(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083746
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】可塑化装置、三次元造形装置、および射出成形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/17 20060101AFI20240617BHJP
B29C 45/03 20060101ALI20240617BHJP
B29C 45/54 20060101ALI20240617BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240617BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20240617BHJP
B29C 64/329 20170101ALI20240617BHJP
B29C 64/343 20170101ALI20240617BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20240617BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240617BHJP
B29C 45/76 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C45/03
B29C45/54
B33Y30/00
B29C64/118
B29C64/329
B29C64/343
B29C64/393
B33Y50/02
B29C45/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197741
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】北原 明
【テーマコード(参考)】
4F206
4F213
【Fターム(参考)】
4F206AP19
4F206AQ01
4F206JA07
4F206JC08
4F206JD01
4F206JF46
4F206JL02
4F206JN03
4F206JP14
4F206JP30
4F206JQ90
4F213AL01
4F213AL10
4F213AL13
4F213AL21
4F213AP19
4F213AQ01
4F213WA25
4F213WB01
4F213WF29
4F213WF46
4F213WL02
4F213WL74
(57)【要約】
【課題】投入口から投入された材料が透明部材に付着する可能性を小さくすることができる可塑化装置を提供する。
【解決手段】材料を貯留し、前記材料を投入口から排出する材料貯留部と、スクリュー、および、前記スクリューを収容し、前記投入口と連通する供給口が形成されたケースを有し、前記材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、透明部材を有し、前記投入口と前記供給口とを連通させる接続部材と、前記透明部材を介して前記供給口に向けて光を発する発光部、および前記光の反射光を受光する受光部を有し、前記材料の残量を検出する材料センサーと、を含み、前記接続部材は、前記投入口から投入された前記材料が当たる材料衝突部を有し、前記材料衝突部は、前記投入口と前記透明部材との間に設けられている、可塑化装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を貯留し、前記材料を投入口から排出する材料貯留部と、
スクリュー、および、前記スクリューを収容し、前記投入口と連通する供給口が形成されたケースを有し、前記材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、
透明部材を有し、前記投入口と前記供給口とを連通させる接続部材と、
前記透明部材を介して前記供給口に向けて光を発する発光部、および前記光の反射光を受光する受光部を有し、前記材料の残量を検出する材料センサーと、
を含み、
前記接続部材は、前記投入口から投入された前記材料が当たる材料衝突部を有し、
前記材料衝突部は、前記投入口と前記透明部材との間に設けられている、可塑化装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記接続部材は、側壁部を有し、
前記材料衝突部は、前記側壁部から、前記材料の投入方向に交差する方向であって、前記供給口に近づく方向に延在し、
前記側壁部には、開口部が形成され、
前記透明部材は、前記開口部に設けられている、可塑化装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記材料衝突部は、前記材料の投入方向に交差する方向に延在し、
前記透明部材は、前記材料衝突部の延在方向とは異なる方向であって、前記投入方向に交差する方向に延在し、
前記透明部材の少なくとも一部は、前記投入方向からみて前記材料衝突部と重なる、可塑化装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記透明部材は、着脱可能に構成されている、可塑化装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記接続部材は、前記反射光が通過する他の透明部材を有する、可塑化装置。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記材料センサーは、測定範囲が予め定められている、可塑化装置。
【請求項7】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記スクリューには、溝が形成され、
前記材料センサーは、前記溝の前記材料を検出する、可塑化装置。
【請求項8】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記材料貯留部は、
貫通孔が形成されたスライド部材と、
前記スライド部材をスライドさせるスライド駆動部と、
を有し、
前記スライド駆動部は、前記スライド部材をスライドさせることで、
前記貫通孔と前記投入口とが連通し、前記投入口から前記接続部材に前記材料が投入される第1状態と、
前記貫通孔と前記投入口とが連通せず、前記投入口から前記接続部材に前記材料が投入されない第2状態と、
に切り替える、可塑化装置。
【請求項9】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の可塑化装置と、
前記可塑化装置から供給された前記可塑化材料をステージに向けて吐出するノズルと、
を含む、三次元造形装置。
【請求項10】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の可塑化装置と、
前記可塑化装置から供給された前記可塑化材料を成形型に向けて射出するノズルと、
