(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008392
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】建物ユニットおよびユニット建物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/348 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
E04B1/348 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110229
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長 幸光
(57)【要約】
【課題】主に、矩形枠に対し、中間部材を用いずに水平ブレースを接合し得るようにする。
【解決手段】
4本の柱3の上端間および下端間を、それぞれ平行な二対の梁4で連結してなる上下の矩形枠6と、矩形枠6を構成する梁4のうちの一対の梁4の間に架設された根太8と、を有する建物ユニット2に関する。少なくとも一方の矩形枠6における、根太8が架設された一対の梁4の間を斜めに連結する水平ブレース21が設けられる。水平ブレース21は、端部を梁4の長手方向の中間位置22,23にて、梁4の外面24に、直接接合されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4本の柱の上端間および下端間を、それぞれ平行な二対の梁で連結してなる上下の矩形枠と、
前記矩形枠を構成する前記梁のうちの一対の前記梁の間に架設された根太と、を有する建物ユニットであって、
少なくとも一方の前記矩形枠における、前記根太が架設された一対の前記梁の間を斜めに連結する水平ブレースが設けられ、
前記水平ブレースは、端部を前記梁の長手方向の中間位置にて、前記梁の外面に、直接接合されていることを特徴とする建物ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の建物ユニットであって、
前記中間位置は、前記梁における前記根太のない位置であることを特徴とする建物ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の建物ユニットであって、
前記中間位置は、前記梁における前記根太の位置であることを特徴とする建物ユニット。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の建物ユニットであって、
前記梁の前記外面は、前記梁の上面または下面であることを特徴とする建物ユニット。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の建物ユニットを上下に積層したユニット建物であって、
前記水平ブレースは、上下の前記建物ユニットにおける、上下に近接する前記矩形枠の上下の前記梁の間に挟み込まれると共に、上下の前記梁に対して同時に接合されていることを特徴とするユニット建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物ユニットおよびユニット建物に関する。
【背景技術】
【0002】
ユニット建物などの建物は、複数の建物ユニットで構成されている。建物ユニットは、4本の柱の上端間および下端間を、それぞれ平行な二対の梁で連結してなる上下の矩形枠と、矩形枠を構成する平行な二対の梁のうちの一方の一対の梁の間に架設された根太とを有している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の建物ユニットでは、矩形枠の剛性を確保向上するために、矩形枠の対角位置にある柱間に水平ブレースを接合していた。
【0005】
この際、柱に対して水平ブレースを接合するのに、柱と水平ブレースとの間に、水平ブレース取付金物などの中間部材を用いていた。このような中間部材には、取付工数やコストがかかる。
【0006】
そこで、本発明は、上記した問題点の改善に寄与することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に対して、本発明は、
4本の柱の上端間および下端間を、それぞれ平行な二対の梁で連結してなる上下の矩形枠と、
前記矩形枠を構成する前記梁のうちの一対の前記梁の間に架設された根太と、を有する建物ユニットであって、
少なくとも一方の前記矩形枠における、前記根太が架設された一対の前記梁の間を斜めに連結する水平ブレースが設けられ、
前記水平ブレースは、端部を前記梁の長手方向の中間位置にて、前記梁の外面に、直接接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上記構成によって、矩形枠に対し、中間部材を用いずに水平ブレースを接合することなどが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態にかかる、建物ユニットを上下に積層して建物(ユニット建物)を構築する状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1の下階の建物ユニットの概略平面図である。
