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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083836
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】自動分析装置及び異常検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20240617BHJP
   G01N 35/10 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
G01N35/00 F
G01N35/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197884
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】小島 秀仁
(72)【発明者】
【氏名】藤原 貴文
(72)【発明者】
【氏名】金原 健
(72)【発明者】
【氏名】山形 佳史
(72)【発明者】
【氏名】蔵野 智昭
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058GB04
2G058GB05
2G058GE10
(57)【要約】
【課題】液体の吸引量及び吐出量から、反応管内の高さを算出し、液体を反応管内に分注される分注動作について異常を検出することである。
【解決手段】自動分析装置は、液面高さ算出部及び異常検出部を備える。液面高さ算出部は、反応管に分注する液体の予定される分注量に基づいて、前記反応管内の液面高さを算出する。異常検出部は、反応管内の測定された液面高さと、前記反応管内の算出された前記液面高さと、に基づいて、前記反応管に分注される分注動作に異常があるか否かを検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応管に分注する液体の予定される分注量に基づいて、前記反応管内の液面高さを算出する液面高さ算出部と、
前記反応管内の測定された液面高さと、前記反応管内の算出された前記液面高さと、に基づいて、前記反応管に分注される分注動作に異常があるか否かを検出する異常検出部と、
を備える自動分析装置。
【請求項2】
前記異常検出部は、前記反応管内の測定された液面高さと、前記反応管内の算出された前記液面高さと、が一致しない場合、前記分注動作に異常があると検出する、
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記分注された反応管内の液面は、試薬を分注する試薬分注プローブに備える検知器が、前記分注された反応管内の液面と近接、または、接触したときの静電容量の変化により、当該液面を検知される、
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記異常検出部が、前記分注動作に異常があると検出すると、前記分注動作が異常であることを報知する報知部と、
を備える、請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項5】
自動分析装置で実行される異常検出方法であって、
反応管に分注する液体の予定される分注量に基づいて、前記反応管内の液面高さを算出する液面高さ算出ステップと、
前記反応管内の測定された液面高さと、前記反応管内の算出された前記液面高さと、に基づいて、前記反応管に分注される分注動作に異常があるか否かを検出する異常検出ステップと、
を含む異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、自動分析装置及び異常検出方法に関する。
【0002】
自動分析装置は、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料(以下、単に試料という)を反応管に分注し、試薬庫に格納された試薬ボトル内の試薬を、反応管に分注し、反応管内の試料と試薬との混合液を測定する。また、試料/試薬の分注では、試料/試薬を吸引するプローブと、分注シリンジの間の流路に圧力計を設けて、固形異物等の吸引によるプローブ詰まり検知や、気泡等による吸引異常の検知を行っている。
【0003】
ところが、圧力計による圧力検知の構造では、試料/試薬が適切な量を吸引できたか否かを検知することはできるが、試料/試薬を吐出しているか否かを判定できない。例えば、試料/試薬を反応管に分注する際、反応管内の飛び散りによって、反応管内壁に試料若しくは試薬が付着する可能性がある。この場合、試料若しくは試薬の量が不足していることから、試料と試薬の反応が不十分となり分析精度への影響が懸念され、更なる改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-27309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、液体の吸引量及び吐出量から、反応管内の高さを算出し、液体を反応管内に分注される分注動作について異常を検出することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る自動分析装置は、液面高さ算出部及び異常検出部を備える。液面高さ算出部は、反応管に分注する液体の予定される分注量に基づいて、前記反応管内の液面高さを算出する。異常検出部は、反応管内の測定された液面高さと、前記反応管内の算出された前記液面高さと、に基づいて、前記反応管に分注される分注動作に異常があるか否かを検出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る分析装置の構成の一例を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る自動分析装置が分注動作を異常検出する場合の一例を示す模式図である。
