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特開2024-83893ジョイントハンド、ジョイント装置及び部材製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083893
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】ジョイントハンド、ジョイント装置及び部材製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/08 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
B29D30/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197971
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲村 寿樹
【テーマコード(参考)】
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215VA11
4F215VD07
4F215VD08
4F215VD10
4F215VL06
4F215VP20
4F215VP28
4F215VP36
4F501TA11
4F501TC07
4F501TC08
4F501TC10
4F501TE06
4F501TL19
4F501TL27
4F501TL35
4F501TV03
4F501TV05
(57)【要約】
【課題】被接合部材に接合部材を配置する際に、位置精度を高くできるジョイントハンド、ジョイント装置及び部材製造方法を提供する。
【解決手段】ジョイントハンドは、互いに間隔を空けて複数並べて配置され、被接合部材の接合面と接離する方向へ移動可能な複数の第一ブロック32と、それぞれ第一ブロック32の間に配置され、接合面と接離する方向へ移動可能な複数の第二ブロック34と、第一ブロック32が並べられた方向を長手方向として配置され、接合面に沿って移動可能なプレート40と、プレート40の長手方向に沿う端面に間隔を空けて複数形成され、端面からプレート40の短手方向へ突出し、上方に配置された第一ブロック32との間でシート状の接合部材(シート20)を挟んで保持すると共に、接合部材を保持した状態で第二ブロック34の接離する方向と重なり合う部分に第二ブロックと干渉しない間隔部44が形成された押え板42と、備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔を空けて複数並べて配置され、被接合部材の接合面と接離する方向へ移動可能な複数の第一ブロックと、
それぞれ前記第一ブロックの間に配置され、前記接合面と接離する方向へ移動可能な複数の第二ブロックと、
前記第一ブロックが並べられた方向を長手方向として配置され、前記接合面に沿って移動可能なプレートと、
前記プレートの長手方向に沿う端面に間隔を空けて複数形成され、前記端面から前記プレートの短手方向へ突出し、上方に配置された前記第一ブロックとの間でシート状の接合部材を挟んで保持すると共に、前記接合部材を保持した状態で前記第二ブロックの前記接離する方向と重なり合う部分に前記第二ブロックと干渉しない間隔部が形成された押え板と、
を備えた、
ジョイントハンド。
【請求項2】
前記プレートには、前記押え板との境界部に、前記プレートの長手方向に沿う凸部が形成され、前記第一ブロック及び前記第二ブロックの下面には、前記凸部との間で前記接合部材を挟んで保持可能な凹部が形成されている、
請求項1に記載のジョイントハンド。
【請求項3】
前記プレートは前記接合面と接離する方向へ移動可能であり、
前記接合部材を吸着して、前記接合部材を前記第一ブロックと前記プレートとの間に保持可能な吸着部を備え、
前記接合部材を前記吸着部によって吸着した状態で、前記プレートが前記接合面と離れる方向へ移動することにより、前記接合部材が、前記第一ブロック及び前記押え板に挟まれて保持される、
請求項1に記載のジョイントハンド。
【請求項4】
前記押え板の前記短手方向に沿う長さは、
前記第一ブロックと前記押え板とで前記接合部材を挟んで保持する際に前記接合部材が挟まれる前記短手方向に沿う長さと、前記凹部の前記短手方向に沿う長さと、の和以上である、
請求項2に記載のジョイントハンド。
【請求項5】
回転ドラムと、
シート状の接合部材が配置される配置台と、
前記配置台に配置された前記接合部材の一端部及び他端部を検出可能な検出手段と、
前記一端部を保持可能であり、前記一端部を前記回転ドラムへ貼付可能な第一ハンドと、
前記他端部を保持可能な第二ハンドとしての請求項1~4の何れか1項に記載のジョイントハンドと、
前記接合部材を保持した状態の前記第一ハンド及び前記第二ハンドを搬送することにより前記接合部材を前記回転ドラムの上方へ移動させる搬送装置と、
を備えたジョイント装置。
【請求項6】
請求項1~4の何れか一項のジョイントハンドを用いた部材製造方法であって、
前記接合部材を、前記第一ブロックと前記押え部との間で挟んで保持する工程と、
前記接合部材を挟んだ状態で、前記ジョイントハンドを搬送し、前記接合部材を、前記被接合部材における接合位置の上方へ移動させる工程と、
前記第一ブロック及び前記押え板で前記接合部材を挟んだ状態で前記第二ブロックを前記接合面へ移動させて、前記接合部材において前記第一ブロック及び前記押え板で挟まれていない部分を被接合部材に押圧する工程と、
前記第二ブロックで前記接合部材を前記被接合部材に押圧した状態で、前記第一ブロック及び前記被接合部材の間から前記プレートを抜き取る工程と、
前記第二ブロックで前記接合部材を前記被接合部材に押圧した状態で、前記第一ブロックを前記接合面へ移動させて、前記接合部材の押圧されていない端部を前記被接合部材に押圧する工程と、
を備えた部材製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョイントハンド、ジョイント装置及び部材製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、シート状部材の巻き始め端部と巻き終わり端部とをオーバーラップさせて接合することで円筒状部材を成形する円筒状部材の成形方法が開示されている。
