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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083811
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】ピストン
(51)【国際特許分類】
   F02F 3/00 20060101AFI20240617BHJP
   F16J 1/01 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
F02F3/00 G
F02F3/00 302Z
F16J1/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197847
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】阪井 博行
(72)【発明者】
【氏名】市川 和男
(72)【発明者】
【氏名】小湊 裕允
(72)【発明者】
【氏名】奥田 剛史
(72)【発明者】
【氏名】中橋 宏和
【テーマコード(参考)】
3J044
【Fターム(参考)】
3J044AA05
3J044AA06
3J044BA01
3J044BC02
3J044BC04
3J044CA01
3J044CA13
3J044DA09
3J044EA01
(57)【要約】
【課題】ピストンの軽量化を図るとともに、首振り挙動による振動・騒音の低減を図ることが可能なピストンを提供する。
【解決手段】ピストン5は、ピンボス部5dを有し、当該ピストン本体50の内部に空間部5hが形成されたピストン本体50と、前記空間部5hに移動可能に充填された粉粒体17とを備える。空間部5hは、ピンボス部5dの軸方向から見て、ピストン本体50の幅方向においてピンボス部5dの上方を横切るとともに当該空間部5hの一方の端部から他方の端部へ漸次拡張するような形状に形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンのシリンダ内を往復移動するピストンであって、
コネクティングロッドを連結するためのピストンピンが挿入されるピンボスを有し、かつ、当該ピストン本体の内部に空間部が形成されたピストン本体と、
前記空間部の内部に移動可能に充填された粉粒体と、
を備え、
前記ピンボスの軸方向から見て、前記空間部は、前記ピストン本体の幅方向において前記ピンボスの上方を横切るとともに前記幅方向における一方の端部から他方の端部へ漸次拡張するような形状に形成されている、
ことを特徴とするピストン。
【請求項2】
請求項1記載のピストンにおいて、
前記ピンボスの軸方向から見て、前記他方の端部は、前記幅方向において、前記エンジンの圧縮行程において前記コネクティングロッドとクランクシャフトとを連結するクランクピンが存在する側に対応し、
前記一方の端部は、前記幅方向において、当該クランクピンが存在する側の反対側に対応する、
ことを特徴とするピストン。
【請求項3】
請求項2に記載のピストンにおいて、
前記空間部の前記他方の端部は、前記エンジンの排気側に対応し、
前記空間部の前記一方の端部は、前記エンジンの吸気側に対応する、
ことを特徴とするピストン。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のピストンにおいて、
前記ピストン本体は、前記空間部を形成する上面と下面とを有し、
前記上面および下面のうちの少なくとも一つは、前記空間部が前記ピンボスの軸方向から見て、前記ピストン本体の幅方向に対して傾斜している、
ことを特徴とするピストン。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載のピストンにおいて、
前記粉粒体の前記充填率は、前記空間部の容積に占める体積割合として、40~60%である、
ことを特徴とするピストン。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載のピストンにおいて、
前記ピストン本体は、その冠面において燃焼室の下部を形成する凹部を有するとともに当該ピストン本体の内部において前記凹部の近傍にオイル流路が形成されたディーゼルエンジン用のピストンの形状を有する、
ことを特徴とするピストン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのシリンダ内で往復移動するピストンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ピストンがシリンダ内を往復動するレシプロエンジンでは、燃費向上と出力確保の観点から、圧縮比を大きくすることに加えて、ピストン内部に空間部を設けてピストンの軽量化によりピストンの慣性重量の低減を図ることが従来から行われている。
