IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-衛星プラットフォーム 図1
  • 特開-衛星プラットフォーム 図2
  • 特開-衛星プラットフォーム 図3
  • 特開-衛星プラットフォーム 図4
  • 特開-衛星プラットフォーム 図5
  • 特開-衛星プラットフォーム 図6
  • 特開-衛星プラットフォーム 図7
  • 特開-衛星プラットフォーム 図8
  • 特開-衛星プラットフォーム 図9
  • 特開-衛星プラットフォーム 図10
  • 特開-衛星プラットフォーム 図11
  • 特開-衛星プラットフォーム 図12
  • 特開-衛星プラットフォーム 図13
  • 特開-衛星プラットフォーム 図14
  • 特開-衛星プラットフォーム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083800
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】衛星プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/10 20060101AFI20240617BHJP
   B64G 3/00 20060101ALI20240617BHJP
   B64G 1/66 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B64G1/10 600
B64G3/00
B64G1/66 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197828
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【弁理士】
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】樋口 淳一
(72)【発明者】
【氏名】三好 弘晃
(72)【発明者】
【氏名】伊東 俊治
(72)【発明者】
【氏名】飛鷹 洋一
(72)【発明者】
【氏名】小石 高裕
(72)【発明者】
【氏名】大貫 崇
(57)【要約】
【課題】ミッション機器を搭載する衛星の小型化、低コスト化等が困難になること。
【解決手段】第1の衛星は、第1のホスト側ブリッジと、第1のホスト側ブリッジを介してネットワークに接続される第1のホストと、を搭載する。第2の衛星は、第1のI/O側ブリッジと、第1のI/O側ブリッジを介して前記ネットワークに接続される第1のI/Oデバイスと、を搭載する。管理装置は、情報処理装置の構成要求に従い、少なくとも第1の衛星の一つに搭載された第1のホストと、少なくとも第2の衛星の一つに搭載された第1のI/Oデバイスとを、選択し、選択された第1のホストに接続された第1のホスト側ブリッジおよび選択された第1のI/Oデバイスに接続された第1のI/O側ブリッジを仮想的なコンピュータ内部バスとする情報処理装置を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のホスト側ブリッジと、前記第1のホスト側ブリッジを介してネットワークに接続される第1のホストと、を搭載する1以上の第1の衛星と、
第1のI/O側ブリッジと、前記第1のI/O側ブリッジを介して前記ネットワークに接続される第1のI/Oデバイスと、を搭載する1以上の第2の衛星と、
情報処理装置の構成要求に従い、少なくとも前記第1の衛星の一つに搭載された前記第1のホストと、少なくとも前記第2の衛星の一つに搭載された前記第1のI/Oデバイスとを、選択し、前記選択された前記第1のホストに接続された前記第1のホスト側ブリッジおよび前記選択された前記第1のI/Oデバイスに接続された前記第1のI/O側ブリッジを仮想的なコンピュータ内部バスとする情報処理装置を形成する管理装置と、
を備える衛星プラットフォーム。
【請求項2】
第2のホスト側ブリッジと、前記第2のホスト側ブリッジを介して前記ネットワークに接続される第2のホストと、第2のI/O側ブリッジと、前記第2のI/O側ブリッジを介して前記ネットワークに接続される第2のI/Oデバイスと、を搭載する1以上の第3の衛星を、さらに備え、
前記管理装置は、前記情報処理装置の構成要求に従い、少なくとも前記第1の衛星または前記第3の衛星の一つに搭載された前記第1のホストまたは第2のホストと、少なくとも前記第2の衛星または前記第3の衛星の一つに搭載された前記第1のI/Oデバイスまたは前記第2のI/Oデバイスとを、選択し、前記選択された前記第1のホストまたは前記第2のホストに接続された前記第1のホスト側ブリッジまたは前記第2のホスト側ブリッジ、および、前記選択された前記第1のI/Oデバイスまたは前記第2のI/Oデバイスに接続された前記第1のI/O側ブリッジまたは前記第2のI/O側ブリッジを、仮想的なコンピュータ内部バスとする情報処理装置を形成する、
請求項1に記載の衛星プラットフォーム。
【請求項3】
前記管理装置は、前記第3の衛星に搭載されている前記第2のホストまたは前記第2のホスト側ブリッジが障害状態となったことにより、正常状態の前記第2のホストおよび前記第2のホスト側ブリッジの組が1つも存在しなくなった前記第3の衛星を、前記第2の衛星として利用する、
請求項2に記載の衛星プラットフォーム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記第3の衛星に搭載されている前記第2のI/Oデバイスまたは前記第2のI/O側ブリッジが障害状態となったことにより、正常状態の前記第2のI/Oデバイスおよび前記第2のI/O側ブリッジの組が1つも存在しなくなった前記第3の衛星を、前記第1の衛星として利用する、
請求項2に記載の衛星プラットフォーム。
【請求項5】
前記第1のホスト側ブリッジおよび前記第1のI/O側ブリッジは、PCI Expressバス延長ブリッジである、
請求項1に記載の衛星プラットフォーム。
【請求項6】
第1のホスト側ブリッジと、前記第1のホスト側ブリッジを介してネットワークに接続される第1のホストと、を搭載する1以上の第1の衛星と、第1のI/O側ブリッジと、前記第1のI/O側ブリッジを介して前記ネットワークに接続される第1のI/Oデバイスと、を搭載する1以上の第2の衛星と、に前記ネットワークを介して接続されたコンピュータが実行する情報処理装置形成方法であって、
情報処理装置の構成要求に従い、少なくとも前記第1の衛星の一つに搭載された前記第1のホストと、少なくとも前記第2の衛星の一つに搭載された前記第1のI/Oデバイスとを、選択し、
前記選択された前記第1のホストに接続された前記第1のホスト側ブリッジおよび前記選択された前記第1のI/Oデバイスに接続された前記第1のI/O側ブリッジを仮想的なコンピュータ内部バスとする情報処理装置を形成する、
情報処理装置形成方法。
【請求項7】
第1のホスト側ブリッジと、前記第1のホスト側ブリッジを介してネットワークに接続される第1のホストと、を搭載する1以上の第1の衛星と、第1のI/O側ブリッジと、前記第1のI/O側ブリッジを介して前記ネットワークに接続される第1のI/Oデバイスと、を搭載する1以上の第2の衛星と、に前記ネットワークを介して接続されたコンピュータに、
情報処理装置の構成要求に従い、少なくとも前記第1の衛星の一つに搭載された前記第1のホストと、少なくとも前記第2の衛星の一つに搭載された前記第1のI/Oデバイスとを、選択する処理と、
前記選択された前記第1のホストに接続された前記第1のホスト側ブリッジおよび前記選択された前記第1のI/Oデバイスに接続された前記第1のI/O側ブリッジを仮想的なコンピュータ内部バスとする情報処理装置を形成する処理と、
を行わせるためのプログラム。
【請求項8】
第1のホスト側ブリッジと、前記第1のホスト側ブリッジを介してネットワークに接続される第1のホストと、を搭載する第1の衛星の前記第1のホストと、
第1のI/O側ブリッジと、前記第1のI/O側ブリッジを介して前記ネットワークに接続される第1のI/Oデバイスと、を搭載する第2の衛星の前記I/Oデバイスと、
を備え、
前記第1のホスト側ブリッジおよび前記第1のI/O側ブリッジを仮想的なコンピュータ内部バスとする、
情報処理装置。
【請求項9】
ホスト側ブリッジと、
前記ホスト側ブリッジを介してネットワークに接続されるホストと、
I/O側ブリッジと、
前記I/O側ブリッジを介して前記ネットワークに接続されるI/Oデバイスと、
