(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083933
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】ハンド、電子機器の組立方法および投射型表示装置の組立方法
(51)【国際特許分類】
B25J 15/00 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
B25J15/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198031
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】島田 裕司
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS08
3C707BS12
3C707DS03
3C707ES03
3C707ET08
3C707EW03
3C707FS01
3C707FU01
3C707HS14
3C707HS27
3C707KS03
3C707KS34
3C707KT01
3C707KT05
3C707KX06
3C707LT06
3C707MT04
3C707NS17
(57)【要約】
【課題】フラットケーブルを接続する作業を行うとき、フラットケーブルの滑りを抑制することができ、電子機器を効率よく組み立てることができるハンドおよび電子機器の組立方法、ならびに、前述したフラットケーブルの滑りを抑制することで、投射型表示装置を効率よく組み立てることができる投射型表示装置の組立方法を提供すること。
【解決手段】ロボットアームに取り付けられるハンドであって、フラットケーブルを吸着する吸着部と、開閉して前記フラットケーブルを幅方向に挟む一対のチャック、および、前記チャックとの間で前記フラットケーブルを厚さ方向に挟む挟持具、を有する把持部と、を備えることを特徴とするハンド。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームに取り付けられるハンドであって、
フラットケーブルを吸着する吸着部と、
開閉して前記フラットケーブルを幅方向に挟む一対のチャック、および、前記チャックとの間で前記フラットケーブルを厚さ方向に挟む挟持具、を有する把持部と、
を備えることを特徴とするハンド。
【請求項2】
前記吸着部は、
前記フラットケーブルを吸着する吸着パッドと、
前記ロボットアームから前記吸着パッドまでの距離を変化させる吸着パッド駆動部と、
を有する請求項1に記載のハンド。
【請求項3】
前記吸着パッド駆動部は、前記ロボットアームから前記吸着パッドまでの距離の最大値が、前記ロボットアームから前記チャックまでの距離よりも大きくなるように動作する請求項2に記載のハンド。
【請求項4】
前記チャックは、
前記フラットケーブルの幅方向の位置を規制する位置規制部と、
前記フラットケーブルを厚さ方向に支持する支持部と、
を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のハンド。
【請求項5】
前記把持部は、前記支持部と前記挟持具との距離を変化させる挟持具駆動部を有する請求項4に記載のハンド。
【請求項6】
前記把持部と前記ロボットアームとの間に設けられる力検出部を備え、
前記力検出部は、前記把持部に加わる力を検出し、力検出情報を出力する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のハンド。
【請求項7】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のハンドを用いて、前記フラットケーブルをコネクターに接続させる作業を含む、電子機器の組み立てを行うことを特徴とする電子機器の組立方法。
【請求項8】
請求項7に記載の電子機器の組立方法を有し、投射型表示装置を組み立てることを特徴とする投射型表示装置の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンド、電子機器の組立方法および投射型表示装置の組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器を組み立てる過程では、フレキシブルケーブルの被装着部をコネクターに挿入する接続作業が行われる。この接続作業は、従来、手作業により行われていたが、ロボット等による自動化が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、帯状のケーブルを真空吸引するとともにケーブルの幅方向の位置を規制してケーブルを保持するケーブル保持ツールと、電子機器に対してケーブル保持ツールを相対的に移動させるロボット部と、ロボット部を作動させる制御部と、を備える電子機器組立装置が開示されている。このような電子機器組立装置によれば、電子機器のコネクターに対して帯状のケーブルの被装着部を挿入し、接続することができる。これにより、電子機器の組立作業を自動化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロボットに取り付けられたハンドが、ケーブルの幅方向の位置を規制して保持し、その状態で、ケーブルの被装着部をコネクターに挿入するとき、保持しているケーブルが滑る場合がある。ケーブルが滑ると、ケーブル保持ツールに対するケーブルの位置関係が変化するため、ケーブルの接続作業が失敗しやすくなる。
そこで、ケーブルの滑りを抑えることで、ケーブルの接続作業の成功率を高めることが課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の適用例に係るハンドは、
ロボットアームに取り付けられるハンドであって、
フラットケーブルを吸着する吸着部と、
開閉して前記フラットケーブルを幅方向に挟む一対のチャック、および、前記チャックとの間で前記フラットケーブルを厚さ方向に挟む挟持具、を有する把持部と、
を備える。
【0007】
本発明の適用例に係る電子機器の組立方法は、
本発明の適用例に係るハンドを用いて、前記フラットケーブルをコネクターに接続させる作業を含む、電子機器の組み立てを行う。
【0008】
本発明の適用例に係る投射型表示装置の組立方法は、
