(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083935
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】粘度計測方法及び粘度計測装置
(51)【国際特許分類】
G01N 11/04 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
G01N11/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198034
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】三浦 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】森下 智貴
(72)【発明者】
【氏名】和知 康晴
(72)【発明者】
【氏名】吉本 和哲
(57)【要約】
【課題】流れている液体の粘度を連続的に計測するための粘度計測方法及び粘度計測装置を提供する。
【解決手段】粘度計測装置10は、流量計18、水位センサ25及び計算装置20の制御部21を備える。流量計18は、逆円錐台形状の計測管11に流入する安定液の流速を計測する。水位センサ25は、計測管11内の安定液の水位を計測する。制御部21は、流量計18が計測した流速と水位センサ25が計測した安定液の水位とを用いて、計測管11の安定液の粘度を算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が排出される流出孔を底面に有した円筒形状又は円錐台形状の計測管に連続的に流入される前記液体の流量と、前記計測管内の前記液体の水位とを計測し、
前記計測した液体の流量と前記計測管内の水位とを用いることにより、前記液体の粘度を特定することを特徴とする粘度計測方法。
【請求項2】
液体が排出される流出孔を底面に有した円筒形状又は円錐台形状の計測管に連続的に流入する前記液体の流量を計測する流量計と、
前記計測管内の前記液体の水位を計測する水位センサと、
前記流量計が計測した流量と、前記水位センサが計測した前記水位とを用いて、前記計測管の液体の粘度を算出する制御部とを備えることを特徴とする粘度計測装置。
【請求項3】
前記計測管を収容する収容体を更に備え、
前記流量計が設けられた供給管からの液体が、前記収容体を経由して前記計測管に流入することを特徴とする請求項2に記載の粘度計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体の粘度を連続的に計測する粘度計測方法及び粘度計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、杭工事や地中連続壁工事等で使用される安定液は、通常1日に1回程度、採取されて比重、粘性(粘度)、砂分量及び造壁性が測定される。そして、測定値が管理基準値以内となるように管理されている。この場合、安定液(泥水)の粘度は、ファンネル粘度計等によって計測されている(例えば、特許文献1参照。)。この文献に記載のファンネル粘度の計測装置は、泥水を貯留可能な漏斗状の容器本体と、投入開口の上方に設置された超音波式変位センサと、吐出口に設けられた本体開閉弁と、吐出口の近傍に設けられた光変位センサとを備える。更に、この計測装置は、泥水を容器本体に投入する泥水供給管と、泥水供給管に設けられた泥水供給用開閉弁と、開閉弁を制御する演算制御部とを備える。超音波式変位センサにより容器本体内の泥水の貯留量が第1の基準量に達した場合、演算制御部は、本体開閉弁を開くとともに泥水供給用開閉弁を閉じた後、時間計測を開始する。そして、容器本体内の泥水の貯留量が第2の基準量に低下したことに応じて時間計測が終了すると、計測された時間をファンネル粘度データとして出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した文献等の従来技術においては、いずれも一定量の安定液を容器等に採取して測定後に排出する。このような測定方法は、いわゆるバッチ式であるため、安定液の粘度を連続的に計測することはできない。更に、このような測定方法においては、安定液の採取、計測及び排出等の操作が複雑になり、計測上の不具合や誤差が生じ易かった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する粘度計測方法は、液体が排出される流出孔を底面に有した円筒形状又は円錐台形状の計測管に連続的に流入される前記液体の流量と、前記計測管内の前記液体の水位とを計測し、前記計測した液体の流量と前記計測管内の水位とを用いることにより、前記液体の粘度を特定する。
