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特開2024-83744記録紙処理装置、および記録紙処理装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083744
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】記録紙処理装置、および記録紙処理装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/34 20060101AFI20240617BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B65H23/34
B41J15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197739
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】松永 英樹
【テーマコード(参考)】
2C060
3F104
【Fターム(参考)】
2C060BA03
2C060BC47
2C060BC55
2C060BC84
3F104AA02
3F104HA05
3F104HA09
(57)【要約】
【課題】記録紙に、デカール部材による屈曲の癖が不要についてしまうことを抑制する。
【解決手段】記録紙処理装置は、第1面Paが外側となり第2面Pbが内側となるように記録紙Pが巻回されたロール紙から繰り出された記録紙Pの第1面Paと接し、記録紙Pを第2面Pb側に凸となるように屈曲させるデカール部材81と、デカール部材81を、記録紙Pを屈曲させる第1位置と、デカール部材81が第1位置に位置しているときよりもデカール部材81による記録紙Pの屈曲角度が小さくなる第2位置と、の間で移動させる移動機構と、記録紙処理装置が第2状態であるか否かを判定し、第2状態であると判定すると、デカール部材81が第2位置に位置するように、移動機構を制御する制御部と、を備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙の第1面が外側となり第2面が内側となるように前記記録紙が巻回されたロール紙から繰り出された前記記録紙の前記第1面と接し、前記記録紙を前記第2面側に凸となるように屈曲させるデカール部材と、
前記デカール部材を、前記記録紙を屈曲させる第1位置と、前記デカール部材が前記第1位置に位置しているときよりも前記デカール部材による前記記録紙の屈曲角度が小さくなる第2位置と、の間で移動させる移動機構と、
記録紙処理装置が第2状態であるか否かを判定し、前記第2状態であると判定すると、前記デカール部材が前記第2位置に位置するように、前記移動機構を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする記録紙処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記記録紙処理装置が前記第2状態とは異なる第1状態であるか否かを判定し、前記第1状態であると判定すると、前記デカール部材が前記第1位置に位置するように、前記移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の記録紙処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1状態として、前記記録紙処理装置の電源が投入されたか否かを判定し、前記記録紙処理装置の電源が投入されたと判定すると、前記デカール部材が前記第1位置に位置するように、前記移動機構を制御し、
前記第2状態として、前記記録紙処理装置の電源が切断されたか否かを判定し、前記記録紙処理装置の電源が切断されたと判定すると、前記デカール部材が前記第2位置に位置するように、前記移動機構を制御することを特徴とする請求項2に記載の記録紙処理装置。
【請求項4】
前記記録紙を送る送り機構をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1状態として、前記送り機構の送りを開始させる命令を取得したか否かを判定し、前記送り機構の送りを開始させる命令を取得したと判定すると、前記デカール部材が前記第1位置に位置するように、前記移動機構を制御し、
前記第2状態として、前記送り機構の停止時間が所定時間を超えたか否かを判定し、前記送り機構の停止時間が前記所定時間を超えたと判定すると、前記デカール部材が前記第2位置に位置するように、前記移動機構を制御することを特徴とする請求項2に記載の記録紙処理装置。
【請求項5】
前記ロール紙の外径を検出する外径検出機構をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1状態として、前記外径検出機構により前記ロール紙の外径が所定の径未満であることが検出されたか否かを判定し、前記外径検出機構により前記ロール紙の外径が所定の径未満であることが検出されたと判定すると、前記デカール部材が前記第1位置に位置するように、前記移動機構を制御し、
前記第2状態として、前記外径検出機構により前記ロール紙の外径が所定の径以上であることが検出されたか否かを判定し、前記外径検出機構により前記ロール紙の外径が所定の径以上であることが検出されたと判定すると、前記デカール部材が前記第2位置に位置するように、前記移動機構を制御することを特徴とする請求項2に記載の記録紙処理装置。
【請求項6】
前記記録紙を送る送り機構をさらに備え、
前記制御部は、
前記送り機構の送りを開始させる命令を取得するたびに、前記記録紙処理装置が前記第1状態であるか否かを判定し、前記第1状態であると判定した場合は、前記送り機構の送りを開始させる前に、前記デカール部材が前記第1位置に位置するように、前記移動機構を制御することを特徴とする請求項5に記載の記録紙処理装置。
【請求項7】
記録紙の第1面が外側となり第2面が内側となるように前記記録紙が巻回されたロール紙から繰り出された前記記録紙の前記第1面と接し、前記記録紙を前記第2面側に凸となるように屈曲させるデカール部材と、
前記デカール部材を、前記記録紙を屈曲させる第1位置と、前記デカール部材が前記第1位置に位置しているときよりも前記デカール部材による前記記録紙の屈曲角度が小さくなる第2位置と、の間で移動させる移動機構と、
を備えた記録紙処理装置の制御方法であって、
前記記録紙処理装置が第2状態であるか否かを判定し、前記第2状態であると判定すると、前記デカール部材が前記第2位置に位置するように、前記移動機構を制御することを特徴とする記録紙処理装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録紙処理装置、および記録紙処理装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、ロール紙による巻き癖を矯正するため、ロール紙から繰り出された記録紙を、ロール紙による巻き癖とは反対側に屈曲させるデカール部材を備えた装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-134013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、装置の状態によって、記録紙にデカール部材による屈曲の癖が不要についてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の記録紙処理装置は、記録紙の第1面が外側となり第2面が内側となるように記録紙が巻回されたロール紙から繰り出された記録紙の第1面と接し、記録紙を第2面側に凸となるように屈曲させるデカール部材と、デカール部材を、記録紙を屈曲させる第1位置と、デカール部材が第1位置に位置しているときよりもデカール部材による記録紙の屈曲角度が小さくなる第2位置と、の間で移動させる移動機構と、記録紙処理装置が第2状態であるか否かを判定し、第2状態であると判定すると、デカール部材が第2位置に位置するように、移動機構を制御する制御部と、を備える。