を含む、射出成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可塑化装置、三次元造形装置、および射出成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可塑化装置によって可塑化された材料をステージに向けて吐出し、硬化させることによって造形物を造形する三次元造形装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、材料貯留部に貯留されている材料の残存状態を検出する残存状態検出部を備えた三次元造形装置において、残存状態検出部は、材料貯留部の透明な部分を介して、材料貯留部の外部から光学的に残存状態を検出する光学式センサーであることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された三次元造形装置では、透明な部分に材料が付着する場合がある。透明な部分に材料が付着すると、材料の残存状態を正確に検出することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る可塑化装置の一態様は、
材料を貯留し、前記材料を投入口から排出する材料貯留部と、
スクリュー、および、前記スクリューを収容し、前記投入口と連通する供給口が形成されたケースを有し、前記材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、
透明部材を有し、前記投入口と前記供給口とを連通させる接続部材と、
前記透明部材を介して前記供給口に向けて光を発する発光部、および前記光の反射光を受光する受光部を有し、前記材料の残量を検出する材料センサーと、
を含み、
前記接続部材は、前記投入口から投入された前記材料が当たる材料衝突部を有し、
前記材料衝突部は、前記投入口と前記透明部材との間に設けられている。
【0007】
本発明に係る三次元造形装置の一態様は、
前記可塑化装置の一態様と、
前記可塑化装置から供給された前記可塑化材料をステージに向けて吐出するノズルと、
を含む。
【0008】
本発明に係る射出成形装置の一態様は、
前記可塑化装置の一態様と、
前記可塑化装置から供給された前記可塑化材料を成形型に向けて射出するノズルと、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る三次元造形装置を模式的に示す断面図。
【
図2】本実施形態に係る三次元造形装置のフラットスクリューを模式的に示す斜視図。
【
図3】本実施形態に係る三次元造形装置のバレルを模式的に示す図。
【
図4】本実施形態に係る三次元造形装置の材料貯留部を模式的に示す断面図。
【
図5】本実施形態に係る三次元造形装置の接続部材を模式的に示す斜視図。
【
図6】本実施形態に係る三次元造形装置の接続部材を模式的に示す断面斜視図。
【
図7】本実施形態に係る三次元造形装置の動作を説明するためのフローチャート。
【
図8】本実施形態に係る三次元造形装置の造形層形成処理を説明するための断面図。
【
図9】本実施形態の第1変形例に係る三次元造形装置の接続部材を模式的に示す斜視図。
【
図10】本実施形態の第1変形例に係る三次元造形装置の接続部材を模式的に示す断面図。
【
図11】本実施形態の第2変形例に係る三次元造形装置を模式的に示す断面図。
【
図12】本実施形態の射出成形装置を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
1. 三次元造形装置
1.1. 全体の構成
まず、本実施形態に係る三次元造形装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る三次元造形装置100を模式的に示す断面図である。なお、
図1では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を示している。X軸方向およびY軸方向は、例えば、水平方向である。Z軸方向は、例えば、鉛直方向である。
【0012】
三次元造形装置100は、
図1に示すように、例えば、吐出部10と、ステージ20と、移動部30と、制御部40と、を含む。
【0013】
三次元造形装置100は、吐出部10からステージ20に向けて可塑化された可塑化材料を吐出させつつ、移動部30を駆動して、吐出部10とステージ20との相対的な位置を変化させる。これにより、三次元造形装置100は、ステージ20上に所望の形状の三次元造形物を造形する。三次元造形装置100は、FDM(Fused Deposition Modeling)(登録商標)方式の三次元造形装置である。
【0014】
なお、図示はしないが、吐出部10は、複数設けられていてもよい。例えば、吐出部10は、2つ設けられていてもよい。この場合、2つの吐出部10は、ともに三次元造形物を構成する可塑化材料を吐出してもよいし、一方が可塑化材料を吐出し、他方が三次元造形物を支持するサポート材を吐出してもよい。2つの吐出部10は、X軸方向に並んでいてもよい。
【0015】
吐出部10は、例えば、可塑化装置12と、ノズル14と、を含む。可塑化装置12は、例えば、材料貯留部110と、接続部材120と、可塑化部130と、材料センサー170と、を含む。
【0016】
材料貯留部110は、可塑化部130に供給される材料2を貯留する。材料2の形状は、例えば、ペレット状である。材料貯留部110に貯留される材料2は、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂である。材料貯留部110に貯留された材料2は、接続部材120を通って、可塑化部130に供給される。材料貯留部110および接続部材120の詳細については、後述する。
【0017】
可塑化部130は、例えば、スクリューケース132と、駆動モーター134と、フラットスクリュー140と、バレル150と、ヒーター160と、を有している。可塑化部130は、材料貯留部110から供給された固体状態の材料2を可塑化し、流動性を有するペースト状の可塑化材料を生成して、ノズル14に供給する。
【0018】
なお、可塑化とは、溶融を含む概念であり、固体から流動性を有する状態に変化させることである。具体的には、ガラス転移が起こる材料の場合、可塑化とは、材料の温度をガラス転移点以上にすることである。ガラス転移が起こらない材料の場合、可塑化とは、材料の温度を融点以上にすることである。
【0019】
スクリューケース132は、フラットスクリュー140を収容する筐体である。スクリューケース132の下面には、バレル150が設けられている。スクリューケース132とバレル150とによって囲まれた空間に、フラットスクリュー140が収容されている。
【0020】
駆動モーター134は、スクリューケース132の上面に設けられている。駆動モーター134は、例えば、サーボモーターである。駆動モーター134のシャフト136は、フラットスクリュー140の上面141に接続されている。駆動モーター134は、制御部40によって制御される。なお、図示はしないが、減速機を介して、駆動モーター134のシャフト136と上面141とが、接続されていてもよい。
【0021】
フラットスクリュー140は、回転軸R方向の大きさが、回転軸R方向と直交する方向の大きさよりも小さい略円柱形状を有している。図示の例では、回転軸Rは、Z軸と平行である。駆動モーター134が発生させるトルクによって、フラットスクリュー140は、回転軸Rを中心に回転する。
【0022】
フラットスクリュー140は、上面141と、上面141とは反対側の溝形成面142と、上面141と溝形成面142とを接続する側面143と、を有している。溝形成面142には、第1溝144が形成されている。側面143は、例えば、溝形成面142に対して垂直である。ここで、
図2は、フラットスクリュー140を模式的に示す斜視図である。なお、便宜上、
図2では、
図1に示した状態とは上下の位置関係を逆向きとした状態を示している。
【0023】
