(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083763
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】外壁パネル
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20240617BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20240617BHJP
E04B 1/61 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
E04F13/08 N
E04B1/94 L
E04B1/94 X
E04B1/61 502N
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197764
(22)【出願日】2022-12-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006910
【氏名又は名称】株式会社淀川製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 康寛
(72)【発明者】
【氏名】野田 智
【テーマコード(参考)】
2E001
2E110
2E125
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001FA04
2E001GA12
2E001HF12
2E110AA02
2E110AB04
2E110AB22
2E110BA03
2E110DA03
2E110DC08
2E110EA04
2E110GA33W
2E110GB01W
2E125AA53
2E125AE13
2E125AE18
2E125AG21
2E125CA78
(57)【要約】
【課題】高い耐火性能を有し、連結に関わる部分の構造が共通する物同士の着脱が容易であり、連結に関わる部分の構造が共通する物同士が接続された状態でそれらの一方が負圧によりめくり上がることが抑制される、外壁パネルを提供する。
【解決手段】外壁パネル30は一端連結部56と他端連結部58とを備える。一端連結部56が係合溝70と嵌合溝72とを有する。他端連結部58が突出部120と突出先端部122と耐火体124とを有する。耐火体124の幅が嵌合溝72の幅未満である。係合溝70の嵌合溝72側の縁が突出先端部122よりも嵌合溝72側に配置される。突出先端部122が突出部120の位置から見て耐火体124が配置される方に屈曲している。突出部120と突出先端部122とが耐火体124側に開いた開放空間140を形成する。係合溝70が溝本体部90と一端脱落防止片部92とを有している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に配置される一端連結部と他端に配置される他端連結部とを備え、
前記一端連結部が、底面および側面を有する係合溝を有し、
前記他端連結部が、
前記係合溝の位置から見て前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向にて前記係合溝に対向するように配置され、かつ、前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向に沿って突出する突出部と、
前記係合溝の位置から見て前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向にて前記係合溝に対向するように配置され、前記突出部の先端に連なり、かつ、屈曲する突出先端部とを有する外壁パネルであって、
前記一端連結部が、前記係合溝と並んで配置される嵌合溝を前記係合溝に加えて有し、
前記他端連結部が、前記嵌合溝の位置から見て前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向にて前記嵌合溝に対向するように配置され、かつ、前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向に沿って突出する耐火体をさらに有し、
前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向に直交する方向についての前記耐火体の幅が、前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向に直交する方向についての前記嵌合溝の幅未満であり、
前記係合溝の前記嵌合溝側の縁が、前記突出先端部よりも前記嵌合溝側に配置され、
前記突出先端部が、前記突出部の位置から見て前記耐火体が配置される方に屈曲しており、
前記突出部と前記突出先端部とが、前記耐火体側に開いた開放空間を形成し、
前記係合溝が、
前記底面および前記側面を形成する溝本体部と、
前記溝本体部の前記嵌合溝側の側面から前記嵌合溝とは反対側へ向かって突出し前記係合溝の前記嵌合溝側の一部を形成する一端脱落防止片部とを有していることを特徴とする外壁パネル。
【請求項2】
前記溝本体部の前記嵌合溝側の側面の縁が、前記溝本体部の前記底面のうち前記嵌合溝側の側面の付け根の位置から見て前記嵌合溝側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル。
【請求項3】
前記溝本体部の前記嵌合溝側の側面が、前記他端連結部から前記一端連結部へ向かう方向から見て前記耐火体より前記溝本体部の対向する側面側に配置されており、
前記溝本体部の前記嵌合溝側の側面の少なくとも一部が、前記嵌合溝のうち前記係合溝側の縁の位置から見て前記他端連結部から前記一端連結部へ向かう方向又は前記耐火体側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル。
【請求項4】
前記他端連結部が、前記突出先端部の先端に連なり前記他端連結部から前記一端連結部へ向かう方向に沿って突出する他端脱落防止片部をさらに有し、
前記一端連結部の前記嵌合溝に前記他端連結部の前記耐火体が嵌め込まれ前記一端連結部の前記係合溝に前記他端連結部の前記突出先端部が嵌め込まれ前記一端連結部と前記他端連結部とが接触していると仮定した場合の前記溝本体部の前記底面からの前記他端脱落防止片部の突出高さが、前記溝本体部の前記底面から前記一端脱落防止片部の突出端までの高さより低いことを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル。
【請求項5】
前記他端連結部が、前記耐火体の両脇を塞ぐよう配置される複数の耐火目地材をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル。
【請求項6】
前記対火目地材の圧縮強度が、前記一端連結部と前記他端連結部とに挟まれる区間の前記圧縮強度より大きいことを特徴とする請求項5に記載の外壁パネル。
【請求項7】
前記他端連結部が、前記耐火体のうち前記突出部の位置から見た場合の裏側にて前記耐火体に接する金属製の耐火体支持部をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル。
【請求項8】