【0006】
本発明の記録紙処理装置の制御方法は、記録紙の第1面が外側となり第2面が内側となるように記録紙が巻回されたロール紙から繰り出された記録紙の第1面と接し、記録紙を第2面側に凸となるように屈曲させるデカール部材と、デカール部材を、記録紙を屈曲させる第1位置と、デカール部材が第1位置に位置しているときよりもデカール部材による記録紙の屈曲角度が小さくなる第2位置と、の間で移動させる移動機構と、を備えた記録紙処理装置の制御方法であって、記録紙処理装置が第2状態であるか否かを判定し、第2状態であると判定すると、デカール部材が第2位置に位置するように、移動機構を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】印刷装置の斜視図である。
図2】開閉カバーが開かれた状態の印刷装置の斜視図である。
図3】印刷装置の断面図である。
図4】印刷装置の断面図であり、ロール紙収容部に未使用のロール紙が収容されている様子を示す図である。
図5】印刷装置の断面図であり、ロール紙収容部にニアエンド状態のロール紙が収容されている様子を示す図である。
図6】デカール機構+X方向から見た図である。
図7】デカール機構を+B方向から見た図である。
図8】デカール機構を-B方向から見た図である。
図9】デカール部材が突出位置に位置している状態を示す図である。
図10】デカール部材が退避位置に位置している状態を示す図である。
図11】印刷装置の制御構成を示すブロック図である。
図12】第1実施形態に係るデカール部材移動制御を示すフローチャートである。
図13】第2実施形態に係るデカール部材移動制御を示すフローチャートである。
図14】第3実施形態に係るデカール部材移動制御を示すフローチャートである。
図15】第4実施形態に係るデカール部材移動制御を示すフローチャートである。
図16】デカール部材が退避位置に位置している状態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照して、記録紙処理装置、および記録紙処理装置の制御方法について説明する。記録紙処理装置としては、印刷装置1を例示する。印刷装置1は、例えばレシートプリンターとして用いられる。なお、図1ないし図5図9図10および図16では、XYZ直交座標系による方向を用いて説明する。また、図6ないし図8では、X方向、A方向およびB方向の3方向を用いて説明する。+A方向は、+Y方向と+Z方向との間の方向であり、-A方向は、-Y方向と-Z方向との間の方向であり、+B方向は、-Y方向と+Z方向との間の方向であり、-B方向は、+Y方向と-Z方向との間の方向である。これらの方向は説明の便宜上のものにすぎず、以下の実施形態を何ら限定するものではない。
【0009】
[印刷装置の構成]
図1ないし図5を参照し、印刷装置1の構成について説明する。図1に示すように、印刷装置1は、略直方体状に形成されており、-Y方向の装置面Aには、排出口3が設けられている。排出口3からは、印刷された記録紙Pが排出される。
【0010】
印刷装置1は、装置ケース5と、開閉カバー7とを備えている。装置ケース5は、印刷装置1の外殻を構成しており、-Y方向の面が開放された箱状に形成されている。装置ケース5内には、ロール紙収容部15(図2等参照)が設けられている。
【0011】
図2に示すように、ロール紙収容部15は、印刷媒体となる記録紙Pが巻回されたロール紙R(図4等参照)を収容する。記録紙Pは、例えば長尺状の感熱紙である。ロール紙Rは、記録紙Pの印刷面となる第1面Paが外側となり、他方の第2面Pbが内側となるように記録紙Pが巻回されている(図9等参照)。ロール紙収容部15には、ロール紙Rの回転軸方向がX方向と平行になるように、ドロップイン方式でロール紙Rが投入される。すなわち、ロール紙収容部15は、ロール紙Rのコアに挿入される支軸を備えておらず、ロール紙Rの外周面Raが載置される載置面27を備えている。ロール紙収容部15は、載置面27にロール紙Rの外周面Raが載置されることで、ロール紙Rを回転可能に支持する。
【0012】
ロール紙収容部15は、第1幅のロール紙Rと、第1幅よりも大きい第2幅のロール紙Rとを択一的に収容可能である。なお、第1幅は、例えば58mmであり、第2幅は、例えば80mmである。
【0013】
ロール紙収容部15に第1幅のロール紙Rが収容されるときには、ロール紙収容部15に2つのロール紙ガイド17が装着され(図2参照)、ロール紙収容部15に第2幅のロール紙Rが収容されるときには、ロール紙収容部15から2つのロール紙ガイド17が取り外される。2つのロール紙ガイド17は、板状に形成されており、ロール紙収容部15において、+X方向の端部と-X方向の端部とに分散して装着される。このため、ロール紙収容部15に第1幅のロール紙Rが収容されたときにおけるロール紙Rの幅方向の中心と、ロール紙収容部15に第2幅のロール紙Rが収容されたときにおけるロール紙Rの幅方向の中心とは、略一致する。
【0014】
ロール紙収容部15は、第1側壁23と、第2側壁25と、載置面27と、凹部31(図3等参照)とを備えている。第1側壁23と第2側壁25とは、X方向に並んで設けられており、第2側壁25は、第1側壁23に対して、+X方向に位置している。
【0015】
載置面27は、ロール紙収容部15において-Z方向に位置し、第1側壁23と第2側壁25との間に設けられている。載置面27は、ロール紙収容部15の底となり、ロール紙Rの外周面Raが載置される。載置面27は、凹部31に向けて傾斜している。すなわち、載置面27は、-Y方向の端部が+Y方向の端部に比べて-Z方向に位置する傾斜面となっている。凹部31は、載置面27と開閉カバー7との間に設けられている。
【0016】
また、載置面27には、第1側壁23から+X方向に間隔を空けて、出没口51が設けられている。出没口51は、載置面27のうち、第1幅のロール紙Rの外周面Raが載置される領域と、第2幅のロール紙Rの外周面Raが載置される領域との重複領域に設けられている。出没口51からは、後述する出没部77が出没する。
【0017】
なお、2つのロール紙ガイド17のうち、-X方向のロール紙ガイド17は、第1側壁23と出没口51との間に設けられる。このため、ロール紙収容部15に2つのロール紙ガイド17が装着された場合にも、出没部77の出没が-X方向のロール紙ガイド17によって妨げられることを、抑制することができる。
【0018】
開閉カバー7は、ロール紙収容部15を開閉する。開閉カバー7は、装置ケース5の-Z方向の端部に、X方向と略平行な軸周りに回動可能に取り付けられている。上記の排出口3は、開閉カバー7の先端部すなわち+Z方向の端部と装置ケース5との間に設けられている。排出口3は、X方向に長い略長方形状に形成されている。また、装置面Aの-X方向且つ+Z方向の隅部には、オープンレバー63が設けられている(図1参照)。ユーザーは、オープンレバー63を操作することで、開閉カバー7を開けることができる。
【0019】
図3ないし図5に示すように、印刷装置1は、送りガイド61と、プラテンローラー65と、サーマルヘッド67と、オートカッター69と、回動レバー71と、デカール機構80とを備えている。
【0020】
送りガイド61は、記録紙Pの送りをガイドするものであり、開閉カバー7の内側に設けられている。送りガイド61のX方向における長さは、第2幅の記録紙Pに対応した長さとなっている。送りガイド61は、+Y側に突出したガイド凸部61aと、ガイド凸部61aの+Z方向に連なるガイド凹部61bとを備えている(図9等参照)。送りガイド61のガイド凹部61bは、開閉カバー7が閉じられたとき、後述するデカール部材81の先端部81aと対向する位置にある。
【0021】