フラットスクリュー140の溝形成面142には、
図2に示すように、第1溝144が形成されている。第1溝144は、例えば、中央部145と、接続部146と、材料導入部147と、を有している。中央部145は、バレル150に形成された連通孔156と対向している。中央部145は、連通孔156と連通している。接続部146は、中央部145と材料導入部147とを接続している。図示の例では、接続部146は、中央部145から溝形成面142の外周に向かって渦状に設けられている。材料導入部147は、溝形成面142の外周に設けられている。すなわち、材料導入部147は、フラットスクリュー140の側面143に設けられている。材料貯留部110から供給された材料は、材料導入部147から第1溝144に導入され、接続部146および中央部145を通って、バレル150に形成された連通孔156に搬送される。第1溝144は、例えば、2つ設けられている。
【0024】
なお、第1溝144の数は、特に限定されない。図示はしないが、第1溝144は、3つ以上設けられていてもよいし、1つだけ設けられていてもよい。
【0025】
また、図示はしないが、可塑化部130は、フラットスクリュー140ではなく、側面に螺旋溝を有する長尺のインラインスクリューを有していてもよい。そして、可塑化部130は、インラインスクリューの回転によって材料2を可塑化してもよい。
【0026】
バレル150は、
図1に示すように、フラットスクリュー140の下方に設けられている。バレル150は、フラットスクリュー140の溝形成面142に対向する対向面152を有している。対向面152の中心には、第1溝144と連通する連通孔156が形成されている。ここで、
図3は、バレル150を模式的に示す平面図である。
【0027】
バレル150の対向面152には、
図3に示すように、第2溝154と、連通孔156と、が形成されている。第2溝154は、複数形成されている。図示の例では、6つの第2溝154が形成されているが、第2溝154の数は、特に限定されない。複数の第2溝154は、Z軸方向からみて、連通孔156の周りに形成されている。第2溝154は、一端が連通孔156に接続され、連通孔156からバレル150の外周に向かって渦状に延びている。第2溝154は、可塑化された可塑化材料を連通孔156に導く機能を有している。
【0028】
なお、第2溝154の形状は、特に限定されず、例えば、直線状であってもよい。また、第2溝154は、一端が連通孔156に接続されていなくてもよい。さらに、第2溝154は、対向面152に形成されていなくてもよい。ただし、連通孔156に可塑化された材料を効率よく導くことを考慮すると、第2溝154は、対向面152に形成されていることが好ましい。
【0029】
ヒーター160は、
図1に示すように、バレル150に設けられている。ヒーター160は、フラットスクリュー140とバレル150との間に供給された材料2を加熱する。ヒーター160の出力は、制御部40によって制御される。可塑化部130は、フラットスクリュー140、バレル150、およびヒーター160によって、材料2を連通孔156に向かって搬送しながら加熱して、可塑化された可塑化材料を生成する。そして、可塑化部130は、生成された可塑化材料を連通孔156から流出させる。
【0030】
なお、Z軸方向からみて、ヒーター160の形状は、リング状であってもよい。また、ヒーター160は、バレル150ではなく、例えば、バレル150の下方に設けられていてもよい。
【0031】
ノズル14は、バレル150の下方に設けられている。ノズル14には、ノズル流路16が形成されている。ノズル流路16は、連通孔156に連通している。ノズル流路16には、連通孔156から可塑化材料が供給される。ノズル14は、可塑化装置12から供給された可塑化材料をステージ20に向けて吐出する。
【0032】
ステージ20は、ノズル14の下方に設けられている。図示の例では、ステージ20の形状は、直方体である。ステージ20は、可塑化材料が堆積される堆積面22を有している。堆積面22は、ステージ20の上面の領域である。
【0033】
ステージ20の材質は、例えば、アルミニウムなどの金属である。ステージ20は、金属板と、金属板に設けられた密着シートと、によって構成されていてもよい。この場合、堆積面22は、密着シートによって構成される。密着シートは、ステージ20と、吐出部10から吐出される可塑化材料と、の密着性を向上できる。
【0034】
ステージ20は、図示はしないが、溝が形成された金属板と、溝を埋めるように設けられた下地層と、によって構成されていてもよい。この場合、堆積面22は、下地層によって構成される。下地層の材質は、例えば、可塑化材料と同じである。下地層は、ステージ20と、吐出部10から吐出される可塑化材料と、の密着性を向上できる。
【0035】
移動部30は、ステージ20を支持している。移動部30は、吐出部10とステージ20との相対的な位置を変更する。図示の例では、移動部30は、ステージ20をX軸方向およびY軸方向に移動させることによって、X軸方向およびY軸方向において、ノズル14とステージ20との相対的な位置を変更する。さらに、移動部30は、吐出部10をZ軸方向に移動させることによって、Z軸方向において、ノズル14とステージ20との相対的な位置を変更する。
【0036】
移動部30は、例えば、第1電動アクチュエーター32と、第2電動アクチュエーター34と、第3電動アクチュエーター36と、を有している。第1電動アクチュエーター32は、ステージ20をX軸方向に移動させる。第2電動アクチュエーター34は、ステージ20をY軸方向に移動させる。第3電動アクチュエーター36は、吐出部10をZ軸方向に移動させる。
【0037】
なお、移動部30は、吐出部10とステージ20との相対的な位置を変更することができれば、その構成は、特に限定されない。移動部30は、例えば、ステージ20をZ軸方向に移動し、吐出部10をX軸方向およびY軸方向に移動させる構成であってもよい。または、移動部30は、ステージ20または吐出部10を、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向に移動させる構成であってもよい。
【0038】
制御部40は、例えば、プロセッサーと、主記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェースと、を有するコンピューターによって構成されている。制御部40は、例えば、主記憶装置に読み込んだプログラムをプロセッサーが実行することによって、種々の機能を発揮する。具体的には、制御部40は、吐出部10および移動部30を制御する。なお、制御部40は、コンピューターではなく、複数の回路の組み合わせによって構成されてもよい。
【0039】
1.2. 材料貯留部
材料貯留部110は、例えば、図示せぬ支持部材によって支持されている。材料貯留部110は、例えば、ホッパー111と、材料供給機構112と、を有している。ホッパー111は、材料2を貯留する。
【0040】
材料供給機構112は、ホッパー111に接続されている。材料供給機構112は、ホッパー111の下方に設けられている。材料供給機構112は、材料2を接続部材120の接続経路121に供給する。材料供給機構112は、例えば、ガイドケース113と、材料切出板116と、切出板駆動部118と、を有している。
【0041】