また、上記課題を解決する粘度計測装置は、液体が排出される流出孔を底面に有した円筒形状又は円錐台形状の計測管に連続的に流入する前記液体の流量を計測する流量計と、前記計測管内の前記液体の水位を計測する水位センサと、前記流量計が計測した流量と、前記水位センサが計測した前記水位とを用いて、前記計測管の液体の粘度を算出する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、流れている液体の粘度を連続的に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態の粘度計測装置の構成を説明する概略図である。
【
図2】実施形態のハードウェア構成を説明する説明図である。
【
図3】実施形態の流量と水位と粘性の関係を説明する説明図である。
【
図4】実施形態における粘度計測処理の処理手順を説明する流れ図である。
【
図5】実施形態において粘度計測装置の下端部の開口部が0.2cmのときの粘性別の水位と流速との関係を示すグラフである。
【
図6】実施形態において粘度計測装置の下端部の開口部が0.5cmのときの粘性別の水位と流速との関係を示すグラフである。
【
図7】実施形態において粘度計測装置の傾斜が0.5のときの粘性別の水位と流速との関係を示すグラフである。
【
図8】実施形態において粘度計測装置の傾斜が0.1のときの粘性別の水位と流速との関係を示すグラフである。
【
図9】実施形態においてファンネル粘度別の水位と流速との関係を示すグラフである。
【
図10】実施形態において流量別の算出粘度と水位との関係を示すグラフである。
【
図11】実施形態における粘度計測方法によって算出した算出粘度とファンネル粘度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図11を用いて、粘度計測方法及び粘度計測装置を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、下方が狭くなる逆円錐台形状の計測管に、粘度を計測する液体として安定液(泥水)を流すことにより、安定液の粘度を計測する。この安定液は、杭孔に充填されるとともに、例えば、杭孔から一部が抜き取られて粘度等を計測された後、杭孔に戻される。
【0009】
(粘度計測装置の構成)
図1に示すように、粘度計測装置10は、計測管11と計算装置20とを備える。計測管11は、収容体15に収容されている。
【0010】
計測管11は、下方の断面積が小さくなる逆円錐台形状を有した管である。計測管11の底面には、収容された安定液が流出する流出孔11hが形成されている。この流出孔11hは、計測管11の底面に応じた大きさで形成されている。具体的には、計測管11は底面を塞ぐ部材がない側壁部から構成される。計測管11の上部には、例えば切欠き形状の流入部11aが形成されている。この流入部11aを介して、収容体15の内部から安定液が、計測管11に流れ込む。
【0011】
計測管11は、収容体15の底面から下方に突出している。収容体15の安定液が収容体15の底面の流出孔11hから直接、流出しないように、計測管11の周囲であって収容体15の孔の周囲には、シールリング16等が設けられている。
【0012】
収容体15には、供給管17の端部が接続されている。この供給管17は、図示しないポンプを用いて、安定液を、杭孔等から収容体15の内部に供給する。ポンプは、流量の変動予測範囲を考慮した場合に、供給管17を流れる安定液が、計測管11内で一時的に貯留することにより計測管11における水位(底面から安定液の液面までの高さ)を計測できる範囲の流量となるように稼働される。この場合、供給管17を流れる安定液の流量の範囲は、計測により予測される安定液の粘度の範囲と、計測管11の流出孔11hの大きさとを用いて特定される。供給管17には、流量計18が設けられている。この流量計18は、供給管17が流れる安定液の流速(1分間の流量)を計測し、計測した流速を計算装置20に供給する。
【0013】
更に、計測管11の上方には、計測管11に収容されている安定液の水位を計測する非接触型の水位センサ25が設けられている。この水位センサ25は、計測管11の水位を算出するために、設置位置から計測管11内の液面w1までの距離を計測し、計測した距離を計算装置20に供給する。
【0014】
(ハードウェア構成例)
図2は、計算装置20等として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例である。
【0015】
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
【0016】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインターフェースである。
入力装置H12は、計測者の入力を受け付ける装置である。
表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイやタッチパネル等である。
記憶装置H14は、計算装置20の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する。
【0017】
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、計算装置20における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、CPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各種処理に対応する各種プロセスを実行する。例えば、プロセッサH15は、計算装置20のアプリケーションプログラムが起動された場合、後述する各処理を実行するプロセスを動作させる。
【0018】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。
【0019】
(計算装置20の構成)
図1の計算装置20は、流量計18、水位センサ25及び比重計30に接続されている。
【0020】
計算装置20は、流量計18が計測した供給管17を流れる安定液の流速を取得する。更に、計算装置20は、水位センサ25の計測値を用いて、計測管11内の安定液の水位(高さ)を特定する。計算装置20は、比重計30から、計測された安定液の比重を取得する。なお、比重計30は、例えば、杭孔等から抜き出された安定液の比重を計測する。
【0021】
計算装置20は、制御部21及び粘度データ記憶部22を備える。
制御部21は、後述する処理(水位算出段階及び粘度算出段階等を含む処理)を行なう。このための粘度計測プログラムを実行することにより、制御部21は、水位算出部211及び粘度算出部212等として機能する。
【0022】
水位算出部211は、計測管11内の水位を算出する。本実施形態では、水位算出部211は、水位センサ25の計測管11の底面からの設置高さを記憶している。更に、水位算出部211は、水位センサ25が計測した水位センサ25から液面w1までの距離を取得する。そして、設置高さから距離を減算することにより、計測管11内の安定液の水位(計測管11の底面からの高さ)を算出する。
【0023】
粘度算出部212は、算出した水位と、流量計18から取得した流速を用いて、計測管11内の安定液の粘度を算出する。
ここで、
図3の式(1)で示すように、流速Qは、粘度η、試料の密度(比重)ρ、重量加速度、計測管11の寸法を用いて示すことができる。ここで、Δは、計測管11の傾斜を示しており、計測管11の全長Htを「1」としたときの横の長さである。このため、粘度算出部212は、式(1)に用いる計測管11の寸法(全長Ht、最大半径Rt、最小半径Rb、計測管11の傾斜Δ等)を記憶している。
粘度データ記憶部22は、算出された粘度を、算出した時刻と関連付けて記憶する。
【0024】
(粘度計測方法)
次に、
図4を用いて、粘度計測方法について説明する。
測定開始時には、まず、測定開始水位まで安定液を導入する(ステップS11)。この場合、ポンプを用いて、供給管17に安定液を供給する。ここで、測定開始水位は、流速に対応して、安定液の水位がほぼ一定となるようにバランスする水位である。
具体的には、安定液を供給管17及び収容体15を介して、計測管11に供給する。そして、計測管11の底面を閉鎖して、安定液の流量が変動範囲及び安定液の予測粘度に対応する液面の高さの測定開始水位まで、安定液を溜める。ここでは、予測粘度に対応する流速と水位がほぼバランスするように、安定液の測定開始水位を、計測管11を設置する場所の大きさや配管等で決定する。
そして、測定開始水位となったところで、計測管11の底面を開放して、流出孔11hから安定液を流出させる。
【0025】
次に、流速及び水位の取得処理を実行する(ステップS12)。具体的には、流量計18は、供給管17を流れる安定液の流速を計測し、計測した流速を計算装置20に供給する。更に、水位センサ25は、計測した計測管11の液面までの距離を計算装置20に供給する。更に、比重計30は、計測した安定液の比重を計算装置20に供給する。そして、これ以降、流量計18、水位センサ25及び比重計30は、計測する度に、計測値(流速、距離及び比重)を計算装置20に供給する。
