とに基づいて、印刷領域全体が塗り対象領域に定められる。ステップS340では、塗り対象領域に含まれる各ピクセル(すなわち、印刷領域内の全てのピクセル)に対して、上述した3×3の収縮フィルターが適用される。その3×3の収縮フィルターを用いた収縮処理によって、図31において白色で表されている領域が得られる。上述したように、収縮処理による収縮前の領域(ここでは、印刷領域全体)のうち収縮処理による収縮後の領域(ここでは、図31において白色で表されている領域)以外の領域が収縮許可領域となるので、図31において符号71で示す網掛け領域が収縮許可領域に定められる。なお、ここでは、便宜上、図31には印刷領域全体のピクセルが示されているものとする。
【0109】
最終的な収縮対象領域は、収縮候補領域と有色領域と収縮許可領域との論理積を表す領域である。収縮候補領域は図17の網掛け領域69であって、有色領域は図16の網掛け領域66以外の領域であって、収縮許可領域は図31の網掛け領域71であるので、最終的な収縮対象領域は無い。
【0110】
以上より、上述のオーバーラップ部については白版図形の収縮は行われない。従って、印刷の際に当該オーバーラップ部では白色のインクの上に黒色のインクが塗布される。従って、白版とK版との間で版ずれが生じても、その版ずれの大きさがオーバーラップ部の幅以内であれば、所望の印刷結果が得られる(基材の色は現れない)。
【0111】
<6.図形修正処理>
図6に示した手順によれば、低解像度化された白版データ(第2の白版データW2)に対して白版図形収縮処理が行われるので、従来に比べて白版図形収縮処理が高速に行われる。しかしながら、白版図形収縮処理後の高解像度化によって得られる白版データ(第4の白版データW4)に関しては、以下に記す2つの問題点(第1の問題点および第2の問題点)が挙げられる。
【0112】
第1の問題点は、白版データの低解像度化および高解像度化が行われることによって細線などの図形の幅が本来の幅(RIP処理直後の幅)よりも太くなることがあるという点である。例えば、低解像度化が施される前の白版データ(第1の白版データW1)に関し、解像度が1200dpiで2ピクセル幅の細線が存在すると仮定する。このとき、白版データ(第1の白版データW1)に対して1200dpiから200dpiへの低解像度化が施されると、上述したように平均化処理が行われるので、上記細線は消滅することなく1ピクセル幅の細線となる。その後、白版図形収縮処理後の白版データ(第3の白版データW3)に対して200dpiから1200dpiへの高解像度化が施されると、1ピクセル幅の細線は6ピクセル幅の細線となる。具体的には、図32に示すような第1の白版データW1(図32において黒色の部分が白色のインクが塗布されるべき領域を表している)に対して低解像度化が施されると、図33に示すような第2の白版データW2が生成される。その後、第2の白版データW2に対して白版図形収縮処理が施され、さらに、白版図形収縮処理で得られた第3の白版データW3に対して高解像度化が施されると、図34に示すような第4の白版データW4が生成される。図32で符号73を付した矢印で示されている図形については、図34で符号75を付した矢印で示されている図形へと、適切に細線化が施されている。これに対して、図32で符号74を付した矢印で示されている図形については、図34で符号76を付した矢印で示されている図形へと、線幅の拡大が行われてしまっている。以上のように、低解像度化、白版図形収縮処理、および高解像度化が行われることによって特に細線の線幅が太くなることがある。
【0113】
第2の問題点は、白版データの低解像度化および高解像度化が行われることによって白版図形に基づく印刷画像がぼやけた印刷画像になることがあるという点である。これに関し、ある領域にプロセスカラーのインクを塗ることなく白色のインクのみを塗ることによって白色の画像がそのまま印刷画像として現れるように印刷データ(第1の印刷データ)が生成されることがある。このような第1の印刷データを構成する白版データに対して平均化処理を用いた低解像度化および最近傍補間法を用いた高解像度化が施されると、白版図形の輪郭の滑らかさが損なわれる。例えば、図35のA部で符号80を付した白版図形については、そのまま低解像度化および高解像度化が施されると、図35のB部で符号81を付した図形のように輪郭がぼやけた図形となる。以上のように、低解像度化、白版図形収縮処理、および高解像度化が行われることによって、白版図形に基づく印刷画像がぼやけた印刷画像になることがある。
【0114】
そこで、図6のステップS50では、以上のような2つの問題点を解消するために、高解像度化後の白版データ(第4の白版データW4)に含まれている白版図形(第4の白版図形)を加工する図形修正処理が行われる。
【0115】