ガイドケース113の内部は、空洞である。ガイドケース113には、ホッパー111側に設けられた材料入口114、および接続部材120側に設けられた投入口115が形成されている。材料入口114によって、ガイドケース113の内部とホッパー111の内部とは、連通可能である。投入口115によって、ガイドケース113の内部と接続経路121とは、連通可能である。
【0042】
材料切出板116は、ガイドケース113の内部に設けられている。材料切出板116には、貫通孔117が形成されている。貫通孔117は、材料切出板116を貫通している。
図4に示す例では、貫通孔117は、材料入口114と連通している。そのため、ホッパー111の内部の材料2は、材料入口114を通って、貫通孔117に供給される。
【0043】
材料切出板116は、切出板駆動部118によって、ガイドケース113の内部をX軸方向に摺動して往復移動する。
図1に示す例では、貫通孔117は、投入口115と連通している。そのため、貫通孔117の材料2は、投入口115を通って、接続経路121に供給される。
【0044】
ここで、
図4は、材料貯留部110を模式的に示す断面図である。
図4に示す例では、材料切出板116は、
図1に示す例よりも、-X軸方向に移動している。
図4に示す例では、Z軸方向からみて、投入口115は、貫通孔117と重なっていない。そのため、貫通孔117の材料2は、接続経路121に供給されない。
【0045】
切出板駆動部118は、材料切出板116をX軸方向にスライドさせる。切出板駆動部118は、材料切出板116をX軸方向にスライドさせることができれば、特に限定されないが、例えば、エアーシリンダーを含んで構成されている。切出板駆動部118は、制御部40によって制御される。
【0046】
切出板駆動部118は、材料切出板116をX軸方向にスライドさせることで、材料貯留部110を、第1状態と、第2状態と、に切り替える。第1状態では、
図1に示すように、貫通孔117と投入口115が連通し、投入口115から接続部材120に材料2を投入する。第2状態では、
図4に示すように、貫通孔117と投入口115が連通せず、投入口115から接続部材120に材料2が投入されない。これにより、材料貯留部110は、所定量の材料2を投入口115から接続部材120に排出したり、接続部材120への材料2の供給を停止したりすることができる。
【0047】
1.3. 接続部材
接続部材120は、
図1に示すように、フラットスクリュー140の側方に設けられている。接続部材120は、フラットスクリュー140の回転軸Rと直交する方向に設けられている。図示の例では、接続部材120は、フラットスクリュー140の-X軸方向に設けられている。
【0048】
接続部材120は、材料貯留部110に形成された投入口115と、スクリューケース132に形成された供給口133と、を連通させる。接続部材120は、接続経路121が形成された管状の部材である。接続経路121は、投入口115と供給口133とをつないでいる。
【0049】
接続部材120は、例えば、管部122と、本体部123と、透明部材128と、を有している。管部122は、材料貯留部110と本体部123とを接続している。図示の例では、管部122は、スクリューケース132と離隔している。本体部123は、スクリューケース132に設けられている。管部122および本体部123の材質は、例えば、金属、樹脂である。
【0050】
ここで、
図5は、接続部材120の本体部123を模式的に示す斜視図である。
図6は、接続部材120の本体部123を模式的に示す断面斜視図である。
【0051】
本体部123には、
図5および
図6に示すように、入口123aおよび出口123bが形成されている。接続経路121は、入口123aおよび出口123bを有している。投入口115から投入された材料2は、管部122を通って、入口123aに至り、出口123bから供給口133に排出され、材料導入部147に至る。Z軸方向からみて、出口123bの中心は、例えば、入口123aの中心よりもフラットスクリュー140側に位置している。
【0052】
本体部123は、例えば、第1側壁部124aと、第2側壁部124bと、第3側壁部124cと、第4側壁部124dと、第1固定部125と、第2固定部126と、材料衝突部127と、を有している。
【0053】
第1側壁部124aおよび第2側壁部124bは、互いに対向している。第3側壁部124cおよび第4側壁部124dは、互いに対向している。第3側壁部124cは、第1側壁部124aと第2側壁部124bとを接続している。第4側壁部124dは、第1側壁部124aと第2側壁部124bとを接続している。第2側壁部124bは、フラットスクリュー140側に設けられている。第1側壁部124aは、フラットスクリュー140と反対側に設けられている。側壁部124a,124b,124c,124dは、入口123aおよび出口123bを構成している。
図6に示す例では、入口123aおよび出口123bの形状は、略四角形である。なお、入口123aおよび出口123bの形状は、特に限定されず、円形、楕円形であってもよい。
【0054】
第1固定部125は、
図5に示すように、第3側壁部124cおよび第4側壁部124dに接続されている。本体部123は、第1固定部125によって、スクリューケース132に固定されている。本体部123は、例えば、第1固定部125によって、スクリューケース132に螺合されている。
【0055】
第2固定部126は、第3側壁部124cおよび第4側壁部124dに接続されている。第2固定部126は、入口123aの近傍に設けられている。本体部123は、第2固定部126によって、管部122に固定されている。本体部123は、例えば、第2固定部126によって、管部122に螺合されている。なお、接続部材120は、管部122を有していなくてもよい。この場合、本体部123は、第2固定部126によって、材料貯留部110に固定される。
【0056】
材料衝突部127は、第1側壁部124aに接続されている。材料衝突部127は、第2側壁部124bと離隔している。材料衝突部127は、第1側壁部124aから、Z軸方向に傾斜して第2側壁部124b側に延在している。材料衝突部127は、Z軸に交差する方向であって、供給口133に近づく方向に延在している。材料衝突部127は、接続経路121に狭窄部121aを規定している。図示の例では、材料衝突部127の第1端部127aは、第1側壁部124aに接続されている。材料衝突部127の第2端部127bは、狭窄部121aを規定している。図示の例では、狭窄部121aは、第2端部127bおよび第2側壁部124bで規定されている。第2端部127bは、第1端部127aと反対側の端部である。
【0057】
材料衝突部127は、接続経路121において、投入口115と透明部材128との間に設けられている。材料衝突部127は、入口123aと透明部材128との間に設けられている。材料衝突部127の形状は、例えば、板状である。材料衝突部127は、入口123aから投入された材料2が当たる。換言すると、材料衝突部127は、入口123aから投入された材料2を受ける。材料2の投入方向は、投入口115の中心から入口123aの中心に向かう方向である。図示の例では、材料2の投入方向は、-Z軸方向である。
【0058】
材料衝突部127は、第1面127cと、第2面127dと、を有している。第1面127cは、投入口115から投入された材料2が当たる。第2面127dは、第1面127cと反対側の面である。図示の例では、第1面127cおよび第2面127dは、互いに平行である。第1面127cおよび第2面127dは、Z軸方向に傾斜した方向に沿って設けられている。投入口115から投入された材料2は、入口123aを通って第1面127cに当たり第1面127cを滑り落ちて狭窄部121aを通り、出口123bから供給口133に排出される。
