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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083912
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】折戸用丁番
(51)【国際特許分類】
   E05D 11/10 20060101AFI20240617BHJP
   E05C 1/04 20060101ALI20240617BHJP
   E05C 17/02 20060101ALI20240617BHJP
   E06B 3/48 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
E05D11/10
E05C1/04 H
E05C17/02
E06B3/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197996
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】517228847
【氏名又は名称】ニホンエスティ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160185
【弁理士】
【氏名又は名称】垣内 茂晴
(72)【発明者】
【氏名】平井 弘達
【テーマコード(参考)】
2E015
2E032
【Fターム(参考)】
2E015AA02
2E015BA02
2E015BA03
2E015CA12
2E015CB01
2E015CB03
2E015DA05
2E015FA01
2E032BA04
2E032CA01
2E032EB06
2E032EC02
(57)【要約】
【課題】施解錠機能を備えた折戸用丁番を提供する。
【解決手段】折戸用丁番1は、折戸12A,12Bに取付けられる対の取付板1A,1Bが折戸12A,12Bの閉成位置では略面一となり、開成位置では折畳まれる如く回動自在に連結された折戸用丁番1を前提としている。そして、対の取付板1A,1Bが折戸12A,12Bの閉成位置で略面一となった状態で、折戸12A,12Bの外側の部材と内側の部材とを連動させ、施解錠を行うように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折戸に取付けられる対の取付板が前記折戸の閉成位置では略面一となり、開成位置では折畳まれる如く回動自在に連結された折戸用丁番であって、
前記対の取付板が前記折戸の閉成位置で略面一となった状態で、前記折戸の外側の部材と内側の部材とを連動させ、施解錠を行うように構成されている折戸用丁番。
【請求項2】
前記折戸の外側に設けられる外側ツマミまたは前記折戸の内側に設けられる内側ツマミをスライドさせることで、前記折戸の内側に設けられるスライド部材の先端部が当該折戸用丁番の回動部に抜き差しされる請求項1に記載の折戸用丁番。
【請求項3】
前記取付板には、係合部材と被係合部材とからなるロック機構が設けられ、
前記係合部材には、ブロック状を呈する先端部側に楔状のカム面が設けられ、上面側にロック溝が設けられて後端部側から押圧バネにて先端部側へ押圧され、
前記被係合部材には、前記折戸の閉成位置で前記カム面に当接する閉成用係合面部と、前記折戸の開成位置で前記ロック溝に係合する開成用係合面部とが設けられ、
前記取付板の側面部および/または前記カム面の下面部には差し込み穴が設けられ、
前記折戸の外側に設けられる外側ツマミまたは前記折戸の内側に設けられる内側ツマミをスライドさせることで、前記折戸の内側に設けられるスライド部材の先端部が前記差し込み穴に抜き差しされる請求項2に記載の折戸用丁番。
【請求項4】
前記スライド部材の一端部を側面視で略L字状に立ち上げて前記内側ツマミを形成し、
前記取付板が前記折戸の開成位置で折畳まれた状態では、前記内側ツマミが前記取付板の側面部に当たることで前記スライド部材のスライドを止める請求項2に記載の折戸用丁番。
【請求項5】