本発明の適用例に係る電子機器の組立方法を有し、投射型表示装置を組み立てる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るハンドを含む電子機器の組立装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1のフラットケーブルおよび機能モジュールならびに回路基板を示す斜視図である。
【
図3】
図2のフラットケーブルおよび機能モジュールならびに回路基板を示す断面図である。
【
図7】実施形態に係るハンドを含む電子機器の組立装置の機能ブロック図である。
【
図8】
図7の制御部のハードウェア構成例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る電子機器の組立方法の構成を示すフローチャートである。
【
図10】
図9に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図であって、フラットケーブルの第2先端部を第2コネクターに挿入する前の状態を示す断面図である。
【
図11】
図9に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図であって、第2先端部の被吸着部を吸着部で吸着した状態を示す断面図である。
【
図12】
図9に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図であって、
図11に示すハンドおよび第2先端部を、X軸マイナス側から見た側面図である。
【
図13】
図9に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図であって、被吸着部を吸着した吸着部が上方に引き上げられた状態を示す断面図である。
【
図14】
図9に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図であって、
図12に示すハンドおよび第2先端部を、X軸マイナス側から見た側面図である。
【
図15】
図9に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図であって、チャック同士の間隔を狭めた状態を、X軸マイナス側から見た側面図である。
【
図16】
図9に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図であって、支持部と挟持具との間で被把持部を厚さ方向に挟んだ状態を、X軸マイナス側から見た側面図である。
【
図17】
図9に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図であって、把持部が把持した第2先端部を第2コネクターに挿入した状態を示す断面図である。
【
図18】実施形態に係る投射型表示装置の組立方法の構成を示すフローチャートである。
【
図19】
図18に示す投射型表示装置の組立方法を説明するための模式図である。
【
図20】
図18に示す投射型表示装置の組立方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のハンド、電子機器の組立方法および投射型表示装置の組立方法を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0011】
1.電子機器の組立装置
まず、実施形態に係るハンドを含む電子機器の組立装置の構成について説明する。
図1は、実施形態に係るハンド2を含む電子機器の組立装置100の構成を示す斜視図である。
図2は、
図1のフラットケーブル91および機能モジュール92ならびに回路基板95を示す斜視図である。
図3は、
図2のフラットケーブル91および機能モジュール92ならびに回路基板95を示す断面図である。
【0012】
なお、本願の各図では、互いに直交する3つの軸としてX軸、Y軸およびZ軸を設定している。各軸を矢印で表し、矢印の先端側を「プラス」、矢印の基端側を「マイナス」とする。以下の説明で、例えば「X軸方向」とは、X軸のプラス方向およびマイナス方向の双方を含む。Y軸方向およびZ軸方向も同様である。また、以下の説明では、特に、Z軸プラス側を「上方」ともいい、Z軸マイナス側を「下方」ともいう。
【0013】
図1に示す電子機器の組立装置100は、フラットケーブル91を回路基板95に接続する接続作業を行う。フラットケーブル91および回路基板95は、作業台90上に載置されている。フラットケーブル91を回路基板95に接続することで、電子機器としての電気光学装置9が組み立てられる。
【0014】
フラットケーブル91は、
図2に示すように、機能モジュール92から引き出され、帯状をなしている。帯状とは、X軸方向に延在するケーブルの横断面形状が、Y軸方向の幅よりもZ軸方向の厚さが十分に薄い形状になっていることをいう。また、
図2に示すフラットケーブル91は、y字状に分岐しているが、フラットケーブル91の平面視形状(Z軸上から見た形状)は、特に限定されず、分岐していない形状であってもよいし、3つ以上に分岐した形状であってもよい。
【0015】
図2に示すフラットケーブル91は、基端部912と、基端部912から分岐している第1先端部914および第2先端部916と、を備えている。基端部912は、機能モジュール92に接続されている。第1先端部914および前記第2先端部916は、それぞれ基端部912よりもX軸マイナス側に位置している。また、第1先端部914および第2先端部916は、Y軸方向に並んでいる。
【0016】
機能モジュール92は、任意の機能を有するモジュールであって、フラットケーブル91を介して回路基板95と電気的に接続される。
【0017】
基端部912は、図示しない端子列を有している。この端子列は、機能モジュール92の内部において、機能モジュール92側の図示しない端子列に接触している。
【0018】
第1先端部914は、X軸マイナス側の端部に設けられた、Y軸方向に延在する端子列931を有する。端子列931は、フラットケーブル91の内部に敷設されている図示しない配線を介して、基端部912が有する端子列と電気的に接続されている。
【0019】
