(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083771
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】車両警告システム、車両警告方法および車両警告プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240617BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20240617BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240617BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/04 A
G08B25/04 C
G08B25/00 510M
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197775
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000243881
【氏名又は名称】名古屋電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 香織
(72)【発明者】
【氏名】三浦 宗徳
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智
【テーマコード(参考)】
5C087
5H181
【Fターム(参考)】
5C087AA09
5C087AA32
5C087AA51
5C087DD03
5C087DD13
5C087EE08
5C087GG02
5C087GG66
5C087GG84
5H181AA01
5H181BB15
5H181BB20
5H181CC04
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL06
5H181LL07
(57)【要約】
【課題】規制領域に接近し得る車両を警告する技術の提供。
【解決手段】道路上に設定された規制領域の手前側の領域の画像を取得する画像取得部と、前記画像に基づいて、前記規制領域に向けて走行する車両を検出する車両検出部と、前記道路上に設定された車線の境界線上を第1閾値以上の速度で走行する前記車両を第1警告対象車両として検出する警告対象車両検出部と、前記第1警告対象車両が検出された場合に、警告部に警告情報を出力させる警告制御部と、を備える車両警告システムが構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上に設定された規制領域の手前側の領域の画像を取得する画像取得部と、
前記画像に基づいて、前記規制領域に向けて走行する車両を検出する車両検出部と、
前記道路上に設定された車線の境界線上を第1閾値以上の速度で走行する前記車両を第1警告対象車両として検出する警告対象車両検出部と、
前記第1警告対象車両が検出された場合に、警告部に警告情報を出力させる警告制御部と、
を備える、車両警告システム。
【請求項2】
前記警告対象車両検出部は、
前記境界線上を前記第1閾値以上の速度で走行し、かつ、前記境界線上を走行する時間長が時間閾値以上である前記車両を前記第1警告対象車両として検出する、
請求項1に記載の車両警告システム。
【請求項3】
前記警告対象車両検出部は、
前記規制領域から手前側に前記境界線に沿って所定距離の第1検出範囲を走行する前記車両の中から前記第1警告対象車両を検出する、
請求項2に記載の車両警告システム。
【請求項4】
前記時間閾値は、前記車両が前記第1検出範囲を前記境界線に沿って走行する際の時間長に、0より大きく1より小さい値を乗じた値である、
請求項3に記載の車両警告システム。
【請求項5】
前記時間閾値は、前記車両の速度が大きいほど短くなる、
請求項2に記載の車両警告システム。
【請求項6】
前記警告対象車両検出部は、
前記車線上において前記規制領域から手前側に所定距離の第2検出範囲を、第2閾値以上の速度で走行する前記車両を第2警告対象車両として検出し、
前記警告制御部は、
前記第2警告対象車両が検出された場合に、前記警告部に前記警告情報を出力させる、
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の車両警告システム。
【請求項7】
前記規制領域の内外は前記道路上に配置された規制材で区切られており、
前記画像取得部は、前記規制材または前記規制領域内に存在する作業車に設置されたカメラによって撮影された前記画像を取得する、
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の車両警告システム。
【請求項8】
道路上に設定された規制領域の手前側の領域の画像を取得し、
前記画像に基づいて、前記規制領域に向けて走行する車両を検出し、
前記道路上に設定された車線の境界線上を第1閾値以上の速度で走行する前記車両を第1警告対象車両として検出し、
前記第1警告対象車両が検出された場合に、警告部に警告情報を出力させる、
車両警告方法。
【請求項9】
コンピュータを、
道路上に設定された規制領域の手前側の領域の画像を取得する画像取得部、
前記画像に基づいて、前記規制領域に向けて走行する車両を検出する車両検出部、
前記道路上に設定された車線の境界線上を第1閾値以上の速度で走行する前記車両を第1警告対象車両として検出する警告対象車両検出部、
