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特開2024-83745時計部品、時計および時計部品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083745
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】時計部品、時計および時計部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/12 20060101AFI20240617BHJP
   G04B 19/06 20060101ALI20240617BHJP
   G04B 19/10 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
G04B19/12 Z
G04B19/06 G
G04B19/06 B
G04B19/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197740
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】澤井 丈徳
(72)【発明者】
【氏名】釘本 愛海
(57)【要約】
【課題】日本刀の刀身の象徴的な要素である刃文を備えた時計部品を、高品質で、効率良く製造可能な時計部品の製造方法を提供すること。
【解決手段】時計部品の製造方法は、玉鋼に、マルテンサイト領域と、オーステナイト領域と、を形成した基材を準備する準備工程と、前記基材の裏面から切削加工によって、前記基材の厚みを薄くする切削工程と、薄くした前記基材を、レーザー加工で時計部品の形に切り抜く切抜き工程と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
玉鋼に、マルテンサイト領域と、オーステナイト領域と、を形成した基材を準備する準備工程と、
前記基材の裏面から切削加工によって、前記基材の厚みを薄くする切削工程と、
薄くした前記基材を、レーザー加工で時計部品の形に切り抜く切抜き工程と、
を含む、時計部品の製造方法。
【請求項2】
前記準備工程では、
前記基材の表面に温度調整部材を薄く塗布した第1領域と、前記第1領域より厚く前記温度調整部材を塗布した第2領域とを設け、
前記基材を加熱した後、冷却することにより、前記マルテンサイト領域と、前記オーステナイト領域と、を形成する、
請求項1に記載の時計部品の製造方法。
【請求項3】
前記切抜き工程では、
前記マルテンサイト領域と前記オーステナイト領域とで、前記レーザー加工の照射条件を変化させ、
前記マルテンサイト領域を加工するときの照射条件は、前記オーステナイト領域を加工するときよりも照射エネルギー量が大きい、
請求項1または2に記載の時計部品の製造方法。
【請求項4】
前記基材は矩形であり、
前記基材には、前記時計部品が複数個面付けされる、
請求項1または2に記載の時計部品の製造方法。
【請求項5】
前記準備工程の後に、
前記基材の表面に、保護膜を形成する工程を、さらに有する、
請求項4に記載の時計部品の製造方法。
【請求項6】
前記切抜き工程では、
前記マルテンサイト領域の面積が、前記オーステナイト領域の面積よりも小さくなるように、前記切抜きが行われる、
請求項4に記載の時計部品の製造方法。
【請求項7】
前記時計部品は、文字板であり、
前記切削工程の後に、前記文字板の前記オーステナイト領域に、前記レーザー加工により、指針軸が挿通される貫通孔を形成する穿孔工程を、さらに有する、
請求項1または2に記載の時計部品の製造方法。
【請求項8】
前記穿孔工程、および、前記切抜き工程においては、
前記基材における前記時計部品となる部分を除いた周辺部分を固定して、各工程を行う、
請求項7に記載の時計部品の製造方法。
【請求項9】
玉鋼を素材とした時計部品であって、
前記時計部品は、マルテンサイト領域と、前記マルテンサイト領域よりも硬度が低いオーステナイト領域と、を備える、
時計部品。
【請求項10】
前記時計部品は、文字板であり、
前記文字板の厚みは、一定である、
請求項9に記載の時計部品。
【請求項11】
前記文字板は、指針軸が挿通される貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記オーステナイト領域に設けられる、
請求項10に記載の時計部品。
【請求項12】
前記オーステナイト領域と前記マルテンサイト領域との面積比は、6:4である、
請求項11に記載の時計部品。
【請求項13】
前記マルテンサイト領域と前記オーステナイト領域との境界線は、
前記文字板の12時と6時を結ぶ線に沿って設けられる、
請求項11に記載の時計部品。
【請求項14】
請求項10または11に記載の文字板を備える、
時計。
【請求項15】