を備える衛星。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の衛星に分散配置されたホストおよびI/Oデバイスを互いに接続することによって形成される情報処理装置、および、そのような情報処理装置を形成するための衛星プラットフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星(以下、単に衛星と呼ぶ)は、様々な宇宙ベースの業務を提供するために地球などの惑星の軌道に展開される。衛星には、衛星としての基本機能に必要な機器(バス機器)と、ミッションを遂行するにあたって必要な機器(ミッション機器)とが搭載される。ミッションを1台の衛星で遂行するには、ホストを含め遂行に必要な機器の全てを1台の衛星に搭載する必要がある。そのため、衛星の大型化、製造コスト・消費電力・必要排熱性能の増大などの問題が発生する。この衛星の大型化などの問題の解消を目的として、ミッションの遂行に必要な機器をCubeSatなどの複数の小型の衛星に分散配置し、複数の衛星を連携させてミッションを遂行するようにした衛星クラスタが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方、特許文献2には、イーサネットを介したPCIe(Peripheral Component Interconect Express(登録商標))スイッチを介して、複数のホストとI/O(Input/Output)装置を接続する技術であるExpEtherが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2019/017982
【特許文献2】特許第4670676号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、衛星クラスタでは、衛星間でコンピュータ通信を行うことによって分散配置された複数の機器を連携させてミッションを遂行する。そのため、衛星クラスタを構成する衛星には、その衛星の役割がデータストレージ役割、撮像役割、衛星から地上への通信役割などI/Oに限定される場合であっても、1台の衛星でミッションを遂行する衛星と同様にホストを必ず搭載する必要があった。すなわち、衛星に搭載するミッション機器にホストを搭載することは、衛星でミッションを遂行する分野では常識であった。そのため、ミッション機器にホストを必ず含めなければならないことによって、ミッション機器を搭載する衛星の小型化、低コスト化が困難になる等の各種の問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上述した課題を解決する衛星プラットフォームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る衛星プラットフォームは、
第1のホスト側ブリッジと、前記第1のホスト側ブリッジを介してネットワークに接続される第1のホストと、を搭載する1以上の第1の衛星と、
第1のI/O側ブリッジと、前記第1のI/O側ブリッジを介して前記ネットワークに接続される第1のI/Oデバイスと、を搭載する1以上の第2の衛星と、
情報処理装置の構成要求に従い、少なくとも前記第1の衛星の一つに搭載された前記第1のホストと、少なくとも前記第2の衛星の一つに搭載された前記第1のI/Oデバイスとを、選択し、前記選択された前記第1のホストに接続された前記第1のホスト側ブリッジおよび前記選択された前記第1のI/Oデバイスに接続された前記第1のI/O側ブリッジを仮想的なコンピュータ内部バスとする情報処理装置を形成する管理装置と、
を備えるように構成されている。
【0008】
また、本発明の他の形態に係る情報処理装置形成方法は、
第1のホスト側ブリッジと、前記第1のホスト側ブリッジを介してネットワークに接続される第1のホストと、を搭載する1以上の第1の衛星と、第1のI/O側ブリッジと、前記第1のI/O側ブリッジを介して前記ネットワークに接続される第1のI/Oデバイスと、を搭載する1以上の第2の衛星と、に前記ネットワークを介して接続されたコンピュータが実行する情報処理装置形成方法であって、
情報処理装置の構成要求に従い、少なくとも前記第1の衛星の一つに搭載された前記第1のホストと、少なくとも前記第2の衛星の一つに搭載された前記第1のI/Oデバイスとを、選択し、
前記選択された前記第1のホストに接続された前記第1のホスト側ブリッジおよび前記選択された前記第1のI/Oデバイスに接続された前記第1のI/O側ブリッジを仮想的なコンピュータ内部バスとする情報処理装置を形成する、
ように構成されている。
【0009】
また、本発明の他の形態に係るプログラムは、
第1のホスト側ブリッジと、前記第1のホスト側ブリッジを介してネットワークに接続される第1のホストと、を搭載する1以上の第1の衛星と、第1のI/O側ブリッジと、前記第1のI/O側ブリッジを介して前記ネットワークに接続される第1のI/Oデバイスと、を搭載する1以上の第2の衛星と、に前記ネットワークを介して接続されたコンピュータに、
情報処理装置の構成要求に従い、少なくとも前記第1の衛星の一つに搭載された前記第1のホストと、少なくとも前記第2の衛星の一つに搭載された前記第1のI/Oデバイスとを、選択する処理と、
前記選択された前記第1のホストに接続された前記第1のホスト側ブリッジおよび前記選択された前記第1のI/Oデバイスに接続された前記第1のI/O側ブリッジを仮想的なコンピュータ内部バスとする情報処理装置を形成する処理と、
を行わせるように構成されている。
【0010】
また、本発明の他の形態に係る情報処理装置は、
第1のホスト側ブリッジと、前記第1のホスト側ブリッジを介してネットワークに接続される第1のホストと、を搭載する第1の衛星の前記第1のホストと、
第1のI/O側ブリッジと、前記第1のI/O側ブリッジを介して前記ネットワークに接続される第1のI/Oデバイスと、を搭載する第2の衛星の前記第1のI/Oデバイスと、
を備え、
前記第1のホスト側ブリッジおよび前記第1のI/O側ブリッジを仮想的なコンピュータ内部バスとする、
ように構成されている。
【0011】
また、本発明の他の形態に係る衛星は、
ホスト側ブリッジと、
前記ホスト側ブリッジを介してネットワークに接続されるホストと、
I/O側ブリッジと、
前記I/O側ブリッジを介して前記ネットワークに接続されるI/Oデバイスと、
を備えるように構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述したような構成を有することにより、I/O搭載人工衛星にはミッション機器としてホストを必ずしも搭載する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る衛星プラットフォームの全体構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態におけるホスト搭載衛星に搭載されているミッション機器の構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態におけるI/O搭載衛星に搭載されているミッション機器の構成例を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施形態におけるホスト・I/O搭載衛星に搭載されているミッション機器の構成例を示すブロック図である。
図5】本発明の第1の実施形態における管理装置の構成例を示すブロック図である。
図6】本発明の第1の実施形態における衛星データベースに保存される情報の例を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態における情報処理装置データベースに保存される情報の例を示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態における装置構成管理部の処理の一例を示すフローチャートである。
図9】本発明の第1の実施形態における衛星プラットフォームによって形成された情報処理装置の一例を示すブロック図である。
図10】既存技術による衛星クラスタの構成例を示すブロック図である。
図11】本発明の第1の実施形態における衛星プラットフォームによって形成された情報処理装置の他の例を示すブロック図である。
図12】既存技術による衛星クラスタの他の構成例を示すブロック図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係る衛星プラットフォームのブロック図である。
図14】本発明の第3の実施形態に係る情報処理装置のブロック図である。