前記外側ツマミから延設された連動ピンが前記スライド部材のピン係止部で係止される請求項2に記載の折戸用丁番。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折戸に用いられる折戸用丁番に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折戸に用いられる折戸用丁番が知られている。例えば、特許文献1には、折戸をその開成位置と閉成位置との各位置にロック状態で姿勢保持し得るようにした折戸用丁番が開示されている。これにより、開成位置と閉成位置の各位置において強力で確実な姿勢保持が行なえ、折戸専用の丁番を実用化することが可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平01-030522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の折戸用丁番には施解錠機能が無い。それは日本にはふすま文化があり、紙で開口部を作ることから、昔ながらの考えでは鍵の必要性が求められなかったためである。
【0005】
昨今、バック等の高級品もクロゼット等に収納することが主流となりながら、施解錠機能については何ら対策されていない。地震等の災害時に揺れで折戸が開いてしまい、中の収納物が飛び出すことも考えられ、昔ながらの考えでは利用者が満足できなくなっている。また、クロゼット等は子どもの遊び場となるため、新たに指詰めや閉じ込め等の問題を起こすリスクもあり、必要時以外は開閉を避けることが求められる。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであって、施解錠機能を備えた折戸用丁番を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、折戸に取付けられる対の取付板が前記折戸の閉成位置では略面一となり、開成位置では折畳まれる如く回動自在に連結された折戸用丁番であって、前記対の取付板が前記折戸の閉成位置で略面一となった状態で、前記折戸の外側の部材と内側の部材とを連動させ、施解錠を行うように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、施解錠機能を備えた折戸用丁番を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態における折戸用丁番の使用状態を示す上面図である。
図2図1に示される折戸用丁番が施錠状態であるときの平面図である。
図3図2に示される折戸用丁番の断面図である。
図4図1に示される折戸用丁番が解錠状態であるときの平面図である。
図5図4に示される折戸用丁番の断面図である。
図6図1に示される折戸用丁番が解錠状態で回動する様子を示す断面図である。
図7図1に示される折戸用丁番が備える外側ツマミの平面図である。
図8図6に実線で示される状態の折戸間を外側から見た場合の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。図面は模式的なものであり、各部の厚みや寸法などは現実のものとは異なる。具体的な厚みや寸法などは、以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0011】
[簡易施解錠機能付き折戸用丁番]
図1は、本発明の実施の形態における折戸用丁番1の使用状態を示す上面図である。ここでは、クロゼットの折戸12A,12Bに折戸用丁番1が取り付けられ、開閉される様子を例示している。クロゼットの収納側を「内側」、部屋側を「外側」と呼ぶ。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施の形態における折戸用丁番1は、折戸12A,12Bに用いられる折戸用丁番1であって、基本構造は特許文献1(実公平01-030522号公報)と同様である。そのため、特許文献1と同様の部分はその旨を明示しながら説明する。
【0013】
本発明の実施の形態における折戸用丁番1は、特許文献1と同様、折戸12A,12Bに取り付けられる対の取付板1A,1Bが折戸12A,12Bの閉成位置(実線で描いた位置)では略面一となり、開成位置(破線で描いた位置)では折畳まれる如く回動自在に連結された折戸用丁番1を前提としている。特許文献1と異なる点は、対の取付板1A,1Bが折戸12A,12Bの閉成位置で略面一となった状態で、折戸12A,12Bの外側の部材と内側の部材とを連動させ、施解錠を行うように構成されている点である。
【0014】
