(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083775
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】防雪カバー及び冷凍ユニット
(51)【国際特許分類】
B60P 3/20 20060101AFI20240617BHJP
B60H 1/32 20060101ALI20240617BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B60P3/20 Z
B60H1/32 611Z
F25D11/00 101D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197781
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】安部 隼人
(72)【発明者】
【氏名】大畑 擁平
(72)【発明者】
【氏名】神野 弘樹
【テーマコード(参考)】
3L045
3L211
【Fターム(参考)】
3L045AA04
3L045AA07
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045KA00
3L045PA04
3L211AA07
3L211BA07
(57)【要約】
【課題】雪が降らない時期のショートサーキットを抑制しつつ、雪が降る時期にはショートサーキットさせることができる防雪カバー及び冷凍ユニットを提供する。
【解決手段】天面210と、天面210と接続された背面220と、背面220と接続された張出面230と、を備え、筐体上面に取り付けられた状態において、天面210は、筐体上面との間に空間を設けつつ筐体上面に形成された排風の吹出口114を覆い、背面220は、天面210のバン前面に対向する端部に接続されるとともに、筐体上面に向かって延び、張出面230は、天面210よりも筐体上面に近い背面220の端部に接続されるとともに、バン前面に向かって筐体上面に沿うように延び、背面220には、空間と外部とを連通する少なくとも1つの背面排風口221が設けられている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のバン前面の前方に配置された冷凍機本体の筐体上面に取り付けられる防雪カバーであって、
天面と、
前記天面と接続された背面と、
前記背面と接続された張出面と、
を備え、
前記筐体上面に取り付けられた状態において、
前記天面は、前記筐体上面との間に空間を設けつつ前記筐体上面に形成された排風の吹出口を覆い、
前記背面は、前記天面の前記バン前面に対向する端部に接続されるとともに、前記筐体上面に向かって延び、
前記張出面は、前記天面よりも前記筐体上面に近い前記背面の端部に接続されるとともに、前記バン前面に向かって前記筐体上面に沿うように延び、
前記背面には、前記空間と外部とを連通する少なくとも1つの背面排風口が設けられている
防雪カバー。
【請求項2】
前記天面には、前記空間と外部とを連通する天面排風部が設けられ、
前記天面排風部は、前記背面排風口よりも開口面積が小さい複数の天面排風口を有している
請求項1に記載の防雪カバー。
【請求項3】
各前記天面排風口は、直径が10mm以上15mm以下の穴とされている
請求項2に記載の防雪カバー。
【請求項4】
前記天面排風部は、前記吹出口よりも前記バン前面に近い位置に設けられ、前記吹出口の直上に位置しない
請求項2に記載の防雪カバー。
【請求項5】
前記背面から張り出した前記張出面の寸法は、30mm以上50mm以下とされている
請求項1に記載の防雪カバー。
【請求項6】
前記天面は、前記バン前面に向かって上方向に傾斜している
請求項1から5のいずれかに記載の防雪カバー。
【請求項7】
前記天面には、前記空間と外部とを連通する第2の天面排風口が設けられ、
前記第2の天面排風口に設けられた蓋部を備え、
前記蓋部は、上部から荷重が負荷されていない状態において前記吹出口から排出された排風によって前記空間の圧力が基準値以上になったときに、前記第2の天面排風口を開放するように浮き上がる
請求項2に記載の防雪カバー。
【請求項8】
請求項1に記載の防雪カバーと、
前記バン前面の前方に配置された前記冷凍機本体と、
を備えている
