(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083973
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】自発光型表示装置及び自発光型表示装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20240617BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240617BHJP
G09G 3/3291 20160101ALI20240617BHJP
G09G 3/3266 20160101ALI20240617BHJP
G09G 3/32 20160101ALI20240617BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240617BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 624B
G09G3/20 622E
G09G3/20 612E
G09G3/20 623C
G09G3/20 641D
G09G3/3291
G09G3/3266
G09G3/32 A
G09G3/20 611A
G09G3/20 642D
G09G3/20 611G
H10K59/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198098
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】森田 哲生
【テーマコード(参考)】
3K107
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
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3K107HH05
5C080AA06
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5C380DA47
5C380FA02
5C380FA11
5C380FA24
5C380HA05
5C380HA13
(57)【要約】
【課題】輝度の低下を抑制しつつ、低消費電力化が可能な自発光型表示装置を提供すること。
【解決手段】自発光型表示装置は、第1の制御信号がシフトされた第2の制御信号を用いて制御され、第1のノードに電気的に接続された第1のトランジスタと、前記第1のノードと第2のノードとの間に電気的に接続された第2のトランジスタと、第3の制御信号がシフトされた前記第1の制御信号を用いて制御され、前記第2のノードと、前記第2のトランジスタのゲート電極との間に電気的に接続された第3のトランジスタと、前記第3の制御信号を用いて、前記第2のノード及び前記第2のトランジスタのゲート電極にリセット電圧を供給するように制御されると共に、前記第2のノードに電気的に接続された第4のトランジスタと、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の制御信号がシフトされた第2の制御信号を用いて制御され、画像データ信号線と第1のノードとの間に電気的に接続された第1のトランジスタと、
前記第1のノードと第2のノードとの間に電気的に接続された第2のトランジスタと、
第3の制御信号がシフトされた前記第1の制御信号を用いて制御され、前記第2のノードと、前記第2のトランジスタのゲート電極との間に電気的に接続された第3のトランジスタと、
前記第3の制御信号を用いて、前記第2のノード及び前記第2のトランジスタのゲート電極にリセット電圧を供給するように制御されると共に、前記第2のノードに電気的に接続された第7のトランジスタと、を含む自発光型表示装置。
【請求項2】
前記第3の制御信号と、前記第1の制御信号と、前記第2の制御信号とを順次シフトして出力する制御回路をさらに含む請求項1に記載の自発光型表示装置。
【請求項3】
基準電圧が供給される基準電圧線に電気的に接続された発光素子と、
第4の制御信号を用いて制御され、駆動電圧が供給される駆動電源線と前記第2のノードとの間に前に電気的に接続された第4のトランジスタと、
第5の制御信号を用いて制御され、前記発光素子と前記第1のノードに電気的に接続された第5のトランジスタと、
前記発光素子と、前記発光素子に接続された前記第5のトランジスタの端子とに初期化電圧を供給するように制御されると共に、前記発光素子に電気的に接続された第6のトランジスタと、
前記第5の制御信号を前記第5のトランジスタに供給するタイミングを制御する第1発光制御回路と、
前記第4の制御信号を前記第4のトランジスタに供給するタイミングを制御する第2発光制御回路と、をさらに含む請求項2に記載の自発光型表示装置。
【請求項4】
前記駆動電圧は、第1の駆動電圧又は、前記第1の駆動電圧より低い第2の駆動電圧である、請求項3に記載の自発光型表示装置。
【請求項5】
前記第1のトランジスタ乃至前記第7のトランジスタは、オン信号を供給されると、オン状態となり、オフ信号を供給されるとオフ状態となる、請求項3に記載の自発光型表示装置。
【請求項6】
前記第1のトランジスタ乃至前記第7のトランジスタは、nチャネル型の電界効果トランジスタであり、
前記第6のトランジスタは、前記第2の制御信号を用いて制御される、
請求項5に記載の自発光型表示装置。
【請求項7】
前記第2発光制御回路が、前記第4の制御信号にオフ信号を供給し、
前記第1発光制御回路が、前記第5の制御信号にオフ信号を供給し、
前記制御回路が、前記第3の制御信号にオン信号を供給し、前記第1の制御信号にオン信号を供給し、前記第2の制御信号にオフ信号を供給し、前記リセット電圧を前記第2のノードと前記ゲート電極とに供給する、
請求項6に記載の自発光型表示装置。
【請求項8】
前記第2発光制御回路が、前記第4の制御信号にオフ信号を供給し、
前記第1発光制御回路が、前記第5の制御信号にオフ信号を供給し、
前記制御回路が、前記第3の制御信号にオフ信号を供給し、前記第1の制御信号にオン信号を供給し、前記第2の制御信号にオン信号を供給し、前記画像データ信号線から画像データ信号を前記第1のノードと前記第2のノードと前記ゲート電極とに供給する、
請求項6に記載の自発光型表示装置。
【請求項9】
前記第2発光制御回路が、前記第4の制御信号にオフ信号を供給し、
前記第1発光制御回路が、前記第5の制御信号にオン信号を供給し、
前記制御回路が、前記第3の制御信号にオフ信号を供給し、前記第1の制御信号にオフ信号を供給し、前記第2の制御信号にオフ信号を供給し、黒を表示する電圧を含む画像データ信号を、前記画像データ信号線から前記第1のノードと前記発光素子とに供給する、
請求項6に記載の自発光型表示装置。
【請求項10】
前記第1のトランジスタ乃至前記第5のトランジスタと、前記第7のトランジスタとは、nチャネル型の電界効果トランジスタであり、前記第6のトランジスタは、pチャネル型の電界効果トランジスタであり、
前記第1発光制御回路と前記第2発光制御回路とは同一の発光制御回路であり、
前記第4の制御信号と前記第5の制御信号とは同一の発光制御信号であり、
前記第4のトランジスタ乃至前記第6のトランジスタは、前記同一の発光制御信号を用いて制御される、
請求項5に記載の自発光型表示装置。
【請求項11】
前記同一の発光制御回路が、前記同一の発光制御信号にオフ信号を供給し、
前記制御回路が、前記第3の制御信号にオン信号を供給し、前記第1の制御信号にオン信号を供給し、前記第2の制御信号にオフ信号を供給し、前記リセット電圧を前記第2のノードと前記ゲート電極とに供給する、
請求項10に記載の自発光型表示装置。
【請求項12】
前記同一の発光制御回路が、前記同一の発光制御信号にオフ信号を供給し、
前記制御回路が、前記第3の制御信号にオフ信号を供給し、前記第1の制御信号にオン信号を供給し、前記第2の制御信号にオン信号を供給し、前記画像データ信号線から画像データ信号を前記第1のノードと前記第2のノードと前記ゲート電極とに供給する、
請求項10に記載の自発光型表示装置。
【請求項13】
前記同一の発光制御回路が、前記同一の発光制御信号にオフ信号を供給し、
前記制御回路が、前記第3の制御信号にオフ信号を供給し、前記第1の制御信号にオフ信号を供給し、前記第2の制御信号にオフ信号を供給し、黒を表示する電圧を含む画像データ信号を、前記画像データ信号線から前記第1のノードと前記発光素子とに供給する、
請求項10に記載の自発光型表示装置。
【請求項14】
前記第1のトランジスタ乃至前記第3のトランジスタと、前記第6のトランジスタと、前記第7のトランジスタとは、nチャネル型の電界効果トランジスタであり、前記第4のトランジスタと前記第5のトランジスタとは、pチャネル型の電界効果トランジスタであり、
前記第1発光制御回路と前記第2発光制御回路とは同一の発光制御回路であり、
前記第4の制御信号と前記第5の制御信号とは同一の発光制御信号であり、
前記第4のトランジスタと前記第5のトランジスタとは、前記同一の発光制御信号を用いて制御され、
前記第6のトランジスタは、前記第2の制御信号を用いて制御される、
請求項5に記載の自発光型表示装置。
【請求項15】
前記同一の発光制御回路が、前記同一の発光制御信号にオン信号を供給し、
前記制御回路が、前記第3の制御信号にオン信号を供給し、前記第1の制御信号にオン信号を供給し、前記第2の制御信号にオフ信号を供給し、前記リセット電圧を前記第2のノードと前記ゲート電極とに供給する、
請求項14に記載の自発光型表示装置。
【請求項16】
前記同一の発光制御回路が、前記同一の発光制御信号にオン信号を供給し、
前記制御回路が、前記第3の制御信号にオフ信号を供給し、前記第1の制御信号にオン信号を供給し、前記第2の制御信号にオン信号を供給し、前記画像データ信号線から画像データ信号を前記第1のノードと前記第2のノードと前記ゲート電極とに供給する、
請求項14に記載の自発光型表示装置。
【請求項17】
前記同一の発光制御回路が、前記同一の発光制御信号にオン信号を供給し、
前記制御回路が、前記第3の制御信号にオフ信号を供給し、前記第1の制御信号にオフ信号を供給し、前記第2の制御信号にオフ信号を供給し、黒を表示する電圧を含む画像データ信号を、前記画像データ信号線から前記第1のノードと前記発光素子とに供給する、
請求項14に記載の自発光型表示装置。
【請求項18】
前記第4のトランジスタのチャネルと、前記第5のトランジスタと、前記第6のトランジスタとのそれぞれのチャネル領域は、低温ポリシリコンを有し、
前記第2のトランジスタのチャネル領域は、酸化物半導体を有する、
請求項14に記載の自発光型表示装置。
【請求項19】
少なくとも、第1の制御信号をシフトした第2の制御信号を用いて制御され、第1のノードに電気的に接続された第1のトランジスタと、前記第1のノードと第2のノードとの間に電気的に接続された第2のトランジスタと、第3の制御信号がシフトされた前記第1の制御信号を用いて制御され、前記第2のノードと前記第2のトランジスタのゲート電極との間に電気的に接続された第3のトランジスタと、前記第3の制御信号を用いて制御され、前記第2のノードに電気的に接続された第4のトランジスタとを含む自発光型表示装置の駆動方法であって、
前記第3の制御信号を用いて前記第4のトランジスタをオンすると共に、前記第1の制御信号を用いて前記第3のトランジスタをオンし、
前記第2のノード及び前記第2のトランジスタのゲート電極にリセット電圧を供給し、
前記リセット電圧を供給したのちに、前記第3の制御信号を用いて前記第4のトランジスタをオフすると共に、前記第2の制御信号を用いて前記第1のトランジスタをオンし、前記第2のノード及び前記第1のノードにデータ電圧を供給する、
自発光型表示装置の駆動方法。
【請求項20】
前記自発光型表示装置は、
基準電圧が供給される基準電圧線に電気的に接続された発光素子と、
第4の制御信号を用いて制御され、駆動電圧が供給される駆動電源線と前記第2のノードとの間に前に電気的に接続された第4のトランジスタと、
第5の制御信号を用いて制御され、前記発光素子と前記第1のノードに電気的に接続された第5のトランジスタと、
前記発光素子と、前記発光素子に接続された前記第5のトランジスタの端子とに初期化電圧を供給するように制御されると共に、前記発光素子に電気的に接続された第6のトランジスタと、
前記第5の制御信号を前記第5のトランジスタに供給するタイミングを制御する第1の発光制御回路と、
前記第4の制御信号を前記第4のトランジスタに供給するタイミングを制御する第2の発光制御回路と、をさらに含む、
前記第3の制御信号と、前記第1の制御信号と、前記第2の制御信号とを順次シフトして出力する、請求項19に記載の自発光型表示装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自発光型表示装置及び自発光型表示装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自発光型表示装置が、テレビ、スマートフォン、デジタルサイネージ(電子看板、電子広告板など)などに実装され、普及している。自発光型表示装置は、例えば、複数の画素、及び複数の画素を駆動するためのドライバを含む。複数の画素の各々は、例えば、複数のトランジスタ、容量素子及び発光素子を含む。発光素子は、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)、微小な発光ダイオード(マイクロLED)、又は、有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)素子である。自発光型表示装置では、ドライバが複数の画素の各々に電圧を供給することによって、供給された電圧値に応じた電流が複数の画素の各々に含まれる発光素子に流れる。発光素子の各々は発光素子に流れる電流に応じた輝度で発光し、発光素子を含む画素は当該輝度に応じた階調で画像を表示することができる。一方で、自発光型表示装置の消費電力の低減の要求が高まっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、6つのトランジスタ、1つの容量素子、及び1つの発光素子を備える画素、及び、当該画素を含む自発光型表示装置が開示されている。特許文献1に記載の自発光型表示装置の消費電力は、例えば、発光素子に電気的に接続された電源電圧を調整することによって、低減可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0284276号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の自発光型表示装置では、発光素子に電気的に接続された電源電圧を調整することによって消費電力を低減する場合には、発光素子(自発光型表示装置)の輝度が低下する虞がある。
【0006】
このような課題に鑑み、本発明の一実施形態は、発光素子(自発光型表示装置)の輝度の低下を抑制しつつ、低消費電力化が可能な自発光型表示装置及び自発光型表示装置の駆動方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る自発光型表示装置は、第1の制御信号がシフトされた第2の制御信号を用いて制御され、第1のノードに電気的に接続された第1のトランジスタと、前記第1のノードと第2のノードとの間に電気的に接続された第2のトランジスタと、第3の制御信号がシフトされた前記第1の制御信号を用いて制御され、前記第2のノードと、前記第2のトランジスタのゲート電極との間に電気的に接続された第3のトランジスタと、前記第3の制御信号を用いて、前記第2のノード及び前記第2のトランジスタのゲート電極にリセット電圧を供給するように制御されると共に、前記第2のノードに電気的に接続された第4のトランジスタと、を含む。
【0008】
本発明の一実施形態に係る自発光型表示装置の駆動方法は、少なくとも、第1の制御信号をシフトした第2の制御信号を用いて制御され、第1のノードに電気的に接続された第1のトランジスタと、前記第1のノードと第2のノードとの間に電気的に接続された第2のトランジスタと、第3の制御信号がシフトされた前記第1の制御信号を用いて制御され、前記第2のノードと前記第2のトランジスタのゲート電極との間に電気的に接続された第3のトランジスタと、前記第3の制御信号を用いて制御され、前記第2のノードに電気的に接続された第4のトランジスタとを含む自発光型表示装置の駆動方法であって、前記第3の制御信号を用いて前記第4のトランジスタをオンすると共に、前記第1の制御信号を用いて前記第3のトランジスタをオンし、前記第2のノード及び前記第2のトランジスタのゲート電極にリセット電圧を供給し、前記リセット電圧を供給したのちに、前記第3の制御信号を用いて前記第4のトランジスタをオフすると共に、前記第2の制御信号を用いて前記第1のトランジスタをオンし、前記第2のノード及び前記第1のノードにデータ電圧を供給する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る自発光型表示装置の構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る自発光型表示装置の構成を示す模式図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る画素回路への入力信号を示す模式図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る画素回路の構成を示す回路図である。
【
図5】
図5(A)及び
図5(B)は本発明の第1実施形態に係る自発光型表示装置のタイミングチャートを示す模式図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る自発光型表示装置のタイミングチャートを示す模式図である。
【
図7】
図6に示されるタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図8】
図6に示されるタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図9】
図6に示されるタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図10】
図6に示されるタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図11】
図6に示されるタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図12】
図6に示されるタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図13】本発明の第1実施形態に係る自発光型表示装置のタイミングチャートを示す模式図である。
【
図14】
図13に示されるタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図15】本発明の第2実施形態に係る自発光型表示装置の構成を示す模式図である。
【
図16】本発明の第2実施形態に係る画素回路への入力信号を示す模式図である。
【
図17】本発明の第2実施形態に係る画素回路の構成を示す回路図である。
【
図18】本発明の第2実施形態に係る自発光型表示装置のタイミングチャートを示す模式図である。
【
図19】
図18に示されるタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図20】
図18に示されるタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図21】
図18に示されるタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図22】
図18に示されるタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図23】
図18に示されるタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図24】
図18に示されるタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図25】本発明の第2実施形態に係る自発光型表示装置のタイミングチャートを示す模式図である。
【
図26】
図25に示されるタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図27】本発明の第3実施形態に係る画素回路の構成を示す回路図である。
【
図28】本発明の第3実施形態に係る自発光型表示装置のタイミングチャートを示す模式図である。
【
図29】本発明の第3実施形態に係る自発光型表示装置のタイミングチャートを示す模式図である。
【
図30】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の概要を示す断面図である。
【
図31】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の概要を示す平面図である。
【
図32】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すシーケンス図である。
【
図33】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図34】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図35】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図36】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図37】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図38】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図39】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図40】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図41】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図42】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の電気特性の一例及び比較例の半導体装置の電気特性の一例を示すグラフである。
【
図43】本発明の第4実施形態に係る画素回路の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状、構成等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。なお、各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
【0011】
また、本明細書において「αはA、B又はCを含む」、「αはA,B及びCのいずれかを含む」、「αはA,B及びCからなる群から選択される一つを含む」、といった表現は、特に明示が無い限り、αはA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0012】
本発明の一実施形態に係る自発光型表示装置は、一例として、発光素子にEL素子を用いる発光装置である。
【0013】
<1.第1実施形態>
<1-1.自発光型表示装置10の概要>
図1及び
図2を参照し、第1実施形態に係る自発光型表示装置10の概要を説明する。
図1及び
図2は、第1実施形態に係る自発光型表示装置10の構成を示す模式図である。
図1及び
図2に示される自発光型表示装置10の構成は一例であって、自発光型表示装置10の構成は、
図1及び
図2に示される構成に限定されない。
【0014】
図1又は
図2に示されるように、自発光型表示装置10は、アレイ基板100、フレキシブルプリント回路基板160(FPC160)、およびICチップ170を含む。また、自発光型表示装置10は、アレイ基板100上に設けられた表示領域22、表示領域22を囲う周辺領域24、及び端子領域26を含む。
【0015】
表示領域22には、複数の画素180がマトリクス状に配置される。画素180は、表示領域22に表示する画像の一部を構成する最小単位である。複数の画素180のそれぞれは、例えば、副画素R、副画素G、副画素Bに対応してよい。三つの副画素で一つの画素が形成されてもよい。画素180の配列には制限がなく、複数の画素180の配列は、例えば、ストライプ配列である。自発光型表示装置10の配列は、デルタ配列、ペンタイル配列などであってよい。
【0016】
副画素R、副画素G、副画素Bは、互いに異なる色の画像を表示するように構成される。例えば、副画素R、副画素G及び副画素Bのそれぞれは、赤色、緑色及び青色の三原色を発する発光層を含む発光素子を備えることができる。三つの副画素のそれぞれに任意の電圧又は電流が供給され、自発光型表示装置10は画像を表示することができる。
【0017】
周辺領域24には、ソースドライバ回路110、第1ゲートドライバ回路120、第1発光制御回路130及び第2発光制御回路140が設けられる。ソースドライバ回路110、第1ゲートドライバ回路120、第1発光制御回路130及び第2発光制御回路140のそれぞれが、接続配線341を用いて、端子部150に接続される。周辺領域24は額縁領域と呼ばれる場合がある。接続配線341は単独で接続配線341と呼ばれることがあり、複数の接続配線341の束が接続配線341と呼ばれることがある。
【0018】
端子領域26には、端子部150、及び、端子部150に電気的に接続されたFPC160が設けられる。端子領域26は、周辺領域24に対して表示領域22が設けられる領域とは、第1の方向D1に対して反対側の領域である。
【0019】
FPC160は、自発光型表示装置10の外側において、外部機器(図示は省略)に接続される。したがって、自発光型表示装置10は、FPC160及びFPCに接続された端子部150を介して、外部機器に接続される。制御信号及び電圧が、FPC160及びFPCに接続された端子部150を介して、外部機器から自発光型表示装置10に送信される。自発光型表示装置10は、受信した外部機器からの制御信号及び電圧を用いて、自発光型表示装置10に設けられた各画素180を駆動する。その結果、自発光型表示装置10は、表示領域22に画像を表示することができる。
【0020】
ICチップ170は、例えば、FPC160上に設けられる。ICチップ170は、各画素180を駆動させる信号、電圧などを、FPC160と端子部150と接続配線341とを介して、ソースドライバ回路110、第1ゲートドライバ回路120、第1発光制御回路130、第2発光制御回路140及び画素回路に供給する。
【0021】
第1実施形態では、ソースドライバ回路110、第1ゲートドライバ回路120、第1発光制御回路130、第2発光制御回路140、及びICチップ170のそれぞれを単独で制御回路と呼んでよく、ソースドライバ回路110、第1ゲートドライバ回路120、第1発光制御回路130、第2発光制御回路140、及びICチップ170の一部又は全部を含む回路群を制御回路と呼んでもよい。
【0022】
<1-2.ソースドライバ回路110の構成>
図1及び
図2を参照し、ソースドライバ回路110の概要を説明する。
図1又は
図2に示されるように、ソースドライバ回路110は表示領域22に対して第1の方向D1(列方向)に隣接する位置に設けられる。画像データ信号線321がソースドライバ回路110から第1の方向D1に延在し、第1の方向D1に配列された複数の画素180に接続される。
【0023】
図2に示されるように、ソースドライバ回路110は、例えば、複数の選択回路112を含む。複数の選択回路112のそれぞれは、例えば、選択信号MUXR、選択信号MUXG、選択信号MUXBに供給されるオン信号及びオフ信号に基づき、制御される。選択回路112は、選択信号(例えば、選択信号MUXR)に供給されるオン信号よって選択され、入力端子114に供給されたデータ信号VDATAを含む画像データ信号SL(m+1)を、画像データ信号線321、及び、画像データ信号線321に電気的に接続された画素180に供給する。詳細は後述されるが、データ信号VDATAは、例えば、電圧RDATA(n)、電圧GDATA(n)又は電圧BDATA(n)を含む。
【0024】
選択回路112は、例えば、入力端子114及び出力端子116を含むスイッチ118である。例えば、ICチップ170から選択信号MUXRに供給されるオン信号によって、入力端子114と出力端子116とが導通(接続)され、ICチップ170から選択信号MUXRに供給されるオフ信号によって、入力端子114と出力端子116とが遮断(非接続)される。オン信号は入力端子114と出力端子116とを導通する電圧を含む信号であり、オフ信号は入力端子114と出力端子116を遮断する電圧を含む信号である。
【0025】
本発明において、オン信号はハイ(High、HI)であり、オフ信号はロー(Low、LO)であってよく、オン信号はロー(Low、LO)であり、オフ信号はハイ(High、HI)であってもよい。
【0026】
<1-3.第1ゲートドライバ回路120及び第2ゲートドライバ回路190の構成>
図1及び
図2を参照し、第1ゲートドライバ回路120の概要を説明する。
図1又は
図2に示されるように、第1ゲートドライバ回路120は表示領域22に対して第2の方向D2(行方向)に隣接する位置に設けられる。第1走査信号線329、330、331、332及び333が第1ゲートドライバ回路120から第2の方向D2に延在し、第2の方向D2に配列された複数の画素180に接続される。
【0027】
図2に示されるように、第1ゲートドライバ回路120は、複数のシフトレジスタ(例えば、シフトレジスタ121、122及び123)を含む。シフトレジスタ121、122及び123は、例えば、ICチップ170から供給されるクロック信号及びスタートパルスなどの制御信号に基づき、第1走査信号線329、330、331、332及び333のそれぞれに、タイミングの異なる走査信号(例えば、走査信号GF(n-1)、走査信号GF(n)、走査信号GF(n+1))を、順次供給し、各第1走査信号線に電気的に接続される画素180(画素回路)を駆動する役割を有する。
【0028】
例えば、シフトレジスタ121はシフトレジスタ122に電気的に接続され、シフトレジスタ122はシフトレジスタ123に電気的に接続される。シフトレジスタ121は第1走査信号線329に電気的に接続されると共に、例えば、走査信号GF(n-1)を第1走査信号線329に供給する。シフトレジスタ121と同様に、シフトレジスタ122は第1走査信号線330に電気的に接続されると共に、例えば、走査信号GF(n)を第1走査信号線330に供給し、シフトレジスタ123は第1走査信号線331に電気的に接続されると共に、例えば、走査信号GF(n+1)を第1走査信号線331に供給する。なお、図示は省略されるが、シフトレジスタ123に電気的に接続される次段のシフトレジスタは第1走査信号線332に電気的に接続される。走査信号GF(n)は、走査信号GF(n-1)と同等のパルス幅を含み、走査信号GF(n-1)がシフトした信号である。走査信号GF(n+1)は、走査信号GF(n)と同等のパルス幅を含み、走査信号GF(n)がシフトした信号である。走査信号GF(n+1)と同様に、走査信号GF(n+2)は、走査信号GF(n+1)と同等のパルス幅を含み、走査信号GF(n+1)がシフトした信号である。
【0029】
図1及び
図2を参照し、第2ゲートドライバ回路190の概要を説明する。
図1又は
図2に示される例では、第2ゲートドライバ回路190は第1ゲートドライバ回路120に対して第2の方向D2(行方向)に隣接する位置に設けられる。第2ゲートドライバ回路190の位置は、
図1又は
図2に示される位置に限定されない。第2ゲートドライバ回路190は、第1ゲートドライバ回路120と表示領域22との間に設けられてもよい。第2走査信号線349、350、351及び352が、第2ゲートドライバ回路190から第2の方向D2に延在し、第2の方向D2に配列された複数の画素180に接続される。
【0030】
図2に示されるように、第2ゲートドライバ回路190は、複数のシフトレジスタ(例えば、シフトレジスタ191、192及び193)を含む。シフトレジスタ191、192及び193は、シフトレジスタ121、122及び123と同様の構成及び機能を有する。シフトレジスタ191、192及び193は、例えば、ICチップ170から供給されるクロック信号及びスタートパルスなどの制御信号に基づき、第2走査信号線349、350、351、及び352のそれぞれに、タイミングの異なる走査信号(例えば、走査信号GS(n+1)、走査信号GS(n+2)、走査信号GS(n+3))を、順次供給し、各第2走査信号線に電気的に接続される画素180(画素回路)を駆動する役割を有する。ここで、シフトレジスタ191、192及び193に供給されるクロック信号及びスタートパルスなどの制御信号は、シフトレジスタ121、122及び123に供給されるクロック信号及びスタートパルスなどの制御信号と同期しており、シフトレジスタ121、122及び123に供給されるクロック信号及びスタートパルスなどの制御信号と同じであってもよい。すなわち、第2ゲートドライバ回路190は第1ゲートドライバ回路120と同期している。
【0031】
例えば、シフトレジスタ191はシフトレジスタ192に電気的に接続され、シフトレジスタ192はシフトレジスタ193に電気的に接続される。シフトレジスタ191は第2走査信号線349に電気的に接続されると共に、例えば、走査信号GS(n+1)を第2走査信号線349に供給する。シフトレジスタ191と同様に、シフトレジスタ192は第2走査信号線350に電気的に接続されると共に、例えば、走査信号GS(n+2)を第2走査信号線350に供給し、シフトレジスタ193は第2走査信号線351に電気的に接続されると共に、例えば、走査信号GS(n+3)を第2走査信号線351に供給する。第2走査信号GS(n+2)は、第2走査信号GS(n+1)と同等のパルス幅を含み、走査信号GS(n+1)がシフトした信号である。走査信号GS(n+3)は、走査信号GS(n+2)と同等のパルス幅を含み、走査信号GS(n+2)がシフトした信号である。
【0032】
上述のとおり、第1ゲートドライバ回路120と第2ゲートドライバ回路190とは同期している。第1ゲートドライバ回路120及び第2ゲートドライバ回路190によって各走査信号線に供給される各走査信号のパルス幅は同等のパルス幅である。また、第1ゲートドライバ回路120と第2ゲートドライバ回路190とが同期することによって、走査信号GF(n)は走査信号GF(n-1)がシフトした信号となり、走査信号GS(n+1)は走査信号GF(n)がシフトした信号に相当する信号となり、走査信号GF(n+1)は走査信号GS(n+1)がシフトした信号に相当する信号となり、GS(n+2)は走査信号GF(n+1)がシフトした信号に相当する信号となる。すなわち、シフトレジスタ122、シフトレジスタ122、シフトレジスタ191、シフトレジスタ123、シフトレジスタ192、第1ゲートドライバ回路120に含まれると共にシフトレジスタ123に接続されたシフトレジスタ、シフトレジスタ193の順に順次シフトした走査信号が出力される。このあとも、第1ゲートドライバ回路120に含まれるシフトレジスタと、第2ゲートドライバ回路190に含まれるシフトレジスタとが交互に、順次シフトした走査信号が出力される。走査信号GF(n)は第1の制御信号と呼ばれる場合があり、走査信号GS(n+1)は第2の制御信号と呼ばれる場合があり、走査信号GF(n-1)は第3の制御信号と呼ばれる場合がある。
【0033】
<1-4.第1発光制御回路130及び第2発光制御回路140の構成>
図1及び
図2を参照し、第1発光制御回路130及び第2発光制御回路140の概要を説明する。
図1又は
図2に示されるように、第1発光制御回路130は、表示領域22に対して第2の方向D2(行方向)に隣接すると共に、表示領域22に対して第1ゲートドライバ回路120が配置される位置と反対側に設けられる。第1発光制御信号線334、335及び336が第1発光制御回路130から第2の方向D2に延在し、第2の方向D2に配列された複数の画素180(画素回路)に接続される。
【0034】
図2に示されるように、第1発光制御回路130は、複数のシフトレジスタ(例えば、シフトレジスタ131、132及び133)を含む。シフトレジスタ131、132及び133は、例えば、ICチップ170から供給されるクロック信号及びスタートパルスなどの制御信号に基づき、第1発光制御信号線334、335及び336のそれぞれに、タイミングの異なる第1発光制御信号(例えば、第1発光制御信号EF(n)、第1発光制御信号EF(n+1)、第1発光制御信号EF(n+2))を、順次供給し、各第1発光制御信号線に電気的に接続される画素180(画素回路)を駆動する役割を有する。
【0035】
例えば、シフトレジスタ131はシフトレジスタ132に電気的に接続され、シフトレジスタ132はシフトレジスタ133に電気的に接続される。シフトレジスタ131は第1発光制御信号線334に電気的に接続されると共に、例えば、第1発光制御信号EF(n)を第1発光制御信号線334に供給する。シフトレジスタ131と同様に、シフトレジスタ132は第1発光制御信号線335に電気的に接続されると共に、例えば、第1発光制御信号EF(n+1)を第1発光制御信号線335に供給し、シフトレジスタ133は第1発光制御信号線336に電気的に接続されると共に、例えば、第1発光制御信号EF(n+2)を第1発光制御信号線336に供給する。第1発光制御信号EF(n+1)のパルス幅は、第1発光制御信号EF(n)と同じで、第1発光制御信号EF(n+1)は、第1発光制御信号EF(n)をシフトした信号である。同様にして、第1発光制御信号EF(n+2)のパルス幅は、第1発光制御信号EF(n+1)と同じで、第1発光制御信号EF(n+2)は、第1発光制御信号EF(n+2)をシフトした信号である。第1発光制御信号EFは第4の制御信号と呼ばれる場合がある。
【0036】
図2に示されるように、第2発光制御回路140は、第1発光制御回路130に対して第2の方向D2(行方向)に隣接すると共に、表示領域22に対して第1ゲートドライバ回路120が配置される位置と反対側に設けられる。第2発光制御信号線337、338及び339が第2発光制御回路140から第2の方向D2に延在し、第2の方向D2に配列された複数の画素180(画素回路)に接続される。
【0037】
第2発光制御回路140は、複数のシフトレジスタ(例えば、シフトレジスタ141、142及び143)を含む。シフトレジスタ141、142及び143は、例えば、ICチップ170から供給されるクロック信号及びスタートパルスなどの制御信号に基づき、第2発光制御信号線337、338及び339のそれぞれに、タイミングの異なる第2発光制御信号(例えば、第2発光制御信号ES(n)、第2発光制御信号ES(n+1)、第2発光制御信号ES(n+1))を、順次供給し、各第2発光制御信号線に電気的に接続される画素180(画素回路)を駆動する役割を有する。第2発光制御信号ESは第5の制御信号と呼ばれる場合がある。
【0038】
例えば、シフトレジスタ141はシフトレジスタ142に電気的に接続され、シフトレジスタ142はシフトレジスタ143に電気的に接続される。シフトレジスタ141は第2発光制御信号線337に電気的に接続されると共に、例えば、第2発光制御信号ES(n)を第2発光制御信号線337に供給する。シフトレジスタ141と同様に、シフトレジスタ142は第2発光制御信号線338に電気的に接続されると共に、例えば、第2発光制御信号ES(n+1)を第2発光制御信号線338に供給し、シフトレジスタ143は第2発光制御信号線339に電気的に接続されると共に、例えば、第2発光制御信号ES(n+2)を第2発光制御信号線339に供給する。第2発光制御信号ES(n+1)のパルス幅は、第2発光制御信号ES(n)と同じで、第2発光制御信号ES(n+1)は、第2発光制御信号ES(n)をシフトした信号である。同様にして、第2発光制御信号ES(n+2)のパルス幅は、第2発光制御信号ES(n+1)と同じで、第2発光制御信号ES(n+2)は、第2発光制御信号ES(n+2)をシフトした信号である。
【0039】
なお、第1発光制御回路130と第2発光制御回路140とは、第2の方向D2(行方向)に対して、位置が入れ替わっていてよい。
【0040】
<1-5.画素180の構成>
図3及び
図4を参照し、画素180の概要を説明する。
図3は、画素180に含まれる画素回路181への入力信号を示す模式図である。
図4は画素回路181の構成を示す回路図である。
図3及び
図4は、一例として、
図1及び
図2に示される画素180の画素回路181の構成を示している。画素180及び画素回路181の構成は、
図3及び
図4に示される構成に限定されない。
図1及び
図2と同一、又は類似する構成については、ここでの説明を省略する。
【0041】
画素回路181は、画素180を駆動するための回路である。画素180に含まれる副画素R、副画素G及び副画素Bの画素回路は、画素回路181と同様であり、発光素子OLEDが発光する色が異なる。以下の説明では、一例として、主に、赤色を発光する発光素子OLEDを説明する。
【0042】
図3に示されるように、画素回路181には、走査信号GF(n-1)、走査信号GF(n)、走査信号GS(n+1)、画像データ信号SL(m+1)、第1発光制御信号EF(n)、第2発光制御信号ES(n)、リセット電圧VSH及び初期化電圧VINIが供給される。また、画素180を駆動する電源として、画素回路181には、駆動電圧VDDEL又は駆動電圧VDDELL、並びに、基準電圧VSSELが供給される。
【0043】
リセット電圧VSHはリセット電圧線VCに供給され、初期化電圧VINIは初期化電圧線VMに供給され、駆動電圧VDDEL及び駆動電圧VDDELLは駆動電源線PVDDに供給され、基準電圧VSSELは基準電圧線PVSSに供給される。リセット電圧線VC、初期化電圧線VM、駆動電源線PVDD及び基準電圧線PVSSのそれぞれは、例えば、異なる接続配線341に電気的に接続されてよく、異なる接続配線341であってもよい。リセット電圧VSH、初期化電圧VINI、駆動電圧VDDEL、駆動電圧VDDELL及び基準電圧VSSELは、外部回路から、FPC160と端子部150とリセット電圧線VC、初期化電圧線VM、駆動電源線PVDD及び基準電圧線PVSSを介して、複数の画素180(画素回路181)に供給されてよい。また、リセット電圧VSH、初期化電圧VINI、駆動電圧VDDEL、駆動電圧VDDELL及び基準電圧VSSELは、ICチップ170から、FPC160と端子部150とリセット電圧線VC、初期化電圧線VM、駆動電源線PVDD及び基準電圧線PVSSを介して、複数の画素180(画素回路181)に供給されてよい。リセット電圧VSH及び初期化電圧VINIは、駆動電圧VDDEL及び駆動電圧VDDELLより小さい。駆動電圧VDDELLは駆動電圧VDDELより小さい。基準電圧VSSELは駆動電圧VDDELLより小さい。リセット電圧VSHは、例えば、データ信号VDATAに含まれる電圧(例えば、電圧RDATA(n)、電圧GDATA(n)又は電圧BDATA(n))より大きい。
【0044】
図4に示されるように、画素回路181は、第1のトランジスタT1、第2のトランジスタT2、第3のトランジスタT3、第4のトランジスタT4、第5のトランジスタT5、第6のトランジスタT6、第7のトランジスタT7、容量素子CS及び発光素子OLEDを含む。これらのトランジスタのそれぞれは、ゲート電極と、第1の電極及び第2の電極からなる一対の電極(ソース電極及びドレイン電極)を含む。容量素子CS及び発光素子OLEDのそれぞれは、第1の電極及び第2の電極からなる一対の電極を有する。
【0045】
第1のトランジスタT1は、所謂、選択トランジスタである。第1のトランジスタT1は、第2のトランジスタT2に画像データ信号SL(m+1)を供給する機能を有する。
【0046】
第2のトランジスタT2は、所謂、駆動トランジスタである。第2のトランジスタT2は、入力された画像データ信号SL(m+1)を用いて、発光素子OLEDに電流を流し、発光素子OLEDを発光させる機能を有する。
【0047】
第3のトランジスタT3は、第2のノードN2と第2のトランジスタT2のゲート電極622(及び容量素子CSの第2の電極694)とを導通し、第2のトランジスタT2のゲート電極622にリセット電圧VSHを供給し、第2のトランジスタT2のゲート電極622をリセットする機能を有する。また、第3のトランジスタT3は、第2のトランジスタT2の閾値電圧Vthに相当する電荷を第2のトランジスタT2のゲート電極622及び容量素子CSの第2の電極694に蓄積させる機能を有する。
【0048】
第4のトランジスタT4は、駆動電源線PVDDと第2のトランジスタT2との接続、非接続を制御する。すなわち、第4のトランジスタT4は、第2のトランジスタT2に駆動電圧VDDELを供給する機能を有する。
【0049】
第5のトランジスタT5は、第2のトランジスタT2と発光素子OLEDとの接続、非接続を制御する。すわなち、第5のトランジスタT5は、第2のトランジスタT2と発光素子OLEDとの接続、非接続を制御すると共に、発光素子OLEDに電流を供給し、発光素子OLEDの発光、非発光を制御する機能を有する。
【0050】
第6のトランジスタT6は、第5のトランジスタT5の第1の電極654、発光素子OLEDの第2の電極684、及び容量素子CSの第1の電極692に初期化電圧VINIを供給し、第5のトランジスタT5の第1の電極654、発光素子OLEDの第2の電極684、及び容量素子CSの第1の電極692を初期化する機能を有する。
【0051】
第7のトランジスタT7は、第4のトランジスタT4の第1の電極644、第2のトランジスタT2の第2の電極626、第3のトランジスタT3の第2の電極636などにリセット電圧VSHを供給し、第4のトランジスタT4の第1の電極644、第2のトランジスタT2の第2の電極626、第3のトランジスタT3の第2の電極636をリセットする機能を有する。
【0052】
容量素子CSは、例えば、第2のトランジスタT2の閾値電圧Vthに相当する電荷(第1の電荷)を保持する機能を有する。また、容量素子CSは、第2のトランジスタT2のゲート電極622に入力される画像データ信号SL(m+1)に含まれるデータ電圧(例えば、RDATA(n)(
図6参照))に相当する電荷(第2の電荷)を保持する機能を有する。
【0053】
発光素子OLEDは、ダイオード特性を有し、発光素子OLEDに流れる電流(すなわち、第2のトランジスタT2のドレイン電流)に基づき発光する機能を有する。
【0054】
第1のトランジスタT1は、ゲート電極612、第1の電極614及び第2の電極616を含む。ゲート電極612は、第2走査信号線349に電気的に接続される。第1の電極614は、画像データ信号線321に電気的に接続される。第2の電極616は、第1のノードN1、第2のトランジスタT2の第1の電極624、及び、第5のトランジスタT5の第2の電極656に電気的に接続される。第2走査信号線349には、走査信号GS(n+1)が供給される。第1のトランジスタT1は、走査信号GS(n+1)によって、導通状態(オン状態)、非導通状態(オフ状態)が制御される。走査信号GS(n+1)に供給される信号がロー(LO)のとき、第1のトランジスタT1は、非導通状態となる。走査信号GS(n+1)に供給される信号がハイ(HI)のとき、第1のトランジスタT1は、導通状態となる。
【0055】
第2のトランジスタT2は、ゲート電極622、第1の電極624及び第2の電極626を含む。ゲート電極622は、第3のトランジスタT3の第1の電極634、及び、容量素子CSの第2の電極694に電気的に接続される。第2の電極626は、第2のノードN2、第3のトランジスタT3の第2の電極636、第7のトランジスタT7の第1の電極674、及び第4のトランジスタT4の第1の電極644に電気的に接続される。
【0056】
第3のトランジスタT3は、ゲート電極632、第1の電極634及び第2の電極636を含む。ゲート電極632は、第1走査信号線330に電気的に接続される。第1走査信号線330には、走査信号GF(n)が供給される。第3のトランジスタT3は、走査信号GF(n)によって、導通状態(オン状態)、非導通状態(オフ状態)が制御される。走査信号GF(n)に供給される信号がロー(LO)のとき、第3のトランジスタT3は、非導通状態となる。走査信号GF(n)に供給される信号がハイ(HI)のとき、第3のトランジスタT3は、導通状態となる。
【0057】
第4のトランジスタT4は、ゲート電極642、第1の電極644及び第2の電極646を含む。ゲート電極642は、第2発光制御信号線337に電気的に接続される。第2の電極646は、駆動電源線PVDDに電気的に接続される。駆動電源線PVDDには、駆動電圧VDDELが供給される。第2発光制御信号線337には、第2発光制御信号ES(n)が供給される。第4のトランジスタT4は、第2発光制御信号ES(n)によって、導通状態(オン状態)、非導通状態(オフ状態)が制御される。第2発光制御信号ES(n)に供給される信号がロー(LO)のとき、第4のトランジスタT4は、非導通状態となる。第2発光制御信号ES(n)に供給される信号がハイ(HI)のとき、第4のトランジスタT4は、導通状態となる。
【0058】
第5のトランジスタT5は、ゲート電極652、第1の電極654及び第2の電極656を含む。ゲート電極652は、第1発光制御信号線334に電気的に接続される。第1の電極654は、第6のトランジスタT6の第2の電極666、容量素子CSの第1の電極692、及び、発光素子OLEDの第2の電極684に電気的に接続される。第1発光制御信号線334には、第1発光制御信号EF(n)が供給される。第5のトランジスタT5は、第1発光制御信号EF(n)によって、導通状態(オン状態)、非導通状態(オフ状態)が制御される。第1発光制御信号EF(n)に供給される信号がロー(LO)のとき、第5のトランジスタT5は、非導通状態となる。第1発光制御信号EF(n)に供給される信号がハイ(HI)のとき、第5のトランジスタT5は、導通状態となる。
【0059】
第6のトランジスタT6は、ゲート電極662、第1の電極664及び第2の電極666を含む。ゲート電極662は、第1走査信号線330に電気的に接続される。第1の電極664は、初期化電圧線VMに電気的に接続される。上述のとおり、第1走査信号線330には走査信号GF(n)が供給され、初期化電圧線VMには初期化電圧VINIが供給される。第3のトランジスタT3と同様に、第6のトランジスタT6は、走査信号GF(n)によって、導通状態(オン状態)、非導通状態(オフ状態)が制御される。走査信号GF(n)に供給される信号がロー(LO)のとき、第6のトランジスタT6は、非導通状態となる。走査信号GF(n)に供給される信号がハイ(HI)のとき、第6のトランジスタT6は、導通状態となる。
【0060】
第7のトランジスタT7は、ゲート電極672、第1の電極674及び第2の電極676を含む。ゲート電極672は、第1走査信号線329に電気的に接続される。第1走査信号線329には、走査信号GF(n-1)が供給される。第2の電極676はリセット電圧線VCに電気的に接続される。上述のとおり、リセット電圧線VCにはリセット電圧VSHが供給される。第7のトランジスタT7は、走査信号GF(n-1)によって、導通状態(オン状態)、非導通状態(オフ状態)制御される。走査信号GF(n-1)に供給される信号がロー(LO)のとき、第7のトランジスタT7は、非導通状態となる。走査信号GF(n-1)に供給される信号がハイ(HI)のとき、第7のトランジスタT7は、導通状態となる。
【0061】
発光素子OLEDの第1の電極682は、基準電圧線PVSSに電気的に接続される。上述のとおり、基準電圧線PVSSには基準電圧VSSELが供給される。発光素子OLEDの第1の電極682は、例えば、カソード電極であり、発光素子OLEDの第2の電極684は、例えば、アノード電極である。
【0062】
自発光型表示装置10では、トランジスタの導通状態とは、例えば、トランジスタのソース電極とドレイン電極とが導通し、トランジスタがオン(ON)の状態を示すものとし、トランジスタの非導通状態とは、トランジスタのソース電極とドレイン電極とが非導通となり、トランジスタがオフ(OFF)の状態を示すものとする。なお、各トランジスタにおいて、ソース電極とドレイン電極とは、各電極に供給される電圧又は電位に応じて、入れ替わる場合がある。また、トランジスタがオフ状態であっても、リーク電流などのように、わずかに電流が流れることは、当業者であれば容易に理解できることである。
【0063】
図4に示される各トランジスタは、チャネル領域にシリコンやゲルマニウムなどの14族元素、或いは半導体特性を示す酸化物を有することができる。例えば、各トランジスタのチャネル領域は、低温ポリシリコン(LTPS)を有する。自発光型表示装置10では、各トランジスタは、薄膜トランジスタ(TFT)を用いて形成され、nチャネル型の電界効果トランジスタを有する。各トランジスタはnチャネル型の電界効果トランジスタとpチャネル型の電界効果トランジスタの何れか一方を有してよい。自発光型表示装置10は、用途や仕様に応じて、適宜、トランジスタの構成、保持容量の接続、電源電圧などを適合させるとよい。
【0064】
<1-6.自発光型表示装置10の駆動方法>
図5(A)~
図14を参照し、自発光型表示装置10の駆動方法を説明する。
図5(A)、
図5(B)、
図6及び
図13は自発光型表示装置10のタイミングチャートを示す模式図である。
図7~
図12は、
図6に示されるタイミングにおける画素180(画素回路181)の動作状態を示す模式図である。
図14は、
図13に示されるタイミングにおける画素180(画素回路181)の動作状態を示す模式図である。自発光型表示装置10の駆動方法は、
図5(A)~
図14に示される駆動方法に限定されない。
図1~
図4と同一、又は類似する構成については、ここでの説明を省略する。なお、タイミングチャートの横軸は、時間(TIME)である。
【0065】
図5(A)は、例えば、自発光型表示装置10が高い周波数で駆動される場合の自発光型表示装置10の駆動方法のタイミングチャートである。高い周波数は、例えば、60Hzであり、1フレーム(1FRAME)が60Hzで駆動される周波数である。
図5(A)は、例えば、当フレーム(KthFRAME)、当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の一部及び当フレームの一つ後のフレーム(K+1stFRAME)の一部が示されている。
図5(A)に示される駆動方法は例えば高周波駆動と呼ばれる。
【0066】
図5(A)に示されるように、自発光型表示装置10の駆動方法は、1フレームの中に、少なくとも、リセット期間PRS、サンプリング期間PWR及び発光期間PEMを含む。自発光型表示装置10に含まれる画素180(画素回路181)では、リセット期間PRSの後にサンプリング期間PWRが実行され、サンプリング期間PWRの後に発光期間PEMが実行される。また、当フレームの一つ前のフレームの発光期間PEMの後に、当フレームのリセット期間PRSが実行され、当フレームの発光期間PEMの後に、当フレームの一つ後のフレームのリセット期間PRS及びサンプリング期間PWRが実行される。
【0067】
図5(B)は、例えば、自発光型表示装置10が低い周波数で駆動される場合の自発光型表示装置10の駆動方法のタイミングチャートである。低い周波数は、例えば、1Hzであり、1フレーム(1FRAME)が1Hzで駆動される周波数である。
図5(B)に示される駆動方法は例えば低周波駆動と呼ばれる。低周波駆動は、高周波駆動と比較して、発光期間PEMの中で、黒を表示するための期間(黒期間PBWR)を複数回実行する駆動方法である。低周波駆動では、黒期間PBWR以外の駆動は、高周波駆動と同様である。
【0068】
図6は、自発光型表示装置10の画素180(画素回路181)の駆動方法のリセット期間PRS、サンプリング期間PWR及び発光期間PEMを説明するための図である。
図6には、当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEM、当フレーム(KthFRAME)のリセット期間PRS、サンプリング期間PWR及び発光期間PEMが示されている。また、
図6には、複数の一水平期間(水平期間N-2ndHP、水平期間N-1stHP、水平期間NthHP、水平期間N+1stHP、水平期間N+2ndHP)が示されている。一水平期間は、例えば、一つの第2走査信号線に電気的に接続された画素(画素回路)にデータ信号VDATAを含む画像データ信号SL(m+1)が入力される期間であり、全ての第2走査信号線に電気的に接続された画素(画素回路)にデータ信号VDATAを含む画像データ信号SL(m+1)が入力され、1FRAMEに相当する当フレームの画像が表示される。
【0069】
図6~
図12を参照し、画素180(画素回路181)が、一水平期間NthHPに入力されるデータ信号VDATAに含まれる電圧RDATA(n)に基づく画像を表示する駆動方法の一例を説明する。なお、第1実施形態に係る駆動方法の説明では、一例として、駆動電圧VDDEL又は駆動電圧VDDELLが駆動電源線PVDDに供給され、基準電圧VSSELが基準電圧線PVSSに供給される。
【0070】
はじめに、データ信号VDATA、選択信号MUXR、選択信号MUXG、及び選択信号MUXBを説明する。各水平期間に応じて、データ信号VDATAを含む画像データ信号SL(m+1)が各画素180(画素回路181)入力される。データ信号VDATAは、例えば、電圧VDHより低い電圧VDLと電圧VDHとの間の電圧を含むアナログデータである。電圧VDMは、電圧VDHより低い電圧VDLと電圧VDHとの間の電圧である。各水平期間では、例えば、選択信号MUXRを用いて、電圧RDATAが選択され、画像データ信号線に供給され、選択信号MUXGを用いて、電圧GDATAが選択され、画像データ信号線に供給され、選択信号MUXBを用いて、電圧BDATAが選択され、画像データ信号線に供給される。選択信号MUXGを用いてデータが選択されない期間では、データ信号VDATAは、例えば、電圧VDMに保たれる。
【0071】
次に、
図6及び
図7を参照し、当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEMでの、画素180(画素回路181)の駆動方法を説明する。当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEMは、画素180(画素回路181)が、電圧RDATA(n-1)に応じて発光する期間である。
【0072】
第2のトランジスタT2のゲート電極622は、電圧RDATA(n-1)が供給されている。走査信号GF(n-1)、走査信号GF(n)及び走査信号GS(n+1)は、ロー(LO)が供給され、第1のトランジスタT1、第3のトランジスタT3、第6のトランジスタT6及び第7のトランジスタT7がオフ状態となっている。また、第4のトランジスタT4は第2発光制御信号ES(n)からハイ(HI)が供給され、第5のトランジスタT5は第1発光制御信号EF(n)からハイ(HI)が供給され、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5はオン状態となっている。
【0073】
第2のトランジスタT2は、電圧RDATA(n-1)に基づき、オン状態となっている。その結果、第2のトランジスタT2は、電圧RDATA(n-1)に応じたゲート・ソース間電圧Vgs及びソース・ドレイン間電圧Vdsに基づく電流IELを流すことができる。
【0074】
第4のトランジスタT4、第2のトランジスタT2及び第5のトランジスタT5がオン状態であり、駆動電源線PVDDから基準電圧線PVSSに、電流IELが流れる。その結果、電流IELが、発光素子OLEDに流れ、発光素子OLEDは発光する。
【0075】
次に、
図6を参照し、当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEMと当フレームのリセット期間PRSの間の期間での画素180(画素回路181)の駆動方法を説明する。当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEMと当フレームのリセット期間PRSの間の期間は、一水平期間N-2ndHPの一部及び一水平期間N-1stHPの一部と重なる期間である。当該期間では、第2発光制御信号ES(n)及び第1発光制御信号EF(n)はハイ(HI)からロー(LO)が供給され、第5のトランジスタT5及び第4のトランジスタT4はオフ状態となっている。また、走査信号GF(n-1)は、ロー(LO)からハイ(HI)が供給され、第7のトランジスタT7がオン状態となっている。第1のトランジスタT1、第3のトランジスタT3、及び第6のトランジスタT6はオフ状態のままである。第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5がオフ状態であり、駆動電源線PVDDから基準電圧線PVSSに電流は流れず、発光素子OLEDは非発光となる(発光しない)。