【
図3】上下の建物ユニットが短辺方向に並べて設置されたユニット建物における、上下の建物ユニットの間に挟み込まれた水平ブレースの設置状況を示す、上下の梁を長辺方向から見た縦断面図である。
【
図4】(a)は実施例にかかる、
図2の丸で囲んだ部分の拡大平面図、(b)は短辺方向から見た(a)の縦断面図である。
【
図5】(a)は他の実施例にかかる、
図2の丸で囲んだ部分の拡大平面図、(b)は短辺方向から見た(a)の縦断面図である。
【
図6】水平ブレースの接合に使用する接合部材を示す側面図である。このうち、(a)は接合ピン、(b)は接合ボルトである。
【
図7】(a)は比較例にかかる全体平面図、(b)は(a)の部分拡大平面図、(c)は短辺方向から見た(b)の縦断面図である。
【
図8】(a)は他の比較例にかかる全体平面図、(b)は(a)の部分拡大平面図、(c)は短辺方向から見た(b)の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1~
図8は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例0011】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0012】
図1(
図2)に示すように、建物1を、ユニット建物で構成する。ユニット建物は、予め工場で製造した複数の建物ユニット2を建築現場へ運んで、建築現場で組み立てることにより、短期間のうちに構築できるようにした建物1である。
【0013】
建物ユニット2は、ユニット建物を構成する単位構成物であり、ほぼ直方体状をしている。建物ユニット2は、内部に、柱3と梁4とによって構成されたボックスラーメン構造の骨格(ユニットフレーム)を有している。
【0014】
そして、建物ユニット2(のユニットフレーム)は、4本の柱3の上端間および下端間を、それぞれ平行な二対の梁4で連結してなる上下の矩形枠6と、矩形枠6を構成する梁4のうちの平行な一対の梁4の間に架設された根太8と、を有している。
【0015】
柱3は、上下方向Zに延びる縦部材であり、例えば、中空でほぼ正方形断面の角型鋼管によって構成されている。4本の柱3は、ほぼ同じ長さでほぼ同じ断面形状になっている。
【0016】
梁4は、水平方向で、かつ、建物ユニット2の長辺方向Xまたは、短辺方向Yに延びる横部材である。梁4は、一対の長い梁4(L)と一対の短い梁4(S)とを有する。一対の長い梁4(L)は、互いにほぼ同じ長さとされ、一対の短い梁4(S)は、互いにほぼ同じ長さとされる。一対の長い梁4(L)が延びる方向が、建物ユニット2の長辺方向Xになる。別の一対の短い梁4(S)が延びる方向が、建物ユニット2の短辺方向Yになる。
【0017】
梁4は、内向きC字状の形鋼によって構成されている。梁4は、上下のフランジ部4a,4b(横面)とウェブ部4c(縦面)とからなっており、上下のフランジ部4a,4bは、ウェブ部4cの上下の縁部から、矩形枠6の内側へ延びるように一体に形成されている(
図3)。
【0018】
梁4と柱3との間の接合には、梁4よりも一回り大きい内向きC字断面のジョイントピース9が使用される。ジョイントピース9は、梁4と同様に、上下のフランジ部(横面)とウェブ部(縦面)とからなっている。ジョイントピース9は、柱3の端部に対し、溶接などによって一体に接合される。梁4は、端部がジョイントピース9の内側にほぼ隙間なく嵌合されて、溶接などによって一体に固定される。
【0019】
梁4は、柱3の上端間を接合する上側のものが天井梁13となり、柱3の下端間を接合する下側のものが床梁14となる。上側の梁4、下側の梁4は、それぞれがほぼ同じ断面形状となっている。この実施例では、上側の梁4は、下側の梁4よりも上下寸法(高さ)が大きくなっている。
【0020】
矩形枠6は、一対の長い梁4(L)と一対の短い梁4(S)とによって形成される平面視長方形状の閉じた枠となっている。上側の矩形枠6は天井枠15となり、下側の矩形枠6は床枠16となる。
【0021】
根太8は、矩形枠6を構成する一対の梁4の間に水平に架設連結される木製または金属製の横補剛部材である。根太8は、一対の長い梁4(L)の間に架設される。根太8は、短い梁4(S)とほぼ同じ長さを有して、長い梁4(L)に沿い所要の間隔を有して複数本互いに平行に設置される。根太8は、短い梁4(S)とも平行に設置される。複数の根太8は、それぞれほぼ同じ断面形状となっている。なお、根太8は、梁4よりも上下寸法(高さ)が小さくなっている。
【0022】
根太8は、天井枠15の内側に設けられるものが天井根太17となり、床枠16の内側に設けられるものが床小梁18となる。天井根太17と床小梁18とは、互いに同じ本数設けても良いし、異なる本数設けても良い。また、天井根太17と床小梁18とは、長辺方向Xに対し、同じ位置に設けても良いし、異なる位置に設けても良い。
【0023】
この実施例では、天井根太17は、床小梁18よりも2本多く設けられている。そして、天井根太17は、床小梁18とほぼ同じ位置に設けられ、更に、一対の短い梁4(S)の近くに2本設けられている。短い梁4(S)とその近くの天井根太17との間には、長辺方向Xに延びる短い補強根太19が、短辺方向Yに間隔を有して複数本架設されている。ただし、天井根太17および床小梁18の本数や配置などは、上記に限るものではない。また、補強根太19と同様の短い補強根太は、短い梁4(S)とその近くの床小梁18との間に設けても良い。
