IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジタの特許一覧

<>
  • 特開-ボード貼り付け装置 図1
  • 特開-ボード貼り付け装置 図2A
  • 特開-ボード貼り付け装置 図2B
  • 特開-ボード貼り付け装置 図3A
  • 特開-ボード貼り付け装置 図3B
  • 特開-ボード貼り付け装置 図4
  • 特開-ボード貼り付け装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083969
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】ボード貼り付け装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 21/18 20060101AFI20240617BHJP
   E04G 21/16 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
E04F21/18 B
E04G21/16
E04F21/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198093
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】權 純洙
(72)【発明者】
【氏名】松戸 正士
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174AA03
2E174BA01
2E174CA35
2E174DA14
2E174DA34
2E174DA52
(57)【要約】
【課題】移動における動力が削減されたボード貼り付け装置を提供すること。
【解決手段】ボード貼り付け装置は、第1の台車と、第1の台車と着脱可能に連結されるボード貼り付けロボットと、を含み、第1の台車は、ボードを積載する荷台と、荷台を移動可能に支持する車輪と、を含み、ボード貼り付けロボットは、荷台に積載されたボードを把持し、下地材に把持したボードを貼り付けるロボットハンドと、ロボットハンドを移動させるロボットアームと、ロボットアームを支持する支持脚と、支持脚の下方に接続され、空気が供給されると膨張するエアクッションと、を含み、エアクッションに空気を供給し、第1の台車を駆動してボード貼り付けロボットを移動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の台車と、
前記第1の台車と着脱可能に連結されるボード貼り付けロボットと、を含み、
前記第1の台車は、
ボードを積載する荷台と、
前記荷台を移動可能に支持する車輪と、を含み、
前記ボード貼り付けロボットは、
前記荷台に積載された前記ボードを把持し、下地材に把持した前記ボードを貼り付けるロボットハンドと、
前記ロボットハンドを移動させるロボットアームと、
前記ロボットアームを支持する支持脚と、
前記支持脚の下方に接続され、空気が供給されると膨張するエアクッションと、を含み、
前記エアクッションに前記空気を供給し、前記第1の台車を駆動して前記ボード貼り付けロボットを移動させる、ボード貼り付け装置。
【請求項2】
さらに、前記第1の台車に連結される第2の台車を含み、
前記第2の台車は、前記エアクッションに前記空気を供給するコンプレッサを含む、請求項1に記載のボード貼り付け装置。
【請求項3】
前記ボード貼り付けロボットが前記ボードの貼り付け処理を実行するとき、前記コンプレッサの動作が停止され、前記ボード貼り付けロボットの自重により位置が固定される、請求項2に記載のボード貼り付け装置。
【請求項4】
前記第1の台車が前記ボード貼り付けロボットを移動させるとき、前記第1の台車が前記ボード貼り付けロボットを牽引する、請求項1に記載のボード貼り付け装置。
【請求項5】
前記車輪は、前記荷台の四隅に接続される2つの駆動輪および2つの従動輪を含み、
前記2つの駆動輪が前記2つの従動輪よりも前記ボード貼り付けロボットから遠くなるように、前記第1の台車と前記ボード貼り付けロボットとが連結される、請求項1に記載のボード貼り付け装置。
【請求項6】
前記第1の台車は、さらに、充電可能なバッテリを含む、請求項1に記載のボード貼り付け装置。
【請求項7】
前記第1の台車は、さらに、床面に設置されるマーカーを検知するセンサを含む、請求項1に記載のボード貼り付け装置。
【請求項8】
