(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083876
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】ランバーサポート及びクッション
(51)【国際特許分類】
A47C 27/00 20060101AFI20240617BHJP
A47C 7/42 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
A47C27/00 N
A47C7/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197942
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】西川 康行
(72)【発明者】
【氏名】野々村 琢人
(72)【発明者】
【氏名】和田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】茂木 秀暁
(72)【発明者】
【氏名】福崎 広
(72)【発明者】
【氏名】池田 奨
(72)【発明者】
【氏名】青木 真理
【テーマコード(参考)】
3B084
3B096
【Fターム(参考)】
3B084FA01
3B096AA04
3B096AB05
(57)【要約】
【課題】使用者の背中及び腰をしっかり支えて使用者の姿勢を良好にできるランバーサポート及びクッションを提供する。
【解決手段】一実施形態に係るランバーサポートは、柔軟性素材によって構成されたランバーサポート20である。ランバーサポート20は、使用者の腰椎を後方から支える腰椎支持部21と、腰椎支持部21に腰椎が支持されている使用者から見て使用者の左右両側に位置する一対の側部23と、腰椎支持部21から一対の側部23のそれぞれまで延びる一対の接続部22と、を備える。一対の接続部22のそれぞれは、腰椎支持部21に腰椎が支持されている使用者から見て腰椎支持部21から斜め後方に延在すると共に平面視において板状を呈する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性素材によって構成されたランバーサポートであって、
使用者の腰椎を後方から支える腰椎支持部と、
前記腰椎支持部に前記腰椎が支持されている前記使用者から見て前記使用者の左右両側に位置する一対の側部と、
前記腰椎支持部から一対の前記側部のそれぞれまで延びる一対の接続部と、
を備え、
一対の前記接続部のそれぞれは、前記腰椎支持部に前記腰椎が支持されている前記使用者から見て前記腰椎支持部から斜め後方に延在すると共に平面視において板状を呈する、
ランバーサポート。
【請求項2】
一対の前記側部のそれぞれは、前記使用者に対向する内側面と、前記内側面から突出しており且つ前記使用者の腸骨を支持する腸骨支持部を有する、
請求項1に記載のランバーサポート。
【請求項3】
前記腰椎支持部は、前記使用者の背中に向かって突出する突出部と、前記突出部から窪むと共に前記使用者の身体の高さ方向に沿って延在する第1凹部と、を有する、
請求項1又は2に記載のランバーサポート。
【請求項4】
一対の前記側部のそれぞれは、前記腰椎支持部と一対の前記腸骨支持部のそれぞれとの間の位置で前記内側面から突出しており、且つ前記使用者の肋骨の下部を支持する肋骨支持部を有する、
請求項2に記載のランバーサポート。
【請求項5】
柔軟性素材によって構成されたランバーサポートであって、
使用者の腰椎を後方から支える腰椎支持部と、
前記腰椎支持部に前記腰椎が支持されている前記使用者から見て前記使用者の左右両側に位置する一対の側部と、
前記腰椎支持部から一対の側部のそれぞれまで延びる一対の接続部と、
を備え、
一対の側部のそれぞれは、前記使用者に対向する内側面と、前記内側面から突出しており且つ前記使用者の腸骨を支持する腸骨支持部と、前記腸骨支持部から窪む第2凹部と、を有する、
ランバーサポート。
【請求項6】
請求項1又は5に記載のランバーサポートと、
前記ランバーサポートの下部に位置しており、且つ前記使用者が着座する着座部を有するクッション部と、
を備えた、
クッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用者の身体が当てられるランバーサポート及びクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ランバークッションが記載されている。ランバークッションは、理美容用椅子の背もたれと座部との間に配置される。ランバークッションは、背もたれに沿って着座者の身長方向に移動することができる背面側形状を有する。ランバークッションは、背もたれに着座者の背中が当接したときに着座者の腰部側方に当接して支持するように湾曲している。すなわち、このランバークッションは、着座者の背中が当接する当接部と、当接部から左右方向且つ斜め前方に曲げられた一対の腰部支持部とを有する。当接部及び一対の腰部支持部のそれぞれは平坦状とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、椅子等に着座するときには、着座したときにおける姿勢を正しく維持することが求められる。しかしながら、前述したランバークッションでは、当接部及び一対の腰部支持部のそれぞれが平坦状とされているので、ランバークッションの使用者の背中及び腰をしっかりと支えられない懸念がある。よって、使用者の背中及び腰をしっかり支えて使用者の姿勢を良好にできることが求められる。
【0005】
本開示は、使用者の背中及び腰をしっかり支えて使用者の姿勢を良好にできるランバーサポート及びクッションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係るランバーサポートは、(1)柔軟性素材によって構成されたランバーサポートである。ランバーサポートは、使用者の腰椎を後方から支える腰椎支持部と、腰椎支持部に腰椎が支持されている使用者から見て使用者の左右両側に位置する一対の側部と、腰椎支持部から一対の側部のそれぞれまで延びる一対の接続部と、を備える。一対の接続部のそれぞれは、腰椎支持部に腰椎が支持されている使用者から見て腰椎支持部から斜め後方に延在すると共に平面視において板状を呈する。
【0007】
このランバーサポートは、使用者の腰椎を後方から支える腰椎支持部と、使用者の左右両側に位置する一対の側部とを有し、各側部と腰椎支持部とは接続部を介して互いに接続されている。このランバーサポートは柔軟性素材によって構成されており、一対の接続部のそれぞれは腰椎支持部から斜め後方に延在すると共に平面視において板状を呈する。従って、使用者の腰椎が腰椎支持部に当接すると、一対の接続部が後方に撓むと共に、一対の側部が互いに近づく方向に移動して使用者の腰の両側に接近する。よって、腰椎支持部において使用者の背中を支えつつ、一対の側部において使用者の腰の左右両側を支えることができる。その結果、使用者の背中、及び腰の左右両側をしっかり支えて、使用者の姿勢を良好にすることができる。
【0008】
(2)上記(1)において、一対の側部のそれぞれは、使用者に対向する内側面と、内側面から突出しており且つ使用者の腸骨を支持する腸骨支持部を有してもよい。この場合、使用者の腸骨が一対の腸骨支持部のそれぞれに接触し、各腸骨支持部によって使用者の左右の腸骨のそれぞれが支持される。使用者の各腸骨を支持することによって、使用者の腰をよりしっかりと支えることができる。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)において、腰椎支持部は、使用者の背中に向かって突出する突出部と、突出部から窪むと共に使用者の身体の高さ方向に沿って延在する第1凹部と、を有してもよい。この場合、第1凹部に使用者の腰椎が入り込むことによって使用者の腰椎をやさしく支えることができる。更に、腰椎支持部の第1凹部を使用者が視認することにより、使用者は腰椎支持部に腰椎を支えてもらえばよいことを把握できる。すなわち、第1凹部を腰椎支持部の目印とすることができる。
【0010】
(4)上記(2)において、一対の側部のそれぞれは、腰椎支持部と一対の腸骨支持部のそれぞれとの間の位置で内側面から突出しており、且つ使用者の肋骨の下部を支持する肋骨支持部を有してもよい。この場合、腰椎支持部と一対の腸骨支持部のそれぞれとの間に位置する一対の肋骨支持部によって使用者の肋骨の下部を支えることができる。
【0011】