【0003】
この成型方法では、コンベアに載置されたシート状部材を成形ドラムへ搬送し、成形ドラムを回転させることで、シート状部材が成形ドラムへ巻付けられる。この結果、シート状部材の巻き始め端部と巻き終わり端部とがオーバーラップされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-253595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のシート状部材はタイヤに用いられるカーカスプライである。カーカスプライの両端部をオーバーラップさせると、該オーバーラップ部分の剛性が高くなる。この結果、カーカスプライの周方向に剛性段差が生じる。このような剛性段差がタイヤ性能に与える影響を管理するためには、オーバーラップ幅の精度を高くすることが好ましい。すなわち、巻き始め端部に配置される巻き終わり端部の位置精度を高くすることが好ましい。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された円筒状部材の成形方法では、シート状部材の巻き終わり端部が、成形ドラムの回転に伴って自動的に巻き始め端部の上方に配置される。このような方法では、巻き始め端部に配置される巻き終わり端部の位置精度を高くすることが難しい。
【0007】
本発明は、被接合部材に接合部材を配置する際に、位置精度を高くできるジョイントハンド、ジョイント装置及び部材製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一態様のジョイントハンドは、互いに間隔を空けて複数並べて配置され、被接合部材の接合面と接離する方向へ移動可能な複数の第一ブロックと、それぞれ前記第一ブロックの間に配置され、前記接合面と接離する方向へ移動可能な複数の第二ブロックと、前記第一ブロックが並べられた方向を長手方向として配置され、前記接合面に沿って移動可能なプレートと、前記プレートの長手方向に沿う端面に間隔を空けて複数形成され、前記端面から前記プレートの短手方向へ突出し、上方に配置された前記第一ブロックとの間でシート状の接合部材を挟んで保持すると共に、前記接合部材を保持した状態で前記第二ブロックの前記接離する方向と重なり合う部分に前記第二ブロックと干渉しない間隔部が形成された押え板と、を備える。
【0009】
第一態様のジョイントハンドでは、被接合部材の接合面と接離する方向へ移動可能な第一ブロックの下方にプレートの押え板が配置され、シート状の接合部材が、第一ブロック及び押え板に挟まれて保持される。
【0010】
また、押え板の間には、前記第二ブロックと干渉しない間隔部が形成されている。このため、接合部材が第一ブロック及び押え部に挟まれた状態、すなわち動きが拘束されて位置決めされた状態で第二ブロックを接合面へ移動させれば、間隔を空けて、接合部材を被接合部材へ固定できる。
【0011】
そして、接合部材が第二ブロックによって被接合部材へ固定された状態、すなわち位置決めされた状態でプレートを接合面に沿って移動させ、さらに第一ブロックを接合面へ移動させれば、プレートの長手方向に亘って、接合部材を被接合部材へ固定できる。
【0012】
このように、このジョイントハンドを用いれば、接合部材が位置決めされた状態を維持しながら接合部材を被接合部材へ固定できる。このため、被接合部材に接合部材を配置する際に、位置精度を高くできる。
【0013】
具体的な一例を挙げると、回転ドラムに巻き付けたタイヤ構成部材であるカーカスプライの一端部を被接合部材として、該ベルトプライの他端部を接合部材とした場合に、一端部に他端部を配置する際に、位置精度を高くできる。これによりカーカスプライのラップジョイントを精度よく形成できる。
【0014】
第二態様のジョイントハンドは、第一態様のジョイントハンドにおいて、前記プレートには、前記押え板との境界部に、前記プレートの長手方向に沿う凸部が形成され、前記第一ブロック及び前記第二ブロックの下面には、前記凸部との間で前記接合部材を挟んで保持可能な凹部が形成されている。
【0015】
第二態様のジョイントハンドでは、プレートに、プレートの長手方向に沿う凸部が形成され、第一ブロック及び第二ブロックの下面に凹部が形成されている。これにより、シート状の接合部材に、上方に突出する突起を形成できる。
【0016】
これにより、上述したラップジョイントだけでなく、バットジョイントも形成できる。すなわち、1つのジョイントハンドを、異なる形式のジョイントを形成するために兼用できる。これによりジョイント装置を小型化でできる。
【0017】
第三態様のジョイントハンドは、第一態様のジョイントハンドにおいて、前記プレートは前記接合面と接離する方向へ移動可能であり、前記接合部材を吸着して、前記接合部材を前記第一ブロックと前記プレートとの間に保持可能な吸着部を備え、前記接合部材を前記吸着部によって吸着した状態で、前記プレートが前記接合面と離れる方向へ移動することにより、前記接合部材が、前記第一ブロック及び前記押え板に挟まれて保持される。
【0018】
第三態様のジョイントハンドでは、シート状の接合部材を吸着部によって吸着できる。これにより、接合部材を宙に浮かせた状態で、第一ブロック及び押え板によって挟むことができる。このため、例えば配置台に置かれた接合部材の下方に押え板を差し込んで第一ブロックとの間で挟む場合と比較して、接合部材がずれ難い。
【0019】
なお、第三態様のジョイントハンドは、第一態様又は第二態様のジョイントハンドにおいて、前記プレートは前記接合面と接離する方向へ移動可能であり、前記接合部材を吸着して、前記接合部材を前記第一ブロックと前記プレートとの間に保持可能な吸着部を備え、前記接合部材を前記吸着部によって吸着した状態で、前記プレートが前記接合面と離れる方向へ移動することにより、前記接合部材が、前記第一ブロック及び前記押え板に挟まれて保持されるものとしてもよい。
【0020】
第四態様のジョイントハンドは、第二態様のジョイントハンドにおいて、前記押え板の前記短手方向に沿う長さは、前記第一ブロックと前記押え板とで前記接合部材を挟んで保持する際に前記接合部材が挟まれる前記短手方向に沿う長さと、前記凹部の前記短手方向に沿う長さと、の和以上である。