請求項10または11に記載の文字板と、
第1バンドと、前記第1バンドと係合する第2バンドと、を備え、
前記第1バンドおよび前記第2バンドは、共に前記マルテンサイト領域および前記オーステナイト領域を有し、
前記境界線は、前記第1バンドおよび前記第2バンドに繋がるように配置される、
時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計部品、時計および時計部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
時計は、時刻を確認する実用性に加え、ユーザーが愛用する嗜好品としての面も備えている。例えば、特許文献1には、日本刀用の鍔を文字板とすることで、鍔の鑑賞とともに時刻表示を行うことができる置き時計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3219219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の時計は、日本刀の鍔を置時計の文字板として用いるものであるため、腕時計や懐中時計などに利用することは困難であった。つまり、腕時計などに利用可能で、日本刀の刀身の要素を用いた時計部品が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願に係る一態様の時計部品の製造方法は、玉鋼に、マルテンサイト領域と、オーステナイト領域と、を形成した基材を準備する準備工程と、前記基材の裏面から切削加工によって、前記基材の厚みを薄くする切削工程と、薄くした前記基材を、レーザー加工で時計部品の形に切り抜く切抜き工程と、を含む。
【0006】
本願に係る一態様の時計部品は、玉鋼を素材とした時計部品であって、前記時計部品は、マルテンサイト領域と、前記マルテンサイト領域よりも硬度が低いオーステナイト領域と、を備える。
【0007】
本願に係る一態様の時計は、時計部品としての上記文字板と、第1バンドと、前記第1バンドと係合する第2バンドと、を備え、前記第1バンドおよび前記第2バンドは、共に前記マルテンサイト領域および前記オーステナイト領域を有し、前記境界線は、前記第1バンドおよび前記第2バンドに繋がるように配置される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る時計の正面図。
図2】基材の平面図。
図3】基材の準備工程の流れを示すフローチャート図。
図4図2のb-b断面における断面図。
図5】文字板の製造工程の流れを示すフローチャート図。
図6】レーザー加工装置の概略構成図。
図7】文字板の製造過程における一態様図。
図8】文字板の製造過程における一態様図。
図9図8のc-c断面における断面図。
図10】実施形態2に係る時計の正面図。
図11】実施形態3に係る時計の正面図。
図12】時計の背面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態1
***時計の概要***
図1は、時計の正面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0010】
本実施形態の時計100は、3針式のアナログ式の腕時計である。
時計100は、胴5、文字板30、時針1、分針2、秒針3、リュウズ9、第1バンド11、第2バンド12などから構成されている。
胴5は、ケースであり、ステンレスや、チタンなどの硬質金属から構成されている。なお、胴5における文字板30の背面には、指針を駆動するためのムーブメント(図示せず)が収納されている。胴5の3時側には、リュウズ9が設けられている。
【0011】
胴5の1時側、および、11時側には、一対のかん6が設けられている。一対のかん6には、第1バンド11が取付けられている。第1バンド11は、複数の金属製の駒を連結した金属バンドである。同様に、胴5の5時側、および、7時側には、一対のかん7が設けられている。一対のかん7には、第2バンド12が取付けられている。第2バンド12は、第1バンド11と同様な金属バンドである。
文字板30には、時目盛13、日付窓14などが設けられている。なお、文字板30には、ロゴや、分目盛などが設けられていても良い。円形をなした文字板30の中央には、指針の軸を通す貫通孔8が形成されており、時針1、分針2、秒針3が取付けられている。なお、図1では、時計100は、時針1、分針2、秒針3を備える3針式のアナログ時計としているが、これに限定するものではなく、文字板を備えた時計であれば良く、例えば、デジタル時計や、スマートウォッチであっても良い。
【0012】
ここで、文字板30は、日本刀と同じ玉鋼を材料として用いており、後述の焼刃土塗布工程や、加熱冷却工程を含む基材の準備工程で形成された刃文風の模様23を備えている。なお、玉鋼とは、古式製鉄法であるたたら製鉄法によって製錬されて日本刀の素材となる鋼であり、主成分の90%以上が鉄であり、その他は炭素等で構成される。