本開示の別の側面に係るランバーサポートは、(5)柔軟性素材によって構成されたランバーサポートである。ランバーサポートは、使用者の腰椎を後方から支える腰椎支持部と、腰椎支持部に腰椎が支持されている使用者から見て使用者の左右両側に位置する一対の側部と、腰椎支持部から一対の側部のそれぞれまで延びる一対の接続部と、を備える。一対の側部のそれぞれは、使用者に対向する内側面と、内側面から突出しており且つ使用者の腸骨を支持する腸骨支持部と、腸骨支持部から窪む第2凹部と、を有する。
【0012】
このランバーサポートは、使用者の腰椎を後方から支える腰椎支持部と、使用者の左右両側に位置する一対の側部とを有し、各側部と腰椎支持部とは接続部を介して互いに接続されている。よって、前述したランバーサポートと同様、使用者の背中及び腰をしっかり支えて使用者の姿勢を良好にできる。一対の側部のそれぞれは、使用者に対向する内側面と、内側面から突出しており且つ使用者の腸骨を支持する腸骨支持部と、腸骨支持部から窪む第2凹部とを有する。従って、使用者の腸骨が一対の腸骨支持部のそれぞれに接触し、各腸骨支持部によって使用者の左右の腸骨のそれぞれが支持される。そして、第2凹部に使用者の腸骨が入り込むことによって使用者の腸骨をやさしく支えることができる。更に、腸骨支持部の第2凹部を使用者が視認することにより、使用者は腸骨支持部に腸骨を支えてもらえばよいことを把握できる。すなわち、第2凹部を腸骨支持部の目印とすることができる。
【0013】
本開示に係るクッションは、上記(1)~(5)のいずれかに記載のランバーサポートと、ランバーサポートの下部に位置しており、且つ使用者が着座する着座部を有するクッション部と、を備える。このクッションは、前述したランバーサポートを備える。よって、前述したランバーサポートと同様の効果が得られる。更に、このクッションは、ランバーサポートの下部に位置すると共に着座部を有するクッション部を備える。従って、着座部に着座した使用者の背中及び腰をしっかりと支えることができるので、使用者の姿勢が良好な状態をより確実に維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、使用者の背中及び腰をしっかり支えて使用者の姿勢を良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係るランバーサポート及びクッションを示す斜視図である。
【
図2】
図1のランバーサポート及びクッションを示す平面図である。
【
図3】
図1のランバーサポート及びクッションを後方から見た斜視図である。
【
図4】
図1のランバーサポートを示す斜視図である。
【
図5】
図4のランバーサポートの動作を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るランバーサポート及びクッションの実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0017】
実施形態において、ランバーサポート及びクッションは柔軟性素材によって構成されている。「柔軟性素材」とは、身体が載せられて荷重を受けたときに変形するクッション性素材を示している。一例として、ランバーサポート及びクッションは椅子に載せられる。「椅子」は、ランバーサポート及びクッションの使用者が腰をかけるためのものである。
【0018】
「ランバーサポート」は、使用者の腰(腰椎)を支えるために用いられる。例えば、椅子の背もたれと使用者の腰との間にランバーサポートが入り込むことにより、当該椅子に着座した使用者の腰がランバーサポートによって支持される。「使用者」は、ランバーサポート又はクッションの使用者を示しており、例えば、ランバーサポートを腰の後方に装着する人、又は、クッションに着座する人を示している。
【0019】
図1は、本実施形態に係るランバーサポート20及びクッション1を示す正面図である。本実施形態に係るクッション1は、ランバーサポート20と、ランバーサポート20の下部に位置しており、且つ使用者が着座する着座部11を有するクッション部10とを備える。
【0020】
最初にクッション部10について説明する。
図1に示されるように、クッション部10は、水平方向に延びる着座部11と、着座部11から上方に延びる腰部支持部12とを備える。クッション部10は、柔軟性素材によって構成されている。例えば、クッション部10は、発泡ウレタンによって構成されている。
【0021】