【0021】
第四態様のジョイントハンドは、押え板の長さが、第一ブロックと押え板とで接合部材を挟んで保持する際に接合部材が挟まれる長さと、凹部の長さと、の和以上である。このため、第一ブロックと押え板とで接合部材を保持した際に、第一ブロックの凹部とプレートの凸部とが干渉しない。これにより、接合部材を保持し易い。
【0022】
第五態様のジョイント装置は、回転ドラムと、シート状の接合部材が配置される配置台と、前記配置台に配置された前記接合部材の一端部及び他端部を検出可能な検出手段と、前記一端部を保持可能であり、前記一端部を前記回転ドラムへ貼付可能な第一ハンドと、前記他端部を保持可能な第二ハンドとしての第一態様~第四態様の何れか一態様に記載のジョイントハンドと、前記接合部材を保持した状態の前記第一ハンド及び前記第二ハンドを搬送することにより前記接合部材を前記回転ドラムの上方へ移動させる搬送装置と、を備える。
【0023】
第五態様のジョイント装置では、配置台に配置されたシート状の接合部材の端部を検出手段によって検出する。これにより、第一ハンド及び第二ハンドによって保持する端部位置を正確に把握できる。
【0024】
また、搬送装置によって、接合部材を保持した状態の第一ハンド及び第二ハンドを回転ドラムの上方へ搬送する。これにより、第一ハンドによって接合部材の一端部を回転ドラムへ貼付できる。
【0025】
そして回転ドラムを回転させると、接合部材が回転ドラムに巻付いて、接合部材の一端部の上方に、第二ハンドに保持された他端部を配置できる。この状態で、他端部を一端部に接合すると、他端部を一端部に精度高く接合できる。これによりカーカスプライのラップジョイントを精度よく形成できる。
【0026】
第六態様の部材製造方法は、第一態様~第四態様の何れか一態様のジョイントハンドを用いた部材製造方法であって、前記接合部材を、前記第一ブロックと前記押え部との間で挟んで保持する工程と、前記接合部材を挟んだ状態で、前記ジョイントハンドを搬送し、前記接合部材を、前記被接合部材における接合位置の上方へ移動させる工程と、前記第一ブロック及び前記押え板で前記接合部材を挟んだ状態で前記第二ブロックを前記接合面へ移動させて、前記接合部材において前記第一ブロック及び前記押え板で挟まれていない部分を被接合部材に押圧する工程と、前記第二ブロックで前記接合部材を前記被接合部材に押圧した状態で、前記第一ブロック及び前記被接合部材の間から前記プレートを抜き取る工程と、前記第二ブロックで前記接合部材を前記被接合部材に押圧した状態で、前記第一ブロックを前記接合面へ移動させて、前記接合部材の押圧されていない端部を前記被接合部材に押圧する工程と、を備える。
【0027】
なお、第六態様の部材製造方法は、第一態様~第五態様の何れか一態様のジョイントハンドを用いた部材製造方法であって、前記接合部材を、前記第一ブロックと前記押え部との間で挟んで保持する工程と、前記接合部材を挟んだ状態で、前記ジョイントハンドを搬送し、前記接合部材を、前記被接合部材における接合位置の上方へ移動させる工程と、前記第一ブロック及び前記押え板で前記接合部材を挟んだ状態で前記第二ブロックを前記接合面へ移動させて、前記接合部材において前記第一ブロック及び前記押え板で挟まれていない部分を被接合部材に押圧する工程と、前記第二ブロックで前記接合部材を前記被接合部材に押圧した状態で、前記第一ブロック及び前記被接合部材の間から前記プレートを抜き取る工程と、前記第二ブロックで前記接合部材を前記被接合部材に押圧した状態で、前記第一ブロックを前記接合面へ移動させて、前記接合部材の押圧されていない端部を前記被接合部材に押圧する工程と、を備えるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、被接合部材に接合部材を配置する際に、位置精度を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】(A)は本発明の実施形態に係るジョイント装置において、カメラでシートを撮像している状態を示す斜視図であり、(B)はジョイントハンドをシートの上方へ移動させた状態を示す斜視図であり、(C)はジョイントハンドでシートを持ち上げている状態を示す斜視図である。
図2】(A)はジョイントハンドを移動させてシートを搬送している状態を示す斜視図であり、(B)はジョイントハンドでシートの先端部を成形ドラムへ押し付けている状態を示す斜視図であり、(C)はジョイントハンドでシートの後端部を先端部へ押し付けている状態を示す斜視図である。
図3】(A)はシートのバットジョイントの概念を示す概略図であり、(B)はシートのラップジョイントの概念を示す概略図である。
図4】本発明の実施形態に係るジョイントハンドを示す斜視図である。
図5】(A)はバキュームパッドでシートを保持した状態を示すジョイントハンドの側面図であり、(B)はプレートを接合面へ向けて移動させた状態を示す側面図であり、(C)はプレートを接合面に沿って移動させた状態を示す側面図であり、(D)はプレートの凸部と、第一ハンド及び第二ハンドの凹部と、の間でシートを挟んだ状態を示す側面図である。
図6】(A)はバキュームパッドでシートを保持した状態を示すジョイントハンドの側面図であり、(B)はプレートを接合面へ向けて移動させた状態を示す側面図であり、(C)はプレートを接合面に沿って移動させた状態を示す側面図であり、(D)はプレートの押え板と、第一ブロックの平坦部と、の間でシートを挟んだ状態を示す側面図である。
図7】(A)は押え板と第一ブロックで挟まれた状態のシートの後端部を先端部の上方に配置した状態を示す側面図であり、(B)は斜視図であり、(C)は断面図である。
図8】(A)は押え板と第一ブロックで挟まれた状態のシートの後端部を第二ブロックを用いてシートの先端部へ押圧している状態を示す側面図であり、(B)は斜視図であり、(C)は断面図である。
図9】(A)はプレートをシート20の先端部と後端部との間から抜き取っている状態を示す側面図であり、(B)は斜視図であり、(C)は断面図である。
図10】(A)は第二ブロックで押圧された状態のシートの後端部において、押圧されていない部分を第一ブロックを用いてシートの先端部へ押圧している状態を示す側面図であり、(B)は斜視図であり、(C)は断面図である。