プラテンローラー65は、回転軸方向がX方向と略平行になるように、開閉カバー7の内側に設けられている。プラテンローラー65は、サーマルヘッド67との間で記録紙Pを挟持し、送りモーター230(図11参照)を駆動源として回転することで、ロール紙収容部15に収容されたロール紙Rから記録紙Pを引き出し、排出口3に向けて送る。
【0022】
サーマルヘッド67は、プラテンローラー65と対向するようにして、装置ケース5内に設けられている。サーマルヘッド67は、複数の発熱素子(図示省略)を備えており、ロール紙Rから繰り出された記録紙Pの第1面Pa(図9等参照)に印刷を行う。
【0023】
オートカッター69は、排出口3の近傍に設けられており、図示省略したカッターモーターを駆動源として、記録紙Pを、印刷済み部分の後方で、記録紙Pの幅方向すなわちX方向に切断する。より具体的には、オートカッター69は、切断された記録紙Pが排出口3に留まるように、記録紙Pを、記録紙Pの幅方向の略中央部を残して切断する。
【0024】
回動レバー71は、ロール紙Rのニアエンド状態を判定するために用いられる。印刷装置1は、後述する光学式センサー210(図11参照)により回動レバー71の回動状態を検出し、その検出結果に基づいて、ロール紙Rがニアエンド状態であるか否かを判定する。
【0025】
回動レバー71は、ロール紙収容部15に対して、-Z方向に設けられている。回動レバー71は、Y方向に延在しており、Y方向の略中間部を支点としてシーソー状に回動可能に設けられている。
【0026】
回動レバー71は、出没部77と、遮断部79とを備えている。出没部77は、回動レバー71の-Y方向の略半部を構成しており、回動レバー71が回動することで、載置面27に設けられた出没口51から出没する。遮断部79は、回動レバー71の回動に伴い、出没部77と一体に回動することで、後述する光学式センサー210(図11参照)に含まれる導光管211と受光素子との間を、遮断したり開放したりする。
【0027】
出没部77は、ロール紙収容部15に未使用のロール紙Rが収容されている状態では(図4参照)、ロール紙Rの外周面Raが載置面27に載置されることにより、ロール紙Rに押さえられて載置面27に没入する。出没部77が載置面27に没入すると、遮断部79は、導光管211と受光素子との間を遮断し、この状態では、ロール紙Rがニアエンド状態ではないと判定される。ロール紙Rは、記録紙Pの消費により径が減少すると、載置面27の傾斜により、凹部31に向けて-Y方向に移動し、ニアエンド状態となると、凹部31に入り込む(図5参照)。すなわち、ロール紙Rのニアエンド状態において、出没部77は、ロール紙Rが凹部31に入り込むため、ロール紙Rによる押さえから開放され、載置面27から突出する。出没部77が載置面27から突出すると、遮断部79は、導光管211と受光素子との間を開放し、これによりロール紙Rがニアエンド状態であると判定される。
【0028】
[デカール機構の構成]
デカール機構80は、ロール紙Rから繰り出された記録紙Pの巻き癖を矯正する機能と、記録紙Pのテンションを調整する機能とを実現するための機構であり、装置ケース5内に設けられている。ここで、図6ないし図8を参照し、デカール機構80の構成について説明する。
【0029】
図6ないし図8に示すように、デカール機構80は、デカール部材81と、弾性部材83と、移動機構85とを備えている。
【0030】
デカール部材81は、ロール紙Rから繰り出された記録紙Pの第1面Paと接し、記録紙Pを第2面Pb側に凸となるように屈曲させる部材である。弾性部材83は、ロール紙Rから繰り出された記録紙Pのテンションを調整するための部材である。弾性部材83は、例えば圧縮コイルばねであり、デカール部材81を-A方向に押圧する。移動機構85は、デカール部材81を、記録紙Pを屈曲させる突出位置(図9参照)と、デカール部材81が突出位置に位置しているときよりもデカール部材81による記録紙Pの屈曲角度θが小さくなる退避位置(図10参照)と、の間で移動させる部材である。突出位置は、「第1位置」の一例であり、退避位置は、「第2位置」の一例である。
【0031】
移動機構85は、台座86と、ラック87と、歯車部材88と、スライダーモーター89とを備えている。台座86は、+B方向から見て矩形形状の台座本体86aと、台座本体86aから+B方向に立ち上がった立ち上がり部86bとを備えている。立ち上がり部86bは、台座本体86aの-X方向側、台座本体86aの+X方向側、および台座本体86aの+A方向側の3つの部位で構成される。
【0032】
図6および図8に示すように、台座本体86aの-B側の面には、ラック87が形成されている。ラック87は、台座86の+X方向端部に形成されている第1ラック87aと、台座86の-X方向端部に形成されている第2ラック87bとを含む。また、歯車部材88は、台座86の+X方向端部に設けられた第1歯車88aと、台座86の-X方向端部に設けられた第2歯車88bと、第1歯車88aと第2歯車88bとを連結する軸部88cとを含む。第1歯車88aには、スライダーモーター89が接続されており、スライダーモーター89を駆動源として第1歯車88aおよび第2歯車88bが一体に回転する。第1歯車88aおよび第2歯車88bは、それぞれ第1ラック87aおよび第2ラック87bと噛み合う。
【0033】
スライダーモーター89は、正逆回転可能な正逆回転モーターである。スライダーモーター89が駆動すると、第1歯車88aおよび第2歯車88bが回転する。また、第1歯車88aおよび第2歯車88bが回転することにより、第1ラック87aおよび第2ラック87bを介して、台座86が-A方向または+A方向に移動する。
【0034】
デカール部材81は、プラスチックなどの樹脂で形成されている。デカール部材81の-A方向における端部は、記録紙Pと接する先端部81aである。先端部81aは、一例として超高分子量ポリエチレンを含むシートにより被覆されている。これにより、先端部81aと記録紙Pとが接する際の摩擦を低減することができ、プラテンローラー65が記録紙Pを送る際の負荷を小さくすることができる。また、先端部81aのX方向における長さは、第2幅の記録紙Pに対応した長さとなっている。
【0035】
デカール部材81の+A方向の部位であるデカール本体81bは、台座86の立ち上がり部86bに支持されている。また、デカール本体81bには、弾性部材83が装着されている。弾性部材83は、台座86の-X方向側に設けられた第1弾性部材83aと、台座86の+X方向側に設けられた第2弾性部材83bとを含む。第1弾性部材83aおよび第2弾性部材83bは、X方向において、デカール部材81の中心から略同じ長さだけ離れた位置に装着されている。このため、記録紙Pの紙幅方向においてバランスよく弾性部材83の押圧力をデカール部材81に加えることができる。
【0036】
上記の構成により、スライダーモーター89が第1方向に回転されると、台座86が-A方向に進み、台座86の移動に伴ってデカール部材81が突出位置まで移動される。また、スライダーモーター89が第1方向とは逆方向の第2方向に回転されると、台座86が+A方向に進み、台座86の移動に伴ってデカール部材81が退避位置まで移動される。なお、以下の説明では、-A方向を、「突出方向D1」、+A方向を「退避方向D2」とも言う(図9等参照)。
【0037】
[デカール機構の機能]
次に、図9および図10を参照し、デカール機構80の機能について説明する。上記のとおり、デカール機構80は、記録紙Pの巻き癖矯正機能と、記録紙Pのテンション調整機能とを実現するための機構である。まず、記録紙Pの巻き癖矯正機能について説明する。図9および図10に示すように、記録紙Pは、送りガイド61のガイド凸部61aに第2面Pbが接触した後、記録紙Pの送り方向下流側において、デカール部材81の先端部81aに第1面Paが接触する。また、プラテンローラー65により記録紙Pが送られている間、記録紙PにはテンションT1が発生する。すなわち、デカール部材81は、テンションT1が加えられた状態で送られていく記録紙Pの第1面Paに対し、しごくように接触することで、記録紙Pの巻き癖を矯正する。
【0038】