【0024】
上記のような基本的な構成に対し、この実施例では、以下のような構成を備えても良い。
【0025】
(1)建物ユニット2では、
図2に示すように、少なくとも一方の矩形枠6における、根太8が架設された一対の梁4の間を斜めに連結する水平ブレース21が設けられる。
水平ブレース21は、端部を梁4の長手方向の中間位置22(
図4)、中間位置23(
図5)にて、梁4の外面24に、直接接合されている。
【0026】
ここで、少なくとも一方の矩形枠6は、上下の矩形枠6(天井枠15、床枠16)のうちのどちらか一方でも良いし、両方でも良い。
【0027】
根太8が架設された一対の梁4は、この実施例では長い梁4(L)となっている。ただし、根太8が架設された一対の梁4は、状況によっては、短い梁4(S)となる場合も有り得る。根太8と水平ブレース21とは、同じ梁4の間に設けられる。
【0028】
水平ブレース21は、連結した部材間に荷重伝達を行わせる水平な棒状の連結部材である。水平ブレース21は、少なくとも、棒状をした鋼製のブレース本体21a(例えば、丸鋼など)と、ブレース本体21aの両端部に溶接固定された接合用の羽子板プレート21bとを有している(
図3、
図4など)。ブレース本体21aは、中間の部分に、必要に応じて、張力を調整するためのターンバックルを設けても良い。
【0029】
水平ブレース21は、部材間に1本、または、2本セットにして取付けられる。2本セットにした場合には、2本の水平ブレース21は、交差状にして取付けられる。斜めの水平ブレース21は、一対の梁4に対して、両端部(羽子板プレート21b)を、梁4の長手方向の異なる位置に接合される。即ち、水平ブレース21は、一方の端部が一方の梁4の一端側の位置に接合され、他方の端部が他方の梁4の他端側の位置に接合される。水平ブレース21を交差状にして2本取付ける場合、2本の水平ブレース21は、同じ長さにして、一対の梁4の長手方向の同じ位置に、同じ側の端部を接合させるようにしても良い。
【0030】
水平ブレース21の端部は、羽子板プレート21bとなる。羽子板プレート21bは、ブレース本体21aを延長するように細長く延びる水平な面を有する短冊状をした金属板とされる。羽子板プレート21bには、ブレース本体21aとは反対の側に、梁4に対する接合用の取付孔21cが上下に貫通形成される。取付孔21cが水平ブレース21の端部における、梁4との接合部分となる。羽子板プレート21bは、矩形枠6から外へハミ出さないように梁4に接合される。これにより、水平ブレース21の梁4に対する接合部分は、平面的に見て矩形枠6の内側でも外側でもなく、矩形枠6の位置、または、矩形枠6を構成する梁4と上下に重なる位置となる。
【0031】
梁4の長手方向は、各梁4が延びる方向(長辺方向Xまたは短辺方向Y)である。この実施例では、梁4の長手方向は、水平ブレース21を接合する長い梁4(L)の延設方向(矩形枠6の長辺方向X)となっている。
【0032】
梁4の中間位置22,23は、梁4の両端以外の中間部における水平ブレース21を接合する位置である。中間位置22,23については、後述する。水平ブレース21は、中間位置22と、中間位置23とのどちらに接合しても良い。梁4の中間位置22,23に接合する水平ブレース21の端部は、水平ブレース21の両端部としても良いし、一方の端部のみとしても良い。
図1、
図2では、水平ブレース21は、両端部を梁4の中間位置22,23に接合している。
【0033】
梁4の外面24は、C字状の形鋼からなる梁4の内部25以外の、外に露出する部分(外表面)である。具体的には、梁4の外面24は、上側のフランジ部4aの上側の面、下側のフランジ部4bの下側の面、ウェブ部4cの外側の面となる。これにより、水平ブレース21の端部は、側方から見て梁4の外に位置される。
【0034】
直接接合は、水平ブレース21の端部と梁4とが、間に接合用の中間部材などを用いないで接合されることである。水平ブレース21の端部は、梁4の外面24に直接接触された状態、または、梁4の外面24との間に狭い空間や、座金、保護シートなどの挟着部材が介在された状態で接合される。以上の状態は、いずれも、直接接合の範囲内に含まれるものとする。挟着部材は、水平ブレース21の端部と梁4との間に挟み込む部材であり、単に梁4に重ねて設置する程度の簡単なものとされる。挟着部材は、部品コストや設置の手間がほとんど掛からず、水平ブレース21の接合構造を大きく変えないものであれば良い。挟着部材は、ユニット建物に影響を与えない程度の板厚であれば良い。
【0035】
水平ブレース21の端部と梁4との接合には、
図6(a)(b)に示すような、上下に延びる接合部材26が使用される。水平ブレース21の端部と梁4とは、少なくとも1本の接合部材26によって、直接接合される。接合部材26は、
図6(a)に示すような接合ピン27、または、
図6(b)に示すような接合ボルト28とすることができる。接合ピン27は、差込固定具である。接合ボルト28は、ナットなどを用いる締結固定具である。水平ブレース21の接合部分は、正確には、接合部材26(接合ピン27または接合ボルト28)の軸心位置となる。接合部材26については後述する。