模様23は、波状の線分であり、マルテンサイト領域21と、マルテンサイト領域21よりも硬度が低いオーステナイト領域22との境界線を示している。実際の模様は、黒味掛った地金のオーステナイト領域22に対する、白味掛ったマルテンサイト領域21の色味の違いにより、刃文風の模様23が視認されるが、説明の便宜上、両者の境界線を模様23として説明する。以下の説明でも同様である。また、模様23を波状に実線で示しているが、実際の境界部分は、グラデーション状に変化する部分を含んでいる。なお、模様23は、波状に限定するものではなく、例えば、直線状の直刃を模した模様であっても良い。この模様であっても、黒味掛った地肌のオーステナイト領域22に対して、白味掛ったマルテンサイト領域21の色味の違いにより、刃文風の模様を視認することができる。
【0013】
図1の事例では、マルテンサイト領域21とオーステナイト領域22との境界である模様23は、文字板30の約11時30分と約6時30分とを結んで設けられている。換言すれば、文字板30は、玉鋼を素材とした時計部品であり、マルテンサイト領域21と、マルテンサイト領域21よりも硬度が低いオーステナイト領域22とを備える。そして、模様23は、文字板30の12時と6時を結ぶ線に沿って設けられている。
好適例では、オーステナイト領域22とマルテンサイト領域21との面積比は、6:4としている。なお、この比率に限定するものではなく、オーステナイト領域22の面積が、マルテンサイト領域21の面積よりも大きければ良い。
また、貫通孔8や、日付窓14など、文字板30に穴を開ける必要がある部分は、加工の容易性の観点から、オーステナイト領域22に配置することが好ましい。
【0014】
***基材の製造方法***
図2は、基材の平面図である。図3は、基材の準備工程の流れを示すフローチャート図である。図4は、図2のb-b断面における断面図である。
ここでは、文字板30の製造方法の説明に先立ち、マルテンサイト領域21とオーステナイト領域22とが形成され、複数個の文字板30が面付けされる基材40の製造方法について説明する。
【0015】
図2に示すように、基材40は、略長方形をなした板状の部材であり、基材40には、その長辺の延在方向に沿って2つの文字板30が面付けされる。文字板30の直径は、例えば、約33mmである。なお、この数値に限定するものではなく、時計のサイズやデザインに応じて、適宜、設定すれば良い。また、文字板の形状も円形に限定するものではなく、トノ-型を含む四角形や、多角形の文字板であっても良い。また、面付け数は、2個に限定するものではなく、複数であれば良く、例えば、3個や、4個であっても良い。
換言すれば、基材40は矩形であり、基材40には、時計部品としての文字板30が複数個面付けされる。
【0016】
基材40は、その短辺の延在方向において、下側にオーステナイト領域22が形成されており、上側にマルテンサイト領域21が形成されている。オーステナイト領域22とマルテンサイト領域21との面積比は、約6:4に設定されている。これは、マルテンサイト領域21となる第1領域の面積が大きすぎると、後述の加熱冷却工程における冷却時に、マルテンサイト領域21とオーステナイト領域22とにおける内部応力の差が生じてクラックが生じてしまうからである。よって、基材40のロスを最小限に抑えつつ、クラックを生じさせないためには、マルテンサイト領域21は、オーステナイト領域22よりも小さいことが望ましい。
また、基材40の厚さは、例えば、約0.4mmに加工されている。なお、この数値に限定するものではない。そして、基材40の表面40aは、研磨されて刃文風の模様23が視認し得る状態となっている。
【0017】
続いて、このような基材40の製造方法について、図3を用いて説明する。
ステップS11では、たたら製鉄と呼ばれる古式製鉄法によって素材となる玉鋼を製造する。
ステップS12では、玉鋼を加熱しながら薄く延ばし焼入れして小割りにする、所謂、水圧し工程を行う。
ステップS13では、小割りにした素材に泥と藁灰をかけて溶融寸前まで加熱して叩く、所謂、鍛錬工程を行う。鍛錬工程は、複数回繰返し行われる。これにより、炭素含有量の調整やスラグ分の除去、組織の調整が行われる。
ステップS14では、鍛錬工程の仕上げとして素材の形状を基材40の形状に整える。例えば、図2に示すような、長方形状に整える。
【0018】