第2先端部916は、X軸マイナス側の端部に設けられた、Y軸方向に延在する端子列932を有する。端子列932は、フラットケーブル91の内部に敷設されている図示しない配線を介して、基端部912が有する端子列または端子列931と電気的に接続されている。
【0020】
回路基板95は、図示しない配線が敷設されている配線基板952と、配線基板952に設けられているコネクター954およびコネクター956と、を有する。
【0021】
コネクター954は、
図2に示すように、X軸プラス側に向かって開口し、第1先端部914が挿入される被挿入部955を有する。電子機器の組立装置100は、この被挿入部955に第1先端部914を挿入する作業を行う。被挿入部955の内部には、図示しない端子列が設けられている。被挿入部955に第1先端部914が挿入されると、第1先端部914が有する端子列931と、被挿入部955の内部に設けられている端子列と、が接触し、互いの電気的な接続が図られる。
【0022】
コネクター956は、
図2に示すように、X軸プラス側に向かって開口し、第2先端部916が挿入される被挿入部957を有する。電子機器の組立装置100は、この被挿入部957に第2先端部916を挿入する作業を行う。被挿入部957の内部には、図示しない端子列が設けられている。被挿入部957に第2先端部916が挿入されると、第2先端部916が有する端子列932と、被挿入部957の内部に設けられている端子列と、が接触し、互いの電気的な接続が図られる。
【0023】
なお、
図1ないし
図3では、回路基板95に対してフラットケーブル91が接続される前の状態を図示している。フラットケーブル91は、可撓性を有する(フレキシブルである)。このため、接続作業前の第1先端部914および第2先端部916は、自由端となり、自重で垂れ下がりやすい。その結果、
図3に示すように、配線基板952に対して貼り付くような姿勢をとる傾向がある。このため、電子機器の組立装置100は、このような姿勢をとるフラットケーブル91を把持して接続作業に供することが求められる。なお、フラットケーブル91は、例えば、FPC(Flexible Printed Circuits:フレキシブルプリント基板)、FFC(Flexible Flat Cable:フレキシブルフラットケーブル)等と呼ばれるケーブルであってもよい。
【0024】
コネクター954およびコネクター956は、フラットケーブル91との嵌合により、挿入された状態を維持するようになっている。嵌合方式は、特に限定されないが、本実施形態では、一例として、ワンアクション嵌合方式が採用されている。
【0025】
図1に示す電子機器の組立装置100は、ロボットアーム10および基台110を有するロボット1と、ハンド2と、カメラ3と、制御部5と、を備える。以下、各部の構成について順次説明する。
【0026】
1.1.ロボット
図1に示すロボット1は、一例として、6軸の垂直多関節ロボットである。なお、ロボット1は、水平多関節ロボット(スカラロボット)であってもよいし、双腕型の多関節ロボットであってもよい。
【0027】
基台110は、ロボットアーム10を設置箇所に取り付ける部分である。本実施形態では、基台110が床に設置されている。なお、基台110の設置箇所は、床等に限定されず、例えば、壁、天井、架台上、移動可能な台車上等であってもよい。
【0028】
ロボットアーム10は、アーム11、アーム12、アーム13、アーム14、アーム15、アーム16を有する。これらアーム11~アーム16は、基端側から先端側に向かってこの順に連結されている。アーム11~アーム16は、隣り合うアームまたは基台110に対して回動可能になっている。アーム16は、円盤状をなし、アーム15に対して軸O6回りに回動可動になっている。
【0029】
ロボット1は、アーム同士の関節部またはアームと基台110との関節部に設けられた、図示しない駆動部を有する。この駆動部は、モーターおよび減速機等を備える。モーターとしては、例えば、ACサーボモーター、DCサーボモーター等のサーボモーターが挙げられる。減速機としては、例えば、遊星ギア型の減速機、波動歯車装置等が挙げられる。また、ロボット1は、モーターまたは減速機の回転軸の回転角度を検出する、図示しない角度センサーを有する。角度センサーとしては、例えば、ロータリーエンコーダー等が挙げられる。これらの駆動部および角度センサーは、例えば各関節部に設けられている。駆動部の動作は、角度センサーによる検出結果に基づいて、制御部5により制御される。
【0030】
1.2.ハンド
ロボットアーム10には、
図1に示すように、ハンド2が取り付けられている。ハンド2は、フラットケーブル91を吸着、把持する機能を有する。この機能により、前述した接続作業を行う。
【0031】
図4ないし
図6は、それぞれ
図1のハンド2の構成を示す図である。
ハンド2は、
図4ないし
図6に示すように、吸着部20と、把持部24と、を有する。吸着部20は、フラットケーブル91を吸引し、吸着する機能を有する。把持部24は、フラットケーブル91を把持する機能を有する。
【0032】
吸着部20は、
図4に示すように、吸着パッド21と、吸着パッド駆動部22と、を有する。
【0033】
吸着パッド21は、柔軟性を有し、例えば切頭円錐形をなしている。
図4に示す吸着パッド21は、一例として、下方に向かって突出するように配置され、内部が図示しない真空発生装置と接続されている。真空発生装置の動作により、吸着パッド21の内部が減圧されると、吸着パッド21の下方に位置するフラットケーブル91を吸引する。そして、吸引したフラットケーブル91を吸着パッド21に吸着することができる。
吸着パッド21の構成材料としては、例えば、ゴム材料、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0034】
吸着パッド駆動部22は、吸着パッド21をZ軸方向に並進させる。これにより、ロボットアーム10の先端から吸着パッド21までの距離を変化させることができる。吸着パッド駆動部22としては、例えば、エアシリンダー、ボールねじアクチュエーター、電動アクチュエーター等が挙げられる。このうち、エアシリンダーが好ましく用いられる。エアシリンダーは、構造が簡単であるため、軽量でかつ安価であるため、吸着パッド駆動部22として有用である。
なお、真空発生装置および吸着パッド駆動部22の各動作は、制御部5により制御される。
【0035】