【0036】
(2)建物ユニット2では、
図4に示すように、中間位置22は、梁4における根太8のない位置(根太非設置部)としても良い。
【0037】
この場合、水平ブレース21は、梁4の長手方向の中間部における、根太8からズレた位置(中間位置22)に対して接合される。
【0038】
ここで、根太8からズレるとは、水平ブレース21の端部と根太8の端部とが、梁4の長手方向の同じ位置(の上下)には存在していないことである。この実施例では、水平ブレース21の端部と根太8の端部とは、梁4の長辺方向Xに対して互いに異なる位置に設置されている。
【0039】
これにより、建物ユニット2は、梁4の水平ブレース21との接合部分(中間位置22)に根太8が存在せずに、根太8が接合部分を直接横補剛していない構造となる。
【0040】
水平ブレース21は、梁4に対し、例えば、柱3の近傍における、根太8から外れた位置などに接合しても良い。また、水平ブレース21は、根太8の近くの、根太8による十分な横補剛機能が及ぶ範囲内の位置に接合しても良い。あるいは、水平ブレース21は、隣接する根太8間の、両方の根太8からほぼ等距離となる位置(中央部)に接合しても良い。
【0041】
(3)建物ユニット2では、
図5に示すように、中間位置23は、梁4における根太8の位置(根太設置部)としても良い。
【0042】
この場合、水平ブレース21は、梁4の長手方向の中間部における、根太8と合致する位置(中間位置23)に対して接合される。
【0043】
ここで、根太8と合致するとは、水平ブレース21の端部と根太8の端部とが、梁4の長手方向の同じ位置にて、上下に重なるように存在することである。この実施例では、水平ブレース21の端部と根太8の端部とは、中間位置23に対し、上下に離して設置されている。水平ブレース21の端部と根太8は、上下方向Zに沿った位置に両方が存在していれば良く、直接接触している必要はない。
【0044】
これにより、建物ユニット2は、梁4の水平ブレース21との接合部分(中間位置23)に根太8が存在して、根太8が接合部分を直接横補剛する構造になる。水平ブレース21は、接合部材26の軸心が根太8の幅中心と一致するのが最も良いが、接合部材26の一部が根太8の幅範囲内に掛かっていれば良い。
【0045】
例えば、矩形枠6の全体または梁4の全長を1つの領域として、水平ブレース21を領域内に1本または2本交差形状で設ける場合が考えられる。この場合には、梁4に対する水平ブレース21の接合部分は、柱3に最も近い根太8の位置、または、柱3から数本(2本~4本)程度離れた根太8のいずれかの位置などとしても良い。例えば、
図1では、水平ブレース21の接合部分は、柱3から2本目の根太8(天井根太17)の位置、または、柱3から1本目の根太8(床小梁18)の位置などとなっている。
【0046】
ただし、矩形枠6または梁4は、長手方向(長辺方向X)に対し、複数の領域に分けて、少なくとも1つ以上の領域に対して水平ブレース21を設けることができる。この場合には、水平ブレース21を接合する位置は、この限りではない。この場合、水平ブレース21は、例えば、各領域の状況に応じて、領域の端部や領域間の境界部分に近い根太8の位置に接合すれば良い。
【0047】
例えば、
図2では、矩形枠6を梁4の長手方向に大きさの異なる3つの領域に分けており、水平ブレース21は、中間の領域のみに設けられている。この場合、3つの領域の1つ以上、または、全ての領域に対して水平ブレース21を設けることもできる。また、例えば、矩形枠6を2つの領域に分けて、片側の領域にのみ水平ブレース21を設けたり、両側の領域にそれぞれ水平ブレース21を設けたりしても良い。また、例えば、矩形枠6を4つ以上の領域に分けて、水平ブレース21を、1つ以上、または、全ての領域に対して設けることもできる。
【0048】
なお、水平ブレース21は、一端部を梁4の長手方向の中間位置22(根太8がない位置)に接合し、他端部を梁4の長手方向の中間位置23(根太8がある位置)に接合するような、変則的な設置の仕方も可能である。
【0049】
(4)建物ユニット2では、
図3に示すように、梁4の外面24は、梁4の上面31または下面32としても良い。
【0050】
ここで、梁4の上面31は、梁4の上側の水平なフランジ部4aの上側の面となる。梁4の上面31に水平ブレース21を接合する場合、水平ブレース21は、上側の矩形枠6(天井枠15)の上部に設置するのが良い。この場合、梁4は天井梁13となる。根太8は木製の天井根太17などとなっている。
【0051】
天井根太17は、端部を、C字状の形鋼からなる梁4の内部25へ挿入されて、梁4の下側のフランジ部4bによって上下方向Zに係止保持されている。
【0052】
この際、梁4の内部25には、天井根太17の上側に空きスペースが形成される。この空きスペースに接合部材26が入るため、水平ブレース21は、梁4の上面31に対し、接合部材26を用いて、天井根太17と干渉しないように接合できる。
【0053】
なお、この空きスペースには、断熱材35を設置しても良い。天井根太17の上部には、天井裏石膏ボード36や天井作業板37などが設置されても良い。また、天井根太17の下部には、天井ツナギ板38などを設置することで天井面が形成される。
【0054】