冷凍ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防雪カバー及び冷凍ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される輸送用冷凍装置が備えている冷凍ユニット(冷凍機本体)には、庫外熱交換器で熱交換された空気を筐体の上面から排出する構成のものがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような冷凍機本体では、積雪によるファンロック(凍結によりファンが動かなくなる現象)の防止を目的として、筐体の上面に防雪カバーを設けることがある。
しかしながら、冷凍機本体に防雪カバーを設けることで、排風によって筐体と防雪カバーとの間の空間の圧力が上昇しやすくなり、結果として高圧上昇(高圧圧力異常)や能力低下のリスクがある。
【0005】
また、防雪カバーはユーザーによる取り外しが困難なため、雪が降らない時期であっても、冷凍機本体は防雪カバーが取り付けられた状態で使用される。この場合、防雪カバーによって、庫外熱交換器が位置する冷凍機本体の前方に排風が導かれやすくなり、ショートサーキットが生じることになるが、外気温が高い夏場にショートサーキットが生じてしまうと高圧上昇のリスクは更に高くなる。
一方で、冬場において、加温運転する場合や冷凍能力を抑えてもよい場合には、意図的にショートサーキットを生じさせて排風を庫外熱交換器に導くことが好ましい。なぜなら、加温運転(ホットガス加温)では高温のガス冷媒が冷凍ユニット内のホットガス管を通り回路を循環し、また冷凍ユニット内に設置されたコンプレッサから吐出されるガス冷媒の温度も高温であるため、冷凍ユニットから排出される排風は冬場の外気温よりも高温となるので、排風をショートサーキットさせることで庫外熱交換器を温めることができるからである。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、雪が降らない時期のショートサーキットを抑制しつつ、雪が降る時期にはショートサーキットさせることができる防雪カバー及び冷凍ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の防雪カバー及び冷凍ユニットは、以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る防雪カバーは、車両のバン前面の前方に配置された冷凍機本体の筐体上面に取り付けられる防雪カバーであって、天面と、前記天面と接続された背面と、前記背面と接続された張出面と、を備え、前記筐体上面に取り付けられた状態において、前記天面は、前記筐体上面との間に空間を設けつつ前記筐体上面に形成された排風の吹出口を覆い、前記背面は、前記天面の前記バン前面に対向する端部に接続されるとともに、前記筐体上面に向かって延び、前記張出面は、前記天面よりも前記筐体上面に近い前記背面の端部に接続されるとともに、前記バン前面に向かって前記筐体上面に沿うように延び、前記背面には、前記空間と外部とを連通する少なくとも1つの背面排風口が設けられている。
【0008】
本開示の一態様に係る冷凍ユニットは、上記の防雪カバーと、前記バン前面の前方に配置された前記冷凍機本体と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、雪が降らない時期のショートサーキットを抑制しつつ、雪が降る時期にはショートサーキットさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一態様に係る冷凍ユニットが搭載された車両の側面図である。
【
図2】本開示の一態様に係る冷凍ユニットの横断面図である。
【
図3】本開示の一態様に係る冷凍ユニットの正面斜視図である。
【
図4】本開示の一態様に係る冷凍ユニットの平面図である。
【
図5】本開示の一態様に係る冷凍ユニットの正面図である。
【
図6】本開示の一態様に係る冷凍ユニットの背面図である。
【
図7】本開示の一態様に係る冷凍ユニットの側面図である。
【
図8】本開示の一態様に係る防雪カバーの正面斜視図である。
【
図9】本開示の一態様に係る防雪カバーの背面斜視図である。
【
図10】本開示の一態様に係る防雪カバーの平面図である。
【
図11】本開示の一態様に係る防雪カバーの正面図である。
【
図12】本開示の一態様に係る防雪カバーの背面図である。
【