図11】(A)はシートの後端部に凸部を形成している状態を示す部分拡大側面図であり、(B)はプレートの押え板と、第一ブロックの平坦部と、の間でシートを挟んだ状態を示す部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一又は同様の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。また、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0031】
<ジョイント装置>
図1(A)に示すジョイント装置10は、成形ドラム12、配置台14、ジョイントハンド16A、16B、16C、カメラ18及び制御装置(不図示)を備えて構成されている。
【0032】
ジョイント装置10は、後述するシート20を成形ドラム12に巻き付けて、成形ドラム12上において、シート20の先端部20Fにシート20の後端部20Rを接合するタイヤ製造装置である。シート20は、先端部20Fと後端部20Rとが接合されることで、円筒状に形成される。
【0033】
(成形ドラム)
成形ドラム12は、図2(B)に示すように、水平方向に沿う軸線回りに回転可能で、かつ、拡縮径可能な回転ドラムである。成形ドラム12は、制御装置の制御によって、駆動モータ(不図示)から駆動力を受けて、矢印K7で示すように軸線回りに回転する。
【0034】
(配置台)
配置台14は、成形ドラム12に巻き付ける前のシート20が置かれるテーブルであり、成形ドラム12の回転方向の後方に配置される。
【0035】
(ジョイントハンド)
ジョイントハンド16A、16B及び16Cは、制御装置の制御によって、配置台14に置かれたシート20を持ち上げた状態で成形ドラム12の上方へ搬送される把持装置である。ジョイントハンド16A、16B及び16Cは、シート20を持ち上げて保持することに加えて、シート20を被接合部材へ押圧したりシート20の保持状態を解除したりすることもできる。なお、ジョイントハンド16Aは本発明における第一ハンドの一例であり、ジョイントハンド16Cは本発明における第二ハンドの一例である。
【0036】
(搬送装置)
ジョイントハンド16A、16B及び16Cは、図示しない搬送装置によって成形ドラム12の上方へ搬送される。搬送装置も、制御装置によって制御される。
【0037】
(カメラ)
カメラ18は、シート20を撮像して、シート20の位置を特定する撮像装置である。制御装置は、カメラ18が撮像した撮像画像から、シート20の中央部の位置、両端部の位置及び四隅の位置を検出する。そして、制御装置は、ジョイントハンド16A、16B及び16Cによって、シート20の中央部及び両端部を保持させる。なお、カメラ18及び制御装置は、本発明における検出手段の一例である。
【0038】
図1(A)には、カメラ18がジョイントハンド16Cに設けられた例が記載されているが、カメラ18を設ける場所は任意である。また、図1(A)以外の図には、カメラ18の図示が省略されている。
【0039】
(シート)
ここで、本発明の接合部材及び被接合部材の一例であるシート20は、一例として、長辺と短辺とを有する長方形状のカーカスプライである。カーカスプライはタイヤ部品であり、配置台14に置かれた状態では短辺方向に沿ってスチールコードが埋設された生ゴムである。
【0040】
なお、シート20は、カーカスプライのほか、カーカスプライのタイヤ径方向外側に配置されるベルトプライや、さらにその外側に配置される補強ベルトプライとしてもよい。
【0041】
シート20の「中央部」及び「両端部」とは、それぞれシート20の長辺方向における中央部及び両端部を示している。ジョイントハンド16Aは、シート20の長辺方向における先端部20Fを保持し、ジョイントハンド16Bは、シート20の長辺方向における中央部を保持し、ジョイントハンド16Cは、シート20の長辺方向における後端部20Rを保持する。
【0042】
「先端部20F」とは、成形ドラム12に近い側の端部であり、成形ドラム12に最初に巻き付けられる端部である(本発明における一端部)。一方、「後端部20R」とは、成形ドラム12から遠い側の端部であり、成形ドラム12に最後に巻き付けられる端部である(本発明における他端部)。
【0043】
(ジョイント方法の概略)
ジョイント装置10を用いて、シート20の先端部20Fにシート20の後端部20Rを接合する方法の概略について説明する。このジョイント方法を用いることで、シート20が円筒状に形成される。本開示における「部材製造方法」とは、このジョイント方法を用いた、タイヤ部材である円筒状のシート20の製造方法であり、カーカスプライ等の製造方法であり、また、タイヤの製造方法である。
【0044】
まず、図1(A)に示すようにカメラ18を用いてシート20を撮像する。そして、制御装置が、撮像された画像からシート20の中央部及び両端部の位置を検出する。次に、図1(B)に示すように、制御装置がジョイントハンド16A、16B及び16Cを、それぞれシート20の先端部20F、中央部、後端部20Rの上方に配置する。
【0045】
図1(B)に矢印K1、K2で示すように、制御装置は、ジョイントハンド16A、16B及び16Cの位置を調整できる。「位置」とは、シート20の長辺方向(搬送方向と一致する方向)の位置、シート20の短辺方向の位置である。また、矢印K3で示すように、制御装置は、シート20の上面に対するジョイントハンド16A、16B及び16Cの角度も調整できる。これにより、ジョイントハンド16A、16B及び16Cが、シート20に対して位置決めされる。
【0046】
次に、図1(C)に矢印K4で示すように、制御装置がジョイントハンド16A、16B及び16Cを操作して、シート20を持ち上げて保持する。そして、制御装置は、図2(A)に示すように、シート20を成形ドラム12へ向かって搬送する。この搬送工程においても、矢印K1、K2及びK3で示すように、制御装置は、ジョイントハンド16A、16B及び16Cの位置及び角度を調整できる。
【0047】
次に、図2(B)に矢印K7で示すように、制御装置がジョイントハンド16Aを操作して、シート20の先端部20Fを成形ドラム12へ押圧して貼付ける。また、制御装置は、ジョイントハンド16Aによるシート20の保持状態を解除する。