梁4の下面32は、梁4の下側の水平なフランジ部4bの下側の面となる。梁4の下面32に水平ブレース21を接合する場合、水平ブレース21は、下側の矩形枠6(床枠16)の下部に設置するのが良い。この場合、梁4は床梁14となる。根太8は鋼製の床小梁18などとなっている。
【0055】
床小梁18は、端部に梁4とほぼ同じ大きさの外向きのC字断面のブラケット41が一体に取付けられている。ブラケット41は、梁4と同様に、上下のフランジ部(横面)とウェブ部(縦面)とを有している。
【0056】
床小梁18は、外向きのC字断面のブラケット41を、内向きC字状の形鋼からなる梁4と向かい合わせに配置する。そして、床小梁18は、端部のブラケット41の上下のフランジ部が、梁4の上下のフランジ部4a,4bのそれぞれの上に乗るように梁4と互いに嵌め合わせて、梁4の断面を局所的に塞ぐように設置される。これにより、床小梁18は、梁4の上下のフランジ部4a,4bによって上下方向Zに係止保持される。
【0057】
この際、梁4の内部25は、ほぼ全体が空きスペースとなる。この空きスペースに接合部材26が入るため、水平ブレース21は、梁4の下面32に対し、接合部材26を用いて、床小梁18と干渉しないように接合できる。なお、床小梁18の上部には、床板43などを設置することで床面が形成される。
【0058】
そして、梁4の上側のフランジ部4a、梁4の下側のフランジ部4bの少なくとも一方には、水平ブレース21を接合する位置に、接合ピン27または接合ボルト28を通すための貫通孔45が上下に貫通形成される。また、水平ブレース21を接合する位置に有る床小梁18のブラケット41にも、梁4の貫通孔45と合致する位置に、接合部材26(接合ピン27または接合ボルト28)を通すための貫通孔46が上下に貫通形成される。
【0059】
羽子板プレート21bの取付孔21c、梁4およびブラケット41の貫通孔45,46は、接合ピン27または接合ボルト28による接合に最適な径とされて、接合ピン27または接合ボルト28が通される。
【0060】
(5)上記建物ユニット2を上下に積層した建物1では、
図3に示すように、水平ブレース21は、上下の建物ユニット2(A),2(B)における、上下に近接する矩形枠6の上下の梁4の間に挟み込まれると共に、上下の梁4に対して同時に接合されても良い。
【0061】
ここで、建物1は、建物ユニット2を使用したユニット建物とする。そして、建物1は、建物ユニット2を上下に積層することで2階以上の複数階層の構築物となる。3階以上の建物1の場合、上下の建物ユニット2は、下階と中階、中階と上階の建物ユニット2などとなる。なお、建物1の構成によっては、上下に積層された建物ユニット2(A),2(B)どうしが、
図3のように、水平方向(図では左右)に隣接するように横並びに設置される。この場合、水平ブレース21は、横並びに設置された上下の建物ユニット2(A),2(B)のうちの、少なくとも1つ以上または全部に対して間に挟み込むように設けても良い。
【0062】
上下に近接する矩形枠6の上下の梁4とは、下階の建物ユニット2(B)の矩形枠6(天井枠15)を構成する梁4(天井梁13)と、上階の建物ユニット2(A)の矩形枠6(床枠16)を構成する梁4(床梁14)である。または、下階の建物ユニット2(B)の上側の梁4(天井梁13)と、上階の建物ユニット2(A)の下側の梁4(床梁14)である。あるいは、上下の上階の建物ユニット2(A),2(B)の上下の梁4である。
【0063】
水平ブレース21は、下階の建物ユニット2(B)の矩形枠6(天井枠15)を構成する梁4(天井梁13)の上面31の上に設置される。同時に、水平ブレース21は、上階の建物ユニット2(A)の矩形枠6(床枠16)を構成する梁4(床梁14)の下面32の下に設置される。このように、下階の建物ユニット2(B)の梁4(天井梁13)と、上階の建物ユニット2(A)の梁4(床梁14)との隙間に水平ブレース21が介在設置されることで、水平ブレース21は、上下の梁4の間に挟み込まれる。
【0064】
なお、この上下の梁4の間には、必要に応じて、シート状の制振材51などの挟着部材を設置しても良い。シート状の制振材51は、設置状態で、上下の梁4の間隔と同じか、それよりも板厚が薄くなるものとされる。シート状の制振材51は、水平ブレース21と干渉しないように設置される。
【0065】
この際、水平ブレース21の、上下の梁4に対して同時に行う接合は、
図6(a)(b)に示すような、特殊な形状の接合部材26を使用することで行われる。
【0066】
この接合部材26は、上下方向Zの中間部に、水平ブレース21の取付孔21cや貫通孔45,46を通らない大きさおよび形状(例えば円形や角型)のフランジ26aを有する。そして、接合部材26は、フランジ26aの中心から下および上へ延びて、上下の梁4の対向面(フランジ部4a,4b)やブラケット41などを貫通可能な長さの上下の嵌合軸部26b,67cを有する。
【0067】
接合部材26のフランジ26aの厚みは、上下の建物ユニット2(A),2(B)の上下の梁4の間隔と同じか、それよりも小さくする。上下の嵌合軸部26b,67cは、取付孔21cや貫通孔45,46を通る径とされる。嵌合軸部26b,67cを、取付孔21cや貫通孔45,46などに対して、上下両方に嵌合させることで、水平ブレース21の端部が上下の梁4に同時に接合される。