図13】本開示の一態様に係る防雪カバーの側面図である。
【
図14】本開示の一態様に係る冷凍ユニットにおける排風の流れを示した図である(雪なし)。
【
図15】本開示の一態様に係る冷凍ユニットにおける排風の流れを示した図である(雪あり)。
【
図16】本開示の一態様の変形例に係る防雪カバーの正面斜視図である(閉塞状態)。
【
図17】本開示の一態様の変形例に係る防雪カバーの正面斜視図である(開放状態)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態に係る防雪カバー及び冷凍ユニットについて、図面を参照しつつ説明する。
なお、以下の説明における「前方」や「後方」という用語は、車両の通常の進行方向に対しての向きを意味している。
【0012】
図1に示すように、冷凍ユニット10は、トラック等の車両300に搭載されるものであり、バン310の内部(保冷庫/保温庫)の温度を調節するための冷凍サイクルを構成する装置である。
冷凍ユニット10は、冷凍機本体100及び防雪カバー200を備えている。
【0013】
冷凍機本体100は、バン310の前面(バン前面311)の前方、かつ、キャビン320の上方に配置された装置であって、例えばバン前面311に取り付けられている。
【0014】
図2に示すように、冷凍機本体100は、筐体110と、筐体110の内部に収容された庫外熱交換器120及び庫外ファン130とを備えている。
【0015】
筐体110は、略直方体形状の箱型とされ、庫外熱交換器120、庫外ファン130、コンプレッサ(図示せず)や冷媒が流れる配管(図示せず)等の機器・部品を収容するための空間A1を内部に有している。
【0016】
庫外熱交換器120は、図示していない庫内熱交換器、コンプレッサや膨張手段等とともに冷凍ユニット10の冷凍サイクルを構成する機器のひとつであり、空間A1において筐体110の前面(筐体前面111)の後方に設置されている。
図3に示すように、筐体前面111には筐体110の外部と空間A1とを連通する吸込口112が設けられており、庫外熱交換器120は、吸込口112から取り込まれた空気と冷媒との間で熱交換を行う。
【0017】
図2に示すように、庫外ファン130は、筐体110の外部にある空気を吸込口112から空間A1に取り込むための誘引式のファンであり、空間A1において筐体110の上面(筐体上面113)の下方に設置されている。
図3及び
図4に示すように、筐体上面113には空間A1と筐体110の外部(後述する空間A2)とを連通する吹出口114が設けられており、庫外ファン130は、吸込口112から取り込まれ庫外熱交換器120で熱交換された空気を吹出口114から排風として排出する。
図4の場合、吹出口114は2つ設けられているが(すなわち、庫外ファン130は2つ設けられているが)、これらの数は2つに限定されない。
【0018】
図3から
図7に示すように、筐体上面113には、防雪カバー200が取り付けられている。
防雪カバー200は、吹出口114の上方を覆うことで積雪による庫外ファン130のファンロックの防止を目的するための部品である。
防雪カバー200は、例えば、1枚の板材から一部品として製造されてもよいし、複数の板材から製造されてもよい。
【0019】
以下、防雪カバー200について、冷凍機本体100に取り付けられた状態の姿勢に基づいて説明するが、これは防雪カバー200単体の姿勢を限定するものではない。
【0020】
図3から
図7及び
図8から
図13に示すように、防雪カバー200は、天面210、背面220、張出面230及び側面240を有している。
【0021】
天面210は、筐体上面113の上方に位置する板状の部分である。天面210と筐体上面113との間には、空間A2が設けられている。空間A2は、吹出口114から排出された排風が流れる流路となる。
天面210は、おおよそ筐体上面113に沿って延びて筐体上面113と面で対向しており、前方から後方(バン前面311)に向かって上方向に所定の角度で傾斜している。すなわち、空間A2は、前方から後方(バン前面311)に向かって高さ方向の寸法が大きくなっている。
天面210の前方の部分(例えば、前後方向において筐体前面111に略対応する位置にある部分)は、先端が下方を向くように急な角度(所定の角度よりも急な角度)で傾斜している。天面210の前方の部分と筐体上面113との間には隙間が形成されており、空間A2に導かれた排風が当該隙間から筐体前面111の前方に排出される。