図形修正処理では、まず、第1の問題点を解消するための処理が行われる。詳しくは、高解像度化後の白版データ(第4の白版データW4)に含まれている白版図形のうちRIP処理直後の白版データ(第1の白版データW1)に含まれている白版図形の輪郭の外側に相当する部分が削除されるよう、高解像度化後の白版データに含まれている白版図形に対してRIP処理直後の白版データに含まれている白版図形を用いたマスク処理が施される。このマスク処理によって、解像度変換(低解像度化および高解像度化)に起因して太くなった図形の幅は、本来の幅(RIP処理直後の幅)となる。例えば、図34で符号76を付した矢印で示されている図形(解像度変換に起因して太くなった図形)は、このマスク処理によって、図36で符号78を付した矢印で示される図形となる。図36で符号78を付した矢印で示されている図形の幅は、図32で符号74を付した矢印で示されている図形(RIP処理直後の図形)の幅に等しい。以上のようにして、第1の問題点が解消される。
【0116】
なお、白版図形収縮処理によって適切に細線化が施された図形については、マスク処理によって不要な加工が施されることはない。例えば、図34で符号75を付した矢印で示されている図形は、マスク処理の終了後には、図36で符号77を付した矢印で示される図形となる。図34で符号75を付した矢印で示されている図形と図36で符号77を付した矢印で示されている図形とは同じ図形である。
【0117】
図形修正処理では、次に、第2の問題点を解消するための処理が行われる。これに関し、色版図形との重なりがない白版図形については、版ずれに起因する白いスジを引き起こすことがないので、収縮させる必要がない。そこで、色版図形との重なりがない白版図形については、高解像度化後の各ピクセルのデータ値(画素値)がRIP処理直後のデータ値(画素値)に置換される。詳しくは、白版図形と色版図形とが重なっていない領域において、高解像度化後の白版データ(第4の白版データW4)におけるデータ値(画素値)がRIP処理直後の白版データ(第1の白版データW1)におけるデータ値(画素値)に置換される。これにより、色版図形との重なりがない白版図形に関して、解像度変換に起因して輪郭がぼやけていた図形が、輪郭が鮮明な図形となる。例えば、入稿データDINに対するRIP処理によって図37のA部に示すような印刷データ(第1の印刷データ)が生成されていると仮定する。図37のA部に示す印刷データには、符号82を付した白版図形と符号83を付した色版図形とが含まれている。このとき、仮に高解像度化後の白版データに対して図形修正処理を施すことなく印刷が行われると、例えば図37のB部に示すような印刷画像が得られる。図37のB部で符号84を付した白版図形は、輪郭がぼやけた図形となっている。本実施形態においては、図形修正処理によって、図37のB部に示す全体領域のうち符号83を付した部分以外の領域の白版図形がRIP処理直後の白版図形に置換される。従って、図37のA部に示すような印刷画像が得られる。以上のようにして、第2の問題点が解消される。
【0118】
<7.効果>
本実施形態によれば、版ずれに起因して図形の周囲に白いスジが現れることが抑制されるよう色版図形よりも白版図形の方が小さくなるように白版図形を細くする処理である白版図形収縮処理が、低解像度化後の白版データ(第2の白版データW2)に対して行われる。これにより、白版図形収縮処理において処理対象となるピクセル数が従来よりも少なくなる。従って、白版図形収縮処理の所要時間が短縮される。ここで、解像度変換(低解像度化および高解像度化)の処理が追加されるが、解像度変換の処理に用いるアルゴリズムを適宜に選択することによって、最終的な印刷データの生成に関わる全体の処理時間を短縮することができる。また、解像度変換が行われることに起因する印刷品質の低下が抑制されるよう、高解像度化後の白版データ(第4の白版データW4)に対して図形修正処理が施される。以上より、充分な印刷品質を保持しつつ、最終的な印刷データの生成に関わる全体の処理時間を従来よりも短縮すること(すなわち、最終的な印刷データを生成する処理の高速化)が可能となる。
【0119】
ここで、RIP処理の開始から最終的な印刷データ(印刷装置に与える印刷データ)が得られるまでに要する時間(以下、「印刷データ生成所要時間」)について、従来の手法と本実施形態の手法とで比較した実験の結果を以下に記す。収縮対象外幅を0mmに設定して白版図形収縮処理を実行した或るケースでは、従来の手法での印刷データ生成所要時間が26秒であるのに対して、本実施形態の手法での印刷データ生成所要時間は8秒となっている。また、収縮対象外幅を0.4mmに設定して白版図形収縮処理を実行した或るケースでは、従来の手法での印刷データ生成所要時間が10分19秒であるのに対して、本実施形態の手法での印刷データ生成所要時間は9秒となっている。このように、収縮対象外幅の設定の有無に関わらず、印刷データ生成所要時間は大幅に短縮されている。
【0120】
以上のように、本実施形態によれば、プロセスカラーのインクと白色のインクとを用いた印刷に関し、印刷品質を低下させることなく最終的な印刷データ(インクジェット印刷装置10に与える印刷データ)の生成に要する時間の短縮が実現される。