詳細については後述するが、折戸12A,12Bの外側に設けられる外側ツマミ30Tまたは折戸12A,12Bの内側に設けられる内側ツマミ20Tをスライドさせることで、折戸12A,12Bの内側に設けられるスライド部材の先端部が折戸用丁番1の回動部(係合部材の先端部)に抜き差しされるようになっている。これにより、スライド部材の先端部を差し込んだ状態では折戸用丁番1の回動部が回動しないため、施錠状態になる。一方、スライド部材の先端部を抜き出した状態では折戸用丁番1の回動部が回動するため、解錠状態になる。
【0015】
このように、本発明の実施の形態によれば、簡易ではあるが、折戸用丁番1に施解錠機能を付けることができる。そのため、地震等の災害時でも施錠状態であればクロゼット内の収納物が飛び出すことを防止することが可能である。また、クロゼット等は子どもの遊び場となるが、指詰めや閉じ込め等のリスクを回避することも可能である。さらに、このような鍵機能を付ければ、部屋同様、クロゼット内のプライバシーを守ることも可能である。
【0016】
[施錠状態]
図2は、図1に示される折戸用丁番1が施錠状態であるときの平面図であり、図3は、その断面図である。図2および図3に示すように、折戸用丁番1は、折戸12A,12Bに取り付けられる取付板1A,1Bと、取付板1A,1Bの回転軸である軸ピン2と、軸ピン2を抱持するボス3とを備えている。取付板1A,1Bの側面部同士がストッパ面4で当接して略面一となっている。取付板1A,1Bそれぞれの四隅には円形のビス孔5が形成されているが、ビス孔5の形状、数、位置等は適宜変更すればよく、これに限定されるものではない。
【0017】
特許文献1に記載されているように、取付板1A,1Bには、係合部材6と被係合部材7とからなるロック機構が設けられている。すなわち、係合部材6は、全体がブロック状に形成された部材である。係合部材6の先端部側には楔状のカム面6aが設けられ、上面側には軸ピン2と平行するロック溝6bが設けられ、後端部側から押圧バネ8にて先端部側へ押圧される構造になっている。カム面6aには、軸ピン2を貫通し得る貫通孔6cが穿設されている。符号6dは係合部材6に設けられた押圧バネ収容孔、符号6eは係合部材6の頂点、符号9は押圧バネ8の当接板、符号10は係合部材6の案内である。一方、被係合部材7には、折戸12A,12Bの閉成位置でカム面6aに当接する閉成用係合面部7aと、折戸12A,12Bの開成位置でロック溝6bに係合する開成用係合面部7bとが設けられている。符号11は取付板1Aに設けられた切欠部であり、カム面6aの当りを逃がすためのものである。
【0018】
特許文献1と異なる点は、折戸用丁番1が施解錠機能を備えている点である。すなわち、取付板1A上にスライド部材20Sが左右(長手方向)にスライド可能に取り付けられている。スライド部材20Sの一端部を側面視(図3)で略L字状に立ち上げて内側ツマミ20Tを形成している。このようなスライド部材20Sが挿通し得る大きさの挿通孔7hが被係合部材7に設けられている。また、取付板1A,1Bが略面一となった状態で、スライド部材20Sの先端部と対向する位置(この例では、カム面6aの下面部)に差し込み穴6hが設けられている。さらに、スライド部材20Sの下面にはピン係止部(溝または穴)20Hが設けられ、外側ツマミ30Tから延設された連動ピン30Pをピン係止部20Hで係止している。連動ピン30Pやピン係止部20Hの形状や大きさなどは特に限定されるものではなく、連動ピン30Pがスライド部材20Sを貫通していてもよい。連動ピン30Pの他方端は、折戸12Aに形成された連動ピン移動穴加工部12Hを通じて外側に延び、その先端に外側ツマミ30Tが取り付けられている。これにより、外側ツマミ30Tまたは内側ツマミ20Tを用いてスライド部材20Sの先端部を差し込み穴6hに差し込むと、スライド部材20Sが取付板1A,1Bの回動を阻止し、施錠状態になる。
【0019】
[解錠状態]
図4は、図1に示される折戸用丁番1が解錠状態であるときの平面図であり、図5は、その断面図である。施錠状態において外側ツマミ30Tまたは内側ツマミ20Tを左にスライドさせると、図4および図5に示すように、それと連動してスライド部材20Sも左にスライドし、スライド部材20Sの先端部が差し込み穴6hから抜き出され、解錠状態になる。解錠状態では、取付板1A,1Bを回動できるため、折戸12A,12Bを自在に閉成位置(図1に実線で描いた位置)や開成位置(図1に破線で描いた位置)にすることが可能である。