前記突出先端部が前記突出部に比べて撓み難いことを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は断熱パネルの接続構造を開示する。この断熱パネルの接続構造において、金属製の表面板と裏面板の間に断熱材を介装した断熱パネルが用いられる。断熱パネルの一方の端部に嵌合凸部を設ける。他方の端部に嵌合凹部を設ける。この断熱パネルの接続構造において、隣接する断熱パネルが嵌合凹部と嵌合凸部の嵌合により接続される。この断熱パネルの接続構造において、表面板の一方の端部に係合片が設けられる。他方の端部に被係合片が設けられる。係合片と被係合片とを係合することによって、隣接する断熱パネルの表面板同士が連結される。特許文献1に開示されている断熱パネルの接続構造によれば、別途部材を用いることなく凹凸嵌合による接続が負圧により外れないようにすることができる。しかも、特許文献1に開示されている断熱パネルの接続構造は、断熱性能を低下させない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された断熱パネルの接続構造には、嵌合凹部と嵌合凸部が一度接続されるとそれらを外すことが困難という問題点がある。また、それらを外すとそれらの少なくとも一方の耐火性が大幅に低下してしまう。
【0005】
本発明は、このような問題を解消するものである。その目的は、高い耐火性能を有し、連結に関わる部分の構造が共通する物同士の着脱が容易であり、連結に関わる部分の構造が共通する物同士が接続された状態でそれらの一方が負圧によりめくり上がることが抑制される、外壁パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の外壁パネルが説明される。なお、この欄で図中の符号を使用したのは、発明の内容の理解を助けるためであって、内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0007】
上述された課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、外壁パネル30,32,34は、一端に配置される一端連結部56,256,356と他端に配置される他端連結部58,258,358とを備える。一端連結部56,256,356が、係合溝70,270,370を有する。係合溝70,270,370は、底面296,396および側面398を有する。他端連結部58,258,358が、突出部120,320,420と、突出先端部122,322,422とを有する。突出部120,320,420は、係合溝70,270,370の位置から見て一端連結部56,256,356から他端連結部58,258,358へ向かう方向にて係合溝70,270,370に対向するように配置される。突出部120,320,420は、一端連結部56,256,356から他端連結部58,258,358へ向かう方向に沿って突出する。突出先端部122,322,422は、係合溝70,270,370の位置から見て一端連結部56,256,356から他端連結部58,258,358へ向かう方向にて係合溝70,270,370に対向するように配置される。突出先端部122,322,422は、突出部120,320,420の先端に連なる。突出先端部122,322,422は屈曲する。一端連結部56,256,356が、係合溝70,270,370に加え、嵌合溝72,372を有する。嵌合溝72,372は係合溝70,270,370と並んで配置される。他端連結部58,258,358が、耐火体124をさらに有する。耐火体124は、嵌合溝72,372の位置から見て一端連結部56,256,356から他端連結部58,258,358へ向かう方向にて嵌合溝72,372に対向するように配置される。耐火体124は、一端連結部56,256,356から他端連結部58,258,358へ向かう方向に沿って突出する。耐火体124の幅が、嵌合溝72,372の幅未満である。これらの幅は、一端連結部56,256,356から他端連結部58,258,358へ向かう方向に直交する方向についての幅である。係合溝70,270,370の嵌合溝72,372側の縁が、突出先端部122,322,422よりも嵌合溝72,372側に配置される。突出先端部122,322,422が、突出部120,320,420の位置から見て耐火体124が配置される方に屈曲している。突出部120,320,420と突出先端部122,322,422とが、耐火体124側に開いた開放空間140,340,430を形成する。係合溝70,270,370が、溝本体部90,290,390と、一端脱落防止片部92,292,392とを有している。溝本体部90,290,390は、底面296,396および側面398を形成する。一端脱落防止片部92,292,392は、溝本体部90,290,390の嵌合溝72,372側面から嵌合溝72,372とは反対側へ向かって突出する。一端脱落防止片部92,292,392は、係合溝70,270,370の嵌合溝72,372側の一部を形成する。
【0008】
本発明にかかる外壁パネル30,32,34の対の一方の一端連結部56,256,356と他方の他端連結部58,258,358とが接続されるとき、前者の嵌合溝72,372に後者の耐火体124が進入する。これにより、耐火性能が確保される。その際、前者の係合溝70,270,370への後者の突出部120,320,420および突出先端部122,322,422の進入が妨げられない。一端連結部56,256,356から他端連結部58,258,358へ向かう方向に前者を引けば、いったん接続された前者と後者とを再度容易に分離できる。理由の一方は、突出部120,320,420が係合溝70,270,370に対向するように配置されるためである。理由の他方は、係合溝70,270,370のうち嵌合溝72,372側の縁が突出先端部122,322,422よりも嵌合溝72,372側に配置されるためである。一方、本発明にかかる外壁パネル30,32,34の対の一方の一端連結部56,256,356と他方の他端連結部58,258,358との接続が前者にかかる負圧により外れようとするとする。その場合、前者の一端脱落防止片部92,292,392は後者の突出先端部122,322,422をめくり上げようとする。後者の突出先端部122,322,422は、そのようにめくり上げられようとすることに伴って前者の一端脱落防止片部92,292,392へ反力を与える。反力が与えられるので、後者の突出先端部122,322,422は、前者の一端脱落防止片部92,292,392を押しとどめる。前者の一端脱落防止片部92,292,392が押しとどめられるので、前者が上述された負圧によってめくりあがることは抑制される。その結果、高い耐火性能を有し、連結に関わる部分の構造が共通する物同士の着脱が容易であるにも関わらず、連結に関わる部分の構造が共通する物同士が接続された状態でそれらの一方が負圧によりめくり上がることは抑制できる、外壁パネル30,32,34が提供される。
【0009】
もしくは、上述された溝本体部90の嵌合溝72側の側面の縁100が、溝本体部90の底面のうち嵌合溝72側の側面の付け根102の位置から見て嵌合溝72側に配置されることが望ましい。
【0010】