【0003】
一方、レシプロエンジンでは、ピストンの往復動の際におけるピンボス(コネクティングロッド(コンロッド)との連結用のピストンピンが挿入されるピンを受ける部分(ボス))を回転中心としたピストンの首振り(ピストンの傾き)の問題がある。
【0004】
ピストンの首振りは、圧縮行程および膨張行程においてとくに顕著に生じる。圧縮行程では、ピスボスの軸方向から見てピストン幅方向において片側に寄ったコンロッドがピストンを押し上げる際にピストンの片側が押し上げられることによりピストンがある方向(例えば時計回りの方向)に傾く。一方、膨張行程では、圧縮行程において押し上げられたピストンの片側が膨張圧によって押し下げられることにより、逆方向(例えば反時計回りの方向)に傾く。これにより、ピストンは圧縮行程および膨張行程の間に大きな首振りが生じる。その後の排気行程および吸気工程においてもピストンの首振りはわずかに繰り返される。
【0005】
とくに、ディーゼルエンジン用のピストンは、冠面の凹部(キャビティ)および冷却用のオイル流路(クーリングチャネル)が設けられることが多いので、ピンボスとピストン頂部の冠面までの高さが、ガソリンエンジン用のピストンよりも高く、ピンボスと質量重心との距離が大きくなりやすいため、ピストンの首振りが大きくなる。
【0006】
このようなピストンに生じる首振りは、機械抵抗の増加(およびそれによる燃費悪化)やエンジンの振動・騒音の増大をもたらす。そのため、起振源となるピストンの首振りを抑制することで振動・騒音を抑制する技術が求められる。
【0007】
なお、特許文献1には、ピストンの振動を抑制可能な減衰構造として、空間部に粒子状充填材を充填することで、ピストンに生じる振動を減衰させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-186722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のピストン構造では、ピストンの空間部に粒子状充填材を充填することでピストンに生じる振動を減衰させることはできるが、ピストンの首振り自体を抑制することは難しい。
【0010】
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、ピストンの軽量化を図るとともに、首振り挙動による振動・騒音の低減を図ることが可能なピストンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために本発明のピストンは、エンジンのシリンダ内を往復移動するピストンであって、コネクティングロッドを連結するためのピストンピンが挿入されるピンボスを有し、かつ、当該ピストン本体の内部に空間部が形成されたピストン本体と、 前記空間部の内部に移動可能に充填された粉粒体と、を備え、前記ピンボスの軸方向から見て、前記空間部は、前記ピストン本体の幅方向において前記ピンボスの上方を横切るとともに前記幅方向における一方の端部から他方の端部へ漸次拡張するような形状に形成されていることを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、ピストン本体に空間部が形成されていることによりピストンの軽量化を可能にする。しかも、この空間部は、ピンボスの軸方向から見てピストン本体の幅方向において空間部の一方の端部から他方の端部へ漸次拡張しているので、空間部の他方側(例えばピンボスの左側)の容積が一方側(例えばピンボスの右側)の容積より大きくなっている。これにより、空間部に充填された粉粒体は、ピストンの往復動で生じる粉粒体の慣性力により、粉粒体が空間部のうちの容積が大きい側に集まる。集まった粉粒体の慣性力がピストン本体に対して首振り方向とは逆方向に作用することで、ピストンの首振りを抑制することが可能である。その結果、ピストンの軽量化を図りながらピストンの首振り挙動による振動・騒音の低減を図ることが可能である。
【0013】
上記のピストンにおいて、前記ピンボスの軸方向から見て、前記他方の端部は、前記幅方向において、前記エンジンの圧縮行程において前記コネクティングロッドとクランクシャフトとを連結するクランクピンが存在する側に対応し、前記一方の端部は、前記幅方向において、当該クランクピンが存在する側の反対側に対応するのが好ましい。
【0014】
エンジンの圧縮行程において、コネクティングロッドとクランクシャフトとを連結するクランクピンが存在する側では、コネクティングロッドがピストンを押し上げる際にピストンにおける上記クランクピンが存在する側が押し上げられることによりピストンが傾く傾向がある。そこで、上記の構成では、容積の大きい空間部の他方の端部側の部分をクランクピンが存在する側に対応することにより、空間部における容積の大きい部分に集まった粉粒体の下向きの慣性力により、ピストンにおけるクランクピンが存在する側に対応する部分の圧縮行程時の上方への変位を抑制する。また、圧縮行程の後の膨張行程では、ピストンが下向きの膨張圧を受けたときに集まった粉粒体に上向きの慣性力が生じることにより、膨張行程時の上方への変位を抑制する。これにより、ピストンの首振りを効果的に抑制することが可能である。