【0059】
透明部材128は、
図5に示すように、第1側壁部124aに形成された開口部129に設けられている。透明部材128は、例えば、開口部129に嵌合している。開口部129は、第1側壁部124aを貫通している。透明部材128は、開口部129から着脱可能に構成されている。例えば、透明部材128は、開口部129に螺合されることによって、開口部129から着脱可能に構成されている。
【0060】
透明部材128は、材料衝突部127の第2面127d側に設けられている。材料衝突部127は、透明部材128に材料2が接触することを抑制する庇である。透明部材128は、X軸方向からみて、材料衝突部127と重なっている。図示の例では、透明部材128は、Z軸方向に延在している。透明部材128の形状は、例えば、板状である。
【0061】
透明部材128は、材料センサー170からの光Laおよび光Laの反射光Lbを透過することが可能な透明性を有する部材である。透明部材128は、可視光線、赤外線等の透過率が30%以上100%以下であること好ましく、透過率が50%以上100%以下であることがより好ましい。透明部材128の材質は、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ガラスである。
【0062】
1.4. 材料センサー
材料センサー170は、
図1に示すように、接続部材120の外側に設けられている。材料センサー170は、透明部材128の斜め上方に設けられている。材料センサー170は、例えば、支持部172に支持されている。支持部172は、接続部材120の第1側壁部124aから斜め上方に延在している。
【0063】
材料センサー170は、発光部174と、受光部176と、を有している。発光部174は、透明部材128を介して、供給口133に向けて光Laを発する。発光部174は、例えば、レーザー、LED(Light Emitting Diode)である。受光部176は、光Laの反射光Lbを受光する。具体的には、受光部176は、材料2において反射された光Laの反射光Lbを、透明部材128を介して受光する。受光部176は、PD(Photodiode)である。材料衝突部127は、光Laの光路と、投入口115と、の間に設けられている。
【0064】
材料センサー170は、フラットスクリュー140に形成された第1溝144の材料導入部147の材料2を検出する。材料センサー170は、材料導入部147の材料2の残量を検出する。材料センサー170は、測定範囲が予め定められている。材料センサー170の測定範囲は、透明部材128の位置を除外するように定められている。さらに、材料センサー170の測定範囲は、材料導入部147の位置を含むように設定されている。材料センサー170から所定の範囲にある材料2を検出するように構成されている。
【0065】
1.5. 動作
図7は、三次元造形装置100の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、
図7は、制御部40の処理を説明するためのフローチャートである。
【0066】
1.5.1. 造形データ取得処理
ユーザーは、例えば、図示せぬ操作部を操作して、制御部40に処理を開始するための処理開始信号を出力する。操作部は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネルなどによって構成されている。制御部40は、処理開始信号を受けると処理を開始する。
【0067】
まず、制御部40は、
図7に示すように、ステップS1として、三次元造形物を造形するための造形データを取得する造形データ取得処理を行う。
【0068】
造形データは、例えば、材料貯留部110に貯留されている材料2の種類、ステージ20に対する吐出部10の移動経路、吐出部10から吐出される可塑化材料の量などに関する情報を含む。
【0069】
造形データは、例えば、三次元造形装置100に接続されたコンピューターにインストールされたスライサーソフトに、形状データを読み込ませることによって作成される。形状データは、三次元CAD(Computer Aided Design)ソフトや三次元CG(Computer Graphics)ソフトなどを用いて作成された三次元造形物の目標形状を表すデータである。形状データとしては、例えば、STL(Standard Triangulated Language)形式やAMF(Additive Manufacturing File Format)などのデータを用いる。スライサーソフトは、三次元造形物の目標形状を所定の厚さの層に分割して、層ごとに造形データを作成する。造形データは、GコードやMコードなどによって表される。制御部40は、三次元造形装置100に接続されたコンピューターや、USB(Universal Serial Bus)メモリーなどの記録媒体から造形データを取得する。
【0070】
1.5.2. 造形層形成処理
次に、制御部40は、ステップS2として、ステージ20の堆積面22に、可塑化材料を吐出して造形層を形成する造形層形成処理を行う
【0071】
具体的には、制御部40は、フラットスクリュー140とバレル150との間に供給された材料2を可塑化して可塑化材料を生成させ、吐出部10のノズル14から可塑化材料を吐出させる。制御部40は、例えば、造形層形成処理が終了するまで可塑化材料を生成させ続ける。制御部40は、造形層形成処理が終了するまで、材料センサー170からの検出信号に基づいて、フラットスクリュー140に形成された第1溝144の材料導入部147の可塑化材料が枯渇しないように、材料貯留部110の切出板駆動部118を制御する。
【0072】
ここで、
図8は、三次元造形装置100の造形層形成処理を説明するための断面図である。
【0073】
制御部40は、
図8に示すように、取得した造形データに基づいて、移動部30を制御して吐出部10とステージ20との相対的な位置を変化させつつ、吐出部10を制御してノズル14からステージ20に向けて可塑化材料を吐出させる。
【0074】
具体的には、造形層形成処理が開始される前、すなわち、第1層目の造形層である造形層L1の形成が開始される前では、ノズル14は、ステージ20の-X軸方向の端部よりも-X軸方向の初期位置に配置されている。造形層形成処理が開始されると、
図8に示すように、制御部40は、移動部30を制御することによって、例えば、ステージ20に対してノズル14を+X軸方向に相対移動させる。ノズル14がステージ20上を通過する際、ノズル14から可塑化材料が吐出される。これにより、造形層L1が形成される。
図8では、nを任意の自然数として、第n層目の造形層Lnまでを図示している。
【0075】
1.5.3. 判定処理
次に、制御部40は、
図7に示すように、ステップS3として、造形データに基づいて、全ての造形層の形成が完了したか否か判定する判定処理を行う。
【0076】
全ての造形層の形成が完了していないと判定した場合(ステップS3で「NO」)、制御部40は、処理をステップS2に戻す。制御部40は、ステップS3において、全ての造形層の形成が完了したと判定するまで、ステップS2とステップS3とを繰り返す。
【0077】
一方、全ての造形層の形成が完了したと判定した場合(ステップS3で「YES」)、制御部40は、処理を終了する。