ステップS15では、基材40の表面40aに、温度調整部材42を塗布する焼刃土塗布工程を行う。温度調整部材42は、耐火性粘土に、松炭、砥石の粉末などを加えて良く練った焼刃土である。図4に示すように、温度調整部材42は、好適例では、基材40の表面40aの全面に塗布するが、マルテンサイト領域21となる第1領域には薄く塗布され、オーステナイト領域22となる第2領域には、第1領域よりも厚く塗布される。詳しくは、マルテンサイト領域21となる第1領域には厚さt1で塗布され、オーステナイト領域22となる第2領域には、厚さt1よりも厚い厚さt2で塗布する。例えば、厚さt1は約0.1mm~0.2mmで、厚さt2は約1.0mmとする。なお、この厚さに限定するものではない。なお、日本刀の場合、焼刃土を刀身の表裏両面に塗布するが、文字板となる基材40の場合は、表面40aに刃文風の模様が形成されれば良いため、裏面40bには温度調整部材42を塗布する必要がない。また、第2領域には温度調整部材42が必要であるが、第1領域には温度調整部材42はなくても良い。これは、後述の焼き入れ工程において、2つの領域間で冷却時間の差が付けば、オーステナイト領域22とマルテンサイト領域21との作り分けが可能と考察されるからである。
【0019】
また、温度調整部材42の塗布は、好適例では、熟練した職人の手作業により行われる。これにより、唯一無二の刃文風の模様23が形成される。なお、手作業に限定するものではなく、第1領域と第2領域とで、温度調整部材42の厚さを変えた塗布が可能な方法であれば良く、例えば、スクリーン印刷で塗布しても良い。この場合、基材40の表面40aの全面に、スクリーン印刷により厚さt1の温度調整部材42を塗布した後、第2領域が選択的に開口されたマスクを用いて、厚さt2になるまで温度調整部材42を重ねて塗布する。これによれば、均質感のある刃文風の模様23が形成される。また、スクリーン印刷に限定するものではなく、ディスペンサーや、インクジェット法を用いて、温度調整部材42の塗布することでも良い。これらの方法によれば、焼刃土塗布工程を効率的に行うことができる。
【0020】
ステップS16では、温度調整部材42の塗布された基材40を炉で加熱した後、水中に投入して急冷する加熱冷却工程を行う。加熱温度は、727℃以上が好ましい。これにより、温度調整部材42が薄い第1領域の方が、第2領域よりも早く冷却されるため、鉄原子に炭素原子が入り込んだマルテンサイト組織となりマルテンサイト領域21が形成される。他方、第2領域は、マルテンサイトよりも硬度が低いオーステナイト組織となり、オーステナイト領域22が形成される。なお、焼刃土塗布工程、および、加熱冷却工程は、焼き入れ工程に相当する。
【0021】
ステップS17では、温度調整部材42を除去した後、砥石の粗さを変えながら基材40の表面40aを研磨する研磨工程を行う。具体的には、粒度の小さい砥石から、段階的に、粒度の大きい砥石に変えて表面40aを磨き上げる。なお、砥石による手作業の研磨に限定するものではなく、基材40の表面40aを研磨可能な方法であれば良く、例えば、ポリッシャーや、ラップ盤などの研磨機を用いても良い。これによれば、研磨工程を効率的に行うことができる。
【0022】
以上の工程により、図2に示すように、マルテンサイト領域21とオーステナイト領域22とが形成され、複数個の文字板30が面付け可能な基材40が準備される。
換言すれば、基材40の準備工程では、基材40の表面40aに、温度調整部材42を薄く塗布した第1領域と、第1領域より厚く温度調整部材42を塗布した第2領域とを設け、基材40を加熱した後、冷却することにより、マルテンサイト領域21と、オーステナイト領域22とを形成する。
【0023】
***文字板の製造方法***
図5は、文字板の製造工程の流れを示すフローチャート図である。図6は、レーザー加工装置の概略構成図である。図7は、文字板の製造過程における一態様図である。図8は、文字板の製造過程における一態様図である。図9は、図8のc-c断面における断面図である。
ここでは、基材の準備工程で形成した基材40から文字板30を製造する工程を図5を中心に説明する。
【0024】
ステップS21は、図3で説明した基材40の準備工程の内容と同じである。
ステップS22では、基材40に保護膜を貼り付ける。具体的には、図7に示すように、基材40の表面40aに、文字板30となる部分を覆うように保護膜としての保護フィルム45を貼付ける。保護フィルム45は、例えば、透明なポリエステル系フィルムなどを用いることができる。なお、基材40の表面40aの全面に、保護フィルム45を貼付けても良い。
【0025】
ステップS23では、基材40を裏面40bから切削して、基材40の厚さを薄くする。好適例では、基材40の裏面40bをフライス盤で削り、基材40の厚さを均一にする。基材40の厚さは、文字板30の設計厚さと同じ寸法の、例えば、約0.4mmとする。この際、基材40の表面40aが下になった状態で加工が行われるが、保護フィルム45により表面40aに傷が付くことはない。換言すれば、文字板30の厚みは、一定である。
【0026】