【0015】
上記のピストンにおいて、前記空間部の前記他方の端部は、前記エンジンの排気側に対応し、前記空間部の前記一方の端部は、前記エンジンの吸気側に対応するのが好ましい。
【0016】
ピストンが往復動するエンジンでは、ピストンにおけるエンジンの排気側に対応する部分は、エンジンの圧縮行程時にピストンが上昇する際に吸気側に対応する部分よりも上方に変位してピストンの首振りを発生しやすい傾向がある。そこで、容積の大きい空間部の他方の端部側の部分をエンジンの排気側に対応することにより、空間部における容積の大きい部分に集まった粉粒体の慣性力により、ピストンにおける排気側に対応する部分の圧縮行程時の上方への変位を抑制し、ピストンの首振りを効果的に抑制することが可能である。
【0017】
上記のピストンにおいて、前記ピストン本体は、その内側において、前記空間部を形成する上面と下面とを有し、前記上面および下面のうちの少なくとも一つは、前記空間部が前記ピンボスの軸方向から見て、前記ピストン本体の幅方向において一方の端部から他方の端部へ漸次拡張するように前記ピストン本体の幅方向に対して傾斜しているのが好ましい。
【0018】
かかる構成では、ピストンの往復動の際に空間部の内部の粉粒体が傾斜した上面または下面に衝突するため、粒状体をピストンの首振りを抑制する側、すなわち空間部のうち容積が大きい側に集めることを促進することが可能である。これにより、ピストンの首振りを効果的に抑制することが可能である。
【0019】
上記のピストンにおいて、前記粉粒体の前記充填率は、前記空間部の容積に占める体積割合として、40~60%であるのが好ましい。
【0020】
かかる構成では、粉粒体が空間部の内部をピストンの幅方向および上下方向に円滑に移動することができるので、ピストンの首振りを効果的に抑制するとともにピストン本体の振動エネルギーを粉粒体の摩擦エネルギーに効率よく変換して振動減衰することが可能である。その結果、粉粒体はピストンの高い免振効果を発揮することが可能である。
【0021】
上記のピストンにおいて、前記ピストン本体は、その冠面において燃焼室の下部を形成する凹部を有するとともに当該ピストン本体の内部において前記凹部の近傍にオイル流路が形成されたディーゼルエンジン用のピストンの形状を有するのが好ましい。
【0022】
ピストン本体がディーゼルエンジン用のピストンの形状、すなわち、当該ピストン本体の冠面において燃焼室の下部を形成する凹部を有するとともに当該ピストン本体の内部において前記凹部の近傍にオイル流路が形成された形状では、ガソリンエンジン用ピストンと比較して、ピストン本体におけるピンボスよりも上側の部分がストローク方向に長くなり、ピストン本体の質量重心がピンボスの上方から離れる。そのため、ピストンの往復動の際にピストンの首振りがとくに生じやすい。しかし、上記の構造のピストン本体、すなわち、ピストン本体の空間部がピンボスの軸方向から見てピストン本体の幅方向において空間部の一方の端部から他方の端部へ漸次拡張したピストン本体をディーゼルエンジン用のピストンに適用すれば、粉粒体を空間部の他方の側に集めることにより、ピストンの首振りを効果的に抑制することが可能である。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明のピストンによれば、軽量化を図るとともに、首振り挙動による振動・騒音の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係るピストンを備えたディーゼルエンジンの断面図である。
図2図1のピストンを縦に切断した状態の斜視図である。
図3図2のピストンの縦断面図である。
図4図3の空間部の斜視図である。
図5】従来のピストン(ピストンヘッドが中実であるピストン)が往復動をしたときの首振り角度の変化を示す図であって、(I)はピストンの首振り角度とクランクアングルとの関係を示すグラフ、(II)は各クランクアングルにおけるピストンの首振り状態を模式的に示した図である。
図6】本実施形態のピストンにおける首振り抑制のメカニズムの説明図であって、(I)は従来のピストンの首振り角度とクランクアングルとの関係を示すグラフ、(II)は本実施形態のピストンの粉粒体の慣性力とクランクアングルとの関係を示すグラフ、(A)は圧縮行程時において粉粒体に下向きの慣性力が生じることを示す図、(B)は膨張行程時において粉粒体に上向きの慣性力が生じることを示す図である。
