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特開2024-83932電子機器の組立方法および投射型表示装置の組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083932
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】電子機器の組立方法および投射型表示装置の組立方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20240617BHJP
   B25J 15/00 20060101ALI20240617BHJP
   H01R 43/26 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
B25J15/00 C
H01R43/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198030
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】島田 裕司
【テーマコード(参考)】
3C707
5E063
【Fターム(参考)】
3C707AS08
3C707BS12
3C707CX01
3C707CX03
3C707DS03
3C707ES03
3C707ET08
3C707EV07
3C707FS01
3C707FU01
3C707HS27
3C707KS03
3C707KS33
3C707KT01
3C707KV01
3C707LT07
3C707LV23
3C707MT06
3C707NS17
5E063KA01
5E063XA05
(57)【要約】
【課題】分岐型フラットケーブルを接続する作業を行うことで、電子機器を組み立てることができる電子機器の組立方法、および、前述した接続作業を行うことで、投射型表示装置を組み立てることができる投射型表示装置の組立方法を提供すること。
【解決手段】基端部と、分岐している第1先端部および第2先端部と、を備え、可撓性を有する分岐型フラットケーブルを、組立装置を用いて接続作業を行うことにより、電子機器を組み立てる方法であって、組立装置は、吸着部と把持部とロボットアーム部と制御部とを備え、第1先端部を把持する第1把持工程と、第1先端部を第1コネクターに接続する第1接続工程と、把持を解除する第1解除工程と、第2先端部を吸着する吸着工程と、第2先端部を把持する第2把持工程と、第2先端部を第2コネクターに接続する第2接続工程と、第2先端部の把持を解除する第2解除工程と、を有する電子機器の組立方法。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部と、前記基端部から分岐している第1先端部および第2先端部と、を備え、可撓性を有する分岐型フラットケーブルを、組立装置を用いて、第1コネクターおよび第2コネクターに接続する接続作業を行うことにより、電子機器を組み立てる電子機器の組立方法であって、
前記組立装置は、
前記分岐型フラットケーブルを吸着する吸着部と、
開閉して前記分岐型フラットケーブルを幅方向に挟む一対のチャックを有する把持部と、
前記吸着部および前記把持部を前記第1コネクターおよび前記第2コネクターに対して相対的に移動させるロボットアーム部と、
前記吸着部、前記把持部および前記ロボットアーム部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記第1先端部を前記把持部で把持する第1把持工程と、
把持した前記第1先端部を前記第1コネクターに接続する第1接続工程と、
前記第1先端部の把持を解除する第1解除工程と、
前記第1解除工程の後、前記第2先端部を前記吸着部で吸着する吸着工程と、
前記吸着工程の後、前記第2先端部を前記把持部で把持する第2把持工程と、
把持した前記第2先端部を前記第2コネクターに接続する第2接続工程と、
前記第2先端部の把持を解除する第2解除工程と、
を有することを特徴とする電子機器の組立方法。
【請求項2】
前記第2先端部は、被把持部と、前記被把持部よりも前記基端部側に位置する被吸着部と、を有し、
前記吸着工程は、前記吸着部が、前記被吸着部を吸着する動作を含み、
前記第2把持工程は、前記把持部が、前記被把持部を把持する動作を含む請求項1に記載の電子機器の組立方法。
【請求項3】
前記吸着部が前記被吸着部を吸着する位置は、前記把持部よりも、前記ロボットアーム部から離れた位置である請求項2に記載の電子機器の組立方法。
【請求項4】
前記吸着部は、
前記被吸着部を吸着する吸着パッドと、
前記ロボットアーム部から前記吸着パッドまでの距離を変化させる吸着パッド駆動部と、
を有し、
前記吸着工程は、
前記吸着パッドが前記被吸着部を吸着する吸着動作と、
前記吸着動作の後、前記吸着パッド駆動部が前記距離を縮める短縮動作と、
を含む請求項3に記載の電子機器の組立方法。
【請求項5】
前記チャックは、
前記被把持部の幅方向の位置を規制する位置規制部と、
前記被把持部を厚さ方向に支持する支持部と、
を有し、
前記把持部は、
前記支持部との間で前記被把持部を厚さ方向に挟む挟持具と、
前記支持部と前記挟持具との距離を変化させる挟持具駆動部と、
を有する請求項2に記載の電子機器の組立方法。
【請求項6】
前記組立装置は、前記把持部と前記ロボットアーム部との間に設けられている力検出部を備え、
前記力検出部は、前記把持部に加わる力を検出し、
前記制御部は、検出された前記力に基づいて、前記ロボットアーム部の動作を制御する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子機器の組立方法。
【請求項7】
前記制御部は、検出された前記力に基づいて、前記分岐型フラットケーブルが前記第2コネクターに対して倣うように前記ロボットアーム部の動作を制御する請求項6に記載の電子機器の組立方法。
【請求項8】
前記制御部は、検出された前記力に基づいて、前記分岐型フラットケーブルが前記第2コネクターに対して接続されたことを検出する請求項6に記載の電子機器の組立方法。