一例として、クッション部10は、ウレタンモールド成型によって形成される。クッション部10が発泡ウレタンによって構成されたウレタンモールド成型によって形成されている場合、柔軟性素材によって構成されたクッション部10を容易に製造することができる。クッション部10は、例えば、側地に収容されて使用される。
【0022】
なお、上記の柔軟性素材は、熱可塑性エラストマーを含んでいてもよい。当該柔軟性素材は、身体が載せられたときの荷重に応じて変形する程度の弾性を備えた素材であってもよい。当該柔軟性素材は、身体が載せられて荷重を受けたときに変形する樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、又はポリエチレン)であってもよい。当該柔軟性素材の種類は適宜変更可能である。
【0023】
図2は、クッション1を示す平面図である。
図1及び
図2に示されるように、着座部11は、第1方向D1、及び第1方向D1に交差する第2方向D2に延在する。第1方向D1は着座部11に着座する使用者から見たときの左右方向であり、第2方向D2は着座部11に着座する使用者から見たときの前後方向である。着座部11は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する第3方向D3に厚みを有する。例えば、第3方向D3は鉛直方向である。
【0024】
以下では、着座部11に着座した使用者から見たときの前方向を「前」、「前側」又は「前方」と称することがあり、当該前方向の反対方向を「後」、「後側」又は「後方」と称することがある。しかしながら、これらの方向は説明の便宜のためのものであり、各部の位置又は向き等を限定するものではない。
【0025】
着座部11は、使用者の臀部が載せられる臀部支持部13と、使用者の大腿部が載せられる大腿部支持部14とを有する。臀部支持部13及び大腿部支持部14は、第2方向D2に沿って並ぶように配置されている。臀部支持部13は、着座部11に着座した使用者の座骨を支持する一対の座骨支持部15を有する。
【0026】
例えば、着座部11は通気孔11bを有する。通気孔11bは、例えば、臀部支持部13の上面、及び大腿部支持部14の上面に形成されている。通気孔11bは、例えば、着座部11を第3方向D3に貫通している。通気孔11bを画成する内壁の上端は、丸みを帯びるようにR面取りされていてもよい。平面視において、複数の通気孔11bが後方から前方に向かって並ぶように配置されている。
【0027】
例えば、平面視(腰部支持部12が着座部11の上側に位置する向きとした場合における平面視)において、複数(一例として6つ)の通気孔11bが第1方向D1の両側(左右両側)のそれぞれに配置されていてもよい。例えば、第1方向D1の両側のそれぞれに3つの通気孔11bが形成されている。
【0028】
例えば、2つの通気孔11bが第1方向D1に沿って並んでおり、第1方向D1に沿って並ぶ2つの通気孔11bの間の距離は、臀部支持部13から大腿部支持部14に向かうに従って(前方に向かうに従って)長くなる。一例として、複数の通気孔11bは、平面視においてハの字状を呈するように配置されている。
【0029】
例えば、クッション部10では、座骨支持部15はウレタンモールド成型によって形成されており、通気孔11bは抜き加工によって形成されている。この場合、クッション部10の製造時に用いる金型において通気孔11bを形成する部分を不要にできるので、当該金型の形状を簡易にすることができる。更に、当該金型で液状のウレタンの成型を行うときに、液状のウレタンにおける空気の逃げ道を確保できるので、クッション部10の仕上がりをきれいにすることができる。
【0030】
座骨支持部15は、臀部支持部13の上面に形成されており臀部支持部13において窪んでいる。臀部支持部13は、第1方向D1に沿って並ぶ一対の座骨支持部15を有する。座骨支持部15は、臀部支持部13の上面から窪む凹部を有する。平面視における座骨支持部15の形状は、長軸及び短軸を有する形状とされている。例えば、平面視における座骨支持部15の形状は長円形状(一例として楕円形状)である。しかしながら、平面視における座骨支持部15の形状は、長円形状又は楕円形状に限られず、長方形状、隅丸長方形状、菱形状又は隅丸菱形状であってもよく、適宜変更可能である。
【0031】