【0048】
次いで、制御装置がジョイントハンド16A、16B及び16Cを搬送しながら矢印K8で示すように、成形ドラム12を回転させる。また、ジョイントハンド16Bを操作して、シート20の中央部を成形ドラム12へ押圧して貼付ける。また、制御装置は、ジョイントハンド16Bによるシート20の保持状態を解除する。
【0049】
さらに、図2(C)に矢印K9で示すように、制御装置がジョイントハンド16Cを操作して、シート20の後端部20Rを成形ドラム12へ押圧して貼り付ける。また、制御装置は、ジョイントハンド16Cによるシート20の保持状態を解除する。これにより、シート20が成形ドラム12へ巻き付けられ、シート20の先端部20Fにシート20の後端部20Rが接合される。
【0050】
なお、シート20の長辺方向は、成形ドラム12へ巻き付けられた状態においては成形ドラム12の周方向と一致する方向であり、シート20の短辺方向は、成形ドラム12へ巻き付けられた状態においては成形ドラム12の軸方向と一致する方向である。また、シート20の短辺方向は、タイヤ幅方向とも一致する方向である。
【0051】
<ジョイント形式>
シート20の先端部20Fにシート20の後端部20Rを接合する形式であるジョイント形式の例としては、図3(A)に示すバットジョイントと、図3(B)に示すラップジョイントと、が挙げられる。
【0052】
(バットジョイント)
図3(A)に示すバットジョイントでは、シート20の先端部20F及び後端部20Rに、それぞれ凸部20Aを形成する。凸部20Aは、シート20の短辺方向に亘って形成される突条である。そして、2つの凸部20Aを近接させた状態で、シート20を成形ドラム12へ巻き付ける。
【0053】
その後、成形ドラム12を縮径及び拡径することにより、シート20の先端部20F及び後端部20Rが突き合わせて接合されると共に、凸部20Aが他の部分と同様に均されて成形ドラム12へ貼り付けられる。このように、「バットジョイント」とは、シート状部材の先端部及び後端部を突き合わせて接合する接合形式のことである。
【0054】
ジョイント装置10を用いることで、このバットジョイントを形成可能である。特に、ジョイントハンド16A及び16Cを用いることで、後述するように凸部20Aを形成することができる。バットジョイントにおいては、シート20の先端部20Fが接合される被接合部材は成形ドラム12である。同様にシート20の後端部20Rが接合される被接合部材も、成形ドラム12である。
【0055】
(ラップジョイント)
一方、図(B)に示すラップジョイントでは、シート20の先端部20Fに、シート20の後端部20Rをオーバーラップさせて接合する。このように、「ラップジョイント」とは、シート状部材の先端部及び後端部を重ね合わせて接合する接合形式のことである。
【0056】
ジョイント装置10を用いることで、このラップジョイントを形成可能である。特に、ジョイントハンド16A及び16Cを用いることで、後述するように重ね合わせ位置を精度よくを形成することができる。ラップジョイントにおいては、シート20の先端部20Fが接合される被接合部材は成形ドラム12である。一方、シート20の後端部20Rが接合される被接合部材は、シート20の先端部20Fである。
【0057】
本実施形態においては、成形ドラム12へ2枚のシート20を巻き付けて、2層のカーカスプライを形成する。2層のカーカスプライは、18インチ以上の比較的大径のタイヤに適用する。この際、1層目(換言すると内側)のシート20はバットジョイントで接合し、2層目(換言すると外側)のシート20はラップジョイントで接合する。
【0058】
<ジョイントハンドの詳細構成>
シート20の後端部20Rを保持するジョイントハンド16Cの構成について説明する。図4等に示すX方向は、ジョイントハンド16Cの搬送方向であり、かつ、シート20の長辺方向である。また、ジョイントハンド16Cは、X方向右側がシート20の後端側(換言すると、シート20の搬送方向の後ろ側)となるように配置されている。なお、以下の説明においては、X方向右側をX方向後端側、X方向左側を先端側と称す場合がある。
【0059】
また、図4等に示すY方向はシート20の短辺方向であり、成形ドラム12の軸方向である。さらに、Z方向はシート20の上面に対して垂直な方向であり、成形ドラム12の径方向である。また、Z方向は、シート20を接合させる被接合部材の接合面と接近または離れる方向である。
【0060】
ジョイントハンド16Cは、本体部30、第一ブロック32、第二ブロック34、バキュームパッド36、プレート40、昇降シリンダ50、前後シリンダ52及び中間シリンダ54を備えて形成されている。第一ブロック32、第二ブロック34、バキュームパッド36、昇降シリンダ50、前後シリンダ52及び中間シリンダ54は、制御装置の制御によって駆動する。
【0061】
(第一ブロック)
第一ブロック32は、Y方向に間隔を空けて複数並べて配置された押圧部材である。最も外側の2つの第一ブロック32の外側端面間の距離は、シート20の短辺の長さより長い。第一ブロック32は、本体部30に対してZ方向へ移動可能に固定されている。複数の第一ブロック32は、互いに同期して移動する。
【0062】
図11(B)に示すように、第一ブロック32の下面には、後述するプレート40における凸部46との間でシート20を挟んで保持可能な凹部38が形成されている。一方、凹部38に対してX方向先端側における第一ブロック32の下面は、後述するプレート40における押え板42との間でシート20を挟んで保持可能な平坦部39が形成されている。
【0063】
(第二ブロック)
図4に示すように、第二ブロック34は、第一ブロック32の間に配置された押圧部材である。第二ブロック34は、本体部30に対してZ方向へ移動可能に固定されている。複数の第二ブロック34は、互いに同期して移動する。また、第一ブロック32とい第二ブロック34とは、互いに同期して移動させることができるし、それぞれ別々に移動させることもできる。
【0064】
図11(A)に示すように、第二ブロック34の下面には、後述するプレート40における凸部46との間でシート20を挟んで保持可能な凹部38が形成されている。
【0065】
(バキュームパッド)