図7】従来のピストン(曲線C1に対応)と本実施形態のピストン(曲線C2に対応)のそれぞれの首振り角度とクランクアングルとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係るピストンについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
(1)エンジンの構成
図1は、本発明の実施形態に係るピストン5を備えたディーゼルエンジン1の断面図である。
【0027】
ディーゼルエンジン1は、図1の紙面に垂直な方向に並ぶ複数のシリンダ2(図1ではそのうちの一つのみを示す)を有し、軽油を主成分とする燃料の供給を受けて駆動されるエンジンである。ディーゼルエンジン1(以下エンジン1という)は、シリンダブロック3、シリンダヘッド4及びピストン5を備える。シリンダブロック3は、シリンダ2を形成するシリンダライナを有する。シリンダヘッド4は、シリンダブロック3の上面に取り付けられ、シリンダ2の上部開口を塞いでいる。ピストン5は、シリンダ2に往復摺動可能に収容されており、コネクティングロッド8(以下、コンロッド8)を介してクランクシャフト7と連結されている。クランクシャフト7の上端部は、ピストンピン16によりピストン5に揺動自在に連結されている。クランクシャフト7の下端部は、クランクシャフト7のクランクピン7bに揺動自在に連結されている。これにより、ピストン5の往復運動に応じて、クランクシャフト7はその出力軸7aを回転中心として回転することが可能である。ピストン5の構造については、後記で詳述する。
【0028】
ピストン5の上方には燃焼室6が形成されている。燃焼室6は、シリンダヘッド4の下面、シリンダ2およびピストン5の冠面5a2によって形成されている。
【0029】
シリンダヘッド4には、燃焼室6と連通する吸気ポート9及び排気ポート10が形成されている。シリンダヘッド4の下面には、吸気ポート9の下流端である吸気側開口と、排気ポート10の上流端である排気側開口とが形成されている。シリンダヘッド4には、前記吸気側開口を開閉する吸気弁11と、前記排気側開口を開閉する排気弁12とが組み付けられている。エンジン1のバルブ形式は、例えば、吸気2バルブ×排気2バルブの4バルブ形式であって、吸気ポート9及び排気ポート10は、各シリンダ2につき2つずつ設けられるとともに、吸気弁11及び排気弁12も2つずつ設けられている。
【0030】
シリンダヘッド4には、カムシャフトを含む吸気側動弁機構13及び排気側動弁機構14が配設されている。吸気弁11及び排気弁12は、これら動弁機構13、14により、クランクシャフト7の回転に連動して開閉駆動される。
【0031】
シリンダヘッド4には、先端部から燃焼室6内に燃料を噴射するインジェクタ15(燃料噴射弁)が、例えば各シリンダ2につき1つずつ取り付けられている。インジェクタ15は、図示しない燃料供給管を通して供給された燃料を燃焼室6に噴射する。インジェクタ15は、燃料を噴射する先端部が燃焼室6の径方向中心又はその近傍に位置するように、シリンダヘッド4に組み付けられ、ピストン5の冠面5a2に形成された後述の凹部5fに向けて燃料を噴射する。
【0032】
本実施形態のエンジン1は、ディーゼルエンジンであるので、ピストン5が上昇して燃焼室6内の空気が圧縮された状態でインジェクタ15から燃料を燃焼室6内に高圧で噴射することによって燃料を自着火により燃焼させ、その燃焼による膨張力を受けてピストン5が上下方向に往復動する。ピストン5の往復動に応じて、クランクシャフト7がその出力軸7aを回転中心として回転することにより、出力軸7aから回転駆動力が出力される。
【0033】
(2)ピストンの構造
図2図4は、ピストン5の具体的構造を示す図であり、図2は、図1のピストンを縦に切断した状態の斜視図、図3図2のピストンの縦断面図、図4図3の空間部の斜視図である。
【0034】
なお、図1~4では、上下方向Zはシリンダ2の中心軸の方向(シリンダ軸方向)およびピストン5の往復動方向と同義であり、前後方向Yはクランクシャフト7の軸方向と平行な方向であり、左右方向Xは上下方向Zおよび前後方向Yの双方に直交する方向のことであり、その一方側のX2を「右」、他方側のX1を「左」とする。図1~4では、左側X1は排気側(図1の排気ポート10がある側)、右側X2は吸気側(吸気ポート9がある側)としている。
【0035】
ピストン5は、図1に示されるように、エンジン1のシリンダ2内で所定の往復動方向(上下方向Z)に往復移動する部材である。
【0036】
ピストン5は、図2~3に示されるように、空間部5hを有するピストン本体50と、当該空間部5hに充填された粉粒体17とを備える。
【0037】
ピストン本体50は、コンロッド8との連結のためのピストンピン16が挿入されるピンボス部5dを有し、かつ、ピストン本体50の内部に空間部5hが形成された構成を有する。
【0038】