一対の座骨支持部15のうち一方の座骨支持部15の長軸の延長線が、一対の座骨支持部15のうち他方の座骨支持部15の長軸の延長線と交差する交差点は、一対の座骨支持部15よりも大腿部支持部14寄り(前寄り)の箇所に位置する。これにより、一対の座骨支持部15は、平面視(腰部支持部12が着座部11の上側に位置する向きとした場合における平面視)において逆ハの字状を呈する。
【0032】
また、座骨支持部15は、臀部支持部13を第3方向D3に貫通する貫通孔を有していてもよい。この場合、座骨支持部15は、当該貫通孔を画成する内壁と、当該内壁及び臀部支持部13の上面との間に位置するテーパ面とを有する。例えば、上方から見たときにおける座骨支持部15の面積は、下方から見たときにおける座骨支持部15の面積よりも大きい。
【0033】
着座部11は、臀部支持部13から大腿部支持部14に向かって斜めに延びる傾斜面を有していてもよい。当該傾斜面は、臀部支持部13から大腿部支持部14に向かって斜め上方に延在している。当該傾斜面は、臀部支持部13から大腿部支持部14に向かうに従って着座部11が厚くなるように第2方向D2に対して傾斜している。着座部11は、第1方向D1に沿って並ぶ一対の大腿部支持部14と、一対の大腿部支持部14の間に位置する凸部16とを有する。凸部16は、一対の大腿部支持部14の間において上方に突出する部位を示している。
【0034】
大腿部支持部14には、使用者の大腿部の裏側が載せられる。大腿部支持部14は、使用者の大腿部の裏側を支持する。例えば、大腿部支持部14は、クッション部10の厚さ方向(第3方向D3)に窪む凹部を有する。大腿部支持部14の凹部は、例えば、クッション部10の上面及び下面のそれぞれに形成されている。例えば、大腿部支持部14におけるクッション部10の下面に形成された凹部は、クッション1が載置される面である載置面との間に空間を画成する。この空間により、大腿部支持部14に大腿部が載せられたときに大腿部支持部14を沈み込みやすくすることができる。
【0035】
腰部支持部12は、着座部11の第2方向D2の端部(後端)から上方に延在している。腰部支持部12は、例えば、第1方向D1の中央に位置する仙骨支持部19を有する。仙骨支持部19は、前方に突出する凸状を呈する。すなわち、仙骨支持部19は、腰部支持部12において前方に突出している。一例として、前方から見た仙骨支持部19の形状は、長軸及び短軸を有する形状を呈する。例えば、前方から見た仙骨支持部19の形状は長円形状(一例として楕円形状)である。
【0036】
例えば、仙骨支持部19は、前方に突出する曲面状を呈する突出面19bを有する。腰部支持部12の前面からの突出面19bの高さは、突出面19bの外縁から突出面19bの内側に向かうに従って高くなっている。例えば、仙骨支持部19は、突出面19bから後方に窪む窪み部19cを有してもよい。窪み部19cは、クッション1の使用者の仙骨が入り込む部分である。
【0037】
窪み部19cは、第1方向D1及び第3方向D3に延びている。例えば、窪み部19cの第3方向D3への長さは、窪み部19cの第1方向D1への長さ(幅)よりも長い。第2方向D2に沿って見た窪み部19cの形状は、第3方向D3に延びる溝形状(又は長円形状)であってもよい。
【0038】
着座部11は、大腿部支持部14から見て第1方向D1の両端側のそれぞれに位置する一対の凸部17を有する。凸部17は、一対の大腿部支持部14のそれぞれから腰部支持部12まで延在している。
図1及び
図3に示されるように、凸部17は、大腿部支持部14の第1方向D1の両端側のそれぞれから腰部支持部12に向かって延在している。
【0039】
凸部17は、腰部支持部12において第1方向D1の中央に向かうに従って上方に盛り上がるように湾曲している。すなわち、第2方向D2に沿って見た場合において、大腿部支持部14に対する凸部17の高さは、第1方向D1の中央に近づくほど高くなっている。例えば、第2方向D2に沿って見た場合において凸部17は山状(又は逆U字状)を呈する。
【0040】
クッション1では、クッション部10の凸部17の上にランバーサポート20が載せられる。ランバーサポート20の下面は、第1方向D1の中央に向かうに従って上方に窪むように湾曲している。第2方向D2に沿って見た場合において、ランバーサポート20の下面の高さは、第1方向D1の中央に近づくほど高くなっている。例えば、第2方向D2に沿って見た場合においてランバーサポート20の下面は山状(又は逆U字状)を呈する。