図4図4は、実施形態に係る自動分析装置の処理内容の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に関する自動分析装置について説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作を行うものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0009】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る自動分析装置100の構成の一例を示すブロック図である。自動分析装置100は、分析装置30及び処理装置40を備える。なお、図1に示す構成は、一例であり、自動分析装置100の構成はこれに限定されない。
【0010】
分析装置30は、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料(以下、単に試料という)を反応管に分注し、試薬庫に格納された試薬ボトル内の試薬を、反応管に分注し、反応管内の試料と試薬との混合液を測定する装置である。
【0011】
ここで、図2を用いて分析装置30の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る分析装置30の斜視図である。分析装置30は、試料の項目や、この項目の希釈液に対して選択的に反応する試薬が入った試薬容器7と、この試薬容器7を収納する試薬ラック1、試薬の入った試薬容器7を収納した試薬ラック1を収納する試薬庫3、円周上に複数の反応管4を配置した反応ディスク5及び試料や希釈液を納める試料容器17をセットするディスクサンプラ6を備える。分析装置30は、1サイクル毎に、試薬庫3及びディスクサンプラ6は夫々回動し、反応ディスク5は回転して、処理回路80の分析制御機能82により制御された位置に停止する。
【0012】
次に、プローブに関して述べる。なお、本実施形態の分析装置30は、試薬分注プローブ15及びサンプル分注プローブ16を有する。なお、後述において、「プローブ」と記載する場合は、それら二種類のプローブを総じていることを意味している。試薬分注プローブ15は、1サイクル毎に、試薬庫3の試薬吸引位置の試薬容器7から試薬を吸引した後、試薬分注位置に停止した反応管4に分注する。また、試薬分注プローブ15は、回動及び上下動可能に保持する試薬分注アーム9を備える。
【0013】
さらに、試薬分注プローブ15は、分注した反応管4の液面を検知する検知器151を備える。具体的には、検知器151は、試薬分注プローブ15と電気的に接続され、試薬分注プローブ15に備える。検知器151は、反応管内の液面と近接、または、接触したときの静電容量の変化により、当該液面を検知する。検知器151は、検知した結果(反応管内の測定された液面高さ)を処理回路80に出力する。
【0014】
サンプル分注プローブ16は、処理回路80の分析制御機能82に制御された位置にある、ディスクサンプラ6の試料容器17から試料或いは希釈液を吸引した後、試料分注位置に停止した反応管4に分注する。サンプル分注プローブ16は、回動及び上下動可能に保持するサンプル分注アーム10を備える。
【0015】
また、分析装置30は、1サイクル毎に、撹拌位置に停止した反応管4内における試料と試薬との混合液や、希釈液と試薬等との混合液を撹拌する撹拌ユニット11と、この混合液を含む反応管4を測光位置から測定する測光ユニット13と、洗浄・乾燥位置に停止した反応管4内の測定を終えた混合液を吸引すると共に、反応管4内を洗浄・乾燥する洗浄ユニット12と、を備えている。
【0016】
測光ユニット13は、回転移動する反応管4に測光位置から光を照射して混合液の吸光度変化を測定し、その測定から得られた試料或いは希釈液の分析信号或いはキャリブレーション信号を処理回路80の分析データ処理機能81に出力する。その後、混合液の測定を終了して洗浄・乾燥された反応管4は、再び測定に使用される。
【0017】
分析装置30は、試薬庫3及びディスクサンプラ6の夫々回動、反応ディスク5の回転、試薬分注アーム9、サンプル分注アーム10及び撹拌ユニット11の夫々回動及び上下動、洗浄ユニット12の上下動等を行う機構を備える。また、分析装置30は、サンプル分注プローブ16から試料及び希釈液を吸引及び吐出させるための分注ポンプ、試薬分注プローブ14から試薬を吸引及び吐出させるための試薬ポンプ、洗浄ユニット12から反応管4内洗浄用の洗浄液を供給及び吸引させるための洗浄ポンプ及び反応管4内を乾燥させるための乾燥ポンプなどの各種ポンプを備える。さらに、分析装置30は、撹拌ユニット11を撹拌駆動する機構を備える。