前記第1警告対象車両が検出された場合に、警告部に警告情報を出力させる警告制御部、
として機能させる車両警告プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両警告システム、車両警告方法および車両警告プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路上の画像に基づいて当該道路上を走行する車両を検出する技術が知られている。例えば、特許文献1には、一定の照度を有する光源が撮像領域に形成された閉領域に進入したことによって移動体の存在を検出し、閉領域における平均照度の変化から当該閉領域への移動体の進入および当該閉領域からの移動体の進出を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術においては、画像の平均照度の変化に基づいて閉領域への移動体の進入等を検出している。従って、昼間など、閉領域の照度が大きい状況において、移動体の検出精度が低下する場合があった。また、工事現場などの規制領域においては作業者が作業していることが多く、規制領域に進入する可能性がある車両が存在するのであれば、作業車に警告する必要がある。しかし、このような車両を検出する有用な技術が不足していた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、規制領域に接近し得る車両を警告する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、車両警告システムは、道路上に設定された規制領域の手前側の領域の画像を取得する画像取得部と、前記画像に基づいて、前記規制領域に向けて走行する車両を検出する車両検出部と、前記道路上に設定された車線の境界線上を第1閾値以上の速度で走行する前記車両を第1警告対象車両として検出する警告対象車両検出部と、前記第1警告対象車両が検出された場合に、警告部に警告情報を出力させる警告制御部と、を備える。
【0007】
すなわち、車両警告システムにおいては、車線の境界線上を第1閾値以上の速度で走行する車両を第1警告対象車両として検出し、警告する。道路上において、車両は、境界線によって区切られた車線上を走行すべきであり、境界線上を継続して走行することは想定されていない。従って、車両が境界線上を走行している場合、当該車両の運転者が居眠りをしているなどの可能性があると推定することができる。このため、車線の境界線上を第1閾値以上の速度で走行する車両を警告対象とすれば、規制領域に接近し得る異常な車両を警告することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】車両警告システムが用いられる道路の例を示す図である。
【
図4】車両の速度による時間閾値の変化を説明するための図である。
【
図5】車両が第1検出範囲を走行した場合の例を示す図である。
【
図6】車両が第1検出範囲を走行した場合の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)車両警告システムの構成:
(2)車両警告処理:
(3)他の実施形態:
【0010】
(1)車両警告システムの構成:
図1は、本発明の一実施形態に係る車両警告システム10の構成を示す図である。車両警告システム10は、制御部20と、記録媒体30と、カメラ40と、警告部50と、を備える。本実施形態において、車両警告システム10は、工事現場で用いられる作業車に設置される。
図2は、車両警告システム10が用いられる道路の例を示す図である。
図2に示す例においては、道路上で道路工事が行われていることが想定されている。当該工事の工事現場に対する一般車両の進入を禁止するために、道路上に規制領域Zeが設定されている。規制領域Zeの内外は配置された規制材C(
図2に示す例ではラバーコーン)で区切られている。
【0011】
規制領域Ze内には図示しない作業車が駐車される。作業車は、各種の用途に用いられ、例えば、道路上の車両に工事中であることを伝達するための表示部を備えている。本実施形態において、車両警告システム10は、当該作業車に設置される。具体的には、車両警告システム10が備えるカメラ40は、規制材の手前の領域が視野となるように、作業車に設置される。この構成によれば、規制領域Ze内に容易に車両警告システム10およびカメラ40を設置することができる。
【0012】
車両警告システム10は、規制領域Zeの手前側の領域、すなわち、規制領域Zeから見て、道路上の車両の進行方向後方の領域を監視し、規制領域Zeに進入し得る車両を検出して警告する。本実施形態においては、2種類の挙動が警告対象となっており、警告対象の挙動を行った車両が警告対象車両として検出される。本実施形態においては、2種類の警告対象車両の一方を第1警告対象車両、他方を第2警告対象車両と呼ぶ。
【0013】
第1警告対象車両は、規制領域Zeの手前の領域で車線上ではなく、境界線上を走行するなどの、通常とは異なる挙動を行った車両である。なお、車線は、道路上において車両が走行すべき帯状の範囲であり、境界線は、車線を区切る実線や破線である。本実施形態においては、規制領域Zeが存在する車線L1の境界線Lb1,Lb2のうち、規制領域Zeの手前において進行方向前方を向いた際に左側に位置し、道路の幅方向の端にある実線の境界線Lb1上を走行した車両が第1警告対象車両となり得る。正常であれば、車線L1側を走行する車両は、規制領域Zeに到達する前に車線L2に車線変更するはずであるが、車線変更することなく、しかも、車線L2と逆側の境界線Lb1上を走行している車両の運転者は、規制領域Zeを認識していない可能性が高いからである。