バキュームパッド36は、第一ブロック32及び第二ブロック34に対してX方向先端側に配置され、シート20を吸引して吸着可能なシート保持装置である。バキュームパッド36は、本体部30に固定され、X方向及びY方向に沿って複数並べて配置されている。
【0066】
(プレート)
プレート40は、Y方向を長手方向として配置され、Z方向及びX方向に沿って移動可能な板材である。プレート40には、押え板42が形成されている。押え板42は、プレート40のY方向に沿う端面に間隔を空けて複数形成され、当該端面から、プレート40の短手方向であるX方向先端側へ突出している。
【0067】
詳しくは後述するが、押え板42を第一ブロック32の下方に配置すると、上方に配置された第一ブロック32と押え板42との間で、シート20を挟んで保持することができる。
【0068】
また、押え板42の間には、間隔部44が形成されている。間隔部44は、押え板42を第一ブロック32の下方に配置した状態で、第二ブロック34の下方に配置される部分である。この部分は、第二ブロック34がZ方向に移動する際に、第二ブロック34と干渉しないで、第二ブロック34を通過させることができる間欠部である。
【0069】
プレート40には、押え板42との境界部に、Y方向に沿う凸部46が形成されている。図11(A)、(B)にも示すように、凸部46は、第一ブロック32及び第二ブロック34の凹部38との間でシート20を挟んで保持可能な部分である。
【0070】
なお、押え板42は、凸部46のX方向先端側に形成されている。押え板42のX方向に沿う長さX1は、凸部46のX方向に沿う長さ(換言すると、凹部38のX方向に沿う長さ)X2に、第一ブロック32と押え板42とでシート20を挟んで保持する際に、シート20挟まれる長さX3を加えた長さとされている。
【0071】
なお、シート20挟まれる長さX3は、ラップジョイントの重ね代と等しい長さである。また、押え板42のX方向に沿う長さX1は、長さX2に長さX3を加えた長さより大きく形成してもよい。
【0072】
(シリンダ)
図4に矢印K5で示すように、プレート40は、昇降シリンダ50によってZ方向に移動できる。また、プレート40は、前後シリンダ52によって、矢印K6で示すように、X方向に移動できる。さらに、プレート40は、中間シリンダ54によってX方向の移動量を規制できる。前後シリンダ52及び中間シリンダ54は、本体部30に固定されている。
【0073】
前後シリンダ52には、X方向に沿って移動するプランジャ52Aが挿入されており、プランジャ52AのX方向後端側には、アングル材によって形成された保持部材56が固定されている。
【0074】
中間シリンダ54には、X方向に沿って移動するプランジャ54Aが挿入されている。このプランジャ54Aの中間シリンダ54からの突出量を調整することにより、プランジャ52AのX方向先端側への移動量を規制できる。
【0075】
保持部材56の下端面には、昇降シリンダ50が固定されている。昇降シリンダ50には、Z方向に沿って移動するプランジャ50Aが挿入されており、プランジャ50AのZ方向下端側(接合面側)には、保持部材58が固定されている。
【0076】
保持部材58は、Y方向に沿って延設された部材であり、その下面にプレート40が固定されている。
【0077】
(その他のジョイントハンド)
ジョイントハンド16Cにおいては、第一ブロック32及び第二ブロック34に対してX方向後端側にプレート40が配置され、プレート40のX方向先端側に押え板42及び間隔部44が形成されている。
【0078】
一方、図示は省略するが、ジョイントハンド16Aは、ジョイントハンド16Cに対してX方向に線対称な構成とされている。つまり、ジョイントハンド16Aにおいては、第一ブロック32及び第二ブロック34に対してX方向先端側にプレート40が配置され、プレート40のX方向後端側に押え板42及び間隔部44が形成されている。ジョイントハンド16Aは、ジョイントハンド16Cと同様に駆動させることができる。
【0079】
ジョイントハンド16Bは、本体部30及びバキュームパッド36を備えていればよく、シート20の端部を保持するための構成である第一ブロック32、第二ブロック34及びプレート40を設ける必要はない。
【0080】
<ジョイント方法>
シート20の先端部20Fにシート20の後端部20Rをジョイントする方法の概略について説明する。以下の記載においては、シート20の先端部20Fを成形ドラム12に固定する工程については説明を省略する。
【0081】
(バットジョイント)
バットジョイントを形成するためには、まず、図5(A)に示すように、ジョイントハンド16Cをシート20に対して位置決めし、バキュームパッド36によってシート20を吸い上げて保持する。
【0082】
この際、ジョイントハンド16Cは、第一ブロック32及び第二ブロック34の凹部38が、Z方向からみてシート20の後端部20Rと重なるよう位置決めされる。
【0083】
そして、図5(B)に矢印K5で示すように、プレート40のZ方向位置を調整し、図5(C)に矢印K6で示すようにプレート40のX方向位置を調整する。
【0084】
具体的には、プレート40は、第一ブロック32及び第二ブロック34の間に、シート20を挟めるようにZ方向位置が調整される。また、プレート40は、第一ブロック32及び第二ブロック34の凹部38とプレート40の凸部46との間に、シート20を挟めるようにX方向位置が調整される。X方向位置は、プランジャ54Aによってプランジャ52AのX方向先端側への移動量が規制されることにより調整される。
【0085】
次に、図5(D)に矢印K5で示すように、プランジャ50Aを操作して、凹部38と凸部46との間でシート20の後端部20Rを挟んで、シート20の後端に凸部20Aを形成する。
【0086】
シート20の後端部20Rに凸部20Aを形成後は、図2(C)を用いて説明したように、シート20の後端部20Rを成形ドラム12の接合面へ押圧して貼り付ける。これにより、図3(A)に示すように、シート20が成形ドラム12へ巻き付けられ、所定の工程を経て、シート20の先端部20Fにシート20の後端部20Rが突き合せて接合される。
【0087】
(ラップジョイント)