ステップS24では、基材40の両端に一対の基準穴43を開ける。図7に示すように、一対の基準穴43は、文字板30を加工する際の位置決め穴であり、基材40の各短辺の脇に設けられる。好適例では、基準穴43は、ボール盤により所定の位置に穿孔される。図7に示すように、一対の基準穴43は、オーステナイト領域22に位置しているため、穿孔は容易である。また、基準穴43の穿孔の後、ボール盤により、基材40の裏面40bに位置決めピンの取付け穴34(図9)を2ヶ所形成する。取付け穴34は、貫通穴ではなく、文字板30の厚さの半分位まで掘り込んだめくら穴である。
【0027】
ステップS25からステップS26は、図6に示すレーザー加工装置90により行われる。まず、レーザー加工装置90の構成について説明する。
レーザー加工装置90は、レーザー発振器81、伝送光学系82、照射ユニット83、加工テーブル85、制御装置87などから構成される。
レーザー発振器81は、赤外線レーザー発振器を採用している。好適例では、フェムト秒レーザーに対応した固体レーザー発振器を用いる。なお、これに限定するものではなく、赤外線レーザー発振器であれば良く、気体レーザー、半導体レーザー、液体レーザーなどの発振器を用いても良い。
伝送光学系82は、レーザー発振器81で生成されたレーザー光を照射ユニット83に伝送する光路であり、複数枚の反射ミラーを含んで構成されている。
【0028】
照射ユニット83は、レーザー光を集光して加工対象物に照射する照射ノズルであり、集光レンズを含んで構成されている。
加工テーブル85は、XYテーブルであり、制御装置87からの指示に従い、載置された加工対象物をレーザー照射の走査経路パターンに応じて平面移動させる。
制御装置87は、レーザー加工装置90のコントローラーであり、1つ又は複数のプロセッサーを含んで構成され、各部の動作を統括制御する。制御装置87は、不揮発性メモリーを含む記憶部88を備えている。記憶部88には、レーザー加工装置90の動作を制御する制御プログラムや、各種データなどが記憶されている。各種データには、加工部位ごとの照射条件や、走査経路パターンデータが記憶されている。なお、照射条件としては、出力周波数、走査速度、レーザー出力、走査パスピッチなどのパラメーターがある。
【0029】
ステップS25では、図7に示すように、文字板30の中心位置に、指針軸が挿通される貫通孔8を形成する。具体的には、図6に示すように、レーザー加工装置90の加工テーブル85の上に基材40をセットし、フェムト秒レーザー照射により貫通孔8を形成する。なお、加工テーブル85には、基材40の一対の基準穴43に対応する一対の位置決めピン(図示せず)が設けられており、基材40は、当該一対の位置決めピンにより位置出しされた状態で固定される。フェムト秒レーザーは、パルス幅が小さく、基材40に熱が伝わるよりも速くレーザー照射を済ませられるため、熱の影響による基材40の表面40aのひび割れ等を防ぎ、綺麗な貫通孔8を形成することができる。なお、貫通孔8の形成後、日付窓14もフェムト秒レーザー照射を用いて形成する。図7は、この状態を示している。図7に示すように、貫通孔8、日付窓14共に、オーステナイト領域22に位置しているため、穿孔は容易である。
【0030】
ステップS26では、基材40から文字板30を切り出す。切り出しは、図7の点線で示す文字板30の円形状に沿って、フェムト秒レーザー照射を複数回行うことにより、行われる。この際、マルテンサイト領域21とオーステナイト領域22とで、レーザー照射の照射条件を変化させる。詳しくは、マルテンサイト領域21を加工するときの照射条件は、オーステナイト領域22を加工するときよりも照射エネルギー量を大きくする。換言すれば、硬度の高いマルテンサイト領域21を加工するときの出力は、オーステナイト領域22を加工するときの出力よりも大きくする。図8は、切り出された単品の文字板30の平面図であり、オーステナイト領域22とマルテンサイト領域21との面積比が6:4となっている。換言すれば、切抜き工程では、マルテンサイト領域21の面積が、オーステナイト領域22の面積よりも小さくなるように、切抜きが行われる。
【0031】
換言すれば、時計部品としての文字板30の製造方法は、玉鋼に、マルテンサイト領域21とオーステナイト領域22と、を形成した基材40を準備する準備工程と、基材40の裏面40bから切削加工によって、基材40の厚みを薄くする切削工程と、薄くした基材40を、レーザー加工で時計部品としての文字板30の形に切り抜く切抜き工程と、を含む。また、切抜き工程では、マルテンサイト領域21とオーステナイト領域22とで、レーザー加工の出力を変化させ、マルテンサイト領域21を加工するときの出力は、オーステナイト領域22を加工するときの出力よりも大きくする。また、穿孔工程と、切抜き工程とにおいては、基材40における時計部品としての文字板30となる部分を除いた周辺部分に設けられた一対の基準穴43を固定して、各工程を行う。
【0032】
ステップS27では、ステップS24で形成された文字板30の裏面30bの一対の取付け穴34に、図9に示すように、位置決めピン35を勘合させて取付ける。図8に示すように、位置決めピン35は、オーステナイト領域22における文字板30の1時側と、5時側とに取付けられる。なお、取付け後に、位置決めピン35の勘合部を接着剤や、ロウ付けにより補強しても良い。位置決めピン35は、文字板30の位置決めピンであり、文字板30が載置されるムーブメント(図示せず)には、一対の位置決めピン35と対応する位置に、一対の位置合わせ穴が設けられている。
【0033】
ステップS28では、文字板30の表面30aに、保護膜36をコーティングする。保護膜36としては、表面30aの錆を防止するために、例えば、ポリシラザンをコーティングする。なお、これに限定するものではなく、例えば、DLC(Diamond-Like Carbon)コーティングや、ALD(Atomic Layer Deposition)コーティングを施しても良い。これらのコーティングを施すことにより、表面30aの模様23を損なわずに防錆効果を得ることができる。
ステップS29では、文字板30の表面30aに、時目盛13が取付けられる。時目盛13は、好適例では、両面テープ、または、接着剤により表面30aに取付けられる。なお、植字タイプの時目盛を用いる場合は、フェムト秒レーザー照射により、文字板30の表面30aに取付け孔を形成してから、時目盛を取付ける。
【0034】
以上、述べた通り、本実施形態の時計部品としての文字板30の製造方法、文字板30、時計100によれば、以下の効果を得ることができる。
時計部品としての文字板30の製造方法は、玉鋼に、マルテンサイト領域21とオーステナイト領域22と、を形成した基材40を準備する準備工程と、基材40の裏面40bから切削加工によって、基材40の厚みを薄くする切削工程と、薄くした基材40を、レーザー加工で時計部品としての文字板30の形に切り抜く切抜き工程と、を含む。
【0035】
玉鋼は硬度が高いため、切抜き工程にフライス盤を用いた場合、表面に傷が生じたり、輪郭線がギザギザになってしまうという課題があった。これに対して、切抜き工程をレーザー加工で行うことにより、傷の発生がなく、輪郭もきれいに仕上げることができる。
他方、外観部分ではない基材40の裏面40bの切削工程は、例えば、フライス盤を用いて切削して薄くすることにより、レーザー加工よりも広範囲を短時間で効率良く加工することができる。
そして、完成した文字板30におけるマルテンサイト領域21は、日本刀の刀身の刃文に相当する模様23を呈する。
従って、腕時計などに利用可能で、日本刀の刀身の象徴的な要素である刃文を有する時計部品としての文字板30を、高品質で、効率良く製造可能な時計部品の製造方法を提供することができる。
【0036】
また、基材40の準備工程では、基材40の表面40aに、温度調整部材42を薄く塗布した第1領域と、第1領域より厚く温度調整部材42を塗布した第2領域とを設け、基材40を加熱した後、冷却することにより、マルテンサイト領域21と、オーステナイト領域22とを形成する。
これによれば、基材40の表面40aに、マルテンサイト領域21とオーステナイト領域22とが形成されるため、日本刀の刀身の刃文風の模様23を備えた時計部品としての文字板30を切り出すことができる。
【0037】
また、切抜き工程では、マルテンサイト領域21とオーステナイト領域22とで、レーザー加工の照射条件を変化させ、マルテンサイト領域21を加工するときの照射条件は、オーステナイト領域22を加工するときよりも照射エネルギー量を大きくする。照射エネルギー量を大きくするためには、例えば、レーザー出力を上げる、パルス幅を長くするなどの条件変更が選択し得る。
これによれば、硬度に応じてレーザー照射の照射条件を変化させるため、切抜き工程を効率良く行うことができる。
【0038】
また、基材40は矩形であり、基材40には、時計部品としての文字板30が複数個面付けされる。
これによれば、基材40から効率良く文字板30を切り出せるため、貴重な玉鋼から構成される基材40を無駄なく使うことができる。
【0039】
また、基材40の準備工程の後に、基材40の表面40aに、保護膜としての保護フィルム45を形成する工程を、さらに有する。
これによれば、次工程の切削工程や、それ以降の工程において、基材40の表面40aに傷が付くことを防止できる。
【0040】
また、切抜き工程では、マルテンサイト領域21の面積が、オーステナイト領域22の面積よりも小さくなるように、切抜きが行われる。
これによれば、基材40にクラックを生じさせることなく、基材40のロスを最小限に抑えることができる。
【0041】
また、時計部品は、文字板30であり、切削工程の後に、文字板30のオーステナイト領域22に、レーザー加工により、指針軸が挿通される貫通孔8を形成する穿孔工程を、さらに有する。
