(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083978
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】位相調整システム
(51)【国際特許分類】
B65G 47/24 20060101AFI20240617BHJP
G01N 21/95 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B65G47/24 N
G01N21/95 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198104
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】512012735
【氏名又は名称】株式会社エスピーテック
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴見 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】仲主 喜代志
(72)【発明者】
【氏名】菊池 徹
【テーマコード(参考)】
2G051
3F081
【Fターム(参考)】
2G051AA71
2G051AB02
2G051AC11
2G051BA01
2G051BB01
2G051CA04
2G051CA07
2G051DA01
2G051DA06
3F081AA03
3F081BC01
3F081BD15
3F081BE04
3F081BF15
3F081CA31
3F081CC08
3F081EA09
3F081EA20
(57)【要約】
【課題】搬送手段を止めることなく、連続して検査が可能となるように、搬送手段として、金属製基板の位相を調整しながら、高速で搬送できる位相調整システムを提供する。
【解決手段】位相調整システムは、搬送部と、照明装置と、撮像装置とを備える位相検出部と、互いの搬送速度を異ならせて搬送するように互いに独立して駆動される第1の角度振りコンベア部及び第2の角度振りコンベア部を、搬送路に沿って左右に並べて設けた位相合わせ部と、を備え、位相検出部は、金属製基板の圧延目又は研削目と直交する方向に現れる光芒を撮像装置で撮影するとともに、搬送路の方向に対して光芒の軸線がなす角度を検出し、位相合わせ部は、角度を基に、第1の角度振りコンベア部及び第2の角度振りコンベア部の各搬送速度を調整して金属製基板を搬送路上で水平に回転させることにより、角度を金属製基板の搬送方向に対して所定の範囲内に揃える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製基板を回転搬送しながら前記金属製基板の圧延目又は研削目の方向を揃える位相調整システムであって、
前記金属製基板を搬送路に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送路上の前記金属製基板に対して光を照射する照明装置と、前記光が照射された前記金属製基板の光照射面を撮影する撮像装置とを備える位相検出部と、
互いの搬送速度を異ならせて搬送するように互いに独立して駆動される第1の角度振りコンベア部及び第2の角度振りコンベア部を、前記搬送路に沿って左右に並べて設けた位相合わせ部と、
を備え、
前記位相検出部は、前記金属製基板の圧延目又は研削目と直交する方向に現れる光芒を前記第1の撮像装置で撮影するとともに、前記搬送路の方向に対して前記光芒の軸線がなす角度を検出し、
前記位相合わせ部は、前記角度を基に、前記第1の角度振りコンベア部及び前記第2の角度振りコンベア部の各搬送速度を調整して前記金属製基板を前記搬送路上で水平に回転させることにより、前記角度を前記金属製基板の搬送方向に対して所定の範囲内に揃える、
位相調整システム。
【請求項2】
前記第1の角度振りコンベア部及び第2の角度振りコンベア部は、
駆動モータと、
駆動モータからの動力を駆動プーリに伝達する動力伝達部と、
前記駆動プーリ及び複数の従動プーリに巻き掛けられ、断面円形の複数本のコンベアベルトと、
をそれぞれ備える、請求項1に記載の位相調整システム。
【請求項3】