【0068】
そして、
図6(a)の接合ピン27は、嵌合軸部26b,67cが円柱状のピン部とされる。また、
図6(b)の接合ボルト28は、フランジ26aが正六角形状などの角型とされ、嵌合軸部26b,67cがネジ軸部とされる。なお、接合部材26は、嵌合軸部26b,67cの一方をピン部とし、他方をネジ軸部とした、接合ピン27と接合ボルト28との複合型のものなどとしても良い。
【0069】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0070】
例えば、建物ユニット2の矩形枠6(天井枠15)に対して水平ブレース21を接合する場合、まず、
図7の比較例に示すように、水平ブレース21を、矩形枠6の対角位置にある柱3の間に架け渡すように接合することが考えられる。
【0071】
この場合、柱3の端部には、ジョイントピース9を介して梁4が接合されている。そのため、柱3には、端部における、ジョイントピース9や梁4と干渉しない位置に、水平ブレース取付金物61を取付ける。
【0072】
水平ブレース取付金物61は、柱3の外側面に取付ける第一部分と、水平ブレース21を取付ける第二部分とを有する。第一部分と第二部分とは、一体化されている。第一部分は、ジョイントピース9および梁4の内部25に位置する柱3の外側面に当接固定される。第二部分は、第一部分から、梁4の外側で、矩形枠6の内側となる位置へ向けてほぼ水平に突出する。また、柱3には、内部に裏当プレート62を取付ける。裏当プレート62は、柱3における、水平ブレース取付金物61の第一部分を取付ける部分を、裏側から補強する。
【0073】
そして、水平ブレース取付金物61に対し、水平ブレース21は、端部を通常のボルト60で上下に接合する。これにより、水平ブレース21は、柱3に対して、水平ブレース取付金物61、裏当プレート62を用いて間接的に取付けられる。
【0074】
しかし、このようにすると、水平ブレース21の取付けには、水平ブレース取付金物61、裏当プレート62などの中間部材が必要になり、中間部材の取付工数と部材コストを要する。
【0075】
また、例えば、
図8の他の比較例に示すように、水平ブレース21の少なくとも一端部を、矩形枠6における一対の梁4の中間部に接合する構造なども考えられる。この場合でも、上記と同様に、矩形枠6の内側へ向けてほぼ水平に突出する水平ブレース取付金物61(の第二部分)などの中間部材が必要になる。その他に、例えば、梁4には、水平ブレース21の接合部分を局所的に塞いで閉断面にする補強梁受プレート63や、補強梁受プレート63間を横補剛するブレース受補助梁64などの中間部材を、更に設けることになる。
【0076】
そして、水平ブレース取付金物61は、補強梁受プレート63に接合される。水平ブレース21は、端部を、梁4の上面31と下面32との間(の上面31寄り)の位置にて、水平ブレース取付金物61に対し通常のボルト60で上下に接合される。これにより、水平ブレース21は、梁4に対して、水平ブレース取付金物61、補強梁受プレート63を用いて間接的に取付けられ、ブレース受補助梁64が追加で設置される。
【0077】
しかし、このようにすると、水平ブレース21の取付けには、水平ブレース取付金物61、補強梁受プレート63、ブレース受補助梁64などの中間部材が必要になり、中間部材の取付工数と部材コストが
図7のものよりも更に増加する。
【0078】
そこで、この実施例の建物ユニット2は、水平ブレース21を、梁4の長手方向の中間位置22,23の外面24に対して直接接合するようにした。これにより、水平ブレース21を柱3や梁4に間接的に接合するための中間部材や、梁4に対する水平ブレース21の接合部分を横補剛するための中間部材などをなくして、中間部材の取付工数と部材コストを削減することが可能になる。
【0079】
具体的には、
図1(
図2)に示すように、下階の建物ユニット2(B)の上に、水平ブレース21を設置する。水平ブレース21は、端部(羽子板プレート21b)を、下階の建物ユニット2(B)の上側の矩形枠6(天井枠15)を構成する一対の梁4(天井梁13)の上面31(上側のフランジ部4aの上部)に、載置または当接配置する。そして、この状態で、
図3に示すように、水平ブレース21は、端部を、接合部材26、例えば、接合ピン27の下側のピン部(嵌合軸部26b)で梁4の中間位置22,23の上面31に接合する。
【0080】
この際、
図4、
図5に示すように、接合ピン27は、下側のピン部(嵌合軸部26b)を、水平ブレース21の端部(の羽子板プレート21b)に形成した取付孔21c、および、梁4の上側のフランジ26aに形成した貫通孔45の両方に対して上下に嵌合させる。
【0081】
これにより、建物ユニット2の上側の矩形枠6(天井枠15)に対して水平ブレース21が設置される。
【0082】
以上の建物ユニット2の上側の矩形枠6(天井枠15)への水平ブレース21の取付けは、工場または建築現場のどちらにても行うことができる。水平ブレース21の取付けを工場で行う場合には、接合部材26は、接合ピン27の下側のピン部(嵌合軸部26b)をネジ軸部に変えたもの、または、接合ボルト28を使用して、ナットで下側から締結固定しても良い。これにより、建物ユニット2を工場から建築現場へ搬送しても、水平ブレース21が梁4の上から不用意に外れなくなる。