【0014】
第2警告対象車両は、規制領域Zeに対して過度の速度で過度に接近する挙動を行った車両である。規制領域Zeの手前の車線L1上において、規制領域Zeからの距離が遠い領域を走行する挙動自体は異常な挙動ではない。しかし、通常であれば、規制領域Zeに対して過度の速度で過度に接近するような走行は、行われない。そこで、このような車両は第2警告対象車両とされる。
【0015】
車両警告システム10は、以上のような第1警告対象車両および第2警告対象車両を検出し、警告するためのシステムである。制御部20は、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータである。制御部20は、記録媒体30やROMに記憶された種々のプログラムを実行することで、車両警告処理を行う。記録媒体30には、各種プログラムや各種情報が保存される。各種情報には、カメラ40で撮影された画像を示す画像データ30aと、車両警告処理を行う際に参照されるパラメータを示すパラメータ情報30bが含まれる。
【0016】
本実施形態において、パラメータ情報30bには、第1警告対象車両の検出範囲、速度、境界線上の走行時間を評価するための情報が含まれる。第1警告対象車両の検出範囲は、上述の
図2に示す境界線Lb1上の範囲であり、規制領域Zeから手前側に境界線Lb1に沿って所定距離の範囲である。当該所定距離を第1距離と呼び、当該範囲を第1検出範囲と呼ぶ。パラメータ情報30bには、第1距離を示す値が含まれる。
図2においては、第1距離Db1および第1検出範囲Z1を示している。
図2において、第1検出範囲は、境界線Lb1よりも広い幅の範囲として示されているが、第1検出範囲は、少なくとも境界線Lb1と同一の幅を有していれば良く、境界線Lb1と同等程度の既定の幅を有していれば良い。
【0017】
第1検出範囲を走行する車両であっても、速度が低速である場合、運転者が意図して路肩に車両を停車させている可能性があるため、本実施形態においては、第1検出範囲内を走行する車両のうち、警告対象となる車両の最低速度が規定されている。当該最低速度を第1閾値V1と呼ぶ。パラメータ情報30bには、当該第1閾値V1を示す値が含まれる。
【0018】
第1閾値は、規制領域Zeの手前の領域において、境界線Lb1上を走行するための速度として過剰な速度値であり、予め決められていれば良い。すなわち、規制領域Zeの手前において、車両は、規制領域Zeを避けるために車線L1から車線L2に車線変更することが期待されるが、規制領域Zeの手前において速度が充分に下がっていないと、運転手は規制領域Zeに気づいていない、居眠りをしているなど、何らかの異常が生じていると推定できる。
【0019】
さらに、第1検出範囲を走行した車両であっても、すぐに車線L1に戻り、再び、第1検出範囲を走行しないならば、車両の挙動が異常では無い可能性がある。そこで、本実施形態においては、車両が第1検出範囲を走行した時間長がある程度の長期にわたった場合に、当該車両が第1警告対象車両であると見なされる。パラメータ情報30bには、当該時間長を評価する閾値である時間閾値を決定するための値が規定されている。本実施形態において、当該値は、車両が第1検出範囲を境界線に沿って走行する際の時間長のうち、第1検出範囲内(すなわち境界線上)を走行した時間長がどの程度の長さであるのか判定するための情報であり、0より大きく、1より小さい値である。本実施形態においては、当該値が0.5であることを想定する。
【0020】
さらに、パラメータ情報30bには、第2警告対象車両の検出範囲、速度を評価するための情報が含まれる。第2警告対象車両の検出範囲は、上述の
図2に示すように、車線L1上において規制領域Zeから手前側に所定距離の範囲である。当該所定距離を第2距離と呼び、当該範囲を第2検出範囲と呼ぶ。パラメータ情報30bには、第2距離を示す値が含まれる。
図2においては、第2距離Db2および第2検出範囲Z2を示している。第2検出範囲を走行する車両であっても、速度が低速である場合、運転者が規制領域Zeの手前における停止あるいは車線変更を意図している可能性があるため、本実施形態においては、第2検出範囲内を走行する車両のうち、警告対象となる車両の最低速度が規定されている。当該最低速度を第2閾値V2と呼ぶ。パラメータ情報30bには、当該第2閾値V2を示す値が含まれる。なお、本実施形態において、第1閾値V1<第2閾値V2であり、第1距離Db1>第2距離Db2であるが、このような大小関係に限定されない。
【0021】
カメラ40は、撮影光学系および撮像素子を備えており、予め決められたフレームレートで画像を撮影する装置である。制御部20は、図示しないインタフェースを介してカメラ40が出力する画像を取得する。本実施形態において、カメラ40は、規制領域Zeの手前に存在する車線L1とその周囲の領域が視野に含まれるように設置される。警告部50は、規制領域Ze内およびその周囲にいる作業者等の人に警告を与えるための装置である。警告の態様は限定されないが、本実施形態において警告部50は、警告音を出力するスピーカーである。
【0022】