【0041】
以上のように、ランバーサポート20の下面の形状は凸部17の上面に倣った形状とされている。従って、クッション部10の凸部17の上面にランバーサポート20の下面を接触させることによって、クッション部10にランバーサポート20を容易に載せることができる。更に、クッション部10からランバーサポート20を容易に外すことも可能である。ランバーサポート20は、クッション部10と共に用いられてもよいし、ランバーサポート20単独で用いられてもよい。ランバーサポート20は椅子の背もたれに括り付けられてもよく、椅子に括り付けられた状態でランバーサポート20が用いられてもよい。
【0042】
次に、
図2~
図4を参照しながらランバーサポート20について説明する。
図4は、ランバーサポート20を示す正面図である。ランバーサポート20は、使用者の腰椎を後方から支える腰椎支持部21と、腰椎支持部21に腰椎を支持されている使用者から見て使用者の左右両側に位置する一対の側部23とを有する。更に、ランバーサポート20は、腰椎支持部21から一対の側部23のそれぞれまで延びる一対の接続部22を有する。
【0043】
例えば、平面視において(第3方向D3に沿って見た場合において)ランバーサポート20はM字状を呈する。この場合、M字の中央の平面視下方に突出した部分が腰椎支持部21であり、M字の両端の平面視上下に延びる部分が側部23である。そして、M字の各側部23の平面視上端から腰椎支持部21まで延びる部分が接続部22である。
【0044】
ランバーサポート20は柔軟性素材によって構成されている。例えば、ランバーサポート20の材料はクッション部10の材料と同一である。この場合、ランバーサポート20の製造を一層容易に行うことが可能である。例えば、ランバーサポート20は、発泡ウレタンによって構成されたウレタンモールド成型によって形成されている。ランバーサポート20は、例えば、側地に収容されて使用される。なお、ランバーサポート20は、ランバーサポート20のみが側地に収容されて使用されてもよいし、クッション部10と共に側地に収容されて使用されてもよい。
【0045】
腰椎支持部21は、ランバーサポート20における第1方向D1の中央を含む部分に形成されている。腰椎支持部21は、前方に突出する凸状を呈する。すなわち、腰椎支持部21は、ランバーサポート20の前面(前側を向く面)から前方に突出している。例えば、腰椎支持部21は、使用者の背中に向かって突出する突出部21bと、突出部21bから窪むと共に使用者の身体の高さ方向である第3方向D3に沿って延在する第1凹部21cとを有する。
【0046】
例えば、突出部21bは、前方に突出する曲面状を呈する。ランバーサポート20の前面における突出部21bの突出高さは、ランバーサポート20の第1方向D1の中央に接近するに従って高くなっている。第1凹部21cは、突出部21bから後方に窪む部位である。腰椎支持部21は、ランバーサポート20がクッション部10に載せられている状態において仙骨支持部19の直上に位置する。
【0047】
第1凹部21cは、ランバーサポート20の使用者の腰椎が入り込む部分である。また、第1凹部21cを視認することによって、使用者は第1凹部21cに腰椎を入れるようにランバーサポート20を装着すればよいことを容易に把握できる。すなわち、第1凹部21cを腰椎支持部21の目印とすることが可能である。仙骨支持部19の窪み部19cについても同様である。
【0048】
平面視において(ランバーサポート20がM字状に見える向きで第3方向D3に沿ってランバーサポート20を見た場合において)、接続部22は腰椎支持部21から斜め上方に延在している。すなわち、一対の接続部22のそれぞれは、腰椎支持部21に腰椎が支持されている使用者から見て腰椎支持部21から斜め後方に延在する。
【0049】
接続部22は、平面視において板状を呈する。例えば、平面視における接続部22の厚さは、平面視における側部23の厚さよりも薄い。一例として、平面視における接続部22の厚さは、平面視における接続部22以外の部分の厚さよりも薄い。これにより、腰椎支持部21及び接続部22を容易に変形させることができる。
【0050】