把持部24は、
図6に示すように、一対のチャック25、25と、チャック駆動部26と、一対の挟持具27、27と、挟持具駆動部28と、を有する。
【0036】
一対のチャック25、25は、Y軸に沿って開閉可能になっている。開閉可能とは、Y軸方向におけるチャック25同士の間隔が変化するようになっていることを指す。間隔の変化は、連続的であってもよいし、段階的であってもよい。各チャック25は、Z軸に沿って延在する棒状のチャック本体252と、チャック本体252の下端に接続される位置規制部254と、位置規制部254の下端に接続される支持部256と、を有する。
【0037】
チャック本体252は、チャック駆動部26により、Y軸に沿って移動する。これにより、チャック本体252に接続されている位置規制部254および支持部256もY軸に沿って移動する。
【0038】
位置規制部254は、
図5に示すように、X-Z面に広がる板状をなす部位を含んでいる。位置規制部254同士でフラットケーブル91を幅方向に挟むことにより、Y軸方向においてフラットケーブル91の位置を規制することができる。なお、「幅」とは、Y軸方向の幅である。
【0039】
支持部256は、
図5に示すように、X-Y面に広がる板状をなす部位を含んでいる。一対の支持部256、256を、フラットケーブル91の下方に差し込むことにより、フラットケーブル91を厚さ方向に支持することができる。なお、「厚さ」とは、Z軸方向の厚さである。
【0040】
本実施形態では、位置規制部254および支持部256が一体になっているが、これらは別体であってもよい。位置規制部254および支持部256の構成材料は、特に限定されず、樹脂材料であってもよいが、金属材料であるのが好ましい。これにより、位置規制部254および支持部256の剛性を高めることができる。
【0041】
チャック駆動部26は、電動アクチュエーター262と、ガイドレール264と、スライダー266と、を有する。
【0042】
電動アクチュエーター262は、例えばステッピングモーター等を内蔵し、一対のチャック25、25の間隔を連続的に変化させる。なお、電動アクチュエーター262は、同様の機能を有するアクチュエーターで代替可能である。また、間隔の変化は、不連続的であってもよい。
【0043】
ガイドレール264は、Y軸に沿って延在するレールである。ガイドレール264に組み合わされたスライダー266は、Y軸に沿って滑らかに移動する。
スライダー266は、各チャック25の上端部に接続されている。スライダー266を介することにより、各チャック25をY軸に沿って滑らかに移動させることができる。
【0044】
一対の挟持具27、27は、一対の支持部256、256の上方に配置され、Z軸に沿って移動可能になっている。これにより、支持部256と挟持具27との間でフラットケーブル91を厚さ方向に挟むことができる。また、一対の挟持具27、27および一対の支持部256、256は、フラットケーブル91の幅方向の両端部を厚さ方向に挟むように構成されている。このため、フラットケーブル91が力を受けても、フラットケーブル91がZ軸まわりに回転してしまうことが抑制され、フラットケーブル91の姿勢が乱れにくい。
【0045】
挟持具27の構成材料は、特に限定されないが、例えば、金属材料、樹脂材料等が挙げられる。金属材料を用いることで、挟持具27の剛性を高めることができ、フラットケーブル91に大きな把持力を与えることができる。また、樹脂材料を用いることで、挟持具27とフラットケーブル91との間に大きな摩擦力を発生させることができる。
【0046】
挟持具駆動部28は、エアシリンダー282と、可動部284と、一対のシャフト286、286と、を有する。
【0047】
エアシリンダー282は、可動部284および一対のシャフト286を介して、挟持具27をZ軸方向に並進させる。これにより、支持部256と挟持具27との距離を変化させることができ、フラットケーブル91を厚さ方向に挟んだり、それを解除したりすることができる。エアシリンダー282は、構造が簡単であるため、軽量でかつ安価であるため有用である。なお、エアシリンダー282は、同様の機能を有するアクチュエーターで代替可能である。
【0048】
可動部284は、
図6に示すように、エアシリンダー282とシャフト286との間に介在するとともに、Y軸方向におけるシャフト286同士の間隔が自在に変わるようにシャフト286を支持する。シャフト286は、
図6に示すように、Z軸に沿って延在する棒状をなす部材である。
電動アクチュエーター262およびエアシリンダー282の各動作は、制御部5により制御される。
【0049】
また、挟持具駆動部28は、
図6に示す、2本のガイドレール288、288と、各ガイドレール288に組み合わされたスライダー290、290と、を有する。
【0050】
各ガイドレール288は、チャック25に取り付けられ、Z軸に沿って延在するレールである。ガイドレール288に組み合わされたスライダー290は、Z軸に沿って滑らかに移動する。
【0051】
スライダー290は、挟持具27に接続されている。スライダー290を介することにより、各挟持具27は、チャック25に対して滑らかに移動することができる。また、これらのガイドレール288およびスライダー290は、チャック25の開閉に伴って開閉するようになっている。このため、挟持具27および支持部256は、フラットケーブル91の幅に応じてY軸方向に移動できる。これにより、異なる幅のフラットケーブル91を把持する場合でも、幅方向の両端部を挟持具27および支持部256で挟むことができる。
【0052】
1.3.カメラ
カメラ3は、例えば、位置規制部254、支持部256および吸着パッド21等が同一視野に収まるように、撮像範囲が設定されている。また、カメラ3は、ハンド2に固定されている。これにより、ハンド2と同様にカメラ3を移動させることができる。その結果、撮像された画像における位置規制部254、支持部256および吸着パッド21等の位置を固定することができる。このため、画像に対して画像処理を行って各部を画像認識させるとき、認識率を高めることができる。なお、カメラ3は、ハンド2とは異なる部位、例えばロボット1に取り付けられていてもよいし、ロボット1から離れた床や壁、天井等に取り付けられていてもよい。
【0053】