ラップジョイントを形成するためには、まず、図6(A)に示すように、ジョイントハンド16Cをシート20に対して位置決めし、バキュームパッド36によってシート20を吸い上げて保持する。
【0088】
この際、ジョイントハンド16Cは、第一ブロック32の平坦部39が、Z方向からみてシート20の後端部20Rと重なるよう位置決めされる。
【0089】
そして、図6(B)に矢印K5で示すように、プレート40のZ方向位置を調整し、図6(C)に矢印K6で示すようにプレート40のX方向位置を調整する。
【0090】
具体的には、プレート40は、第一ブロック32との間に、シート20を挟めるようにZ方向位置が調整される。また、プレート40は、第一ブロック32の平坦部39とプレート40の押え板42との間に、シート20を挟めるようにX方向位置が調整される。X方向位置は、プランジャ54Aによってプランジャ52AのX方向先端側への移動量が規制されることにより調整される。
【0091】
次に、図6(D)に矢印K5で示すように、プランジャ50Aを操作して、平坦部39と押え板42との間でシート20の後端部20Rを挟んで、シート20を保持する。
【0092】
次に、図7(A)~(C)に示すように、ジョイントハンド16Cを成形ドラム12の上方へ搬送して、シート20の先端部20Fの上方に、シート20の後端部20Rを配置する。
【0093】
なお、図示を簡略化するため、図7(B)、(C)においては、第一ブロック32及び第二ブロック34は直方体として表現されている。また、図7(B)においてプレート40の凸部46は省略して表現されている。図8~10についても同様である。
【0094】
上述したように、シート20の後端部20Rは、第一ブロック32と押え板42との間で挟まれて保持されている。このため、シート20の後端部20Rは、シート20の先端部20Fに対して、X方向及びY方向の位置が位置決めされている。
【0095】
一方で、押え板42の間には間隔部44が形成されており、その上方(Z方向においてシート20の先端部20Fと反対側)に第二ブロック34が配置されている。
【0096】
ここで、図8(A)に示すように、また、図8(B)、(C)に矢印K10で示すように、第二ブロック34をZ方向(シート20の先端部20Fの接合面へ近づく方向)へ移動させる。この際、第二ブロック34は間隔部44を通過して、シート20の後端部20Rを、先端部20Fへ押し付ける。
【0097】
つまり、第二ブロック34は、シート20の後端部20Rにおいて第一ブロック32及び押え板42で挟まれていない部分を、先端部20Fに押圧する。
【0098】
これにより、シート20の後端部20Rが先端部20Fに対して位置決めされた状態で、間隔を空けて、後端部20Rを先端部20Fに固定できる。
【0099】
次に、図9(A)、(B)に矢印K6で示すように、また、図9(C)に示すように、第二ブロック34でシート20の後端部20Rを先端部20Fへ押圧した状態で、プレート40をX方向後端側へ移動させる。これにより、シート20の後端部20Rと先端部20Fとの間から、プレート40の押え板42が抜き取られる。
【0100】
最後に、図10(A)に示すように、また、図10(B)、(C)に矢印K11で示すように、第一ブロック32を移動させる。
【0101】
つまり、第二ブロック34でシート20の後端部20Rを先端部20Fへ押圧した状態で、第一ブロック32をZ方向(シート20の先端部20Fの接合面へ近づく方向)に移動させる。そして、シート20において第二ブロック34で押圧されていない後端部20Rを、先端部20Fへ押し付ける。
【0102】
これにより、シート20の後端部20Rが先端部20Fに対して間隔を空けて固定された状態で、当該間隔を空けた箇所において、シート20の先端部20Fに後端部20Rを固定できる。
【0103】
<作用及び効果>
本実施形態におけるジョイントハンド16Cでは、図10(B)、(C)に矢印K11で示すように、第一ブロック32が、被接合部材であるシート20の先端部20Fの接合面と接離する方向へ移動可能である。
【0104】
また、図7(A)~(C)に示すように、第一ブロック32の下方にプレート40の押え板42が配置され、接合部材としてのシート20の後端部20Rが、第一ブロック32及び押え板42に挟まれて保持される。
【0105】
このように、シート20の後端部20Rが上下から挟んで保持されることにより、バキュームパッド36のみを用いてシート20の後端部20Rを保持する構成と比較して、シート20が位置ずれし難い。
【0106】
また、押え板42の間には、第二ブロック34と干渉しない間隔部44が形成されている。このため、シート20が第一ブロック32及び押え板42に挟まれた状態、すなわち動きが拘束されて位置決めされた状態で、図8(A)~(C)に示すように、第二ブロック34をシート20の先端部20Fの接合面へ移動させれば、間隔を空けて、シート20の後端部20Rを先端部20Fへ固定できる。
【0107】
そして、図9(A)~(C)に示すように、シート20の後端部20Rが第二ブロック34によって先端部20Fへ固定された状態、すなわち位置決めされた状態でプレート40をシート20の面内方向に沿って移動させ、さらに図10(A)~(C)に示すように、第一ブロック32をシート20の先端部20Fの接合面へ移動させれば、プレート40の長手方向に亘って、シート20の後端部20Rを先端部20Fへ固定できる。
【0108】
このように、このジョイントハンド16Cを用いれば、シート20の後端部20Rが位置決めされた状態を維持しながらシート20の後端部20Rを先端部20Fへ固定できる。このため、シート20の先端部20Fに後端部20Rを配置する際に、位置精度を高くできる。
【0109】
例えば本実施形態においては、成形ドラム12に巻き付けたカーカスプライであるシート20の先端部20Fを被接合部材として、該シート20の後端部20Rを接合部材とした場合に、先端部20Fに後端部20Rを配置する際に、位置精度を高くできる。これによりカーカスプライのラップジョイントを精度よく形成できる。
【0110】
また、上記実施形態のジョイントハンド16Cでは、図4に示すように、プレート40に、プレート40の長手方向に沿う凸部46が形成され、図11(A)、(B)に示すように、第一ブロック32及び第二ブロックの下面に凹部38が形成されている。これにより、シート20に、上方に突出する凸部20Aを形成できる。