本実施形態において、ランバーサポート20は、各接続部22の後端部に位置する一対の頂部26を有する。頂部26は、接続部22から見て腰椎支持部21とは反対側の端部に位置する。使用者にランバーサポート20が装着された状態において、接続部22の高さは腰椎支持部21から離隔するに従って高くなっており、頂部26の高さが最も高い。平面視において、一対の頂部26は、ランバーサポート20のM字の上端に位置する一対の突部に相当する。
【0051】
側部23は、頂部26から前方に延び出す部分である。一対の側部23のそれぞれは、使用者に対向する内側面23bを有する。各側部23は、使用者の腸骨に対向する腸骨対向部24を有する。更に、平面視において、腸骨対向部24の頂部26とは反対側の端部には、腸骨対向部24から斜め前方に延びる傾斜面と、当該傾斜面から見て腸骨対向部24とは反対側に位置する端面とが形成されている。
【0052】
例えば、腸骨対向部24は、内側面23bから突出しており且つ使用者の腸骨を支持する腸骨支持部24cと、腸骨支持部24cから窪む第2凹部24bとを有する。例えば、腸骨支持部24cは、平面視においてランバーサポート20の内側に突出する湾曲面を有する。例えば、第2凹部24bは、腸骨支持部24cに形成された穴である。一例として、第2凹部24bは、第1方向D1及び第2方向D2の双方に対して傾斜する方向に延在している。
【0053】
第2凹部24bは、使用者の腸骨の少なくとも一部が入り込む部分である。また、第2凹部24bを視認することによって、ランバーサポート20の使用者は第2凹部24bに腸骨を入れるようにランバーサポート20を装着すればよいことを容易に把握できる。すなわち、前述した第1凹部21c等と同様、第2凹部24bを腸骨支持部24cの目印とすることが可能である。
【0054】
一対の側部23のそれぞれは、腰椎支持部21と一対の腸骨支持部24cのそれぞれとの間の位置で内側面23bから突出する肋骨支持部25を有する。肋骨支持部25は、ランバーサポート20の使用者の肋骨の下部を支持する部位である。肋骨支持部25は、内側面23bから曲面状に突出している。平面視において、肋骨支持部25は、例えば、内側面23bから円弧状に突出している。例えば、一対の肋骨支持部25によって使用者の肋骨の下端が支持される。
【0055】
次に、本実施形態に係るクッション1から得られる作用効果について説明する。
図5に示されるように、ランバーサポート20は、使用者の腰椎を後方から支える腰椎支持部21と、使用者の左右両側に位置する一対の側部23とを有し、各側部23と腰椎支持部21とは接続部22を介して互いに接続されている。ランバーサポート20は柔軟性素材によって構成されており、一対の接続部22のそれぞれは腰椎支持部21から斜め後方に延在すると共に平面視において板状を呈する。従って、使用者の腰椎が腰椎支持部21に当接すると、一対の接続部22が後方に撓むと共に、一対の側部23が互いに近づく方向に移動して使用者の腰の両側に接近する。よって、腰椎支持部21において使用者の背中及び腰椎を支えつつ、一対の側部23において使用者の腰の左右両側を支えることができる。その結果、使用者の背中、及び腰の左右両側をしっかり支えて、使用者の姿勢を良好にすることができる。
【0056】
本実施形態において、一対の側部23のそれぞれは、使用者に対向する内側面23bと、内側面23bから突出しており且つ使用者の腸骨を支持する腸骨支持部24cを有してもよい。この場合、使用者の腸骨が一対の腸骨支持部24cのそれぞれに接触し、各腸骨支持部24cによって使用者の左右の腸骨のそれぞれが支持される。使用者の各腸骨を支持することによって、使用者の腰をよりしっかりと支えることができる。
【0057】
本実施形態において、腰椎支持部21は、使用者の背中に向かって突出する突出部21bと、突出部21bから窪むと共に使用者の身体の高さ方向に沿って延在する第1凹部21cと、を有してもよい。この場合、第1凹部21cに使用者の腰椎が入り込むことによって使用者の腰椎をやさしく支えることができる。更に、腰椎支持部21の第1凹部21cを使用者が視認することにより、使用者は腰椎支持部21に腰椎を支えてもらえばよいことを把握できる。すなわち、第1凹部21cを腰椎支持部21の目印とすることができる。
【0058】