前記ボード貼り付けロボットは、アウトリガーを含まない、請求項1に記載のボード貼り付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、下地材にボードを貼り付けるボード貼り付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の内装工事においては、鉄骨などの下地材で構成される壁面に、壁材として石膏ボードを貼り付ける作業が行われる場合がある。近年、このような内装工事においても自動化が進められている。例えば、特許文献1には、壁面に石膏ボードを貼り付けて、ビスを打ち込むことができる自動化されたボード貼り付け装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-165266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたボード貼り付け装置は、キャスターおよびアウトリガーを備える。すなわち、特許文献1に記載されたボード貼り付け装置では、アウトリガーを床面に接地させて位置を固定し、壁面へのボードの貼り付け処理を実行する。また、ボード貼り付け装置を移動させる場合には、アウトリガーを床面から離し、キャスターを利用して移動する。
【0005】
しかしながら、このようなボード貼り付け装置は重量が重くなり、移動の際にはキャスターが接している床面に荷重が集中してしまう。そのため、床面の耐荷重によっては、ボード貼り付け装置を使用することができない。また、ボード貼り付け装置が移動する場合においては、非常に大きな動力を必要とする。
【0006】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、移動における動力が削減されたボード貼り付け装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置は、第1の台車と、第1の台車と着脱可能に連結されるボード貼り付けロボットと、を含み、台車は、ボードを積載する荷台と、荷台を移動可能に支持する車輪と、を含み、ボード貼り付けロボットは、荷台に積載されたボードを把持し、下地材に把持したボードを貼り付けるロボットハンドと、ロボットハンドを移動させるロボットアームと、ロボットアームを支持する支持脚と、支持脚の下方に接続され、空気が供給されると膨張するエアクッションと、を含み、エアクッションに空気を供給し、第1の台車を駆動してボード貼り付けロボットを移動させる。
【0008】
ボード貼り付け装置は、さらに、前記ボード貼り付けロボットに連結される第2の台車を含み、第2の台車は、エアクッションに空気を供給するコンプレッサを含んでいてもよい。
【0009】
ボード貼り付けロボットがボードの貼り付け処理を実行するとき、コンプレッサの動作が停止され、ボード貼り付けロボットの自重により位置が固定されてもよい。
【0010】
第1の台車がボード貼り付けロボットを移動させるとき、第1の台車がボード貼り付けロボットを牽引してもよい。
【0011】
車輪は、荷台の四隅に接続される2つの駆動輪および2つの従動輪を含み、2つの駆動輪が2つの従動輪よりボード貼り付けロボットから遠くなるように、第1の台車とボード貼り付けロボットとが連結されてもよい。
【0012】
第1の台車は、さらに、充電可能なバッテリを含んでいてもよい。
【0013】
第1の台車は、さらに、床面に設置されるマーカーを検知するセンサを含んでいてもよい。
【0014】
ボード貼り付けロボットは、アウトリガーを含まなくてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置は、ボード貼り付け処理を実行するボード貼り付けロボットに、ボード貼り付けロボットを移動させる台車が連結されている。また、ボード貼り付けロボットには、エアクッションが設けられており、エアクッションへ空気を供給することにより、ボード貼り付けロボットを浮上させることができる。これにより、ボード貼り付けロボットと床面との摩擦力を低減することができるため、ボード貼り付け装置は、動力の削減された台車による駆動であっても容易に移動することができる。また、ボード貼り付け装置の移動において、ボード貼り付けロボットと床面との接地面に荷重が集中することが無いため、耐荷重の小さい床面であっても、ボード貼り付け装置を利用することができる。さらに、エアクッションへ空気が供給されないときには、ボード貼り付けロボット自体の重量によって、その位置を固定することができ、アウトリガーを備えない構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置の利用態様を説明する模式図である。
図2A】本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置の模式的な側面図である。
図2B】本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置の模式的な上面図である。