【0018】
図1に戻る。処理装置40は、出力装置50、入力装置60、記憶回路70及び処理回路80を備える。なお、処理装置40の構成は、これに限定されない。
【0019】
出力装置50は、処理回路80に接続され、後述する処理回路80の分析データ処理機能81から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データなどを印刷出力する。出力装置50は、出力部の一例である。例えば、出力装置50は、プリンタ等を備え、処理回路80の分析データ処理機能81から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データなどを予め設定されたフォーマットに基づいて、プリンタ用紙に印刷出力する。
【0020】
また、出力装置50は、処理回路80の分析データ処理機能81から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データ等を出力する。例えば、出力装置50は、CRTや液晶パネル等のディスプレイを備え、処理回路80の分析データ処理機能81から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データ等を出力する。また、出力装置50は、処理回路80の分析制御機能82から指示された分析条件を設定するための画面を出力する。
【0021】
さらに、出力装置50は、処理回路80の報知機能85が報知する反応管4が異常であることを出力する。また、出力装置50は、分析データなどを外部の情報システム(図示せず)等にネットワークを介して、外部出力(オンライン出力)する。出力装置50は、表示出力した表示出力結果や外部出力した外部出力を記憶回路70に記憶させる。
【0022】
入力装置60は、処理回路80に接続され、ユーザが入力操作する装置である。入力装置60は、入力部の一例である。例えば、入力装置60は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネル等の装置である。入力装置60は、ユーザにより、分析条件の設定、被検体の被検体IDや被検体名等の被検体情報の入力、被検体の試料毎の測定項目の選択、各項目のキャリブレーション操作、試料分析操作等の様々な操作が入力される。入力装置60は、入力された入力結果を記憶回路70に記憶させる。
【0023】
記憶回路70は、処理回路80に接続され、各種データを記憶する。記憶回路70は、記憶部の一例である。例えば、記憶回路70は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。記憶回路70は、処理回路80の分析データ処理機能81から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データ等を試料毎に記憶する。また、記憶回路70は、処理回路80の分析制御機能82から指示された分析条件を記憶する。
【0024】
さらに、記憶回路70は、処理回路80の液面高さ算出機能83が算出した理論上の液面高さ及び実際の液面高さを記憶する。記憶回路70は、処理回路80の異常検出機能84が検出した結果を記憶する。また、記憶回路70は、処理回路80の報知機能85が報知する反応管4が異常であることを記憶する。さらに、記憶回路70は、処理回路80が読み出して実行することで各種機能を実現するための種々のプログラムを記憶する。
【0025】
処理回路80は、分析装置30及び処理装置40全体の動作を制御する。処理回路80は、例えば、分析データ処理機能81、分析制御機能82、液面高さ算出機能83、異常検出機能84及び報知機能85を備える。実施形態では、分析データ処理機能81、分析制御機能82、液面高さ算出機能83、異常検出機能84及び報知機能85にて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路70へ記憶されている。
【0026】
処理回路80は、プログラムを記憶回路70から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路80は、図1の処理回路80内に示された各機能を有することになる。
【0027】
なお、図1においては単一のプロセッサにて、分析データ処理機能81、分析制御機能82、液面高さ算出機能83、異常検出機能84及び報知機能85を実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路80を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0028】
また、図1においては、記憶回路70等の単一の記憶回路が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路80は、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0029】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD),及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