【0022】
図4に示すように、天面210は、平面視したときに前方の幅寸法が後方の幅寸法よりも小さい略台形状をしている。
天面210が略台形状とされている理由は以下の通りである。
すなわち、天面210は、図示していないブラケットやボルト等によって接続箇所Cで筐体110と接続されている。
このとき、筐体110の前方にある2箇所の接続箇所Cは、筐体110の強度を担保するフレームの位置との関係で、筐体110の幅方向の中央に寄った位置に配置されている。固定強度の観点から、接続箇所Cを当該フレームの近傍に設けることが好ましいからである。
そのため、中央に寄った2箇所の接続箇所Cに天面210の形状を適合させた結果、天面210の平面視したときの形状が略台形状となった。
【0023】
図3から
図7及び
図8から
図13に示すように、天面210には、天面排風部211が設けられている。
天面排風部211は、例えば複数の天面排風口211aを有している。
天面排風口211aは、吹出口114から空間A2に排出された排風を防雪カバー200の外部に排出するための開口である。
各天面排風口211aは、排風が空間A2から排出されやすく、かつ、雪Sが空間A2に進入しにくい大きさとされ、例えば直径が10mm以上15mm以下の丸穴とされている。天面排風口211aは、例えばパンチング加工によって形成される。
天面排風口211aのまとまりである天面排風部211は、前後方向において吹出口114よりも後方(バン前面311に近い位置)に設けられ、吹出口114の直上に位置していないことが好ましい。これによって、仮に天面排風部211から雪Sが空間A2に進入したとしても、雪Sが直接的に吹出口114に積もることを回避できる。
なお、
図8に示された防雪カバー200の天面210は、背面220の一部が見えるように部分的に切り欠かれた状態で描画されている。
【0024】
背面220は、天面210の後方の端部(バン前面311と対向する端部)に接続されるとともに、筐体上面113に向かって延びた板状の部分である。すなわち、背面220は、天面210の後方の端部から略鉛直下方に延びてバン前面311と面で対向した板状の部分である。
【0025】
背面220には、少なくとも1つの背面排風口221が設けられている。
図6において、背面排風口221は、幅方向に並ぶように3つ設けられている。
図3から
図7及び
図8から
図13に示すように、背面排風口221は、吹出口114から空間A2に排出された排風を防雪カバー200の外部に排出するための開口である。
背面排風口221は、排風が空間A2から排出されやすい大きさとされ、一例としての
図8の場合、開口面積が天面排風口211aよりも十分に大きな角丸の長穴とされている。
【0026】
図3から
図7及び
図8から
図13に示すように、張出面230は、背面220の筐体上面113側の端部(天面210と接続されていない端部/天面210よりも筐体上面113に近い端部)に接続されるとともに、後方(バン前面311)に向かって筐体上面113に沿うように延びた板状の部分である。すなわち、張出面230は、背面220の下端部からバン前面311に向かって略水平に延びて筐体上面113と面で対向した板状の部分である。
張出面230は、降雪時に、雪Sが積もる面・領域として機能する。
張出面230の水平方向に沿った寸法、すなわち張出量(
図13の寸法D)は、例えば30mm以上50mm以下とされている。
【0027】
張出面230は、筐体上面113と接触しており、
図4に示すように、図示していないボルト等によって接続箇所Cで筐体110と接続されている。
【0028】
図3から
図7及び
図8から
図13に示すように、側面240は、天面210の両側方の端部(幅方向の端部)に接続されるとともに、筐体上面113に向かって延びた板状の部分である。すなわち、背面220は、天面210の両側方の端部から略鉛直下方に延びた板状の部分である。
側面240は、天面210の補強材(リブ)として機能する部分であり、天面210の強度を向上させている。
図7に示すように、側面240は、側面視したときに空間A2を完全に閉塞していない。そのため、空間A2に導かれた排風は、側面240と筐体110との間の隙間からも排出される。
なお、側面240は、省略してもよい。
【0029】