【0083】
次に、上階の建物ユニット2(A)の下側の矩形枠6(床枠16)に水平ブレース21を設置する。
図1では、建築現場にて、先に設置された下階の建物ユニット2(B)の上に、水平ブレース21が載置保持または接合されている。そして、下階の建物ユニット2(B)の上に、上階の建物ユニット2(A)を、位置および向きを合わせて載置する。これにより、上階の建物ユニット2(A)は、水平ブレース21の上に載置される。
【0084】
この際、
図3に示すように、上階の建物ユニット2(A)は、下側の矩形枠6(床枠16)を構成する梁4(床梁14)の下面32に形成した貫通孔45に、接合ピン27の上側のピン部(嵌合軸部26c)を、上下に嵌合させる。同時に、接合ピン27は、上側のピン部(嵌合軸部26c)を、根太8の端部のブラケット41に形成した貫通孔46に対して上下に嵌合させる。
【0085】
これにより、建物ユニット2の下側の矩形枠6(床枠16)の中間位置22,23の下面32に対して水平ブレース21が設置される。
【0086】
更に、接合ピン27は、下側のピン部(嵌合軸部26b)と上側のピン部(嵌合軸部26c)とが、上下の梁4によって両持ち状態で保持される。そのため、水平ブレース21は、上下の建物ユニット2(A),2(B)の、互いに近接する上下の梁4に対して接合ピン27によって同時に接合された状態になる。上記は、接合ピン27の替わりに接合ボルト28を使用して、ナットで下側から締結固定しても同様である。
【0087】
なお、構造的には、上下の建物ユニット2(A),2(B)の間の上下の梁4は、水平ブレース21を同時に接合しないようにもできる。この場合、水平ブレース21は、上下の建物ユニット2(A),2(B)の間の上下の梁4のいずれか一方のみに対して接合すれば良い。
【0088】
また、構造的には、上下の建物ユニット2(A),2(B)の間に位置しない矩形枠6の梁4についても、水平ブレース21を接合することができる。
【0089】
上記したような、一つの矩形枠6のみに対する、水平ブレース21の梁4への接合は、工場または建築現場のどちらでも行うことができるが、工場にて行う方が効率的である。この場合、梁4への水平ブレース21の接合は、頭部と胴部とを有する一般的なピンやボルト60を用いることができる。
【0090】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果が得られる。
【0091】
(効果 1)建物ユニット2は、4本の柱3の上端間および下端間を、それぞれ平行な二対の梁4で矩形状に連結した構造を有する。これにより、建物ユニット2は、上下に矩形枠6を有し、上下の矩形枠6が4本の柱3で上下に連結された直方体状の骨格(ユニットフレーム)を内部に備える。ユニットフレームでは、上下の面を構成する各矩形枠6は、4本の梁4が隣接する柱3間を連結した閉じた形状になる。また、ユニットフレームの各側面は、上下の梁4が隣接する柱3の上下端間を連結した閉じた形状になる。そのため、建物ユニット2は、それ自体で高い剛性を有する。
【0092】
更に、建物ユニット2は、上下の矩形枠6の少なくとも一方に根太8を架設した構造を有している。根太8は、矩形枠6を構成する二対の梁4のうちの一方となる、一対の梁4の間に設置される。これにより、矩形枠6は、根太8が架設された一対の梁4の間を根太8によって横補剛される。
【0093】
そして、上下の矩形枠6の少なくとも一方における、根太8が架設された一対の梁4の間に、水平ブレース21を斜めに連結する。これにより、矩形枠6では、水平ブレース21が連結された一対の梁4の間で、水平ブレース21を介して荷重伝達が行われる。
【0094】
これらにより、二対の梁4で形成された矩形枠6は、横補剛機能を有する根太8および荷重伝達機能を有する水平ブレース21によって、剛性を確保、向上される。そして、矩形枠6は、梁4の間が広がらず狭まらないように間隔を一定に保たれると共に、矩形が斜めに変形しないように形状保持される。
【0095】
更に、矩形枠6では、水平ブレース21は、端部(羽子板プレート21b)を梁4の長手方向(長辺方向X)の中間位置22,23に直接接合される。そのため、矩形枠6は、水平ブレース21の端部を、例えば、柱3に中間部材を用いて間接的に取付ける必要がなくなり、水平ブレース取付金物61、裏当プレート62などの中間部材を不要化できる。そのため、建物ユニット2は、中間部材を削減した分、中間部材の取付工数と部材コストを削減できる。
【0096】
また、水平ブレース21の柱3に対する取付けがなくなることで、例えば、水平ブレース21の柱3への取付けに伴って生じていた、柱3の端部に対するガイドピン(柱頭ガイドピン65、
図7(b))の取付け直しなどの作業も不要となる。
【0097】
そして、矩形枠6に対し、水平ブレース21は、梁4の外面24の位置に接合される。そのため、水平ブレース21は、梁4の内部25に設置されている構造物(例えば、根太8など)との干渉がなくなり、梁4に直接接合できるようになる。そして、例えば、梁4の中間部の内側に水平ブレース21を間接的に取付ける場合に、上記構造物との干渉を避けるために用いられる水平ブレース取付金物61、補強梁受プレート63や、ブレース受補助梁64などの中間部材なども不要化される。更に、梁4の外面24へ水平ブレース21を接合することで、建物ユニット2に与える影響も小さくて済む。