制御部20は、以上の構成を用いて警告対象の車両の検出と、警告を実行する。このため、制御部20は、車両警告プログラム21を実行する。車両警告プログラム21が実行されると、制御部20は、画像取得部21a、車両検出部21b、警告対象車両検出部21c、警告制御部21dとして機能する。
【0023】
画像取得部21aは、道路上に設置された規制領域Zeの手前側の領域の画像を取得する機能である。すなわち、制御部20は、画像取得部21aの機能により、カメラ40から所定のフレームレートで出力される画像を取得し、画像データ30aとして記録媒体30に記録する。車両検出部21bは、画像に基づいて、規制領域Zeに向けて走行する車両を検出する機能である。すなわち、制御部20は、車両検出部21bの機能により、画像データ30aに基づいて、規制領域Zeの手前の道路を走行している車両を検出する。当該処理の詳細は後述する。
【0024】
警告対象車両検出部21cは、道路上に設定された車線L1の境界線上を第1閾値V1以上の速度で走行する車両を第1警告対象車両として検出し、車線L1上において規制領域Zeから手前側に所定距離の第2検出範囲を、第2閾値V2以上の速度で走行する車両を第2警告対象車両として検出する機能である。すなわち、制御部20は、車両検出部21bの機能によって検出された車両が第1警告対象車両、第2警告対象車両のいずれかに該当するか否か判定する。当該処理の詳細は後述する。
【0025】
警告制御部21dは、第1警告対象車両が検出された場合と、第2警告対象車両が検出された場合に、警告部に警告情報を出力させる機能である。すなわち、警告対象車両が検出された場合、制御部20は、警告制御部21dの機能により、警告部50を制御し、警告音を出力させる。以上の構成によれば、規制領域Zeに接近し得る車両を警告することが可能である。このため、規制領域Ze内およびその周囲にいる作業者等の人は、警告対象の車両に気づくことが可能であり、早期に当該車両を避けることが可能になる。
【0026】
(2)車両警告処理:
次に、車両警告処理を説明する。
図3は、車両警告処理を示すフローチャートである。利用者は、カメラ40の視野が規制領域Zeの手前の車線L1およびその周囲の領域を含むように、規制領域Ze内に駐車された作業車に車両警告システム10を設置する。車両警告処理は、この状態で開始される。
【0027】
車両警告処理が開始されると、第1検出範囲および第2検出範囲の設定が行われる(ステップS100)。第1検出範囲および第2検出範囲の設定は、種々の手法で行われてよい。ここでは、カメラ40によって撮影された画像データ30aに基づいて設定される例を説明する。この例において、制御部20は、画像データ30aに含まれる基準物を認識する。基準物は、道路上の距離を特定するために参照される物体であり、例えば、道路上の規制材や線、人等である。これらの基準物の認識は、公知のパターンマッチングが用いられても良いし、機械学習モデルが用いられても良い。
【0028】
道路上の線のうち、例えば、車線間に存在する破線の長さや破線の間隔は既知である。従って、制御部20は、画像データ30aが示す画像内の破線を特定し、破線の長さおよび間隔を特定すれば、規制領域Zeの進行方向後方側の端部に存在する規制材によって区切られる規制領域Zeの手前側の端から道路上の任意の地点までの距離を特定することができる。なお、破線の長さや破線の間隔が複数種類存在する場合、いずれの種類であるのか選択できてもよい。また、規制領域Zeの手前側の端から特定の距離の位置に人が立っている状態でカメラ40による撮影を行えば、当該特定の距離の位置と撮影された画像内での位置とを対応付けることができる。画像内の道路において規制領域Zeの手前側の端からの距離を特定する技術としては、他にも種々の技術を利用することが可能である。
【0029】
いずれにしても、制御部20は、カメラ40が撮影した画像内の道路において、規制材によって区切られる規制領域Zeの手前側の端から任意の位置までの距離を特定することができる。制御部20は、このようにして特定される距離と、パラメータ情報30bを参照し、第1検出範囲および第2検出範囲を特定する。
【0030】
第1検出範囲は、規制領域Zeから手前側において、境界線Lb1に沿って第1距離の範囲である。そこで、制御部20は、画像データ30aに基づいて、規制領域Zeから延びる実線の白線を検出し、車両進行方向を前方とした場合の左側に存在する実線の白線を境界線Lb1と見なす(
図2参照。以下同様。)。また、制御部20は、画像データ30aに基づいて、規制領域Zeの手前側に存在する規制材を検出し、当該規制材に基づいて、規制領域Zeの手前側の端E1を特定する。さらに、制御部20は、パラメータ情報30bに基づいて、第1検出範囲を規定する第1距離Db1を取得する。そして、制御部20は、規制材によって区切られる規制領域Zeの手前側の端E1から第1距離Db1の範囲を画像内で特定し、第1検出範囲Z1とする。
【0031】
第2検出範囲は、車線L1上において、規制領域Zeから手前側に第2距離の範囲である。そこで、制御部20は、画像データ30aに基づいて特定された規制材を参照し、車線L1上における規制領域Zeの手前側の端E2を特定する。さらに、制御部20は、パラメータ情報30bに基づいて、第2検出範囲を規定する第2距離Db2を取得する。そして、制御部20は、規制材によって区切られる規制領域Zeの手前側の端E2から第2距離Db2の範囲を画像内で特定し、第2検出範囲Z2とする。
【0032】