図3A】本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置のエアクッションの動作を説明する模式図である。
図3B】本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置のエアクッションの動作を説明する模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置の制御盤の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置における移動処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含まれる。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、または形状などが模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状などはあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0018】
本明細書において、説明の便宜上、「上」もしくは「上方」または「下」もしくは「下方」という語句を用いて説明するが、これらの語句は各構成の上下関係を説明しているに過ぎない。
【0019】
本明細書において、説明の便宜上、「床面」、「天井面」、および「壁面」という語句を用いて説明する。「床面」はビス打ちロボットが設置される面であり、「天井面」は「床面」の反対に位置する面であり、および「壁面」は「床面」と「天井面」とを接続する面である。
【0020】
本明細書において、各構成に付記される「第1」、「第2」、または「第3」などの文字は、各構成を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限り、それ以上の意味を有さない。
【0021】
本明細書および図面において、同一または類似する複数の構成は、同一の符号を用いて表記される。但し、複数の構成のそれぞれが区別される場合、複数の構成のそれぞれは、大文字のアルファベットが添えられて表記される場合がある。また、1つの構成が複数の部分に区別される場合、複数の部分は、小文字のアルファベットが添えられて、またはハイフンと自然数を用いて表記される場合がある。
【0022】
図1図5を参照して、本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置1について説明する。
【0023】
[1.ボード貼り付け装置1の利用態様]
図1は、本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置の利用態様を説明する模式図である。図1には、ボード貼り付け装置1を利用して、建築物の内装工事が行われる壁面が示されている。以下では、床面および壁面が、それぞれ、XY面およびZX面に形成されている。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交(略90°で交差している場合も含む。)し、Z方向は、床面に対して略垂直な方向(鉛直方向)である。また、以下では、ボード貼り付け装置1の動作に合わせて、X方向、Y方向、およびZ方向を、それぞれ、左右方向、前後方向、および上下方向という場合がある。
【0024】
建築物の壁面には、Z方向に延在する下地材1100が設けられている。本実施形態では、ボード貼り付け装置1を用いて、壁面の下地材1100にボード1000を貼り付ける。具体的には、ボード貼り付け装置1は、把持したボード1000を壁面の所定の位置に配置し、ボード1000にビス1200を打ち込んでボード1000と下地材1100とを固定する。
【0025】
ボード1000は、例えば、建築物の内装工事において用いられる石膏ボードなどの板状部材である。下地材1100は、例えば、建築物の天井または壁の下地として用いられる胴縁や軽量鉄骨(Light Gauge Steel:LGS)などである。ボード1000および下地材1100には、いくつかの規格値が存在する。ボード1000の規格値の一例としては、長さlが1820mmであり、幅wが606mmまたは910mmであり、および厚さtが12.5mmまたは21.0mmである。下地材1100の規格値は、断面長(以下、単に「長さ」という。)lおよび断面幅(以下、単に「幅」という。)wは、それぞれ、100mmおよび40mmである。なお、下地材1100の材質は、限定はされず、導体または誘電体などであることが好ましい。
【0026】
建築物の壁面は、1枚のボード1000の面積(l×w)よりも大きい場合が多い。そのため、壁面には、複数のボード1000が貼り付けられる。また、ボード貼り付け装置1は、壁面と平行方向(X方向)に沿って移動し、壁面にボード1000を貼り付けることができる。
【0027】
なお、ボード貼り付け装置1は、建築物の壁面だけでなく、天井面にボードを貼り付けることもできる。
【0028】
[2.ボード貼り付け装置1の構成]
図1とともに、図2Aおよび図2Bを参照して、ボード貼り付け装置1の構成について説明する。図2Aおよび図2Bは、それぞれ、本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置1の模式的な側面図および上面図である。図1に図示されたボード貼り付け装置1を正面図とし、ボード貼り付け装置1の側面図が図2Aに示され、ボード貼り付け装置1の上面図が図2Bに示されている。なお、図2Bにおいては、便宜上、上面側に位置せず、底面側に位置する一部の構成が点線で示されている。
【0029】
図1図2A、および図2Bに示すように、ボード貼り付け装置1は、第1の台車10、ボード貼り付けロボット20、および第2の台車30を備える。第1の台車10とボード貼り付けロボット20とは、着脱可能に連結されている。また、第1の台車10と第2の台車30とも、着脱可能に連結されている。以下、第1の台車10、ボード貼り付けロボット20、および第2の台車30のそれぞれの構成について詳細に説明する。
【0030】
[2-1.第1の台車10の構成]
第1の台車10は、荷台11、車輪12、係止棒13、ならびに連結器14および15を含む。車輪12は、荷台11の下方に接続されている。係止棒13は、荷台11の上方に設置されている。連結器14は、荷台11の一端に設置され、連結器15は、連結器14が設置されている一端とは異なる荷台11の他端に設置されている。
【0031】
荷台11の下方には、複数の車輪12が接続されている。すなわち、複数の車輪12は、荷台11を移動可能に支持している。例えば、車輪12の数は、4つであるが、これに限られない。4つの車輪12が荷台11に接続される場合、4つの車輪12は荷台11の四隅に接続されていることが好ましい。複数の車輪12は、駆動輪のみであってもよく、駆動輪と従動輪とが組み合わせられていてもよい。車輪12のうちの駆動輪の駆動が制御されることにより、第1の台車10は、所定の方向に移動することができる。なお、以下では、便宜上、駆動輪の駆動を、第1の台車10の駆動という場合がある。
【0032】
ボード貼り付け装置1では、ボード貼り付けロボット20のみでは移動することができない。ボード貼り付け装置1では、ボード貼り付けロボット20に第1の台車10が連結され、第1の台車10がボード貼り付けロボット20を牽引することにより、ボード貼り付けロボット20を移動させることができる。荷台11の四隅に2つの駆動輪および2つの従動輪が接続される第1の台車10がボード貼り付けロボット20を牽引する場合、2つの駆動輪が2つの従動輪よりもボード貼り付けロボット20から遠くなるように、第1の台車10とボード貼り付けロボット20とが連結されることが好ましい。第1の台車10とボード貼り付けロボット20とがこのように連結されることにより、ボード貼り付けロボット20を牽引により移動させる場合において、ボード貼り付けロボット20の位置を精度よく所定の位置に停止させることができる。
【0033】
なお、ボード貼り付け装置1では、第1の台車10がボード貼り付けロボット20を牽引するだけでなく、第1の台車10がボード貼り付けロボット20を押すことにより、ボード貼り付けロボット20を移動させてもよい。
【0034】
荷台11上には、壁面に貼り付けるためのボード1000が積載されている。2つの係止棒13は、ボード1000の長さまたは幅を有して離間し、荷台11上に積載されたボード1000を押さえ、荷崩れを防止することができる。第1の台車10がボード貼り付けロボット20を牽引してX方向に移動する場合、2つの係止棒13は、X方向に沿って配置されていることが好ましい。
【0035】
なお、係止棒13は、荷台11上に載置されたボード1000を押さえる形状であればよく、棒状でなく、板状であってもよい。また、係止棒13の数は2つに限られず、3つ以上であってもよい。さらに、荷台11には、積載されるボード1000を持ち上げるリフターが設置されもよい。リフターは、積載されるボード1000の枚数に依らず、最上段のボード1000のZ方向における位置を調整することができる。
【0036】
連結器14は、後述するボード貼り付けロボット20の連結器27と係合することにより、第1の台車10とボード貼り付けロボット20とを連結することができる。連結器14および連結器27の構成は特に限定されず、第1の台車10とボード貼り付けロボット20とが連結され、および連結を解除することができる構成であればよい。
【0037】
連結器15は、後述する第2の台車30の連結器35と係合することにより、第1の台車10と第2の台車30とを連結することができる。連結器15および連結器35の構成は特に限定されず、第1の台車10と第2の台車30とが連結され、および連結を解除することができる構成であればよい。
【0038】
図示しないが、第1の台車10は、充電可能なバッテリを含むことが好ましい。第1の台車10にバッテリが搭載されていることにより、ボード貼り付けロボット20との連結を解除し、バッテリを利用して第1の台車10のみを自動搬送させることができる。換言すると、ボード1000がなくなった第1の台車10を、別のボード1000が載置された第1の台車10と入れ替えることができる。そのため、ボード1000を補充する時間を短縮することができ、ボード1000を載置する際の接触による事故を軽減することができる。
【0039】
また、図示しないが、第1の台車10は、床面に設置されるマーカーを検知するセンサを含んでいてもよい。この場合、第1の台車10の移動方向に沿ってマーカーを設置し、センサがマーカーを検知し、マーカーの種類に応じて第1の台車10の移動を制御することができる。
【0040】
第1の台車10には、貼り付けに必要なボード1000が載置されるため、第1の台車10はボード台車という場合がある。
【0041】
[2-2.第2の台車30の構成]
第2の台車30は、荷台31、車輪32、制御盤33、コンプレッサ34、および連結器35を含む。車輪32は、荷台31の下方に接続されている。制御盤33およびコンプレッサ34は、荷台31の上方に設置されている。
【0042】
荷台31の下方には、複数の車輪32が接続されている。すなわち、複数の車輪32は、荷台31を移動可能に支持している。例えば、車輪32の数は、4つであるが、これに限られない。4つの車輪32が荷台31に接続される場合、4つの車輪32は荷台31の四隅に接続されていることが好ましい。車輪32は、従動輪である。第2の台車30は、第1の台車10と連結されている。そのため、第1の台車10がボード貼り付けロボット20を牽引するとき、第1の台車10の移動に合わせて第2の台車30も移動する。但し、車輪32は、駆動輪であってもよい。
【0043】
荷台31上には、制御盤33およびコンプレッサ34が設置されている。制御盤33の構成の詳細は後述するが、制御盤33は、第1の台車10およびボード貼り付けロボット20を制御することにより、ボード貼り付けロボット20によるボード貼り付け処理およびボード貼り付け装置1の移動処理を実行することができる。コンプレッサ34は、後述するボード貼り付けロボット20のエアクッション23に空気(圧縮空気)を供給することができる。
【0044】
ボード貼り付け装置1では、ボード貼り付けロボット20を制御する制御盤33が、ボード貼り付けロボット20から分離されているため、ボード貼り付けロボット20のみでは動作させることができない。そのため、ボード貼り付けロボット20の誤動作を抑制し、安全性を確保することができる。さらに、第2の台車30に制御盤33が設置されることで、ボード貼り付けロボット20の重量を軽減することができる。
【0045】
上述したように、連結器35は、第1の台車10の連結器15と係合することにより、第2の台車30と第1の台車10とを連結することができる。なお、第2の台車30は、ボード貼り付けロボット20と連結されてもよい。
【0046】
第2の台車30には、制御盤33およびコンプレッサ34などのボード貼り付けロボット20の動作を制御に必要な機器が設置されるため、第2の台車30は制御機器用台車という場合がある。
【0047】
なお、図示しないが、第1の台車10と第2の台車30とが一体化された台車であってもよい。この場合、一体化された台車の荷台上に、ボードが載置されるとともに、制御盤33、コンプレッサ34、およびバッテリが設置される。重量を分散することでボード貼り付け装置1の駆動輪の負荷はさらに軽減することができる。
【0048】
[2-3.ボード貼り付けロボット20の構成]
ボード貼り付けロボット20は、基台21、支持脚22、エアクッション23、ロボットハンド24、ロボットアーム25、昇降機26、および連結器27を含む。支持脚22およびエアクッション23は、基台21の下方に設置されている。エアクッション23は、床面と支持脚22との間に位置している。連結器27は、基台21の一端に設置されている。
【0049】