【0078】
1.6. 作用効果
可塑化装置12では、透明部材128を有し、投入口115と供給口133とを連通させる接続部材120と、透明部材128を介して供給口133に向けて光Laを発する発光部174、および光Laの反射光Lbを受光する受光部176を有し、材料2の残量を検出する材料センサー170と、を含む。接続部材120は、投入口115から投入された材料2が当たる材料衝突部127を有し、材料衝突部127は、投入口115と透明部材128との間に設けられている。
【0079】
そのため、可塑化装置12では、材料衝突部127によって、投入口115から投入された材料2が透明部材128に付着する可能性を小さくすることができる。これにより、可塑化装置12では、材料センサー170によって、材料2の残量を正確に検出することができる。
【0080】
可塑化装置12では、接続部材120は、第1側壁部124aを有し、材料衝突部127は、第1側壁部124aから、材料2の投入方向に交差する方向であって、供給口133に近づく方向に延在し、第1側壁部124aには、開口部129が形成され、透明部材128は、開口部129に設けられている。そのため、可塑化装置12では、投入口115から投入された材料2は、材料衝突部127を滑り落ちて、供給口133に排出されることができる。
【0081】
可塑化装置12では、透明部材128は、着脱可能に構成されている。そのため、可塑化装置12では、仮に透明部材128に材料2が付着したとしても、透明部材128を交換できる。
【0082】
可塑化装置12では、材料センサー170は、測定範囲が予め定められている。そのため、可塑化装置12では、材料センサー170の測定範囲を、透明部材128の位置が材料センサー170の測定範囲から除外するように定めることにより、仮に透明部材128に材料2が付着したとしても、透明部材128に付着した材料2を検知しないようにすることができる。
【0083】
可塑化装置12では、フラットスクリュー140には、第1溝144が形成され、材料センサー170は、第1溝144の材料2を検出する。そのため、可塑化装置12では、造形層形成処理中に第1溝144の材料2が枯渇することを抑制できる。
【0084】
可塑化装置12では、材料貯留部110は、貫通孔117が形成されたスライド部材としての材料切出板116と、材料切出板116をスライドさせるスライド駆動部としての切出板駆動部118と、を有する。切出板駆動部118は、材料切出板116をスライドさせることで、貫通孔117と投入口115とが連通し、投入口115から接続部材120に材料2が投入される第1状態と、貫通孔117と投入口115とが連通せず、投入口115から接続経路121に材料2が投入されない第2状態と、に切り替える。そのため、可塑化装置12では、材料2の可塑化部130への供給量を調整できる。
【0085】
2. 三次元造形装置の変形例
2.1. 第1変形例
次に、本実施形態の第1変形例に係る三次元造形装置について、図面を参照しながら説明する。
図9は、本実施形態の第1変形例に係る三次元造形装置200の接続部材120を模式的に示す斜視図である。
図10は、本実施形態の第1変形例に係る三次元造形装置200の接続部材120を模式的に示す
図9のX-X線断面図である。なお、便宜上、
図9および
図10では、接続部材120の管部122の図示を省略している。
【0086】
以下、本実施形態の第1変形例に係る三次元造形装置200において、上述した本実施形態に係る三次元造形装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。このことは、後述する第2変形例に係る三次元造形装置おいて、同様である。
【0087】
三次元造形装置200では、
図9および
図10に示すように、接続部材120の本体部123の形状が上述した三次元造形装置100と異なる。
【0088】
材料衝突部127は、接続部材120の側壁を構成している。透明部材128は、材料衝突部127の延在方向とは異なる方向であって、Z軸方向に交差する方向に延在している。図示の例では、透明部材128は、材料衝突部127の第2端部127bに接続されている。Z軸方向からみて、透明部材128の少なくとも一部は、材料衝突部127と重なっている。材料衝突部127および透明部材128は、屈曲した形状を構成している。
【0089】
接続部材120は、
図10に示すように、壁部220を有している。壁部220の形状は、例えば、板状である。壁部220は、例えば、材料衝突部127の第2端部127bに接続さている。図示の例では、壁部220は、第2端部127bから-Z軸方向に延在している。壁部220によって、透明部材128に材料2が付着する可能性を小さくすることができる。
【0090】
三次元造形装置200では、材料衝突部127は、材料2の投入方向に交差する方向に延在し、透明部材128は、材料衝突部127の延在方向とは異なる方向であって、投入方向に交差する方向に延在し、透明部材128の少なくとも一部は、投入方向からみて材料衝突部127と重なる。そのため、発光部174からの光Laの透明部材128への入射角θを垂直に近づけ易い。これにより、光Laの透明部材128における損失を低減できる。入射角θは、例えば、80°以上100°以下であり、好ましくは85°以上95°以下である。
【0091】
2.2. 第2変形例
次に、本実施形態の第2変形例に係る三次元造形装置について、図面を参照しながら説明する。
図11は、本実施形態の第2変形例に係る三次元造形装置300を模式的に示す断面図である。
【0092】
三次元造形装置300は、
図11に示すように、反射光Lbが通過する透明部材328を有する点において、上述した三次元造形装置100と異なる。
【0093】
透明部材328は、第1側壁部124aに形成された開口部329に設けられている。透明部材128は、例えば、開口部329に嵌合している。開口部329は、第1側壁部124aを貫通している。図示の例では、透明部材328は、透明部材128の下方に設けられている。透明部材328は、例えば、着脱可能に構成されている。
【0094】
材料センサー170の発光部174および受光部176は、互いに分離されている。発光部174は、支持部172に支持されている。受光部176は、支持部173に支持している。支持部173は、第1側壁部124aから斜め上方に延在している。図示の例では、受光部176は、発光部174の下方に設けられている。
【0095】
発光部174から発光された光Laは、透明部材128を通って、材料導入部147の材料2に至る。材料2で反射された光Laの反射光Lbは、透明部材328を通って、受光部176に受光される。
【0096】
三次元造形装置300では、接続部材120は、反射光Lbが通過する他の透明部材328を有する。そのため、三次元造形装置300では、発光部174から光Laが発光されたにもかかわらず、受光部176で受光されない場合に、透明部材128および透明部材328の少なくともいずれかに材料2が付着しているということを検知できる。そのため、透明部材128,328の交換のタイミングを検知することができる。
【0097】
2.3. 第3変形例
次に、本実施形態の第3変形例に係る三次元造形装置について説明する。以下、本実施形態の第3変形例に係る三次元造形装置において、上述した本実施形態に係る三次元造形装置100の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0098】