溝本体部90の底面のうち嵌合溝72側の側面の付け根102の位置から見て嵌合溝72側に溝本体部90の嵌合溝72側の側面の縁100が配置される。一端脱落防止片部92は、その縁100から嵌合溝72とは反対側へ向かって突出する。一端脱落防止片部92は、係合溝70の嵌合溝72側の縁の少なくとも一部を形成する。これにより、溝本体部90の嵌合溝72側の側面に対する一端脱落防止片部92の屈曲を大きくすることができる。その屈曲が大きいと、次に述べられる接触が早期に生じやすくなる。その接触は、本発明にかかるある外壁パネル30とその係合溝70の中へ突出部120および突出先端部122のいずれかが進入する本発明にかかる他の外壁パネル30とが接続されており、かつ、前者にかかる負圧によりその接続が外れようとするとき生じる。その接触は、前者の一端脱落防止片部92と後者の突出部120および突出先端部122のいずれかとの接触である。しかも、本発明にかかるある外壁パネル30とその係合溝70の中へ突出部120および突出先端部122のいずれかが進入する本発明にかかる他の外壁パネル30との着脱が容易である。これは、本発明にかかる外壁パネル30において、係合溝70の嵌合溝72側の縁が、突出先端部122よりも嵌合溝72側に配置されるためである。
【0011】
もしくは、上述された溝本体部90,290の嵌合溝72側の側面が、他端連結部58,258から一端連結部56,256へ向かう方向から見て耐火体124より溝本体部90,290の対向する側面側に配置されていることが望ましい。この場合、溝本体部90,290の嵌合溝72側の側面の少なくとも一部が、嵌合溝72のうち係合溝70,270側の縁132の位置から見て他端連結部58,258から一端連結部56,256へ向かう方向又は耐火体124側に配置されていることが望ましい。
【0012】
溝本体部90,290の嵌合溝72側の側面の少なくとも一部が、嵌合溝72のうち係合溝70,270側の縁132の位置から見て他端連結部58,258から一端連結部56,256へ向かう方向又は耐火体124側に配置されている。これにより、次に述べられる場合、溝本体部90,290の嵌合溝72側の側面は耐火体124によって溝本体部90,290のうち嵌合溝72側の側面に対向する側面側へ押され易くなる。その場合とは、本発明にかかる外壁パネル30,32の対の一方の一端連結部56,256と他方の他端連結部58,258との接続が上述された負圧により外れようとする場合である。溝本体部90,290の嵌合溝72側の側面が押されると、それに伴って一端脱落防止片部92,292は溝本体部90,290のうち嵌合溝72側の側面に対向する側面側へ移動する。一端脱落防止片部92,292が移動すると、これが突出先端部122,322に近づき接触しやすくなる。その結果、上述された負圧によるめくり上がりが生じる可能性は低くなる。
【0013】
もしくは、上述された他端連結部258が、他端脱落防止片部328をさらに有することが望ましい。他端脱落防止片部328は、突出先端部322の先端に連なる。他端脱落防止片部328は、他端連結部258から一端連結部256へ向かう方向に沿って突出する。この場合、次に述べられる場合の溝本体部290の底面296からの他端脱落防止片部328の突出高さが、溝本体部290の底面296から一端脱落防止片部292の突出端までの高さより低いことが望ましい。その場合は、一端連結部256の嵌合溝72に他端連結部258の耐火体124が嵌め込まれ、一端連結部256の係合溝270に他端連結部258の突出先端部322が嵌め込まれ、かつ、一端連結部256と他端連結部258とが接触していると仮定した場合である。
【0014】
上述の通り溝本体部290の底面296からの他端脱落防止片部328の突出高さが溝本体部290の底面296から一端脱落防止片部292の突出端までの高さより低いとする。この場合には、本発明にかかるある外壁パネル32の係合溝270の中へ本発明にかかる他の外壁パネル32の他端脱落防止片部328が十分に進入できる。これにより、これらの外壁パネル32の接続が前者にかかる負圧により外れようとしたとき、前者の一端脱落防止片部292と後者の他端脱落防止片部328との接触が生じやすくなる。
【0015】
もしくは、上述された他端連結部58,258,358が、複数の耐火目地材128,130,324,326,424,426をさらに有していることが望ましい。それら複数の耐火目地材128,130,324,326,424,426は、耐火体124の両脇を塞ぐよう配置される。
【0016】
耐火体124の両脇が複数の耐火目地材128,130,324,326,424,426によって塞がれる。これにより、火災などによって生じた熱に起因する外壁パネル30,32,34の内部の温度上昇が抑えられる。その温度上昇が抑えられるので、外壁パネル30,32,34の耐火性能が向上する。
【0017】
もしくは、上述された耐火目地材128,130,324,326,424,426の圧縮強度が、一端連結部56,256,356と他端連結部58,258,358とに挟まれる区間の圧縮強度より大きいことが望ましい。
【0018】
外壁パネル30,32,34が建築物20などに固定されるにあたり、その固定のための金具などが耐火目地材128,130,324,326,424,426の対と耐火体124とを貫通するとする。その場合、その貫通に伴う外壁パネル30,32,34の表面の陥没は、その金具などが一端連結部56,256,356と他端連結部58,258,358とに挟まれる区間を貫通する場合に比べて抑えられる。耐火目地材128,130,324,326,424,426の圧縮強度が大きいためである。その結果、建築物20などへの固定によって外観が損なわれる可能性は軽減される。
【0019】
もしくは、上述された他端連結部58,258,358が、金属製の耐火体支持部126をさらに有していることが望ましい。耐火体支持部126は、耐火体124のうち突出部120,320,420の位置から見た場合の裏側にて耐火体124に接する。
【0020】
耐火体支持部126が耐火体124に接すると、耐火体124に曲げモーメントがかかる際に耐火体124に対するその曲げモーメントの影響を抑え得る。その曲げモーメントの影響が抑えられると、その曲げモーメントの影響で耐火体124が破壊される可能性が小さくなる。
【0021】
もしくは、上述された突出先端部122,322,422が、突出部120,320,420に比べて撓み難いことが望ましい。
【0022】
突出先端部122,322,422が突出部120,320,420に比べて撓み難いとする。この場合、突出先端部122,322,422が突出部120,320,420と同様に撓み易い場合に比べ、突出先端部122,322,422に何かが係合したとき突出先端部122,322,422の撓みによってその係合が解消される恐れが小さくなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、高い耐火性能を有し、連結に関わる部分の構造が共通する物同士の着脱が容易であり、連結に関わる部分の構造が共通する物同士が接続された状態でそれらの一方が負圧によりめくり上がることが抑制される、外壁パネルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかる外壁パネルの役割が示される概念図である。
【
図2】本発明の第1実施形態にかかる外壁パネルの断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態にかかる外壁パネル同士が接続された状況が示される図である。