基台21の下方には、複数の支持脚22が接続され、複数の支持脚22の各々にエアクッション23が接続されている。すなわち、床面と支持脚22との間に、エアクッション23が設置されている。エアクッション23は、コンプレッサ34と接続されている。エアクッション23は、コンプレッサ34から空気が供給されることより膨張し、コンプレッサ34からの空気の供給が停止されることにより収縮する。また、エアクッション23の内部の空気が一定量を超えると、エアクッション23の底面から空気が排出される。エアクッション23の膨張および収縮を制御することにより、ボード貼り付けロボット20の位置を固定し、またはボード貼り付けロボット20を浮上させることができるが、このようなエアクッション23の動作の詳細は後述する。
【0050】
基台21上には昇降機26が設置されている。また、ロボットアーム25は、昇降機26によってZ方向に移動する(すなわち、昇降する)ことができるように、昇降機26に設置されている。さらに、ロボットハンド24が、ロボットアーム25の一端に接続されている。ロボットアーム25は、多関節アームを有し、接続されたロボットハンド24を移動し、または回転することができる。ロボットハンド24は、ボード1000を把持し、ボード1000にビス1200を打ち出すことができる。
【0051】
ボード貼り付け処理においては、荷台11上に積載されたボード1000上にロボットハンド24を移動し、ロボットハンド24によってボード1000を把持する。次に、ボード1000を把持したロボットハンド24を移動し、壁面にボード1000を配置する。次に、壁面に配置されたボード1000にビス1200を打ち出し、ボード1000と下地材1100とをビス1200を用いて固定する。ボード1000へのビス1200の打ち込みは、複数回行われてもよい。
【0052】
上述したように、連結器27は、連結器14と係合し、第1の台車10とボード貼り付けロボット20とを連結することができる。連結器27は複数設けられていてもよい。例えば、2つの連結器27を基台21の両端に設けることができる。このような構成により、ボード貼り付けロボット20は、左右方向のいずれからも第1の台車10によって牽引されることができる。
【0053】
[3.エアクッション23の動作]
続いて、図3Aおよび図3Bを参照して、エアクッション23の動作について説明する。ボード貼り付け装置1では、エアクッション23への空気の供給を制御することにより、ボード貼り付けロボット20の位置を固定し、またはボード貼り付けロボット20を浮上させ、移動させることができる。
【0054】
図3Aおよび図3Bの各々は、本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置1のエアクッション23の動作を説明する模式図である。具体的には、図3Aは、図2Aの領域Aの拡大図であり、ボード貼り付けロボット20が床面上に位置が固定されている状態を示し、図3Bは、領域Aにおいて、ボード貼り付けロボット20が浮上し、移動可能な状態を示す。
【0055】
ボード貼り付け装置1を用いてボード貼り付け処理を実行するとき、ボード貼り付けロボット20は、床面上にその位置が固定される。この場合、コンプレッサ34からエアクッション23に空気が供給されない。そのため、エアクッション23は、収縮された状態を維持し、床面との接触している(図3A参照)。このとき、ロボットアーム25などの重量が支持脚22を介してエアクッション23に伝達されるため、エアクッション23と床面との摩擦力が大きくなる。したがって、ボード貼り付けロボット20は、その自重によって床面上に位置が固定される。このように、ボード貼り付けロボット20事態の重量によって位置を固定することができるため、ボード貼り付けロボット20にはアウトリガーを設けない構成も可能である。
【0056】
一方、ボード貼り付け装置1では、第1の台車10がボード貼り付けロボット20を牽引することにより、ボード貼り付けロボット20を移動させることができる。ボード貼り付けロボット20を移動させる場合、コンプレッサ34からエアクッション23に空気が供給される。供給された空気は、エアクッション23の内部に溜まり、エアクッション23が膨張する。さらに空気が供給され、エアクッション23の内部の空気が一定量を超える(または、エアクッション23内の圧力が一定量を超える)と、エアクッション23の底面に設けられた開口23aを通じて空気が吹き出される。このとき、エアクッション23の底面側に、吹き出された空気の流れによる空気層が形成され、空気層によってエアクッション23が持ち上げられる(図3B参照)。すなわち、ボード貼り付けロボット20が浮上する。この場合、エアクッション23と床面との摩擦力は小さくなるため、ボード貼り付けロボット20は、動力の削減された第1の台車10であっても、簡単に牽引される。
【0057】
[4.制御盤33の構成]