【0076】
次に、
図6及び
図8を参照し、当フレームのリセット期間PRSでの画素180(画素回路181)の駆動方法を説明する。リセット期間PRSは、画素180(画素回路181)にリセット電圧VSH及び初期化電圧VINIを書き込み、画素180(画素回路181)を初期化する期間である。当フレームのリセット期間PRSは、一水平期間N-1stHPの一部と重なる期間である。
【0077】
リセット期間PRSでは、走査信号GF(n)はロー(LO)からハイ(HI)が供給され、第3のトランジスタT3及び第6のトランジスタT6はオン状態となっている。また、第7のトランジスタT7がオン状態のままであり、第1のトランジスタT1、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5がオフ状態のままである。
【0078】
第7のトランジスタT7及び第3のトランジスタT3がオン状態になることに基づき、第1のノードN1、第2のノードN2、第1のノードN1に電気的に接続された各電極、第2のノードN2に電気的に接続された各電極、第2のトランジスタT2のゲート電極622、及び容量素子CSの第2の電極694にリセット電圧VSHが供給される。また、第6のトランジスタT6がオン状態になることに基づき、容量素子CSの第1の電極692、第1の電極692に電気的に接続された各電極、及び発光素子OLEDの第2の電極684に初期化電圧VINIが供給される。その結果、第1のノードN1、第2のノードN2、第1のノードN1に電気的に接続された各電極、第2のノードN2に電気的に接続された各電極、第2のトランジスタT2のゲート電極622、及び容量素子CSの第2の電極694がリセットされると共に、容量素子CSの第1の電極692、第1の電極692に電気的に接続された各電極、及び発光素子OLEDの第2の電極684が初期化される。また、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5がオフ状態のままであるため、駆動電源線PVDDから基準電圧線PVSSに電流は流れず、発光素子OLEDは非発光である(発光していない)。
【0079】
次に、
図6及び
図9を参照し、当フレームのリセット期間PRSとサンプリング期間PWRとの間の期間での画素180(画素回路181)の駆動方法を説明する。当フレームのリセット期間PRSとサンプリング期間PWRとの間の期間は、一水平期間N-1stHPの一部及び一水平期間NthHPの一部と重なる期間である。
【0080】
当フレームのリセット期間PRSとサンプリング期間PWRとの間の期間では、走査信号GF(n-1)はハイ(HI)からロー(LO)が供給され、第7のトランジスタT7はオフ状態となっている。また、第3のトランジスタT3及び第6のトランジスタT6がオン状態のままであり、第1のトランジスタT1、第2のトランジスタT2、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5がオフ状態のままである。
【0081】
また、当フレームのリセット期間PRSとサンプリング期間PWRとの間の期間では、第2のノードN2、第2のノードN2に電気的に接続された各電極、第2のトランジスタT2のゲート電極622、及び容量素子CSの第2の電極694には、リセット電圧VSHが保持される。また、第6のトランジスタT6がオン状態のままであるため、容量素子CSの第1の電極692、第1の電極692に電気的に接続された各電極、及び発光素子OLEDの第2の電極684には、初期化電圧VINIが供給されている。また、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5がオフ状態のままであるため、駆動電源線PVDDから基準電圧線PVSSに電流は流れず、発光素子OLEDは非発光である(発光していない)。
【0082】
なお、当フレームのリセット期間PRSとサンプリング期間PWRとの間の期間では、選択信号MUXRにオン信号が供給されることに基づき、電圧RDATA(n)が選択される。よって、画像データ信号SL(m+1)は電圧RDATA(n)を含んでいる。また、電圧RDATA(n)を含む画像データ信号SL(m+1)が画像データ信号線321に供給される。選択信号MUXRにオフ信号が供給されることに基づき、画像データ信号線321は電圧RDATA(n)を保持している。
【0083】
次に、
図6及び
図10を参照し、当フレームのサンプリング期間PWRでの画素180(画素回路181)の駆動方法を説明する。サンプリング期間PWRは、画素180(画素回路181)が表示する画像データに対応する電圧を、画素180(画素回路181)に書き込む期間である。当フレームのサンプリング期間PWRは、一水平期間NthHPの一部と重なる期間である。
【0084】
当フレームのサンプリング期間PWRでは、走査信号GS(n+1)はロー(LO)からハイ(HI)が供給され、第1のトランジスタT1はオン状態となっている。また、第3のトランジスタT3及び第6のトランジスタT6がオン状態のままであり、第4のトランジスタT4、第5のトランジスタT5及び第7のトランジスタT7がオフ状態のままである。
【0085】
第1のトランジスタT1がオン状態になることに基づき、第1のノードN1及び第1のノードN1に電気的に接続された各電極には、電圧RDATA(n)が供給される。また、電圧RDATA(n)が第1のノードN1に供給されると、第2のトランジスタT2のゲート・ソース間の電圧も変化し、第2のトランジスタT2がオン状態となる。その結果、第2のノードN2、第2のノードN2に電気的に接続された各電極、第2のトランジスタT2のゲート電極622、及び容量素子CSの第2の電極694の電圧は、電圧VSHから降下し、電圧RDATA(n)+閾値電圧Vth(RDATA(n)+Vth)になる。こうして、第2のトランジスタT2のゲート電極622と第1の電極624の間の電位差が、第2のトランジスタT2の閾値電圧Vthと同じになり、第2のノードN2等の電圧の降下が終了するとともに、第2のトランジスタT2がオフ状態となる。また、第6のトランジスタT6がオン状態のままであるため、容量素子CSの第1の電極692第1の電極692に電気的に接続された各電極、及び発光素子OLEDの第2の電極684には、初期化電圧VINIが供給されている。また、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5がオフ状態のままであるため、駆動電源線PVDDから基準電圧線PVSSに電流は流れず、発光素子OLEDは非発光である(発光していない)。
【0086】
詳細な図示は省略されるが、このとき、第1のトランジスタT1がオン状態のままであるため、第1のノードN1及び第1のノードN1に電気的に接続された各電極の電圧は電圧RDATA(n)に固定されている。また、第2のトランジスタT2のゲート電極622と第1の電極624との間には、閾値電圧Vthに相当する電荷が保持されている。よって、当フレームのサンプリング期間PWRは、画素180(画素回路181)が表示する画像データに対応する電圧を画素180(画素回路181)に書き込む期間であると共に、第2のトランジスタT2のゲート電極622と第1の電極624との間に閾値電圧Vthに相当する電荷を保持し、第2のトランジスタT2の閾値を補正する期間(閾値補正期間)でもある。
【0087】
次に、
図6及び
図11を参照し、当フレームのサンプリング期間PWRの後での画素180(画素回路181)の駆動方法を説明する。当フレームのサンプリング期間PWRの後の期間は、一水平期間NthHPの一部及び一水平期間N+1stHPと重なる期間である。
【0088】
当フレームのサンプリング期間PWRの後の期間では、走査信号GF(n)はハイ(HI)からロー(LO)が供給され、第3のトランジスタT3はオフ状態となっている。また、第1のトランジスタT1がオン状態のままであり、第2のトランジスタT2、第4のトランジスタT4、第5のトランジスタT5、第6のトランジスタT6及び第7のトランジスタT7がオフ状態のままである。走査信号GS(n+1)にハイ(HI)が供給され、第1のトランジスタT1がオン状態である。よって、第1のトランジスタT1の第1の電極614の電圧と第2の電極616の電圧との電位差は、0であるため、第1のトランジスタT1には、電流が流れない。
【0089】
第2のトランジスタT2、第3のトランジスタT3、第6のトランジスタT6及び第7のトランジスタT7がオフ状態であるため、第2のノードN2、第2のノードN2に電気的に接続された各電極、第2のトランジスタT2のゲート電極622、及び容量素子CSの第2の電極694には、電圧RDATA(n)+閾値電圧Vth(RDATA(n)+Vth)が保持され、容量素子CSの第1の電極692、第1の電極692に電気的に接続された各電極、及び発光素子OLEDの第2の電極684には、初期化電圧VINIが保持されている。また、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5がオフ状態であるため、駆動電源線PVDDから基準電圧線PVSSに電流は流れず、発光素子OLEDは非発光である(発光していない)。
【0090】
図6に示されるように、走査信号GF(n)はハイ(HI)からロー(LO)が供給され、第3のトランジスタT3はオフ状態となったのち、走査信号GS(n+1)はハイ(HI)からロー(LO)が供給され、第1のトランジスタT1はオフ状態となる。
【0091】
このとき、第1のトランジスタT1はオフ状態であるため、第1のノードN1及び第1のノードN1に電気的に接続された各電極には、電圧RDATA(n)が保持されている。また、第2のトランジスタT2、第3のトランジスタT3、第6のトランジスタT6及び第7のトランジスタT7がオフ状態であるため、第2のノードN2、第2のノードN2に電気的に接続された各電極、第2のトランジスタT2のゲート電極622、及び容量素子CSの第2の電極694には、電圧RDATA(n)+閾値電圧Vth(RDATA(n)+Vth)が保持され、容量素子CSの第1の電極692、第1の電極692に電気的に接続された各電極、及び発光素子OLEDの第2の電極684には、初期化電圧VINIが保持されている。さらに、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5がオフ状態であるため、駆動電源線PVDDから基準電圧線PVSSに電流は流れず、発光素子OLEDは非発光である(発光していない)。
【0092】
次に、
図6、
図11及び
図12を参照し、当フレームの発光期間PEMでの、画素180(画素回路181)の駆動方法を説明する。当フレームの発光期間PEMは、画素180(画素回路181)が、電圧RDATA(n)に応じて発光する期間である。当フレームの発光期間PEMは、一水平期間N+2ndHPと重なる期間である。
【0093】
図6及び
図12に示されるように、走査信号GF(n-1)、走査信号G(n)及び走査信号GS(n+1)は、ロー(LO)が供給され、第1のトランジスタT1、第2のトランジスタT2、第3のトランジスタT3、第6のトランジスタT6及び第7のトランジスタT7がオフ状態となっている。また、第4のトランジスタT4は第2発光制御信号ES(n)からハイ(HI)が供給され、第5のトランジスタT5は第1発光制御信号EF(n)からハイ(HI)が供給され、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5はオン状態となっている。
【0094】
図11に示されるように、第5のトランジスタT5の第2の電極656が保持する電圧はRDATA(n)であり、第5のトランジスタT5の第1の電極654が保持する電圧は初期化電圧VINIである。
【0095】
第5のトランジスタT5の第2の電極656の電圧及び第1の電極654の電圧が、電圧RDATA(n)(RDATA(n))及び初期化電圧VINI(VINI)である状態から、
図6及び
図12に示される第5のトランジスタT5がオン状態になると、第5のトランジスタT5の第2の電極656から第1の電極654に電流が流れ、電荷の再分配が起こり、第2の電極656の電圧及び第1の電極654の電圧が初期化電圧VINI(VINI)になる。このとき、第2のトランジスタT2のゲート電極622及び容量素子CSの第2の電極694は、電圧RDATA(n)+閾値電圧Vth-初期化電圧VINI(RDATA(n)+Vth-VINI)となる。電圧RDATA(n)の値によって、第2のトランジスタT2はオン状態又はオフ状態をとる可能性がある。
【0096】
また、例えば、
図6及び
図12に示されるように、第5のトランジスタT5がオン状態であることに基づき、第5のトランジスタT5の第2の電極656から第1の電極654に電流が流れ、第2の電極656及び第2の電極に電気的に接続された各電極(発光素子OLEDの第2の電極684、第6のトランジスタT6の第2の電極666、及び容量素子CSの第1の電極692)の電圧が電圧VINIから電圧VINI+αに上昇すると、第1のノードN1(第5のトランジスタT5の第2の電極656及び第2のトランジスタT2の第1の電極624)が保持する電圧はRDATA(n)から低下する。容量素子CSの第1の電極692が電圧VINI+αに上昇したことに伴い、容量カップリングによって、第2のトランジスタT2のゲート電極622及び容量素子CSの第2の電極694の電圧は、電圧RDATA(n)+閾値電圧Vth(RDATA(n)+Vth)から電圧RDATA(n)+閾値電圧Vth+電圧α(RDATA(n)+Vth+α)に上昇する。その結果、第2のトランジスタT2のゲート電極622と第1の電極624との間のゲート・ソース間電圧が第2のトランジスタT2の閾値電圧Vthより高くなるため、第2のトランジスタT2はオン状態となる。
【0097】
第4のトランジスタT4、第2のトランジスタT2及び第5のトランジスタT5がオン状態であり、駆動電源線PVDDから基準電圧線PVSSに、電流IELAが流れる。その結果、電流IELAが、発光素子OLEDに流れ、発光素子OLEDは発光する。電流IELAは、例えば、第2のトランジスタT2に書き込まれた電圧RDATA(n)+閾値電圧Vth+電圧α(RDATA(n)+Vth+α)に基づく電流である。ここで、例えば、電圧αは正の値であり、電圧RDATA(n)に応じて変化する電圧値である。例えば、電圧RDATA(n)が高くなる(大きく)と、電圧αは高く(大きく)なり、電圧RDATA(n)が低くなる(小さく)と、電圧αは低く(小さく)なる。例えは、第2のトランジスタT2がゲート電極622、第1の電極624及び第2の電極626に応じて流す電流値と、発光素子OLEDが流す電流値が同一となるように、電圧αが決まる。
【0098】
自発光型表示装置10は以上説明したように駆動し、各画素180(画素回路181)に対応した画像データが各画素180(画素回路181)に供給され、画像データに応じた電流が各画素180(画素回路181)に含まれる発光素子OLEDに供給され、各発光素子OLEDは画像データに応じた輝度で発光する。その結果、自発光型表示装置10は所望の画像を表示することができる。
【0099】
例えば、本願発明と異なる従来の自発光型表示装置従来の駆動方法では、リセット期間において駆動電圧VDDELがリセット電圧として使用されている。すなわち、従来の駆動方法では、駆動電圧VDDELが、駆動電源線PVDDから画素180の第2のノードN2及びゲート電極622に供給されていた。例えば、自発光型表示装置の消費電力は、低階調の画像を表示する場合に、低減される。このとき、電源電圧VDDELは、例えば、駆動電圧VDDELより低い駆動電圧VDDELLに低減される。しかしながら、従来の駆動方法では、駆動電圧VDDELが駆動電圧VDDELLに低減されると、リセット電圧も低下するため、自発光型表示装置の輝度が低下する。
【0100】
一方、本発明の自発光型表示装置10は、第7のトランジスタT7を含む。自発光型表示装置10が第7のトランジスタT7を含むことに基づき、本発明の自発光型表示装置10は、第7のトランジスタT7を用いて、駆動電圧VDDELとは独立したリセット電圧VSHを、第2のノードN2及びゲート電極622に供給することができる。また、本発明の自発光型表示装置10は、リセット電圧VSHとは独立に、駆動電圧VDDELを駆動電源線PVDDに供給することができる。その結果、
図6に示されるように、例えば、駆動電圧VDDELより低い駆動電圧VDDELLを駆動電源線PVDDに供給しても、ゲート電極622(第2のノードN2)に供給されるリセット電圧VSHは低下しない。
【0101】
よって、本発明の自発光型表示装置10では、リセット電圧VSHの低下に伴う輝度の低下がない。自発光型表示装置10では、低階調の画像を表示する場合に、画素180(画素回路181)に電源電圧VDDELより低い電源電圧VDDELLを供給することによって、輝度の低下を伴うこと無しに消費電力を低減することができる。
【0102】
次に、
図5(B)、
図13及び
図14を参照し、画素180(画素回路181)が、一水平期間NthHPに入力されるデータ信号VDATAに含まれる電圧RDATABに基づく黒を表示する駆動方法の一例を説明する。上述のとおり、低周波駆動では、黒期間PBWR以外の駆動は、高周波駆動と同様である。よって、主に、黒期間PBWRでの画素180(画素回路181)駆動がここで説明される。
図1~
図5(A)、
図6~
図12と同一、又は類似する構成については、ここでの説明を省略する。なお、タイミングチャートの横軸は、時間(TIME)である。
【0103】
はじめに、データ信号VDATA、選択信号MUXR、選択信号MUXG、及び選択信号MUXBを説明する。各水平期間に応じて、データ信号VDATAを含む画像データ信号SL(m+1)が各画素180(画素回路181)入力される。データ信号VDATAは、例えば、黒を表示するための電圧VDLを含むアナログデータである。電圧VDMは、電圧VDHより低い電圧VDLと電圧VDHとの間の電圧である。各水平期間では、例えば、選択信号MUXRを用いて、電圧VDLが選択され、画像データ信号線に供給され、選択信号MUXGを用いて、電圧VDLが選択され、画像データ信号線に供給され、選択信号MUXBを用いて、電圧VDLが選択され、画像データ信号線に供給される。選択信号MUXGを用いてデータが選択されない期間では、データ信号VDATAは、例えば、電圧VDMに保たれる。
【0104】
当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEMでの、画素180(画素回路181)の駆動方法は、
図1~
図5(A)、
図6~
図12を参照して説明された駆動方法と同様である。よって、ここでの説明を省略する。なお、当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEM~黒期間PBWRまでの第1のノードN1、第5のトランジスタT5の第1の電極654、及び発光素子OLEDの第2の電極684の電圧は、電圧VDLと電圧VDHの間の電圧である。
【0105】
次に、当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEMと黒期間PBWRとの間の期間での画素180(画素回路181)の駆動方法を説明する。当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEMと黒期間PBWRとの間の期間は、一水平期間N-2ndHPの一部、一水平期間N-1stHPの一部及び一水平期間NthHPの一部と重なる期間である。
【0106】
走査信号GF(n-1)、走査信号GF(n)、走査信号GS(n+1)、第1発光制御信号EF(n)及び第2発光制御信号ES(n)はロー(LO)が供給されている。よって、画素回路181内の全てのトランジスタ(第1のトランジスタT1、第2のトランジスタT2、第3のトランジスタT3、第4のトランジスタT4、第5のトランジスタT5、第6のトランジスタT6及び第7のトランジスタT7)がオフ状態である。よって、駆動電源線PVDDから基準電圧線PVSSに電流は流れず、発光素子OLEDに流れる電流IDIはほぼ0であり、発光素子OLEDは非発光である(発光していない)。
【0107】
次に、
図13及び
図14を参照し、当フレームの黒期間PBWRでの画素180(画素回路181)の駆動方法を説明する。当フレームの黒期間PBWRは、一水平期間NthHPの一部及び一水平期間N+1stHPの一部と重なる期間である。
【0108】
当フレームの黒期間PBWRでは、走査信号GS(n+1)及び第1発光制御信号EF(n)はロー(LO)からハイ(HI)が供給され、第1のトランジスタT1及び第5のトランジスタT5はオン状態となっている。また、第2のトランジスタT2、第3のトランジスタT3、第4のトランジスタT4、第6のトランジスタT6及び第7のトランジスタT7がオフ状態のままである。
【0109】
第1のトランジスタT1がオン状態になることに基づき、第1のノードN1、第1のノードN1に電気的に接続された各電極、第5のトランジスタT5の第1の電極654、発光素子OLEDの第2の電極684、第6のトランジスタT6の第2の電極666、及び容量素子CSの第1の電極692には、電圧VDLを含む電圧RDATABが供給される。図示は省略されるが、第2のトランジスタT2、第3のトランジスタT3、第4のトランジスタT4、第6のトランジスタT6及び第7のトランジスタT7がオフ状態のままであるため、第2のノードN2、第2のノードN2に電気的に接続された各電極、第2のトランジスタT2のゲート電極622、及び容量素子CSの第2の電極694には、当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEMで供給されていた電圧VDLと電圧VDHとの間の電圧と同様の電圧が保持されている。
【0110】
また、第4のトランジスタT4がオフ状態のままであるため、駆動電源線PVDDから基準電圧線PVSSに電流が流れず、画像データ信号線321から基準電圧線PVSSに電流が流れる。発光素子OLEDに流れる電流IDIは、発光素子OLEDの第2の電極684の電圧と第1の電極682の電圧との電位差(電圧RDATAB-基準電圧VSSEL)に応じた電流(ほぼ0)であり、発光素子OLEDは非発光である(発光していない)。すなわち、画素180(画素回路181)は黒を表示する。
【0111】
当フレーム(KthFRAME)の発光期間PEMでの、画素180(画素回路181)の駆動方法は、当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEMでの、画素180(画素回路181)の駆動方法と同様である。よって、ここでの説明を省略する。なお、当フレーム(KthFRAME)の発光期間PEM~黒期間PBWRまでの第1のノードN1、第5のトランジスタT5の第1の電極654、及び発光素子OLEDの第2の電極684の電圧は、電圧VDLと電圧VDHの間の電圧である。
【0112】
自発光型表示装置10では、黒期間PBWRを実行することによって、フリッカを調整することができる。上述のとおり、黒期間PBWRでは、走査信号GF(n-1)、走査信号GF(n)に供給される電圧はローに固定され、走査信号GS(n+1)のみハイが供給される。自発光型表示装置10では、第1ゲートドライバ回路120(シフトレジスタ121乃至123)及び第2ゲートドライバ回路190(シフトレジスタ191乃至193)を備えることによって、走査信号GF(n-1)及び走査信号GF(n)に供給する電圧と、走査信号GS(n+1)に供給する電圧とを、それぞれ独立に制御することができる。
【0113】
<2.第2実施形態>
図15~
図26を参照し、第2実施形態に係る自発光型表示装置10Aを説明する。自発光型表示装置10Aでは、主に、一つの発光制御回路(発光制御回路130A)を用いて画素の発光を制御すること、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5が共通の発光制御信号EMによって制御されること、及び第6のトランジスタT6がpチャネル型の電界効果トランジスタであること、以外の構成は、第1実施形態で説明された自発光型表示装置10の構成と同様
である。
図15~
図27に示された自発光型表示装置10Aは一例であって、自発光型表示装置10Aは
図15~
図27に示された例に限定されない。第1実施形態で説明された自発光型表示装置10の構成と同一、又は類似する構成、及び、
図1~
図14と同一、又は類似する構成については、ここでの説明を省略する。
【0114】
<2-1.自発光型表示装置10Aの概要>
図15を用いて、自発光型表示装置10Aの概要を説明する。
図15は、第2実施形態に係る自発光型表示装置10Aの構成を示す模式的な平面図である。
【0115】
図15に示されるように、自発光型表示装置10Aは、
図1及び
図2に示されるソースドライバ回路110と同様のソースドライバ回路110を含む。また、自発光型表示装置10Aは、
図1及び
図2に示されるICチップ170をICチップ170Aに置き換えた構成を含み、
図1及び
図2に示される第1ゲートドライバ回路120及び第2ゲートドライバ回路190をゲートドライバ回路120Aにまとめた構成を含み、
図1及び
図2に示される第1発光制御回路130及び第2発光制御回路140を発光制御回路130Aにまとめた構成を含む。また、
図15又は
図16に示されるように、自発光型表示装置10Aでは、表示領域22(
図1)に配置される画素180は、画素回路182を含む。
【0116】
画像データ信号線321がソースドライバ回路110から第1の方向D1に延在し、第1の方向D1に配列された複数の画素180(画素回路182)に接続される。上記以外のソースドライバ回路110の構成は第1実施形態と同様であるから、ここでの詳細な説明は省略される。
【0117】
ICチップ170Aは、接続配線341を用いて、ソースドライバ回路110、ゲートドライバ回路120A及び発光制御回路130Aに電気的に接続される。ICチップ170Aは、ICチップ170と同様に、各画素180を駆動させる信号、電圧などを、ソースドライバ回路110、ゲートドライバ回路120A、発光制御回路130A及び画素回路182に供給する。
【0118】
第1実施形態と同様に、第2実施形態では、ソースドライバ回路110、ゲートドライバ回路120A、発光制御回路130A、及びICチップ170Aのそれぞれを単独で制御回路と呼んでよく、ソースドライバ回路110、ゲートドライバ回路120A、発光制御回路130A、及びICチップ170Aの一部又は全部を含む回路群を制御回路と呼んでもよい。
【0119】
自発光型表示装置10Aは、第1ゲートドライバ回路120及び第2ゲートドライバ回路190をゲートドライバ回路120Aにまとめた構成、及び、第1発光制御回路130及び第2発光制御回路140を発光制御回路130Aにまとめた構成を含むため、自発光型表示装置10Aを用いることで額縁領域の狭い表示装置を提供することができる。また、自発光型表示装置10Aを用いない構成より、画素回路の回路構成を簡略化し、各トランジスタのゲート電極に用いられる配線の引き回しなどの配線構造を簡略化することができる。その結果、配線の引き回しに伴う寄生容量及び抵抗を低減することができる。よって、寄生容量及び抵抗の充電に伴う電力を低減できる。したがって、自発光型表示装置10Aを用いることで、自発光型表示装置10Aを用いない構成より、表示装置の消費電力を抑制することができる。
【0120】
<2-2.ゲートドライバ回路120Aの構成>
図15を参照し、ゲートドライバ回路120Aの概要を説明する。
図15に示されるように、ゲートドライバ回路120Aは表示領域22に対して第2の方向D2(行方向)に隣接する位置に設けられる。ゲートドライバ回路120Aは、第1ゲートドライバ回路120及び第2ゲートドライバ回路190をまとめた構成及び機能を有し、走査信号線369、370、371、372及び373がゲートドライバ回路120Aから第2の方向D2に延在し、第2の方向D2に配列された複数の画素180に接続される。
【0121】
図15に示されるように、ゲートドライバ回路120Aは、複数のシフトレジスタ(例えば、シフトレジスタ121A、122A及び123A)を含む。シフトレジスタ121A、122A及び123Aは、例えば、ICチップ170から供給されるクロック信号及びスタートパルスなどの制御信号に基づき、走査信号線369、370、371、372及び373のそれぞれに、タイミングの異なる走査信号(例えば、走査信号G(n-1)、走査信号G(n)、走査信号G(n+1)など)を、順次供給し、各走査信号線に電気的に接続される画素180(画素回路182)を駆動する役割を有する。走査信号G(n)は第1の制御信号と呼ばれる場合があり、走査信号G(n+1)は第2の制御信号と呼ばれる場合があり、走査信号G(n-1)は第3の制御信号と呼ばれる場合がある。
【0122】
例えば、シフトレジスタ121Aはシフトレジスタ122Aに電気的に接続され、シフトレジスタ122Aはシフトレジスタ123Aに電気的に接続される。シフトレジスタ121Aは走査信号線369に電気的に接続されると共に、例えば、走査信号G(n-1)を走査信号線369に供給する。シフトレジスタ121Aと同様に、シフトレジスタ122Aは走査信号線370に電気的に接続されると共に、例えば、走査信号G(n)を走査信号線370に供給し、シフトレジスタ123Aは走査信号線371に電気的に接続されると共に、例えば、走査信号G(n+1)を走査信号線371に供給する。なお、図示は省略されるが、シフトレジスタ123Aに電気的に接続される次段のシフトレジスタは走査信号線372に電気的に接続され、次段のシフトレジスタに電気的に接続される次々段のシフトレジスタは走査信号線373に電気的に接続される。
【0123】
走査信号G(n)は、走査信号G(n-1)と同等のパルス幅を含み、走査信号G(n-1)がシフトした信号である。走査信号G(n+1)は、走査信号G(n)と同等のパルス幅を含み、走査信号G(n)がシフトした信号である。走査信号G(n+1)と同様に、走査信号G(n+2)は、走査信号G(n+1)と同等のパルス幅を含み、走査信号G(n+1)がシフトした信号である。また、走査信号G(n‐1)は、第1実施形態に係る第1ゲートドライバ回路120のシフトレジスタ121から供給される走査信号GF(n‐1)と同じタイミングで出力される信号であり、走査信号G(n)は、第1実施形態に係る第1ゲートドライバ回路120のシフトレジスタ122から供給される走査信号GF(n)と同じタイミングで出力される信号であり、走査信号G(n+1)は、第1実施形態に係る第2ゲートドライバ回路190のシフトレジスタ191から供給される走査信号GS(n+1)と同じタイミングで出力される信号である。
【0124】
<2-3.発光制御回路130Aの構成>
図15を参照し、発光制御回路130Aの概要を説明する。発光制御回路130Aは、複数の画素180が配置された表示領域22(
図1)に対して第2の方向D2(行方向)に隣接すると共に、表示領域22に対して第1ゲートドライバ回路120が配置される位置と反対側に設けられる。発光制御回路130Aは、第1発光制御回路130及び第2発光制御回路140をまとめた構成及び機能を有し、発光制御信号線334A、335A及び336Aが発光制御回路130Aから第2の方向D2に延在し、第2の方向D2に配列された複数の画素180(画素回路182)に接続される。
【0125】
発光制御回路130Aは、複数のシフトレジスタ(例えば、シフトレジスタ131A、132A及び133A)を含む。シフトレジスタ131、132及び133と同様に、シフトレジスタ131A、132A及び133Aは、例えば、ICチップ170Aから供給されるクロック信号及びスタートパルスなどの制御信号に基づき、発光制御信号線334A、335A及び336Aのそれぞれに、タイミングの異なる発光制御信号(例えば、発光制御信号EM(n)、発光制御信号EM(n+1)、発光制御信号EM(n+2))を、順次供給し、各発光制御信号線に電気的に接続される画素180(画素回路182)を駆動する役割を有する。
【0126】
例えば、シフトレジスタ131Aはシフトレジスタ132Aに電気的に接続され、シフトレジスタ132Aはシフトレジスタ133Aに電気的に接続される。シフトレジスタ131Aは発光制御信号線334Aに電気的に接続されると共に、例えば、発光制御信号EM(n)を発光制御信号線334Aに供給する。シフトレジスタ131Aと同様に、シフトレジスタ132Aは発光制御信号線335Aに電気的に接続されると共に、例えば、発光制御信号EM(n+1)を発光制御信号線335Aに供給し、シフトレジスタ133Aは発光制御信号線336Aに電気的に接続されると共に、例えば、発光制御信号EM(n+2)を発光制御信号線336Aに供給する。発光制御信号EM(n+1)のパルス幅は、発光制御信号EM(n)と同じで、発光制御信号EM(n+1)は、発光制御信号EM(n)をシフトした信号である。同様にして、発光制御信号EM(n+2)のパルス幅は、発光制御信号EM(n+1)と同じで、発光制御信号EM(n+2)は、発光制御信号EM(n+2)をシフトした信号である。
【0127】
<2-4.画素180の構成>
図16及び
図17を参照し、画素180の概要を説明する。
図16は、画素180に含まれる画素回路182への入力信号を示す模式図である。
図17は画素回路182の構成を示す回路図である。
図16及び
図17は、一例として、
図15に示される画素180の画素回路182の構成を示している。画素180及び画素回路182の構成は、
図16及び
図17に示される構成に限定されない。
図1~
図15と同一、又は類似する構成については、ここでの説明を省略する。
【0128】
画素回路182は、画素回路181と同様に画素180を駆動するための回路であり、画素回路181と同様の構成及び機能を有する。画素回路182の説明では、主に、画素回路181と異なる点を説明する。
【0129】
図16に示されるように、画素回路182には、発光制御信号EF(n)及び発光制御信号ES(n)に替わって、発光制御信号EMが供給される。例えば、発光制御信号EMが発光制御信号線334Aに供給される。
【0130】
図17に示されるように、画素回路182は、画素回路181と同様に、第1のトランジスタT1、第2のトランジスタT2、第3のトランジスタT3、第4のトランジスタT4、第5のトランジスタT5、第6のトランジスタT6、第7のトランジスタT7、容量素子CS及び発光素子OLEDを含む。上述のとおり、第6のトランジスタT6はpチャネル型の電界効果トランジスタである。
【0131】
第4のトランジスタT4のゲート電極642、第5のトランジスタT5のゲート電極652及び第6のトランジスタT6のゲート電極662は、発光制御信号線334Aに電気的に接続される。発光制御信号線334Aには、発光制御信号EM(n)が供給される。第4のトランジスタT4、第5のトランジスタT5及び第6のトランジスタT6は、発光制御信号EM(n)によって、導通状態、非導通状態が制御される。発光制御信号EM(n)に供給される信号がロー(LO)のとき、第4のトランジスタT4、第5のトランジスタT5及び第6のトランジスタT6は、非導通状態となる。発光制御信号EM(n)に供給される信号がハイ(HI)のとき、第4のトランジスタT4、第5のトランジスタT5及び第6のトランジスタT6は、導通状態となる。
【0132】
図17に示される各トランジスタは、第1実施形態と同様に、チャネル領域にシリコンやゲルマニウムなどの14族元素、或いは半導体特性を示す酸化物を有することができる。例えば、各トランジスタのチャネル領域は、低温ポリシリコン(LTPS)を有する。自発光型表示装置10Aでは、各トランジスタは薄膜トランジスタ(TFT)を用いて形成され、第6のトランジスタT6を除く各トランジスタはnチャネル型の電界効果トランジスタを有する。自発光型表示装置10Aは、自発光型表示装置10と同様に、用途や仕様に応じて、適宜、トランジスタの構成、保持容量の接続、電源電圧などを適合させるとよい。
【0133】
<2-5.自発光型表示装置10Aの駆動方法>
図18~
図26を参照し、自発光型表示装置10Aの駆動方法を説明する。
図18及び
図25は自発光型表示装置10Aのタイミングチャートを示す模式図である。
図19~
図24は、
図18に示されるタイミングにおける画素180(画素回路182)の動作状態を示す模式図である。
図26は
図25に示されるタイミングにおける画素180(画素回路182)の動作状態を示す模式図である。
図1~
図17と同一、又は類似する構成については、ここでの説明を省略する。なお、自発光型表示装置10Aの駆動方法は、自発光型表示装置10の駆動方法と同様に、
図5(A)及び
図5(B)のタイミングチャートに基づき実行される。タイミングチャートの横軸は、時間(TIME)である。
【0134】
図18~
図24を参照し、画素180(画素回路182)が、一水平期間NthHPに入力されるデータ信号VDATAに含まれる電圧RDATA(n)に基づく画像を表示する駆動方法の一例を説明する。なお、第1実施形態と同様に、第2実施形態に係る駆動方法の説明では、一例として、駆動電圧VDDEL又は駆動電圧VDDELLが駆動電源線PVDDに供給され、基準電圧VSSELが基準電圧線PVSSに供給される。
【0135】
データ信号VDATA、選択信号MUXR、選択信号MUXG、及び選択信号MUXBに関連する駆動方法は、第1実施形態と同様であるから、ここでの説明は省略される。
【0136】
次に、
図18及び
図19を参照し、当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEMでの、画素180(画素回路182)の駆動方法を説明する。当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEMは、画素180(画素回路182)が、電圧RDATA(n-1)に応じて発光する期間である。
【0137】
第2のトランジスタT2のゲート電極622は、電圧RDATA(n-1)が供給されている。走査信号G(n-1)、走査信号G(n)及び走査信号G(n+1)は、ロー(LO)が供給され、第1のトランジスタT1、第3のトランジスタT3及び第7のトランジスタT7がオフ状態となっている。また、第4のトランジスタT4、第5のトランジスタT5及び第6のトランジスタT6は発光制御信号EM(n)からハイ(HI)が供給され、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5はオン状態となり、第6のトランジスタT6はオフ状態となっている。
【0138】
第2のトランジスタT2は、電圧RDATA(n-1)に基づき、オン状態となっている。その結果、第2のトランジスタT2は、電圧RDATA(n-1)に応じたゲート・ソース間電圧Vgs及びソース・ドレイン間電圧Vdsに基づく電流IELAを流すことができる。
【0139】
第4のトランジスタT4、第2のトランジスタT2及び第5のトランジスタT5がオン状態であり、駆動電源線PVDDから基準電圧線PVSSに、電流IELAが流れる。その結果、電流IELAが、発光素子OLEDに流れ、発光素子OLEDは発光する。
【0140】
次に、
図18を参照し、当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEMと当フレームのリセット期間PRSの間の期間での画素180(画素回路182)の駆動方法を説明する。当該期間では、発光制御信号EM(n)はハイ(HI)からロー(LO)が供給され、第5のトランジスタT5及び第4のトランジスタT4はオフ状態となり、第6のトランジスタT6はオン状態となっている。また、走査信号G(n-1)は、ロー(LO)からハイ(HI)が供給され、第7のトランジスタT7がオン状態となっている。第1のトランジスタT1、及び第3のトランジスタT3はオフ状態のままである。
【0141】
第6のトランジスタT6がオン状態になることに基づき、容量素子CSの第1の電極692、第1の電極692に電気的に接続された各電極、及び発光素子OLEDの第2の電極684に初期化電圧VINIが供給される。その結果、容量素子CSの第1の電極692、第1の電極692に電気的に接続された各電極、及び発光素子OLEDの第2の電極684が初期化される。また、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5がオフ状態であり、駆動電源線PVDDから基準電圧線PVSSに電流は流れず、初期化電圧線VMから基準電圧線PVSSに電流IINIが流れる。発光素子OLEDに流れる電流IINIは、発光素子OLEDの第2の電極684の電圧と第1の電極682の電圧との電位差(電圧RDATAB-基準電圧VSSEL)に応じた電流(ほぼ0)であり、発光素子OLEDは非発光である(発光していない)。
【0142】
次に、
図18及び
図20を参照し、当フレームのリセット期間PRSでの画素180(画素回路182)の駆動方法を説明する。
【0143】
リセット期間PRSでは、走査信号G(n)はロー(LO)からハイ(HI)が供給され、第3のトランジスタT3はオン状態となっている。また、第6のトランジスタT6及び第7のトランジスタT7がオン状態のままであり、第1のトランジスタT1、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5がオフ状態のままである。
【0144】
第7のトランジスタT7及び第3のトランジスタT3がオン状態になることに基づき、第1のノードN1、第2のノードN2、第1のノードN1に電気的に接続された各電極、第2のノードN2に電気的に接続された各電極、第2のトランジスタT2のゲート電極622、及び容量素子CSの第2の電極694にリセット電圧VSHが供給される。その結果、第1のノードN1、第2のノードN2、第1のノードN1に電気的に接続された各電極、第2のノードN2に電気的に接続された各電極、第2のトランジスタT2のゲート電極622、及び容量素子CSの第2の電極694がリセットされる。また、第6のトランジスタT6がオン状態のままであるため、容量素子CSの第1の電極692、第1の電極692に電気的に接続された各電極、及び発光素子OLEDの第2の電極684は初期化電圧VINIに保たれる。また、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5がオフ状態のままであるため、駆動電源線PVDDから基準電圧線PVSSに電流は流れず、初期化電圧線VMから基準電圧線PVSSに電流IINIが流れる。発光素子OLEDに流れる電流IINIは、上述のとおり、ほぼ0であり、発光素子OLEDは非発光である(発光していない)。
【0145】
詳細な図示は省略されるが、
図20に示される第2のトランジスタT2はオン状態であるが、第2のトランジスタT2のゲート電極622と第1の電極624との電位差(ゲート電極622と第1のノードN1との電位差)が、第2のトランジスタT2の閾値電圧Vthと同じになると、第2のトランジスタT2はオフ状態となる。
【0146】
次に、
図18及び
図21を参照し、当フレームのリセット期間PRSとサンプリング期間PWRとの間の期間での画素180(画素回路182)の駆動方法を説明する。当フレームのリセット期間PRSとサンプリング期間PWRとの間の期間での画素180(画素回路182)の駆動方法では、発光制御信号EM(n)が供給されていること、第6のトランジスタT6がpチャネル型の電界効果トランジスタであること以外の構成、各信号、各トランジスタの状態などは、第1実施形態における当フレームのリセット期間PRSとサンプリング期間PWRとの間の期間での画素180(画素回路181)の駆動方法(
図6及び
図9参照)と同様である。よって、当フレームのリセット期間PRSとサンプリング期間PWRとの間の期間での画素180(画素回路182)の駆動方法のここでの詳細な説明は省略される。なお、当フレームのリセット期間PRSとサンプリング期間PWRとの間の期間においても、上述のとおり、初期化電圧線VMから基準電圧線PVSSに電流IINIが流れる。発光素子OLEDに流れる電流IINIは、ほぼ0であり、発光素子OLEDは非発光である(発光していない)。
【0147】
次に、
図18及び
図22を参照し、当フレームのサンプリング期間PWRでの画素180(画素回路182)の駆動方法を説明する。当フレームのサンプリング期間PWRでの画素180(画素回路182)の駆動方法では、発光制御信号EM(n)が供給されていること、第6のトランジスタT6がpチャネル型の電界効果トランジスタであること以外の構成、各信号、各トランジスタの状態などは、第1実施形態における当フレームのサンプリング期間PWRでの画素180(画素回路181)の駆動方法(
図6及び
図10参照)と同様である。よって、当フレームのサンプリング期間PWRでの画素180(画素回路182)の駆動方法のここでの詳細な説明は省略される。なお、当フレームのリセット期間PRSとサンプリング期間PWRとの間の期間と同様に、当フレームのサンプリング期間PWRにおいても、初期化電圧線VMから基準電圧線PVSSに電流IINIが流れる。発光素子OLEDに流れる電流IINIは、ほぼ0であり、発光素子OLEDは非発光である(発光していない)。
【0148】
次に、
図18及び
図23を参照し、当フレームのサンプリング期間PWRの後での画素180(画素回路182)の駆動方法を説明する。
【0149】
当フレームのサンプリング期間PWRの後の期間では、走査信号G(n)はハイ(HI)からロー(LO)が供給され、第3のトランジスタT3はオフ状態となっている。また、第1のトランジスタT1及び第6のトランジスタT6がオン状態のままであり、第2のトランジスタT2、第4のトランジスタT4、第5のトランジスタT5及び第7のトランジスタT7がオフ状態のままである。走査信号G(n+1)にハイ(HI)が供給され、第1のトランジスタT1がオン状態である。よって、第1のトランジスタT1の第1の電極614の電圧と第2の電極616の電圧とは、電圧RDATA(n)である。すなわち、第1のトランジスタT1の第1の電極614の電圧と第2の電極616の電圧とは、同じである。よって、第1のトランジスタT1には、電流が流れない。
【0150】
第1のトランジスタT1がオン状態であり、第2のトランジスタT2、第3のトランジスタT3及び第7のトランジスタT7がオフ状態であるため、第1のノードN1及び第1のノードN1に電気的に接続された各電極には、電圧RDATA(n)が供給される。電圧RDATA(n)が第1のノードN1に供給されると、第2のトランジスタT2のゲート・ソース間の電圧も変化し、第2のトランジスタT2がオン状態となる。その結果、第2のノードN2、第2のノードN2に電気的に接続された各電極、第2のトランジスタT2のゲート電極622、及び容量素子CSの第2の電極694の電圧は、電圧VSHから降下し、電圧RDATA(n)+閾値電圧Vth(RDATA(n)+Vth)になる。こうして、第2のトランジスタT2のゲート電極622と第1の電極624の間の電位差が、第2のトランジスタT2の閾値電圧Vthと同じになり、第2のノードN2等の電圧の降下が終了するとともに、第2のトランジスタT2がオフ状態となる。また、第6のトランジスタT6がオン状態であるため、容量素子CSの第1の電極692、第1の電極692に電気的に接続された各電極、及び発光素子OLEDの第2の電極684には、初期化電圧VINIが供給されている。当フレームのサンプリング期間PWRと同様に、当フレームのサンプリング期間PWRの後の期間においても、初期化電圧線VMから基準電圧線PVSSに電流IINIが流れる。発光素子OLEDに流れる電流IINIは、ほぼ0であり、発光素子OLEDは非発光である(発光していない)。
【0151】
図18に示されるように、走査信号G(n)はハイ(HI)からロー(LO)が供給され、第3のトランジスタT3はオフ状態となったのち、走査信号G(n+1)はハイ(HI)からロー(LO)が供給され、第1のトランジスタT1はオフ状態となる。
【0152】
このとき、第1のトランジスタT1はオフ状態であるため、第1のノードN1及び第1のノードN1に電気的に接続された各電極の電圧には、電圧RDATA(n)が保持されている。また、第2のトランジスタT1、第3のトランジスタT3及び第7のトランジスタT7がオフ状態であるため、第2のノードN2、第2のノードN2に電気的に接続された各電極、第2のトランジスタT2のゲート電極622、及び容量素子CSの第2の電極694には、電圧RDATA(n)+閾値電圧Vth(RDATA(n)+Vth)が保持されている。また、第6のトランジスタT6がオン状態であるため、容量素子CSの第1の電極692、第1の電極692に電気的に接続された各電極、及び発光素子OLEDの第2の電極684には、初期化電圧VINIが供給されている。よって、当フレームのサンプリング期間PWRの後の期間に続けて、初期化電圧線VMから基準電圧線PVSSに電流IINIが流れる。発光素子OLEDに流れる電流IINIは、ほぼ0であり、発光素子OLEDは非発光である(発光していない)。
【0153】
次に、
図18及び
図24を参照し、当フレームの発光期間PEMでの、画素180(画素回路182)の駆動方法を説明する。
【0154】
図18及び
図24に示されるように、走査信号G(n-1)、走査信号G(n)及び走査信号G(n+1)は、ロー(LO)が供給され、第1のトランジスタT1、第2のトランジスタT2、第3のトランジスタT3、第6のトランジスタT6及び第7のトランジスタT7がオフ状態となっている。また、第4のトランジスタT4、第5のトランジスタT5及び第6のトランジスタT6は発光制御信号EM(n)からハイ(HI)が供給され、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5はオン状態となり、第6のトランジスタT6はオフ状態となっている。
【0155】
図11で説明した内容と同様に、第5のトランジスタT5の第2の電極656が保持する電圧はRDATA(n)であり、第5のトランジスタT5の第1の電極654が保持する電圧は初期化電圧VINIである。第5のトランジスタT5の第2の電極656の電圧及び第1の電極654の電圧が、電圧RDATA(n)(RDATA(n))及び初期化電圧VINI(VINI)である状態から、第5のトランジスタT5がオン状態になると、
図11で説明した内容と同様に、第5のトランジスタT5の第2の電極656から第1の電極654に電流が流れ、電荷の再分配が起こり、第2の電極656の電圧及び第1の電極654の電圧が初期化電圧VINI(VINI)になる。その他の動作も
図11で説明した内容と同様である。
【0156】
図18及び
図24に示されるように、第1実施形態の
図6、
図11及び
図12を参照して説明した当フレームの発光期間PEMでの画素180(画素回路181)の駆動方法と同様の駆動方法が、第2実施形態の駆動方法において実行される。よって、第2実施形態に係る当フレームの発光期間PEMでの画素180(画素回路182)の駆動方法の詳細な説明は省略される。
【0157】
簡単に説明すると、第1実施形態の当フレームの発光期間PEMでの画素180(画素回路181)の駆動方法と同様に、第2実施形態に係る当フレームの発光期間PEMにおいても、第2のトランジスタT2のゲート電極622と第1の電極624との間のゲート・ソース間電圧が第2のトランジスタT2の閾値電圧Vthより高くなるため、第2のトランジスタT2はオン状態となる。第4のトランジスタT4、第2のトランジスタT2及び第5のトランジスタT5がオン状態であり、駆動電源線PVDDから基準電圧線PVSSに、電流IELAが流れる。その結果、電流IELAが、発光素子OLEDに流れ、発光素子OLEDは発光する。
【0158】
以上説明したように、第2実施形態に係る自発光型表示装置10Aでは、第6のトランジスタT6がpチャネル型の電界効果トランジスタであることに基づき、第4のトランジスタT4、第5のトランジスタT5及び第6のトランジスタT6を共通の一つの発光制御信号EMに基づき、同一のタイミングで制御することができる。すなわち、一つの発光制御回路(発光制御回路130A)を用いて画素回路182を制御し、画素180の発光を制御することができる。また、一つの発光制御回路(発光制御回路130A)と同様に、第4のトランジスタT4、第5のトランジスタT5及び第6のトランジスタT6を、共通の一つのゲートドライバ回路によって出力されるシフトパルスを用いて制御することができる。よって、自発光型表示装置10Aは、第6のトランジスタT6がpチャネル型のトランジスタでない自発光型表示装置と比較して、回路構成を簡略化できるため、自発光型表示装置10Aの製造コストを低減できる。
【0159】
次に、
図25及び
図26を参照し、画素180(画素回路182)が、初期化電圧線VMから供給される電圧RDATABに基づく黒を表示する駆動方法の一例を説明する。第1実施形態と同様に、低周波駆動では、黒期間PBWR以外の駆動は、高周波駆動と同様である。よって、主に、黒期間PBWRでの画素180(画素回路182)駆動がここで説明される。
図1~
図24と同一、又は類似する構成については、ここでの説明を省略する。なお、タイミングチャートの横軸は、時間(TIME)である。
【0160】
はじめに、データ信号VDATA、選択信号MUXR、選択信号MUXG、及び選択信号MUXBは、第1実施形態の
図6を参照した説明と同様であるから、ここでの説明は省略される。
【0161】
当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEMでの、画素180(画素回路182)の駆動方法は、第1実施形態の
図1~
図5(A)、
図18~
図24を参照して説明された駆動方法と同様である。よって、ここでの説明を省略する。なお、当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEMの第1のノードN1、第5のトランジスタT5の第1の電極654、及び発光素子OLEDの第2の電極684の電圧は、電圧VDLと電圧VDHの間の電圧である。
【0162】
次に、当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEMに続き実行される黒期間PBWRでの画素180(画素回路182)の駆動方法を説明する。当フレームの黒期間PBWRは、一水平期間N-2ndHPの一部、一水平期間N-1stHP、一水平期間NthHP、一水平期間N+1stHP、及び一水平期間N+2ndHPの一部と重なる期間である。
【0163】
走査信号G(n-1)、走査信号G(n)、走査信号G(n+1)及び発光制御信号EM(n)はロー(LO)が供給されている。第1のトランジスタT1、第2のトランジスタT2、第3のトランジスタT3、第4のトランジスタT4、第5のトランジスタT5及び第7のトランジスタT7がオフ状態であり、第6のトランジスタT6がオン状態である。
【0164】
第6のトランジスタT6がオン状態であるため、容量素子CSの第1の電極692、第1の電極692に電気的に接続された各電極、及び発光素子OLEDの第2の電極684には、電圧RDATABが供給されている。よって、初期化電圧線VMから基準電圧線PVSSに電流IRBが流れる。発光素子OLEDに流れる電流IRBは、電圧RDATABに基づく黒を表示するための電流であり、発光素子OLEDはほぼ発光しない(発光していない)。よって、画素180は黒を表示する。
【0165】
当フレーム(KthFRAME)の発光期間PEMでの、画素180(画素回路182)の駆動方法は、当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEMでの、画素180(画素回路182)の駆動方法と同様である。よって、ここでの説明を省略する。なお、当フレーム(KthFRAME)の発光期間PEMの第1のノードN1、第5のトランジスタT5の第1の電極654、及び発光素子OLEDの第2の電極684の電圧は、電圧VDLと電圧VDHの間の電圧である。
【0166】
自発光型表示装置10Aの黒期間PBWRでは、電圧RDATABが初期化電圧線VMから発光素子OLEDの第2の電極684に供給されることによって、自発光型表示装置10Aは黒を表示することができる。その結果、自発光型表示装置10Aは、フリッカを調整することができる。
【0167】
また、自発光型表示装置10Aの黒期間PBWRでは、画像データ信号線321から第1のトランジスタT1を介して第1のノードN1に、黒を表示するためのデータを供給する必要がないため、発光制御信号EMを用いて第1のノードN1に電気的に接続された第5のトランジスタT5を駆動する必要が無い。よって、自発光型表示装置10Aの黒期間PBWRでは、発光制御回路130Aを駆動する必要が無いため、自発光型表示装置10Aの駆動方法を簡素化することが可能であると共に、自発光型表示装置10Aの消費電力を低減することができる。
【0168】
<3.第3実施形態>
図27~
図29を参照し、第3実施形態に係る画素回路183を説明する。画素回路183では、第4のトランジスタT4、第5のトランジスタT5及び第6のトランジスタT6のトランジスタの極性が、画素回路182と逆になっている。具体的には、画素回路182では、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5がnチャネル型の電界効果トランジスタであり、第6のトランジスタT6のトランジスタがpチャネル型の電界効果トランジスタであるのに対し、画素回路183では、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5がpチャネル型の電界効果トランジスタであり、第6のトランジスタT6のトランジスタがnチャネル型の電界効果トランジスタである。トランジスタの極性以外の構成は、自発光型表示装置10A及び画素回路182と同様である。
図27~
図29に示された画素回路183は一例であって、画素回路183は
図27~
図29に示された例に限定されない。第1実施形態及び第2実施形態で説明された自発光型表示装置10、10Aの構成と同一、又は類似する構成、及び、
図1~
図26と同一、又は類似する構成については、ここでの説明を省略する。
【0169】
図27を参照し、画素回路183の概要を説明する。
図27は画素回路183の構成を示す回路図である。
【0170】
画素回路183は、画素回路181及び画素回路182と同様に画素180を駆動するための回路である。上述のとおり、画素回路183は、画素回路182と比べて、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5がpチャネル型の電界効果トランジスタであり、第6のトランジスタT6のトランジスタがnチャネル型の電界効果トランジスタである点が異なる。
【0171】
図27~
図29を参照し、画素180(画素回路183)の駆動方法を説明する。
図28は自発光型表示装置10A(画素180(画素回路183))の駆動方法のリセット期間PRS、サンプリング期間PWR及び発光期間PEMを説明するための図である。
図29は自発光型表示装置10A(画素180(画素回路183))の駆動方法の黒期間PBWRを説明するための図である。
【0172】
第3実施形態に係る画素回路183では、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5がpチャネル型の電界効果トランジスタであり、第6のトランジスタT6のトランジスタがnチャネル型の電界効果トランジスタであるため、第2実施形態に係る画素回路182に対して、発光制御信号EM(n)が反転している。
【0173】
図28及び
図29に示されるように、当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEM、及び当フレーム(KthFRAME)の発光期間PEMでの画素180(画素回路183)の駆動方法では、発光制御信号EM(n)はロー(LO)が供給されている。よって、
図27に示される第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5はオン状態となり、
図27に示される第6のトランジスタT6はオフ状態となる。
【0174】
図28及び
図29に示されるように、当フレームの一つ前のフレーム(K-1stFRAME)の発光期間PEMと、当フレーム(KthFRAME)の発光期間PEMとの間の期間での画素180(画素回路183)の駆動方法では、発光制御信号EM(n)はハイ(HI又はHIL)が供給されている。よって、
図27に示される第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5はオフ状態となり、
図27に示される第6のトランジスタT6はオン状態となっている。
【0175】
第3実施形態に係る自発光型表示装置10A(画素180(画素回路183))の駆動方法では、発光制御信号EM(n)以外の構成、各信号、各トランジスタの状態などは、第2実施形態の
図15~
図26を参照して説明された自発光型表示装置10Aの構成、機能及び駆動方法と同様である。よって、ここでの説明を省略する。
【0176】
例えば、当フレーム(KthFRAME)の発光期間PEMでは、第5のトランジスタT5がpチャネル型の電界効果トランジスタであることによって、発光制御信号EM(n)にハイ(HI)からロー(LO)が供給される。画素回路183では、発光制御信号EM(n)にハイ(HI)からロー(LO)が供給されるため、発光制御信号EM(n)にロー(LO)からハイ(HI)が供給される場合より、発光制御信号線334Aと発光素子OLEDの第2の電極684(アノード電極)とのカップリングに伴う、アノード電極の電圧の上昇を抑制することができる。アノード電極の電圧が上昇すると、画素180が黒を表示する場合より大きな電流が発光素子OLEDに流れるため、画素180が黒を表示し難くなる。一方、第3実施形態に係る自発光型表示装置10A(画素180(画素回路183))は、アノード電極の電圧の上昇を抑制することができるため、黒を表示する際のマージンを大きくすることができる。
【0177】
また、第3実施形態に係る自発光型表示装置10A(画素180(画素回路183))の駆動方法では、第4のトランジスタT4がpチャネル型の電界効果トランジスタであることによって、発光制御信号EM(n)の高電圧を、ハイ(HI)から、ハイ(HI)より低いハイ(HIL)に低減することができる。その結果、第4のトランジスタT4のゲート電極642に供給される電圧を低減できるため、自発光型表示装置10Aの消費電力を低減することができる。
【0178】
<4.第4実施形態>
図30~
図43を参照し、第4実施形態に係る自発光型表示装置で使用される半導体装置40の製造方法の一例、電気特性及び画素回路を説明する。
図30及び
図31は、本発明の一実施形態に係る自発光型表示装置で用いられる半導体装置40の概要を示す断面図及び平面図である。
図32は、半導体装置40の製造方法を示すシーケンス図である。
図33~
図41は、半導体装置40の製造方法を示す断面図である。
図42は、半導体装置40の電気特性の一例及び比較例の半導体装置の電気特性の一例を示すグラフである。
図43は、半導体装置40を用いた画素回路の構成を示す模式図である。
図1~
図29と同一、又は類似する構成などについては、ここでの説明を省略する。
【0179】
第4実施形態の説明では、基板から酸化物半導体層に向かう方向を上又は上方と呼び、酸化物半導体層から基板に向かう方向を下又は下方と呼ぶ。また、第4実施形態の説明では、例えば、基板及び酸化物半導体層の配置が、上下逆になるように配置されてもよい。基板上の酸化物半導体層という表現は、基板及び酸化物半導体層の配置の上下関係を説明しているに過ぎず、基板と酸化物半導体層との間に他の部材が配置されてもよい。上方又は下方という表現は、複数の層が積層された構造における積層順を意味する。例えば、トランジスタの上方の画素電極と表現する場合、平面視において、トランジスタ及び画素電極の位置関係が重ならない位置関係であってよい。一方、トランジスタの鉛直上方の画素電極と表現する場合は、平面視において、トランジスタ及び画素電極の位置関係が重なる位置関係を意味する。
【0180】
<4-1.半導体装置40の構成>
図30に示されるように、半導体装置40は基板400の上方に設けられている。半導体装置40は、ゲート電極405、ゲート絶縁層410、420、金属酸化物層430、酸化物半導体層440、ゲート絶縁層450、ゲート電極460、絶縁層470、480、ソース電極201、及びドレイン電極203を含む。ソース電極201及びドレイン電極203を特に区別しない場合、これらを併せてソース・ドレイン電極200と呼ぶ場合がある。
【0181】
ゲート電極405は基板400の上に設けられている。ゲート絶縁層410及びゲート絶縁層420は基板400及びゲート電極405の上に設けられている。金属酸化物層430はゲート絶縁層420の上に設けられている。金属酸化物層430はゲート絶縁層420に接している。酸化物半導体層440は金属酸化物層430の上に設けられている。酸化物半導体層440は金属酸化物層430に接している。酸化物半導体層440の主面のうち、金属酸化物層430に接する面を下面442と呼ぶ。金属酸化物層430の端部と酸化物半導体層440の端部は略一致している。
【0182】
第4実施形態では、金属酸化物層430と基板400との間に、半導体層又は酸化物半導体層は設けられていない。
【0183】
第4実施形態では、金属酸化物層430がゲート絶縁層420に接し、酸化物半導体層440が金属酸化物層430に接している構成が例示されているが、この構成に限定されない。ゲート絶縁層420と金属酸化物層430との間に他の層が設けられていてもよい。金属酸化物層430と酸化物半導体層440との間に他の層が設けられていてもよい。
【0184】
図30では、金属酸化物層430の側壁と酸化物半導体層440の側壁とが直線上に並んでいるが、この構成に限定されない。基板400の主面に対する金属酸化物層430の側壁の角度が酸化物半導体層440の側壁の角度と異なっていてもよい。金属酸化物層430及び酸化物半導体層440の少なくともいずれか一方の側壁の断面形状が湾曲していてもよい。
【0185】
ゲート電極460は酸化物半導体層440に対向している。ゲート絶縁層450は、酸化物半導体層440とゲート電極460との間に設けられている。ゲート絶縁層450は酸化物半導体層440に接している。酸化物半導体層440の主面のうち、ゲート絶縁層450に接する面を上面441と呼ぶ。上面441と下面442との間の面を側面443と呼ぶ。絶縁層470、480はゲート絶縁層450及びゲート電極460の上に設けられている。絶縁層470、480には、酸化物半導体層440に達する開口471、473が設けられている。ソース電極201は開口471の内部に設けられている。ソース電極201は開口471の底部で酸化物半導体層440に接している。ドレイン電極203は開口473の内部に設けられている。ドレイン電極203は開口473の底部で酸化物半導体層440に接している。
【0186】
ゲート電極405は、半導体装置40のボトムゲートとしての機能及び酸化物半導体層440に対する遮光膜としての機能を備える。ゲート絶縁層410は、基板400から酸化物半導体層440に向かって拡散する不純物を遮蔽するバリア膜としての機能を備える。ゲート絶縁層410、420は、ボトムゲートに対するゲート絶縁層としての機能を備える。金属酸化物層430は、アルミニウムを主成分とする酸化金属を含む層であり、酸素や水素などのガスを遮蔽するガスバリア膜としての機能を備える。
【0187】
酸化物半導体層440は、ソース領域S、ドレイン領域D、及びチャネル領域CHに区分される。チャネル領域CHは、酸化物半導体層440のうちゲート電極460の鉛直下方の領域である。ソース領域Sは、酸化物半導体層440のうちゲート電極460と重ならない領域であって、チャネル領域CHよりもソース電極201に近い側の領域である。ドレイン領域Dは、酸化物半導体層440のうちゲート電極460と重ならない領域であって、チャネル領域CHよりもドレイン電極203に近い側の領域である。チャネル領域CHにおける酸化物半導体層440は、半導体としての物性を備えている。ソース領域S及びドレイン領域Dにおける酸化物半導体層440は、導電体としての物性を備えている。
【0188】
ゲート電極460は半導体装置40のトップゲート及び酸化物半導体層440に対する遮光膜としての機能を備える。ゲート絶縁層450はトップゲートに対するゲート絶縁層としての機能を備え、製造プロセスにおける熱処理によって酸素を放出する機能を備える。絶縁層470、480はゲート電極460とソース・ドレイン電極200とを絶縁し、両者間の寄生容量を低減する機能を備える。半導体装置40の動作は、主にゲート電極460に供給される電圧によって制御される。ゲート電極405には補助的な電圧が供給される。ただし、ゲート電極405を単に遮光膜として用いる場合、ゲート電極405に特定の電圧が供給されず、フローティングであってもよい。すなわち、ゲート電極405は単に「遮光膜」と呼ばれてもよい。
【0189】
第4実施形態では、半導体装置40として、ゲート電極が酸化物半導体層の上方及び下方の両方に設けられたデュアルゲート型トランジスタが用いられた構成を例示するが、この構成に限定されない。例えば、半導体装置40として、ゲート電極が酸化物半導体層の下方のみに設けられたボトムゲート型トランジスタ、又はゲート電極が酸化物半導体層の上方のみに設けられたトップゲート型トランジスタが用いられてもよい。上記の構成はあくまで一実施形態に過ぎず、本発明は上記の構成に限定されない。
【0190】
図31に示されるように、平面視において、金属酸化物層430の平面パターンは、酸化物半導体層440の平面パターンと略同一である。
図30及び
図31を参照すると、酸化物半導体層440の下面442は金属酸化物層430によって覆われている。特に、第4実施形態では、酸化物半導体層440の下面442の全てが、金属酸化物層430によって覆われている。D1方向において、ゲート電極405の幅はゲート電極460の幅より大きい。D1方向は、ソース電極201とドレイン電極203とを結ぶ方向であり、半導体装置40のチャネル長Lを示す方向である。具体的には、酸化物半導体層440とゲート電極460とが重なる領域(チャネル領域CH)のD1方向の長さがチャネル長Lであり、当該チャネル領域CHのD2方向の幅がチャネル幅Wである。
【0191】
第4実施形態では、酸化物半導体層440の下面442の全てが金属酸化物層430によって覆われた構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、酸化物半導体層440の下面442の一部が金属酸化物層430と接していなくてもよい。例えば、チャネル領域CHにおける酸化物半導体層440の下面442の全てが金属酸化物層430によって覆われ、ソース領域S及びドレイン領域Dにおける酸化物半導体層440の下面442の全て又は一部が金属酸化物層430によって覆われていなくてもよい。すなわち、ソース領域S及びドレイン領域Dにおける酸化物半導体層440の下面442の全て又は一部が金属酸化物層430と接していなくてもよい。ただし、上記の構成では、チャネル領域CHにおける酸化物半導体層440の下面442の一部が金属酸化物層430によって覆われておらず、当該下面442のその他の部分が金属酸化物層430と接していてもよい。
【0192】
第4実施形態では、ゲート絶縁層450が全面に形成され、ゲート絶縁層450に開口471、473が設けられた構成を例示したが、この構成に限定されない。ゲート絶縁層450が、開口471、473が設けられた形状とは異なる形状にパターニングされていてもよい。例えば、ソース領域S及びドレイン領域Dの全部又は一部の酸化物半導体層440を露出するようにゲート絶縁層450がパターニングされていてもよい。すなわち、ソース領域S及びドレイン領域Dのゲート絶縁層450が除去され、これらの領域で酸化物半導体層440と絶縁層470とが接していてもよい。
【0193】
図31では、平面視において、ソース・ドレイン電極200がゲート電極405及びゲート電極460と重ならない構成が例示されているが、この構成に限定されない。例えば、平面視において、ソース・ドレイン電極200がゲート電極405及びゲート電極460の少なくともいずれか一方と重なっていてもよい。上記の構成はあくまで一実施形態に過ぎず、本発明は上記の構成に限定されない。
【0194】
<4-2.半導体装置40の各部材の材質>
基板400として、ガラス基板、石英基板、及びサファイア基板など、透光性を有する剛性基板が用いられる。基板400が可撓性を備える必要がある場合、基板400として、ポリイミド基板、アクリル基板、シロキサン基板、フッ素樹脂基板など、樹脂を含む基板が用いられる。基板400として樹脂を含む基板が用いられる場合、基板400の耐熱性を向上させるために、上記の樹脂に不純物が導入されてもよい。特に、半導体装置40がトップエミッション型の自発光型表示装置に用いられる場合、基板400が透明である必要はないため、基板400の透明度を悪化させる不純物が用いられてもよい。
【0195】
ゲート電極405、ゲート電極460、及びソース・ドレイン電極200として、一般的な金属材料が用いられる。例えば、これらの部材として、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、銅(Cu)、及びこれらの合金又は化合物が用いられる。ゲート電極405、ゲート電極460、及びソース・ドレイン電極200として、上記の材料が単層で用いられてよく、積層で用いられてもよい。
【0196】
ゲート絶縁層410、420及び絶縁層470、480として、一般的な絶縁性材料が用いられる。例えば、これらの絶縁層として、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化シリコン(SiNx)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化窒化アルミニウム(AlOxNy)、窒化酸化アルミニウム(AlNxOy)、窒化アルミニウム(AlNx)などの無機絶縁層が用いられる。
【0197】
ゲート絶縁層450として、上記の絶縁層のうち酸素を含む絶縁層が用いられる。例えば、ゲート絶縁層450として、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化窒化アルミニウム(AlOxNy)などの無機絶縁層が用いられる。
【0198】
ゲート絶縁層420として、熱処理によって酸素を放出する機能を備える絶縁層が用いられる。ゲート絶縁層420が酸素を放出する熱処理の温度は、例えば、600℃以下、500℃以下、450℃以下、又は400℃以下である。すなわち、ゲート絶縁層420は、例えば、基板400としてガラス基板が用いられた場合の半導体装置40の製造工程で行われる熱処理温度で酸素を放出する。
【0199】
ゲート絶縁層450として、欠陥が少ない絶縁層が用いられる。例えば、ゲート絶縁層450における酸素の組成比と、ゲート絶縁層450と同様の組成の絶縁層(以下、「他の絶縁層」という)における酸素の組成比と、を比較した場合、ゲート絶縁層450における酸素の組成比の方が当該他の絶縁層における酸素の組成比よりも当該絶縁層に対する化学量論比に近い。具体的には、ゲート絶縁層450及び絶縁層480の各々に酸化シリコン(SiOx)が用いられる場合、ゲート絶縁層450として用いられる酸化シリコンにおける酸素の組成比は、絶縁層480として用いられる酸化シリコンにおける酸素の組成比に比べて、酸化シリコンの化学量論比に近い。例えば、ゲート絶縁層450として、電子スピン共鳴法(ESR)で評価したときに欠陥が観測されない層が用いられてもよい。
【0200】
上記のSiOxNy及びAlOxNyは、酸素(O)よりも少ない比率(x>y)の窒素(N)を含有するシリコン化合物及びアルミニウム化合物である。SiNxOy及びAlNxOyは、窒素よりも少ない比率(x>y)の酸素を含有するシリコン化合物及びアルミニウム化合物である。
【0201】
金属酸化物層430及び後述するように製造工程で用いられる金属酸化物層490として、アルミニウムを主成分とする金属酸化物が用いられる。例えば、金属酸化物層430(又は金属酸化物層490)として、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化窒化アルミニウム(AlOxNy)、窒化酸化アルミニウム(AlNxOy)、窒化アルミニウム(AlNx)などの無機絶縁層が用いられる。「アルミニウムを主成分とする金属酸化物層」とは、金属酸化物層430(又は金属酸化物層490)に含まれるアルミニウムの比率が、金属酸化物層430(又は金属酸化物層490)全体の1%以上であることを意味する。金属酸化物層430(又は金属酸化物層490)に含まれるアルミニウムの比率は、金属酸化物層430全体の5%以上70%以下、10%以上60%以下、又は30%以上50%以下であってもよい。上記の比率は、質量比であってもよく、重量比であってもよい。
【0202】
酸化物半導体層440として、半導体の特性を有する金属酸化物を用いることができる。例えば、酸化物半導体層440として、インジウム(In)を含む2以上の金属を含む酸化物半導体が用いられる。酸化物半導体層440の全体に対するインジウムの比率は50%以上である。酸化物半導体層440として、インジウムに加えて、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、ジルコニア(Zr)、ランタノイドが用いられる。酸化物半導体層440として、上記以外の元素が用いられてもよい。
【0203】
酸化物半導体層440はアモルファスであってよく、結晶性であってもよい。また、酸化物半導体層440はアモルファスと結晶の混相であってもよい。下記のように、インジウムの比率が50%以上である酸化物半導体層440では、酸素欠損が形成されやすい。結晶性の酸化物半導体は、アモルファスの酸化物半導体に比べて酸素欠損が形成されにくい。したがって、上記のような酸化物半導体層440は結晶性であることが好ましい。
【0204】
<4-3.本発明に至る過程で新たに認識された課題>
酸化物半導体層440におけるインジウムの比率が50%以上であることで、高移動度の半導体装置40を実現することができる。一方、このような酸化物半導体層440では、酸化物半導体層440に含まれる酸素が還元されやすく、酸化物半導体層440に酸素欠損が形成されやすい。
【0205】
半導体装置40では、製造プロセスの熱処理工程において、酸化物半導体層440よりも基板400側に設けられる層(例えば、ゲート絶縁層410、420)から水素が放出され、その水素が酸化物半導体層440に到達することで、酸化物半導体層440に酸素欠損が発生する。この酸素欠損の発生は、酸化物半導体層440のパターンサイズが大きいほど顕著である。このような酸素欠損の発生を抑制するために、酸化物半導体層440の下面442への水素の到達を抑制する必要がある。上記の内容が一つ目の課題である。
【0206】
上記の課題とは別に、以下に示す二つ目の課題がある。酸化物半導体層440の上面441は、酸化物半導体層440が形成された後の工程(例えば、パターニング工程又はエッチング工程)の影響を受ける。一方、酸化物半導体層440の下面442(酸化物半導体層440の基板400側の面)は、上記のような影響を受けない。
【0207】
したがって、酸化物半導体層440の上面441に形成される酸素欠損は、酸化物半導体層440の下面442に形成される酸素欠損より多い。すなわち、酸化物半導体層440中の酸素欠損は、酸化物半導体層440の厚さ方向に一様に存在しているのではなく、酸化物半導体層440の厚さ方向に不均一な分布で存在している。具体的には、酸化物半導体層440中の酸素欠損は、酸化物半導体層440の下面442側ほど少なく、酸化物半導体層440の上面441側ほど多い。
【0208】
上記のような酸素欠損分布を有する酸化物半導体層440に対して、一様に酸素供給処理を行う場合、酸化物半導体層440の上面441側に形成された酸素欠損を修復するために必要な量の酸素を供給すると、酸化物半導体層440の下面442側には酸素が過剰に供給される。その結果、下面442側では、過剰酸素によって酸素欠損とは異なる欠陥準位が形成されてしまい、信頼性試験における特性変動、又は電界効果移動度の低下などの現象が発生する。したがって、このような現象を抑制するためには、酸化物半導体層440の下面442側への酸素供給を抑制しつつ、酸化物半導体層440の上面441側へ酸素を供給する必要がある。
【0209】
上記の課題は、本発明に至る過程で新たに認識された課題であり、従来から認識されていた課題ではない。従来の構成及び製造方法では、酸化物半導体層への酸素供給処理によって、半導体装置の初期特性が改善されても、信頼性試験による特性変動が発生するという、初期特性と信頼性試験との間にトレードオフの関係があった。しかし、第4実施形態に係る構成によって、上記の課題が解決され、半導体装置40の良好な初期特性及び信頼性試験結果を得ることができる。
【0210】
<4-4.半導体装置40の製造方法>
図32~
図41を用いて、半導体装置40の製造方法を説明する。ここでは、金属酸化物層430、490として酸化アルミニウムが用いられた半導体装置40の製造方法の一例を説明する。
【0211】
図32及び
図33に示されるように、基板400の上にボトムゲートとしてゲート電極405が形成され、ゲート電極405の上にゲート絶縁層410、420が形成される(
図32のステップS2001の「Bottom GI/GE形成」)。ゲート絶縁層410として、例えば、窒化シリコンが形成される。ゲート絶縁層420として、例えば、酸化シリコンが形成される。ゲート絶縁層410、420はCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって成膜される。ゲート絶縁層410、420の一方又は両方を「第1絶縁層」という場合がある。
【0212】
ゲート絶縁層410として窒化シリコンが用いられることで、ゲート絶縁層410は、例えば基板400側から酸化物半導体層440に向かって拡散する不純物をブロックすることができる。ゲート絶縁層420として用いられる酸化シリコンは、熱処理によって酸素を放出する物性の酸化シリコンである。
【0213】
図32及び
図34に示されるように、ゲート絶縁層420の上に金属酸化物層430及び酸化物半導体層440を形成する(
図32のステップS2002の「OS/AlOx成膜」)。この工程について、基板400の上にゲート絶縁層410、420を形成し、ゲート絶縁層410、420の上に金属酸化物層430を形成する、と呼ぶ場合がある。又は、基板400の上に金属酸化物層430を形成し、金属酸化物層430の上に酸化物半導体層440を形成する、という場合がある。具体的には、酸化物半導体層440は金属酸化物層430に接するように形成される。金属酸化物層430及び酸化物半導体層440は、スパッタリング法又は原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)によって成膜される。
【0214】
金属酸化物層430の厚さは、例えば、1nm以上100nm以下、1nm以上50nm以下、1nm以上30nm以下、又は1nm以上10nm以下である。第4実施形態では、金属酸化物層430として酸化アルミニウムが用いられる。酸化アルミニウムはガスに対する高いバリア性を備えている。第4実施形態では、金属酸化物層430として用いられた酸化アルミニウムは、ゲート絶縁層420から放出された水素及び酸素をブロックし、放出された水素及び酸素が酸化物半導体層440に到達することを抑制する。
【0215】
酸化物半導体層440の厚さは、例えば、10nm以上100nm以下、15nm以上70nm以下、又は20nm以上40nm以下である。後述する熱処理(OSアニール)前の酸化物半導体層440はアモルファスである。
【0216】
後述するOSアニールによって、酸化物半導体層440を結晶化する場合、成膜後かつOSアニール前の酸化物半導体層440はアモルファス(酸化物半導体の結晶成分が少ない状態)であることが好ましい。すなわち、酸化物半導体層440の成膜条件は、成膜直後の酸化物半導体層440ができるだけ結晶化しない条件であることが好ましい。例えば、スパッタリング法によって酸化物半導体層440が成膜される場合、被成膜対象物(基板400及びその上に形成された構造物)の温度を制御しながら酸化物半導体層440が成膜される。
【0217】
スパッタリング法によって被成膜対象物に対して成膜を行うと、プラズマ中で発生したイオン及びスパッタリングターゲットによって反跳した原子が被成膜対象物に衝突するため、成膜処理に伴い被成膜対象物の温度が上昇する。成膜処理中の被成膜対象物の温度が上昇すると、成膜直後の状態で酸化物半導体層440に微結晶が含まれ、その後のOSアニールによる結晶化が阻害される。上記のように被成膜対象物の温度を制御するために、例えば、被成膜対象物を冷却しながら成膜を行うことができる。例えば、被成膜対象物の被成膜面(表面)の温度(以下、「成膜温度」と呼ぶ。)が100℃以下、70℃以下、50℃以下、又は30℃以下になるように、被成膜対象物を当該被成膜面の反対側の面から冷却することができる。上記のように、被成膜対象物を冷却しながら酸化物半導体層440の成膜を行うことで、成膜直後の状態で結晶成分が少ない酸化物半導体層440を成膜することができる。
【0218】
図32及び
図35に示されるように、酸化物半導体層440のパターンを形成する(
図32のステップS2003の「OSパターン形成」)。図示しないが、酸化物半導体層440の上にレジストマスクを形成し、当該レジストマスクを用いて酸化物半導体層440をエッチングする。酸化物半導体層440のエッチングとして、ウェットエッチングが用いられてもよく、ドライエッチングが用いられてもよい。ウェットエッチングとして、酸性のエッチャントを用いてエッチングを行うことができる。エッチャントとして、例えば、シュウ酸又はフッ酸を用いることができる。
【0219】
酸化物半導体層440のパターン形成の後に酸化物半導体層440に対して熱処理(OSアニール)が行われる(
図32のステップS2004の「OSアニール」)。第4実施形態では、このOSアニールによって、酸化物半導体層440が結晶化する。
【0220】
図32及び
図36に示されるように、金属酸化物層430のパターンを形成する(
図32のステップS2005の「AlO
xパターン形成」)。金属酸化物層430は、上記の工程でパターニングされた酸化物半導体層440をマスクとしてエッチングされる。金属酸化物層430のエッチングとして、ウェットエッチングが用いられてもよく、ドライエッチングが用いられてもよい。ウェットエッチングとして、例えば希釈フッ酸(DHF)が用いられる。上記のように、酸化物半導体層440をマスクとして金属酸化物層430をエッチングすることで、フォトリソグラフィ工程を省略することができる。
【0221】
図32及び
図37に示されるように、酸化物半導体層440の上にゲート絶縁層450を成膜する(
図32のステップS2006の「GI形成」)。ゲート絶縁層450として、例えば、酸化シリコンが形成される。ゲート絶縁層450はCVD法によって形成される。例えば、ゲート絶縁層450として上記のように欠陥が少ない絶縁層を形成するために、350℃以上の成膜温度でゲート絶縁層450を成膜してもよい。ゲート絶縁層450の厚さは、例えば、50nm以上300nm以下、60nm以上200nm以下、又は70nm以上150nm以下である。ゲート絶縁層450を成膜した後に、ゲート絶縁層450の一部に酸素を打ち込む処理を行ってもよい。ゲート絶縁層450を「第2絶縁層」と呼ぶ場合がある。ゲート絶縁層450の上に金属酸化物層490を成膜する(
図32のステップS2007の「AlOx成膜」)。金属酸化物層490は、スパッタリング法によって成膜される。金属酸化物層490の成膜によって、ゲート絶縁層450に酸素が打ち込まれる。
【0222】
金属酸化物層490の厚さは、例えば、5nm以上100nm以下、5nm以上50nm以下、5nm以上30nm以下、又は7nm以上15nm以下である。第4実施形態では、金属酸化物層490として酸化アルミニウムが用いられる。酸化アルミニウムはガスに対する高いバリア性を備えている。第4実施形態では、金属酸化物層490として用いられた酸化アルミニウムは、金属酸化物層490の成膜時にゲート絶縁層450に打ち込まれた酸素が外方拡散することを抑制する。
【0223】
例えば、金属酸化物層490をスパッタリング法で形成した場合、金属酸化物層490の膜中にはスパッタリングで用いられたプロセスガスが残存する。例えば、スパッタリングのプロセスガスとしてArが用いられた場合、金属酸化物層490の膜中にはArが残存することがある。残存したArは金属酸化物層490に対するSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析で検出することができる。
【0224】
酸化物半導体層440の上にゲート絶縁層450が成膜され、ゲート絶縁層450の上に金属酸化物層490が成膜された状態で、酸化物半導体層440へ酸素を供給するための熱処理(酸化アニール)が行われる(
図32のステップS2008の「酸化アニール」)。換言すると、上記のようにパターニングされた金属酸化物層430及び酸化物半導体層440に対して熱処理(酸化アニール)が行われる。酸化物半導体層440が成膜されてから酸化物半導体層440の上にゲート絶縁層450が成膜されるまでの間の工程で、酸化物半導体層440の上面441及び側面443には多くの酸素欠損が発生する。上記の酸化アニールによって、ゲート絶縁層420、450から放出された酸素が酸化物半導体層440に供給され、酸素欠損が修復される。
【0225】
酸化アニールによって、ゲート絶縁層420から放出された酸素は、金属酸化物層430によってブロックされるため、酸化物半導体層440の下面442には酸素が供給されにくい。ゲート絶縁層420から放出された酸素は、金属酸化物層430が形成されていない領域からゲート絶縁層420の上に設けられたゲート絶縁層450に拡散し、ゲート絶縁層450を介して酸化物半導体層440に到達する。その結果、ゲート絶縁層420から放出された酸素は、酸化物半導体層440の下面442には供給されにくく、主に酸化物半導体層440の側面443及び上面441に供給される。さらに、酸化アニールによって、ゲート絶縁層450から放出された酸素が酸化物半導体層440の上面441及び側面443に供給される。上記の酸化アニールによって、ゲート絶縁層410、420から水素が放出される場合があるが、当該水素は金属酸化物層430によってブロックされる。
【0226】
上記のように、酸化アニールの工程によって、酸素欠損の量が少ない酸化物半導体層440の下面442への酸素の供給を抑制しつつ、酸素欠損の量が多い酸化物半導体層440の上面441及び側面443への酸素供給を行うことができる。
【0227】
同様に、上記の酸化アニールでは、ゲート絶縁層450に打ち込まれた酸素は、金属酸化物層490によってブロックされるため、大気中に放出されることが抑制される。したがって、当該酸化アニールによって、当該酸素が効率よく酸化物半導体層440に供給され、酸素欠損が修復される。
【0228】
図32及び
図38に示されるように、酸化アニールの後に、金属酸化物層490はエッチング(除去)される(
図32のステップS2009の「AlOx除去」)。金属酸化物層490のエッチングとして、ウェットエッチングが用いられてもよく、ドライエッチングが用いられてもよい。ウェットエッチングとして、例えば希釈フッ酸(DHF)が用いられる。当該エッチングによって、全面に形成された金属酸化物層490が除去される。換言すると、金属酸化物層490の除去はマスクを用いずに行われる。さらに換言すると、当該エッチングによって、少なくとも平面視において、ある1つのパターンに形成された酸化物半導体層440と重なる領域の全ての金属酸化物層490が除去される。
【0229】
図32及び
図39に示されるように、ゲート絶縁層450の上にゲート電極460を成膜する(
図32のステップS2010の「GE形成」)。ゲート電極460は、スパッタリング法又は原子層堆積法によって成膜され、フォトリソグラフィ工程を経てパターニングされる。上記のように、ゲート電極460は、金属酸化物層490が除去されることで露出したゲート絶縁層450と接するように形成される。
【0230】
ゲート電極460がパターニングされた状態で、酸化物半導体層440のソース領域S及びドレイン領域Dの低抵抗化が行われる(
図32のステップS2011の「SD低抵抗化」)。具体的には、イオン注入によって、ゲート電極460側からゲート絶縁層450を介して酸化物半導体層440に不純物が注入される。イオン注入によって、例えば、アルゴン(Ar)、リン(P)、ボロン(B)が酸化物半導体層440に注入される。イオン注入によって酸化物半導体層440に酸素欠損が形成されることで、酸化物半導体層440が低抵抗化する。半導体装置40のチャネル領域CHとして機能する酸化物半導体層440の上方にはゲート電極460が設けられているため、チャネル領域CHの酸化物半導体層440には不純物は注入されない。
【0231】
図32及び
図40に示されるように、ゲート絶縁層450及びゲート電極460の上に層間膜として絶縁層470、480を成膜する(
図32のステップS2012の「層間膜成膜」)。絶縁層470、480はCVD法によって成膜される。例えば、絶縁層470として窒化シリコンが形成され、絶縁層480として酸化シリコンが形成される。絶縁層470、480として用いられる材料は上記に限定されない。絶縁層470の厚さは、50nm以上500nm以下である。絶縁層480の厚さは、50nm以上500nm以下である。
【0232】
図32及び
図41に示されるように、ゲート絶縁層450及び絶縁層470、480に開口471、473を形成する(
図32のステップS2013の「コンタクト開孔」)。開口471によってソース領域Sの酸化物半導体層440が露出されている。開口473によってドレイン領域Dの酸化物半導体層440が露出されている。開口471、473によって露出された酸化物半導体層440の上及び絶縁層480の上にソース・ドレイン電極200を形成することで(
図32のステップS2044の「SD形成」)、
図32に示す半導体装置40が完成する。
【0233】
上記の製造方法で作成した半導体装置40では、チャネル領域CHのチャネル長Lが2μm以上4μm以下、かつ、チャネル領域CHのチャネル幅が2μm以上25μm以下の範囲において、移動度が50cm2/Vs以上、55cm2/Vs以上、又は60cm2/Vs以上の電気特性を得ることができる。第4実施形態における移動度とは半導体装置40の飽和領域における電界効果移動度であって、ソース電極とドレイン電極との間の電位差(Vds)が、ゲート電極に供給される電圧(Vg)から半導体装置40の閾値電圧(Vth)を引いた値(Vg-Vth)より大きい領域(すなわち、飽和領域)における電界効果移動度の最大値を意味する。
【0234】
<4-5.半導体装置40の電気特性の一例>
図42及び
図43を用いて、主に、半導体装置40の電気特性の一例を説明する。半導体装置40は、
図43に示される画素回路内の、第2のトランジスタOT2のチャネル領域CHに用いられる。第2のトランジスタOT2は、所謂、駆動トランジスタと呼ばれるトランジスタである。
図42において、本願発明はPresent Applicationと記載され、比較例はPrior Artと記載される。本願発明の画素回路は比較例の画素回路と同じであり、本願発明の第2のトランジスタOT2及び発光素子OLEDは、比較例の第2のトランジスタTR及び発光素子POLEDに対応する。また、本願発明の第2のトランジスタOT2のチャネル領域CHは酸化物半導体層440を用いて形成されるのに対し、比較例の第2のトランジスタTRのチャネル領域は、例えば、低温ポリシリコン層(LTPS層)又は酸化物半導体層440とは異なる特性の酸化物半導体層を用いて形成される。
【0235】
なお、
図43に示される第4実施形態に係る画素回路は、
図27を用いて説明された第3実施形態に係る画素回路183の第2のトランジスタT2を、半導体装置40を用いて形成される第2のトランジスタOT2に置き換えた回路である。第4実施形態に係る画素回路の第2のトランジスタOT2以外の構成及び機能は、
図27を用いて説明された第3実施形態に係る画素回路183の構成及び機能と同様である。よって、第4実施形態では、主に、第2のトランジスタOT2について説明し、第2のトランジスタOT2以外の構成及び機能の説明は省略される。なお、第2のトランジスタOT2以外のトランジスタ(第1のトランジスタT1、第3のトランジスタT3~第7のトランジスタT7)のチャネル領域は、例えば、低温ポリシリコン層(LTPS層)を用いて形成される。
【0236】
図42は、第2のトランジスタOT2のドレイン電圧(電圧VANODE)に対するドレイン電流IOT2の依存性を示す図であり、発光素子OLEDの電圧VANODEと発光素子OLEDに流れる電流IDIの依存性を示す図である。また、
図42には、第2のトランジスタTRのドレイン電圧(電圧VANODE)に対するドレイン電流IOT2の依存性、及び、発光素子POLEDの電圧VANODEと発光素子OLEDに流れる電流IDIの依存性が併記されている。また、
図42では、線形領域(Linear Region)と飽和領域(Saturated Region)との境界では、ソース・ドレイン間電圧(例えば、ソース電極とドレイン電極との間の電位差(Vds))が、ゲート電極とソース電極との間の電位差(Vgs)から半導体装置40の閾値電圧(Vth)を引いた値(Vgs-Vth)と同一である。
【0237】
図42に示されるように、半導体装置40を用いた本願発明の動作点(第2のトランジスタOT2の曲線と発光素子OLEDの曲線とが交差する点)50では、比較例の動作点(第2のトランジスタTRの曲線と発光素子POLEDの曲線とが交差する点)50Pより、ドレイン電圧が小さく、ドレイン電流が大きい。
【0238】
すなわち、第2のトランジスタOT2は、第2のトランジスタTRより小さいゲート・ソース間電圧Vgsで、第2のトランジスタTRと同一の電流を流すことができるため、第2のトランジスタOT2は、第2のトランジスタTRより小さいソース・ドレイン間電圧Vdsを用いて、飽和領域で駆動可能である。その結果、半導体装置40を用いることによって、本願発明の画素回路は、比較例の画素回路より低電圧での駆動が可能である。
【0239】
よって、半導体装置40を用いることによって、画素回路の第1の駆動電源線PVDDと基準電位線PVSSとに供給される電圧の電位差(駆動電圧VDDELと基準電圧VSSELとの電位差)を小さく設定することができる。半導体装置40を用いた自発光型表示装置は、電源電圧を低減能であるため、低消費電力化が可能である。
【0240】
本発明の実施形態として上述した各実施形態又は各実施形態の一部は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。
【0241】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる別の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0242】
10:自発光型表示装置、10A:自発光型表示装置、22:表示領域、24:周辺領域、26:端子領域、40:半導体装置、50:動作点(第2のトランジスタOT2の曲線と発光素子OLEDの曲線とが交差する点)、50P:動作点(第2のトランジスタTRの曲線と発光素子POLEDの曲線とが交差する点)、100:アレイ基板、110:ソースドライバ回路、112:選択回路、114:入力端子、116:出力端子、118:スイッチ、120:第1ゲートドライバ回路、120A:ゲートドライバ回路、121:シフトレジスタ、122:シフトレジスタ、123:シフトレジスタ、121A:シフトレジスタ、122A:シフトレジスタ、123A:シフトレジスタ、130:第1発光制御回路、130A:発光制御回路、131:シフトレジスタ、131A:シフトレジスタ、132:シフトレジスタ、132A:シフトレジスタ、133:シフトレジスタ、133A:シフトレジスタ、140:第2発光制御回路、141:シフトレジスタ、142:シフトレジスタ、143:シフトレジスタ、150:端子部、160:フレキシブルプリント回路基板、170:ICチップ、170A:ICチップ、180:画素、181:画素回路、182:画素回路、183:画素回路、190:第2ゲートドライバ回路、191:シフトレジスタ、192:シフトレジスタ、193:シフトレジスタ、200:ソース・ドレイン電極、201:ソース電極、203:ドレイン電極、321:画像データ信号線、329:第1走査信号線、330:第1走査信号線、331:第1走査信号線、332:第1走査信号線、333:第1走査信号線、334:第1発光制御信号線、334A:発光制御信号線、335:第1発光制御信号線、335A:発光制御信号線、336:第1発光制御信号線、336A:発光制御信号線、337:第2発光制御信号線、338:第2発光制御信号線、339:第2発光制御信号線、341:接続配線、349:第2走査信号線、350:第2走査信号線、351:第2走査信号線、352:第2走査信号線、369:走査信号線、370:走査信号線、371:走査信号線、372:走査信号線、373:走査信号線、400:基板、405:ゲート電極、410:ゲート絶縁層、420:ゲート絶縁層、430:金属酸化物層、440:酸化物半導体層、441:上面、442:下面、443:側面、450:ゲート絶縁層、460:ゲート電極、470:絶縁層、471:開口、473:開口、480:絶縁層、490:金属酸化物層、612:ゲート電極、614:第1の電極、616:第2の電極、622:ゲート電極、624:第1の電極、626:第2の電極、632:ゲート電極、634:第1の電極、636:第2の電極、642:ゲート電極、644:第1の電極、646:第2の電極、652:ゲート電極、654:第1の電極、656:第2の電極、662:ゲート電極、664:第1の電極、666:第2の電極、672:ゲート電極、674:第1の電極、676:第2の電極、682:第1の電極、684:第2の電極、692:第1の電極、694:第2の電極