次に、制御部20は、閾値を設定する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、パラメータ情報30bを参照し、第1閾値V1、時間閾値を決定するための値(本実施形態においては0.5)、第2閾値V2を取得する。
【0033】
本実施形態において、カメラ40は、予め決められたフレームレートで画像を撮影する。制御部20は、車両の速度を算出可能なフレーム数分の撮影が行われた後、1フレームの画像毎にステップS110~S155の処理を実行する。
【0034】
ステップS110以降において、まず、制御部20は、画像取得部21aの機能により、画像を取得する(ステップS110)。すなわち、制御部20は、カメラ40が出力する画像を画像データ30aとして記録媒体30に保存する。なお、複数のフレームレートにわたる画像は、画像の時系列の順序を特定可能な状態、例えば、動画ファイル等で保存される。
【0035】
次に、制御部20は、車両検出部21bの機能により、車両を検出する(ステップS115)。すなわち、制御部20は、ステップS110で取得された画像に含まれる車両の画像を検出する。当該処理は、種々の手法で実行可能であり、例えば、パターンマッチング処理等によって実行可能である。制御部20は、取得された車両に対して識別情報を付与する。但し、直前に撮影されたフレームにおいても車両が検出され、識別情報が付与されている場合において、両フレームで検出された車両の特徴が同一であれば、同一の識別情報が付与される。直前に撮影されたフレームの車両が最新のフレームの車両と同一であるか否かを判定するための条件は、種々の条件であって良い。例えば、フレーム間における車両の移動距離が妥当な範囲であることを条件として、車両が同一か否か判定されても良い。
【0036】
次に、制御部20は、警告対象車両検出部21cの機能により、車両位置および速度を検出する(ステップS120)。具体的には、制御部20は、ステップS115で検出された車両の画像内での位置を特定する。また、制御部20は、ステップS110で取得された画像と、当該画像の直前に撮影された画像と、のそれぞれにおいて検出された車両の位置を比較し、位置の変化を道路上での距離に換算する。そして、当該距離の移動に要した時間をフレーム間隔から特定し、距離を時間で除することによって車両の速度を取得する。車両の速度を取得するための手法は、種々の手法を採用可能である。例えば、複数フレームの画像に基づいて車両の速度が特定されても良い。
【0037】
次に、制御部20は、警告対象車両検出部21cの機能により、ステップS115で検出された車両が第1検出範囲内に存在するか否か判定する(ステップS125)。すなわち、制御部20は、ステップS120で検出された車両の画像内での位置が、ステップS100で設定された第1検出範囲に含まれる場合に、制御部20は、車両が第1検出範囲内に存在すると判定する。
【0038】
本実施形態においては、車両が第1検出範囲内を走行している場合、境界線Lb1上を走行していると見なされる。車両が第1検出範囲内を走行しているか否かを判定するための基準は種々の基準であって良く、例えば、車両の画像の少なくとも一部が第1検出範囲と重なっている場合に車両が第1検出範囲内を走行していると判定する構成等を採用可能である。車両が第1検出範囲内を走行していると判定された場合、制御部20は、ステップS120において取得された車両の位置に対して、第1検出範囲内を走行していること、すなわち、境界線上を走行していることを示す情報(フラグ等)を対応付ける。この場合、制御部20は、ステップS130以降を実行する。車両が第1検出範囲内を走行していると判定されない場合、制御部20は、車両が第1検出範囲内を走行していると見なさない。この場合、制御部20は、ステップS140以降を実行する。
【0039】
次に、制御部20は、警告対象車両検出部21cの機能により、車両の速度が第1閾値V1以上であり、かつ、車両が第1検出範囲内を走行している時間長が時間閾値以上であるか否かを判定する(ステップS130)。すなわち、制御部20は、ステップS120で取得された速度が第1閾値V1以上であるか否かを判定する。
【0040】
さらに、制御部20は、ステップS105で取得された、時間閾値を決定するための値に基づいて時間閾値を決定する。本実施形態において、時間閾値は、車両が第1検出範囲を境界線に沿って走行する際の時間長に、時間閾値を決定するための値(本実施形態では0.5)を乗じた値である。このようにして時間閾値を定義すれば、第1検出範囲の全長を車両が走行するために必要な時間長のうち、所定割合以上の時間長にわたって境界線上を走行しているか否かを判定する値として時間閾値を定義することができる。また、第1検出範囲を走行する車両の速度が車両毎に異なっていたとしても、速度の変化に対応した時間閾値を定義することができる。
【0041】
図4は、車両の速度による時間閾値の変化を説明するための図である。
図4においては、横軸が時間、縦軸が距離のグラフを示しており、速度Va,Vbのそれぞれで第1検出範囲を走行した場合について時間と距離との関係を示している。なお、ここでは、進行方向後方の端(
図2に示す端E0)から車両が第1検出範囲に進入し、最も前方の端(
図2に示す端E1)まで境界線Lb1に沿って走行した状態を想定している。すなわち、車両が端E0に進入し、一定の速度Vaで端E1まで走行した場合の時間と距離との関係は、実線で示す直線のようになる。
図4に示す時間長Taは、速度Vaである状態で第1距離Db1を走行する際に要する時間長である。速度Vbの場合の時間と距離との関係は一点鎖線で示す直線のようになる。