【0026】
計測値を受信すると、計算装置20の制御部21は、粘度の算出処理を実行する(ステップS13)。具体的には、制御部21の水位算出部211は、水位センサ25を用いて、計測管11内の安定液の水位を算出する。
【0027】
そして、制御部21の粘度算出部212は、算出した安定液の水位と、流量計18から取得した流速と、比重計30から取得した比重(試料の密度)ρと、記憶している計測管11の寸法等と、式(1)とを用いて、粘度ηを算出する。そして、計算装置20の制御部21は、算出した粘度ηを、このときの時間に関連付けて、粘度データ記憶部22に記録する。また、算出した粘度ηを、表示装置H13に表示する。
【0028】
(粘度毎の流速と水位の関係)
図5~
図8には、試験結果等によって算出した粘度毎の流速と水位の関係を示している。
図5は、液体の比重が1.1で、計測管11の開口部が0.2cm、傾斜が0.212の場合の流速と水位の関係を示している。この場合、粘度ηが10mPa・s、100mPa・s、1000mPa・sの場合のグラフは、それぞれ折れ線L11,L12,L13で示される。
【0029】
図6は、
図5の場合に比べて、計測管11の開口部が0.5cmと大きい場合の流速と水位の関係を示している。この場合、粘度ηが10mPa・s、10 0mPa・s、1000mPa・sの場合のグラフは、それぞれ折れ線L21,L22,L23で示される。
【0030】
図7は、
図5の場合に比べて、傾斜が0.5と大きい場合の流速と水位の関係を示している。この場合、粘度ηが10mPa・s、100mPa・s、1000mPa・sの場合のグラフは、それぞれ折れ線L31,L32,L33で示される。
【0031】
図8は、
図5の場合に比べて、傾斜が0.1と小さい場合の流速と水位の関係を示している。この場合、粘度ηが10mPa・s、100mPa・s、1000mPa・sの場合のグラフは、それぞれ折れ線L41,L42,L43で示される。
【0032】
図5~
図8においては、粘度は、10~1000mPa・s(100倍の範囲)で算出した。実際の安定液の粘度は、動粘性が関与するため、この範囲よりも小さくなると推定できる。なお、ファンネル粘度では20~100秒程度のため、実際には5倍程度の範囲と考えられる。
【0033】
図9は、安定液の比重毎の流速と水位の関係を示している。この関係式は、水、生成した比重1.05、1.10、1.20の泥水を粘度計測装置10に流すことにより取得した実験結果に基づいて算出した。この図から、比重が重くなるに従って、水位上昇の傾きが緩くなることが分かる。また、同流量の場合、安定液の比重が大きい程、水位が大きくなる。ただし、建設現場で使用される安定液の比重は、一般的に1.05~1.2であるため、算出する粘度には大きく影響しない。
【0034】
図10は、1分毎の流量(流速)別の算出粘度と水位の関係を示すグラフである。この図に示すように、同じ流速であっても、粘度が大きい程、水位が高くなる。
そして、
図9と
図10から、流量と水位を取得できれば、液体の粘度を算出することができる。
【0035】
更に、
図11には、流量が15L/分の場合のファンネル粘度と算出粘度の関係を示す。この場合、流量、比重、水位から算出した動粘性の粘度(動粘度)は、ファンネル粘度と正の相関がある。従って、測定した流速及び水位から算出した動粘度は、ファンネル粘度に換算できる。
【0036】
(作用)
一定の流速で計測管11に安定液を供給した場合、安定液の粘度に応じて、流出速度が変わるので、計測管11内の安定液の滞留量が変化する。この滞留量の水位を、水位センサ25により連続的に計測することにより、安定液の粘度を連続的に算出できる。
【0037】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の粘度計測装置10は、供給管17を流れる安定液の流速と、供給された安定液の計測管11における水位とを用いて、計測管11内の安定液の粘度を算出する。これにより、安定液の粘度を連続的に算出することができる。また、粘度計測装置10をシンプルな構造で構成できる。従って、粘度計測装置10の不具合が発生する可能性を少なくすることができる。
【0038】
(2)本実施形態の粘度計測装置10は、計測管11の周囲に収容体15を設け、供給管17からの安定液を、収容体15を介して計測管11に供給する。これにより、収容体15から計測管11の壁面を沿って安定液が流入するので、計測管11に、直接、安定液を流入させた場合に生じる渦巻流の発生を抑制できる。従って、水位を安定させることができるので、水位を適切に計測することができる。
【0039】
(3)本実施形態の粘度計測装置10は、測定開始前に、計測管11に測定開始水位まで安定液を導入する(ステップS11)。この場合、安定液の流量が変動範囲及び安定液の予測粘度に対応する液面の高さの測定開始水位まで、安定液を溜める。従って、安定液の流量や粘度が変動しても、計測管11における水位(底面から安定液の液面までの高さ)を計測できる範囲で変動するため、連続的に粘度を計測することができる。
【0040】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、粘度計測装置10の計測管11は、下方が狭くなるように傾斜した逆円錐台形状を有している。所定時間あたりの流量と水位との関係から粘度を算出できる関係式が生成できる形状の計測管であれば、底面に流出孔を有した逆円錐台形状に限定されない。例えば、断面形状が円形の円筒形状でもよいし、従来のファンネル粘度計のように、逆円錐台形状の本体部の下に円筒体を連結した形状でもよい。更に、流出孔は、逆円筒台形状の底面の大きさ(面積)と同じ場合に限られず、底面より小さくてもよい。
【0041】
・上記実施形態においては、粘度計測装置10の計測管11の周囲に収容体15を配置した。計測管に供給される液体の水位が安定するように液体を導入することができれば、収容体15を省略してもよいし、例えば、壁面を伝わるような構造を設けてもよい。
【0042】
・上記実施形態においては、粘度計測装置10は、収容体15に安定液を供給する供給管17の流速(1分間あたりの流量)を測定する流量計18を備える。使用する流量計は、所定時間における流量を計測できる流量計であればよい。また、収容体15に安定液を供給する供給管17は、柔軟性のあるホース等で構成してもよい。
【0043】
・上記実施形態においては、粘度計測装置10は、計測管11の上方に配置した水位センサ25を有する。計測管11内の液体の水位が計測できれば、水位センサは、これに限定されない。例えば、計測管を透明部材で構成し、この計測管の内部に水位を示す目盛りを設ける。そして、この目盛りを撮影することにより水位を特定してもよい。更に、計測管11の液面に浮遊するフロートを回動可能に計測管11に固定する。そして、フロートの回動角度に応じて、計測管11内における液体の液面の高さ(水位)を特定してもよい。
また、粘度計測装置10は、比重計30において計測した安定液の比重を取得したが、平均的な安定液の比重を制御部21に記憶させて、これを用いて粘度を算出してもよい。
【0044】
・上記実施形態においては、粘度計測装置10の制御部21は、流量と水位とを用いて粘度を算出した。これに限らず、
図11で示す算出粘度とファンネル粘度の関係式を、制御部21に記憶させて、制御部21が、特定した算出粘度を用いてファンネル粘度を算出してもよい。更に、流量と水位との関係から算出した粘度から、粘度の変化量を算出し、この変化量を出力してもよい。
・上記実施形態においては、安定液の粘度を計測した。流れを止めずに粘度を計測する液体であれば、安定液の粘度に限られず、他の液体の粘度を計測してもよい。
【0045】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)前記液体の流量は、前記流出孔からの流量と特定される前記粘度の範囲に基づいて、前記水位の変動が前記計測管内の範囲となる範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の粘度計測方法。
【0046】
(b)前記制御部は、前記流量及び前記水位を用いて算出された粘度と、前記ファンネル粘度との変換式を記憶しており、前記算出された粘度と前記変換式を用いて、前記ファンネル粘度を算出することを特徴とする請求項2又は3に記載の粘度計測装置。
【0047】
(c)円筒形状の計測管に連続的に流入される液体の流量と、前記計測管内の前記液体の水位との変動に基づいて、前記液体の粘度の変動を特定することを特徴とする粘度変動特定方法。
【符号の説明】
【0048】
10…粘度計測装置、11…計測管、11a…流入部、11h…流出孔、15…収容体、16…シールリング、17…供給管、18…流量計、20…計算装置、21…制御部、22…粘度データ記憶部、25…水位センサ、30…比重計、211…水位算出部、212…粘度算出部。