これによれば、貫通孔8は、オーステナイト領域22に位置しているため、穿孔工程における穿孔は容易である。
【0042】
また、穿孔工程と、切抜き工程とにおいては、基材40における時計部品としての文字板30となる部分を除いた周辺部分に設けられた一対の基準穴43を固定して、各工程を行う。
これによれば、基材40の周辺部分に一対の基準穴43を設けて、位置出し固定するため、貴重な玉鋼から構成される基材40を無駄なく使うことができる。
【0043】
また、玉鋼を素材とした時計部品としての文字板30であって、文字板30は、マルテンサイト領域21と、マルテンサイト領域21よりも硬度が低いオーステナイト領域22と、を備える。
これによれば、文字板30は、日本刀の刀身の刃文に相当する模様23を呈するマルテンサイト領域21を備える。
従って、腕時計などに利用可能で、日本刀の刀身の象徴的な要素である刃文を有する時計部品を提供することができる。
【0044】
また、時計部品は文字板30であり、文字板30の厚みは一定である。
日本刀は刃物であるため、その厚みは刃文周辺から刃先にかけて薄くなるが、時計部品では厚みは一定で良く、この構成により、刃文風の模様23をデザインとして利用することができる。
【0045】
また、文字板30は、指針軸が挿通される貫通孔8を有し、貫通孔8は、オーステナイト領域22に設けられる。
これによれば、貫通孔8は、オーステナイト領域22に位置しているため、穿孔は容易である。
【0046】
また、オーステナイト領域22とマルテンサイト領域21との面積比は、6:4である。これによれば、基材40にクラックを生じさせることなく、基材40のロスを最小限に抑えることができる。
【0047】
また、マルテンサイト領域21とオーステナイト領域22との境界線は、文字板30の12時と6時を結ぶ線に沿って設けられる。好適例では、文字板30の約11時30分と約6時30分とを結んで設けられる。
これによれば、文字板30の左側に、半月状の模様23を得ることができる。
【0048】
また、時計100は、文字板30を備える。
従って、日本刀の刀身の象徴的な要素である刃文を有する時計部品としての文字板30を備えた時計100を提供することができる。換言すれば、本物志向の日本刀の要素を備えた文字板30、時計100を提供することができる。
【0049】
実施形態2
***異なる形態-1***
図10は、実施形態2に係る時計の正面図であり、図1に対応している。
上記実施形態では、時計100の文字板30に刃文風の模様23を設けるものとして説明したが、これに限定するものではなく、例えば、バンドにも刃文風の模様を設けても良い。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0050】
図10に示すように、本実施形態の時計110は、上記の文字板30に加えて、刃文風の模様24を有する第1バンド51、第2バンド52を備えている。
第1バンド51は、玉鋼を素材とした複数の駒17から構成されている。駒17は、文字板30と同様に、玉鋼を素材とした基材から切り出された時計部品であり、図10に示すように、マルテンサイト領域21とオーステナイト領域22とを備え、その境界線に沿って刃文風の模様24を備えている。なお、基材のサイズは、駒17の幅に合わせた細長い長方形となるが、焼き入れ工程を含む準備工程は、図3での説明と同様である。また、基材から駒17を切出す工程などは、切出し形状以外は、図5での説明と略同様である。
【0051】
図10に示すように、第1バンド51における刃文風の模様24は、文字板30の模様23の上側に繋がるように配置されている。
同様に、第2バンド52も、玉鋼を素材とした複数の駒17から構成されている。駒17は、第1バンド51の駒17と同じ駒であり、刃文風の模様24を備えている。
図10に示すように、第2バンド52における刃文風の模様24は、文字板30の模様23の下側に繋がるように配置されている。
換言すれば、時計110は、文字板30と、第1バンド51と、第1バンド51と係合する第2バンド52と、を備え、第1バンド51および第2バンド52は、共にマルテンサイト領域21およびオーステナイト領域22を有し、境界線となる模様24は、文字板30の模様23を介して第1バンド51および第2バンド52に繋がるように配置される。
【0052】
以上、述べた通り、本実施形態の時計110によれば、上記実施形態での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
時計110は、文字板30と、第1バンド51と、第1バンド51と係合する第2バンド52と、を備え、第1バンド51および第2バンド52は、共にマルテンサイト領域21およびオーステナイト領域22を有し、境界線となる模様24は、文字板30の模様23を介して第1バンド51および第2バンド52に繋がるように配置される。