前記第1の角度振りコンベア部及び第2の角度振りコンベア部は、搬送される前記金属製基板の外周面を案内するように、搬送方向に沿って延びる案内面を有する樹脂製のガイド部材をさらに備える、請求項1に記載の位相調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延した金属板から切り出したディスク基板を回転搬送する位相調整システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク駆動装置等の情報記憶装置に用いられるディスク基板は、一般に、アルミニウムによって製造されている。ディスク基板の製造では、アルミニウム合金を圧延し、圧延されたアルミニウム板を円板状に打抜いてディスクブランクとし、ディスクブランクを加圧焼鈍して平面化し、研削による鏡面加工を行ってグラインド・サブストレート基板(以下、アルミニウム基板とも言う)を形成する。その後、この基板の表面に、ニッケル-リンめっきを施し、研磨による鏡面加工を行った後、その上からメディア層をスパッタリングにより成膜することが行われている。
【0003】
その際、アルミニウム基板の表面に疵や錆び等の欠陥があると、後工程の研磨作業によっても除去することができず、不良品となることがある。そこで、アルミニウム基板の表面の検査が行われる。
【0004】
このアルミニウム基板の表面の検査では一般に、光学的な検査装置が用いられており、検査装置に搬送されてきたディスク基板の表面を照明装置で照明し、アルミニウム基板の表面の画像を撮像装置によって取り込み、欠陥の有無の判定を行っている。
【0005】
しかし、検査装置に搬送されてくるアルミニウム基板の表面には、アルミニウム合金を圧延した際の「圧延目」や、研削による鏡面加工に伴う「研削目」と称される筋状の微小凹凸が一方向に沿って形成されており、照明光の反射に影響を与えている。この圧延目は、検査装置で搬送される際に、必ずしも一定方向に揃っていないため、圧延目の方向によっては照明光が散乱反射されてコントラストが確保できず、アルミニウム基板の表面の欠陥を正確に確認できないという問題がある。
【0006】
このような問題に対して、例えば、特許文献1では、アルミニウム基板に対して複数の照明方向から照明する照明装置と、各照明方向から照明されたアルミニウム基板の表面の画像データを取得する撮像装置とを備える検査装置を提案している。
【0007】
また、特許文献2では、照明装置として異なる位置から投射する複数の光源を設け、撮像手段として1台のラインカメラカメラを設けるとともに、ラインカメラカメラのスキャンごとに複数の光源を切り換えることにより1台のラインカメラカメラで複数の異なる画像を得て合成する表面検査装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-047673号公報
【特許文献2】特開2000-162146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の検査装置では、測定はアルミニウム基板を固定する、もしくはアルミニウム基板を回転させるための装置や工程が必要となり、搬送手段を止めることなく、連続的にアルミニウム基板を検査できない。
【0010】
また、特許文献2に記載の検査装置では、高精度で検査を行うためには、照明装置において光源の数を増やす必要があり、さらには光源の数に応じて多数の画像補正処理を行う必要があり、高精度検査を行うためには困難を伴なう。
【0011】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、搬送手段を止めることなく、連続して検査が可能となるように、搬送手段として、金属製基板の位相を調整しながら、高速で搬送できる位相調整システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決する上で、圧延目又は研削目が存在する金属製基板に光を照射すると圧延目又は研削目と直交する光芒が発生することを見出し。本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、上記課題を解決するために、本発明は下記[1]の位相調整システムを提供する。
[1] 金属製基板を回転搬送する位相調整システムであって、
前記金属製基板を搬送路に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送路上の前記金属製基板に対して光を照射する照明装置と、前記光が照射された前記金属製基板の光照射面を撮影する撮像装置とを備える位相検出部と、
互いの搬送速度を異ならせて搬送するように互いに独立して駆動される第1の角度振りコンベア部及び第2の角度振りコンベア部を、前記搬送路に沿って左右に並べて設けた位相合わせ部と、
を備え、