カメラ3は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を有する。カメラ3は、モノクロカメラであっても、カラーカメラであっても、分光カメラであってもよい。また、カメラ3は、3次元カメラであってもよい。
カメラ3で撮像された画像は、制御部5に出力される。
【0054】
1.4.力検出部
ハンド2は、さらに力検出部4を備えていてもよい。力検出部4は、ハンド2に加わる力、特に把持部24に加わる力を検出する。この力には、モーメントも含まれる。力検出部4は、例えば、6軸力覚センサーや3軸力覚センサー等で構成される。力検出部4が検出した力検出情報は、制御部5に出力される。
【0055】
1.5.制御部
制御部5は、ロボット1やそれに取り付けられた各部の動作を制御する機能を有する。
【0056】
図7は、実施形態に係るハンド2を含む電子機器の組立装置100の機能ブロック図である。
図7に示すように、制御部5は、機能部として、ロボット制御部50、ケーブル位置検出部51、コネクター位置検出部52、挿入状態検出部53、吸着制御部54、および、把持制御部55を有する。
【0057】
ロボット制御部50は、ロボット1の動作を制御し、ハンド2の位置および姿勢を制御する。ロボット制御部50は、位置制御部501と、力制御部502と、を有する。位置制御部501は、ハンド2が所定の座標に位置するように、ロボット1の動作を制御する位置制御を行う。位置制御は、目標の位置と、ハンド2の位置と、に基づいて、ロボット1の動作を制御することをいう。力制御部502は、力検出情報に基づいて、ロボット1の動作を制御する力制御を行う。力制御としては、例えば、インピーダンス制御、フォーストリガー制御等がある。フォーストリガー制御では、力検出部4によって検出される力が所定値になるまで、ロボット1の動作を制御する。インピーダンス制御は、例えば倣い制御を含む。倣い制御では、力検出部4によって検出される所定方向の力が、目標値に維持されるように、ロボット1の動作を制御する。
【0058】
ケーブル位置検出部51は、カメラ3が撮像した画像に基づいて、フラットケーブル91の位置、特に、第1先端部914および第2先端部916の位置を検出する。コネクター位置検出部52は、カメラ3が撮像した画像に基づいて、コネクター954およびコネクター956の位置を検出する。挿入状態検出部53は、カメラ3が撮像した画像や力検出部4が検出した力検出情報に基づいて、フラットケーブル91の挿入状態を検出する。
【0059】
吸着制御部54は、画像や力検出情報、真空発生装置の動作状態を示す信号等に基づいて、吸着部20の動作を制御する。把持制御部55は、画像や力検出情報の他、チャック駆動部26や挟持具駆動部28の動作状態を示す信号等に基づいて、把持部24の動作を制御する。
【0060】
図8は、
図7の制御部5のハードウェア構成例を示す図である。
制御部5の各機能部が発揮する機能は、例えば、
図8に示す、CPU701、ROM702、RAM703、外部インターフェース704、および、バス705を備えるハードウェアによって実現される。CPU701、ROM702、RAM703および外部インターフェース704は、バス705を介して相互に通信可能になっている。
【0061】
CPU701は、Central Processing Unitである。ROM702やRAM703に格納されている各種プログラムをCPU701に実行させることにより、各機能部が発揮する機能が実現される。なお、CPU701は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)であってもよい。また、ハードウェアの全部または一部が、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成されていてもよい。
【0062】
ROM702は、Read-Only Memoryであり、任意の不揮発性記憶素子で構成される。RAM703は、Random Access Memoryであり、任意の揮発性記憶素子で構成される。ROM702およびRAM703は、プログラム、データ、設定値等を格納する。なお、これらは、着脱可能な記憶媒体やネットワーク等を介して、外部から提供されるようになっていてもよい。また、ROM702およびRAM703は、着脱式の外部記憶装置であってもよいし、ネットワークを介して別の場所に設置されていてもよい。
【0063】
外部インターフェース704としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート、イーサネット(登録商標)ポート等が挙げられる。外部インターフェース704は、ロボット1やそれに取り付けられた各部との間で、信号の送受信に用いられる。
【0064】
2.電子機器の組立方法
次に、実施形態に係る電子機器の組立方法について説明する。
【0065】
図9は、実施形態に係る電子機器の組立方法の構成を示すフローチャートである。
図10ないし
図17は、
図9に示す電子機器の組立方法を説明するための模式図である。
【0066】
図9に示す電子機器の組立方法は、前述したハンド2を含む電子機器の組立装置100を用いて、フラットケーブル91の第2先端部916を、コネクター956に接続する接続作業を行うことにより、電子機器としての電気光学装置9を組み立てる方法である。なお、第1先端部914は、すでにコネクター954に接続済みであるものとする。
【0067】
この接続作業は、吸着工程S102と、把持工程S104と、接続工程S106と、解除工程S108と、を有する。
【0068】
2.1.吸着工程
吸着工程S102では、作業台90上に置かれたフラットケーブル91の第2先端部916をカメラ3で撮像する。制御部5のケーブル位置検出部51は、撮像画像に対してケーブル認識処理を行う。これにより、第2先端部916を検出するとともに、ハンド2に対する第2先端部916の相対的な位置関係が求められる。なお、ハンド2に対する第2先端部916の相対的な位置にバラつきが少ない場合には、画像の取得およびケーブル認識処理を省略してもよい。
【0069】