【0030】
プロセッサは、記憶回路70に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路70にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0031】
分析データ処理機能81は、分析装置30から出力されたキャリブレーション信号、分析信号等からキャリブレーションテーブルの作成、分析データの算出等を行う。分析データ処理機能81は、分析データ処理部の一例である。例えば、分析データ処理機能81は、分析装置30から出力された各項目のキャリブレーション信号から各項目のキャリブレーションテーブルを作成して出力装置50に出力する。
【0032】
また、分析データ処理機能81は、分析装置30から出力された各項目の分析信号に対して、その分析信号の項目に対応したキャリブレーションテーブルを記憶回路70から読み出した後、このキャリブレーションテーブルを用いて分析データを算出して出力装置50に出力する。さらに、分析データ処理機能81は、出力装置50に出力した結果を記憶回路70に記憶させる。
【0033】
分析制御機能82は、入力装置60により入力されたユーザのコマンド信号、分析条件、被検体情報、試料毎の測定項目等の分析情報に基づいて、分析装置30を構成する各ユニットを一定サイクルの所定のシーケンスで動作させる制御、或いはキャリブレーションテーブルの作成、分析データの算出と出力に関する制御等、自動分析装置100全体の制御を行う。
【0034】
液面高さ算出機能83は、反応管内の液面高さを算出する。液面高さ算出機能83は、液面高さ算出部の一例である。液面高さ算出機能83は、反応管4に分注する液体の予定される分注量に基づいて、反応管内の液面高さを算出する。例えば、液面高さ算出機能83は、プローブが反応管4に試薬及び試料を分注した後、プローブが反応管4に分注する試料及び試薬の予定される分注量に基づいて、反応管内の液面高さを算出する。
【0035】
異常検出機能84は、分注動作に異常があるか否かを検出する。異常検出機能84は、異常検出部の一例である。異常検出機能84は、反応管内の測定された液面高さと、反応管内の算出された液面高さと、に基づいて、反応管4に分注される分注動作に異常があるか否かを検出する。例えば、異常検出機能84は、検知器151により測定された試料及び試薬が分注された反応管内の底面から液面までの高さを示す液面高さと、液面高さ算出機能83により、算出された反応管4の底面から液面までの液面高さと、に基づいて、測定された液面高さが算出された液面高さと一致するか否かを判定する。
【0036】
また、例えば、異常検出機能84は、測定された液面高さが算出された液面高さと一致する場合、分注動作に異常がないと検出する。一方で、異常検出機能84は、測定された液面高さが算出された液面高さと一致しない場合、分注動作に異常があると検出する。また、異常検出機能84は、検出した検出結果を記憶回路70に記憶させる。
【0037】
ここで、図3を用いて、分注動作に異常がある状態について説明する。図3は、実施形態に係る自動分析装置100が分注動作を異常検出する場合の一例を示す模式図である。なお、図3(a)は、サンプル分注プローブ16が反応管4に試料Aを分注する状態を示す。図3(b)は、試薬分注プローブ15が試料Aを分注された反応管4に試薬Bを分注する状態を示す。図3(c)は、試薬分注プローブ15に備える検知器151が反応管4の液面を検知する状態を示す。
【0038】
図3(c)に示すように、反応管4の内部の壁面に試薬Bの飛び散りCが付着している。試料A及び試薬Bが分注された反応管4の液面高さは、反応管4の内部の壁面に飛び散りCが存在している。そのため、反応管4にある試薬Bが不足しており、測定された液面高さと、算出された液面高さHと比較すると、低くなる。測定された液面高さは、算出された液面高さHに達していないため、試料Aと試薬Bの反応が不十分となり分析精度への影響が懸念されるので、分注動作に異常がある状態といえる。
【0039】
なお、図3において、分注動作に異常がある状態は、反応管4の内部壁面に試薬Bの飛び散りCが付着している状態について説明したが、これに限定されない。例えば、反応管4を洗浄液で洗浄ポンプにより洗浄し、その後、乾燥ポンプが反応管4の内部を乾燥させ、反応管4の内部が十分乾燥されていない場合、洗浄液が反応管4の内部に残存している場合がある。
【0040】
プローブが試料A及び試薬Bを洗浄液が残存している反応管4に分注すると、測定された液面高さは、算出された液面高さよりも高くなる。測定された液面高さは、算出された液面高さHを超え、洗浄液が残存していることで、試料と試薬の混合液が希釈されており、試料と試薬の反応が不十分となり分析精度への影響が懸念されるので、分注動作に異常がある状態といえる。
【0041】
図1に戻る。報知機能85は、分注動作が異常であることを報知する。報知機能85は、報知部の一例である。報知機能85は、異常検出機能84により、分注動作に異常がある状態であると検出されると、出力装置50に対して、分注動作が異常であることを報知する。
【0042】