【
図6】本発明の第1実施形態にかかる外壁パネルのめくり上がりが抑制されている状況が示される図である。
【
図7】本発明の第2実施形態にかかる外壁パネルの断面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態にかかる外壁パネル同士が接続された状況が示される図である。
【
図11】本発明の第3実施形態にかかる外壁パネルの断面図である。
【
図14】本発明の第3実施形態にかかる外壁パネル同士が接続された状況が示される図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態が説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能は同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返されない。
【0026】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態にかかる外壁パネル30の役割が示される概念図である。
図1に基づいて、本実施形態にかかる外壁パネル30の役割が説明される。
【0027】
本実施形態にかかる外壁パネル30は建築物20の外壁に配置される。外壁パネル30は縦横に並ぶように配置されている。したがって、ある外壁パネル30の上に他の外壁パネル30が配置される。前者の外壁パネル30の下にさらに別の外壁パネル30が配置される。
【0028】
図2は、本実施形態にかかる外壁パネル30の断面図である。
図2に基づいて、本実施形態にかかる外壁パネル30の構成が説明される。
【0029】
図2に示されるように、本実施形態にかかる外壁パネル30は、外皮部50と、内皮部52と、皮間部54と、一端連結部56と、他端連結部58と、防水材60とを備える。
【0030】
外皮部50は、建築物20の外壁となる位置に配置される。外皮部50は、金属板が屈曲することにより形成される。本実施形態の場合、その金属板は鋼板である。
【0031】
内皮部52は、外皮部50に対向する。その結果、内皮部52は外皮部50から見て建築物20の内側となる位置に配置される。内皮部52も、金属板が屈曲することにより形成される。本実施形態の場合、内皮部52を形成するための金属板も鋼板である。
【0032】
皮間部54は、外皮部50と内皮部52との間に配置される。皮間部54は、外皮部50と内皮部52との基部となる。本実施形態の場合、外皮部50と内皮部52とは皮間部54に接着されている。本実施形態の場合、皮間部54は、耐火性(耐熱性、難燃性、不燃性)を有する周知の素材からなる。
【0033】
一端連結部56は、外壁パネル30の一端に配置される。本実施形態の場合、一端連結部56は外壁パネル30の下端に配置されるように用いられる。本実施形態にかかる一端連結部56は、外皮部50を構成する鋼板の一部と、内皮部52を構成する鋼板の一部と、皮間部54を構成する部材の一部とからなる。本実施形態における一端連結部56の具体的な構成は後述される。
【0034】
他端連結部58は、外壁パネル30の他端に配置される。本実施形態の場合、他端連結部58は外壁パネル30の上端に配置されるように用いられる。本実施形態にかかる他端連結部58は、外皮部50を構成する鋼板の一部と、内皮部52を構成する鋼板の一部と、周知の耐火材とからなる。本実施形態における他端連結部58の具体的な構成も後述される。
【0035】
本実施形態の場合、防水材60は、後述される溝本体部90の内部ひいては後述される係合溝70が形成する空間内に配置される。本実施形態の場合、防水材60が、他端連結部58から一端連結部56へ向かう方向に沿って突出する。本実施形態における防水材60の素材は周知のものと同様である。したがってその詳細な説明は繰り返されない。
【0036】
図3は、
図2のA部拡大図である。
図2と
図3とに基づいて、本実施形態にかかる一端連結部56の具体的な構成が説明される。
【0037】
本実施形態の場合、一端連結部56は、係合溝70と、嵌合溝72とを有する。係合溝70は、他の外壁パネル30の他端連結部58のある一部が進入するための溝である。嵌合溝72は、外壁パネル30が建築物20に配置されたとき係合溝70から見て屋内側となる箇所へ、その係合溝70と並んで配置される。嵌合溝72は、他端連結部58の他の一部が進入するための溝である。
【0038】
本実施形態の場合、係合溝70が、溝本体部90と、一端脱落防止片部92とを有している。
【0039】
溝本体部90は、底面および側面を形成する。一端脱落防止片部92は、溝本体部90の嵌合溝72側の側面の縁100から突出する。その突出方向は、嵌合溝72とは反対側である。本実施形態の場合、一端脱落防止片部92は、係合溝70の嵌合溝72側の縁の一部を形成する。ただし、一端脱落防止片部92の先端ひいては係合溝70の嵌合溝72側の縁は、後述される突出先端部122よりも嵌合溝72側に配置される。
図3から明らかなように、本実施形態の場合、溝本体部90の嵌合溝72側の側面の縁100が、溝本体部90の底面のうち嵌合溝72側の側面の付け根102の位置から見て嵌合溝72側に配置される。さらに、本実施形態の場合、溝本体部90の嵌合溝72側の側面は、他端連結部58から一端連結部56へ向かう方向から見て後述される耐火体124より溝本体部90の対向する側面側に配置されている。その上、溝本体部90の嵌合溝72側の側面の縁100は、嵌合溝72のうち係合溝70側の縁132の位置から見て他端連結部58から一端連結部56へ向かう方向上に配置される。
【0040】
図4は、
図2のB部拡大図である。
図2と
図4とに基づいて、本実施形態にかかる他端連結部58の具体的な構成が説明される。
【0041】
本実施形態の場合、他端連結部58は、突出部120と、突出先端部122と、耐火体124と、耐火体支持部126と、第1耐火目地材128と、第2耐火目地材130とを有する。
【0042】
突出部120は、係合溝70の位置から見て一端連結部56から他端連結部58へ向かう方向に配置される。突出部120は、その方向にて係合溝70に対向するように配置される。突出部120は、一端連結部56から他端連結部58へ向かう方向に沿って突出する。
【0043】
突出先端部122は、係合溝70の位置から見て一端連結部56から他端連結部58へ向かう方向にて係合溝70に対向するように配置される。突出先端部122は、突出部120の先端に連なる。突出先端部122は、突出部120の位置から見て耐火体124が配置される方に屈曲している。突出部120と突出先端部122とが、耐火体124側に開いた開放空間140を形成する。なお、
図4からも明らかなように、本実施形態の場合、突出部120と突出先端部122とは、外皮部50を構成する鋼板の端部が折り曲げられて平らに押しつぶされたものである。これにより、突出先端部122は鋼製の2層を有することとなる。突出先端部122に何かが接触したとき、突出先端部122を構成するそれら2層の双方に応力がかかることとなる。一方、突出部120も鋼製の2層を有することとなるが、突出先端部122に何かが接触したとき大きな応力がかかるのはそれら2層のうち一方のみである。その結果、本実施形態の場合、突出先端部122は突出部120に比べて撓み難い。