図4に示す時間長Tbは、速度Vbである状態で第1距離Db1を走行する際に要する時間長である。時間閾値は、車両が第1距離Db1を走行する際の時間長に、時間閾値を決定するための値0.5を乗じた値である。従って、速度Vaについては時間長Taの半分の長さであるTa/2が時間閾値となる。速度VbについてはTb/2が時間閾値となる。
【0042】
制御部20は、以上のような思想に基づいて、時間閾値を取得する。なお、時間閾値は車両の速度に依存するため、ステップS110~S155のループの途中で車両の速度が変化する場合には、最新の速度によって時間閾値を算出し、時間閾値が変化するように構成しても良いし、例えば、最初に第1検出範囲に進入した場合の速度に基づいて取得された時間閾値に固定しても良い。
【0043】
さらに、制御部20は、車両が第1検出範囲内を走行していた時間長を特定する。具体的には、制御部20は、ステップS115で取得された車両の識別情報と同一の識別情報が対応付けられた車両の位置であって、第1検出範囲内を走行していることを示す情報が対応付けられている位置を特定する。制御部20は、車両の位置に第1検出範囲内を走行していることを示す情報が対応付けられている場合、その位置において車両が第1検出範囲内を走行していたとみなす。さらに、制御部20は、その位置においてフレーム間隔(例えば、フレームレートが60fpsなら1/60秒)の間、車両が第1検出範囲内を走行していたとみなす。そして、制御部20は、各位置のフレーム間隔を累積することによって車両が第1検出範囲内を走行していた時間長を特定する。
【0044】
以上の処理によれば、車両が第1検出範囲に進入し、第1検出範囲内を走行し続けた場合の時間長を取得可能である。
図5は、
図2に示す境界線Lb1を抜き出し、車両が第1検出範囲Z1を走行した場合の例を示している。
図5においては、車両の走行軌跡を軌跡O1として示している。また、
図5においては、境界線Lb1の下方に、車両が第1検出範囲内、第1検出範囲外のいずれを走行していたかを示すチャートを時間軸に対して示している。
【0045】
図5に示す例においては、時刻T1において車両が第1検出範囲Z1に進入し、時刻T2まで第1検出範囲Z1内を走行していた例が想定されている。この場合、制御部20は、T2-T1の期間に相当する時間長T21を取得し、車両が時間長T21の間、第1検出範囲Z1内を走行していたとみなす。
【0046】
図6は、
図5と同一の第1検出範囲Z1において、車両が
図5と異なる軌跡O2で走行した場合が想定されている。
図6に示す例においては、車両が蛇行しており、時刻T3~時刻T4までの期間と、時刻T5~時刻T6までの期間において車両が第1検出範囲Z1に進入しており、他の期間において車両は第1検出範囲Z1外を走行している。この場合、制御部20は、T4-T3の期間に相当する時間長T43と、T6-T5の期間に相当する時間長T65とを取得し、得られた時間長T43,T65の和を車両が第1検出範囲Z1内を走行していた時間長として取得する。
【0047】
以上のようにして車両が第1検出範囲Z1内を走行していた時間長を取得すると、制御部20は、当該時間長が、上述の時間閾値以上であるか否かを判定する。以上の処理により、ステップS130において、車両の速度が第1閾値V1以上であり、かつ、車両が第1検出範囲内を走行している時間長が時間閾値以上であると判定された場合、制御部20は、警告対象車両検出部21cの機能により、当該車両を第1警告対象車両として取得する(ステップS135)。
【0048】
一方、ステップS130において、車両の速度が第1閾値V1以上であり、かつ、車両が第1検出範囲内を走行している時間長が時間閾値以上であると判定されない場合、制御部20は、ステップS140以降の処理を実行する。すなわち、第1検出範囲内を走行する車両の速度が第1閾値V1以上ではない場合、車両は規制領域Zeの手前で減速しているため、本実施形態においては警告対象にならない。また、車両が第1検出範囲内を走行している時間長が時間閾値以上ではない場合、車両が一時的に第1検出範囲Z1に進入したが、その後、車線L1に戻って走行していると見なされ、本実施形態においては警告対象にならない。
【0049】
このように、ステップS115で検出された車両が第1警告対象車両ではない場合、制御部20は、警告対象車両検出部21cの機能により、ステップS115で検出された車両が第2検出範囲内に存在するか否か判定する(ステップS140)。すなわち、制御部20は、ステップS120で検出された車両の画像内での位置が、ステップS100で設定された第2検出範囲に含まれる場合に、制御部20は、車両が第2検出範囲内に存在すると判定する。ステップS140において、車両が第2検出範囲内に存在すると判定されない場合、制御部20は、カメラ40によって撮影される次のフレームについてステップS110以降の処理を繰り返す。
【0050】
一方、ステップS140において、車両が第2検出範囲内に存在すると判定された場合、制御部20は、警告対象車両検出部21cの機能により、車両の速度が第2閾値V2以上であるか否かを判定する(ステップS145)。すなわち、制御部20は、ステップS120で取得された速度が第2閾値V2以上であるか否かを判定する。ステップS145において、車両の速度が第2閾値V2以上であると判定された場合、制御部20は、警告対象車両検出部21cの機能により、当該車両を第2警告対象車両として取得する(ステップS150)。ステップS145において、車両の速度が第2閾値V2以上であると判定されない場合、制御部20は、カメラ40によって撮影される次のフレームについてステップS110以降の処理を繰り返す。