【0121】
<8.変形例>
以下、上記実施形態の変形例について説明する。
【0122】
<8.1 第1の変形例>
まず、図6のステップS50の図形修正処理についての変形例を上記実施形態の第1の変形例として説明する。本変形例では、高解像度化後の白版データ(第4の白版データW4)においてデータ値(画素値)が0以外であるピクセルのデータ値をRIP処理直後の白版データ(第1の白版データW1)におけるデータ値に置換することによって、インクジェット印刷装置10に与える白版データ(第5の白版データW5)が生成される。
【0123】
本変形例によれば、図6のステップS40までの処理によって適切に細線化が施された図形に関しては、白色のインクの塗布対象外となった部分についての各ピクセルの第4の白版データW4におけるデータ値は0であるので、図形修正処理の前後で図形の形状に変化はなく、解像度変換に起因して太くなった図形に関しては、白色のインクの塗布対象外から塗布対象へと変化した部分についての各ピクセルのデータ値が0以外の値から0に置換されるので、本来の幅(RIP処理直後の幅)の図形となる。このように、マスク処理と同様の効果が得られる。
【0124】
また、本変形例によれば、色版図形の有無に関わらず、高解像度化後のデータ値が0以外であるピクセルのデータ値は全てRIP処理直後のデータ値に置換される。このため、解像度変換に起因して輪郭がぼやけた図形は、図形修正処理後には輪郭が鮮明な図形となる。
【0125】
以上のように、本変形例においても、上述した第1の問題点および第2の問題点を解消することができる。
【0126】
<8.2 第2の変形例>
上記実施形態においては白版図形を収縮させる処理が行われていたが、本発明はこれに限定されず、プライマーの塗布対象の領域に相当する下地図形を収縮させる処理が行われるようにしても良い。すなわち、プライマー塗布用のデータである下地データと色版データとからなるラスターデータに対して図6に示した手順の印刷データ処理が施されるようにしても良い。これについて、上記実施形態の第2の変形例として以下に説明する。なお、RIP処理によって生成される下地データを「第1の下地データ」といい、第1の下地データによって表される図形であってプライマーの塗布対象の領域に相当する図形のことを「第1の下地図形」という。また、上記実施形態における白版図形収縮処理に対応する処理を「下地図形収縮処理」という。
【0127】
本変形例においては、印刷データ処理の開始後、まず、第1の下地図形を含む第1の下地データに対して低解像度化が施される(ステップS10)。これにより、第1の下地図形に対応する第2の下地図形を含む第2の下地データが生成される。次に、第2の下地データに対して収縮・膨張処理が施される(ステップS20)。これにより、第2の下地データに含まれている各第2の下地図形が下地図形収縮処理での収縮対象外の図形であるか否かを判定するための判定用データが生成される。次に、判定用データを参照しつつ、第2の下地データに含まれている第2の下地図形に対して下地図形収縮処理が施される(ステップS30)。これにより、第3の下地図形を含む第3の下地データが生成される。次に、第3の下地データに対して高解像度化が施される(ステップS40)。これにより、第3の下地図形に対応する第4の下地図形を含む第4の下地データが生成される。次に、低解像度化後の下地データ(第2の下地データ)を用いて下地図形収縮処理を行ったことに起因する印刷品質の低下が抑制されるよう、高解像度化後の下地データ(第4の下地データ)に含まれている下地図形(第4の下地図形)を加工する図形修正処理が行われる(ステップS50)。これにより、第5の下地図形を含む第5の下地データが生成される。最後に、色版データPDとステップS50で生成された第5の下地データとがインクジェット印刷装置10へと出力される(ステップS60)。
【0128】
以上のような本変形例によれば、プライマーが塗布された領域が印刷画像の一部のように扱われるケースに関し、印刷品質を低下させることなく最終的な印刷データ(インクジェット印刷装置10に与える印刷データ)の生成に要する時間の短縮が実現される。
【0129】
<8.3 白版図形収縮処理に関する変形例>
白版図形収縮処理に関する変形例を上記実施形態の第3~第5の変形例として以下に説明する。
【0130】
<8.3.1 第3の変形例>
上記実施形態においては、白版図形の形状が細くなるように白版図形収縮処理が行われる。換言すれば、白版図形収縮処理により、最終的な収縮対象領域内のピクセルには印刷の際に白色のインクが全く塗布されなくなる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、最終的な収縮対象領域内のピクセルについては印刷の際の白色のインクの塗布量が本来の塗布量よりも少なくなるようにしても良い。
【0131】