上述した三次元造形装置100では、材料貯留部110に貯留される材料2は、ABS樹脂であった。
【0099】
これに対し、本実施形態の第3変形例に係る三次元造形装置では、材料貯留部110に貯留される材料は、ABS樹脂以外の材料、または、ABS樹脂に他の成分が加えられた材料である。
【0100】
材料貯留部110に貯留される材料としては、熱可塑性を有する材料、金属材料、セラミック材料等の種々の材料を主材料とした材料を挙げることができる。ここで、「主材料」とは、三次元造形装置で造形される造形物の形状を形作っている中心となる材料を意味し、造形物において50質量%以上の含有率を占める材料を意味する。上述した材料には、それらの主材料を単体で溶融したものや、主材料とともに含有される一部の成分が溶融してペースト状にされたものが含まれる。
【0101】
熱可塑性を有する材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、汎用エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
【0102】
汎用エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM )、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
【0103】
スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が挙げられる。
【0104】
熱可塑性を有する材料には、顔料や、金属、セラミック、その他に、ワックス、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤などの添加剤等が混入されていてもよい。熱可塑性を有する材料は、可塑化装置12において、フラットスクリュー140の回転と、ヒーター160の加熱と、によって可塑化されて溶融した状態に転化される。また、そのように生成された可塑化材料は、ノズル14から堆積された後、温度の低下によって硬化する。熱可塑性を有する材料は、そのガラス転移点以上に加熱されて完全に溶融した状態でノズル14から吐出されることが望ましい。
【0105】
可塑化装置12では、上述した熱可塑性を有する材料の代わりに、例えば、金属材料が主材料として用いられてもよい。この場合には、金属材料を粉末状にした粉末材料に、可塑化材料の生成の際に溶融する成分が混合されて、可塑化装置12に投入されることが望ましい。
【0106】
金属材料としては、例えば、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)やクロム(Cr)、アルミニウム (Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)の単一の金属、もしくはこれらの金属を1つ以上含む合金、また、マルエージング鋼、ステンレス鋼、コバルトクロムモリブデン、チタニウム合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、コバルト合金、コバルトクロム合金が挙げられる。
【0107】
可塑化装置12においては、上記の金属材料の代わりに、セラミック材料を主材料として用いることが可能である。セラミック材料としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどの酸化物セラミックや、窒化アルミニウムなどの非酸化物セラミックなどが挙げられる。
【0108】
材料貯留部110に貯留される金属材料やセラミック材料の粉末材料は、単一の金属の粉末や合金の粉末、セラミック材料の粉末を、複数種類、混合した混合材料であってもよい。また、金属材料やセラミック材料の粉末材料は、例えば、上述の熱可塑性樹脂、あるいは、それ以外の熱可塑性樹脂によってコーティングされていてもよい。この場合には、可塑化装置12において、その熱可塑性樹脂が溶融して流動性が発現されるものとしてもよい。
【0109】
材料貯留部110に貯留される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、溶剤を添加することもできる。溶剤としては、例えば、水;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸iso-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸iso-ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;テトラアルキルアンモニウムアセテート類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;ピリジン、γ-ピコリン、2,6-ルチジン等のピリジン系溶剤;テトラアルキルアンモニウムアセテート(例えば、テトラブチルアンモニウムアセテート等);ブチルカルビトールアセテート等のイオン液体等が挙げられる。
【0110】
その他に、材料貯留部110に貯留される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、バインダーが添加されていてもよい。バインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系樹脂或いはその他の合成樹脂またはPLA、PA、PPS、PEEK、あるいはその他の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0111】
3. 射出成形装置
次に、本実施形態に係る射出成形装置について、図面を参照しながら説明する。
図12は、本実施形態に係る射出成形装置900を模式的に示す断面図である。
【0112】
射出成形装置900は、
図12に示すように、例えば、上述した可塑化装置12を含む。射出成形装置900は、さらに、例えば、ノズル14と、射出機構910と、型部920と、型締部930と、を含む。
【0113】
可塑化装置12は、フラットスクリュー140の第1溝144に供給された材料2を可塑化し、流動性を有するペースト状の可塑化材料を生成して連通孔156から射出機構910へと導く。
【0114】
射出機構910は、例えば、シリンダー912と、プランジャー914と、プランジャー駆動部916と、を有している。シリンダー912は、連通孔156に接続された略円筒状の部材である。プランジャー914は、シリンダー912の内部を移動する。プランジャー914は、モーターやギア等によって構成されたプランジャー駆動部916によって駆動される。プランジャー駆動部916は、制御部40によって制御される。
【0115】
射出機構910は、プランジャー914をシリンダー912内で摺動させることによって、計量操作および射出操作を実行する。計量操作とは、連通孔156から離れる方向にプランジャー914を移動させることによって、連通孔156に位置する可塑化材料をシリンダー912内へと導いて、シリンダー912内において計量する操作を指す。射出操作とは、連通孔156へ近付く方向にプランジャー914を移動させることによって、シリンダー912内の可塑化材料を、ノズル14を介して型部920に射出する操作を指す。
【0116】
ノズル14は、可塑化装置12から供給された可塑化材料を型部920の成形型922に向けて射出する。具体的には、上述した計量操作および射出操作が実行されることによって、シリンダー912内で計量された可塑化材料が、射出機構910から連通孔156を介してノズル14へと送られる。そして、可塑化材料は、ノズル14から型部920へと射出される。