【0051】
ステップS135またはステップS150が実行された場合、制御部20は、警告制御部21dの機能により、警告部50に警告情報を出力させる(ステップS155)。すなわち、制御部20は、警告部50を制御し、警告音を出力させる。ステップS155が実行されると、制御部20は、カメラ40によって撮影される次のフレームについてステップS110以降の処理を繰り返す。以上の構成によれば、規制領域Zeに接近し得る車両を警告することが可能である。
【0052】
さらに、本実施形態によれば、第1警告対象車両が検出された場合に警告されるため、車線上を走行するような通常の挙動ではなく、境界線上を長く走行するという異常な挙動をする車両が規制領域Zeに向かっている場合に、規制領域Ze内の作業者に警告を与えることができる。このような異常な挙動は、車両の運転者が居眠りや脇見運転をしている場合等に発生するため、本実施形態によれば、このような異常な挙動をしている車両の存在を作業者に警告することができる。
【0053】
さらに、本実施形態においては、第1検出範囲を走行する車両の中から第1警告対象車両を検出する。このため、異常な挙動を行っている車両を画像全体から検出する構成と比較して、簡易な処理によって車両が第1警告対象車両であるか否かを判定することができる。
【0054】
さらに、本実施形態において、時間閾値は、車両が第1検出範囲を境界線に沿って走行する際の時間長に、0より大きく1より小さい値を乗じた値である。この構成によれば、境界線上での車両の走行が異常であるか否かを簡易な判定基準によって規定することができる。
【0055】
さらに、本実施形態によれば、第2警告対象車両が検出された場合に警告されるため、規制領域Zeに対して過度の速度で過度に接近した車両を警告することができる。従って、運転者が規制領域Zeに気づいていない可能性のある車両の存在を作業者に警告することができる。
【0056】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は、本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、車両警告システム10は、複数の装置によって実現されてもよい。また、車両警告システム10は、警告対象車両を検出する検出装置と、警告を出力する警告装置と、を含んでもよい。また、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよいし、代替可能な処理で代替されても良い。
【0057】
上述の実施形態において、第1検出範囲、第2検出範囲を設定するステップS100は、種々の手法で実施されてよく、例えば、カメラ40で撮影された画像に基づいて、利用者が、入力部を使用して画像内の領域を指定して第1検出範囲および第2検出範囲を指示しても良い。
【0058】
また、上述の実施形態においては、第1警告対象車両が存在する場合、第2警告対象車両の存在を考慮することなく警告が出力されるが、第1警告対象車両が存在する場合、さらに第2警告対象車両が存在するか否か判定しても良い。この場合、第1警告対象車両、第2警告対象車両の少なくとも一方が存在すれば警告が出力される。また、第1警告対象車両と第2警告対象車両との双方が存在する場合、いずれか一方が存在する場合より警告の強度を上げても良い。
【0059】
さらに、上述の実施形態においては、規制領域Zeの手前において進行方向前方を向いた際に左側に位置し、道路の幅方向の端にある実線の境界線Lb1上での車両の挙動に基づいて第1警告対象車両であるか否か判定されるが、この構成に限定されない。例えば、規制領域Zeの手前において進行方向前方を向いた際に右側に位置する車線の境界線Lb2上での車両の挙動に基づいて第1警告対象車両であるか否か判定されてもよい。
【0060】
さらに、第1警告対象車両や第2警告対象車両を特定するための条件は、上述の実施形態における条件に限定されない。例えば、ステップS130において、第1検出範囲内の車両の速度が第1閾値V1以上であること、車両が第1検出範囲内を走行している時間長が時間閾値以上であること、のいずれか一方が充足される場合に第1警告対象車両であると見なされても良い。
【0061】
さらに、時間閾値は、上述のような態様に限定されない。すなわち、時間閾値は、当該時間閾値以上の期間にわたって車両が第1検出範囲Z1内を走行している場合に異常であると見なすことができる値であれば良い。このため、各種の手法で時間閾値が決められても良い。例えば、車両の速度に基づいて時間閾値が決められても良い。さらに、この場合において、車両の速度が大きいほど時間閾値が短くなるように構成されていても良い。この構成であれば、車両の速度が変化した場合であっても、速度の変化に対応して挙動が異常であるか否かを判定可能な時間閾値を定義することができる。さらに、閾値は時間ではなく距離で定義されても良い。例えば、第1検出範囲Z1の全長の一定割合(0~100%のいずれか)の長さが閾値となり、車両が第1検出範囲Z1を走行した距離と閾値とが比較されても良い。この場合も、車両の速度が大きいほど、閾値が小さくなるように構成されても良い。
【0062】