【請求項9】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子機器の組立方法を有し、投射型表示装置を組み立てることを特徴とする投射型表示装置の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の組立方法および投射型表示装置の組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器を組み立てる過程では、フレキシブルケーブルの被装着部をコネクターに挿入する接続作業が必要となる場合がある。この接続作業は、従来、手作業により行われていたが、ロボット等による自動化が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、帯状のケーブルを真空吸引するとともにケーブルの幅方向の位置を規制してケーブルを保持するケーブル保持ツールと、電子機器に対してケーブル保持ツールを相対的に移動させるロボット部と、ロボット部を作動させる制御部と、を備える電子機器組立装置が開示されている。このような電子機器組立装置によれば、電子機器のコネクターに対して帯状のケーブルの被装着部を挿入し、接続することができる。これにより、電子機器の組立作業を自動化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-103334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
組み立ての対象となる電子機器によっては、途中で2つに分岐した形状をなす分岐型フラットケーブルが用いられる場合もある。このような分岐型フラットケーブルは、例えば、1本の基端部と、それが2本に分岐した第1先端部および第2先端部と、を有する。このような分岐型フラットケーブルをコネクターに接続する作業を自動化する場合、基端部の接続動作、第1先端部の接続動作、および、第2先端部の接続動作が必要になる。
【0006】
ところが、例えば、第1先端部の接続動作の後、第2先端部の接続動作を行う場合、第2先端部の接続動作を自動化することが困難である。具体的には、第1先端部がコネクターに接続された時点で、第2先端部は、第1先端部に引っ張られ、電子機器の基板等に近接した状態になる。そうすると、第2先端部は、基板等に貼り付いた姿勢になるため、特許文献1に記載のケーブル保持ツールでは保持しにくくなる。このため、分岐型フラットケーブルを接続する作業の自動化が課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の適用例に係る電子機器の組立方法は、
基端部と、前記基端部から分岐している第1先端部および第2先端部と、を備え、可撓性を有する分岐型フラットケーブルを、組立装置を用いて、第1コネクターおよび第2コネクターに接続する接続作業を行うことにより、電子機器を組み立てる電子機器の組立方法であって、
前記組立装置は、
前記分岐型フラットケーブルを吸着する吸着部と、
開閉して前記分岐型フラットケーブルを幅方向に挟む一対のチャックを有する把持部と、
前記吸着部および前記把持部を前記第1コネクターおよび前記第2コネクターに対して相対的に移動させるロボットアーム部と、
前記吸着部、前記把持部および前記ロボットアーム部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記第1先端部を前記把持部で把持する第1把持工程と、
把持した前記第1先端部を前記第1コネクターに接続する第1接続工程と、
前記第1先端部の把持を解除する第1解除工程と、
前記第1解除工程の後、前記第2先端部を前記吸着部で吸着する吸着工程と、
前記吸着工程の後、前記第2先端部を前記把持部で把持する第2把持工程と、
把持した前記第2先端部を前記第2コネクターに接続する第2接続工程と、
前記第2先端部の把持を解除する第2解除工程と、
を有する。
【0008】
本発明の適用例に係る投射型表示装置の組立方法は、
本発明の適用例に係る電子機器の組立方法を有し、投射型表示装置を組み立てる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る電子機器の組立方法に用いる組立装置の構成の一例を示す斜視図である。
図2図1の分岐型フラットケーブルおよび機能モジュールならびに回路基板を示す斜視図である。
図3図2の分岐型フラットケーブルおよび機能モジュールならびに回路基板を示す断面図である。
図4図1の組立ツールの構成を示す図である。
図5図1の組立ツールの構成を示す図である。
図6図1の組立ツールの構成を示す図である。
図7図1に示す組立装置の機能ブロック図である。
図8】実施形態に係る電子機器の組立方法の構成を示すフローチャートである。
図9図8に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図であって、分岐型フラットケーブルの第2先端部を第2コネクターに挿入する前の状態を示す断面図である。
図10図8に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図であって、第2先端部の被吸着部を吸着部で吸着した状態を示す断面図である。
図11図8に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図であって、図10に示す組立ツールおよび第2先端部を、X軸マイナス側から見た側面図である。
図12図8に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図であって、被吸着部を吸着した吸着部が上方に引き上げられた状態を示す断面図である。
図13図8に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図であって、図12に示す組立ツールおよび第2先端部を、X軸マイナス側から見た側面図である。
図14図8に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図であって、チャック同士の間隔を狭めた状態を、X軸マイナス側から見た側面図である。
図15図8に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図であって、支持部と挟持具との間で被把持部を厚さ方向に挟んだ状態を、X軸マイナス側から見た側面図である。
図16図8に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図であって、把持部が把持した第2先端部を第2コネクターに挿入した状態を示す断面図である。
図17】実施形態に係る投射型表示装置の組立方法の構成を示すフローチャートである。
図18図17に示す投射型表示装置の組立方法を説明するための模式図である。
図19図17に示す投射型表示装置の組立方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の電子機器の組立方法および投射型表示装置の組立方法を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0011】