【0044】
耐火体124は、嵌合溝72の位置から見て一端連結部56から他端連結部58へ向かう方向に配置される。耐火体124は、その方向にて嵌合溝72に対向するように配置される。耐火体124は、一端連結部56から他端連結部58へ向かう方向に沿って突出する。本実施形態の場合、一端連結部56から他端連結部58へ向かう方向に対して直交する方向についての耐火体124の幅は、その方向についての嵌合溝72の幅未満である。耐火体124は、周知の耐火材からなる。
【0045】
耐火体支持部126は、耐火体124のうち突出部320の位置から見た場合の裏側にて耐火体124に接する。本実施形態の場合、耐火体支持部126は内皮部52を構成する鋼板の一部からなる。したがって、本実施形態にかかる耐火体支持部126は金属製である。
【0046】
第1耐火目地材128は、耐火体124の位置から見て外皮部50側に配置されている。第2耐火目地材130は、耐火体124の位置から見て内皮部52側に配置されている。これにより、第1耐火目地材128と第2耐火目地材130とからなる耐火目地材の対は、耐火体124の両脇を塞ぐよう配置されることとなる。第1耐火目地材128および第2耐火目地材130は、いずれも周知の耐火材からなる。本実施形態の場合、第1耐火目地材128と第2耐火目地材130との圧縮強度は、皮間部54の圧縮強度より大きい。その結果、第1耐火目地材128と第2耐火目地材130との圧縮強度は、一端連結部56と他端連結部58とに挟まれる区間の圧縮強度より大きいこととなる。
【0047】
[施工手順の説明]
以下、本実施形態にかかる外壁パネル30の施工手順が説明される。まず、周知の手順により建築物20の最下部において本実施形態にかかるある外壁パネル30が建築物20へ取付けられる。本実施形態にかかる外壁パネル30が建築物20へ取付けられると、その外壁パネル30の上へ本実施形態にかかる他の外壁パネル30が載せられる。そのための具体的な手順は周知である。したがってここではその詳細な説明は繰り返されない。
【0048】
建築物20の最下部において建築物20へ取付けられた外壁パネル30の上へ他の外壁パネル30が載せられると、前者の外壁パネル30の他端連結部58は後者の外壁パネル30の一端連結部56へ進入する。
【0049】
前者の外壁パネル30の他端連結部58が後者の外壁パネル30の一端連結部56へ進入することに伴い、その他端連結部58の突出部120および突出先端部122はその一端連結部56の係合溝70内へ進入する。その他端連結部58の耐火体124および耐火体支持部126はその一端連結部56の嵌合溝72内へ進入する。
【0050】
その突出部120および突出先端部122がその係合溝70内へ進入すると、その突出部120および突出先端部122はその係合溝70内の防水材60に接触する。これにより、その突出部120および突出先端部122はその防水材60に押付けられることとなる。
図5は、それら外壁パネル30同士が接続された状況が示される図である。
【0051】
次いで、後者の外壁パネル30は建築物20の図示されない躯体に固定される。その固定は、第1耐火目地材128と耐火体124と第2耐火目地材130とをビスなどの金具に貫通させることで実現される。その貫通の具体手順は周知なのでここではその詳細な説明は繰り返されない。以下、同様の工程が繰り返されることで建築物20の外壁が形成される。
【0052】
[本実施形態にかかる効果の説明]
本実施形態にかかる外壁パネル30の対が互いに接続されるとき、一方の嵌合溝72に他方の耐火体124が進入する。これにより、それら外壁パネル30の対における耐火性能が維持される。その結果、本実施形態にかかる外壁パネル30の対が互いに接続されるとき、これらは高い耐火性能を発揮することとなる。
【0053】
本実施形態にかかる外壁パネル30の対が互いに接続されるとき、一方の溝本体部90の嵌合溝72側の側面と一端脱落防止片部92とは、他方の突出部120と突出先端部122とが形成する開放空間140に対向する。本実施形態にかかる外壁パネル30においては、その開放空間140が前者の係合溝70の溝本体部90の嵌合溝72側の側面および一端脱落防止片部92と後者の突出部120および突出先端部122とに挟まれることとなる。開放空間140が挟まれると、前者の外壁パネル30が上述された負圧によってめくりあがろうとする際、前者の溝本体部90の嵌合溝72側の側面および一端脱落防止片部92が後者の開放空間140に進入することとなる。そのような進入が生じた結果、前者の外壁パネル30が上述された負圧によってめくりあがろうとする際、前者の溝本体部90の嵌合溝72側の側面および一端脱落防止片部92が後者の突出部120に接触すると、後者の開放空間140が塞がれる。これにより、この箇所における耐火性能が向上する。前者の係合溝70の溝本体部90の嵌合溝72側の側面および一端脱落防止片部92が後者の開放空間140に進入するのは前者の外壁パネル30が上述された負圧によってめくりあがろうとする場合に限られない。本実施形態にかかる外壁パネル30の対が高温に晒された場合にも前者の係合溝70の溝本体部90の嵌合溝72側の側面および一端脱落防止片部92は後者の開放空間140に進入し得る。本実施形態にかかる外壁パネル30の対が高温に晒される場合の例には火災がある。そのようにして前者の係合溝70の溝本体部90の嵌合溝72側の側面および一端脱落防止片部92が後者の開放空間140に進入した場合にも後者の開放空間140は塞がれる。この場合にもこの箇所における耐火性能が向上する。
【0054】
本実施形態にかかる外壁パネル30の対が互いに接続されるとき、一方の係合溝70への他方の突出部120および突出先端部122の進入が妨げられない。後者の他端連結部58から前者の一端連結部56へ向かう方向に前者を引けば、いったん接続された前者と後者とを再度容易に分離できる。すなわち、本実施形態にかかるある外壁パネル30と本実施形態にかかる他の外壁パネル30との着脱は容易である。
【0055】
本実施形態にかかる外壁パネル30によって外壁が形成された建築物20の回りに風が吹くなどしてそれらの外壁パネル30のうち他の外壁パネル30の上に載せられているものに負圧がかかったとする。その場合、それら外壁パネル30のうちある外壁パネル30は他の外壁パネル30の上に載っていることとなる。その場合、後者の耐火体124が前者の嵌合溝72に嵌まっている。このことから、当初、前者の外壁パネル30の嵌合溝72が後者の耐火体124から反力を受ける。これにより、それら外壁パネル30の接続が維持される。
【0056】
次いで、後者の外壁パネル30も負圧によって建築物20から外れようとしたとする。併せて、前者の外壁パネル30の嵌合溝72が後者の耐火体124から受ける反力に耐えられず破壊されたとする。これにより、それら外壁パネル30の接続が維持できなくなる。その破壊により後者の耐火体124が前者の嵌合溝72から外れると、後者の耐火体124は前者の溝本体部90の嵌合溝72側の側面を押す。これによってその側面が押されると、それに伴って前者の一端脱落防止片部92は移動する。その移動に伴い、前者の一端脱落防止片部92は後者の突出先端部122に近づく。あるいは、後者の耐火体124が前者の嵌合溝72から外れると、前者の外壁パネル30が負圧によって建築物20から外れようとしていることに伴い、前者の一端脱落防止片部92は後者の突出先端部122に近づく。