前記位相検出部は、前記金属製基板の圧延目又は研削目と直交する方向に現れる光芒を前記第1の撮像装置で撮影するとともに、前記搬送路の方向に対して前記光芒の軸線がなす角度を検出し、
前記位相合わせ部は、前記角度を基に、前記第1の角度振りコンベア部及び前記第2の角度振りコンベア部の各搬送速度を調整して前記金属製基板を前記搬送路上で水平に回転させることにより、前記角度を前記金属製基板の搬送方向に対して所定の範囲内に揃える、
位相調整システム。
【0014】
また、本発明に係る位相調整システムは、好ましくは[2]~[3]の構成を有する。
[2] 前記第1の角度振りコンベア部及び第2の角度振りコンベア部は、
駆動モータと、
駆動モータからの動力を駆動プーリに伝達する動力伝達部と、
前記駆動プーリ及び複数の従動プーリに巻き掛けられ、断面円形の複数本のコンベアベルトと、
をそれぞれ備える、[1]に記載の位相調整システム。
[3] 前記第1の角度振りコンベア部及び第2の角度振りコンベア部は、搬送される前記金属製基板の外周面を案内するように、搬送方向に沿って延びる案内面を有する樹脂製のガイド部材をさらに備える、[1]に記載の位相調整システム。
【発明の効果】
【0015】
本発明の位相調整システムによれば、圧延目又は研削目のある金属製基板の位相を検出し、該金属製基板を検出された位相の角度に応じて回転搬送することによって、位相を揃えた状態で金属製基板を搬送することができるため、その後の欠陥検出作業等をよりスムーズに行うことができる。
また、本発明の位相調整システムによれば、断面円形のコンベアベルトによって金属製基板との接触面積を減らす一方、複数本のコンベアベルトを用いることで金属製基板の荷重を分散することができ、位相調整の際にコンベアベルトが金属製基板と摺接した場合であっても金属製基板を損傷することなく、高速で搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の表面検査システムの全体構成を示す概略図である。
【
図2】
図2(a)は金属製基板の表面に現れる光芒を示す模式図であり、
図2(b)は金属製基板の搬送方向と光芒とがなす角度αを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る位相調整装置を備えた表面検査システムについて、図面を参照して説明する。また、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の表面検査システム1は、搬送方向の上流側より順に、位相調整装置と、表面検査装置とを備えている。位相調整装置は、搬入部10、位相検出部20、位相合わせ部(位相調整コンベア)30を有し、表面検査装置は、第1の欠陥検査部40、第2の欠陥検査部50、搬出部60を有している。以下、各部について詳説するが、本発明の表面検査システム1では、HDD用ディスク基板の製造過程における、圧延されたアルミニウム板から切り出され、加圧焼鈍、研削加工が施されたグラインド・サブストレート基板(円盤状のアルミニウム基板)を検査の対象としている。したがって、
図1では、このアルミニウム基板を、金属製基板Wとして示している。
また、
図1において、後述の各コンベアを、プーリとコンベアベルトで簡略化して示している。搬入コンベア11、検査コンベア43、吸着コンベア51、搬出コンベア61、振分コンベア62は、公知のものが適用される。一方、本発明の特徴である、位相調整コンベア30に関しては、
図3及び
図4に具体的に示している。
さらに、搬入部10、位相検出部20、位相合わせ部30、第1の欠陥検査部40、第2の欠陥検査部50、及び搬出部60は、演算処理装置100と有線又は無線で接続されており、各部での制御が実行される。なお、各部10,20,30,40,50,60には、それぞれ図示しない制御部が別途設けられても良い。
【0019】
(搬入部10)
搬入部10では、グラインド・サブストレート基板がブロック状にストックされ、吸着コレット等でストックから一枚ごとに金属製基板Wを取り出し、搬送コンベア11に載置して搬送する。
なお、グラインド・サブストレート基板は、平坦精度が非常に高いため、吸着によって加圧した際に金属製基板Wが重なって取り出される場合がある。このため、搬送コンベア11の上方及び側方には、重なった金属製基板Wを排出するための排出シュート12が設けられている。
【0020】
(位相検出部20)