以上のように構成された防雪カバー200が取り付けられた冷凍機本体100において、吹出口114から排出され空間A2に導かれた排風は、次のように流れることになる。
【0030】
[雪が降らない時期の場合]
図14に示すように、空間A2に導かれた排風は、防雪カバー200の前方及び側方にある筐体110との隙間、天面210の天面排風部211及び背面220の背面排風口221から防雪カバー200の外部に排出される。
そのため、空間A2に導かれた排風は、天面210の天面排風部211及び背面220の背面排風口221からも排出されることになり、ショートサーキットが回避されやすくなる。
【0031】
また、天面210が傾斜しているので、排風は防雪カバー200の後方に導かれやすくなる。
そのため、空間A2に導かれた排風は、主として、天面210の天面排風部211及び背面220の背面排風口221から排出されることになり、ショートサーキットが更に回避されやすくなる。
【0032】
また、防雪カバー200には張出面230が設けられているので、背面220は、少なくとも張出面230の張出量に相当する距離だけバン前面311から強制的に離間することになる。これによって、背面220とバン前面311との間には空間A3が設けられることになる。
この空間A3が設けられたことによって、背面排風口221から排風が流出しやすくなり、排風の効率的な排出を促すことができる。
【0033】
[雪が降る時期の場合]
図15に示すように、雪Sは、天面210及び張出面230に積もる。
天面210に積もった雪Sは、天面排風部211(複数の天面排風口211a)を閉塞する。また、張出面230に積もった雪Sは、空間A3を埋めて背面排風口221を閉塞する。
そのため、空間A2に導かれた排風は、天面210の天面排風部211及び背面220の背面排風口221から排出されないことになり、主として、防雪カバー200の前方及び側方にある筐体110との隙間から排出されることになる。そして、防雪カバー200の前方にある筐体110との隙間から排出された排風が筐体前面111の前方に導かれることでショートサーキットが発生しやすくなる。
【0034】
また、天面210が傾斜しているので、天面210に積もった雪Sを作業者が下ろす際に、天面210から雪Sが滑り落ちやすくなり、作業が効率化される。
【0035】
[変形例]
図16に示すように、天面210には、第2の天面排風口212が設けられている。なお、
図16及び
図17では、天面排風部211の図示が省略されている。
第2の天面排風口212は、吹出口114から空間A2に排出された排風を防雪カバー200の外部に排出するための開口である。
第2の天面排風口212は、天面排風部211の前方に設けられ、天面排風部211と重ならないことが好ましい。
【0036】
第2の天面排風口212には、蓋部250が設けられている。
蓋部250は、所定の場合を除いて第2の天面排風口212を閉塞している。言い換えれば、
図17に示すように、蓋部250は、所定の場合において浮き上がって第2の天面排風口212を解放する。すなわち、蓋部250は、第2の天面排風口212を開閉する弁のように機能する。
【0037】
ここで、「所定の場合」とは、蓋部250に上部からの荷重が負荷されていない状態(例えば、蓋部250に雪Sが積もっていない状態)において、吹出口114から排出された排風によって空間A2の圧力が基準値以上になったときである。
これによって、例えば夏場に排風量が増加することで背面排風口221や天面排風口211aからの排風では足りずに空間A2の圧力が上昇した場合でも、第2の天面排風口212から排風を排出することができる。
なお、蓋部250を第2の天面排風口212から取り外し可能に構成してもよい。
【0038】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
背面220には空間A2と外部とを連通する少なくとも1つの背面排風口221が設けられているので、雪Sが降らない時期には、背面排風口221から排風が排出される。そのため、冷凍機本体100に防雪カバー200を取り付けた状態でも、防雪カバー200の前方や側方から排風が排出されにくくなり、雪Sが降らない時期(例えば夏場)のショートサーキットを抑制できる。
【0039】