画像取得部は、道路上に設定された規制領域の手前側の領域の画像を取得することができればよい。すなわち、画像取得部は、警告対象となり得る車両が走行する領域を撮影した画像を取得することができればよい。規制領域は、道路上であるが、走行することが禁止された領域である。従って、工事現場以外にも、種々の規制領域が存在し得る。例えば、事故現場や各種の調査、イベント等によって車両の走行が禁止された領域等が規制領域となってもよい。
【0063】
規制領域の手前側の領域は、規制領域から見て道路の進行方向後方に存在する領域である。規制領域の手前側の領域は、警告対象となり得る車両が走行する領域であれば良く、規制領域と、予め決められた位置関係にある領域であっても良い。画像は、車両が含まれ得るように取得されれば良く、上述のように作業車に設置されたカメラで撮影する構成以外にも、種々の構成が採用されてよい。例えば、道路上に配置された規制材、道路に設置された支柱や支柱から延びる梁にカメラ等の各種のセンサが取り付けられて画像が取得されても良い。また、画像は規制領域に向かう車両の検出に用いられれば良く、静止画であっても良いし、動画であっても良い。
【0064】
車両検出部は、画像に基づいて、規制領域に向けて走行する車両を検出することができればよい。すなわち、規制領域に向かって走行する車両が、規制領域の手前の領域に存在すると、画像内に当該車両の画像が含まれる。そこで、車両検出部は、当該画像の解析により、当該車両を検出することができればよい。解析は、上述の方法に限定されず、例えば、画像内のオブジェクト毎に車両であるか否かを識別する機械学習モデルを予め作成しておき、当該機械学習モデルに画像を入力することによって車両を検出する構成等を採用可能である。機械学習モデルは、公知の各種の手法で生成可能である。
【0065】
警告対象車両検出部は、道路上に設定された車線の境界線上を第1閾値以上の速度で走行する車両を第1警告対象車両として検出することができればよい。さらに、警告対象車両検出部は、規制領域から手前側に所定距離の第2検出範囲を、第2閾値以上の速度で走行する車両を第2警告対象車両として検出することができればよい。すなわち、警告対象車両検出部は、車両検出部によって検出された車両の挙動が、予め決められた警告対象の挙動であるか否かに基づいて警告車両を検出する。警告対象の挙動は、種々の挙動であって良く、第1警告対象車両、第2警告対象車両の挙動と異なる挙動の車両が警告対象となっても良い。
【0066】
第1警告対象車両は、通常の道路上での車両の挙動として異常と見なすことができる(または警告した方が良い)挙動を行う車両である。すなわち、通常の道路上での通常の挙動から逸脱している場合に第1警告対象車両として検出される。第1警告対象車両であるか否かを判定するための要素としては、種々の要素が採用されてもよい。すなわち、上述の実施形態においては、車両が走行する位置が境界線上であること、速度が第1閾値以上であること、境界線上を走行する時間長が時間閾値以上であること、第1検出範囲を走行すること、が第1警告対象車両となる条件であるが、これらに限定されない。すなわち、走行位置、速度、特定領域に存在する時間長、特定領域を走行すること、の少なくとも一つの条件を充足する車両が第1警告対象車両となってもよいし、他の条件を充足する車両が第1警告対象車両となってもよい。他の条件としては、例えば、車両における急な加減速や急な操舵等の挙動が挙げられる。
【0067】
車線の境界線は、車線を区画する破線や実線等の線であり、車両は、通常、境界線の間を走行することが期待されているため、境界線上を走行する車両が存在するならば、当該車両を警告対象とすることができる。むろん、車線変更や路肩への移動等のために短期間だけ境界線上を走行するような挙動は、警告対象から除外されて良い。
【0068】
第2警告対象車両は、規制領域との位置関係から異常と見なせる(または警告した方が良い)挙動を行う車両である。すなわち、規制領域の手前において、速度が充分に下がっていないと、運転手は規制領域に気づいていない、居眠りをしているなど、何らかの異常が生じていると推定することができる。そこで、規制領域が存在する車線において、その手前の既定距離の第2検出範囲を、過度な速度である第2閾値で走行していれば、異常な挙動と推定することができる。第2警告対象車両であるか否かを判定するための要素としては、種々の要素が採用されてもよい。例えば、規制領域との距離が閾値以下である場合に第2警告対象車両となっても良い。
【0069】
警告制御部は、第1警告対象車両が検出された場合、および、第2警告対象車両が検出された場合に、警告部に警告情報を出力させることができればよい。すなわち、警告制御部は、規制領域に進入する可能性がある車両の存在を警告させることができればよい。警告の態様は、上述のように、規制領域内で作業する作業者に警告音を出力する構成に限定されない。例えば、規制領域内やその周辺に存在する標識に注意喚起を示す文字等の表示を行わせることによって形容が行われてもよい。また、無線等によって作業者が有する装置に信号を送信し、当該装置が音、画像、振動等を出力するように動作することで警告が行われてもよい。
【0070】
本発明は、プログラムや方法としても適用可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0071】
10…車両警告システム、20…制御部、21…車両警告プログラム、21a…画像取得部、21b…車両検出部、21c…警告対象車両検出部、21d…警告制御部、30…記録媒体、30a…画像データ、30b…パラメータ情報、40…カメラ、50…警告部