1.電子機器の組立装置
まず、実施形態に係る電子機器の組立方法に用いる組立装置の構成の一例について説明する。
【0012】
図1は、実施形態に係る電子機器の組立方法に用いる組立装置100の構成の一例を示す斜視図である。図2は、図1の分岐型フラットケーブル91および機能モジュール92ならびに回路基板95を示す斜視図である。図3は、図2の分岐型フラットケーブル91および機能モジュール92ならびに回路基板95を示す断面図である。
【0013】
なお、本願の各図では、互いに直交する3つの軸としてX軸、Y軸およびZ軸を設定している。各軸を矢印で表し、矢印の先端側を「プラス」、矢印の基端側を「マイナス」とする。以下の説明で、例えば「X軸方向」とは、X軸のプラス方向およびマイナス方向の双方を含む。Y軸方向およびZ軸方向も同様である。また、以下の説明では、特に、Z軸プラス側を「上方」ともいい、Z軸マイナス側を「下方」ともいう。
【0014】
図1に示す組立装置100は、分岐型フラットケーブル91を回路基板95に接続する接続作業を行う。分岐型フラットケーブル91および回路基板95は、作業台90上に載置されている。分岐型フラットケーブル91を回路基板95に接続することで、電子機器としての電気光学装置9が組み立てられる。
【0015】
分岐型フラットケーブル91は、図2に示すように、機能モジュール92から引き出され、帯状をなすとともに、y字状に分岐したケーブルである。帯状とは、X軸方向に延在するケーブルの横断面形状が、Y軸方向の幅よりもZ軸方向の厚さが十分に薄い形状になっていることをいう。分岐型フラットケーブル91は、基端部912と、基端部912から分岐している第1先端部914および第2先端部916と、を備えている。基端部912は、機能モジュール92に接続されている。第1先端部914および第2先端部916は、それぞれ基端部912よりもX軸マイナス側に位置している。また、第1先端部914および第2先端部916は、Y軸方向に並んでいる。なお、分岐数は、2に限定されず、3以上であってもよい。
【0016】
機能モジュール92は、任意の機能を有するモジュールであって、分岐型フラットケーブル91を介して回路基板95と電気的に接続される。
【0017】
基端部912は、図示しない端子列を有している。この端子列は、機能モジュール92の内部において、機能モジュール92側の図示しない端子列に接触している。
【0018】
第1先端部914は、X軸マイナス側の端部に設けられた、Y軸方向に延在する端子列931を有する。端子列931は、分岐型フラットケーブル91の内部に敷設されている図示しない配線を介して、基端部912が有する端子列と電気的に接続されている。
【0019】
第2先端部916は、X軸マイナス側の端部に設けられた、Y軸方向に延在する端子列932を有する。端子列932は、分岐型フラットケーブル91の内部に敷設されている図示しない配線を介して、基端部912が有する端子列または端子列931と電気的に接続されている。
【0020】
回路基板95は、図示しない配線が敷設されている配線基板952と、配線基板952に設けられている第1コネクター954および第2コネクター956と、を有する。
【0021】
第1コネクター954は、図2に示すように、X軸プラス側に向かって開口し、第1先端部914が挿入される被挿入部955を有する。組立装置100は、この被挿入部955に第1先端部914を挿入する作業を行う。被挿入部955の内部には、図示しない端子列が設けられている。被挿入部955に第1先端部914が挿入されると、第1先端部914が有する端子列931と、被挿入部955の内部に設けられている端子列と、が接触し、互いの電気的な接続が図られる。
【0022】
第2コネクター956は、図2に示すように、X軸プラス側に向かって開口し、第2先端部916が挿入される被挿入部957を有する。組立装置100は、この被挿入部957に第2先端部916を挿入する作業を行う。被挿入部957の内部には、図示しない端子列が設けられている。被挿入部957に第2先端部916が挿入されると、第2先端部916が有する端子列932と、被挿入部957の内部に設けられている端子列と、が接触し、互いの電気的な接続が図られる。
【0023】
なお、図1ないし図3では、回路基板95に対して分岐型フラットケーブル91が接続される前の状態を図示している。分岐型フラットケーブル91は、可撓性を有する(フレキシブルである)。このため、接続作業前の第1先端部914および第2先端部916は、自由端となり、自重で垂れ下がりやすい。特に、第1先端部914を接続した後の第2先端部916は、図3に示すように、配線基板952に対して貼り付くような姿勢をとる傾向がある。このため、組立装置100は、このような姿勢をとる第2先端部916を把持して接続作業に供することが求められる。なお、分岐型フラットケーブル91は、例えば、FPC(Flexible Printed Circuits:フレキシブルプリント基板)、FFC(Flexible Flat Cable:フレキシブルフラットケーブル)等と呼ばれるケーブルであってもよい。
【0024】
第1コネクター954および第2コネクター956は、分岐型フラットケーブル91との嵌合により、挿入された状態を維持するようになっている。嵌合方式は、特に限定されないが、本実施形態では、一例として、ワンアクション嵌合方式が採用されている。
【0025】
図1に示す組立装置100は、ロボットアーム部10および基台110を有するロボット1と、組立ツール2と、カメラ3と、力検出部4と、制御部5と、を備える。以下、各部の構成について順次説明する。
【0026】
1.1.ロボット
図1に示すロボット1は、一例として、6軸の垂直多関節ロボットである。なお、ロボット1は、水平多関節ロボット(スカラロボット)であってもよいし、双腕型の多関節ロボットであってもよい。
【0027】
基台110は、ロボットアーム部10を設置箇所に取り付ける部分である。本実施形態では、基台110が床に設置されている。なお、基台110の設置箇所は、床等に限定されず、例えば、壁、天井、架台上、移動可能な台車上等であってもよい。
【0028】
ロボットアーム部10は、アーム11、アーム12、アーム13、アーム14、アーム15、アーム16を有する。これらアーム11~アーム16は、基端側から先端側に向かってこの順に連結されている。アーム11~アーム16は、隣り合うアームまたは基台110に対して回動可能になっている。アーム16は、円盤状をなし、アーム15に対して軸O6回りに回動可動になっている。
【0029】
ロボット1は、アーム同士の関節部またはアームと基台110との関節部に設けられた、図示しない駆動部を有する。この駆動部は、モーターおよび減速機等を備える。モーターとしては、例えば、ACサーボモーター、DCサーボモーター等のサーボモーターが挙げられる。減速機としては、例えば、遊星ギア型の減速機、波動歯車装置等が挙げられる。また、ロボット1は、モーターまたは減速機の回転軸の回転角度を検出する、図示しない角度センサーを有する。角度センサーとしては、例えば、ロータリーエンコーダー等が挙げられる。これらの駆動部および角度センサーは、例えば各関節部に設けられている。駆動部の動作は、角度センサーによる検出結果に基づいて、制御部5により制御される。
【0030】
1.2.組立ツール
ロボットアーム部10には、図1に示すように、組立ツール2が取り付けられている。組立ツール2は、分岐型フラットケーブル91を吸着、把持する機能を有する。この機能により、前述した接続作業を行う。
【0031】
図4ないし図6は、それぞれ図1の組立ツール2の構成を示す図である。
組立ツール2は、図4ないし図6に示すように、吸着部20と、把持部24と、を有する。吸着部20は、分岐型フラットケーブル91を吸引し、吸着する機能を有する。把持部24は、分岐型フラットケーブル91を把持する機能を有する。
【0032】
吸着部20は、図4に示すように、吸着パッド21と、吸着パッド駆動部22と、を有する。
【0033】
吸着パッド21は、柔軟性を有し、例えば切頭円錐形をなしている。図4に示す吸着パッド21は、一例として、下方に向かって突出するように配置され、内部が図示しない真空発生装置と接続されている。真空発生装置の動作により、吸着パッド21の内部が減圧されると、吸着パッド21の下方に位置する分岐型フラットケーブル91を吸引する。そして、吸引した分岐型フラットケーブル91を吸着パッド21に吸着することができる。
【0034】
吸着パッド駆動部22は、吸着パッド21をZ軸方向に並進させる。これにより、ロボットアーム部10の先端から吸着パッド21までの距離を変化させることができる。吸着パッド駆動部22としては、例えば、エアシリンダーが挙げられる。エアシリンダーは、構造が簡単であるため、軽量でかつ安価であるため、吸着パッド駆動部22として有用である。
【0035】
把持部24は、図6に示すように、一対のチャック25、25と、チャック駆動部26と、一対の挟持具27、27と、挟持具駆動部28と、を有する。
【0036】
一対のチャック25、25は、Y軸に沿って開閉可能になっている。開閉可能とは、Y軸方向におけるチャック25同士の間隔が変化するようになっていることを指す。間隔の変化は、連続的であってもよいし、段階的であってもよい。各チャック25は、Z軸に沿って延在する棒状のチャック本体252と、チャック本体252の下端に接続される位置規制部254と、位置規制部254の下端に接続される支持部256と、を有する。
【0037】
チャック本体252は、チャック駆動部26により、Y軸に沿って移動する。これにより、チャック本体252に接続されている位置規制部254および支持部256もY軸に沿って移動する。
【0038】
位置規制部254は、図5に示すように、X-Z面に広がる板状をなす部位を含んでいる。位置規制部254同士で分岐型フラットケーブル91を幅方向に挟むことにより、Y軸方向において分岐型フラットケーブル91の位置を規制することができる。なお、「幅」とは、Y軸方向の幅である。
【0039】
支持部256は、図5に示すように、X-Y面に広がる板状をなす部位を含んでいる。一対の支持部256、256を、分岐型フラットケーブル91の下方に差し込むことにより、分岐型フラットケーブル91を厚さ方向に支持することができる。なお、「厚さ」とは、Z軸方向の厚さである。
【0040】
チャック駆動部26は、電動アクチュエーター262と、ガイドレール264と、スライダー266と、を有する。
【0041】
電動アクチュエーター262は、例えばステッピングモーター等を内蔵し、一対のチャック25、25の間隔を連続的に変化させる。
【0042】
ガイドレール264は、Y軸に沿って延在するレールである。ガイドレール264に組み合わされたスライダー266は、Y軸に沿って滑らかに移動する。
【0043】
スライダー266は、各チャック25の上端部に接続されている。スライダー266を介することにより、各チャック25をY軸に沿って滑らかに移動させることができる。
【0044】
一対の挟持具27、27は、一対の支持部256、256の上方に配置され、Z軸に沿って移動可能になっている。これにより、支持部256と挟持具27との間で分岐型フラットケーブル91を厚さ方向に挟むことができる。
【0045】
挟持具駆動部28は、エアシリンダー282と、可動部284と、一対のシャフト286、286と、を有する。
【0046】
エアシリンダー282は、可動部284および一対のシャフト286を介して、挟持具27をZ軸方向に並進させる。これにより、支持部256と挟持具27との距離を変化させることができ、分岐型フラットケーブル91を厚さ方向に挟んだり、それを解除したりすることができる。
【0047】
可動部284は、図6に示すように、エアシリンダー282とシャフト286との間に介在するとともに、Y軸方向におけるシャフト286同士の間隔が自在に変わるようにシャフト286を支持する。シャフト286は、図6に示すように、Z軸に沿って延在する棒状をなす部材である。
【0048】
また、挟持具駆動部28は、図6に示す、2本のガイドレール288、288と、各ガイドレール288に組み合わされたスライダー290、290と、を有する。
【0049】
各ガイドレール288は、チャック25に取り付けられ、Z軸に沿って延在するレールである。ガイドレール288に組み合わされたスライダー290は、Z軸に沿って滑らかに移動する。
【0050】
スライダー290は、挟持具27に接続されている。スライダー290を介することにより、各挟持具27は、チャック25に対して滑らかに移動することができる。また、これらのガイドレール288およびスライダー290は、チャック25の開閉に伴って開閉するようになっている。
【0051】
1.3.カメラ
カメラ3は、例えば、位置規制部254、支持部256および吸着パッド21等が同一視野に収まるように、撮像範囲が設定されている。また、カメラ3は、組立ツール2に固定されている。これにより、組立ツール2と同様にカメラ3を移動させることができる。その結果、撮像された画像における位置規制部254、支持部256および吸着パッド21等の位置を固定することができる。このため、画像に対して画像処理を行って各部を画像認識させるとき、認識率を高めることができる。なお、カメラ3は、組立ツール2とは異なる部位、例えばロボット1に取り付けられていてもよいし、ロボット1から離れた床や壁、天井等に取り付けられていてもよい。
【0052】
カメラ3は、モノクロカメラであっても、カラーカメラであっても、分光カメラであってもよい。また、カメラ3は、3次元カメラであってもよい。カメラ3で撮像された画像は、制御部5に出力される。
【0053】
1.4.力検出部
力検出部4は、組立ツール2に加わる力、特に把持部24に加わる力を検出する。この力には、モーメントも含まれる。力検出部4は、例えば、6軸力覚センサーや3軸力覚センサー等で構成される。力検出部4が検出した力検出情報は、制御部5に出力される。
【0054】
1.5.制御部
制御部5は、ロボット1やそれに取り付けられた各部の動作を制御する機能を有する。
図7は、図1に示す組立装置100の機能ブロック図である。
図7に示すように、制御部5は、機能部として、ロボット制御部50、ケーブル位置検出部51、コネクター位置検出部52、挿入状態検出部53、吸着制御部54、および、把持制御部55を有する。
【0055】
ロボット制御部50は、ロボット1の動作を制御し、組立ツール2の位置および姿勢を制御する。ロボット制御部50は、位置制御部501と、力制御部502と、を有する。位置制御部501は、組立ツール2が所定の座標に位置するように、ロボット1の動作を制御する位置制御を行う。位置制御は、目標の位置と、組立ツール2の位置と、に基づいて、ロボット1の動作を制御することをいう。力制御部502は、力検出情報に基づいて、ロボット1の動作を制御する力制御を行う。力制御としては、例えば、インピーダンス制御、フォーストリガー制御等がある。フォーストリガー制御では、力検出部4によって検出される力が所定値になるまで、ロボット1の動作を制御する。インピーダンス制御は、例えば倣い制御を含む。倣い制御では、力検出部4によって検出される所定方向の力が、目標値に維持されるように、ロボット1の動作を制御する。
【0056】
ケーブル位置検出部51は、カメラ3が撮像した画像に基づいて、分岐型フラットケーブル91の位置、特に、第1先端部914および第2先端部916の位置を検出する。コネクター位置検出部52は、カメラ3が撮像した画像に基づいて、第1コネクター954および第2コネクター956の位置を検出する。挿入状態検出部53は、カメラ3が撮像した画像や力検出部4が検出した力検出情報に基づいて、分岐型フラットケーブル91の挿入状態を検出する。
【0057】
吸着制御部54は、画像や力検出情報、真空発生装置の動作状態を示す信号等に基づいて、吸着部20の動作を制御する。把持制御部55は、画像や力検出情報の他、チャック駆動部26や挟持具駆動部28の動作状態を示す信号等に基づいて、把持部24の動作を制御する。
【0058】
2.電子機器の組立方法
次に、実施形態に係る電子機器の組立方法について説明する。なお、以下の説明では、一例として、前述した組立装置100を用いた組立方法について説明する。
【0059】
図8は、実施形態に係る電子機器の組立方法の構成を示すフローチャートである。図9ないし図16は、図8に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図である。
【0060】
図8に示す電子機器の組立方法は、一例として、分岐型フラットケーブル91の第1先端部914および第2先端部916を、第1コネクター954および第2コネクター956に接続する接続作業を行うことにより、電子機器としての電気光学装置9を組み立てる方法である。
【0061】
この接続作業は、第1把持工程S102と、第1接続工程S104と、第1解除工程S106と、吸着工程S108と、第2把持工程S110と、第2接続工程S112と、第2解除工程S114と、を有する。
【0062】
2.1.第1把持工程
第1把持工程S102では、作業台90上に置かれた分岐型フラットケーブル91の第1先端部914を、把持部24で把持する。把持部24による把持動作については、第2把持工程S110において詳述する。
【0063】
なお、第1把持工程S102に供される分岐型フラットケーブル91は、第1先端部914を把持部24で把持させやすい姿勢で準備できる。この場合、把持部24による第1先端部914の把持は、吸着部20による吸着動作を行うことなく実行できる。ただし、第1先端部914の姿勢によっては、把持動作に先立って、吸着部20で第1先端部914を吸着してもよい。これにより、把持動作を効率よく行うことができる。吸着部20による吸着動作についても、吸着工程S108において詳述する。
【0064】
2.2.第1接続工程
第1接続工程S104では、把持部24で把持されている第1先端部914を、第1コネクター954に接続する。把持部24による接続動作については、第2接続工程S112において詳述する。
【0065】
2.3.第1解除工程
第1解除工程S106では、第1先端部914の把持を解除する。把持部24による解除動作については、第2解除工程S114において詳述する。
【0066】
2.4.吸着工程
吸着工程S108では、第1解除工程S106の後、まず、第2先端部916をカメラ3で撮像する。制御部5のケーブル位置検出部51は、撮像画像に対してケーブル認識処理を行う。これにより、第2先端部916を検出するとともに、組立ツール2に対する第2先端部916の相対的な位置関係が求められる。なお、組立ツール2に対する第2先端部916の相対的な位置にバラつきが少ない場合には、画像の取得およびケーブル認識処理を省略してもよい。
【0067】
次に、求められた位置関係に基づいて、ロボット制御部50は、組立ツール2を第2先端部916に対して相対的に移動させる。本明細書において「相対的に移動」とは、2つの物体の位置関係が変わるように、少なくとも一方の物体が移動することをいう。そして、吸着制御部54が制御信号を出力し、吸着部20に第2先端部916を吸引、吸着させる。吸着部20による吸引動作では、吸着部20から第2先端部916が多少離れていても、吸引力を及ぼすことができる。このため、吸着部20に対する第2先端部916の位置が多少あいまいでも、支障なく吸引動作を行うことができる。また、図3に示すように、第2先端部916が配線基板952に対して貼り付くような姿勢をとっていても、第2先端部916の上面に吸着部20を近づけることで、第2先端部916の吸引が可能である。
【0068】
吸着部20によって吸着する部位には、後述する第2把持工程S110や第2接続工程S112を見越した、適切な部位が選択される。
【0069】
図2に示す第2先端部916は、吸着部20によって吸着される被吸着部918と、把持部24によって把持される被把持部919と、を有している。被吸着部918は、被把持部919よりも基端部912側に設定されている。これにより、図9に示すように、吸着部20によって被吸着部918を吸着したとき、被吸着部918よりもX軸マイナス側にスペースを残すことができ、このスペースを、被把持部919および第2コネクター956に挿入する部位として割り当てることができる。
【0070】
吸着部20による吸着動作が完了すると、図10に示すように、配線基板952に貼り付いていた第2先端部916を、吸着部20に吸着させた状態で移動させることができる。これにより、第2先端部916を配線基板952から持ち上げて、第2先端部916と作業台90との間に隙間を作ることができる。その結果、後述する第2把持工程S110において、把持部24による把持動作が可能になる。
【0071】
図11は、図10に示す組立ツール2および第2先端部916を、X軸マイナス側から見た側面図である。この時点における吸着パッド21は、図11に示すように、支持部256よりも下方に位置している。つまり、吸着部20が被吸着部918を吸着する位置を、把持部24よりもロボットアーム部10から離れた位置にする。これにより、支持部256と第2先端部916との干渉を避けながら、吸着パッド21を第2先端部916の上面、つまり被吸着部918に近づけやすくなる。なお、「把持部24よりもロボットアーム部10から離れた位置」とは、把持部24の先端(支持部256)よりもZ軸マイナス側の位置であることをいう。
【0072】
2.5.第2把持工程
第2把持工程S110では、まず、把持制御部55が制御信号を出力してチャック駆動部26を動作させ、チャック25同士の間隔(支持部256同士の距離)を被把持部919の幅よりも十分に広い「第1間隔」に設定する。第1間隔は、被把持部919の幅と、吸着パッド21に吸着された被把持部919の相対位置のバラつきと、を踏まえて設定される。したがって、第1間隔は、特に限定されないが、被把持部919の幅の1.0倍超、好ましくは1.1倍以上に設定される。なお、本明細書における「チャック25同士の間隔」とは、Y軸方向における支持部256同士の最短距離のことをいう。
【0073】
次に、吸着制御部54が制御信号を出力して吸着パッド駆動部22を動作させ、図12に示すように、吸着パッド21を上方に引き上げる。つまり、吸着パッド駆動部22は、ロボットアーム部10から吸着パッド21までの距離を縮める短縮動作を行う。
【0074】
図13ないし図15は、図11に示す組立ツール2および第2先端部916を、X軸マイナス側から見た側面図である。吸着パッド駆動部22は、吸着パッド21を上方に引き上げ、図13に示すように、支持部256よりも上方に吸着パッド21を位置させる。これにより、吸着パッド21に吸着している被把持部919も、支持部256より上方に引き上げられる。その結果、被把持部919の下方に支持部256を支障なく差し込むことが可能になる。
【0075】
次に、チャック駆動部26を動作させ、図14に示すように、チャック25同士の間隔(支持部256同士の距離)を被把持部919の幅よりも狭い「第2間隔」まで狭める。第2間隔は、被把持部919の幅の1.0倍未満に設定される。これにより、一対の支持部256、256を被把持部919の下方に差し込んで、下方から支持することができる。また、位置規制部254同士の間隔は、被把持部919の幅と同程度、具体的には、被把持部919の幅の1.0倍以上1.5倍以下程度に設定される。これにより、一対の位置規制部254、254で被把持部919を幅方向に挟んだとき、幅方向における被把持部919の位置を規制することができる。本明細書では、少なくとも、一対の位置規制部254、254で被把持部919を幅方向に挟んだ状態を「把持」という。把持の結果、組立ツール2に対する第2先端部916の相対位置を、目標位置に合わせることができる。
【0076】
なお、前述した第1間隔および第2間隔は、被把持部919の幅に応じて適宜選択される。被把持部919の幅は、カメラ3で撮像した撮像画像から求めることができる。これにより、図2に示すような第1先端部914と第2先端部916とで幅が異なる分岐型フラットケーブル91や各部の幅に個体差がある分岐型フラットケーブルについても、容易に組み立てに供することができる。
【0077】
次に、把持制御部55が制御信号を出力して挟持具駆動部28を動作させ、一対の挟持具27、27を下方に降下させる。これにより、被把持部919を幅方向に挟むだけでなく、図15に示すように、支持部256と挟持具27との間で、被把持部919を厚さ方向に挟むことができる。その結果、より十分な把持力で被把持部919を把持することができる。
【0078】
また、把持の完了後、吸着部20による被吸着部918の吸着動作を停止する。なお、吸着動作を停止するタイミングは、特に限定されず、後述する第2接続工程S112や第2解除工程S114であってもよい。
【0079】
2.6.第2接続工程
第2接続工程S112では、把持部24が把持した第2先端部916を、図16に示すように、第2コネクター956の被挿入部957に挿入する。
【0080】
具体的には、まず、第2先端部916を、第2コネクター956の近くまで移動させる。この移動には、ロボット制御部50の位置制御部501による位置制御が好ましく用いられる。
【0081】
次に、把持されている第2先端部916および第2コネクター956をカメラ3で撮像する。制御部5のケーブル位置検出部51およびコネクター位置検出部52は、撮像画像に対してケーブル認識処理およびコネクター認識処理を行う。これにより、第2先端部916および第2コネクター956を検出するとともに、組立ツール2に対するこれらの相対的な位置関係が求められる。
【0082】
次に、求められた位置関係に基づいて、ロボット制御部50は、第2先端部916を第2コネクター956に対して接近させる。このとき、所定の位置で、ロボット制御部50の力制御部502による力制御に切り替えることが好ましい。これにより、被挿入部957に対する第2先端部916の挿入作業を、例えば倣い制御によって行うことができる。その結果、第2コネクター956に対する第2先端部916の接続作業を、より効率よく行うことができる。
【0083】