また、張出面230はバン前面311に向かって筐体上面113に沿うように延びているので、雪Sが降る時期には、張出面230を雪Sが積もる面・領域として機能させることができる。張出面230に雪Sが積もることで、背面排風口221が雪Sで閉塞され、防雪カバー200の前方から排風が排出されやすくなり、意図的にショートサーキットさせることができる。雪Sが降る時期(例えば冬場)において、加温運転する場合や冷凍能力を抑えてもよい場合にショートサーキットさせることで、排風が筐体前面111近傍にある庫外熱交換器120に導かれやすくなり、庫外熱交換器120を温めることができる。また、張出面230によって強制的に背面220とバン前面311との距離を取ることができるので、雪Sが降らない時期には、背面排風口221から排風が流れやすくなる。
【0040】
また、天面210には空間A2と外部とを連通する天面排風部211が設けられているので、雪Sが降らない時期には、天面排風部211から排風が排出される。そのため、冷凍機本体100に防雪カバー200を取り付けた状態でも、防雪カバー200の前方及び側方から排風が排出されにくくなり、雪Sが降らない時期のショートサーキットを抑制できる。
【0041】
また、天面排風部211が有する複数の天面排風口211aを雪Sによって閉塞されやすいサイズに設計できる。これによって、雪Sが降る時期には、天面排風口211aが雪Sで自ずと閉塞され、防雪カバー200の前方から排風が排出されやすくなり、意図的にショートサーキットさせることができる。
【0042】
また、天面排風部211は、吹出口114よりもバン前面311に近い位置に設けられ、吹出口114の直上に位置しないので、仮に天面排風部211から雪Sが空間A2に進入したとしても、雪Sが直接的に吹出口114に積もることを回避できる。
【0043】
また、背面220から張り出した張出面230の寸法は、30mm以上50mm以下とされているので、雪Sが積もる面の面積を確保することができる。また、防雪カバー200の背面220とバン前面311との距離を取ることができる。
【0044】
また、天面210はバン前面311に向かって上方向に傾斜しているので、天面210に積もった雪Sを作業者が下ろす際に、天面210から雪Sが滑り落ちやすくなり、作業が効率化される。また、背面排風口221や天面排風部211(天面排風口211a)が設けられた防雪カバー200の後方に排風が導かれやすくなる。
【0045】
以上の通り説明した一実施形態に係る防雪カバー及び冷凍ユニットは、例えば、以下のように把握される。
すなわち、本開示の第1態様に係る防雪カバー(200)は、車両(300)のバン前面(311)の前方に配置された冷凍機本体(100)の筐体上面(113)に取り付けられる防雪カバーであって、天面(210)と、前記天面と接続された背面(200)と、前記背面と接続された張出面(230)と、を備え、前記筐体上面に取り付けられた状態において、前記天面は、前記筐体上面との間に空間(A2)を設けつつ前記筐体上面に形成された排風の吹出口(114)を覆い、前記背面は、前記天面の前記バン前面に対向する端部に接続されるとともに、前記筐体上面に向かって延び、前記張出面は、前記天面よりも前記筐体上面に近い前記背面の端部に接続されるとともに、前記バン前面に向かって前記筐体上面に沿うように延び、前記背面には、前記空間と外部とを連通する少なくとも1つの背面排風口(221)が設けられている。
【0046】
本態様に係る防雪カバーによれば、背面には空間と外部とを連通する少なくとも1つの背面排風口が設けられているので、雪(S)が降らない時期には、背面排風口から排風が排出される。そのため、冷凍機本体に防雪カバーを取り付けた状態でも、防雪カバーの前方や側方から排風が排出されにくくなり、雪が降らない時期(例えば夏場)のショートサーキットを抑制できる。
また、張出面はバン前面に向かって筐体上面に沿うように延びているので、雪が降る時期には、張出面を雪が積もる面・領域として機能させることができる。張出面に雪が積もることで、背面排風口が雪で閉塞され、防雪カバーの前方から排風が排出されやすくなり、意図的にショートサーキットさせることができる。雪が降る時期(例えば冬場)において、加温運転する場合や冷凍能力を抑えてもよい場合にショートサーキットさせることで、排風が冷凍機本体の前面近傍にある庫外熱交換器に導かれやすくなり、庫外熱交換器を温めることができる。また、張出面によって強制的に背面とバン前面との距離を取ることができるので、雪が降らない時期には、背面排風口から排風が流れやすくなる。
【0047】