【0057】
後者の突出先端部122は、前者の一端脱落防止片部92を押しとどめる。前者の一端脱落防止片部92が押しとどめられるので、前者の外壁パネル30が上述された負圧によってめくりあがることは抑制される。
図6は、前者の外壁パネルのめくり上がりが抑制されている状況が示される図である。
【0058】
本実施形態にかかる外壁パネル30において、溝本体部90の嵌合溝72側の側面に対する一端脱落防止片部92の屈曲は大きい。その屈曲が大きいので、本実施形態にかかる外壁パネル30とこれが載せられている他の外壁パネル30との接続が外れようとしたとき、前者の一端脱落防止片部92と後者の突出先端部122との係合が早期に生じやすくなる。
【0059】
本実施形態にかかる外壁パネル30において、突出先端部122は突出部120に比べて撓み難い。これにより、突出先端部122が突出部120と同様に撓み易い場合に比べ、突出先端部122に治具などが係合したとき突出先端部122の撓みによってその係合が解除される可能性が低くなる。その可能性が低くなるので、突出先端部122に係合させた治具などを吊り上げることで、本実施形態にかかる外壁パネル30も吊り上げることが可能になる。その結果、本実施形態にかかる外壁パネル30の吊り上げにあたり、これに吊り上げのための孔などを形成する必要がなくなる。
【0060】
本実施形態にかかる外壁パネル30においては、建築物20などへの固定によって外観が損なわれる可能性は軽減される。
【0061】
<第2実施形態>
図7は、本実施形態にかかる外壁パネル32の断面図である。
図7に基づいて、本実施形態にかかる外壁パネル32の構成が説明される。
【0062】
図7に示されるように、本実施形態にかかる外壁パネル32は、外皮部50と、内皮部52と、皮間部54と、一端連結部256と、他端連結部258と、防水材60とを備える。
【0063】
一端連結部256は、外壁パネル32の一端に配置される。本実施形態の場合、一端連結部256は外壁パネル32の下端に配置されるように用いられる。本実施形態における一端連結部256の具体的な構成は後述される。
【0064】
他端連結部258は、外壁パネル32の他端に配置される。本実施形態の場合、他端連結部258は外壁パネル32の上端に配置されるように用いられる。本実施形態における他端連結部258の具体的な構成も後述される。
【0065】
図8は、
図7のA部拡大図である。
図7と
図8とに基づいて、本実施形態にかかる一端連結部256の具体的な構成が説明される。
【0066】
本実施形態の場合、一端連結部256は、係合溝270と、嵌合溝72とを有する。係合溝270は、他の外壁パネル32の他端連結部258のある一部が進入するための溝である。嵌合溝72は係合溝270と並んで配置される。嵌合溝72は、その他端連結部258の他の一部が進入するための溝である。
【0067】
本実施形態の場合、係合溝270が、溝本体部290と、一端脱落防止片部292とを有している。
【0068】
溝本体部290は、底面および側面を形成する。本実施形態の場合、溝本体部290の嵌合溝72側の側面は、他端連結部258から一端連結部256へ向かう方向から見て後述される耐火体124より溝本体部290の対向する側面側に配置されている。その上、溝本体部290の嵌合溝72側の側面は、嵌合溝72のうち係合溝270側の縁132の位置から見て他端連結部258から一端連結部256へ向かう方向上に配置される。
【0069】
一端脱落防止片部292は、溝本体部290の縁から嵌合溝72とは反対側へ向かって突出する。一端脱落防止片部292は、係合溝270の嵌合溝72側の縁の少なくとも一部を形成する。本実施形態の場合、一端脱落防止片部292の先端は、一端連結部256から他端連結部258へ向かって一端連結部256を見るとき、後述される突出先端部322よりも嵌合溝72側に配置される。これにより、一端連結部256から他端連結部258へ向かって一端連結部256を見るとき、係合溝270の嵌合溝72側の縁が、突出先端部322よりも嵌合溝72側に配置されることとなる。
【0070】
本実施形態の場合、上述された防水材60は、溝本体部290の内部ひいては係合溝270が形成する空間内に配置される。本実施形態の場合、防水材60が、他端連結部258から一端連結部256へ向かう方向に沿って突出する。
【0071】
図9は、
図7のB部拡大図である。
図7と
図9とに基づいて、本実施形態にかかる他端連結部258の具体的な構成が説明される。
【0072】
本実施形態の場合、他端連結部258は、突出部320と、突出先端部322と、耐火体124と、耐火体支持部126と、第1耐火目地材324と、第2耐火目地材326と、他端脱落防止片部328とを有する。
【0073】
突出部320は、係合溝270の位置から見て一端連結部256から他端連結部258へ向かう方向にて係合溝270に対向するように配置される。突出部320は、一端連結部256から他端連結部258へ向かう方向に沿って突出する。
【0074】
突出先端部322は、係合溝270の位置から見て一端連結部256から他端連結部258へ向かう方向にて係合溝270に対向するように配置される。突出先端部322は、突出部320の先端に連なる。突出先端部322は、突出部320の位置から見て耐火体124が配置される方に屈曲している。突出部320と突出先端部322とが、耐火体124側に開いた開放空間340を形成する。
【0075】
耐火体支持部126は、耐火体124のうち突出部320の位置から見た場合の裏側にて耐火体124に接する。
【0076】
第1耐火目地材324は、耐火体124の位置から見て外皮部50側に配置されている。第2耐火目地材326は、耐火体124の位置から見て内皮部52側に配置されている。これにより、第1耐火目地材324と第2耐火目地材326とからなる耐火目地材の対は、耐火体124の両脇を塞ぐよう配置されることとなる。第1耐火目地材324および第2耐火目地材326は、いずれも周知の耐火材からなる。本実施形態の場合、第1耐火目地材324と第2耐火目地材326との圧縮強度は、皮間部54の圧縮強度より大きい。その結果、第1耐火目地材324と第2耐火目地材326との圧縮強度は、一端連結部256と他端連結部258とに挟まれる区間の圧縮強度より大きいこととなる。
【0077】
他端脱落防止片部328は、突出先端部322の先端に連なる。他端脱落防止片部328は、他端連結部258から一端連結部256へ向かう方向に沿って突出する。
【0078】
その他の点は第1実施形態にかかる外壁パネル30と同様である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返されない。
【0079】
[施工手順の説明]
本実施形態にかかる外壁パネル32の施工手順は第1実施形態にかかる外壁パネル30のものと同様である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返されない。
図10は、本実施形態にかかる外壁パネル32同士が接続された状況が示される図である。なお、