また、把持部24では、支持部256と挟持具27との間で、被把持部919が厚さ方向に挟まれているため、十分な把持力で被把持部919が把持されている。このため、被挿入部957に対して第2先端部916を挿入するとき、被挿入部957と第2先端部916との間の摩擦等により、第2先端部916に力が加わっても、被把持部919が滑ることが抑制される。このように被把持部919の滑りが抑制されることで、接続作業の間、把持部24に対する被把持部919の位置関係を良好に維持できる。その結果、接続作業の成功率を高めることができる。
【0084】
さらに、把持部24は、被把持部919の幅方向の両端部を厚さ方向に挟むように構成されている。このため、第2先端部916に力が加わっても、第2先端部916がZ軸まわりに回転しにくくなる。これにより、接続作業の成功率をより高めることができる。
【0085】
第2先端部916の挿入が完了すると、組立ツール2が受ける力が変化する。挿入状態検出部53は、この力の変化に基づいて、挿入が完了したか否かを判断する。そして、挿入が完了したと判断した場合、ロボット制御部50は、挿入作業を終了させる。このようにして接続作業の完了を検出することができれば、接続不良の発生を抑制できるため、良品率を高めることができる。
【0086】
2.7.第2解除工程
第2解除工程S114では、チャック駆動部26を動作させ、チャック25同士の間隔を被把持部919の幅より広くする。
【0087】
次に、ロボット1により、組立ツール2を退避させる。以上のようにして、分岐型フラットケーブル91の接続作業が完了する。なお、本明細書における組立方法は、製造方法と同義である。
【0088】
なお、組立装置100では、吸着部20と把持部24が同一のロボット1に取り付けられているが、これらは、互いに異なるロボットに取り付けられていてもよい。つまり、2台のロボットが吸着部20および把持部24を個別に移動させるように構成された組立装置を用いて、上記の各工程を行うようにしてもよい。
【0089】
以上のような電子機器の組立方法によれば、分岐型フラットケーブル91を接続する接続作業を自動化することができる。自動化とは、組立装置100のような、プログラムに基づいて動作する装置で接続作業を行わせることをいう。これにより、電子機器の組み立てにおいて省人化を図ることができる。なお、組み立てられる電子機器としては、特に限定されないが、例えば、投射型表示装置(プロジェクター)、可搬型パーソナルコンピューター、プリンター、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、インパネ等の車載用の表示器、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末が挙げられる。
【0090】
3.投射型表示装置の組立方法
次に、実施形態に係る投射型表示装置の組立方法について説明する。
【0091】
図17は、実施形態に係る投射型表示装置の組立方法の構成を示すフローチャートである。図18および図19は、図17に示す投射型表示装置の組立方法を説明するための模式図である。
【0092】
図17に示す投射型表示装置の組立方法は、電子機器としての電気光学装置9を組み立てる第1工程S202と、得られた電気光学装置9を筐体82に組み込んで投射型表示装置8を得る第2工程S204と、を有する。
【0093】
以下、実施形態に係る投射型表示装置の組立方法について説明するが、以下の説明では、前述した電子機器の組立方法との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0094】
3.1.第1工程
第1工程S202では、例えば組立装置100を用いて、図8に示す電子機器の組立方法と同様の各工程を行い、図18に示す電気光学装置9を組み立てる。図18に示す電気光学装置9は、図2に示す電気光学装置9の変形例であって、分岐型フラットケーブル91の形状が異なる。図18に示す分岐型フラットケーブル91は、基端部912が2層に分かれている。そして、1層目のケーブルは、第1先端部914を構成し、2層目のケーブルは、第2先端部916を構成している。なお、図18に示す分岐型フラットケーブル91の分岐数も、3以上であってもよい。この場合、基端部912が3層以上に分かれていればよい。
【0095】
3.2.第2工程
第2工程S204では、図18に示す電気光学装置9を筐体82に組み込む。これにより、図19に示す投射型表示装置8が得られる。
【0096】
以上のような投射型表示装置の組立方法によれば、分岐型フラットケーブル91を接続する接続作業を自動化することができる。これにより、投射型表示装置8の組み立てにおいて省人化を図ることができる。
【0097】
3.3.投射型表示装置
図19に示す投射型表示装置8は、電気光学装置9と、これを収容する筐体82と、筐体82に設けられた投射光学系84と、を備える。電気光学装置9は、図示しない光源から射出される光を変調し、画像情報を付加する機能を有する。画像情報が付加された画像光は、投射光学系84を介して、図示しないスクリーン等に投射される。
【0098】
4.前記実施形態が奏する効果
以上のように、実施形態に係る電子機器の組立方法は、基端部912と、基端部912から分岐している第1先端部914および第2先端部916と、を備え、可撓性を有する分岐型フラットケーブル91を、例えば組立装置100を用いて、第1コネクター954および第2コネクター956に接続する接続作業を行うことにより、電気光学装置9(電子機器)を組み立てる方法である。
【0099】
前述した組立装置100は、吸着部20と、把持部24と、ロボットアーム部10と、制御部5と、を備える。吸着部20は、分岐型フラットケーブル91を吸着する。把持部24は、開閉して分岐型フラットケーブル91を幅方向に挟む一対のチャック25、25を有する。ロボットアーム部10は、吸着部20および把持部24を第1コネクター954および第2コネクター956に対して相対的に移動させる。制御部5は、吸着部20、把持部24およびロボットアーム部10の動作を制御する。
【0100】
そして、実施形態に係る電子機器の組立方法は、第1把持工程S102と、第1接続工程S104と、第1解除工程S106と、吸着工程S108と、第2把持工程S110と、第2接続工程S112と、第2解除工程S114と、を有する。第1把持工程S102では、第1先端部914を把持部24で把持する。第1接続工程S104では、把持した第1先端部914を第1コネクター954に接続する。第1解除工程S106では、第1先端部914の把持を解除する。吸着工程S108では、第1解除工程S106の後、第2先端部916を吸着部20で吸着する。第2把持工程S110では、吸着工程S108の後、第2先端部916を把持部24で把持する。第2接続工程S112では、把持した第2先端部916を第2コネクター956に接続する。第2解除工程S114では、第2先端部916の把持を解除する。