巻き癖が矯正された記録紙Pは、プラテンローラー65に第2面Pbが接触した後、サーマルヘッド67とプラテンローラー65とに挟持される。記録紙Pは、サーマルヘッド67とプラテンローラー65とに挟持された状態で、サーマルヘッド67により第1面Paに印刷が行われ、排出口3に向けて送られる。以下、プラテンローラー65に接触している記録紙Pの、送り方向における最上流点を接触点65aと言う。
【0039】
上記のとおり、デカール部材81は、突出方向D1と退避方向D2とに移動可能である。デカール部材81が最も突出方向D1に移動すると、デカール部材81が突出位置に位置し、デカール部材81が最も退避方向D2に移動すると、デカール部材81が退避位置に位置する。図9は、デカール部材81が突出位置に位置している状態を示す図である。また、図10は、デカール部材81が退避位置に位置している状態を示す図である。
【0040】
デカール部材81が突出位置に位置しているとき、デカール部材81が退避位置に位置しているときよりも、デカール部材81の先端部81aと送りガイド61のガイド凹部61bとの間の距離が短い。すなわち、デカール部材81は、送りガイド61のガイド凹部61bまでの距離が第1距離となる突出位置と、ガイド凹部61bまでの距離が第1距離よりも長い第2距離となる退避位置と、の間で移動される。
【0041】
また、デカール部材81が突出位置に位置しているとき、デカール部材81が退避位置に位置しているときよりも、デカール部材81による記録紙Pの屈曲角度θが大きい。屈曲角度θは、記録紙Pの送り経路を+X方向から見たとき、送りガイド61のガイド凸部61aからデカール部材81の先端部81aまでの送り経路の延長線L1と、デカール部材81の先端部81aからプラテンローラー65の接触点65aまでの送り経路との間の角度に相当する。すなわち、屈曲角度θが大きくなるほど、記録紙Pの屈曲度合い、言い換えれば、巻き癖の矯正力が大きくなる。逆に、屈曲角度θが小さくなるほど、巻き癖の矯正力が小さくなる。
【0042】
したがって、本実施形態に係る印刷装置1は、記録紙Pの巻き癖の矯正が必要な状況では、デカール部材81を突出位置に位置させ、記録紙Pの巻き癖の矯正が必要ではない状況では、デカール部材81を退避位置に位置させるように、移動機構85を制御する。印刷装置1は、このように、適宜、デカール部材81を退避位置に位置させることにより、デカール部材81を突出位置に位置させた状態が長時間続くことで、記録紙Pにデカール部材81による屈曲の癖がついてしまうことを抑制する。また、印刷装置1は、必要時のみ、デカール部材81を突出位置に位置させることにより、不要に記録紙PにテンションT1を与え、プラテンローラー65の負荷を増大させてしまうことを抑制する。
【0043】
次に、記録紙Pのテンション調整機能について説明する。上記のとおり、プラテンローラー65により記録紙Pが送られている間、記録紙Pには、テンションT1が発生している。ロール紙Rの径が大きい場合は、ロール紙Rの径が小さい場合よりも、プラテンローラー65の負荷が大きくなり、その結果、記録紙PのテンションT1も大きくなる。特に、記録紙Pの送り開始直後は、ロール紙Rの慣性により、プラテンローラー65の負荷が急激に大きくなるため、記録紙PのテンションT1も急激に大きくなる。
【0044】
上記のとおり、デカール部材81には弾性部材83が装着されており、この弾性部材83は、デカール部材81を突出方向D1に押圧する。これに伴い、デカール部材81が記録紙Pを突出方向D1に押圧することにより、記録紙PのテンションT1が吸収される。このため、印刷装置1は、記録紙PのテンションT1が急激に大きくなった場合でも、記録紙Pを安定的に送ることができる。また、印刷装置1は、デカール機構80により、記録紙Pの巻き癖矯正機能と、記録紙Pのテンション調整機能とを実現しているため、両機能を個別に搭載する場合より、装置構成を簡素化することができる。
【0045】
[印刷装置の制御構成]
図11を参照し、印刷装置1の制御構成について説明する。印刷装置1は、制御部100と、サーマルヘッド67と、光学式センサー210と、LED(Light Emitting Diode)220と、送りモーター230と、スライダーモーター89と、通信部240と、電源ボタン250とを備えている。
【0046】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)110と、ROM(Read Only Memory)120と、RAM(Random Access Memory)130と、タイマー140とを含む。
【0047】
ROM120は、ファームウェア121を記憶している。ファームウェア121は、CPU110が各種制御を行うための制御プログラムである。例えば、CPU110は、このファームウェア121に基づいて、後述するデカール部材移動制御(図12等参照)を行う。なお、デカール部材移動制御は、「記録紙処理装置の制御方法」の一例である。
【0048】
なお、制御部100は、CPU110に代え、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路をプロセッサーとして用いてもよい。また、プロセッサーは、1以上のCPUとASIC等のハードウェア回路が協働して動作する構成でもよい。
【0049】
RAM130は、CPU110が各種制御を行う際のワークエリアとして用いられる。また、タイマー140は、時間を計測する。CPU110は、タイマー140の計測結果を用いて、例えば、所定のイベントから所定時間が経過したか否かを判定する。
【0050】
サーマルヘッド67は、複数の発熱素子を備え、印刷命令に含まれる印刷データに基づいて、複数の発熱素子を選択的に発熱させることにより、記録紙Pの第1面Paに印刷を行う。
【0051】
光学式センサー210は、例えば、光透過型のセンサーであり、導光管211と、発光素子と、受光素子とを備えている。導光管211は、発光素子と受光素子との間に位置して、X方向に延在する管であり、発光素子から発光された光を、受光素子に導く。光学式センサー210および上記の回動レバー71は、「外径検出機構」の一例である。
【0052】
光学式センサー210は、発光素子から発光した検出光が受光素子によって受光される場合、すなわち、導光管211と受光素子との間が、遮断部79によって遮断されていない場合には(図5参照)、ロール紙Rのニアエンド状態を示すニアエンド信号を出力する。また、光学式センサー210は、発光素子から発光した検出光が受光素子によって受光されない場合、すなわち、導光管211と受光素子との間が、遮断部79により遮断されている場合には(図4参照)、ニアエンド信号を出力しない。なお、ニアエンド信号は、ロール紙Rの外径が所定の径未満であることを示すものである。未使用のロール紙Rの外径が、例えば80mmである場合、所定の径は、例えば23mmである。
【0053】
LED220は、ロール紙Rがニアエンド状態であるか否かを報知する。制御部100は、光学式センサー210から、ニアエンド信号が出力されている場合、LED220を点灯させ、光学式センサー210から、ニアエンド信号が出力されていない場合、LED220を消灯させる。
【0054】
送りモーター230は、プラテンローラー65を駆動する駆動源である。なお、送りモーター230およびプラテンローラー65は、「送り機構」の一例である。
【0055】
スライダーモーター89は、歯車部材88(図6等参照)を駆動する駆動源である。上記のとおり、スライダーモーター89が第1方向に回転されると、デカール部材81が突出方向D1に移動され、スライダーモーター89が第2方向に回転されると、デカール部材81が退避方向D2に移動される。
【0056】
通信部240は、不図示の外部装置と通信する。例えば、通信部240は、PC(Personal Computer)などの外部装置から印刷命令を受信する。印刷命令は、「送り機構の送りを開始させる命令」の一例である。制御部100は、通信部240を介して印刷命令を取得すると、送りモーター230およびサーマルヘッド67を駆動し、記録紙Pの送りと、送られていく記録紙Pへの印刷とを行わせる。