図10から明らかな通り、本実施形態において、突出先端部322からの他端脱落防止片部328の突出高さは、次に述べられる要件を満たすものとなっている。その要件は、次に述べられる場合の溝本体部290の底面296からの他端脱落防止片部328の突出高さが、溝本体部290の底面296から一端脱落防止片部292の突出端までの高さより低いというものである。その場合は、一端連結部256の嵌合溝72に他端連結部258の耐火体124が嵌め込まれ、一端連結部256の係合溝270に他端連結部258の突出先端部322が嵌め込まれ、かつ、一端連結部256と他端連結部258とが接触していると仮定した場合である。なお、本実施形態の場合、「一端連結部256と他端連結部258とが接触している」とは、次に述べられる状態であることを意味する。その状態とは、本実施形態にかかる外壁パネル32同士が接続された結果、それらの一方の一端連結部256のいずれかの箇所とそれらの他方の他端連結部258のいずれかの箇所とが接触している状態である。
図10に示される状態の場合、一端連結部256のうち係合溝270の位置から見て嵌合溝72の向こう側にあたる箇所と他端連結部258のうち突出部320の位置から見て耐火体支持部126の向こう側にあたる箇所とが接触している。
【0080】
[本実施形態にかかる効果の説明]
第1実施形態にかかる外壁パネル30と同様に、本実施形態にかかる外壁パネル32の対が互いに接続されるとき、これらは高い耐火性能を発揮することとなる。さらに、本実施形態にかかるある外壁パネル32と本実施形態にかかる他の外壁パネル32との着脱は容易である。
【0081】
本実施形態にかかる外壁パネル32によって外壁が形成された建築物20の回りに風が吹くなどしてそれらの外壁パネル32のうち他の外壁パネル32の上に載せられているものに大きな負圧がかかったとする。その場合、第1実施形態にかかる外壁パネル30と同様に、本実施形態にかかる外壁パネル32は、その外壁パネル32が載せられた他の外壁パネル32から反力を受ける。本実施形態の場合、前者の外壁パネル32の係合溝270の中へ後者の外壁パネル32の他端脱落防止片部328が十分に進入できる。これにより、これらの外壁パネル32の接続が前者にかかる負圧により外れようとしたとき、前者の外壁パネル32の一端脱落防止片部292と後者の他端脱落防止片部328との係合が容易に生じる。その係合が生じた後、前者が引き続き負圧を受けても、その一端脱落防止片部292の動きは後者の突出先端部322又はめくり上がった他端脱落防止片部328に押しとどめられる。その結果、前者の外壁パネル32が負圧によりめくり上がることは抑制される。
【0082】
<第3実施形態>
図11は、本実施形態にかかる外壁パネル34の断面図である。
図11に基づいて、本実施形態にかかる外壁パネル34の構成が説明される。
【0083】
図11に示されるように、本実施形態にかかる外壁パネル34は、外皮部50と、内皮部52と、皮間部54と、一端連結部356と、他端連結部358と、防水材60を備える。
【0084】
一端連結部356は、外壁パネル34の一端に配置される。本実施形態の場合、一端連結部356は外壁パネル34の下端に配置されるように用いられる。本実施形態における一端連結部356の具体的な構成は後述される。
【0085】
他端連結部358は、外壁パネル34の他端に配置される。本実施形態の場合、他端連結部358は外壁パネル34の上端に配置されるように用いられる。本実施形態における他端連結部358の具体的な構成も後述される。
【0086】
図12は、
図11のA部拡大図である。
図11と
図12とに基づいて、本実施形態にかかる一端連結部356の具体的な構成が説明される。
【0087】
本実施形態の場合、一端連結部356は、係合溝370と、嵌合溝372とを有する。係合溝370は、他の外壁パネル34の他端連結部358のある一部が進入するための溝である。嵌合溝372は、外壁パネル34が建築物20に配置されたとき係合溝370から見て屋内側となる箇所へ、その係合溝370と並んで配置される。嵌合溝372は、上述された他端連結部358の他の一部が進入するための溝である。
【0088】
本実施形態の場合、係合溝370は、溝本体部390と、一端脱落防止片部392と、耐火体対向片部394とを有している。
【0089】
溝本体部390は、底面396および側面398を形成する。本実施形態の場合、一端脱落防止片部392は、溝本体部390の嵌合溝372側の側面398に固定される。これにより一端脱落防止片部392はその側面398から突出することとなる。その突出方向は、嵌合溝72とは反対側である。本実施形態の場合、溝本体部390の嵌合溝372側の側面の縁402は、後述される突出先端部422よりも嵌合溝372側に配置される。耐火体対向片部394は、溝本体部390の嵌合溝372側の側面の縁402から嵌合溝372側へ向かって突出する。耐火体対向片部394は、係合溝370の嵌合溝372側の縁の一部を形成する。また、本実施形態の場合、耐火体対向片部394の先端が、嵌合溝372のうち係合溝370側の縁432の位置から見て他端連結部358から一端連結部356へ向かう方向より耐火体124側に配置されている。
【0090】
図13は、
図11のB部拡大図である。
図11と
図13とに基づいて、本実施形態にかかる他端連結部358の具体的な構成が説明される。
【0091】
本実施形態の場合、他端連結部358は、突出部420と、突出先端部422と、耐火体124と、耐火体支持部126と、第1耐火目地材424と、第2耐火目地材426とを有する。
【0092】
突出部420は、係合溝370の位置から見て一端連結部356から他端連結部358へ向かう方向にて係合溝370に対向するように配置される。突出部420は、一端連結部356から他端連結部358へ向かう方向に沿って突出する。
【0093】
突出先端部422は、係合溝370の位置から見て一端連結部356から他端連結部358へ向かう方向にて係合溝370に対向するように配置される。突出先端部422は、突出部420の先端に連なる。突出先端部422は、突出部420の位置から見て耐火体124が配置される方に屈曲している。突出部420と突出先端部422とが、耐火体124側に開いた開放空間430を形成する。
【0094】
耐火体124は、嵌合溝372の位置から見て一端連結部356から他端連結部358へ向かう方向に配置される。耐火体124は、その方向にて嵌合溝372に対向するように配置される。耐火体124は、一端連結部356から他端連結部358へ向かう方向に沿って突出する。本実施形態の場合、一端連結部356から他端連結部358へ向かう方向に対して直交する方向についての耐火体124の幅は、その方向についての嵌合溝372の幅未満である。
【0095】
第1耐火目地材424は、耐火体124の位置から見て外皮部50側に配置されている。第2耐火目地材426は、耐火体124の位置から見て内皮部52側に配置されている。これにより、第1耐火目地材424と第2耐火目地材426とからなる耐火目地材の対は、耐火体124の両脇を塞ぐよう配置されることとなる。第1耐火目地材424および第2耐火目地材426は、いずれも周知の耐火材からなる。本実施形態の場合、第1耐火目地材424と第2耐火目地材426との圧縮強度は、皮間部54の圧縮強度より大きい。その結果、第1耐火目地材424と第2耐火目地材426との圧縮強度は、一端連結部356と他端連結部358とに挟まれる区間の圧縮強度より大きいこととなる。
【0096】