次に、求められた位置関係に基づいて、ロボット制御部50は、ハンド2を第2先端部916に対して相対的に移動させる。本明細書において「相対的に移動」とは、2つの物体の位置関係が変わるように、少なくとも一方の物体が移動することをいう。そして、吸着制御部54が制御信号を出力し、吸着部20に第2先端部916を吸引、吸着させる。吸着部20による吸引動作では、吸着部20から第2先端部916が多少離れていても、吸引力を及ぼすことができる。このため、吸着部20に対する第2先端部916の位置が多少あいまいでも、支障なく吸引動作を行うことができる。また、
図3に示すように、第2先端部916が配線基板952に対して貼り付くような姿勢をとっていても、第2先端部916の上面に吸着部20を近づけることで、第2先端部916の吸引が可能である。
【0070】
吸着部20によって吸着する部位には、後述する把持工程S104や接続工程S106を見越した、適切な部位が選択される。
【0071】
図2に示す第2先端部916は、吸着部20によって吸着される被吸着部918と、把持部24によって把持される被把持部919と、を有している。被吸着部918は、被把持部919よりも基端部912側に設定されている。これにより、
図10に示すように、吸着部20によって被吸着部918を吸着したとき、被吸着部918よりもX軸マイナス側にスペースを残すことができ、このスペースを、被把持部919およびコネクター956に挿入する部位として割り当てることができる。
【0072】
吸着部20による吸着動作が完了すると、
図11に示すように、配線基板952に貼り付いていた第2先端部916を、吸着部20に吸着させた状態で移動させることができる。これにより、第2先端部916を配線基板952から持ち上げて、第2先端部916と作業台90との間に隙間を作ることができる。その結果、後述する把持工程S104において、把持部24による把持動作が可能になる。
【0073】
図12は、
図11に示すハンド2および第2先端部916を、X軸マイナス側から見た側面図である。この時点における吸着パッド21は、
図12に示すように、支持部256よりも下方に位置している。つまり、吸着部20が被吸着部918を吸着する位置を、把持部24よりもロボットアーム10から離れた位置にする。これにより、支持部256と第2先端部916との干渉を避けながら、吸着パッド21を第2先端部916の上面、つまり被吸着部918に近づけやすくなる。
【0074】
上記のような動作を実現するため、吸着パッド駆動部22は、ロボットアーム10の先端から吸着パッド21までの距離の最大値が、ロボットアーム10の先端からチャック25までの距離(支持部256までの距離)よりも大きくなるように、吸着パッド21を駆動する。これにより、吸着動作が容易になる上記の位置と、後述する把持動作が容易になる位置と、の間で、吸着パッド21を移動させることができる。
【0075】
2.2.把持工程
把持工程S104では、まず、把持制御部55が制御信号を出力してチャック駆動部26を動作させ、チャック25同士の間隔(支持部256同士の距離)を被把持部919の幅よりも十分に広い「第1間隔」に設定する。第1間隔は、被把持部919の幅と、吸着パッド21に吸着された被把持部919の相対位置のバラつきと、を踏まえて設定される。したがって、第1間隔は、特に限定されないが、被把持部919の幅の1.0倍超、好ましくは1.1倍以上に設定される。なお、本明細書における「チャック25同士の間隔」とは、Y軸方向における支持部256同士の最短距離のことをいう。
【0076】
次に、吸着制御部54が制御信号を出力して吸着パッド駆動部22を動作させ、
図13に示すように、吸着パッド21を上方に引き上げる。つまり、吸着パッド駆動部22は、ロボットアーム10から吸着パッド21までの距離を縮める短縮動作を行う。
【0077】
図14ないし
図16は、
図12に示すハンド2および第2先端部916を、X軸マイナス側から見た側面図である。吸着パッド駆動部22は、吸着パッド21を上方に引き上げ、
図14に示すように、支持部256よりも上方に吸着パッド21を位置させる。これにより、吸着パッド21に吸着している被把持部919も、支持部256より上方に引き上げられる。その結果、被把持部919の下方に支持部256を支障なく差し込むことが可能になる。
【0078】
次に、チャック駆動部26を動作させ、
図15に示すように、チャック25同士の間隔(支持部256同士の距離)を被把持部919の幅よりも狭い「第2間隔」まで狭める。第2間隔は、被把持部919の幅の1.0倍未満に設定される。これにより、一対の支持部256、256を被把持部919の下方に差し込んで、下方から支持することができる。また、位置規制部254同士の間隔は、被把持部919の幅と同程度、具体的には、被把持部919の幅の1.0倍以上1.5倍以下程度に設定される。これにより、一対の位置規制部254、254で被把持部919を幅方向に挟んだとき、幅方向における被把持部919の位置を規制することができる。これにより、把持部24に対する第2先端部916の相対位置を、目標位置に合わせることができる。
【0079】
なお、前述した第1間隔および第2間隔は、被把持部919の幅に応じて適宜選択される。被把持部919の幅は、カメラ3で撮像した撮像画像から求めることができる。これにより、
図2に示すような第1先端部914と第2先端部916とで幅が異なるフラットケーブル91や各部の幅に個体差があるフラットケーブルについても、容易に組み立てに供することができる。
【0080】
次に、把持制御部55が制御信号を出力して挟持具駆動部28を動作させ、一対の挟持具27、27を下方に降下させる。これにより、被把持部919を幅方向に挟むだけでなく、
図16に示すように、支持部256と挟持具27との間で、被把持部919を厚さ方向に挟むことができる。その結果、十分な把持力で被把持部919を把持することができる。
【0081】
また、把持の完了後、吸着部20による被吸着部918の吸着動作を停止する。なお、吸着動作を停止するタイミングは、特に限定されず、後述する接続工程S106や解除工程S108であってもよい。
【0082】
2.3.接続工程
接続工程S106では、把持部24が把持した第2先端部916を、
図17に示すように、コネクター956の被挿入部957に挿入する。
【0083】
具体的には、まず、第2先端部916を、コネクター956の近くまで移動させる。この移動には、ロボット制御部50の位置制御部501による位置制御が好ましく用いられる。
【0084】
