(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083953
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】消防ホース巻取装置
(51)【国際特許分類】
B65H 75/38 20060101AFI20240617BHJP
B65H 75/40 20060101ALI20240617BHJP
B65H 75/22 20060101ALI20240617BHJP
B65H 18/04 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B65H75/38 K
B65H75/40 C
B65H75/22
B65H18/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198066
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】322012284
【氏名又は名称】脇田 基
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】脇田 基
【テーマコード(参考)】
3F055
3F058
3F068
【Fターム(参考)】
3F055CA24
3F055DA30
3F058AB02
3F058AC16
3F058CA09
3F058DB18
3F058HA02
3F058HB02
3F058HB07
3F058HB10
3F058JA02
3F058JA06
3F058MA01
3F068AA07
3F068BA16
3F068EA07
3F068FA02
3F068HA04
3F068HA08
3F068HB03
3F068JA06
(57)【要約】
【課題】消防ホースを手動で容易に巻き取ることができると共に、保管中における耐久性の低下を抑制することが可能な消防ホース巻取装置を提供する。
【解決手段】消防ホースを巻き取るための消防ホース巻取装置1に、ベースフレーム10と、ベースフレーム10に立設されている支柱12と、支柱12に支持されている主軸と、主軸の端部に設けられている三つの巻芯と、巻芯に被せられている筒部材18と、主軸を回転させる回転用ハンドル15および回転用ホイール16と、巻芯よりも上方に設けられている第一案内ローラ20と、第一案内ローラ20を回転可能に支持しており、ベースフレーム10に立設されているローラ支持フレーム22と、を具備させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消防ホースを巻き取るための消防ホース巻取装置であって、
枠状のベースフレームと、
該ベースフレームに立設されている支柱と、
該支柱の上端付近において、軸方向を前記ベースフレームと平行にして回転可能に支持されている主軸と、
該主軸における一方の端部側から外方へ前記軸方向と平行に延出しており、前記主軸の軸芯に対して等角度間隔に設けられている三つの巻芯と、
三つの該巻芯それぞれに被せられている筒状の三つの筒部材と、
前記主軸を回転させる回転操作部と、
複数の前記巻芯に対して前記軸方向と直交する方向へ離隔していると共に、複数の前記巻芯よりも上方に設けられている第一案内ローラと、
該第一案内ローラを前記軸方向と平行な軸周りに対して回転可能に支持しており、前記ベースフレームに立設されているローラ支持フレームと
を具備していることを特徴とする消防ホース巻取装置。
【請求項2】
前記ベースフレームの下端に取付けられている複数のキャスタを、
更に具備していることを特徴とする請求項1に記載の消防ホース巻取装置。
【請求項3】
回転中心が前記主軸の高さ以上で前記第一案内ローラの回転中心より低い位置にあり、前記軸方向と平行な軸周りに対して回転可能に設けられている第二案内ローラを、
更に具備していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の消防ホース巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防ホースを手動で巻き取るための消防ホース巻取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