図15】本発明の第4の実施形態に係る衛星のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以降の説明において、符号「XXX」を付された要素と共通の機能を持つ要素が複数存在する場合には、当該符号「XXX」に枝番号を付けて区別することとする。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態に係る衛星プラットフォーム1の全体構成を示すブロック図である。図1を参照すると、衛星プラットフォーム1は、複数の衛星2~4と、管理装置5と、イーサネットによるネットワーク(イーサネットネットワーク)6とから構成される。複数の衛星2~4および管理装置5は、ネットワーク6を介して互いに接続される。
【0016】
ネットワーク6は、例えば、自由空間光通信機能を持った小型の中継衛星を用いた低軌道衛星向け衛星間通信イーサネットネットワークであってよい。この場合、自由空間光通信機を複数の衛星2~4および管理装置5に搭載することにより、ネットワーク6の中継衛星に遠隔で接続することができる。但し、ネットワーク6は、自由空間光通信によるイーサネットネットワークに限定されず、無線周波数(RF)によるイーサネットネットワークであってもよい。
【0017】
複数の衛星2~4は、例えば地球7の軌道に展開される。複数の衛星2~4は、例えば低軌道衛星である。但し、複数の衛星2~4は、低軌道衛星に限定されず、中軌道衛星や高軌道衛星であってもよく、低軌道衛星、中軌道衛星、高軌道衛星が混在していてもよい。個々の衛星2~4には、衛星としての基本機能に必要な機器(バス機器)の全てが搭載されている。バス機器としては、各種センサ(姿勢、軌道、各部の温度・電圧・電流など)、太陽電池パネル、姿勢制御アクチュエーターや軌道制御スラスター、熱制御機器、地上との無線通信機などがある。
【0018】
また、複数の衛星2~4には、ミッションを遂行するにあたって使用する機器(ミッション機器)が搭載されている。ミッション機器としては、ホスト、I/Oデバイスがある。複数の衛星2~4のうち、1以上の衛星2には、ミッション機器として、ホストが搭載され、I/Oデバイスは搭載されていない。このような衛星2を以下、ホスト搭載衛星または第1の衛星と呼ぶことがある。また、1以上の衛星3には、ミッション機器として、I/Oデバイスが搭載され、ホストは搭載されていない。以下、このような衛星3をI/O搭載衛星または第2の衛星と呼ぶことがある。また、1以上の衛星4には、ミッション機器として、ホストおよびI/Oデバイスが搭載されている。以下、このような衛星4をホスト・I/O搭載衛星または第3の衛星と呼ぶことがある。
【0019】
衛星2~4に搭載されているミッション機器の構成例について説明する前に、ExpEtherについて説明する。
【0020】
ExpEtherは、PCIeのTLP(TransactI/On Layer Packet)をカプセル化することによってイーサネットフレームを作成し、作成されたイーサネットフレームをイーサネット経由で送受信する、PCI Expressバス延長ブリッジの技術である。本実施形態は、ExpEtherの技術を用いて、衛星内および複数の衛星に分散配置されたホストとI/Oデバイスをイーサネット経由で接続する。ExpEtherには、ホスト側に配置されるExpEther機器(以下、ホスト側ExpEther機器とも呼ぶ)と、I/Oデバイス側に配置されるExpEther機器(以下、I/O側ExpEther機器とも呼ぶ)の2種類がある。ExpEther機器は、送信するフレームに、自身に割り当てられたグループIDを設定する。また、ExpEther機器は、自身に割り当てられたグループIDと異なるグループIDが設定されたフレームを受信した場合、受信したフレームを廃棄する。そのため、ホスト側に配置されるホスト側ExpEther機器とI/Oデバイス側に配置されるI/O側ExpEther機器に同一のグループIDを設定することにより、ホストとI/Oデバイスを仮想的なコンピュータ内部バスで互いに接続することができる。このとき、ホスト側ExpEther機器は、PCIeスイッチのUpstream Portとして動作し、I/O側ExpEther機器は、PCIeスイッチのDownstream Portとして動作する。
【0021】
図2は、ホスト搭載衛星2に搭載されているミッション機器の構成例を示すブロック図である。図2を参照すると、衛星2には、ホスト21とホスト側ブリッジ22が搭載されている。ホスト21とホスト側ブリッジ22は、PCIeバス23を介して互いに接続される。また、ホスト側ブリッジ22とネットワーク6は、イーサネット・リンク24を介して互いに接続される。ホスト側ブリッジ22とネットワーク6との間に図示しないイーサネットスイッチを介在させてもよい。
【0022】
ホスト21は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)、メモリ、および、チップセットを備える。上記メモリに記憶されたプログラムを上記CPUが実行することにより、ミッションに必要な各種処理がホスト21で実行される。ホスト側ブリッジ22は、PCIeバス23とイーサネット・リンク24の間をブリッジする。ホスト側ブリッジ22は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(ApplicatI/On Specific Integrated Circuit)として実装されたホスト側ExpEther機器を使用することができる。あるいは、ホスト側ブリッジ22は、ホスト21のメモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することによって実現されるソフトウェアExpEtherを使用することができる。また、本実施形態の場合、ホスト側ブリッジ(ホスト側ExpEther機器)22におけるイーサネット物理層には、イーサネット・リンク24を通じてネットワーク6との間でイーサネットのフレームを送受信する自由空間光通信の送受信機が備えられている。
【0023】
図2に示すホスト搭載衛星2は、1組のホスト21とホスト側ブリッジ22のみ備えているが、2組以上のホストとホスト側ブリッジを備えていてもよい。その場合、複数のホスト側ブリッジ22とネットワーク6は、個別のイーサネット・リンク24で互いに接続されていてもよいし、それらの間にイーサネットスイッチが介在していてもよい。また、ホスト21およびホスト側ブリッジ22は、液浸冷却装置で冷却されるように構成されていてよい。
【0024】
図2に示すホスト搭載衛星2は、ホスト21を備えているため、データ処理役割を担うことができる。
【0025】
図3は、I/O搭載衛星3に搭載されているミッション機器の構成例を示すブロック図である。図3を参照すると、衛星3には、I/Oデバイス31とI/O側ブリッジ32が搭載されている。I/Oデバイス31とI/O側ブリッジ32は、PCIeバス33を介して互いに接続される。また、I/O側ブリッジ32とネットワーク6とは、イーサネット・リンク34を介して互いに接続される。I/O側ブリッジ32とネットワーク6との間に図示しないイーサネットスイッチを介在させてもよい。
【0026】
I/Oデバイス31は、例えば、各種センサデバイスを含むセンサデバイス、各種通信デバイスを含むネットワークデバイス、各種記憶デバイスを含むストレージデバイスなどである。I/O側ブリッジ32は、PCIeバス33とイーサネット・リンク34の間をブリッジする。I/O側ブリッジ32は、例えば、FPGAまたはASICとして実装されたI/O側ExpEther機器を使用することができる。本実施形態の場合、I/O側ブリッジ(I/O側ExpEther機器)22におけるイーサネット物理層には、イーサネット・リンク34を通じてネットワーク6との間でイーサネットのフレームを送受信する自由空間光通信の送受信機が備えられている。
【0027】
図3に示すI/O搭載衛星3は、1組のI/Oデバイス31とI/O側ブリッジ32のみ備えているが、2組以上のI/OデバイスとI/O側ブリッジを備えていてもよい。その場合、複数のI/O側ブリッジ32とネットワーク6は、個別のイーサネット・リンク34で互いに接続されていてもよいし、それらの間にイーサネットスイッチが介在していてもよい。また、I/Oデバイス31およびI/O側ブリッジ32は、液浸冷却装置で冷却されるように構成されていてよい。
【0028】
図3に示すI/O搭載衛星3は、I/Oデバイス31を備えているため、そのI/Oデバイス31の種類に応じて、データストレージ役割、撮像役割、衛星から地上への通信役割などのI/O役割を担うことができる。
【0029】
図4は、ホスト・I/O搭載衛星4に搭載されているミッション機器の構成例を示すブロック図である。図4を参照すると、衛星4には、図2と同様なホスト21、ホスト側ブリッジ22、PCIeバス23、イーサネット・リンク24と、図3と同様なI/Oデバイス31、I/O側ブリッジ32、PCIeバス33、イーサネット・リンク34と、イーサネットスイッチ41とが搭載されている。イーサネットスイッチ41には、イーサネット・リンク24、イーサネット・リンク34、および、イーサネット・リンク42が接続されている。イーサネット・リンク42は、ネットワーク6に接続される。従って、ホスト側ブリッジ22は、イーサネットスイッチ41を介してイーサネット・リンク42およびI/O側ブリッジ32に接続する。また、I/O側ブリッジ32は、イーサネットスイッチ41を介してイーサネット・リンク42およびホスト側ブリッジ32に接続する。
【0030】
図4に示すホスト・I/O搭載衛星4は、1組のホスト21とホスト側ブリッジ22、1組のI/Oデバイス31とI/O側ブリッジ32、および、1個のイーサネットスイッチ41を備えているが、2組以上のホストとホスト側ブリッジ、2組以上のI/OデバイスとI/O側ブリッジ、2個以上のイーサネットスイッチを備えていてもよい。また、ホスト21、ホスト側ブリッジ22、I/Oデバイス31、および、I/O側ブリッジ32は、液浸冷却装置で冷却されるように構成されていてよい。
【0031】
図4に示すホスト・I/O搭載衛星4は、ホスト21を備えているため、データ処理役割を担うことができる。また、ホスト・I/O搭載衛星4は、I/Oデバイス31を備えているため、そのI/Oデバイス31の種類に応じて、データストレージ役割、撮像役割、衛星から地上への通信役割などのI/O役割を担うことができる。ホスト・I/O搭載衛星4は、ホスト21または/およびホスト側ブリッジ22が障害状態となった場合でも、I/Oデバイス31およびI/O側ブリッジ32が正常状態であれば、I/O搭載衛星として支障なく機能する。また、ホスト・I/O搭載衛星4は、I/Oデバイス31または/およびI/O側ブリッジ32が障害状態となった場合でも、ホスト21およびホスト側ブリッジ22が正常状態であれば、ホスト搭載衛星として支障なく機能する。
【0032】
続いて、管理装置5について説明する。管理装置5は、衛星プラットフォーム1の全体構成を管理する。本例では、管理装置5は、地上に設置されているが、任意の衛星に搭載されていてもよい。
【0033】
図5は、管理装置5の構成例を示すブロック図である。図5を参照すると、管理装置5は、通信I/F部51と、操作入力部52と、画面表示部53と、イーサネット通信機器54と、記憶部55と、演算処理部56とを備える。
【0034】
通信I/F部51は、専用のデータ通信回路からなり、有線または無線により図示しない外部装置との間でデータを送受信する機能を有している。操作入力部52は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータの操作を検出して演算処理部56に出力する機能を有している。画面表示部53は、LCD(Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)などの画面表示装置からなり、演算処理部56からの指示に応じて、形成した情報処理装置の構成情報などの各種情報を画面表示する機能を有している。イーサネット通信機器54は、ネットワーク6を介して複数の衛星2~4との間でイーサネットフレームを送受信する機能を有している。本実施形態の場合、イーサネット通信機器54は、ネットワーク6との間でイーサネットのフレームを送受信する自由空間光通信の送受信機が備えられている。
【0035】
記憶部55は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置からなり、演算処理部56における各種処理に必要な処理情報やプログラム551を記憶する機能を有している。プログラム551は、演算処理部56に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現するプログラムであり、通信I/F部51などのデータ入出力機能を介して外部装置(図示せず)や記憶媒体(図示せず)から予め読み込まれて記憶部55に保存される。記憶部55で記憶される主な処理情報として、衛星データベース552、ソフトウェアデータベース553、および、情報処理装置データベース554がある。
【0036】
衛星データベース552は、衛星プラットフォーム1に含まれる衛星2~4に関する各種の情報を保存する。図6は、衛星データベース552に保存される情報の例を示す。この例では、衛星データベース552は、衛星2~4毎に、衛星番号5521、ホスト数5522、ホスト情報5523、I/Oデバイス数5524、I/Oデバイス情報5525、およびその他の情報5526の各エントリを備える。衛星番号5521のエントリには、衛星を一意に識別する衛星番号が設定される。ホスト数5522のエントリには、衛星に備わるホストの総数が設定される。ホスト情報5523は、衛星に備わるホスト毎に存在する。衛星にホストが1つも存在しない場合、ホスト情報5523のエントリは省略される。I/Oデバイス数5524のエントリには、衛星に備わるI/Oデバイスの総数が設定される。I/Oデバイス情報5525は、衛星に備わるI/Oデバイス毎に存在する。衛星にI/Oデバイスが1つも存在しない場合、I/Oデバイス情報5525のエントリは省略される。
【0037】
ホスト情報5523のエントリは、ホスト番号55231、諸元55232、状態55233、MACアドレス55234、グループID55235、および、情報処理装置番号55236の各エントリから構成される。ホスト番号55231のエントリには、衛星内でホストを一意に識別するホスト番号が設定される。諸元55232のエントリには、ホストに含まれるCPUの性能、メモリの容量、インストールされたソフトウェア(OSなど)の種類やバージョンなどの情報が設定される。状態55233のエントリには、ホストが正常状態または障害状態のいずれであるかが設定される。MACアドレス55234の各エントリには、ホストに接続されたホスト側ブリッジなどに設定されたMACアドレスが設定される。グループID55235のエントリには、ホストに接続されたホスト側ブリッジに設定されたグループIDが設定される。情報処理装置番号55236のエントリには、ホストを構成要素とする情報処理装置を一意に識別する情報処理装置番号が設定される。ホストが何れの情報処理装置の構成要素でもない場合(即ち、ホストが解放されている場合)、情報処理装置番号55236のエントリには、例えばNULL値が設定される。
【0038】
I/Oデバイス情報5525のエントリは、I/Oデバイス番号55251、諸元55252、状態55253、MACアドレス55254、グループID55255、および、情報処理装置番号55256の各エントリから構成される。I/Oデバイス番号55251のエントリには、衛星内でI/Oデバイスを一意に識別するI/Oデバイス番号が設定される。諸元55252のエントリには、I/Oデバイスに含まれるI/Oデバイスの種類(ストレージ、センサの種類、カメラ、通信機など)、それらの性能(ストレージ容量、センサの性能、カメラの解像度、通信機の通信速度など)が設定される。状態55253のエントリには、I/Oデバイスが正常状態または障害状態のいずれであるかが設定される。MACアドレス55254の各エントリには、I/Oデバイスに接続されたI/O側ブリッジなどに設定されたMACアドレスが設定される。グループID55255のエントリには、I/Oデバイスに接続されたI/O側ブリッジに設定されたグループIDが設定される。情報処理装置番号55256のエントリには、I/Oデバイスを構成要素とする情報処理装置を一意に識別する情報処理装置番号が設定される。I/Oデバイスが何れの情報処理装置の構成要素でもない場合(即ち、I/Oデバイスが解放されている場合)、情報処理装置番号55256のエントリには、例えばNULL値が設定される。
【0039】
その他の情報5526のエントリには、例えば、衛星に搭載されたホスト21、ホスト側ブリッジ22、I/Oデバイス31、I/O側ブリッジ32、イーサネットスイッチ41がどのように接続されているかを示す接続情報が保存される。また、衛星の軌道情報(高度、速度、移動経路など)が保存される。
【0040】
ソフトウェアデータベース553は、衛星のホスト21にインストールするOS(オペレーティングシステム)や各種アプリケーションプログラムなど保存する。
【0041】
情報処理装置データベース554は、衛星プラットフォーム1によって形成された情報処理装置に関する各種の情報を保存する。図7は、情報処理装置データベース554に保存される情報の例を示す。この例では、情報処理装置データベース554は、情報処理装置毎に、情報処理装置番号5541、グループID5542、ホスト数5543、ホスト情報5544、I/Oデバイス数5545、I/Oデバイス情報5546、および、その他の情報5547の各エントリを備える。情報処理装置番号5541のエントリには、情報処理装置を一意に識別する情報処理装置番号が設定される。グループID5542のエントリには、情報処理装置に割り当てられたグループIDが設定される。ホスト数5543のエントリには、情報処理装置に備わるホストの総数が設定される。ホスト情報5544は、情報処理装置に備わるホスト毎に存在する。I/Oデバイス数5545のエントリには、情報処理装置に備わるI/Oデバイスの総数が設定される。I/Oデバイス情報5546は、情報処理装置に備わるI/Oデバイス毎に存在する。
【0042】
ホスト情報5544のエントリは、衛星番号55441、および、ホスト番号55442の各エントリから構成される。衛星番号55441のエントリには、衛星を一意に識別する衛星番号が設定される。ホスト番号55442のエントリには、衛星内でホストを一意に識別するホスト番号が設定される。
【0043】
I/Oデバイス情報5546のエントリは、衛星番号55461、および、I/Oデバイス番号55462の各エントリから構成される。衛星番号55461のエントリには、衛星を一意に識別する衛星番号が設定される。I/Oデバイス番号55462のエントリには、衛星内でI/Oデバイスを一意に識別するI/Oデバイス番号が設定される。
【0044】
その他の情報5547のエントリには、例えば、情報処理装置の構成要素であるホスト21、ホスト側ブリッジ22、I/Oデバイス31、I/O側ブリッジ32、イーサネットスイッチ41がどのように接続されているかを示す接続情報が保存される。
【0045】
再び図5を参照すると、演算処理部56は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部55からプログラム551を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム551とを協働させて各種処理部を実現する機能を有している。演算処理部56で実現される主な処理部として、装置構成管理部561、障害管理部562、および、表示制御部563がある。
【0046】
装置構成管理部561は、操作入力部52などから入力される装置構成要求に従い、複数の衛星2~4に分散配置されたホスト21およびI/Oデバイス31を組み合わせて情報処理装置を構成する機能を有する。装置構成要求には、例えば、装置新規構成要求、装置拡張要求、装置縮退要求、装置削除要求、装置機能変更要求などの種類がある。装置新規構成要求は、複数の衛星2~4に分散配置されたホスト21およびI/Oデバイス31から新しく情報処理装置を構成する要求である。装置拡張要求は、情報処理装置の性能および機能が不足する場合にホスト21および/またはI/Oデバイス31を追加して情報処理装置を拡張する要求である。装置縮退要求は、情報処理装置の性能および機能が不必要になった場合にホスト21および/またはI/Oデバイス31を取り外して情報処理装置を縮退する要求である。装置削除要求は、情報処理装置を削除し、構成要素のホスト21およびI/Oデバイス31を解放する要求である。装置機能変更要求は、情報処理装置のホスト21にインストールされているプログラムを変更して情報処理装置の機能を変更する要求である。
【0047】
装置新規構成要求には、例えば、構成したい情報処理装置に組み入れるホスト21およびI/Oデバイス31に関する条件が含まれる。ホスト21に関する条件としては、例えば、ホスト21の数、CPU速度、メモリ量、インストールするOSなどのプログラムの種類などがある。I/Oデバイス31に関する条件としては、例えば、I/Oデバイス31の数と種類(ストレージ、センサ、ネットワークなどの)、および必要な性能諸元などがある。
【0048】
装置拡張要求には、拡張したい情報処理装置の番号、追加するホスト21および/またはI/Oデバイス31に関する条件が含まれる。装置縮退要求には、縮退したい情報処理装置の番号、不必要になったホスト21および/またはI/Oデバイス31の番号が含まれる。装置削除要求には、削除したい情報処理装置の番号が含まれる。装置機能変更要求には、プログラムを変更したい情報処理装置の番号とホスト21の番号、および、新たにインストールするプログラムの種類などがある。
【0049】
上記以外にも、ホスト21を性能の異なるホスト21に交換する要求や、I/Oデバイス31を種類や性能の異なるI/Oデバイス31に交換する要求など様々な種類の装置構成要求が考えられる。しかし、それらは上記5つの種類の装置構成要求を組み合わせることにより実現できるため、その説明は省略する。
【0050】
図8は、装置構成管理部561の処理の一例を示すフローチャートである。装置構成管理部561は、装置構成要求を受信すると、図8に示す処理を開始する。装置構成管理部561は、先ず、装置構成要求を解析する(ステップS1)。次に、装置構成管理部561は、衛星選択処理を行う(ステップS2)。
【0051】
装置新規構成要求の場合、ステップS2では、装置構成管理部561は、装置新規構成要求に含まれる条件を満たすホスト21およびI/Oデバイス31を選択する。具体的には、先ず、装置構成管理部561は、衛星データベース552を参照して、情報処理装置番号55236がNULL値であり、諸元55232が装置新規構成要求に含まれるホストに関する条件を満たし、且つ状態55233が正常状態であるホスト21のリストを作成する。次に、装置構成管理部561は、衛星データベース552を参照して、情報処理装置番号55256がNULL値であり、諸元55252が装置新規構成要求に含まれるI/Oデバイスに関する条件を満たし、かつ状態55253が正常状態であるI/Oデバイス31のリストを作成する。次に、装置構成管理部561は、上記ホスト21のリストと上記I/Oデバイス31のリストの中から、必要な数だけのホスト21およびI/Oデバイス31を選択する。この選択は、無作為に行ってもよいし、所望のポリシーに従って選択してもよい。例えば、選択したホスト21およびI/Oデバイス31を含む衛星2~4の数が最小となるように選択してもよい。あるいは、選択したホスト21およびI/Oデバイス31を含む複数の衛星2~4間の距離が最小となるように選択してもよい。装置構成管理部561は、必要数のホスト21およびI/Oデバイス31を選択することができなかった場合、新規構成を中断する。
【0052】
装置拡張要求の場合、ステップS2では、装置構成管理部561は、装置拡張要求に含まれる条件を満たすホスト21および/またはI/Oデバイス31を選択する。具体的には、装置構成管理部561は、装置新規構成要求と同様な方法によって衛星データベース552から条件を満たすホスト21のリストおよび/またはI/Oデバイス31のリストを作成し、そのリストの中から、必要な数だけのホスト21および/またはI/Oデバイス31を選択する。装置構成管理部561は、必要数のホスト21および/またはI/Oデバイス31を選択することができなかった場合、装置拡張を中断する。
【0053】
装置縮退要求、装置削除要求、および、装置機能変更要求の場合、ステップS2では、装置構成管理部561は特別な処理は行わない。
【0054】
次に、装置構成管理部561は、グループID設定処理を行う(ステップS3)。
【0055】
装置新規構成要求の場合、ステップS3では、装置構成管理部561は、新たな情報処理装置に割り当てるグループIDを採番し、ステップS2において選択したホスト21のホスト側ブリッジ22およびI/Oデバイス31のI/O側ブリッジ32に上記採番したグループIDを設定する。ホスト側ブリッジ22、I/O側ブリッジ32へのグループIDの設定は、装置構成管理部561からイーサネット通信機器54を通じて、ホスト側ブリッジ22、I/O側ブリッジ32を宛先とする制御フレームを送信することによって行われる。宛先のMACアドレスは、選択したホスト21、I/Oデバイス31に対応するMACアドレス55234、55254から取得する。制御フレームを受信したホスト側ブリッジ22、I/O側ブリッジ32は、自身のグループIDを制御フレームに含まれるグループIDに更新する。同一のグループIDが設定されたホスト側ブリッジ22とI/O側ブリッジ32は、それぞれ仮想的なPCIeスイッチを構成する。これにより、複数の衛星2~4に分散配置されたホスト21およびI/Oデバイス32を構成要素する新たな情報処理装置が形成されることになる。
【0056】