搬入部10の次工程として、位相検出部20を備える。即ち、位相検出部20では、先ず、搬入部10から搬送されてくる金属製基板Wを受け取り、金属製基板Wの上方に配置した第1の照明装置21であるリング照明から光を照射する。金属製基板Wの表面には、圧延に由来する筋状の微小凹凸、即ち圧延目(または研削による鏡面加工に伴う研削目)Waが形成されており、金属製基板Wの表面に光を照射すると、
図2(a)に示すように、圧延目Waと直交する光芒15が現れ、この光芒15を第1の撮像装置22であるCCDカメラで撮影する。
【0021】
そして、
図2(b)に示すように、演算処理装置100は、光芒15の軸線C1と、金属製基板Wの搬送方向の軸線C2とがなす角度αを求める。
【0022】
(位相合わせ部30)
位相検出部20の次工程として、搬入コンベア11の下流側には、位相合わせ部(位相調整コンベア)30が配置される。位相合わせ部30は、搬送路の幅方向両側に設けられ、かつ、互いの搬送速度を異ならせて搬送するように互いに独立して駆動される第1の角度振りコンベア部31及び第2の角度振りコンベア部32を備える。
図3は位相合わせ部30を示す上面図であり、
図4はその側面図である。
【0023】
第1の角度振りコンベア部31及び第2の角度振りコンベア部32はそれぞれ、筐体35に取り付けられたサーボモータ(駆動モータ)31a,32aと、筐体35内に配置され、サーボモータ31a,32aからの動力を駆動プーリ34aに伝達する、ベルトプーリなどの動力伝達部33と、駆動プーリ34a及び複数の従動プーリ34bに巻き掛けられ、断面円形の複数本(本実施形態では、2本)のコンベアベルト37,38と、を備える。
【0024】
また、第1の角度振りコンベア部31及び第2の角度振りコンベア部32には、搬送される金属製基板Wの外周面と対向する筐体35の部分に、金属製基板Wの外周面を案内するように、搬送方向に沿って延びる案内面を有する樹脂製のガイド部材36が設けられる。
【0025】
これにより、第1の角度振りコンベア部31の搬送速度はサーボモータ31aの回転数により、第2の角度振りコンベア部32の搬送速度はサーボモータ32aの回転数により、それぞれ調整される。また、第1の角度振りコンベア部31と第2の角度振りコンベア部32は、互いの搬送速度を異ならせることで、金属製基板Wは、ガイド部材36の案内面に案内されながら、位相合わせ部30を約0.5秒で高速搬送される間に、水平な状態で回転する。
【0026】
即ち、第1の角度振りコンベア部31の搬送速度を第2の角度振りコンベア部32の搬送速度よりも早くすると、金属製基板Wは
図2にて時計回りに回転し、その逆に第2の角度振りコンベア部32の搬送速度を第1の角度振りコンベア部31の搬送速度よりも早くすると、金属製基板Wは
図2にて反時計回りに回転する。従って、位相検出部20で検出した光芒15の軸線C1と金属製基板Wの搬送方向の軸線C2とがなす角度αに応じて、第1の角度振りコンベア部31と第2の角度振りコンベア部32との搬送速度の差を調整することにより、金属製基板Wの角度αを所定の範囲内に収めることができる。
【0027】
さらに、第1の角度振りコンベア部31及び第2の角度振りコンベア部32は、断面円形のコンベアベルト37,38によって金属製基板Wとの接触面積を減らす一方、2本のコンベアベルト37,38を用いることで金属製基板Wの荷重を分散することができ、位相調整の際にコンベアベルト37,38が金属製基板Wと摺接した場合であっても金属製基板Wを損傷することなく、高速で搬送することができる。
【0028】
搬送部10から搬送されてくる金属製基板Wの圧延目Waは、金属製基板Wごとに様々な方向を向いて、角度αも様々な値となるが、位相合わせ部30によって、全ての金属製基板Wの圧延目Waが実質的に搬送方向に揃ったものとなる。なお、本実施形態では、位相合わせ部30による角度αの分解能は±2°で、補正精度は、±5°以内としている。
【0029】
また、位相合わせ部30は、第1の角度振りコンベア部31及び第2の角度振りコンベア部32の上流側及び下流側に、上流側透過センサ39A及び下流側透過センサ39Bをそれぞれ備える。
そして、下流側透過センサ39Bによって金属製基板Wの排出が検出される前に、上流側透過センサ39Aによって金属製基板Wの搬入が検出された場合に、後述する第1の欠陥検査部40及び第2の欠陥検査部50は、上流側透過センサ39Aによって検出された金属製基板Wを再検査対象として、検査を行わず、或いは、検査結果を正しい検査として扱わずに、後工程へ送る。
【0030】