【0098】
なお、梁4は、4本の柱3の間を連結して矩形枠6を形成することで、剛性の高い閉じた形状になっている。そのため、梁4の外面24に水平ブレース21を接合しても、梁4の内部25などに水平ブレース21を接合した場合と同様に、水平ブレース21による荷重伝達機能を得ることができる。
【0099】
(効果 2)建物ユニット2では、中間位置22は、梁4における根太8のない位置としても良い。これにより、水平ブレース21は、閉じた矩形枠6を構成する一対の梁4の間の荷重伝達を、梁4における、根太8のない中間位置22にて行う。この際、一対の梁4は、複数本の根太8によって各所を細かく横補剛されているため、隣接する根太8の間となる中間位置22についても、近くの根太8による横補剛機能の少なくとも一部が及んでいる。よって、根太8から多少ズレた中間位置22に水平ブレース21を接合しても、根太8による横補剛機能は得られる。そのため、水平ブレース21を接合した中間位置22に、根太8とは別に、横補剛のための補強梁受プレート63、ブレース受補助梁64などの中間部材を設ける必要をなくせる。そして、中間位置22から中間部材をなくすことで、その分、中間部材の不要化およびコスト削減を図ることができる。
【0100】
この場合、水平ブレース21は、例えば、根太8による横補剛機能が十分に及ぶ範囲内の位置や、隣接する根太8の間の中央部などに接合しても良い。
【0101】
(効果 3)建物ユニット2では、中間位置23は、梁4における根太8が有る位置としても良い。これにより、水平ブレース21は、閉じた矩形枠6を構成する一対の梁4の間の荷重伝達を、梁4における、根太8が有る位置(中間位置23)で行う。そのため、中間位置23では、根太8が水平ブレース21に対する横補剛を行う。よって、梁4の水平ブレース21を接合した中間位置23に、横補剛のための補強梁受プレート63、ブレース受補助梁64などの中間部材を別に設けなくて良くなり、その分、中間部材の不要化およびコスト削減を図ることができる。
【0102】
(効果 4)建物ユニット2では、梁4の外面24は、梁4の上面31または下面32としても良い。これにより、梁4は、外面24の中の、特に上面31または下面32が、水平ブレース21の接合に使用される。梁4の上面31または下面32に水平ブレース21を設置することで、水平ブレース21は、建物ユニット2にとって、邪魔になり難い位置に設置される。また、梁4の上面31または下面32に水平ブレース21を接合することで、矩形枠6は水平ブレース21による荷重伝達機能を支障なく得ることができる。そして、梁4の上面31に水平ブレース21を接合することで、建物ユニット2は、例えば、上側の矩形枠6(天井枠15)の剛性を向上できる。また、梁4の下面32に水平ブレース21を接合することで、建物ユニット2は、例えば、下側の矩形枠6(床枠16)の剛性を向上できる。
【0103】
(効果 5)ユニット建物では、水平ブレース21は、上下の建物ユニット2(A),2(B)における、上下に近接する矩形枠6(床枠16、天井枠15)の上下の梁4(床梁14、天井梁13)の間に挟み込まれると共に、上下の梁4に対して同時に接合されても良い。
【0104】
これにより、上下の建物ユニット2(A),2(B)の間や、上下の建物ユニット2(A),2(B)における、上下に近接する矩形枠6の上下の梁4の間の部分を利用して水平ブレース21をスペース効率良く設置することができる。
【0105】
そして、水平ブレース21を上下の梁4で挟み込むことにより、上下の梁4に対して水平ブレース21を同時に接合することが可能かつ容易になる。そして、上下の梁4のそれぞれに対して水平ブレース21を別々に設ける必要をなくすことができる。
【0106】
この際、1本の接合部材26があれば、上下の梁4に対して水平ブレース21を同時に接合することができるので、構造が簡単になる。
【0107】
例えば、上下の梁4の間に跨るように接合ピン27を装着すれば、それだけで、接合ピン27は両端が上下の梁4によって保持される。そのため、水平ブレース21は、1本の接合ピン27だけで簡単に上下の梁4に跨って接合される。そして、接合ピン27を用いた場合には、挿入作業だけで済むので、例えば、接合ボルト28を用いる場合のような、水平ブレース21の上下の梁4に対する締結固定作業などが不要となる。ただし、水平ブレース21は、接合ボルト28を用いて上下の梁4に取付けても良い。この場合には、接合ピン27よりも強固な固定状態が得られる。
【0108】
そして、上下の建物ユニット2(A),2(B)の間に水平ブレース21を挟み込むように設置することで、水平ブレース21は、上下の建物ユニット2(A),2(B)の両方に対してそれぞれ個別に荷重伝達を行わせる。更に、水平ブレース21は、上下の建物ユニット2(A),2(B)の相互間についても、上側から下側へ、また、下側から上側へと荷重伝達を行わせることができる。そして、上下の建物ユニット2(A),2(B)の上下の矩形枠6にそれぞれ設けられた上下の根太8が、両方同時に横補剛を行うので、水平ブレース21の接合部分に対する横補剛のためのブレース受補助梁64などの中間部材も不要にできる。