【0111】
これにより、シート20に、ラップジョイントだけでなく、バットジョイントも形成できる。すなわち、1つのジョイントハンドを、異なる形式のジョイントを形成するために兼用できる。これによりジョイント装置を小型化でできる。
【0112】
また、本実施形態におけるジョイントハンド16Cでは、シート20を吸着部であるバキュームパッド36によって吸着できる。これにより、図6(A)~(C)に示すように、シート20を宙に浮かせた状態で、第一ブロック32及び押え板42によって挟むことができる。このため、例えば図1(A)~(C)に示す配置台14に置かれたシート20の下方に押え板42を差し込んで第一ブロック32との間で挟む場合と比較して、シート20がずれ難い。
【0113】
また、本実施形態におけるジョイントハンド16Cでは、図11(B)に示すように、押え板42の長さX1が、第一ブロック32と押え板42とでシート20を挟んで保持する際にシート20が挟まれる長さX3と、凹部38の長さと、の和以上である。このため、第一ブロック32と押え板42とでシート20を保持した際に、第一ブロック32の凹部38とプレート40の凸部46とが干渉しない。これにより、シート20を保持し易い。
【0114】
また、本実施形態に係るジョイント装置10では、配置台14に配置されたシート20の先端部20F及び後端部20Rを、図1(A)に示すように、検出手段であるカメラ18によって検出する。これにより、ジョイントハンド16A及びジョイントハンド16Cによって保持する端部位置を正確に把握できる。
【0115】
また、このジョイント装置10では、図示しない搬送装置によって、図2(A)に示すように、シート20を保持した状態のジョイントハンド16A~16Cを、成形ドラム12の上方へ搬送する。これにより、図2(B)に示すように、ジョイントハンド16Aによってシート20の先端部20Fを回転ドラムへ貼付できる。
【0116】
そして成形ドラム12を回転させると、シート20が成形ドラム12に巻付いて、シート20の先端部20Fの上方に、ジョイントハンド16Cに保持された後端部20Rを配置できる。この状態で、後端部20Rを先端部20Fに接合すると、後端部20Rを先端部20Fに精度高く接合できる。これにより、カーカスプライであるシート20のラップジョイントを精度よく形成できる。
【0117】
<その他の実施形態>
上記実施形態においては、プレート40に、バットジョイントに用いるための凸部46が形成されている。また、第一ブロック32及び第二ブロック34に、凸部46との間でシート20を挟む凹部38が形成されているが、本発明の実施形態はこれに限らない。
【0118】
例えばこれらの凸部46及び凹部38は設けなくてもよい。つまり、本発明のジョイントハンド及びジョイント装置は、ラップジョイントに用いることができればよく、必ずしもバットジョイントに用いる必要はない。
【0119】
また、上記実施形態においては、ジョイントハンド16Aと16Cとの間に、ジョイントハンド16Bを設けているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えばこのジョイントハンド16Bは省略してもよい。ジョイントハンド16Bを省略しても、シート20の先端部20Fと後端部20Rとを持ち上げることができれば、シート20を搬送することができる。
【0120】
また、上記実施形態においては、ジョイントハンド16A及び16Cに備えられたバキュームパッド36によってシート20を保持しているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えばこれらのバキュームパッド36は省略してもよい。
【0121】
この場合、配置台14に置かれたシート20の先端部20Fの下方に、ジョイントハンド16Aの押え板42を差し込んで第一ブロック32との間で挟めば、シート20の先端部20Fを保持することができる。
【0122】
同様に、配置台14に置かれたシート20の後端部20Rの下方に、ジョイントハンド16Cの押え板42を差し込んで第一ブロック32との間で挟めば、シート20の後端部20Rを保持することができる。
【0123】
また、上記実施形態においては、プランジャ52AのX方向先端側への移動量を規制するために、中間シリンダ54及びプランジャ54Aを設けているが、本発明の実施形態はこれに限らない。
【0124】
例えば中間シリンダ54及びプランジャ54Aを省略しても、プランジャ52Aのストロークを制御すれば、プランジャ52AのX方向先端側への移動量を規制することができる。
【0125】
また、上記実施形態においては、ラップジョイントにおいては被接合部材をシート20の先端部20Fとしている。また、接合部材を、被接合部材であるシート20と同じシート20の後端部20Rとしているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば被接合部材のシートと接合部材のシートとを、異なるシートとしてもよい。
【0126】
また、シート20の後端部20Rを接合する被接合部材としては、必ずしもシート状部材の先端部とする必要はない。シート20の後端部20Rは、様々な接合対象に対して接合できる。
【0127】
また、接合部材としては必ずしもシート20の後端部20Rである必要はない。例えばジョイントハンド16Aを用いてシート20の先端部20Fを、被接合部材へ接合する場合も、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0128】
10 ジョイント装置、 12 成形ドラム(回転ドラム)、 14 配置台、
16A ジョイントハンド(第一ハンド) 16C ジョイントハンド(第二ハンド)、
18 カメラ(検出手段)、 20 シート(被接合部材、接合部材)、
20F 先端部(被接合部材)、 20R 後端部(接合部材)、
32 第一ブロック、34 第二ブロック、 36 バキュームパッド(吸着部)
40 プレート、 42 押え板、 44 間隔部、 46 凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11