なお、本実施例では、位相検出部20による角度αの検出は、金属製基板Wが搬入部10の搬送コンベア11上にある時に実行されるが、金属製基板Wが位置合わせ部30の第1の角度振りコンベア部31及び第2の角度振りコンベア部32の上にある時に実行しても良い。この場合、第1の角度振りコンベア部31及び第2の角度振りコンベア部32の上流側で位相検出部20による角度αの検出をした後に、第1の角度振りコンベア部31及び第2の角度振りコンベア部32の搬送速度の調整が開始される。
【0031】
(第1の欠陥検査部40)
図1に戻って、位相合わせ部30の次工程にて、第1の欠陥検査部40が、金属製基板Wの表面の欠陥を検査する。検査方法としては、検査コンベア43の上方に第2の照明装置41を配置し、第2の照明装置41の上方に配置されたCCDラインカメラ等の第2の撮像装置42にて、検査コンベア43上の金属製基板Wの表面を撮影し、画像解析して欠陥の有無を調べる。
なお、第2の照明装置41及び後述の第3照明装置52には、第2の撮像装置42及び第3の撮像装置53が撮影する金属製基板Wの幅方向全域を照明できるようにライン型照明が使用されている。
また、第2の撮像装置42及び後述の第3の撮像装置53には、CCDラインカメラが用いられているので、CCDアレイの1ライン分の隙間があれば観察が可能であり、撮像結果をスキャン合成することで安定した検査が可能となる。
【0032】
また、その際、位相合わせ部30により金属製基板Wの圧延目Waの方向が揃えられているため、全ての金属製基板Wにおいて、カメラの映像に乱反射や、暗視野状態が起こることがなくなり、高精度なライン検査が可能となる。
【0033】
(第2の欠陥検査部50)
上記により、金属製基板Wの表面の欠陥が完了するが、
図1に示すように、検査終了後の検査コンベア43で搬送される金属製基板Wを吸着コンベア51で吸着して搬送する。圧延目Waは金属製基板Wの表裏面で実質的に同じ方向に形成されるため、吸着コンベア51は、第1の欠陥検査部40の金属製基板Wを位相合わせ部30で揃えた角度を維持した状態で上方に吸着することにより、圧延目Waが揃った状態で搬送することができる。
【0034】
第2の欠陥検査部50では、
図1に示すように、吸着コンベア51により金属製基板Wを上方に吸い上げた状態で、検査コンベア43の下流側で、吸着コンベア51の下方に配置された第3の照明装置52で金属製基板Wの裏面に光を照射し、CCDラインカメラ等の第3の撮像装置53にて金属製基板Wの裏面を撮影し、画像解析して欠陥の有無を調べる。
【0035】
その際、金属製基板Wの表面と同様に、裏面においても圧延目Waが揃っているため、高精度なライン検査が可能となる。
【0036】
(搬出部60)
搬出部60は、表面と裏面の欠陥が検査され、吸着コンベア51で吸着された金属製基板Wから受け取る搬出コンベア61と、搬出コンベア61の下流側に配置され、搬出コンベア61から搬出された金属製基板Wを3つのシュートに振り分ける振分コンベア62と、を備える。
【0037】
上述したように、第1の欠陥検査部40及び第2の欠陥検査部50は、欠陥のない良品、欠陥のある不良品の他、正常な検査ができていない場合や、目視検査が必要である場合に、再検査品と判定する。このため、振分コンベア62は、欠陥のない良品、欠陥のある不良品、再検査品に金属製基板Wを振り分ける。
【0038】
したがって、本実施形態において金属製基板Wは、金属板を圧延して切り出したグラインド・サブストレート基板における欠陥の有無を高精度で検査することができる。そして、上記の第1の欠陥検査部40及び第2の欠陥検査部50による両検査に合格したディスク基板は、常法に従い、ニッケル-リンめっきを施し、研磨加工され、その上からメディア層をスパッタリングにより成膜される。
【0039】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものでなく、適宜、変更、改良などが可能である。
例えば、本実施形態の位相調整コンベアは、表面検査システムでの適用に限らず、円盤状の金属製基板を搬送させながら回転させる機構が必要ないずれのシステムにも適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 表面検査システム
10 搬入部(搬送部)
15 光芒
20 位相検出部
21 第1の照明装置(照明装置)
22 第1の撮像装置(撮像装置)
30 位相合わせ部(位相調整コンベア、搬送部)
31 第1の角度振りコンベア部
32 第2の角度振りコンベア部
40 第1の欠陥検査部
41 第2の照明装置
42 第2の撮像装置
50 第2の欠陥検査部
51 吸着コンベア
52 第3の照明装置
53 第3の撮像装置
W 金属製基板
Wa 圧延目