また、本開示の第2態様に係る防雪カバーは、第1態様において、前記天面には、前記空間と外部とを連通する天面排風部(211)が設けられ、前記天面排風部は、前記背面排風口よりも開口面積が小さい複数の天面排風口(211a)を有している。
【0048】
本態様に係る防雪カバーによれば、天面には空間と外部とを連通する天面排風部が設けられているので、雪が降らない時期には、天面排風部から排風が排出される。そのため、冷凍機本体に防雪カバーを取り付けた状態でも、防雪カバーの前方及び側方から排風が排出されにくくなり、雪が降らない時期のショートサーキットを抑制できる。
また、天面排風部が有する複数の天面排風口は背面排風口よりも小さいので、各天面排風口を雪によって閉塞されやすいサイズに設計できる。これによって、雪が降る時期には、天面排風口が雪で自ずと閉塞され、防雪カバーの前方から排風が排出されやすくなり、意図的にショートサーキットさせることができる。
【0049】
また、本開示の第3態様に係る防雪カバーは、第2態様において、各前記天面排風口は、直径が10mm以上15mm以下の穴とされている。
【0050】
本態様に係る防雪カバーによれば、天面排風口は、直径が10mm以上15mm以下の穴とされているので、排風が空間から排出されやすく、かつ、雪が空間に進入しにくい大きさとなる。
【0051】
また、本開示の第4態様に係る防雪カバーは、第2態様又は第3態様において、前記天面排風部は、前記吹出口よりも前記バン前面に近い位置に設けられ、前記吹出口の直上に位置しない。
【0052】
本態様に係る防雪カバーによれば、天面排風部は、吹出口よりもバン前面に近い位置に設けられ、吹出口の直上に位置しないので、仮に天面排風部から雪が空間に進入したとしても、雪が直接的に吹出口に積もることを回避できる。
【0053】
また、本開示の第5態様に係る防雪カバーは、第1態様から第4態様のいずれかにおいて、前記背面から張り出した前記張出面の寸法は、30mm以上50mm以下とされている。
【0054】
本態様に係る防雪カバーによれば、背面から張り出した張出面の寸法は、30mm以上50mm以下とされているので、雪が積もる面の面積を確保することができる。また、防雪カバーの背面と車両のバン前面との距離を取ることができる。
【0055】
また、本開示の第6態様に係る防雪カバーは、第1態様から第5態様のいずれかにおいて、天面は、前記バン前面に向かって上方向に傾斜している。
【0056】
本態様に係る防雪カバーによれば、天面はバン前面に向かって上方向に傾斜しているので、天面に積もった雪を作業者が下ろす際に、天面から雪が滑り落ちやすくなり、作業が効率化される。また、背面排風口や天面排風部(天面排風口)が設けられた防雪カバーの後方に排風が導かれやすくなる。
【0057】
また、本開示の第7態様に係る防雪カバーは、第2態様において、前記天面には、前記空間と外部とを連通する第2の天面排風口(212)が設けられ、前記第2の天面排風口に設けられた蓋部(250)を備え、前記蓋部は、上部から荷重が負荷されていない状態において前記吹出口から排出された排風によって前記空間の圧力が基準値以上になったときに、前記第2の天面排風口を開放するように浮き上がる。
【0058】
本態様に係る防雪カバーによれば、蓋部は、上部から荷重が負荷されていない状態(例えば、蓋部に雪が積もっていない状態)において、吹出口から排出された排風によって空間の圧力が基準値以上になったときに、第2の天面排風口を開放するように浮き上がるので、背面排風口や天面排風口からの排風では足りずに空間の圧力が上昇した場合でも、第2の天面排風口から排風を排出することができる。
【0059】
また、本開示の第8態様に係る冷凍ユニット(10)は、第1態様から第7態様のいずれかの防雪カバーと、前記バン前面の前方に配置された前記冷凍機本体と、を備えている。
【符号の説明】
【0060】
10 冷凍ユニット
100 冷凍機本体
110 筐体
111 筐体前面
112 吸込口
113 筐体上面
114 吹出口
120 庫外熱交換器
130 庫外ファン
200 防雪カバー
210 天面
211 天面排風部
211a 天面排風口
212 第2の天面排風口
220 背面
221 背面排風口
230 張出面
240 側面
250 蓋部
300 車両
310 バン(保冷庫/保温庫)
311 バン前面
320 キャビン
A1 空間
A2 空間
A3 空間
C 接続箇所
S 雪