図4は、本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置1の制御盤33の構成を示すブロック図である。図4に示すように、制御盤33は、制御部331および記憶部332などのコンピュータを含む。制御部331は、例えば、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)、マイクロプロセッサ(Micro Processing Unit:MPU)、画像処理装置(Graphics Processing Unit:GPU)、またはデジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)などを含む。また、記憶部332は、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)、リードオンリーメモリ(Read Only Memory:ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)、またはソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)などを含む。制御部331で実行されるプログラムは、記憶部332に格納されていてもよい。制御盤33は、コンピュータにおいてプログラムが実行されることにより、ボード貼り付け装置1の様々な処理(例えば、ボード貼り付けロボット20によるボード貼り付け処理またはボード貼り付け装置1の移動処理など)を実行することができる。具体的には、制御部331は、駆動輪制御部331a、エアクッション制御部331b、ロボットハンド制御部331c、およびロボットアーム制御部331dを含み、記憶部332は、移動処理設定データ332aおよびボード貼り付け処理設定データ332bを含む。
【0058】
駆動輪制御部331aは、移動処理設定データ332aに基づき、車輪12の駆動輪の駆動を制御することができる。換言すると、駆動輪制御部331aは、第1の台車10を駆動し、第1の台車10を所定の方向に移動させることができる。例えば、駆動輪制御部331aは、第1の台車10をX方向に所定の距離だけ移動させることができる。
【0059】
なお、制御部331とは別に、第1の台車10に駆動輪制御部331aを含む別の制御部が設置されていてもよい。この場合、駆動輪制御部331aは、第1の台車10とボード貼り付けロボット20との連結が解除されているとき、第1の台車10のみを移動させることができる。例えば、第1の台車10の荷台11上にボード1000がなくなった場合、第1の台車10をボード置き場まで移動させ、ボード1000を積載することができる。このように、駆動輪制御部331aは、第1の台車10の自動搬送処理を制御することもできる。
【0060】
移動処理設定データ332aは、ボード貼り付け装置1の移動処理または第1の台車10の自動搬送処理に必要なデータを含む。例えば、ボード貼り付けロボット20のX方向への移動距離、移動速度、またはボード置き場の位置情報などを含むが、これらに限られない。
【0061】
エアクッション制御部331bは、エアクッション23への空気の供給を開始し、または停止するように、コンプレッサ34を制御することができる。上述したように、エアクッション23への空気の供給を制御することにより、エアクッション23と床面との摩擦力を制御することができる。
【0062】
ロボットハンド制御部331cは、ボード1000を把持し、またはボード1000にビス1200を打ち出すように、ロボットハンド24を制御することができる。
【0063】
ロボットアーム制御部331dは、ロボットハンド24を所定の位置に移動させ、または回転するように、ロボットアーム25を制御することができる。
【0064】
ロボットハンド制御部331cおよびロボットアーム制御部331dは、ボード貼り付け処理設定データ332bに基づき、それぞれ、ロボットハンド24およびロボットアーム25を制御することにより、ボード貼り付け処理を実行することができる。
【0065】
ボード貼り付け処理設定データ332bは、ボード貼り付け処理に必要なデータを含む。例えば、ボード貼り付け処理設定データ332bは、ボード1000の長さ、幅、および厚さ、下地材1100の幅、下地材1100間の間隔、ならびに壁面の長さおよび高さなどを含むが、これに限られない。
【0066】
[5.ボード貼り付け装置1の移動処理]
図5は、本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置1における移動処理を説明するフローチャートである。具体的には、図5は、ボード貼り付け装置1において、壁面と平行方向に沿って第1の台車10を駆動し、ボード貼り付けロボット20を牽引して移動させる処理を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、ステップS10~ステップS30を含む。以下、ステップS10~ステップS30を順に説明する。
【0067】
ステップS10では、エアクッション制御部331bがコンプレッサ34からエアクッション23へ空気の供給を開始する。これにより、エアクッション23内に空気が充填されてエアクッション23が膨張するとともに、エアクッション23への空気供給量が一定量を超えると開口23aから空気が吹き出し、エアクッション23と床面との間に空気層が形成される。空気層の形成により、エアクッション23が持ち上げられ、エアクッション23と床面との摩擦力が大幅に軽減されるため、ボード貼り付けロボット20の移動が可能となる。
【0068】
ステップS20では、駆動輪制御部331aが第1の台車10(より具体的には、車輪12の駆動輪)を駆動し、第1の台車10をX方向、すなわち、壁面と平行方向に沿って移動させる。第1の台車10の移動に伴い、第1の台車10に牽引されたボード貼り付けロボット20および第2の台車30もX方向に移動する。上述したように、エアクッション23と床面との摩擦力が大幅に軽減されているため、動力の削減された第1の台車10の牽引力であっても、ボード貼り付けロボット20を容易に移動させることができる。なお、ボード貼り付けロボット20がボード貼り付け処理を実行する所定の位置まで移動したとき、駆動輪制御部331aは第1の台車10の駆動を停止する。
【0069】
ステップS30では、エアクッション制御部331bがコンプレッサ34からエアクッション23への空気の供給を停止する。ボード貼り付けロボット20の重量によってエアクッション23内の空気が開口23aから排出され、エアクッション23が収縮するとともに、エアクッション23と床面とが接触する。さらに、ボード貼り付けロボット20の自重によってエアクッション23が床面に押圧されるため、エアクッション23と床面との摩擦力が大きくなる。したがって、ボード貼り付けロボット20は、所定の位置で固定される。
【0070】
ステップS30が終了すると、ボード貼り付け装置1の移動処理が終了する。ボード貼り付け処理およびボード貼り付け装置1の移動処理を繰り返すことにより、壁面の全面に亘ってボード1000を貼り付けることができる。
【0071】
以上説明したように、ボード貼り付け装置1は、ボード貼り付け処理を実行するボード貼り付けロボット20に、ボード貼り付けロボット20を移動させる第1の台車10が連結されている。また、ボード貼り付けロボット20には、エアクッション23が設けられており、エアクッション23へ空気を供給することにより、ボード貼り付けロボット20を浮上させることができる。これにより、ボード貼り付けロボット20と床面との摩擦力を低減することができるため、ボード貼り付け装置1は、動力の削減された第1の台車10による駆動であっても容易に移動することができる。また、ボード貼り付け装置1の移動において、ボード貼り付けロボット20と床面との接地面に荷重が集中することが無いため、耐荷重の小さい床面であっても、ボード貼り付け装置1を利用することができる。さらに、エアクッション23へ空気が供給されないときには、ボード貼り付けロボット20自体の重量によって、その位置を固定することができ、アウトリガーを備えない構成とすることも可能である。
【0072】
本発明の実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜構成を組み合わせて実施することができる。また、実施形態を基にして、当業者が適宜構成の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略、もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0073】
上述した実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0074】
1:ボード貼り付け装置、 10:第1の台車、 11:荷台、 12:車輪、 13:係止棒、 14、15:連結器、 20:ボード貼り付けロボット、 21:基台、 22:支持脚、 23:エアクッション、 23a:開口、 24:ロボットハンド、 25:ロボットアーム、 26:昇降機、 27:連結器、 30:第2の台車、 31:荷台、 32:車輪、 33:制御盤、 34:コンプレッサ、 35:連結器、 331:制御部、 331a:駆動輪制御部、 331b:エアクッション制御部、 331c:ロボットハンド制御部、 331d:ロボットアーム制御部、 332:記憶部、 332a:移動処理設定データ、 332b:ボード貼り付け処理設定データ、 1000:ボード、 1100:下地材、 1200:ビス
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5