装置拡張要求の場合、ステップS3では、装置構成管理部561は、拡張したい情報処理装置に割り当てられているグループID5542を拡張したい情報処理装置の番号をキーに情報処理装置データベース554から検索する。次に、装置構成管理部561は、ステップS2において選択したホスト21のホスト側ブリッジ22および/またはI/Oデバイス31のI/O側ブリッジ32に上記検索して得たグループIDと同一のグループIDを制御フレームにより設定する。これにより、情報処理装置に新たなホスト21および/またはI/Oデバイス31が構成要素として追加されることになる。
【0057】
装置縮退要求の場合、ステップS3では、装置構成管理部561は、不必要になったホスト21のホスト側ブリッジ22および/またはI/Oデバイス31のI/O側ブリッジ32に設定されているグループIDを制御フレームにより削除する。これにより、不必要になったホスト21および/またはI/Oデバイス31が情報処理装置から論理的に取り外されることになる。論理的に取り外されたホストまたはI/Oデバイスは必要最小限の電源供給となり電源消費を抑制する。
【0058】
装置削除要求の場合、ステップS3では、装置構成管理部561は、削除したい情報処理装置の全てのホスト21のホスト側ブリッジ22およびI/Oデバイス31のI/O側ブリッジ32に設定されているグループIDを制御フレームにより削除する。これにより、削除したい情報処理装置から全てのホスト21およびI/Oデバイス31が論理的に取り外されることになる。論理的に取り外されたホストまたはI/Oデバイスは必要最小限の電源供給となり電源消費を抑制する。
【0059】
装置機能変更要求の場合、ステップS3では、装置構成管理部561は、特別な処理は行わない。
【0060】
次に、装置構成管理部561は、ソフトウェア設定処理を行う(ステップS4)。
【0061】
装置新規構成要求の場合、ステップS4では、装置構成管理部561は、装置新規構成要求に含まれる条件を満たすプログラムが、新たに構成した情報処理装置のホスト21に既にインストールされているか否かを確認する。具体的には、装置構成管理部561は、新たに構成した情報処理装置のホスト21に対応する諸元55232を衛星データベース552から参照し、諸元55232に記録されているプログラムの種類やバージョンが装置新規構成要求に含まれるプログラムの条件を満たすか否かを判断する。装置構成管理部561は、既にインストールされているプログラムが条件を満たす場合、ソフトウェア設定処理S4を正常終了する。一方、条件を満たさない場合、装置構成管理部561は、条件を満たすプログラムをソフトウェアデータベース553から選択する。装置構成管理部561は、条件を満たすプログラムを選択することができなかった場合、ソフトウェア設定処理S4を中断する。装置構成管理部561は、条件を満たすプログラムを選択できた場合、イーサネット通信機器54を通じて、制御フレームによって選択したプログラムを該当するホスト21へ送信する。プログラムを受信したホスト21は、必要に応じて既にインストールされているプログラムをアンインストールした後、受信したプログラムをインストールする。
【0062】
装置拡張要求の場合、ステップS4では、装置構成管理部561は、装置拡張要求に含まれる条件を満たすプログラムが、追加したホスト21に既にインストールされているか否かを確認する。装置構成管理部561は、既にインストールされているプログラムが条件を満たす場合、ソフトウェア設定処理S4を正常終了する。一方、条件を満たさない場合、装置構成管理部561は、条件を満たすプログラムをソフトウェアデータベース553から選択する。装置構成管理部561は、条件を満たすプログラムを選択することができなかった場合、ソフトウェア設定処理S4を中断する。装置構成管理部561は、条件を満たすプログラムを選択できた場合、イーサネット通信機器54を通じて、制御フレームによって選択したプログラムを該当するホスト21へ送信する。プログラムを受信したホスト21は、必要に応じて既にインストールされているプログラムをアンインストールした後、受信したプログラムをインストールする。以上は、装置拡張によってホスト21が追加された場合の処理である。装置拡張によってI/Oデバイス31が追加され、ホスト21が追加されなかった場合、装置構成管理部561は、ステップS4では、特別な処理を行わない。
【0063】
装置削除要求の場合、ステップS4では、装置構成管理部561は、特別な処理を行わない。
【0064】
装置機能変更要求の場合、ステップS4では、装置構成管理部561は、装置機能変更要求に含まれる条件を満たすプログラムをソフトウェアデータベース553から選択する。装置構成管理部561は、条件を満たすプログラムを選択することができなかった場合、ソフトウェア設定処理S4を中断する。装置構成管理部561は、条件を満たすプログラムを選択できた場合、イーサネット通信機器54を通じて、制御フレームによって選択したプログラムを機能変更するホスト21へ送信する。プログラムを受信したホスト21は、必要に応じて既にインストールされているプログラムをアンインストールした後、受信したプログラムをインストールする。
【0065】
次に、装置構成管理部561は、衛星データベース552および情報処理装置データベース554の設定処理を行う(ステップS5)。
【0066】
装置新規構成要求の場合、ステップS5では、装置構成管理部561は、新たに構成した情報処理装置に対応するエントリの一式を情報処理装置データベース554に生成し、それらのエントリに必要な情報を設定する。具体的には、新たに構成した情報処理装置に対して採番した情報処理装置番号5541、設定したグループID5542、ホスト数5543、ホスト情報5544、I/Oデバイス数5545、および、I/Oデバイス情報5546を情報処理装置データベース554に追加する。また、装置構成管理部561は、新たに構成した情報処理装置の構成要素のホスト21およびI/Oデバイス31に対応する、衛星データベース552中のグループID55235、情報処理装置番号55236、グループID55255、および、情報処理装置番号55256を更新する。
【0067】
装置拡張要求の場合、ステップS5では、装置構成管理部561は、追加したホスト21に応じて、情報処理装置データベース554中の拡張した情報処理装置に対応するホスト数5543を更新し、追加したホスト21に関する新たなホスト情報5544を挿入する。また、装置構成管理部561は、追加したI/Oデバイス31に応じて、情報処理装置データベース554中の拡張した情報処理装置に対応するI/Oデバイス数5545を更新し、追加したI/Oデバイス31に関する新たなI/Oデバイス情報5546を挿入する。また、装置構成管理部561は、追加したホスト21に応じて、衛星データベース552中の追加したホスト21に対応するホスト情報5523のグループID55235および情報処理装置番号55236を更新する。また、装置構成管理部561は、追加したI/Oデバイス31に応じて、衛星データベース552中の追加したI/Oデバイス31に対応するI/Oデバイス情報5525のグループID55255および情報処理装置番号55256を更新する。
【0068】
装置縮退要求の場合、ステップS5では、装置構成管理部561は、取り外したホスト21に応じて、情報処理装置データベース554中の縮退した情報処理装置に対応するホスト数5543を更新し、取り外したホスト21に対応するホスト情報5544を削除する。また、装置構成管理部561は、取り外したI/Oデバイス31に応じて、情報処理装置データベース554中の縮退した情報処理装置に対応するI/Oデバイス数5545を更新し、取り外したI/Oデバイス31に対応するI/Oデバイス情報5546を削除する。また、装置構成管理部561は、取り外したホスト21に応じて、衛星データベース552中の取り外したホスト21に対応するホスト情報5523のグループID55235および情報処理装置番号55236をNULL値に更新する。また、装置構成管理部561は、取り外したI/Oデバイス31に応じて、衛星データベース552中の取り外したI/Oデバイス31に対応するI/Oデバイス情報5525のグループID55255および情報処理装置番号55256をNULL値に更新する。
【0069】
装置削除要求の場合、ステップS5では、装置構成管理部561は、情報処理装置データベース554から削除した情報処理装置に関するエントリ一式を削除する。また、装置構成管理部561は、削除した情報処理装置に含まれていたホスト21に応じて、衛星データベース552中の削除したホスト21に対応するホスト情報5523のグループID55235および情報処理装置番号55236をNULL値に更新する。また、装置構成管理部561は、削除した情報処理装置に含まれていたI/Oデバイス31に応じて、衛星データベース552中の削除したI/Oデバイス31に対応するI/Oデバイス情報5525のグループID55255および情報処理装置番号55256をNULL値に更新する。
【0070】
装置機能変更要求の場合、ステップS5では、装置構成管理部561は、プログラムを変更したホスト21に応じて、衛星データベース552中のプログラム変更した衛星のホスト21に対応するホスト情報5523の諸元55232中のプログラム情報を更新する。
【0071】
以上、装置構成管理部561について説明した。続いて、障害管理部562について説明する。
【0072】
障害管理部562は、衛星2~4に搭載されたホスト21、ホスト側ブリッジ22、I/Oデバイス31、および、I/O側ブリッジ32の障害の有無を確認する。例えば、障害管理部562は、ホスト側ブリッジ22およびI/O側ブリッジ32が定期的に送信する制御フレームの受信が途絶えたか否かを判定することによって、ホスト側ブリッジ22およびI/O側ブリッジ32の障害の有無を確認する。また、障害管理部562は、ホスト側ブリッジ22およびI/Oデバイス32が定期的に送信する制御フレームの受信が途絶えたか否かを判定することによって、ホスト21、および、I/Oデバイス31の障害の有無を確認する。障害管理部562は、ホスト21および/またはホスト側ブリッジ22に障害が発生したことを検出すると、衛星データベース552における状態55233を障害状態に更新すると共に、画面表示部53に障害情報を表示し、および/または、通信I/F部51を通じて外部の装置に障害情報を送信する。また、障害管理部562は、I/Oデバイス31および/またはI/O側ブリッジ32に障害が発生したことを検出すると、衛星データベース552における状態55253を障害状態に更新すると共に、画面表示部53に障害情報を表示し、および/または、通信I/F部51を通じて外部の装置に障害情報を送信する。これにより、管理装置5のオペレータや外部装置のユーザは、障害情報によって衛星2~4に分散配置されたホスト21およびI/Oデバイス31の障害の有無をリアルタイムに確認することができる。
【0073】
また、障害管理部562によってホスト21または/およびホスト側ブリッジ22の障害状態が検出されたホスト・I/O搭載衛星4は、I/Oデバイス31およびI/O側ブリッジ32が正常状態であれば、I/O搭載衛星として管理され、利用される。障害管理部562によってI/Oデバイス31または/およびI/O側ブリッジ32の障害状態が検出されたホスト・I/O搭載衛星4は、ホスト21およびホスト側ブリッジ22が正常状態であれば、ホスト搭載衛星として管理され、利用される。
【0074】
表示制御部563は、操作入力部52から入力される表示要求に従って、衛星プラットフォーム1によって形成された情報処理装置の構成などを可視化して画面表示部53に表示する。例えば、表示制御部563は、情報処理装置番号が指定された情報処理装置構成表示要求を入力すると、指定された情報処理装置番号で特定される情報処理装置に関するエントリ一式を情報処理装置データベース554から取得する。次に、表示制御部563は、取得した情報に基づいて情報処理装置の構成を可視化した図を作成し、画面表示部53に表示し、または/および、通信I/F部51を通じて外部の装置へ送信する。表示制御部563は、情報処理装置を可視化した構成図には、衛星データベース552から取得したホストの諸元55232、状態55233、I/Oデバイス31の諸元55252、状態55253をテキストで表示してもよい。これにより、オペレータ等は、衛星プラットフォーム1によって形成された情報処理装置の構成および状態を必要なときに直ちに確認することができる。
【0075】
続いて、衛星プラットフォーム1によって形成された情報処理装置の幾つかの例を説明する。
【0076】
図9は、衛星プラットフォーム1によって形成された情報処理装置の一例を示すブロック図である。この例の情報処理装置8-1は、データ処理役割を持つ衛星2-1、センサ役割を持つ衛星3-1、ネットワーク役割を持つ衛星3-2、ストレージ役割を持つ衛星3-3の合計4台の衛星によって構成されている。即ち、これら4台の衛星に分散配置されたホスト21-1、I/Oデバイス(センサ)31-1、I/Oデバイス(ネットワーク)31-2、および、I/Oデバイス(ストレージ)31-3を含んで構成されている。ホスト21-1はホスト側ブリッジ22-1を介して、I/Oデバイス(センサ)31-1は、I/O側ブリッジ32-1を介して、I/Oデバイス(ネットワーク)31-2はI/O側ブリッジ32-2を介して、I/Oデバイス(ストレージ)31-3はI/O側ブリッジ32-3を介して、それぞれネットワーク6に接続されている。ここで、ホスト側ブリッジ22-1、I/O側ブリッジ32-1、I/O側ブリッジ32-2、および、I/O側ブリッジ32-3は、仮想的なPCIeスイッチを構成する。図9に示す情報処理装置8-1は、例えば、I/Oデバイス(センサ)31-1によって地球表面の物理的な状態をセンシングしてI/Oデバイス(ストレージ)31-3に一定期間蓄積し、その蓄積されたセンシングデータをホスト21-1で解析し、その解析結果をI/Oデバイス(ネットワーク)31-2により地表のセンタなどへ送信する、といったミッションなどを行う。
【0077】
一方、図10は、図9と同様なミッションを遂行する衛星クラスタ9-1の構成例を示すブロック図である。この例の衛星クラスタ9-1は、データ処理役割を持つ衛星10-1、センサ役割を持つ衛星10-2、ネットワーク役割を持つ衛星10-3、および、ストレージ役割を持つ衛星10-4を含んで構成されている。それぞれの衛星間ではコンピュータ通信によってデータの送受信が行われる。そのため、センサ役割、ネットワーク役割、ストレージ役割に限定される衛星10-2~10-4にも、ホストが搭載されている。
【0078】
図9図10を比較すると明らかなように、本発明による情報処理装置8-1によれば、センサ役割を担う衛星3-1、ネットワーク役割を担う衛星3-2、ストレージ役割を担う衛星3-3にはホストが不要である。そのため、図10に示される衛星クラスタ9-1と比較して、衛星の小型化、低コスト化、必要排熱量の削減等が可能になる。また、ホストを必要としない衛星3-1~3-3は、宇宙環境における放射線によって誤動作を起こす心配がない。
【0079】
図11は、衛星プラットフォーム1によって形成された情報処理装置の他の例を示すブロック図である。この例の情報処理装置8-2は、データ処理役割およびセンサ役割を持つ衛星4-1、データ処理役割およびストレージ役割を持つ衛星4-2、ネットワーク役割を持つ衛星3-4の合計3台の衛星によって構成されている。即ち、3台の衛星に分散配置されたホスト21-2、ホスト21-3、I/Oデバイス(センサ)31-4、I/Oデバイス(ストレージ)31-5、および、I/Oデバイス(ネットワーク)31-6を含んで構成されている。ホスト21-2はホスト側ブリッジ22-2およびイーサネットスイッチ41-1を介して、I/Oデバイス(センサ)31-1はI/O側ブリッジ32-4およびイーサネットスイッチ41-1を介して、ホスト21-3はホスト側ブリッジ22-3およびイーサネットスイッチ41-2を介して、I/Oデバイス(ストレージ)31-5はI/O側ブリッジ32-5およびイーサネットスイッチ41-2を介して、I/Oデバイス(ネットワーク)31-6はI/O側ブリッジ32-6を介して、それぞれネットワーク6に接続されている。ここで、ホスト側ブリッジ22-2、22-3、I/O側ブリッジ32-4~32-6は、仮想的なPCIeスイッチを構成する。図11に示す情報処理装置8-2は、例えば、ホスト21-2が現用系、ホスト21-3が待機系として冗長化されている。例えば、I/Oデバイス(センサ)31-4によって地球表面の物理的な状態をセンシングしてI/Oデバイス(ストレージ)31-5に一定期間蓄積し、その蓄積されたセンシングデータを現用系のホスト21-2で解析し、その解析結果をI/Oデバイス(ネットワーク)31-6により地表のセンサなどへ送信する、といったミッションなどを行う。また、現用系のホスト21-2が障害によってダウンした場合、待機系のホスト21-3が新たに現用系となって処理を継続する。
【0080】
一方、図12は、図11と同様なミッションを遂行する衛星クラスタ9-2の構成例を示すブロック図である。この例の衛星クラスタ9-2は、データ処理役割およびセンサ役割を持つ衛星10-5、データ役割およびストレージ役割を持つ衛星10-6、および、ネットワーク役割を持つ衛星10-7を含んで構成されている。それぞれの衛星間ではコンピュータ通信によってデータの送受信が行われる。そのため、ネットワーク役割に限定される衛星10-7にも、ホストが搭載されている。