【0020】
[回動]
図6は、図1に示される折戸用丁番1が解錠状態で回動する様子を示す断面図である。この回動の原理自体は、特許文献1と同様である。
【0021】
すなわち、閉成位置の折戸12A,12Bを折り曲げると、軸ピン2を中心として取付板1A,1Bに回動力が作用し、係合部材6のカム面6aに当接している被係合部材7の押圧力により、係合部材6を押圧バネ8のバネ力に抗して後退させることができる。そして、被係合部材7の閉成用係合面部7aがカム面6aの頂点6e(デッドポイント)を越えると、係合部材6と被係合部材7の係合が外れる。これにより、取付板1A,1Bは、図6に二点鎖線で示すように、相互にフリー回動の状態となり、折戸12A,12Bを容易に折曲することができる。このとき、係合部材6は、押圧バネ8のバネ力により原位置に復帰している。
【0022】
さらに、折戸12A,12Bの折曲が進み、開成位置に至ると、図6に一点鎖線で示すように、係合部材6のカム面6aの上面に被係合部材7の開成用係合面部7bが当接して係合部材6を再び押圧バネ8のバネ力に抗して後退させ、図6に実線で示すように、被係合部材7の開成用係合面部7bが係合部材6の上面のロック溝6bと係合する。このとき、押圧バネ8のバネ力により係合部材6と被係合部材7はロック状態となり、折戸12A,12Bの開成状態が完了するとともに、その姿勢が保持される。このとき、スライド部材20Sの先端部が被係合部材7の挿通孔7hから大きく突き出すことを防止する構造になっている(この突き出し防止構造は特許文献1と異なるので後に詳しく説明する)。
【0023】
一方、折戸12A,12Bを開成状態から閉成状態にする場合は、折戸12A,12Bの展開力により係合部材6の上面のロック溝6bを係合している被係合部材7の開成用係合面部7bが押圧バネ8のバネ力に抗して係合部材6を後退させ、ロック溝6bとの係合を外し、取付板1A,1Bを相互にフリー回動状態となすので折戸12A,12Bの折曲は容易となる。そして、折戸12A,12Bの折曲が進み、閉成位置に近づくと、被係合部材7の閉成用係合面部7aが係合部材6のカム面6aに当接し、押圧バネ8のバネ力に抗して係合部材6を後退させ、閉成用係合面部7aがカム面6aの頂点6eを越えると係合部材6は押圧バネ8のバネ力により再び突き出し、カム面6aを被係合部材7の閉成用係合面部7aに圧接して係合部材6と被係合部材7はロック状態となり、折戸12A,12Bの閉成状態は完了するとともに、その姿勢が保持される。
【0024】
[突き出し防止構造]
図6に実線で示すように、取付板1A,1Bが折戸12A,12Bの開成位置で折畳まれた状態では、内側ツマミ20Tが取付板1Bのツマミロック部(側面部)Lに当たることでスライド部材20Sのスライドを止めることができる。図6で説明すると、これ以上、スライド部材20Sが左方向にスライドしないので、スライド部材20Sの先端部が被係合部材7の挿通孔7hから大きく突き出すことを防止することが可能である。
【0025】
[外側ツマミ]
図7は、図1に示される折戸用丁番1が備える外側ツマミ30Tの平面図であり、(A)は施錠状態、(B)は解錠状態を示している。また、図8は、図6に実線で示される状態の折戸12A,12B間を外側から見た場合の平面図である。
【0026】
図7および図8に示すように、折戸12Aに外側ツマミ本体30が設けられている。符号30Yは、折戸12Aに設けられた外側ツマミ本体呼び込み、符号1Hは、取付板1Aに設けられた外側ツマミ本体呼び込み穴である。外側ツマミ本体30に円形凹部が形成され、その内部に外側ツマミ30Tが設けられている。外側ツマミ30Tは、折戸12Aに形成された連動ピン移動穴加工部12Hの空間を左右にスライド可能に取り付けられている。外側ツマミ30Tから延設された連動ピン30Pをピン係止部20Hで係止しているため、外側ツマミ30Tを左右にスライドさせると、それと連動してスライド部材20Sも左右にスライドする。これにより、取付板1A,1Bが略面一となった状態で、図7(A)に示すように、外側ツマミ30Tを連動ピン移動穴加工部12Hの左端までスライドさせると施錠状態になる。一方、取付板1A,1Bが略面一となった状態で、図7(B)に示すように、外側ツマミ30Tを連動ピン移動穴加工部12Hの右端までスライドさせると解錠状態になる。
【0027】
[差し込み穴の変形例]