消火活動などに使用される消防ホースは、一方の端部を中心にして巻いた一重巻き、或いは、二つ折りにして折った部位を中心にして巻いた二重巻き、の状態で保管・管理されている。
【0003】
しかしながら、巻かれた消防ホースにおいて、巻きの中心部分が非常にタイトで締め付けられているような場合、その状態で長期間保存すると、消防ホースに割れなどの損傷が生じ、耐久性が悪くなる問題があった。また、消火活動などで使用された消防ホースを巻き取る場合、内部にある程度の水が入っているため、手でホースを押して内部の水を排出させており、非常に重労働であった。そのため、これらの問題点を解決できるような消防ホースの巻取装置が要請されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、消防ホースを手動で容易に巻き取ることができると共に、保管中における耐久性の低下を抑制することが可能な消防ホース巻取装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明に係る消防ホース巻取装置は、
「消防ホースを巻き取るための消防ホース巻取装置であって、
枠状のベースフレームと、
該ベースフレームに立設されている支柱と、
該支柱の上端付近において、軸方向を前記ベースフレームと平行にして回転可能に支持されている主軸と、
該主軸における一方の端部側から外方へ前記軸方向と平行に延出しており、前記主軸の軸芯に対して等角度間隔に設けられている三つの巻芯と、
三つの該巻芯それぞれに被せられている筒状の三つの筒部材と、
前記主軸を回転させる回転操作部と、
複数の前記巻芯に対して前記軸方向と直交する方向へ離隔していると共に、複数の前記巻芯よりも上方に設けられている第一案内ローラと、
該第一案内ローラを前記軸方向と平行な軸周りに対して回転可能に支持しており、前記ベースフレームに立設されているローラ支持フレームと
を具備している」ことを特徴とする。
【0006】
本構成の消防ホース巻取装置によれば、以下のようにして消防ホースを巻き取ることができる。詳述すると、例えば、消防ホースを一重巻きにする場合、消防ホースの後端側を第一案内ローラに掛けた上で巻芯に保持させる。この状態で、回転操作部を操作して主軸を巻取方向へ回転させると、消防ホースが三つの筒部材の周りに巻き取られる。これに伴い、消防ホースが三つの筒部材側へ引っ張られることで消防ホースとの摩擦により第一案内ローラが回転し、消防ホースの移動が案内される。第一案内ローラは巻芯より上方に設けられているため、消防ホースはいったん高い位置に持ち上げられてから巻き取られる。これにより、重力の作用によって内部の水を自然に前端側から排出することができる。
【0007】
その後、消防ホースの巻き取りを終えたら、主軸の回転を停止させ、巻かれている消防ホースを、主軸の軸方向の外方へ引っ張って三つの筒部材ごと主軸(巻芯)から抜く。そして、巻かれている消防ホースから三つの筒部材を抜き取ると、消防ホースが一重巻きされた状態になる。
【0008】
上記のように、本構成の消防ホース巻取装置によれば、消防ホースを手動で巻き取ることができる。消防ホースを巻き取る際に、消防ホースを第一案内ローラに掛けることで、消防ホースがいったん高い位置まで持ち上げられるため、重力の作用によって内部の水を排出させることができ、従来とは異なり、手で水を押し出す労力を要しない。また、巻き取りに伴い水が自然に排出され、消防ホースが軽くなるため、消防ホースの巻き取り作業を容易なものとすることができる。
【0009】
また、仮に、巻芯が一つまたは二つであった場合は、巻芯周りに消防ホースが非常にタイトに巻き締められ、巻き取られた消防ホースを巻芯から外すことが困難である。これに対し、本発明では三つの巻芯(筒部材)を使用して巻き取るようにしているため、巻芯とホース本体との間に空間を残すことができ、消防ホースの巻きの中心部分が非常にタイトになることを緩和することができる。また、三つの巻芯それぞれに筒部材を被せているため、巻き取られた消防ホースを三つの筒部材ごと巻芯から引き抜くことにより、巻き取られた消防ホースを巻芯から容易に取外すことができる。
【0010】
更に、三つの筒部材を介して消防ホースを巻き取っていることから、巻き取られた消防ホースから筒部材を抜き取ると、筒部材がなくなった分だけ隙間ができるため、巻きの中心部分が更に緩んだものとなる。これにより、巻きの中心部分が非常にタイトに締め付けられたままの状態で消防ホースが保管される場合と比較して、消防ホースに割れなどの損傷が生じ難くなり、耐久性の低下を抑制することができる。
【0011】
また、本発明に係る消防ホース巻取装置は、上記の構成に加えて、
「前記ベースフレームの下端に取付けられている複数のキャスタを、
更に具備している」ことを特徴としても良い。
【0012】
本構成によれば、複数のキャスタを備えているため、消防ホース巻取装置を容易に移動させることができ、持ち運びに便利である。
【0013】
また、キャスタを備えているため、消防ホースを巻き取りながら消防ホース巻取装置を移動させることができる。これにより、内部に水が残っている消防ホースを巻き取る際に、内部に残っている水によって重くなっている消防ホースを引き摺ることなく巻き取ることができるため、引き摺りによる消防ホースの摩耗を回避させることができ、消防ホースの損傷を抑制させることができる。
【0014】
更に、本発明に係る消防ホース巻取装置は、上記の構成に加えて、
「回転中心が前記主軸の高さ以上で前記第一案内ローラの回転中心より低い位置にあり、前記軸方向と平行な軸周りに対して回転可能に設けられている第二案内ローラを、
更に具備している」ことを特徴としても良い。
【0015】
本構成によれば、第一案内ローラよりも低い位置に第二案内ローラを設けているため、内部に水が入っていない消防ホースを巻き取る際に、第二案内ローラに掛けることで、第一案内ローラに掛けた場合と比較して、消防ホースが持ち上げられる高さを低くすることができ、小さな力で消防ホースを巻き取ることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の効果として、消防ホースを手動で容易に巻き取ることができると共に、保管中における耐久性の低下を抑制することが可能な消防ホース巻取装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態である消防ホース巻取装置を前から見た斜視図である。
【
図2】
図1の消防ホース巻取装置を後ろから見た斜視図である。
【
図3】
図1の消防ホース巻取装置の左側面図である。
【
図4】
図1の消防ホース巻取装置において巻芯から筒部材を分離させた状態で双方を示す斜視図である。
【
図5】
図1の消防ホース巻取装置を使用した消防ホースの巻き取りを示す説明図である。
【
図6】
図1の消防ホース巻取装置の回転規制機構とは異なる形態の回転規制機構を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態である消防ホース巻取装置1について、
図1~
図5を参照して詳細に説明する。本実施形態の消防ホース巻取装置1は、消防ホース2(
図5を参照)を巻き取るためのものである。本実施形態の消防ホース巻取装置1は、平面視において略四角形の枠状のベースフレーム10と、ベースフレーム10の四隅にそれぞれ取り付けられたキャスタ11を備えている。四つのキャスタ11のうち隣接する二つは自在車キャスタ11aであり、残りの二つは固定車キャスタ11bである。以下では、固定車キャスタ11bの転動方向を前後方向と称し、前後方向において自在車キャスタ11aがある側を前方と称すると共に、水平方向で、且つ前後方向に直交する方向を左右方向と称する。
【0019】
本実施形態の消防ホース巻取装置1は、ベースフレーム10の左右方向における中央よりも一方側で、後部付近において立設されている支柱12と、支柱12の上端付近に取付けられている箱状の軸箱13と、軸箱13を左右方向に貫通していると共に軸箱13により回転自在に支持されている主軸14と、主軸14の一端に取付けられている回転用ハンドル15と、を備えている。
【0020】
また、消防ホース巻取装置1は、主軸14の両端のうち回転用ハンドル15が取付けられた端部とは反対側の端部に取付けられている回転用ホイール16と、回転用ホイール16の中心部分から主軸14と平行に、回転用ハンドル15とは反対側に延出している三つの巻芯17と、三つの巻芯17それぞれに被せられている筒状の三つの筒部材18と、を備えている。各筒部材18の一端には、把持部材19が取付けられている。
【0021】
更に、消防ホース巻取装置1は、主軸14よりも前方且つ高い位置に回転中心がある第一案内ローラ20と、回転中心が主軸14の高さ以上で第一案内ローラ20の回転中心より低い位置にある第二案内ローラ21と、ベースフレーム10の前端側に立設されており第一案内ローラ20と第二案内ローラ21とを夫々回転可能に支持しているローラ支持フレーム22と、を備えている。
【0022】
また、消防ホース巻取装置1は、ベースフレーム10に取付けられており主軸14の回転に伴い巻芯17に巻き取られる消防ホース2のズレを防止する横ズレ防止機構23と、ベースフレーム10の前端から外方(前方)へ延出している把手24と、を備えている。
【0023】
ベースフレーム10は、前後に延びる一対の縦フレーム10aと、一対の縦フレーム10aの両端同士をそれぞれ繋いでいる一対の横フレーム10bと、一対の横フレーム10b同士の間で一対の縦フレーム10aを繋いでいる中間フレーム10cと、を備えている。中間フレーム10cは、一対の縦フレーム10aにおける前後方向の中央に対して後方寄りの部位に設けられている。
【0024】
また、ベースフレーム10は、一対の縦フレーム10aそれぞれの前後両端において左右方向外方へ突出するように設けられている四つの補助フレーム10dを、備えている。各補助フレーム10dは、直角台形状に形成されており、平行な二辺と直交している辺が横フレーム10bの延長線上に位置するように設けられている。ベースフレーム10は、表裏面を水平方向へ向けた帯板材により形成されている。
【0025】
キャスタ11には、上述のように二つの自在車キャスタ11aと二つの固定車キャスタ11bとがあり、自在車キャスタ11aはベースフレーム10における前側の補助フレーム10dにそれぞれ取付けられており、固定車キャスタ11bは、後側の補助フレーム10dに回転軸を主軸14と平行にしてそれぞれ取付けられている。四つのキャスタ11により消防ホース巻取装置1を走行させることができる。なお、キャスタ11は、ストッパ付きのものとしても良い。
【0026】
支柱12は、上下に長い二つの帯板材により構成されており、それぞれの下端がベースフレーム10における後方側の横フレーム10bと中間フレーム10cとに取付けられている。
【0027】
軸箱13は、直方体状で下面が開放された箱状に形成されている。この軸箱13には、主軸14を回転自在に支持するための軸受が設けられている。軸受としてはベアリングを使用しても良い。主軸14は、左右に長い円柱状である。
【0028】
回転用ハンドル15は、一端が主軸14に固定され主軸14と直交する方向へ延出している棹部15aと、棹部15aの先端から主軸14と平行に延出している握部15bと、を有している。回転用ハンドル15は、握部15bの主軸14の軸芯周りの回転半径の長さが、ベースフレーム10の上端から主軸14までの高さよりも小さい。従って、回転用ハンドル15を回転させた時に握部15bなどがベースフレーム10に当接することはない。この回転用ハンドル15では、棹部15aが主軸14と一体化されているため、握部15bを持って主軸14の軸芯周りに回転させるように操作することにより主軸14を回転させることができ、本発明の回転操作部に相当している。
【0029】
回転用ホイール16は、主軸14に取付けられて主軸14と一体回転するハブ部16aと、ハブ部16aから放射状に延出している複数(ここでは6本)のスポーク部16bと、複数のスポーク部16bの先端同士を繋いでいるリング状のホイール部16c、とを有している。ホイール部16cの半径は、回転用ハンドル15における握部15bの半径とほぼ同じである。回転用ホイール16は、ベースフレーム10に対して左右方向の中央に設けられている。この回転用ホイール16は、ホイール部16cを回転させることで、主軸14を回転させることができ、本発明の回転操作部に相当している。つまり、回転用ハンドル15を回転させることによっても、回転用ホイール16を回転させることによっても、主軸14を回転させることができる。
【0030】
三つの巻芯17は、
図4に示すように、それぞれが円柱状であり、回転用ホイール16におけるハブ部16aの一端から外方に延出するように、ハブ部16aに取付けられている。三つの巻芯17は、主軸14の軸芯を中心とした所定半径の円周上において軸芯に対して等角度間隔で設けられている。従って、三つの巻芯17は、正三角形を形成している。巻芯17の長さは、消防ホース2の幅とほぼ同じである。
【0031】
筒部材18は、巻芯17の長さよりもやや長く、その内径は巻芯17の外径よりも大きい。把持部材19は、
図4に示すように、筒部材18の一方の先端に取付けられている。本実施形態の把持部材19は、可撓性を有する紐状の部材を環状にしたものであり、筒部材18を貫通した状態で取付けられている。
【0032】
第一案内ローラ20は、消防ホース2の幅よりやや長い長さの回転軸20aと、回転軸20aの両端付近に取付けられている円盤状の一対の側板20bと、一対の側板20b同士を繋いでおり、回転軸20aと同心円の円周上において等間隔に設けられている複数の連結棒20cと、を有している。
【0033】
第二案内ローラ21は、取り付けられた位置を除き第一案内ローラ20とほぼ同じ構成である。すなわち、消防ホース2の幅よりやや長い長さの回転軸21aと、回転軸21aの両端付近に取付けられている円盤状の一対の側板21bと、一対の側板21b同士を繋いでおり、回転軸21aと同心円の円周上において等間隔に設けられている複数の連結棒21cと、を有している。なお、第二案内ローラ21(側板21b)の外径は、第一案内ローラ20(側板20b)の外径よりも小さい。
【0034】
ローラ支持フレーム22は、左右方向に離隔しており上下に長い一対のフレーム本体22aを備えている。
図3に示すように、一対のフレーム本体22aは、それぞれの上端に設けられている一対の第一軸支部22bと、一対のフレーム本体22aそれぞれの上下方向の中間から後方へ延出している一対の延出片22cと、それぞれの延出片22cに設けられている一対の第二軸支部22dと、を有している。
【0035】
一対のフレーム本体22aは、それぞれの下端がベースフレーム10に取付けられており、ベースフレーム10から垂直に主軸14よりも高い位置まで延出した後に、後方へ折れ曲がって回転用ホイール16の上端よりも高い位置まで延出している。一対のフレーム本体22aにおける左右方向の間隔は、第一案内ローラ20における一対の側板20bの間隔よりも広く、回転軸20aの長さよりも狭い。一対のフレーム本体22aは、右側のフレーム本体22aが前方側の横フレーム10bに取付けられており、左側のフレーム本体22aが縦フレーム10aに取付けられている。延出片22cは、フレーム本体22aにおける屈曲している部位よりも下方で主軸14と同じ高さの部位に設けられている。
【0036】
第一軸支部22bおよび第二軸支部22dは、それぞれが上方からU字状に切欠かれた溝状であり、それぞれ第一案内ローラ20の回転軸20aおよび第二案内ローラ21の回転軸21aを挿入することができる。
【0037】
ローラ支持フレーム22は、第一軸支部22bや第二軸支部22dに、上方から第一案内ローラ20の回転軸20aや第二案内ローラ21の回転軸21aを挿入することで、第一案内ローラ20や第二案内ローラ21を主軸14の軸芯と平行な軸周りに対して回転自在、且つ、着脱可能に支持することができる。ローラ支持フレーム22に第一案内ローラ20と第二案内ローラ21とを支持させると、左右方向における第一案内ローラ20と第二案内ローラ21それぞれの位置が、左右方向における三つの巻芯17の位置と一致する。
【0038】
横ズレ防止機構23は、ベースフレーム10の後方側の横フレーム10bから後方へ延出しており左右方向へ離隔して設けられている一対の取付ステー23aと、一対の取付ステー23aに両端が取付けられており主軸14と平行に延びているシャフト23bと、基端側がシャフト23bに取付けられている棒状の横ズレ防止部材23cと、を備えている。横ズレ防止部材23cは、シャフト23bと一体的に回転する。
【0039】
横ズレ防止部材23cは、湾曲した略L字形であり、
図3において実線で示すように、巻芯17側に回転させた状態では、ベースフレーム10付近の基端から三つの巻芯17の後方へ向かって直線状に延出した上で、三つの巻芯17付近においてそれらの上方を通るように湾曲した後に、前方且つ下方へ向かって直線状に延出する。
【0040】
この横ズレ防止機構23は、横ズレ防止部材23cを巻芯17に被せられている筒部材18に接触させた状態にすると、湾曲している部位よりも先端側が錘のように作用して、筒部材18に上方から当接する。横ズレ防止部材23cとハブ部16aとの間の距離は、ホース本体2aの幅より僅かに大きく設定されている。
【0041】
把手24は、円柱状または円筒状の長い部材をコ字状に屈曲させたものである。この把手24は、ベースフレーム10の前端から前方かつ上方へ斜めに延出するように、コ字状の両端がベースフレーム10の前端に取付けられている。把手24は、消防ホース巻取装置1を人力で引っ張って前進させるときに把持する部分であり、屈曲している部分を作業者の腰のあたりに添えると引っ張りやすい。なお、把手24は、ベースフレーム10に対して着脱可能または折り畳み可能にしても良い。
【0042】
次に、本実施形態の消防ホース巻取装置1を使用した消防ホース2の巻取方法について、
図5等を参照して説明する。なお、
図5では把持部材19を省略して示している。ここで、消防ホース2は、長い管状のホース本体2aと、ホース本体2aの一方の端部に取付けられているオス金具2bと、ホース本体2aにおけるオス金具2bとは反対側の端部に取付けられているメス金具(図示は省略)と、で構成され、オス金具2bとメス金具とのジョイントにより、複数本を連結することができる。以下では、ホース本体2aの内部に水が残っている消防ホース2を、一重巻きする場合について説明する。
【0043】
まず、巻かれていない状態の消防ホース2においてオス金具2bのある側の端部(以下、消防ホース2の後端と称する)が消防ホース巻取装置1に向くように、消防ホース巻取装置1を配置する。消防ホース巻取装置1はキャスタ11を備えているため、所望の位置や向きに容易に移動させることができる。
【0044】
この状態で、横ズレ防止機構23の横ズレ防止部材23cが巻芯17(筒部材18)から離れている状態にする。具体的には、
図3において二点鎖線で示すように、横ズレ防止部材23cの先端側が回転用ホイール16よりも後方に位置するように回転(紙面では時計回りの方向へ回転)させた状態にする。
【0045】
また、三つの巻芯17に、それぞれ筒部材18が被せられている状態にする。この際に、筒部材18の向きを、把持部材19が取付けられている端部とは反対側の端部を、ハブ部16a側へ向けた状態にする。
【0046】
そして、消防ホース2の後端を持ち上げて第一案内ローラ20に掛ける。具体的には、第一案内ローラ20における一対の側板20bの間の連結棒20cに、上方からホース本体2aを掛ける。第一案内ローラ20の高さまで後端を持ち上げることにより、ホース本体2aの内部に残っている水が前端側へ流れて排出される。
【0047】
続いて、ホース本体2aにおけるオス金具2b付近の部位を、三つの筒部材18のうちの二つの筒部材18の間に通した上で、その一方と残りの筒部材18との間を通して外部に延びださせた状態にする。このとき、オス金具2bを筒部材18に対して可及的に接近させた状態にする。
【0048】
そして、横ズレ防止機構23の横ズレ防止部材23cを回転させ、筒部材18と接触している状態にする。この状態で、回転用ハンドル15または回転用ホイール16を操作して主軸14を巻取方向へ回転させる。この際に、ホース本体2aの内部には水が残っており重くなっているため、ホイール部16cにより回転操作する部位が連続的に存在している回転用ホイール16の方が、回転操作を容易に行うことができる。
【0049】
回転用ホイール16などの回転操作により、ホース本体2aが三つの筒部材18の周りに巻かれると共に、ホース本体2aが三つの筒部材18側へ引っ張られることでホース本体2aとの摩擦抵抗により第一案内ローラ20が回転する。ホース本体2aは、高い位置にある第一案内ローラ20の高さまで持ち上げられてから巻き取られるため、巻き取りに伴ってホース本体2a内の水を前端側から排出させることができる。この際に、ホース本体2aを巻き取りながら消防ホース巻取装置1を前進させる。内部に水が入っている消防ホース2は重く、移動させ難いことに加えて地面上を引きずるように移動させることは望ましくないが、消防ホース巻取装置1はキャスタ11を備えているため、消防ホース巻取装置1の方を移動させることができる。
【0050】
また、横ズレ防止機構23の横ズレ防止部材23cとハブ部16aとの間の距離は、ホース本体2aの幅より僅かに長く設定されているため、巻き取られるホース本体2aがズレてタケノコ状になることが横ズレ防止部材23cによって防止される。また、横ズレ防止部材23cは、筒部材18を介して主軸14に回転抵抗を付与する作用をも有しているため、回転用ホイール16などの回転操作を途中で弱めたり止めたりした時に、主軸14が巻取方向とは逆方向へ回転しようとすることが抑制される。
【0051】
その後、メス金具の部位までホース本体2aを巻いたら、後続の消防ホース2のオス金具2bとのジョイントを外し、回転用ホイール16などの回転操作を止めて主軸14の回転を停止させる。そして、横ズレ防止部材23cを後方へ回転させて、横ズレ防止部材23cが筒部材18に接触していない状態にする。この状態で、巻かれている状態のホース本体2aを、左右方向における外方へ引っ張って三つの筒部材18ごと巻芯17から引き抜く。筒部材18の内径は巻芯17の外径より大きく隙間があるため、巻かれている状態のホース本体2aを巻芯17から引き抜く操作が容易である。
【0052】
巻き取られた消防ホース2を筒部材18ごと巻芯17から取外したら、各筒部材18に設けられている把持部材19を把持して引っ張って、巻かれているホース本体2aから筒部材18を抜き取る。これにより、消防ホース2が一重巻きにされた状態になる。三つの筒部材18を外した分だけ巻きの中心に空隙ができるため、その部分のホース本体2aを手先で揺するようにして、中心部分の巻きを緩めることができる。
【0053】
訓練のときなど、ホース本体2aの内部に水が残っていない消防ホース2を一重巻きする場合は、水を排出させる必要がないため、高い位置にある第一案内ローラ20ではなく、低い位置にある第二案内ローラ21にホース本体2aを掛けて巻き取る。第一案内ローラ20にホース本体2aを掛けて巻き取る場合と比較して、ホース本体2aを持ち上げる高さが低くなるため、小さな力で消防ホース2を巻き取ることができる。
【0054】
また、消防ホース2を二重巻きする場合は、ホース本体2aをその長手方向のほぼ中央で二つ折りにし、その折れ曲がった山部が三つの筒部材18の間を通るように一つの筒部材18を折れ曲がった谷部に通す。また、ホース本体2aの内部に残っている水の有無に応じて、ホース本体2aを第一案内ローラ20または第二案内ローラ21に掛けた状態にする。そして、その状態で、主軸14が巻取方向へ回転するように回転用ホイール16などを回転操作することで、消防ホース2を二重巻きにすることができる。
【0055】
このように、本実施形態の消防ホース巻取装置1によれば、手動で消防ホース2を巻き取ることができる。また、内部に水の入った消防ホース2を巻き取る際には、ホース本体2aを第一案内ローラ20に掛けることで、消防ホース2がいったん高い位置に持ち上げられてから巻き取られるため、重力の作用によって容易に内部の水を排出させることができ、従来とは異なり、手で水を押し出す労力を要しない。また、巻き取りに伴い自然に水を排出させることにより、ホース本体2aが軽くなることで消防ホース2の巻き取りを容易なものとすることができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、三つの巻芯17(筒部材18)を使用して巻き取るようにしているため、一つまたは二つの巻芯を使用する場合と比較して、ホース本体2aの巻きの中心部分が非常にタイトになることを緩和することができ、巻芯17の周囲に空間を残すことができる。また、三つの巻芯17それぞれに筒部材18を被せているため、巻き取られた消防ホース2を三つの筒部材18ごと、巻芯17から容易に取外すことができる。
【0057】
更に、本実施形態によれば、巻き取られた消防ホース2から筒部材18を抜き取ると、筒部材18がなくなった分だけ隙間ができるため、巻きの中心部分が更に緩んだものとなる。これにより、巻きの中心部分が非常にタイトに締め付けられたままの状態で消防ホースを保管する場合と比較して、消防ホース2に割れなどの損傷が生じ難くなり、耐久性の低下を抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、キャスタ11を備えているため、消防ホース2を巻き取りながら消防ホース巻取装置1を移動させることができる。これにより、ホース本体2aの内部に水が残っている消防ホース2を巻き取る際に、内部に残っている水によって重くなっているホース本体2aを引き摺ることなく巻き取ることができるため、引き摺りによる消防ホース2の摩耗を回避することができ、消防ホース2の損傷を抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、横ズレ防止機構23の横ズレ防止部材23cと、回転用ホイール16のハブ部16aと、の間の距離を、ホース本体2aの幅より僅かに大きく設定しているため、消防ホース2の巻き取り中には、ホース本体2aの左右両外側に複数のスポーク部16bと横ズレ防止部材23cとが位置することとなり、それらによって巻き取り中のホース本体2aが左右方向へズレてタケノコ状になってしまうことを防止することができ、消防ホース2を奇麗に巻き取ることができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、第一案内ローラ20と第二案内ローラ21という高さの異なる二つの案内ローラを備えているため、内部に水が入っている消防ホース2を巻き取る時には、高さの高い第一案内ローラ20に掛けることにより内部の水を重力の作用によって容易に排出させることができる。一方、内部に水が入っていない消防ホース2を巻き取る時には、高さの低い第二案内ローラ21に消防ホース2を掛けることで、消防ホース2が持ち上げられる高さが低くなることにより、小さな力で消防ホース2を巻き取ることができる。
【0061】
更に、本実施形態によれば、第一案内ローラ20および第二案内ローラ21をローラ支持フレーム22に対してそれぞれ着脱可能に設けているため、消防ホース巻取装置1を倉庫などで保管する際に、第一案内ローラ20などを取外した状態にしておくことで、消防ホース巻取装置1が嵩張らないようにすることができる。
【0062】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0063】
例えば、上記の実施形態では、横ズレ防止部材23cが主軸14の回転を規制する作用をも奏するものを示したが、これに限定するものではなく、
図6に示すような回転規制機構30を備える構成としても良い。この回転規制機構30は、ベースフレーム10に回転可能に取付けられていると共に、回転用ホイール16のホイール部16cに接触可能に設けられているカム30aと、カム30aを回転させるハンドル30bと、を備えている。この回転規制機構30は、カム30aのカム面をホイール部16cに接触させていない状態(
図6(a)を参照)では、ホイール部16cを自由に回転させることができ、ハンドル30bによりカム30aを回転させてカム30aのカム面をホイール部16cに接触させた状態(
図6(b)を参照)では、摩擦力によってホイール部16cの回転が規制される。これにより、回転用ホイール16を介して主軸14の回転を規制することができる。
【0064】
また、上記とは異なる回転規制機構としては、主軸14における巻取方向とは反対方向への回転を規制するラチェットとしても良い。この場合、ラチェットによる回転の規制を解除できるようにしておくことが望ましい。
【0065】
また、上記の実施形態では、回転操作部として回転用ハンドル15と回転用ホイール16の二つを備えたものを示したが、これに限定するものではなく、何れか一方のみを備えたものとしても良い。また、回転操作部と主軸14との間に減速ギアを設けても良い。これにより、回転操作部を軽い(弱い)力で回転操作することができる。このようなギアや上記のラチェットは、軸箱13の内部に設置することができる。
【0066】
更に、上記の実施形態では、第二案内ローラ21を備えたものを示したが、これに限定するものではなく、第二案内ローラ21を備えていないものとしても良い。
【符号の説明】
【0067】
1 消防ホース巻取装置
2 消防ホース
10 ベースフレーム
11 キャスタ
12 支柱
13 軸箱
14 主軸
15 回転用ハンドル(回転操作部)
16 回転用ホイール(回転操作部)
17 巻芯
18 筒部材
19 把持部材
20 第一案内ローラ
21 第二案内ローラ
22 ローラ支持フレーム
23 横ズレ防止機構
24 把手
30 回転規制機構