【0053】
これによれば、時計110の11:30から6:30を結ぶ線分に沿って、第1バンド51、文字板30、第2バンド52を連ねる1本の刃文風の模様24,23,24が形成される。
従って、日本刀の刀身の象徴的な要素である刃文を有する時計110を提供することができる。
【0054】
実施形態3
***異なる形態-2***
図11は、実施形態3に係る時計の正面図であり、図1に対応している。図12は、時計の正面図である。
上記実施形態では、刃文風の模様23は、直線に沿った波模様であるものとして説明したが、これに限定するものではなく、例えば、円弧や、曲線に沿った模様であっても良い。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0055】
図11に示す、本実施形態の時計120は、表面には文字板38を、裏面には回転錘80(図12)を備えており、回転錘80の回転によりゼンマイを巻き上げて時刻を表示するアナログ式の機械時計である。
文字板38には、パワーリザーブ表示49、マーク47、ロゴ48、模様25などが設けられている。パワーリザーブ表示49は、時計120を放置した状態で計時が止まるまでの駆動可能時間を示すインジケーターである。図11では、文字板38の11時から1時の方向に扇型のパワーリザーブ表示部が設けられている。
マーク47は、例えば、アルファベットのSをデザインしたマークであり、3時側に設けられている。ロゴ48は、マーク47と対となる商品ロゴであり、マーク47の下に配置されている。なお、マーク47、ロゴ48の位置は、この位置に限定されない。
【0056】
文字板38は、その9時側に、三日月状の刃文風の模様25を備えている。文字板38は、文字板30と同様な工程で製造され、マルテンサイト領域21とオーステナイト領域22とを備えており、その境界に模様25が形成される。模様の違いは、焼刃土塗布工程における温度調整部材42の塗布の仕方により調整することができる。
模様25は、6時から12時の範囲において文字板38の外周の円弧に沿って三日月状に設けられている。なお、円弧に限定するものではなく、曲線に沿って模様が設けられることでも良い。
【0057】
図12に示すように、時計120は、裏面がスケルトン構造となっており、胴5には、透明な裏蓋56が取り付けられている。裏蓋56を介して、回転錘80が観察される。
回転錘80は、半円状の本体75と、本体75の外周の円弧に沿って取り付けられた錘部76とから構成される。錘部76は、円弧に沿った帯状の部材であり、本体75に対して3つの固定ピン77で固定されており、本体75と一体化されている。
錘部76は、その3時側に、三日月状の刃文風の模様26を備えている。錘部76は、文字板30と同様な工程で製造され、マルテンサイト領域21とオーステナイト領域22とを備えており、その境界に模様26が形成される。模様26は、錘部76の内周側の円弧と、外周側の円弧との間に設けられている。
【0058】
なお、刃文風の模様が形成される時計部品としては、文字板、バンド、回転錘に限定するものではなく、模様が形成可能な時計部品であれば良く、例えば、胴、裏蓋、受け板や、ベゼルであっても良い。
【0059】
以上、述べた通り、本実施形態の時計120によれば、上記実施形態での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
時計120は、三日月状の模様25を有する文字板38と、三日月状の模様26を有する回転錘80とを備える。換言すれば、時計120の表裏面には、三日月状の刃文風の模様25,26が設けられている。また、刃文風の模様は、時計120のような多軸、多機能の時計にも適用することができる。
従って、日本刀の刀身の象徴的な要素である刃文を有する時計120を提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
1…時針、2…分針、3…秒針、5…胴、8…貫通孔、9…リュウズ、11…第1バンド、12…第2バンド、13…時目盛、14…日付窓、17…駒、21…マルテンサイト領域、22…オーステナイト領域、23…模様、24…模様、25…模様、26…模様、30…文字板、30a…表面、30b…裏面、34…取付け穴、35…位置決めピン、36…保護膜、38…文字板、40…基材、40a…表面、40b…裏面、42…温度調整部材、43…基準穴、45…保護フィルム、47…マーク、48…ロゴ、49…パワーリザーブ表示、51…第1バンド、52…第2バンド、75…本体、76…錘部、77…固定ピン、80…回転錘、81…レーザー発振器、82…伝送光学系、83…照射ユニット、85…加工テーブル、87…制御装置、88…記憶部、90…レーザー加工装置、100,110,120…時計。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12