具体的には、ピストン本体50は、図2~3に示されるように、ピストンヘッド5aと、ピストンヘッド5aの外周から下方に延びる一対のスカート部5bとを有している。
【0039】
ピストンヘッド5aは、円柱状の部材であり、シリンダ2の側周面と摺接する外周面5a1と、燃焼室6の底面を形成する冠面5a2とを備える。冠面5a2は、ピストンヘッド5aの最上部の面(頂面)であり、当該冠面5a2には下方に凹む凹部5f(キャビティ)が形成されている。凹部5fは、燃焼室6の天井面に配置されたインジェクタ15から噴射された燃料を受けるための凹部であり、凹部5f中央には燃料を分散させる凸部5f1が上方に突出している。
【0040】
ピストンヘッド5aの外周面5a1には、ピストンリング(図示省略)が嵌め込まれる複数の(ここでは3つの)リング溝5eが形成されている。
【0041】
一対のスカート部5bは、その一方が右側X2(吸気側)に、他方が左側X1(排気側)に位置するように配置されている。各スカート部5bは、ピストン5が往復動する際にシリンダ2の側周面に摺接することが可能である。
【0042】
ピストンヘッド5aの下側であって両スカート部5bの間の部位には、前後一対の縦壁5cが設けられている。前側の縦壁5cは、両スカート部5bの前端どうしをつなぐように左右方向Xに延びる壁部であり、後側の縦壁5cは、両スカート部5bの後端どうしをつなぐように左右方向に延びる壁部である。
【0043】
一対の縦壁5cは、その左右方向Xの中間部にピンボス部5dを有している。各ピンボス部5dは、前後方向に貫通するピン孔5d1を規定する環状の壁部である。ピン孔5d1には、ピストン本体50とコンロッド8とを結合するために前後方向に延びるピストンピン16(図1)が挿入されて当該ピン孔5d1に嵌合している。
【0044】
ピストン本体50の空間部5hは、図2~4に示されるように、ピンボス部5dの軸方向(前後方向Y)から見て、ピストン本体50の幅方向(左右方向X)においてピンボス部5dの上方を横切るとともに当該空間部5hの一方(右側X2)の端部から他方(左側X1)の端部へ漸次拡張するような形状に形成されている。
【0045】
図3に示されるように、ピストン本体50は、その内側において、空間部5hを形成する上面5iと下面5jとを有する。
【0046】
ピンボス部5dの軸方向(前後方向Y)から見て、空間部5hは、ピストン本体50の幅方向(左右方向X)において一方(右側X2)の端部から他方(左側X1)の端部へ漸次拡張するように、上面5iおよび下面5jのうちの少なくとも一つ、本実施形態では、上面5iおよび下面5jの両方が、ピストン本体50の幅方向(左右方向X)に対して傾斜している。
【0047】
上面5iおよび下面5jの水平面Lに対する傾斜角度(勾配)θ1、θ2はそれぞれ1度前後(例えば0.5~1.5度の範囲内)に設定される。
【0048】
なお、上面5iのうち、後述のオイル流路5gに近い部分5i1は、後述のオイル流路5gを避けるために下方に折れ曲がっている。
【0049】
本実施形態では、空間部5hの容積が大きくなる他方側(左側X1)は、ピンボス部5dの軸方向(前後方向Y)から見て、ピストン5の幅方向(左右方向X)において、圧縮行程時(ピストン5が上昇する時)においてコンロッド8とクランクシャフト7とを連結するクランクピン7bが存在する側(ピン存在側)、言い換えれば、出力軸7aが時計回りのときのクランクピン7bが上昇する側に対応する。一方、空間部5hの容積が小さくなる一方側(右側X2)は、クランクピン7bが存在する側(ピン存在側)の反対側、言い換えれば、出力軸7aが時計回りのときのクランクピン7bが上昇する側に対して反対側に対応する。
【0050】
さらに、本実施形態の空間部5hの一方側(右側X2)の端部は、エンジン1の吸気側に対応する。空間部5hの他方側(左側X1)の端部は、エンジン1の排気側に対応する。したがって、空間部5hの容積が大きくなる他方側(左側X1)は、エンジン1の排気側(左側X1)に対応する。
【0051】
なお、図3に示されるように、本実施形態の空間部5hは、コンロッド8(図1参照)の上端部を通すための閉じた部分5h3と、後述する垂直流路5mを通すための閉じた部分5h4とが存在するが、本発明では必須の構成ではない。
【0052】
本実施形態のピストン本体50は、ディーゼルエンジン用のピストンの形状を有する。すなわち、ピストン本体50は、その冠面5a2において燃焼室6の下部を形成する凹部5fを有するとともに当該ピストン本体50の内部において凹部5fの近傍に油冷用のオイル流路5gを有する。図2~3に示されるオイル流路5gは、凹部5fの周囲を取り囲むようにリング状に形成されている。オイル流路5gには、ピストンヘッド5aの下側に開口する流入口5kおよび垂直流路5mを通して、ピストン5の下側から冷却用のオイルが供給される。
【0053】
ピストン本体50の空間部5hには、図2~3に示されるように、粉粒体17が配置されている。