次に、把持されている第2先端部916およびコネクター956をカメラ3で撮像する。制御部5のケーブル位置検出部51およびコネクター位置検出部52は、撮像画像に対してケーブル認識処理およびコネクター認識処理を行う。これにより、第2先端部916およびコネクター956を検出するとともに、ハンド2に対するこれらの相対的な位置関係が求められる。
【0085】
次に、求められた位置関係に基づいて、ロボット制御部50は、第2先端部916をコネクター956に対して接近させる。このとき、所定の位置で、ロボット制御部50の力制御部502による力制御に切り替えることが好ましい。これにより、被挿入部957に対する第2先端部916の挿入作業を、例えば倣い制御によって行うことができる。その結果、コネクター956に対する第2先端部916の接続作業を、より効率よく行うことができる。
【0086】
また、把持部24では、支持部256と挟持具27との間で、被把持部919が厚さ方向に挟まれているため、十分な把持力で被把持部919が把持されている。このため、被挿入部957に対して第2先端部916を挿入するとき、被挿入部957と第2先端部916との間の摩擦等により、第2先端部916に力が加わっても、被把持部919が滑ることが抑制される。このように被把持部919の滑りが抑制されることで、接続作業の間、把持部24に対する被把持部919の位置関係を良好に維持できる。その結果、接続作業の成功率を高めることができる。
【0087】
さらに、把持部24は、被把持部919の幅方向の両端部を厚さ方向に挟むように構成されている。このため、第2先端部916に力が加わっても、第2先端部916がZ軸まわりに回転しにくくなる。これにより、接続作業の成功率をより高めることができる。
【0088】
第2先端部916の挿入が完了すると、ハンド2が受ける力が変化する。挿入状態検出部53は、この力の変化に基づいて、挿入が完了したか否かを判断する。そして、挿入が完了したと判断した場合、ロボット制御部50は、挿入作業を終了させる。このようにして接続作業の完了を検出することができれば、接続不良の発生を抑制できるため、良品率を高めることができる。
【0089】
2.4.解除工程
解除工程S108では、チャック駆動部26を動作させ、チャック25同士の間隔を被把持部919の幅より広くする。
【0090】
次に、ロボット1により、ハンド2を退避させる。以上のようにして、フラットケーブル91の接続作業が完了する。なお、本明細書における組立方法は、製造方法と同義である。
【0091】
なお、電子機器の組立装置100では、吸着部20と把持部24が同一のロボット1に取り付けられているが、これらは、互いに異なるロボットに取り付けられていてもよい。つまり、2台のロボットが吸着部20および把持部24を個別に移動させるように構成された組立装置を用いて、上記の各工程を行うようにしてもよい。
【0092】
以上のような電子機器の組立方法によれば、フラットケーブル91を接続する接続作業を自動化することができる。自動化とは、電子機器の組立装置100のような、プログラムに基づいて動作する装置で接続作業を行わせることをいう。これにより、電子機器の組み立てにおいて省人化を図ることができる。なお、組み立てられる電子機器としては、特に限定されないが、例えば、投射型表示装置(プロジェクター)、可搬型パーソナルコンピューター、プリンター、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、インパネ等の車載用の表示器、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末が挙げられる。
【0093】
3.投射型表示装置の組立方法
次に、実施形態に係る投射型表示装置の組立方法について説明する。
【0094】
図18は、実施形態に係る投射型表示装置の組立方法の構成を示すフローチャートである。
図19および
図20は、
図18に示す投射型表示装置の組立方法を説明するための模式図である。
【0095】
図18に示す投射型表示装置の組立方法は、前述したハンド2を含む電子機器の組立装置100を用いて、電子機器としての電気光学装置9を組み立てる第1工程S202と、得られた電気光学装置9を筐体82に組み込んで投射型表示装置8を得る第2工程S204と、を有する。
【0096】
以下、実施形態に係る投射型表示装置の組立方法について説明するが、以下の説明では、前述した電子機器の組立方法との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0097】
3.1.第1工程
第1工程S202では、ハンド2を含む電子機器の組立装置100を用いて、
図9に示す電子機器の組立方法と同様の各工程を行い、
図19に示す電気光学装置9を組み立てる。
図19に示す電気光学装置9は、
図2に示す電気光学装置9の変形例であって、フラットケーブル91の形状が異なる。
図19に示すフラットケーブル91は、基端部912が2層に分かれている。そして、1層目のケーブルは、第1先端部914を構成し、2層目のケーブルは、第2先端部916を構成している。なお、
図19に示すフラットケーブル91の分岐数は、3以上であってもよい。この場合、基端部912が3層以上に分かれていればよい。
【0098】
3.2.第2工程
第2工程S204では、
図19に示す電気光学装置9を筐体82に組み込む。これにより、
図20に示す投射型表示装置8が得られる。
【0099】
以上のような投射型表示装置の組立方法によれば、フラットケーブル91を接続する接続作業を自動化することができる。これにより、投射型表示装置8の組み立てにおいて省人化を図ることができる。
【0100】
3.3.投射型表示装置
図20に示す投射型表示装置8は、電気光学装置9と、これを収容する筐体82と、筐体82に設けられた投射光学系84と、を備える。電気光学装置9は、図示しない光源から射出される光を変調し、画像情報を付加する機能を有する。画像情報が付加された画像光は、投射光学系84を介して、図示しないスクリーン等に投射される。
【0101】
4.前記実施形態が奏する効果
以上のように、実施形態に係るハンド2は、ロボットアーム10に取り付けられるハンドであって、吸着部20と、把持部24と、を備える。吸着部20は、フラットケーブル91を吸着する。把持部24は、開閉してフラットケーブル91を幅方向に挟む一対のチャック25、25、および、チャック25との間でフラットケーブル91を厚さ方向に挟む挟持具27、を有する。