【0057】
電源ボタン250は、印刷装置1の電源を投入および切断するための操作ボタンである。制御部100は、印刷装置1が電源オフの状態で電源ボタン250が押されると、印刷装置1の電源を投入させ、印刷装置1が電源オン状態で電源ボタン250が押されると、印刷装置1の電源を切断させる。
【0058】
上記の構成により、制御部100は、印刷装置1が第1状態であるか否かを判定し、第1状態であると判定すると、デカール部材81が突出位置に位置するように移動機構85を制御する。第1状態は、記録紙Pの巻き癖の矯正が必要な状状態である。また、制御部100は、印刷装置1が第2状態であるか否かを判定し、第2状態であると判定すると、デカール部材81が退避位置に位置するように移動機構85を制御する。第2状態は、記録紙Pの巻き癖の矯正が必要ではない状態である。以下、デカール部材81を移動させる移動機構85の制御であるデカール部材移動制御について説明する。
【0059】
[第1実施形態に係るデカール部材移動制御]
第1実施形態において、制御部100は、第1状態として、印刷装置1の電源が投入されたか否かを判定する。また、制御部100は、第2状態として、印刷装置1の電源が切断されたか否かを判定する。図12は、第1実施形態に係るデカール部材移動制御を示すフローチャートである。このフローチャートは、印刷装置1の電源オフ状態で、印刷装置1に設けられた操作ボタンが操作されたことをトリガーとして開始される。操作ボタンには、上記の電源ボタン250が含まれる。
【0060】
ステップS01において、制御部100は、印刷装置1の電源が投入されたか否かを判定する。制御部100は、電源ボタン250が押されると、その押下信号に基づいて印刷装置1の電源が投入されたと判定する。制御部100は、印刷装置1の電源が投入されたと判定した場合、ステップS02に進む。また、制御部100は、印刷装置1の電源が投入されていないと判定した場合、デカール部材移動制御を終了する。
【0061】
ステップS02において、制御部100は、印刷装置1を電源オン状態とする。電源オン状態とは、印刷装置1の各部に電源が供給されている状態である。なお、印刷装置1を電源オン状態とするのは、制御部100のCPU110でもよいし、制御部100に設けられた別の制御回路でもよい。
【0062】
ステップS03において、制御部100は、デカール部材81を突出位置に位置させる。ステップS03において、制御部100は、スライダーモーター89を一定時間、第1方向に回転させることで、デカール部材81を突出方向D1に移動させ、デカール部材81を突出位置に位置させる。但し、スライダーモーター89を一定時間回転させている間、仮にデカール部材81が記録紙Pを挟んで送りガイド61に接触することでスライダーモーター89のトルクが急激に上がった場合、制御部100は、その時点でデカール部材81が突出位置に位置していると判定し、スライダーモーター89の回転を停止する。
【0063】
ステップS04において、制御部100は、印刷装置1の電源が切断されたか否かを判定する。制御部100は、電源ボタン250が押されると、その押下信号に基づいて印刷装置1の電源が切断されたと判定する。制御部100は、印刷装置1の電源が切断されたと判定した場合、ステップS05に進む。また、制御部100は、印刷装置1の電源が切断されていないと判定した場合、ステップS04の判定を繰り返す。
【0064】
ステップS05において、制御部100は、デカール部材81を退避位置に位置させる。ステップS05において、制御部100は、スライダーモーター89を一定時間、第2方向に回転させることで、デカール部材81を退避方向D2に移動させ、デカール部材81を退避位置に位置させる。但し、スライダーモーター89を一定時間回転させている間、仮に台座86の立ち上がり部86bが装置ケース5内のいずれかの構成と接触することでスライダーモーター89のトルクが急激に上がった場合、制御部100は、その時点でデカール部材81が退避位置に位置していると判定し、スライダーモーター89の回転を停止する。
【0065】
ステップS06において、制御部100は、印刷装置1を電源オフ状態とする。電源オフ状態とは、印刷装置1の各部に電源が供給されていない状態である。なお、印刷装置1を電源オフ状態とするのは、制御部100のCPU110でもよいし、制御部100に設けられた別の制御回路でもよい。
【0066】
以上説明したとおり、第1実施形態に係る印刷装置1は、電源が投入されると、デカール部材81を突出位置に位置させるため、ユーザーがデカール部材81を突出位置に移動させる手間を省くことができる。また、第1実施形態に係る印刷装置1は、電源が切断されると、デカール部材81を退避位置に位置させるため、電源が切断されている時間が長くなっても、記録紙Pにデカール部材81の屈曲の癖がついてしまうことを抑制することができる。
【0067】
[第2実施形態に係るデカール部材移動制御]
本発明の第2実施形態に係るデカール部材移動制御について説明する。本実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0068】
第2実施形態において、制御部100は、第1状態として、送りモーター230の駆動を開始させる命令を取得したか否かを判定する。本実施形態において、制御部100は、送りモーター230の駆動を開始させる命令として、印刷命令を取得したか否かを判定する。また、制御部100は、第2状態として、送りモーター230の停止時間が所定時間tを超えたか否かを判定する。図13は、第2実施形態に係るデカール部材移動制御を示すフローチャートである。このフローチャートは、印刷装置1の電源が投入されたことをトリガーとして開始される。
【0069】
ステップS11において、制御部100は、デカール部材81を退避位置に位置させる。ステップS11において、制御部100は、図12のステップS05と同様に、スライダーモーター89を一定時間、第2方向に回転させることで、デカール部材81を退避位置に位置させる。
【0070】
ステップS12において、制御部100は、印刷命令を取得したか否かを判定する。制御部100は、印刷命令を取得したと判定した場合、ステップS13に進む。また、制御部100は、印刷命令を取得していないと判定した場合、ステップS12の判定を繰り返す。
【0071】
ステップS13において、制御部100は、デカール部材81を突出位置に位置させる。ステップS13において、制御部100は、図12のステップS03と同様に、スライダーモーター89を一定時間、第1方向に回転させることで、デカール部材81を突出位置に位置させる。
【0072】
ステップS14において、制御部100は、ステップS12で取得したと判定した印刷命令に基づいて、印刷を実行する。ステップS14において、制御部100は、送りモーター230およびサーマルヘッド67を駆動制御することで、印刷を実行する。
【0073】
ステップS15において、制御部100は、送りモーター230の停止時間が所定時間tを超えたか否かを判定する。所定時間tは、数十分ないし数時間程度の時間である。制御部100は、送りモーター230の駆動を停止したとき、タイマー140(図11参照)による計時を開始し、送りモーター230の駆動を開始したとき、タイマー140をリセットする。制御部100は、タイマー140の計時が所定時間tに達すると、送りモーター230の停止時間が所定時間tを超えたと判定する。制御部100は、送りモーター230の停止時間が所定時間tを超えたと判定した場合、ステップS11に戻る。また、制御部100は、送りモーター230の停止時間が所定時間tを超えていないと判定した場合、ステップS15の判定を繰り返す。
【0074】
以上説明したとおり、第2実施形態に係る印刷装置1は、印刷命令を取得すると、デカール部材81を突出位置に位置させるため、ユーザーがデカール部材81を突出位置に移動させる手間を省くことができる。また、送りモーター230の停止時間が所定時間tを超えると、デカール部材81を退避位置に位置させるため、送りモーター230の停止時間が長くなっても、記録紙Pにデカール部材81の屈曲の癖がついてしまうことを抑制することができる。
【0075】
[第3実施形態に係るデカール部材移動制御]
本発明の第3実施形態に係るデカール部材移動制御について説明する。本実施形態において、上記の他の実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0076】
第3実施形態において、制御部100は、第1状態として、光学式センサー210によりニアエンド信号が出力されているか否かを判定する。光学式センサー210によりニアエンド信号が出力されているか否かの判定は、「ロール紙の外径が所定の径未満であることが検出されたか否かの判定」の一例である。また、制御部100は、第2状態として、光学式センサー210によりニアエンド信号が出力されていないか否かを判定する。光学式センサー210によりニアエンド信号が出力されていないか否かの判定は、「ロール紙の外径が所定の径以上であることが検出されたか否かの判定」の一例である。第3実施形態において、印刷装置1が第1状態であるか否か、および印刷装置1が第2状態であるか否かの判定は、ロール紙Rの状態を判定しているとも言える。
【0077】
なお、第3実施形態において、印刷装置1が第1状態であると判定された場合は、印刷装置1が第2状態ではない。また、第3実施形態において、印刷装置1が第1状態ではないと判定された場合は、印刷装置1が第2状態である。すなわち、第3実施形態において、印刷装置1が第1状態であるか否かの判定は、印刷装置1が第1状態であるか否かと、印刷装置1が第2状態であるか否かとの両方の判定を兼ねるものである。図14は、第3実施形態に係るデカール部材移動制御を示すフローチャートである。このフローチャートは、印刷装置1の電源が投入されたことをトリガーとして開始される。
【0078】
ステップS21において、制御部100は、デカール部材81を退避位置に位置させる。ステップS21において、制御部100は、図12のステップS05と同様に、スライダーモーター89を一定時間、第2方向に回転させることで、デカール部材81を退避位置に位置させる。
【0079】
ステップS22において、制御部100は、光学式センサー210によりニアエンド信号が出力されているか否かを判定する。制御部100は、ニアエンド信号が出力されていると判定した場合、ステップS23に進む。また、制御部100は、ニアエンド信号が出力されていないと判定した場合、ステップS22の判定を繰り返す。
【0080】
ステップS23において、制御部100は、デカール部材81を突出位置に位置させる。ステップS23において、制御部100は、図12のステップS03と同様に、スライダーモーター89を一定時間、第1方向に回転させることで、デカール部材81を突出位置に位置させる。
【0081】
ステップS24において、制御部100は、光学式センサー210によりニアエンド信号が出力されていないか否かを判定する。制御部100は、ニアエンド信号が出力されていないと判定した場合、ステップS21に戻る。一例として、ニアエンド状態となったロール紙Rをユーザーが未使用時のロール紙Rに交換したときに、制御部100は、ニアエンド信号が出力されていないと判定する。また、制御部100は、ニアエンド信号が出力されていると判定した場合、ステップS24の判定を繰り返す。
【0082】
以上説明したとおり、第3実施形態に係る印刷装置1は、ロール紙Rの外径が所定の径未満であることが検出されたとき、すなわちロール紙Rの巻き癖がつきやすいときにはデカール部材81を突出位置に位置させるため、ユーザーがデカール部材81を突出位置に移動させる手間を省くことができる。また、印刷装置1は、ロール紙Rの外径が所定の径以上であることが検出されたとき、すなわちロール紙Rの巻き癖がつきにくいときにはデカール部材81を退避位置に位置させるため、デカール部材81を不要に突出位置に位置させて送りモーター230の負荷を増大させてしまうことを抑制することができる。
【0083】
[第4実施形態に係るデカール部材移動制御]
本発明の第4実施形態に係るデカール部材移動制御について説明する。本実施形態において、上記の他の実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0084】
第4実施形態において、制御部100は、第3実施形態と同様に、第1状態として、光学式センサー210によりニアエンド信号が出力されているか否かを判定する。また、制御部100は、第3実施形態と同様に、第1状態であるか否かの判定と、第2状態であるか否かの判定と、を個別に行うのではなく、第1状態であるか否かの判定のみ行うものとする。第3実施形態において、制御部100は、印刷装置1の電源投入後、繰り返し、ニアエンド信号が出力されているか否かを判定したが、第4実施形態では、印刷命令を取得するたびに、ニアエンド信号が出力されているか否かを判定する。印刷命令の取得は、「送り機構の送りを開始させる命令」の一例である。図15は、第4実施形態に係るデカール部材移動制御を示すフローチャートである。このフローチャートは、印刷装置1の電源が投入されたことをトリガーとして開始される。
【0085】
ステップS31において、制御部100は、デカール部材81を退避位置に位置させる。ステップS31において、制御部100は、図12のステップS05と同様に、スライダーモーター89を一定時間、第2方向に回転させることで、デカール部材81を退避位置に位置させる。
【0086】
ステップS32において、制御部100は、印刷命令を取得したか否かを判定する。制御部100は、印刷命令を取得したと判定した場合、ステップS33に進む。また、制御部100は、印刷命令を取得していないと判定した場合、ステップS32の判定を繰り返す。
【0087】
ステップS33において、制御部100は、光学式センサー210によりニアエンド信号が出力されているか否かを判定する。制御部100は、ニアエンド信号が出力されていると判定した場合、ステップS34に進む。また、制御部100は、ニアエンド信号が出力されていないと判定した場合、ステップS36に進む。
【0088】
ステップS34において、制御部100は、デカール部材81を突出位置に位置させる。ステップS34において、制御部100は、図12のステップS03と同様に、スライダーモーター89を一定時間、第1方向に回転させることで、デカール部材81を突出位置に位置させる。
【0089】
ステップS35において、制御部100は、ステップS32で取得したと判定した印刷命令に基づいて、印刷を実行する。ステップS35において、制御部100は、送りモーター230およびサーマルヘッド67を駆動制御することで、印刷を実行する。
【0090】
ステップS36において、制御部100は、ステップS32で取得したと判定した印刷命令に基づいて、印刷を実行する。ステップS36において、制御部100は、ステップS35と同様に印刷を実行する。ステップS36の後は、ステップS32に戻る。
【0091】
ステップS37において、制御部100は、光学式センサー210によりニアエンド信号が出力されていないか否かを判定する。制御部100は、ニアエンド信号が出力されていないと判定した場合、ステップS31に戻る。また、制御部100は、ニアエンド信号が出力されていると判定した場合、ステップS37の判定を繰り返す。
【0092】
以上説明したとおり、第4実施形態に係る印刷装置1は、印刷命令を取得するたびに印刷装置1が第1状態であるか否かを判定し、第1状態であると判定した場合は、印刷実行前、すなわち送りモーター230の送りを開始させる前にデカール部材81を突出位置に位置させる。このため、印刷装置1は、適切なタイミングでデカール部材81を機能させることができる。つまり、デカール部材81は、記録紙Pが送られることにより、記録紙Pの巻き癖を矯正するものであるため、印刷実行前にデカール部材81を突出位置に位置させることで、印刷時にデカール部材81を機能させることができる。また、印刷実行中にデカール部材81が移動されないため、印刷画像が乱れるなど、デカール部材81の移動が印刷に影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0093】
[デカール部材移動制御の変形例]
上記の各実施形態に係るデカール部材移動制御を組み合わせて実行してもよい。例えば、第1実施形態(図12参照)と第2実施形態(図13参照)とを組み合わせてもよい。この場合、制御部100は、印刷装置1の電源が投入されたと判定したとき、および印刷命令を取得したと判定したときに、デカール部材81を突出位置に位置させる。また、制御部100は、印刷装置1の電源が切断されたと判定したとき、および送りモーター230の停止時間が所定時間tを超えたと判定したときに、デカール部材81を退避位置に位置させる。
【0094】
また、第2実施形態では、印刷装置1の電源投入後、デカール部材81を退避位置に位置させるのではなく、突出位置に位置させてもよい。この場合、制御部100は、送りモーター230の停止時間が所定時間tを超えたか否かを先に判定し、送りモーター230の停止時間が所定時間tを超えたと判定した場合、デカール部材81を退避位置に位置させる。その後、制御部100は、印刷命令を取得したか否かを判定する。
【0095】
同様に、第3実施形態(図14参照)でも、印刷装置1の電源投入後、デカール部材81を突出位置に位置させてもよい。この場合、制御部100は、ニアエンド信号が出力されていないか否かを先に判定し、ニアエンド信号が出力されていないと判定した場合、デカール部材81を退避位置に位置させる。その後、制御部100は、ニアエンド信号が出力されているか否かを判定する。
【0096】
同様に、第4実施形態(図15参照)でも、印刷装置1の電源投入後、デカール部材81を突出位置に位置させてもよい。この場合、制御部100は、ニアエンド信号が出力されていないか否かを先に判定し、ニアエンド信号が出力されていないと判定した場合、デカール部材81を退避位置に位置させる。その後、制御部100は、印刷命令を取得したか否かを判定する。
【0097】
また、第3実施形態および第4実施形態において、ニアエンド信号が出力されているか否か、すなわちロール紙Rの外径が所定の径未満であるか否かの判定を行う際、「所定の径」は、ニアエンド状態におけるロール紙Rの径より大きい径であってもよい。例えば、制御部100は、ロール紙Rの外径が、未使用時のロール紙Rの外径の1/2未満となったか否かの判定を行ってもよい。この場合、所定の径は、例えば40mmである。
【0098】
また、第3実施形態に係るデカール部材移動制御の途中で印刷イベントが発生した場合、デカール部材81の移動は、印刷中に行うのではなく、印刷前または印刷後に行ってもよい。
【0099】
また、第4実施形態において、制御部100は、印刷命令を取得したときではなく、印刷を実行終了したとき、すなわち、送りモーター230の駆動を終了した後に、ニアエンド信号が出力されているか否かを判定してもよい。
【0100】
また、その他のデカール部材移動制御の変形例として、制御部100は、外部装置から所定の命令を取得したとき、印刷装置1が第1状態または第2状態であると判定してもよい。また、制御部100は、印刷装置1に対するユーザーの所定の操作を受け付けたとき、印刷装置1が第1状態または第2状態であると判定してもよい。
【0101】
[デカール機構の変形例]
【0102】
デカール部材81の退避位置を、デカール部材81が記録紙Pに接触しない位置としてもよい。図16は、デカール部材81が退避位置に位置している状態の変形例を示す図である。この場合、デカール部材81による記録紙Pの屈曲角度θは「0(ゼロ)」となる。また、この場合、デカール部材81は、図9または図10に示したように、デカール部材81による記録紙Pの屈曲角度θが「0」より大きくなる突出位置と、図16に示したように、デカール部材81による記録紙Pの屈曲角度θが「0」となる退避位置と、の間で移動される。
【0103】
なお、デカール部材81の突出位置を、図9に示した位置とするか図10に示した位置とするかをユーザーが設定可能としてもよい。同様に、デカール部材81の突出位置を図9に示した位置とし、デカール部材81の退避位置を、図10に示した位置とするか図16に示した位置とするかをユーザーが設定可能としてもよい。すなわち、デカール部材81が突出位置または退避位置に位置しているときの記録紙Pの屈曲角度θをユーザーが設定可能としてもよい。ユーザーは、印刷装置1に設けられた操作部を操作して、これらの設定を行ってもよいし、外部装置から印刷装置1に設定命令を送信させることにより、これらの設定を行ってもよい。
【0104】
また、デカール機構80は、弾性部材83を省略した構成でもよい。この場合、印刷装置1は、デカール機構80とは別に、記録紙Pのテンションを調整するテンション調整機構を備えてもよい。
【0105】
また、制御部100は、デカール部材81を突出位置または退避位置に位置させる場合、スライダーモーター89を一定時間、第1方向または第2方向に回転させたが、スライダーモーター89の駆動開始前に、デカール部材81の位置判定を行ってもよい。例えば、印刷装置1は、デカール部材81が突出位置に位置していることを検出可能な第1の位置センサー、およびデカール部材81が退避位置に位置していることを検出可能な第2の位置センサーの、少なくとも一方を備えた構成でもよい。この場合、制御部100は、印刷装置1が第1状態または第2状態であるか否かの判定後、位置センサーの検出結果に応じて、スライダーモーター89を駆動する。具体的には、制御部100は、印刷装置1が第1状態であると判定した後、デカール部材81が突出位置に位置していることを検出した場合は、スライダーモーター89を駆動しない。一方、制御部100は、印刷装置1が第1状態であると判定した後、デカール部材81が退避位置に位置していることを検出した場合は、スライダーモーター89を一定時間、第1方向に回転させてデカール部材81を突出位置に位置させる。また、制御部100は、印刷装置1が第2状態であると判定した後、デカール部材81が突出位置に位置していることを検出した場合は、スライダーモーター89を一定時間、第2方向に回転させてデカール部材81を退避位置に位置させる。一方、制御部100は、印刷装置1が第2状態であると判定した後、デカール部材81が退避位置に位置していることを検出した場合は、スライダーモーター89を駆動しない。
【0106】
また、制御部100は、デカール部材81の位置をフラグで管理してもよい。フラグは、RAM130等の記憶媒体に記憶される。この場合、制御部100は、例えば、デカール部材81を突出位置に位置させるとフラグを「1」とし、デカール部材81を退避位置に位置させるとフラグを「0」とする。制御部100は、印刷装置1が第1状態または第2状態であると判定した後、フラグの状態を参照し、フラグの状態に応じて、上記の位置センサーを用いた場合と同様にスライダーモーター89の駆動制御を行う。
【0107】
[外径検出機構の変形例]
ロール紙Rの外径を検出する外径検出機構は、以下の構成を採用してもよい。例えば、印刷装置1は、ロール紙収容部15において、ロール紙Rの外径が小さくなると、ロール紙Rのコアの位置が-Z方向に移動することを利用して、ロール紙Rの外径を検出するものでもよい。例えば、印刷装置1は、ロール紙Rの外径が所定の径以下となったときに、ロール紙Rのコアの空間に入り込むように揺動する回動レバーを設けてもよい。この場合、光学式センサー210は、回動レバーの揺動を検出すればよい。
【0108】
また、印刷装置1は、ロール紙収容部15において、ロール紙Rの外径が小さくなると、ロール紙Rの外周面Raの位置が変化することを利用して、ロール紙Rの外径を検出するものでもよい。例えば、印刷装置1は、ロール紙Rの側面に光を照射する発光素子と、ロール紙Rの側面で反射した光を受光する受光素子とを設け、受光素子が反射光を受光するか否かに応じて、ロール紙Rの外径を検出してもよい。