【0054】
粉粒体17は、多数の微細な粒子の集合体である。粉粒体17は、空間部5hの内部で移動可能な充填率(すなわち、空間部5hを粉粒体17によって完全に塞がない程度の充填率)で空間部5hに充填されている。
【0055】
粉粒体17の充填率は、例えば、空間部5hの容積に占める体積割合として、40~60%であれば粉粒体17が空間部5hの内部をピストン5の幅方向(左右方向X)および上下方向Zに円滑に移動することができ、ピストン5の首振り抑制および粉粒体17による振動減衰の両立が可能である。
【0056】
粉粒体17としては、ピストン鋳造時およびエンジン使用時の熱に耐えられる程度の耐熱性を有するセラミックなどの無機材料または金属材料からなる粉体または粒体が選定される。粉粒体17の粒子の大きさおよび形状は、ピストン5の往復移動に伴って粉粒体17が空間部5hの内部で移動可能な条件を満たすように適宜選定される。
【0057】
(ピストンの首振り抑制についての説明)
図5は、従来のピストン105(ピストンヘッドが中実であるピストン)が往復動をしたときの首振り角度の変化を示す図であって、(I)はピストン105の首振り角度とクランクアングルとの関係を示すグラフ、(II)は各クランクアングルにおけるピストン105の首振り状態を模式的に示した図である。
【0058】
図5(I)、(II)に示されるように、従来のピストン105(すなわち、ピストンヘッドが中実であるピストン)は、エンジン1の圧縮行程では、ピンボス部5dの軸方向(前後方向Y)から見てピストン5幅方向(左右方向X)において片側(コンロッド8とクランクシャフト7とを連結するクランクピン7bが存在する左側X1)に寄ったコンロッド8がピストン5を押し上げる際にピストン5の左側X1が押し上げられることによりピストン5が図5(II)の時計回りの方向に傾く。一方、膨張行程では、圧縮行程において押し上げられたピストン5の左側X1の部分がシリンダ2の上部で生じる膨張圧によって押し下げられることにより、逆方向(反時計回りの方向)に傾く。これにより、ピストン5は圧縮行程および膨張行程の間に大きな首振りが生じる。その後の排気行程および吸気工程においてもピストン5の首振りはわずかに繰り返される。
【0059】
図5(I)、(II)を詳細に見れば、圧縮行程(クランクアングル(角度)θcが-180度付近~0度)では、首振り角度-0.15度程度の左肩上がりの状態(排気側が高くなる状態)で上昇するので、ピストンヘッドの外周面105a1がシリンダ2のシリンダライナ(内周面)に強く押し当てられる。そして、膨張行程(クランクアングル(角度)θcが0度~180度)では、ピストン105は、膨張圧を受けて、首振り角度0.15度程度の左肩下がりの状態(排気側が低くなる状態)となり、この状態で下降するので、この膨張行程時にも、ピストンヘッドの外周面105a1がシリンダ2のシリンダライナ(内周面)に強く押し当てられる。その後、排気行程および吸気行程においても、微小な首振りを繰り返す。以上のように、従来のピストン105では、ディーゼルエンジンの圧縮、膨張、排気、吸気の4行程のうち、圧縮および膨張行程において首振り角度が大きいので、機械抵抗が増加し燃費悪化の原因になるとともにエンジンの振動・騒音も大きくなる。
【0060】
そこで、本実施形態のピストン5では、上記のように、粉粒体17が充填された空間部5hがピンボス部5dの軸方向(前後方向Y)から見て一方側(吸気側に対応する右側X2)から他方側(排気側に対応する左側X1)に漸次拡張する形状にして、他方側(排気側に対応する左側X1)の部分5h1を一方側(吸気側に対応する右側X2)の部分5h2よりも大きくしている。
【0061】
図6は、本実施形態のピストンにおける首振り抑制のメカニズムの説明図であって、(I)は従来のピストンの首振り角度とクランクアングルとの関係を示すグラフ、(II)は本実施形態のピストンの粉粒体の慣性力とクランクアングルとの関係を示すグラフ、(A)は圧縮行程時において粉粒体に下向きの慣性力が生じることを示す図、(B)は膨張行程時において粉粒体に上向きの慣性力が生じることを示す図である。
【0062】
この本実施形態のピストン5の構成では、図6(II)に示されるように、本実施形態のピストン5の粉粒体17の慣性力がピストン本体50に対して首振り角度(図6(I)参照)を抑制する方向に作用する。すなわち、圧縮行程時では、図6(A)に示されるように、空間部5h内部の粉粒体17は、空間部5h内部にピストン幅方向Xに分散していた状態から、ピストン5の上昇時に下面5jに沿って左側X1に寄っていき、左側X1の容積が大きい部分5h1に集まった状態で下面5jに押し付けられる。これにより、圧縮行程では、集まった粉粒体17に下向きの慣性力F1が生じ、この慣性力F1がピストン5の左肩上がりを抑制する方向に作用する。一方、膨張行程時では、図6(B)に示されるように、ピストン5の下降時に容積が大きい部分5h1に集まった粉粒体17が上面5iに押し付けられる。これにより、膨張行程では、粉粒体17に上向きの慣性力F2が生じる。この慣性力F2がピストン5の左肩下がりを抑制する方向に作用する。