これに関し、例えば、「各版のデータについて各ピクセルのデータ値が0から255までの値を取ることができ、白版データについては、白色のインクの塗布対象のピクセルのデータ値は255にされていて、白色のインクの塗布対象でないピクセルのデータ値は0にされている」と仮定する。このような場合、本変形例では、白版データのうちの最終的な収縮対象領域内のピクセルのデータ値が上記ステップS360で「255」から例えば「128」に書き換えられる。これにより、最終的な収縮対象領域内のピクセルについては、印刷の際に白色のインクが本来の塗布量の半分の量だけ塗布される。このようにして、白版図形を低解像度化された状態での0.5ピクセル分だけ擬似的に細くすることができる。
【0132】
<8.3.2 第4の変形例>
上記実施形態においては、収縮対象となった白版図形の周縁部において低解像度化された状態での1ピクセル分だけ当該白版図形が細くなるように収縮処理が行われる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、白版図形が周縁部において低解像度化された状態での2ピクセル以上細くなるように収縮処理が行われても良い。
【0133】
これに関し、例えば、収縮処理によって白版図形を低解像度化された状態での2ピクセル分だけ細くしようとする場合、上記ステップS310において、3×3の収縮フィルターに代えて5×5の収縮フィルターを各ピクセルに適用しても良いし、各ピクセルに3×3の収縮フィルターを適用した後、再度、各ピクセルに3×3の収縮フィルターを適用しても良い。このように収縮フィルターの適用自体については公知の手法を採用することができる。
【0134】
<8.3.3 第5の変形例>
上記実施形態においては、通常のプロセスカラーのインクと白色のインクとを用いた印刷が行われることを前提にしている。しかしながら、これらのインクに加えて(白色以外の)特色のインクを用いた印刷が行われる場合にも、本発明を適用することができる。例えば、或る印刷システムにおいて印刷の際に通常のプロセスカラーのインクおよび白色のインクに加えて金色のインクが用いられると仮定する(ここでは、金色のインク用の版のデータを「G版データ」という。)。この場合、図20のステップS320においてC版データとM版データとY版データとK版データとG版データとの論理和を表す領域を有色領域として求めるようにすれば良い。
【0135】
<9.その他>
本発明は、上記実施形態(変形例を含む)に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上記実施形態では白色のインクが塗られる領域に相当する図形(白版図形)の収縮が行われるケースを例に挙げて説明したが、シルバーインクなどのメタリックインクが塗られる領域に相当する図形の収縮が行われるケースにも本発明を適用することができる。
【0136】
<10.付記>
以上の開示から以下に記す構成の印刷データ処理装置も考えられる。
【0137】
プロセスカラーのインクの塗布対象の領域に相当する主図形を含むプロセスカラーデータとプロセスカラー以外の特定色のインクの塗布対象の領域に相当する第1の特定色図形を含む第1の特定色データとからなるラスターデータである印刷データを処理する印刷データ処理装置であって、
プロセッサと、
プログラムを格納するメモリと
を備え、
前記メモリに格納された前記プログラムが前記プロセッサによって実行されると、前記プログラムは前記プロセッサに以下の(A)、(B)、(C)、および(D)の動作を実行させることを特徴とする、印刷データ処理装置:
(A)前記第1の特定色データの解像度を低下させることによって、前記第1の特定色図形に対応する第2の特定色図形を含む第2の特定色データを生成する。
(B)前記第2の特定色図形に対して収縮処理を施すことによって、第3の特定色図形を含む第3の特定色データを生成する。
(C)前記第3の特定色データの解像度を高めることによって、前記第3の特定色図形に対応する第4の特定色図形を含む第4の特定色データを生成する。
(D)前記第4の特定色データに対応する全体領域のうちの少なくとも一部の領域における前記第4の特定色図形を前記第1の特定色図形に置換することによって、第5の特定色図形を含む第5の特定色データを生成する。
【符号の説明】
【0138】
6…印刷データ処理プログラム
10…インクジェット印刷装置
30…印刷データ生成装置
31…RIP処理部
32…低解像度化部
33…収縮・膨張処理部
34…白版図形収縮処理部
35…高解像度化部
36…図形修正部
37…印刷データ出力部
100…印刷機本体
200…印刷制御装置
DIN…入稿データ
PD…色版データ
W1~W5…第1~第5の白版データ
WD…収縮判定用データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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