【0117】
型部920は、成形型922を有している。成形型922は、金型である。成形型922は、互いに対向する可動型926および固定型928を有し、可動型926と固定型928との間にキャビティー924を有している。可塑化材料は、ノズル14から成形型922のキャビティー924に射出される。キャビティー924は、成形品の形状に相当する空間である。キャビティー924に流れ込んだ可塑化材料は、冷却されて固化される。これにより、成形品が生成される。可動型926および固定型928の材質は、金属である。なお、可動型926および固定型928の材質は、セラミック、樹脂であってもよい。
【0118】
型締部930は、例えば、型駆動部932と、ボールねじ部934と、を有している。型駆動部932は、例えば、モーター、ギアなどによって構成されている。型駆動部932は、ボールねじ部934を介して可動型926に接続されている。型駆動部932の駆動は、制御部40によって制御される。ボールねじ部934は、型駆動部932の駆動による動力を可動型926に伝達する。型締部930は、型駆動部932およびボールねじ部934によって可動型926を移動させることによって、型部920の開閉を行う。
【0119】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0120】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0121】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0122】
可塑化装置の一態様は、
材料を貯留し、前記材料を投入口から排出する材料貯留部と、
スクリュー、および、前記スクリューを収容し、前記投入口と連通する供給口が形成されたケースを有し、前記材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、
透明部材を有し、前記投入口と前記供給口とを連通させる接続部材と、
前記透明部材を介して前記供給口に向けて光を発する発光部、および前記光の反射光を受光する受光部を有し、前記材料の残量を検出する材料センサーと、
を含み、
前記接続部材は、前記投入口から投入された前記材料が当たる材料衝突部を有し、
前記材料衝突部は、前記投入口と前記透明部材との間に設けられている。
【0123】
この可塑化装置によれば、投入口から投入された材料が透明部材に付着する可能性を小さくすることができる。
【0124】
可塑化装置の一態様において、
前記接続部材は、側壁部を有し、
前記材料衝突部は、前記側壁部から、前記材料の投入方向に交差する方向であって、前記供給口に近づく方向に延在し、
前記側壁部には、開口部が形成され、
前記透明部材は、前記開口部に設けられていてもよい。
【0125】
この可塑化装置によれば、投入口から投入された材料は、材料衝突部を滑り落ちて、供給口に排出されることができる。
【0126】
可塑化装置の一態様において、
前記材料衝突部は、前記材料の投入方向に交差する方向に延在し、
前記透明部材は、前記材料衝突部の延在方向とは異なる方向であって、前記投入方向に交差する方向に延在し、
前記透明部材の少なくとも一部は、前記投入方向からみて前記材料衝突部と重なってもよい。
【0127】
この可塑化装置によれば、発光部からの光の透明部材への入射角を垂直に近づけ易い。これにより、光の透明部材における損失を低減できる。
【0128】
可塑化装置の一態様において、
前記透明部材は、着脱可能に構成されていてもよい。
【0129】
この可塑化装置によれば、仮に透明部材に材料が付着したとしても、透明部材を交換できる。
【0130】
可塑化装置の一態様において、
前記接続部材は、前記反射光が通過する他の透明部材を有してもよい。
【0131】
この可塑化装置によれば、発光部から発光された光が透明部材を通過したにもかかわらず、受光部で受光されない場合に、透明部材に材料が付着しているということを検知できる。
【0132】
可塑化装置の一態様において、
前記材料センサーは、測定範囲が予め定められていてもよい。
【0133】
この可塑化装置によれば、材料センサーの測定範囲を、透明部材の位置が材料センサーの測定範囲から除外するように定めることにより、仮に透明部材に材料が付着したとしても、透明部材に付着した材料を検知しないようにすることができる。
【0134】
可塑化装置の一態様において、
前記スクリューには、溝が形成され、
前記材料センサーは、前記溝の前記材料を検出してもよい。
【0135】
この可塑化装置によれば、造形層形成処理中に溝の材料が枯渇することを抑制できる。
【0136】
可塑化装置の一態様において、
前記材料貯留部は、
貫通孔が形成されたスライド部材と、
前記スライド部材をスライドさせるスライド駆動部と、
を有し、
前記スライド駆動部は、前記スライド部材をスライドさせることで、
前記貫通孔と前記投入口とが連通し、前記投入口から前記接続部材に前記材料が投入される第1状態と、
前記貫通孔と前記投入口とが連通せず、前記投入口から前記接続部材に前記材料が投入されない第2状態と、
に切り替えてもよい。
【0137】
この可塑化装置によれば、材料の可塑化部への供給量を調整できる。
【0138】
三次元造形装置の一態様は、
前記可塑化装置の一態様と、
前記可塑化装置から供給された前記可塑化材料をステージに向けて吐出するノズルと、
を含む。
【0139】
射出成形装置の一態様は、
前記可塑化装置の一態様と、
前記可塑化装置から供給された前記可塑化材料を成形型に向けて射出するノズルと、
を含む。
【符号の説明】
【0140】
2…材料、10…吐出部、12…可塑化装置、14…ノズル、16…ノズル流路、20…ステージ、22…堆積面、30…移動部、32…第1電動アクチュエーター、34…第2電動アクチュエーター、36…第3電動アクチュエーター、40…制御部、100…三次元造形装置、110…材料貯留部、111…ホッパー、112…材料供給機構、113…ガイドケース、114…材料入口、115…投入口、116…材料切出板、117…貫通孔、118…切出板駆動部、120…接続部材、121…接続経路、122…管部、123…本体部、123a…入口、123b…出口、124a…第1側壁部、124b…第2側壁部、124c…第3側壁部、124d…第4側壁部、125…第1固定部、126…第2固定部、127…材料衝突部、127a…第1端部、127b…第2端部、127c…第1面、127d…第2面、128…透明部材、129…開口部、130…可塑化部、132…スクリューケース、133…供給口、134…駆動モーター、136…シャフト、140…フラットスクリュー、141…上面、142…溝形成面、143…側面、144…第1溝、145…中央部、146…接続部、147…材料導入部、150…バレル、152…対向面、154…第2溝、156…連通孔、160…ヒーター、170…材料センサー、172,173…支持部、174…発光部、176…受光部、200…三次元造形装置、220…壁部、300…三次元造形装置、328…透明部材、329…開口部、900…射出成形装置、910…射出機構、912…シリンダー、914…プランジャー、916…プランジャー駆動部、920…型部、922…成形型、924…キャビティー、926…可動型、928…固定型、930…型締部、932…型駆動部、934…ボールねじ部