【0109】
また、印刷装置1は、ペーパードロップイン方式に代えて、ロール紙Rのコアに挿入される支軸を備えるものでもよい。この場合、印刷装置1は、ロール紙Rの外径が小さくなると、ロール紙Rの外周面Raの位置が変化することを利用して、ロール紙Rの外径を検出してもよい。
【0110】
[その他の変形例]
印刷装置1の印刷方式は、サーマル方式に限定されず、例えば、インクジェット方式でもよく、電子写真方式でもよい。また、記録紙Pは、フィルムなど紙以外の記録媒体でもよい。また、記録紙Pを切断する切断装置など、印刷装置1以外の記録紙処理装置において、上記のデカール部材移動制御を行ってもよい。
【0111】
また、上記の各実施形態において、印刷装置1は、「送り機構の送りを開始させる命令」として、印刷命令を取得したが、送りモーター230の駆動を伴う動作を命令させるものであれば、印刷命令以外の命令を取得してもよい。
【0112】
また、上記の各実施形態に係るデカール部材移動制御を実現するためのファームウェア121は、プログラムとして顧客に提供されてもよい。また、上記の各実施形態に係るデカール部材移動制御を実現するためのファームウェア121を記録した記憶媒体が、顧客に提供されてもよい。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【0113】
[付記]
以下、記録紙処理装置、および記録紙処理装置の制御方法について付記する。
印刷装置1は、記録紙Pの第1面Paが外側となり第2面Pbが内側となるように記録紙Pが巻回されたロール紙Rから繰り出された記録紙Pの第1面Paと接し、記録紙Pを第2面Pb側に凸となるように屈曲させるデカール部材81と、デカール部材81を、記録紙Pを屈曲させる第1位置と、デカール部材81が第1位置に位置しているときよりもデカール部材81による記録紙Pの屈曲角度が小さくなる第2位置と、の間で移動させる移動機構85と、印刷装置1が第2状態であるか否かを判定し、第2状態であると判定すると、デカール部材81が第2位置に位置するように、移動機構85を制御する制御部100と、を備える。
【0114】
印刷装置1の制御方法は、記録紙Pの第1面Paが外側となり第2面Pbが内側となるように記録紙Pが巻回されたロール紙Rから繰り出された記録紙Pの第1面Paと接し、記録紙Pを第2面Pb側に凸となるように屈曲させるデカール部材81と、デカール部材81を、記録紙Pを屈曲させる第1位置と、デカール部材81が第1位置に位置しているときよりもデカール部材81による記録紙Pの屈曲角度が小さくなる第2位置と、の間で移動させる移動機構85と、を備えた印刷装置1の制御方法であって、印刷装置1が第2状態であるか否かを判定し、第2状態であると判定すると、デカール部材81が第2位置に位置するように、移動機構85を制御する。
【0115】
印刷装置1は、印刷装置1が第2状態となると、デカール部材81を第2位置に位置させるため、記録紙Pにデカール部材81による屈曲の癖が不要についてしまうことを抑制することができる。
【0116】
上記の印刷装置1において、制御部100は、印刷装置1が第2状態とは異なる第1状態であるか否かを判定し、第1状態であると判定すると、デカール部材81が第1位置に位置するように、移動機構85を制御することが好ましい。
【0117】
印刷装置1は、印刷装置1が第1状態となると、デカール部材81を第1位置に位置させるため、ロール紙Rの巻き癖を矯正することができる。
【0118】
上記の印刷装置1において、制御部100は、第1状態として、印刷装置1の電源が投入されたか否かを判定し、印刷装置1の電源が投入されたと判定すると、デカール部材81が第1位置に位置するように、移動機構85を制御し、第2状態として、印刷装置1の電源が切断されたか否かを判定し、印刷装置1の電源が切断されたと判定すると、デカール部材81が第2位置に位置するように、移動機構85を制御することが好ましい。
【0119】
印刷装置1は、電源が投入されると、デカール部材81を第1位置に位置させるため、ユーザーがデカール部材81を突出位置に移動させる手間を省くことができる。また、印刷装置1は、電源が切断されると、デカール部材81を第2位置に位置させるため、電源が切断されている時間が長くなっても、記録紙Pにデカール部材81の屈曲の癖がついてしまうことを抑制することができる。
【0120】
上記の印刷装置1において、記録紙Pを送る送り機構をさらに備え、制御部100は、第1状態として、送り機構の送りを開始させる命令を取得したか否かを判定し、送り機構の送りを開始させる命令を取得したと判定すると、デカール部材81が第1位置に位置するように、移動機構85を制御し、第2状態として、送り機構の停止時間が所定時間を超えたか否かを判定し、送り機構の停止時間が所定時間を超えたと判定すると、デカール部材81が第2位置に位置するように、移動機構85を制御することが好ましい。
【0121】
印刷装置1は、送り機構の送りを開始させる命令を取得すると、デカール部材81を第1位置に位置させるため、ユーザーがデカール部材81を突出位置に移動させる手間を省くことができる。また、印刷装置1は、送り機構の停止時間が所定時間を超えると、デカール部材81を第2位置に位置させる。これにより、印刷装置1は、送り機構の停止時間が長くなっても、記録紙Pにデカール部材81の屈曲の癖がついてしまうことを抑制することができる。
【0122】
上記の印刷装置1において、ロール紙Rの外径を検出する外径検出機構をさらに備え、制御部100は、第1状態として、外径検出機構によりロール紙Rの外径が所定の径未満であることが検出されたか否かを判定し、外径検出機構によりロール紙Rの外径が所定の径未満であることが検出されたと判定すると、デカール部材81が第1位置に位置するように、移動機構85を制御し、第2状態として、外径検出機構によりロール紙Rの外径が所定の径以上であることが検出されたか否かを判定し、外径検出機構によりロール紙Rの外径が所定の径以上であることが検出されたと判定すると、デカール部材81が第2位置に位置するように、移動機構85を制御することが好ましい。
【0123】
印刷装置1は、ロール紙Rの外径が所定の径未満であることが検出されたとき、すなわちロール紙Rの巻き癖がつきやすいときにはデカール部材81を第1位置に位置させるため、ユーザーがデカール部材81を突出位置に移動させる手間を省くことができる。また、印刷装置1は、ロール紙Rの外径が所定の径以上であることが検出されたとき、すなわちロール紙Rの巻き癖がつきにくいときにはデカール部材81を第2位置に位置させる。これにより、印刷装置1は、不要にデカール部材81を第1位置に位置させて、記録紙Pを送る送り機構の負荷を増大させてしまうことを抑制することができる。
【0124】
上記の印刷装置1において、記録紙Pを送る送り機構をさらに備え、制御部100は、送り機構の送りを開始させる命令を取得するたびに、印刷装置1が第1状態であるか否かを判定し、第1状態であると判定した場合は、送り機構の送りを開始させる前に、デカール部材81が第1位置に位置するように、移動機構85を制御することが好ましい。
【0125】
印刷装置1は、送り機構の送りを開始させる命令を取得するたびに印刷装置1が第1状態であるか否かを判定し、第1状態であると判定した場合は、送り機構の送りを開始させる前にデカール部材81を第1位置に位置させる。これにより、印刷装置1は、適切なタイミングでデカール部材81を機能させることができる。
【符号の説明】
【0126】
1…印刷装置、65…プラテンローラー、81…デカール部材、85…移動機構、100…制御部、210…光学式センサー、230…送りモーター、P…記録紙、Pa…第1面、Pb…第2面、R…ロール紙、θ…屈曲角度。

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