上記の説明では、カム面6aの下面部に差し込み穴6hが設けられている場合を例示したが(図3)、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、スライド部材20Sの先端部が折戸用丁番1の回動部(係合部材6の先端部)に抜き差しされる構成であればよく、種々の変形が可能である。例えば、差し込み穴6hは、カム面6aの下面部ではなく、カム面6aの下面部に位置する取付板1Bの側面部(ストッパ面4)に設けられていてもよい。あるいは、差し込み穴6hは、カム面6aの下面部と、取付板1Bの側面部(ストッパ面4)の両方にまたがるように設けられていてもよい。
【0028】
[本発明の特徴的な構成とその効果]
以上説明したように、本発明の実施の形態における折戸用丁番1は、折戸12A,12Bに取付けられる対の取付板1A,1Bが折戸12A,12Bの閉成位置では略面一となり、開成位置では折畳まれる如く回動自在に連結された折戸用丁番1を前提としている。そして、対の取付板1A,1Bが折戸12A,12Bの閉成位置で略面一となった状態で、折戸12A,12Bの外側の部材と内側の部材とを連動させ、施解錠を行うように構成されている。これにより、施解錠機能を備えた折戸用丁番1を提供することが可能である。また、折戸12A,12Bの外側から施錠しても内側から解錠可能であるという効果もある。
【0029】
具体的には、折戸12A,12Bの外側に設けられる外側ツマミ30Tまたは折戸12A,12Bの内側に設けられる内側ツマミ20Tをスライドさせることで、折戸12A,12Bの内側に設けられるスライド部材20Sの先端部が当該折戸用丁番1の回動部に抜き差しされる。これにより、外側ツマミ30Tまたは内側ツマミ20Tをスライドさせるだけの簡易な構成で施解錠機能を実現することが可能である。
【0030】
また、取付板1A,1Bには、係合部材6と被係合部材7とからなるロック機構が設けられている。係合部材6には、ブロック状を呈する先端部側に楔状のカム面6aが設けられ、上面側にロック溝6bが設けられて後端部側から押圧バネ8にて先端部側へ押圧される。被係合部材7には、折戸12A,12Bの閉成位置でカム面6aに当接する閉成用係合面部7aと、折戸12A,12Bの開成位置でロック溝6bに係合する開成用係合面部7bとが設けられている。取付板1Bの側面部および/またはカム面6aの下面部には差し込み穴6hが設けられている。スライド部材20Sをスライドさせることでその先端部が差し込み穴6hに抜き差しされる。これにより、開成位置と閉成位置の各位置において強力で確実な姿勢保持が行なえる折戸用丁番1に施解錠機能を付けることが可能である。
【0031】
また、スライド部材20Sの一端部を側面視で略L字状に立ち上げて内側ツマミ20Tを形成する。取付板1A,1Bが折戸12A,12Bの開成位置で折畳まれた状態では、内側ツマミ20Tが取付板1Bの側面部Lに当たることでスライド部材20Sのスライドを止める。これにより、簡易な構成でスライド部材20Sと内側ツマミ20Tとを連動させることが可能である。また、スライド部材20Sの先端部が被係合部材7の挿通孔7hから大きく突き出すことを防止できる効果もある。
【0032】
また、外側ツマミ30Tから延設された連動ピン30Pがスライド部材20Sのピン係止部20Hで係止される。これにより、簡易な構成でスライド部材20Sと外側ツマミ30Tとを連動させることが可能である。
【0033】
[その他の実施の形態]
以上のように、本発明の実施の形態について記載したが、開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。すなわち、上記の説明では、特許文献1と同様の基本構造を備えた折戸用丁番1を例示したが、本発明は、施解錠機能を備えることが必要な様々なタイプの折戸用丁番1に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 折戸用丁番
1A 取付板
1B 取付板
6 係合部材
6a カム面
6h 差し込み穴
7 被係合部材
7a 閉成用係合面部
7b 開成用係合面部
8 押圧バネ
12A 折戸
12B 折戸
20H ピン係止部
20S スライド部材
20T 内側ツマミ
30P 連動ピン
30T 外側ツマミ
L 取付板の側面部(ツマミロック部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8