図4は、自動分析装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下においては、説明を具体的にするため、プローブが反応管4に試薬及び試料を分注した後に、フローが開始するものとする。
【0043】
処理回路80の液面高さ算出機能83は、プローブが分注した試薬及び試料の分注量に基づいて、反応管内の液面高さを算出する(ステップS101)。続いて、試薬分注プローブ15は、反応管4の内部に下降する(ステップS102)。続いて、試薬分注プローブ15に備える検知器151は、反応管内の液面と近接、または、接触したときの静電容量の変化により、当該液面を検知する(ステップS103)。
【0044】
処理回路80の異常検出機能84は、試薬分注プローブ15が備える検知器151により、出力される検知結果(測定された液面高さ)と、液面高さ算出機能83により、算出された算出された液面高さと、に基づいて、反応管4に分注される分注動作に異常があるか否かを検出する。(ステップS104)。ここで、処理回路80の異常検出機能84が、測定された液面高さが算出された液面高さと一致すると判定し、分注動作に異常がないと検出する(ステップS104:No)と、ステップS106へ進む。
【0045】
一方で、処理回路80の異常検出機能84が、測定された液面高さが算出された液面高さと一致しないと判定し、分注動作に異常があると検出する(ステップS104:Yes)と、ステップS105へ進む。ステップS105において、処理回路80の報知機能85は、出力装置50に対して、分注動作が異常であることを報知する(ステップS105)。続いて、試薬分注プローブ15は、反応管4の内部を上昇する(ステップS106)。ステップS106の処理が終了すると、本処理は終了する。本処理が終了した後、撹拌ユニット11により、反応管4が撹拌される。
【0046】
以上のように、実施形態に係る自動分析装置100は、反応管4に分注する液体の予定される分注量に基づいて、反応管内の液面高さを算出し、反応管内の測定された液面高さと、反応管内の算出された前記液面高さと、に基づいて、反応管4に分注される分注動作に異常があるか否かを検出する。
【0047】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、例えば、試料及び試薬を反応管4に分注する際、反応管内の飛び散りによって、反応管内壁に試料若しくは試薬が付着する可能性がある場合、ユーザは、試料若しくは試薬の量が不足していることを把握することができる。これにより、ユーザは、試料及び試薬が分注された反応管4の分析精度への影響を事前に把握することができる。
【0048】
(変形例1)
上記実施形態においては、試料及び試薬が分注された反応管内の液面は、試薬を分注する試薬分注プローブ15に備える検知器151が、分注された反応管内の液面と近接、または、接触したときの静電容量の変化により、当該液面を検知される形態を例として説明した。これに対し、変形例1では、試料及び試薬が分注された反応管内の液面は、液面高さを検知する液面高さ検知プローブを分析装置30に備える形態でも良い。液面高さ検知プローブは、分注された反応管内の液面と近接、または、接触したときの静電容量の変化により、当該液面を検知する。
【0049】
(変形例2)
上記実施形態においては、試料及び試薬が分注された反応管内の液面は、試薬を分注する試薬分注プローブ15に備える検知器151が、分注された反応管内の液面と近接、または、接触したときの静電容量の変化により、当該液面を検知される形態を例として説明した。これに対し、変形例2では、希釈液を分注する場合、試料及び希釈液が分注された反応管内の液面は、サンプル分注プローブ16に液面高さを検知する検知器を備える形態でもよい。サンプル分注プローブ16は、分注された反応管内の液面と近接、または、接触したときの静電容量の変化により、当該液面を検知する。
【0050】
(変形例3)
上記実施形態においては、分析装置30は、試薬分注プローブ15が1つである形態について説明した。これに対し、変形例2では、試薬分注プローブ15が、複数備える形態でも良い。例えば、試薬分注プローブ15が2つ(第1試薬及び第2試薬)ある場合、試料、第1試薬及び第2試薬が分注された反応管内の液面高さの検知タイミングは、試料及び第1試薬が分注された反応管4に第2試薬を分注した後に、試料、第1試薬及び第2試薬が分注された反応管内の液面を検知する。
【0051】
すなわち、試薬分注プローブ15が複数備える形態の場合、撹拌ユニット11による撹拌する前に、試料及び複数の試薬が分注された反応管内の液面を検知する。これにより、例えば、試料及び複数の試薬を反応管4に分注し、反応管内の飛び散りがある場合、ユーザは、試料及び複数の試薬が分注された反応管4の分析精度への影響を事前に把握することができる。
【0052】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0053】
4 反応管
15 試薬分注プローブ
16 サンプル分注プローブ
30 分析装置
40 処理装置
50 出力装置
60 入力装置
70 記憶回路
80 処理回路
81 分析データ処理機能
82 分析制御機能
83 液面高さ算出機能
84 異常検出機能
85 報知機能
151 検知器
図1
図2
図3
図4