【0063】
図7は、従来のピストン(曲線C1に対応)と本実施形態のピストン(曲線C2に対応)のそれぞれの首振り角度とクランクアングルとの関係を示すグラフである。
【0064】
本実施形態のピストン5では、圧縮行程時におよび膨張行程時において、上記のように空間部5hにおける容積が大きい部分5h1に集まった粉粒体17の慣性力により、図7の曲線C2のように首振り角度θsの変化を、従来のピストン105の場合(曲線C1)よりも抑制することが可能である。すなわち、図7の曲線C2と曲線C1とを比較した場合、曲線C2は、圧縮行程では首振り角度θsを-0.15度から-0.1度程度まで抑えている。また、膨張行程においても、首振り角度θsを0.15度から0.1度程度まで抑えている。
【0065】
また、膨張行程の後の排気行程および吸気工程では、圧縮行程および膨張行程ほどピストン5は激しく首振りをせずに緩やかに首振りしているので、粉粒体17は、空間部5h内部で水平方向になだらかに分散し平坦に広がり、分散した粉粒体17によって排気行程および吸気工程における緩やかな首振りも抑えることが可能である。
【0066】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態のピストン5は、エンジン1のシリンダ2内で所定の往復動方向に往復移動するピストン5であって、コンロッド8を連結するためのピストンピン16が挿入されるピンボス部5dを有するピストン本体50であって、当該ピストン本体50の内部に空間部5hが形成されたピストン本体50と、空間部5hの内部で移動可能に充填された粉粒体17とを備える。空間部5hは、ピンボス部5dの軸方向(前後方向Y)から見て、ピストン本体50の幅方向(左右方向X)においてピンボス部5dの上方を横切るとともに当該空間部5hの一方(左側X1)の端部から他方(右側X2)の端部へ漸次拡張するような形状に形成されている。
【0067】
かかる構成によれば、ピストン本体50に空間部5hが形成されていることによりピストン5の軽量化を可能にする。しかも、この空間部5hは、ピンボス部5dの軸方向(前後方向Y)から見てピストン本体50の幅方向(左右方向X)において空間部5hの一方(左側X1)の端部から他方(右側X2)の端部へ漸次拡張しているので、空間部5hの一方側(左側X1)の部分5h1の容積が他方側(右側X2)の部分5h2の容積より大きくなっている。これにより、空間部5hに充填された粉粒体17は、ピストン5の往復動で生じる粉粒体17の慣性力により、粉粒体17が空間部5hのうちの容積が大きい側の部分5h1に集まる。集まった粉粒体17の慣性力がピストン本体50に対して首振り方向とは逆方向に作用することで、ピストン5の首振りを抑制することが可能である。その結果、ピストン5の軽量化を図りながらピストン5の首振り挙動による振動・騒音の低減を図ることが可能である。
【0068】
(2)
本実施形態のピストン5では、ピンボス部5dの軸方向(前後方向Y)から見て、空間部5hの他方側(左側X1)の端部は、ピストン5の幅方向Xにおいて、エンジン1の圧縮行程においてコンロッド8とクランクシャフト7とを連結するクランクピン7bが存在する側に対応する。一方、空間部5hの一方側(右側X2)の端部は、幅方向X において、当該クランクピン7bが存在する側の反対側に対応する。
【0069】
エンジン1の圧縮行程において、コンロッド8とクランクシャフト7とを連結するクランクピン7bが存在する側(左側X1)では、コンロッド8がピストン5を押し上げる際にピストン5における上記クランクピン7bが存在する側(左側X1)が押し上げられることによりピストン5が左肩上がりで傾く傾向がある。そこで、上記の構成では、容積の大きい空間部5hの他方の端部側(左側X1)の部分5h1をクランクピン7bが存在する側(左側X1)に対応することにより、空間部5hにおける容積の大きい部分5h1に集まった粉粒体17の下向きの慣性力により、ピストン5におけるクランクピン7bが存在する側(左側X1)に対応する部分の圧縮行程時の上方への変位を抑制する。
【0070】
また、この構成では、圧縮行程の後の膨張行程では、ピストン5が下向きの膨張圧を受けたときに上記の圧縮行程のときに空間部5hにおける容積の大きい部分5h1に集まった粉粒体17に上向きの慣性力が発生することにより、ピストン5におけるクランクピン7bが存在する側(左側X1)に対応する部分の圧縮行程時の下方への変位を抑制する。その結果、ピストン5の首振りを効果的に抑制することが可能である。
【0071】
(3)