本実施形態において、一対の側部23のそれぞれは、腰椎支持部21と一対の腸骨支持部24cのそれぞれとの間の位置で内側面23bから突出しており、且つ使用者の肋骨の下部を支持する肋骨支持部25を有してもよい。この場合、腰椎支持部21と一対の腸骨支持部24cのそれぞれとの間に位置する一対の肋骨支持部25によって使用者の肋骨の下部を支えることができる。
【0059】
ランバーサポート20において、一対の側部23のそれぞれは、使用者に対向する内側面23bと、内側面23bから突出しており且つ使用者の腸骨を支持する腸骨支持部24cと、腸骨支持部24cから窪む第2凹部24bとを有する。従って、第2凹部24bに使用者の腸骨が入り込むことによって使用者の腸骨をやさしく支えることができる。更に、腸骨支持部24cの第2凹部24bを使用者が視認することにより、使用者は腸骨支持部24cに腸骨を支えてもらえばよいことを把握できる。すなわち、第2凹部24bを腸骨支持部24cの目印とすることができる。
【0060】
図1~
図3に示されるように、本実施形態に係るクッション1は、ランバーサポート20と、ランバーサポート20の下部に位置しており、且つ使用者が着座する着座部11を有するクッション部10と、を備える。クッション1は、ランバーサポート20を備える。よって、前述したランバーサポート20と同様の効果が得られる。更に、クッション1は、ランバーサポート20の下部に位置すると共に着座部11を有するクッション部10を備える。従って、着座部11に着座した使用者の背中及び腰をしっかりと支えることができるので、使用者の姿勢が良好な状態をより確実に維持することができる。
【0061】
以上、本開示に係るランバーサポート及びクッションの実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態の内容に限られず、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において適宜変更可能である。すなわち、本開示に係るランバーサポート及びクッションの各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0062】
前述の実施形態では、腸骨対向部24及び肋骨支持部25を有する側部23を備えたランバーサポート20について説明した。しかしながら、腸骨対向部24及び肋骨支持部25の少なくともいずれかを有しない側部を備えたランバーサポートであってもよい。また、前述の実施形態では、平面視においてM字状を呈するランバーサポート20について説明した。しかしながら、平面視においてM字状でないランバーサポートであってもよく、ランバーサポートの形状は前述した要旨の範囲内において適宜変更可能である。例えば、第1凹部21c及び第2凹部24bの少なくともいずれかを有しないランバーサポートであってもよい。
【0063】
例えば、前述の実施形態では、クッション部10と、クッション部10に着脱可能なランバーサポート20とを備えるクッション1について説明した。しかしながら、本開示に係るクッションは、クッション部10及びランバーサポート20が一体化されたクッションであってもよい。本開示に係るクッションは、クッション部10及びランバーサポート20が一体成形されたクッションであってもよい。
【0064】
前述の実施形態では、クッション部10が着座部11と腰部支持部12とを備え、着座部11が臀部支持部13及び大腿部支持部14を有する例について説明した。しかしながら、本開示に係るランバーサポートに接続されるクッション部の構成は上記の例に限定されない。すなわち、クッション部の各部の形状、大きさ、材料、数及び配置態様は前述した要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…クッション、10…クッション部、11…着座部、11b…通気孔、12…腰部支持部、13…臀部支持部、14…大腿部支持部、15…座骨支持部、16,17…凸部、19…仙骨支持部、19b…突出面、19c…窪み部、20…ランバーサポート、21…腰椎支持部、21b…突出部、21c…第1凹部、22…接続部、23…側部、23b…内側面、24…腸骨対向部、24b…第2凹部、24c…腸骨支持部、25…肋骨支持部、26…頂部、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向。