【0101】
このような構成によれば、分岐型フラットケーブル91を接続する作業を行うことで、電気光学装置9(電子機器)を組み立てることができる。これにより、電気光学装置9の組み立てにおいて省人化を図ることができる。
【0102】
また、第2先端部916は、被把持部919と、被把持部919よりも基端部912側に位置する被吸着部918と、を有していてもよい。
【0103】
この場合、吸着工程S108は、吸着部20が、被吸着部918を吸着する動作を含む。また、第2把持工程S110は、把持部24が、被把持部919を把持する動作を含む。
【0104】
このような構成によれば、吸着部20によって被吸着部918を吸着したとき、被吸着部918よりもX軸マイナス側にスペースを残すことができる。
【0105】
これにより、このスペースが、被把持部919および第2コネクター956に挿入する部位として用いられる。
【0106】
また、吸着部20が被吸着部918を吸着する位置は、把持部24よりも、ロボットアーム部10から離れた位置であることが好ましい。これにより、把持部24と第2先端部916との干渉を避けながら、吸着部20を第2先端部916の上面、つまり被吸着部918に近づけやすくなる。その結果、吸着動作を支障なく行うことができる。
【0107】
また、吸着部20は、吸着パッド21と、吸着パッド駆動部22と、を有することが好ましい。吸着パッド21は、被吸着部918を吸着する。吸着パッド駆動部22は、ロボットアーム部10から吸着パッド21までの距離を変化させる。
【0108】
そして、吸着工程S108は、吸着動作と、短縮動作と、を含む。吸着動作では、吸着パッド21が被吸着部918を吸着する。短縮動作では、吸着動作の後、吸着パッド駆動部22が、ロボットアーム部10から吸着パッド21までの距離を縮める。
【0109】
このような構成によれば、例えば、吸着工程S108では、支持部256よりも下方に吸着パッド21を位置させたとしても、第2把持工程S110では、支持部256よりも上方に吸着パッド21を位置させることができる。これにより、第2把持工程S110では、吸着パッド21に吸着している被把持部919を、支持部256より上方に引き上げることができ、被把持部919の下方に支持部256を支障なく差し込むことが可能になる。
【0110】
また、チャック25は、位置規制部254と、支持部256と、を有することが好ましい。位置規制部254は、被把持部919の幅方向の位置を規制する。支持部256は、被把持部919を厚さ方向に支持する。
【0111】
さらに、把持部24は、挟持具27と、挟持具駆動部28と、を有する。挟持具27は、支持部256との間で被把持部919を厚さ方向に挟む。挟持具駆動部28は、支持部256と挟持具27との距離を変化させる。
【0112】
このような構成によれば、幅方向における被把持部919の位置を規制することができる。その結果、組立ツール2に対する第2先端部916の相対位置を、目標位置に合わせることができる。また、把持部24は、被把持部919を厚さ方向に挟む機能を持つため、より十分な把持力で被把持部919を把持することができる。
【0113】
また、組立装置100は、力検出部4を備えていてもよい。力検出部4は、把持部24とロボットアーム部10との間に設けられている。力検出部4は、把持部24に加わる力を検出する。制御部5は、検出された力に基づいて、ロボットアーム部10の動作を制御する。
【0114】
このような構成によれば、例えば、第2コネクター956に対する第2先端部916の接続作業を、より効率よく行うことができる。
【0115】
また、制御部5は、検出された力に基づいて、分岐型フラットケーブル91が第2コネクター956に対して倣うようにロボットアーム部10の動作を制御するのが好ましい。
【0116】
このような構成によれば、第2コネクター956に対する第2先端部916の接続作業を、より効率よく行うことができる。
【0117】
また、制御部5は、検出された力に基づいて、分岐型フラットケーブル91が第2コネクター956に対して接続されたことを検出することが好ましい。
【0118】
このような構成によれば、接続不良の発生を抑制できるため、良品率を高めることができる。
【0119】
実施形態に係る投射型表示装置の組立方法は、実施形態に係る電子機器の組立方法を有し、投射型表示装置8を組み立てる。
【0120】
このような構成によれば、投射型表示装置8の組み立てにおいて省人化を図ることができる。
【0121】
以上、本発明に係る電子機器の組立方法および投射型表示装置の組立方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0122】
例えば、本発明に係る電子機器の組立方法および投射型表示装置の組立方法は、前記実施形態に任意の目的の工程が付加されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0123】
1…ロボット、2…組立ツール、3…カメラ、4…力検出部、5…制御部、8…投射型表示装置、9…電気光学装置、10…ロボットアーム部、11…アーム、12…アーム、13…アーム、14…アーム、15…アーム、16…アーム、20…吸着部、21…吸着パッド、22…吸着パッド駆動部、24…把持部、25…チャック、26…チャック駆動部、27…挟持具、28…挟持具駆動部、50…ロボット制御部、51…ケーブル位置検出部、52…コネクター位置検出部、53…挿入状態検出部、54…吸着制御部、55…把持制御部、82…筐体、84…投射光学系、90…作業台、91…分岐型フラットケーブル、92…機能モジュール、95…回路基板、100…組立装置、110…基台、252…チャック本体、254…位置規制部、256…支持部、262…電動アクチュエーター、264…ガイドレール、266…スライダー、282…エアシリンダー、284…可動部、286…シャフト、288…ガイドレール、290…スライダー、501…位置制御部、502…力制御部、912…基端部、914…第1先端部、916…第2先端部、918…被吸着部、919…被把持部、931…端子列、932…端子列、952…配線基板、954…第1コネクター、955…被挿入部、956…第2コネクター、957…被挿入部、O6…軸、S102…第1把持工程、S104…第1接続工程、S106…第1解除工程、S108…吸着工程、S110…第2把持工程、S112…第2接続工程、S114…第2解除工程、S202…第1工程、S204…第2工程
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