【0081】
図11図12を比較すると明らかなように、本発明による情報処理装置8-2によれば、ネットワーク役割を担う衛星3-4にはホストが不要である。そのため、図12に示される衛星クラスタ9-2と比較して、衛星の小型化、低コスト化、必要排熱量の削減等が可能になる。また、ホストを必要としない衛星3-4は、宇宙環境における放射線によって誤動作を起こす心配がない。
【0082】
さらに、図12に示す衛星クラスタ9-2では、3台の衛星のうちの何れか1台に搭載されたホストが現用系、残り2台の衛星のうちの何れか1台に搭載されたホストが待機系として動作することにより、冗長化することが考えられる。しかしながら、例えば、衛星10-5に搭載されたホストが現用系として動作しているときに障害が発生してホストがダウンした場合、同じ衛星10-5に搭載されているセンサは、他の衛星とのコンピュータ間通信が行えないため、使用不可能になる。他の衛星10-6、10-7に搭載されたホストを現用系とした場合も同様であり、現用系のホストが障害になると、その現用系のホストと同じ衛星に搭載されているストレージやネットワークが使用不可能になる。このように衛星クラスタ9-2は、搭載されたホストが障害を起こして、正常なホストが存在しなくなった衛星は、搭載されているI/Oデバイスが正常であったとしても衛星全体の利用価値がなくなってしまう。
【0083】
これに対して図11に示す本発明による情報処理装置8-2では、衛星4-1に搭載された現用系のホスト21-2に障害が発生してダウンした場合であっても、同じ衛星4-1に搭載されているI/Oデバイス(センサ)31-4は、ホスト21-2の障害の影響を受けることなく、正常なI/Oデバイスとして継続して使用することができる。その理由は、I/Oデバイス31-4は、I/O側ブリッジ32-4を通じてホスト側ブリッジ22-3に接続されていれば、ホスト21-3に接続されたI/Oデバイスとして利用できるためである。このようにホスト・I/O搭載衛星4は、搭載されているホストに障害が発生しても、搭載されているI/Oデバイスが継続して利用できるため、衛星の実質的な寿命を延ばすことができる。
【0084】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、本発明に係る衛星プラットフォームの基本的な構成について説明する。
【0085】
図13は、本実施形態に係る衛星プラットフォームのブロック図である。図13を参照すると、衛星プラットフォーム100は、1以上の第1の衛星110と、1以上の第2の衛星120と、管理装置130と、それらを相互に接続するネットワーク140とから構成される。
【0086】
第1の衛星110は、ホスト側ブリッジ111と、このホスト側ブリッジ111を介してネットワーク140に接続されるホストと、を搭載する。第2の衛星120は、I/O側ブリッジ121と、このI/O側ブリッジ121を介してネットワーク140に接続されるI/Oデバイス122と、を搭載する。
【0087】
管理装置130は、情報処理装置の構成要求に従い、衛星110、120に分散配置されたホストおよびI/Oデバイスを構成要素とする情報処理装置を形成するように構成されている。具体的には、管理装置130は、少なくとも第1の衛星110の一つに搭載されたホスト112と、少なくとも第2の衛星120の一つに搭載されたI/Oデバイス122とを、選択するように構成されている。また、管理装置は、上記選択されたホスト112に接続されたホスト側ブリッジ111および上記選択されたI/Oデバイス122に接続されたI/O側ブリッジ121を仮想的なコンピュータ内部バスとする情報処理装置を形成するように構成されている。
【0088】
このように構成された衛星プラットフォームは、以下のように動作する。即ち、先ず、管理装置130は、情報処理装置の構成要求に従い、少なくとも第1の衛星110の一つに搭載されたホスト112と、少なくとも第2の衛星120の一つに搭載されたI/Oデバイス122とを、選択する。次に、管理装置130は、上記選択されたホスト112に接続されたホスト側ブリッジ111および上記選択されたI/Oデバイス122に接続されたI/O側ブリッジ121を仮想的なコンピュータ内部バスとする情報処理装置を形成する。
【0089】
以上のように構成され動作する衛星プラットフォーム100によれば、第2の衛星120にはミッション機器としてホストを必ずしも搭載する必要がない。
【0090】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、本発明に係る情報処理装置の基本的な構成について説明する。
【0091】
図14は、本実施形態に係る情報処理装置のブロック図である。図14を参照すると、情報処理装置150は、ホスト側ブリッジ151、ホスト152、I/O側ブリッジ153、および、I/Oデバイス154を備えている。ホスト152は、ホスト側ブリッジ151を介してネットワーク140に接続される。I/Oデバイス154は、I/O側ブリッジ153を介してネットワーク140に接続される。ホスト側ブリッジ151およびホスト152は、衛星(第1の衛星)に搭載されている。また、I/O側ブリッジ153およびI/Oデバイス154は、第1の衛星とは異なる他の衛星(第2の衛星)に搭載されている。また、ホスト側ブリッジ151およびI/O側ブリッジ153は、仮想的なコンピュータ内部バスを構成する。
【0092】
本実施形態に係る情報処理装置150によれば、ホスト152とI/Oデバイス154は、仮想的なコンピュータ内部バスを通じてデータの授受を行うため、コンピュータ通信は不要である。そのため、I/Oデバイス154を搭載する第2の衛星にはミッション機器としてホストを必ずしも搭載する必要がない。
【0093】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、本発明に係る衛星の基本的な構成について説明する。
【0094】
図15は、本実施形態に係る衛星のブロック図である。図15を参照すると、衛星160は、ミッション機器として、ホスト側ブリッジ161、ホスト162、I/O側ブリッジ163、および、I/Oデバイス164を備えている。ホスト162は、ホスト側ブリッジ161を介してネットワーク140に接続される。I/Oデバイス164は、I/O側ブリッジ163を介してネットワーク140に接続される。ホスト側ブリッジ161およびI/O側ブリッジ163とネットワーク140との間にイーサネットスイッチが介在していてもよい。
【0095】
本実施形態に係る衛星160によれば、ホスト162に障害が発生してダウンした場合であっても、I/Oデバイス164は、ホスト162の障害の影響を受けることなく、正常なI/Oデバイスとして継続して使用することができる。その理由は、I/Oデバイス164は、I/O側ブリッジ163およびネットワーク140を通じて図示しない他の衛星のホスト側ブリッジに接続されていれば、他の衛星のホストからI/Oデバイスとして利用できるためである。このように衛星160は、搭載されているホストに障害が発生しても、搭載されているI/Oデバイスが継続して利用できるため、衛星の実質的な寿命を延ばすことができる。
【0096】
以上、上記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0097】
例えば、1つの衛星内の複数のホスト、I/Oデバイスを複数のグループに分割し、それぞれのグループを互いに異なる複数の情報処理装置の構成要素としてもよい。
【0098】
また、例えば、仮想化プログラムを使用することにより、上記のようにして形成された情報処理装置上に複数の仮想的な情報処理装置を形成することができる。
【0099】
また、上述したCPUの代わりに、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating number Processing Unit)、PPU((Physics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)、量子プロセッサ、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、複数の衛星に分散配置されたホストおよびI/Oデバイスを結合して情報処理装置を形成する分野全般に利用できる。
【符号の説明】
【0101】
1 衛星プラットフォーム
2~4 衛星
5 管理装置
6 ネットワーク
7 地球
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15