本実施形態のピストン5では、空間部5hの一方側(左側X1)の端部は、エンジン1の排気側に対応する。また、空間部5hの他方側(右側X2)の端部は、エンジン1の吸気側に対応する。
【0072】
ピストン5が往復動するエンジン1では、ピストン5におけるエンジン1の排気側(左側X1)に対応する部分は、エンジン1の圧縮行程時にピストン5が上昇する際に吸気側(右側X2)に対応する部分よりも上方に変位してピストン5の首振りを発生しやすい傾向がある。そこで、容積の大きい空間部5hの一方側(左側X1)の部分5h1がエンジン1の排気側に対応することにより、空間部5hにおける容積の大きい部分5h1に集まった粉粒体17の慣性力により、ピストン5における排気側に対応する左側X1の部分の圧縮行程時の上方への変位を抑制し、ピストン5の首振りを効果的に抑制することが可能である。
【0073】
(4)
本実施形態のピストン5では、ピストン本体50は、その内側において、空間部5hを形成する上面5iと下面5jとを有する。上面5iおよび下面5jのうちの少なくとも一つは、空間部5hがピンボス部5dの軸方向(前後方向Y)から見て、ピストン本体50の幅方向(左右方向X)において一方(左側X1)の端部から他方(右側X2)の端部へ漸次拡張するようにピストン本体50の幅方向(左右方向X)に対して傾斜している。
【0074】
かかる構成では、ピストン5の往復動の際に空間部5hの内部の粉粒体17が傾斜した上面5iまたは下面5jに衝突するため、粒状体をピストン5の首振りを抑制する側、すなわち空間部5hのうち容積が大きい左側X1の部分5h1に集めることを促進することが可能である。これにより、ピストン5の首振りを効果的に抑制することが可能である。なお、上面5iおよび下面5jのうち少なくとも1つが傾斜していればよいので、上面5iまたは下面5jのいずれか1つが傾斜している構成、または上面5iまたは下面5jの両方が傾斜している構成であればよい。
【0075】
(5)
本実施形態のピストン5では、粉粒体17の充填率は、空間部5hの容積に占める体積割合として、40~60%である。
【0076】
かかる構成では、粉粒体17が空間部5hの内部をピストン5の幅方向(左右方向X)および上下方向Zに円滑に移動することができるので、ピストン5の首振りを効果的に抑制するとともにピストン本体50の振動エネルギーを粉粒体17の摩擦エネルギーに効率よく変換して振動減衰することが可能である。その結果、粉粒体17はピストン5の高い免振効果を発揮することが可能である。
【0077】
(6)
本実施形態のピストン5では、ピストン本体50は、その冠面5a2において燃焼室6の下部を形成する凹部5fを有するとともに当該ピストン本体50の内部において凹部5fの近傍にオイル流路5gが形成されたディーゼルエンジン用のピストンの形状を有する。
【0078】
ピストン本体50がディーゼルエンジン用のピストンの形状、すなわち、当該ピストン本体50の冠面5a2において燃焼室6の下部を形成する凹部5fを有するとともに当該ピストン本体50の内部において凹部5fの近傍にオイル流路5gが形成された形状では、ガソリンエンジン用ピストンと比較して、ピストン本体50におけるピンボス部5dよりも上側の部分がストローク方向に長くなり、ピストン本体50の質量重心がピンボス部5dの上方から離れる。そのため、ピストン5の往復動の際にピストン5の首振りがとくに生じやすい。しかし、上記の構造のピストン本体50、すなわち、ピストン本体50の空間部5hがピンボス部5dの軸方向(前後方向Y)から見てピストン本体50の幅方向(左右方向X)において空間部5hの一方側(左側X1)の端部から他方側(右側X2)の端部へ漸次拡張したピストン本体50をディーゼルエンジン用のピストンに適用すれば、粉粒体17を空間部5hの一方側(左側X1)に集めることにより、ピストン5の首振りを効果的に抑制することが可能である。
【0079】
(変形例)
上記実施形態では、本発明のピストンの一例としてディーゼルエンジン用のピストンを例に挙げて説明しているが、本発明はこれ限定されるものではなく、ピストンが往復動するレシプロエンジンであれば本発明のピストンを広く適用することが可能である。したがって、本発明のピストンはレシプロエンジンであればスパーク着火式のガソリンエンジンなどにも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 ディーゼルエンジン(エンジン)
2 シリンダ
5 ピストン
5a ピストンヘッド
5a2 冠面
5d ピンボス部
5d1 ピン孔
5h 空間部
5h1 他方側の容量が大きい部分
5h2 一方側の容量が大きい部分
5i 上面
5j 下面
6 燃焼室
7 クランクシャフト
8 コネクティングロッド
16 ピストンピン
17 粉粒体
50 ピストン本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7