【0102】
このような構成によれば、ハンド2がロボットアーム10に取り付けられ、ハンド2を用いてフラットケーブル91をコネクター956に接続する作業を行うとき、把持部24に対するフラットケーブル91の滑りを抑制することができる。したがって、フラットケーブル91の接続作業を効率よく行うことができるハンド2を実現することができる。
【0103】
吸着部20は、吸着パッド21と、吸着パッド駆動部22と、を有することが好ましい。吸着パッド21は、フラットケーブル91を吸着する。吸着パッド駆動部22は、ロボットアーム10から吸着パッド21までの距離を変化させる。
【0104】
このような構成によれば、例えば、吸着工程S102では、支持部256よりも下方に吸着パッド21を位置させたとしても、把持工程S104では、支持部256よりも上方に吸着パッド21を位置させることができる。これにより、把持工程S104では、吸着パッド21に吸着しているフラットケーブル91を、支持部256より上方に引き上げることができ、フラットケーブル91の下方に支持部256を支障なく差し込むことが可能になる。
【0105】
吸着パッド駆動部22は、ロボットアーム10から吸着パッド21までの距離の最大値が、ロボットアーム10からチャック25までの距離よりも大きくなるように動作することが好ましい。
【0106】
このような構成によれば、吸着動作が容易になる位置と、把持動作が容易になる位置と、の間で、吸着パッド21を移動させることができる。これにより、フラットケーブル91の接続作業をより効率よく行うことができる。
【0107】
チャック25は、位置規制部254と、支持部256と、を有することが好ましい。位置規制部254は、フラットケーブル91の幅方向の位置を規制する。支持部256は、フラットケーブル91を厚さ方向に支持する。
【0108】
このような構成によれば、幅方向におけるフラットケーブル91の位置を規制することができる。その結果、把持部24に対するフラットケーブル91の相対位置を、目標位置に合わせることができる。また、挟持具27は、支持部256との間でフラットケーブル91を厚さ方向に挟むことができる。これにより、フラットケーブル91の幅方向の両端部を厚さ方向に挟むことができ、フラットケーブル91に力が加わっても、Z軸まわりの回転を抑制できる。
【0109】
把持部24は、支持部256と挟持具27との距離を変化させる挟持具駆動部28を有することが好ましい。
【0110】
このような構成によれば、フラットケーブル91を厚さ方向に挟んだり、それを解除したりすることができる。
【0111】
実施形態に係るハンド2は、力検出部4を備えていてもよい。力検出部4は、把持部24とロボットアーム10との間に設けられる。力検出部4は、把持部24に加わる力を検出し、力検出情報を出力する。
【0112】
このような構成によれば、例えば、出力された力検出情報をロボットアーム10の動作の制御に活かすことができるので、コネクター956に対するフラットケーブル91の接続作業を、より効率よく行うことができる。なお、把持部24とロボットアーム10との間には、任意の介在物があってもよい。
【0113】
実施形態に係る電子機器の組立方法は、ハンド2を用いて、フラットケーブル91をコネクター956に接続させる作業を含む、電子機器である電気光学装置9の組み立てを行う。
【0114】
このような構成によれば、電気光学装置9の組み立てにおいて省人化を図ることができる。また、コネクター956に対するフラットケーブル91の接続作業において成功率を高めることができる。
【0115】
実施形態に係る投射型表示装置の組立方法は、実施形態に係る電子機器の組立方法を有し、投射型表示装置8を組み立てる。
【0116】
このような構成によれば、投射型表示装置8の組み立てにおいて省人化を図ることができる。また、コネクター956に対するフラットケーブル91の接続作業において成功率を高めることができる。
【0117】
以上、本発明に係るハンド、電子機器の組立方法および投射型表示装置の組立方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0118】
例えば、本発明に係るハンドは、前記実施形態の各部が同様の機能を有する任意の構成物に置換されたものであってもよく、前記実施形態に任意の構成物が付加されたものであってもよい。
【0119】
また、本発明に係る電子機器の組立方法および投射型表示装置の組立方法は、前記実施形態に任意の目的の工程が付加されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0120】
1…ロボット、2…ハンド、3…カメラ、4…力検出部、5…制御部、8…投射型表示装置、9…電気光学装置、10…ロボットアーム、11…アーム、12…アーム、13…アーム、14…アーム、15…アーム、16…アーム、20…吸着部、21…吸着パッド、22…吸着パッド駆動部、24…把持部、25…チャック、26…チャック駆動部、27…挟持具、28…挟持具駆動部、50…ロボット制御部、51…ケーブル位置検出部、52…コネクター位置検出部、53…挿入状態検出部、54…吸着制御部、55…把持制御部、82…筐体、84…投射光学系、90…作業台、91…フラットケーブル、92…機能モジュール、95…回路基板、100…組立装置、110…基台、252…チャック本体、254…位置規制部、256…支持部、262…電動アクチュエーター、264…ガイドレール、266…スライダー、282…エアシリンダー、284…可動部、286…シャフト、288…ガイドレール、290…スライダー、501…位置制御部、502…力制御部、701…CPU、702…ROM、703…RAM、704…外部インターフェース、705…バス、912…基端部、914…第1先端部、916…第2先端部、918…被吸着部、919…被把持部、931…端子列、932…端子列、952…配線基板、954…コネクター、955…被挿入部、956…コネクター、957…被挿入部、O6…軸、S102…吸着工程、S104…把持工程、S106…接続工程、S108…解除工程、S202…第1工程、S204…第2工程