その他の点は第1実施形態にかかる外壁パネル30と同様である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返されない。
【0097】
[施工手順の説明]
本実施形態にかかる外壁パネル34の施工手順は第1実施形態にかかる外壁パネル30のものと同様である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返されない。
図14は、本実施形態にかかる外壁パネル34同士が接続された状況が示される図である。
【0098】
[本実施形態にかかる効果の説明]
第1実施形態にかかる外壁パネル30と同様に、本実施形態にかかる外壁パネル34の対が互いに接続されるとき、これらは高い耐火性能を発揮することとなる。さらに、本実施形態にかかるある外壁パネル34と本実施形態にかかる他の外壁パネル34との着脱は容易である。
【0099】
加えて、本実施形態にかかる外壁パネル34によって外壁が形成された建築物20の回りに風が吹くなどしてそれらの外壁パネル34のうち他の外壁パネル34の上に載せられているものに負圧がかかったとする。その場合、第1実施形態にかかる外壁パネル30と同様に、本実施形態にかかる外壁パネル34は、その外壁パネル32が載せられた他の外壁パネル32から反力を受ける。その結果、前者の外壁パネル32が負圧によりめくり上がることは抑制される。
【0100】
[変形例の説明]
今回開示された実施形態はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施形態に基づいて制限されるものではない。もちろん、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよい。
【0101】
例えば、本発明にかかる外壁パネルの具体的な素材は特に限定されない。
【符号の説明】
【0102】
20…建築物
30,32,34…外壁パネル
50…外皮部
52…内皮部
54…皮間部
56,256,356…一端連結部
58,258,358…他端連結部
60…防水材
70,270,370…係合溝
72,372…嵌合溝
90,290,390…溝本体部
92,292,392…一端脱落防止片部
100,132,402,432…縁
102…付け根
120,320,420…突出部
122,322,422…突出先端部
124…耐火体
126…耐火体支持部
128,324,424…第1耐火目地材
130,326,426…第2耐火目地材
140,340,430…開放空間
296,396…底面
328…他端脱落防止片部
394…耐火体対向片部
398…側面
【手続補正書】
【提出日】2023-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に配置される一端連結部と他端に配置される他端連結部とを備え、
前記一端連結部が、底面および側面を有する係合溝を有し、
前記他端連結部が、
前記係合溝の位置から見て前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向にて前記係合溝に対向するように配置され、かつ、前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向に沿って突出する突出部と、
前記係合溝の位置から見て前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向にて前記係合溝に対向するように配置され、前記突出部の先端に連なり、かつ、屈曲する突出先端部とを有する外壁パネルであって、
前記一端連結部が、前記係合溝と並んで配置される嵌合溝を前記係合溝に加えて有し、
前記他端連結部が、前記嵌合溝の位置から見て前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向にて前記嵌合溝に対向するように配置され、かつ、前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向に沿って突出する耐火体をさらに有し、
前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向に直交する方向についての前記耐火体の幅が、前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向に直交する方向についての前記嵌合溝の幅未満であり、
前記係合溝の前記嵌合溝側の縁が、前記突出先端部よりも前記嵌合溝側に配置され、
前記突出先端部が、前記突出部の位置から見て前記耐火体が配置される方に屈曲しており、
前記突出部と前記突出先端部とが、前記耐火体側に開いた開放空間を形成し、
前記係合溝が、
前記底面および前記側面を形成する溝本体部と、
前記溝本体部の前記嵌合溝側の側面から前記嵌合溝とは反対側へ向かって突出し前記係合溝の前記嵌合溝側の一部を形成する一端脱落防止片部とを有していることを特徴とする外壁パネル。
【請求項2】
前記溝本体部の前記嵌合溝側の側面の縁が、前記溝本体部の前記底面のうち前記嵌合溝側の側面の付け根の位置から見て前記嵌合溝側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル。
【請求項3】
前記溝本体部の前記嵌合溝側の側面が、前記他端連結部から前記一端連結部へ向かう方向から見て前記耐火体より前記溝本体部の対向する側面側に配置されており、
前記溝本体部の前記嵌合溝側の側面の少なくとも一部が、前記嵌合溝のうち前記係合溝側の縁の位置から見て前記他端連結部から前記一端連結部へ向かう方向又は前記耐火体側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル。
【請求項4】
前記他端連結部が、前記突出先端部の先端に連なり前記他端連結部から前記一端連結部へ向かう方向に沿って突出する他端脱落防止片部をさらに有し、
前記一端連結部の前記嵌合溝に前記他端連結部の前記耐火体が嵌め込まれ前記一端連結部の前記係合溝に前記他端連結部の前記突出先端部が嵌め込まれ前記一端連結部と前記他端連結部とが接触していると仮定した場合の前記溝本体部の前記底面からの前記他端脱落防止片部の突出高さが、前記溝本体部の前記底面から前記一端脱落防止片部の突出端までの高さより低いことを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル。
【請求項5】
前記他端連結部が、前記耐火体の両脇を塞ぐよう配置される複数の耐火目地材をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル。
【請求項6】
前記耐火目地材の圧縮強度が、前記一端連結部と前記他端連結部とに挟まれる区間の前記圧縮強度より大きいことを特徴とする請求項5に記載の外壁パネル。
【請求項7】
前記他端連結部が、前記耐火体のうち前記突出部の位置から見た場合の裏側にて前記耐火体に接する金属製の耐火体支持部をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル。
【請求項8】
前記突出先端部が前記突出部に比べて撓み難いことを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル。