(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083979
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】EGR制御装置
(51)【国際特許分類】
F02M 26/50 20160101AFI20240617BHJP
F02M 26/74 20160101ALI20240617BHJP
F02M 26/66 20160101ALI20240617BHJP
【FI】
F02M26/50 321
F02M26/74
F02M26/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198106
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 直人
(72)【発明者】
【氏名】小澤 智也
【テーマコード(参考)】
3G062
【Fターム(参考)】
3G062CA10
3G062EA10
3G062ED09
3G062FA18
3G062GA10
(57)【要約】
【課題】EGR弁へのデポジットの堆積を抑制する。
【解決手段】EGR通路と、EGR弁とを有するEGRシステムを制御するためのEGR制御装置は、内燃機関の停止後に、EGR弁の温度に基づいて、EGRガスが冷却されて生成される凝縮水がEGR弁に付着する予想時刻を判定する判定処理と、凝縮水が付着する予想時刻以降にEGR弁を開閉して凝縮水をEGR弁から排出する開閉処理と、を実行する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気の一部をEGRガスとして吸気側に導入するEGR通路と、前記EGR通路に設けられて前記EGRガスの流量を調節するためのEGR弁と、を有するEGRシステムを制御するためのEGR制御装置において、
前記内燃機関の停止後に、前記EGR弁の温度に基づいて、前記EGRガスが冷却されて生成される凝縮水が前記EGR弁に付着する予想時刻を判定する判定処理と、
前記凝縮水が付着する前記予想時刻以降に前記EGR弁を開閉して前記凝縮水を前記EGR弁から排出する開閉処理と、
を実行する、EGR制御装置。
【請求項2】
前記判定処理において、前記予想時刻として、
前記EGR弁の温度が所定の凝縮水発生温度を超えた状態から前記凝縮水発生温度まで低下する予想時刻を判定する、
請求項1に記載のEGR制御装置。
【請求項3】
前記判定処理において、
前記内燃機関の停止時の前記EGR弁の第1温度を取得し、
前記内燃機関の停止から所定の第1時間経過後の前記EGR弁の第2温度を取得し、
前記第1温度及び前記第2温度の温度勾配に基づいて前記EGR弁の温度が前記凝縮水発生温度まで低下する前記予想時刻を判定する、
請求項2に記載のEGR制御装置。
【請求項4】
少なくとも前記EGR弁の温度と、前記EGR弁の温度を計測した時刻と、外気温と、前記EGR弁の温度が前記凝縮水発生温度まで低下するまでの経過時間と、の関係をあらかじめ求めたマップデータを記憶した記憶部を備え、
前記判定処理において、
前記内燃機関の停止時の前記EGR弁の温度と前記外気温とを取得し、前記マップデータを参照して前記凝縮水発生温度まで低下する前記予想時刻を判定する、
請求項2に記載のEGR制御装置。
【請求項5】
前記判定処理において、
前記内燃機関の停止後、所定の第2時間ごとに前記EGR弁の温度を取得し、前記EGR弁の温度が前記凝縮水発生温度まで低下する前記予想時刻を判定する、
請求項2に記載のEGR制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内燃機関のEGRシステムを制御するEGR制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から排出される排気の一部を吸気側へ還流させる排気再循環(EGR:Exhaust Gas Recirculation)システムが知られている。このようなEGRシステムは、排気通路と吸気通路とを接続するEGR通路と、EGR通路を開閉するEGR弁とを備えて構成される。EGRシステムは、排気の一部を吸気側へ還流させることにより、燃焼室に導入される吸入空気に排気を混合することができ、内燃機関の燃費性能や排気浄化性能を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、EGR通路を通る排気には未燃燃料(HC)、粒子状物質(PM)及び潤滑油などが含まれており、これらがEGR通路の壁面やEGR弁に付着して、デポジットが生成される場合がある。特に、EGR弁の弁体、あるいは、弁体がシートするシート部にデポジットが堆積すると、吸気側への排気の還流量を正確にコントロールすることができなくなるおそれがある。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的とするところは、EGR弁へのデポジットの堆積を抑制可能なEGR制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある観点によれば、
内燃機関の排気の一部をEGRガスとして吸気側に導入するEGR通路と、上記EGR通路に設けられて上記EGRガスの流量を調節するためのEGR弁と、を有するEGRシステムを制御するためのEGR制御装置において、
上記内燃機関の停止後に、上記EGR弁の温度に基づいて、上記EGRガスが冷却されて生成される凝縮水が上記EGR弁に付着する予想時刻を判定する判定処理と、
上記凝縮水が付着する上記予想時刻以降に上記EGR弁を開閉して上記凝縮水を上記EGR弁から排出する開閉処理と、
を実行する、EGR制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本開示によれば、EGR弁へのデポジットの堆積を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る内燃機関のEGRシステムの概略構成を示す模式図である。
【
図3】同実施形態に係るEGR制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】同実施形態に係るEGR制御装置による制御処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】同実施形態に係るEGR制御装置による第1の判定処理の概要を示す説明である。
【
図6】同実施形態に係るEGR制御装置による第1の判定処理を示すフローチャートである。
【
図7】同実施形態に係るEGR制御装置による第1の判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
<1.内燃機関のEGRシステム>
まず、本開示の実施形態に係るEGR制御装置を適用可能な内燃機関のEGRシステムの構成例について説明する。
【0011】
図1は、EGRシステム10を備えた内燃機関11の吸気系及び排気系の概略構成を示す模式図である。本実施形態において、EGRシステム10を備えた内燃機関11は車両に搭載される。ただし、EGRシステム10を備えた内燃機関11は、車両に搭載されるものに限られない。内燃機関11は、例えば点火式の内燃機関であるガソリンエンジンであってもよく、自己着火式の内燃機関であるディーゼルエンジンであってもよい。内燃機関11は、例えば4つの気筒を備える。内燃機関11は、各気筒に導入される吸気に混合される燃料を噴射する図示しない燃料噴射弁を備える。各気筒は、吸気ポート及び排気ポートを介してインテークマニホールド14及びエキゾーストマニホールド22に連通する。
【0012】
インテークマニホールド14には吸気通路15が接続される。吸気通路15には、排気通路21を流通する排気の一部を吸気通路15に還流させるためのEGR通路31が接続される。EGR通路31の合流位置よりも上流側の吸気通路15には、外気の流入量を調節するための吸気スロットル弁16が備えられる。吸気スロットル弁16は、ステッピングモータ等のアクチュエータ17により駆動される。アクチュエータ17は、EGR制御装置50により制御される。
【0013】
吸気スロットル弁16よりも上流側の吸気通路15には、吸気を冷却するためのインタークーラー18が備えられる。インタークーラー18よりも上流側の吸気通路15には、過給機70のコンプレッサ71が備えられる。コンプレッサ71よりも上流側の吸気通路15には、吸気通路15に流入する空気量を測定するエアフローメータ13が備えられる。
【0014】
インテークマニホールド14には吸気圧を測定するための吸気圧センサ27が備えられる。吸気圧センサ27のセンサ信号は、EGR制御装置50に送信される。吸気圧センサ27は、吸気スロットル弁16よりも下流側の吸気通路15のいずれかの位置に備えられてよい。
【0015】
エキゾーストマニホールド22には排気通路21が接続される。排気通路21には、上述したEGR通路31が接続される。EGR通路31の分岐位置よりも下流側の排気通路21には、過給機70のタービン73が備えられる。エキゾーストマニホールド22とタービン73との間の排気通路21には、空燃比センサ25が備えられる。空燃比センサ25のセンサ信号は、EGR制御装置50に送信される。空燃比センサ25は、エキゾーストマニホールド22に備えられてもよい。
【0016】
タービン73よりも下流側の排気通路21には、排気を浄化するための排気浄化装置26が備えられる。排気浄化装置26は、例えば、排気中の微粒子物質を捕集するパティキュレートフィルタや、排気中のNOXを浄化するための触媒等を備える。
【0017】
EGR通路31には、開口面積を調節可能なEGR弁33が備えられる。EGR弁33は、開口面積を調節することにより、EGR通路31を介して排気通路21から吸気通路15に還流するEGRガスの流量を調節する。
【0018】
EGR通路31における、EGR弁33よりも上流側(排気通路21側)には、EGRガスを冷却するためのEGRクーラ35が備えられる。EGRクーラ35とEGR弁33との間のEGR通路31には、EGRガス圧センサ37及びEGRガス温度センサ38が備えられる。EGRガス圧センサ37は、EGR弁33の上流側の圧力を測定する。EGRガス温度センサ38は、EGR弁33の上流側でEGRガスの温度を測定する。
【0019】
EGR弁33には、バルブ温度センサ32が備えられる、バルブ温度センサ32は、EGR弁33の温度(壁面温度)を測定する。EGRガス圧センサ37、EGRガス温度センサ38及びバルブ温度センサ32のセンサ信号は、EGR制御装置50に送信される。EGRガス圧センサ37は、EGRクーラ35よりも上流側に備えられてもよい。また、バルブ温度センサ32及びEGRガス温度センサ38は、いずれか一方の検出温度に基づいて他方の温度を推定可能であれば、いずれか一方の温度センサのみであってよい。
【0020】
EGRシステム10は、EGR弁33の前後の差圧が生じたときに、高圧側から低圧側へとEGRガスが流れるメカニズムを利用しており、少なくともEGR弁33の前後の差圧と、EGR弁33の開口面積とによりEGRガスの流量特性が変化し得る。
【0021】
EGR制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)等の一つ又は複数のプロセッサを備えて構成される。また、EGR制御装置50の一部又は全部は、ファームウェア等の更新可能なもので構成されていてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。EGR制御装置50には、外気温センサ41のセンサ信号も入力される。EGR制御装置50は、互いに通信可能な複数の制御装置により構成されてもよい。
【0022】
図2は、EGR弁33の一構成例を示す説明図であり、弁体の軸線を通る断面を示す。EGR弁33は、弁ハウジング81と、軸線に沿って進退動する弁体83と、弁体83が当接するシート部材87と、弁体83を進退動させるアクチュエータ89とを有する。
【0023】
弁ハウジング81は、排気が流通可能な流路82を有し、流路82の途中に円環状のシート部材87が組付けられている。流路82は、EGR弁33の下端面と側面とを連通する。流路82のうち、EGR弁33の下端面側が排気通路21に通じ、側面側が吸気通路15に通じる。弁体83は、弁ハウジング81に摺動可能に支持された軸部84と、軸部84の下端に組付けられた傘部85とを有する。当該軸部84の上端側にはスプリングシート86が組付けられ、スプリングシート86と弁ハウジング81との間に設けられた圧縮スプリング91によって弁体83が上方に付勢されている。
【0024】
アクチュエータ89は、軸部84の上端側の延長方向において弁ハウジング81に組付けられている。アクチュエータ89は、例えば電磁コイル式(ソレノイド式)のアクチュエータであり、EGR制御装置50によって駆動される。EGR制御装置50によってアクチュエータ89に供給する電流を制御することで、弁体83の軸部84の上端面に対向して配置された可動軸93を軸方向へ変位させることができる。アクチュエータ89は、これ以外にも例えば電歪式(ピエゾ式)のアクチュエータであってもよく、ステッピングモータであってもよい。
【0025】
本実施形態では、アクチュエータ89の可動軸93を弁体83側とは逆側に後退させた状態で、弁体83が圧縮スプリング91によって上方に付勢され、傘部85がシート部材87にシート(着座)した状態となる。また、アクチュエータ89の可動軸93を弁体83側へ移動させることで、傘部85がシート部材87からリフト(離座)した状態となる。傘部85のリフト量は、アクチュエータ89に供給される電流に応じて可変となっている。
【0026】
本実施形態において、EGR弁33は、
図2に示した通り、下方側が鉛直方向下方に向けて車両に設置される。したがって、弁体83が下方側に移動することで傘部85がシート部材87から離れ、流路82が開放される。後で詳しく説明するが、EGR弁33がこのように設置されることにより、流路82の開放に伴って、EGR弁33が閉じられた状態で傘部85の上側に貯留する凝縮水を排気通路21側へ排出することができる。
【0027】
<2.デポジットが生成される仕組み>
ここで、本開示の技術により生成を抑制可能なデポジットがEGR弁に生成される仕組みについて説明する。
【0028】
EGR通路31を流通する排気(以下、「EGRガス」ともいう)には、未燃燃料、粒子状物質及び潤滑油等のデポジット成分が含まれ得る。内燃機関11の運転中にはEGRガスが高温状態となっている一方、内燃機関11の運転が停止した後には、残留するEGRガスだけでなくEGR通路31及びEGR弁33の温度が低下する。内燃機関11の停止時には、排気通路21側に滞留する不活性ガスが吸気通路15側へ戻ることのないようにEGR弁33は閉弁状態とされる。内燃機関11の停止後にEGR弁33内に滞留するEGRガス中には水分も含まれており、EGRガスが冷えたEGR弁33に触れるとEGRガス中の水分が凝縮水となってEGR弁33内の壁面に付着する。
【0029】
このとき、EGRガス中の未燃燃料等のデポジット成分が凝縮水とともにEGR弁33内の壁面に付着する。また、EGR弁33内の壁面に付着した凝縮水は下方に流れ、弁体83の傘部85とシート部材87とが当接するシート部分に溜まりやすくなる。
【0030】
その後内燃機関11が始動し、EGRガスの持つ熱によってEGR通路31やEGR弁33の温度が上昇し始めると、EGR弁33に付着していた凝縮水が蒸発する。これにより、デポジット成分が徐々に変性して硬質のデポジットとなってEGR弁33上に堆積する。このデポジットが、EGR弁33の傘部85とシート部材87とが当接するシート部分に堆積すると、EGR弁33の流路82を完全に閉じることができなくなる。また、デポジットが、EGR弁33の傘部85とシート部材87とが当接するシート部分に堆積すると、流路面積が狭くなり、アクチュエータ89による弁体83のリフト量に対するEGRガスの流量の特性が設計値からずれることになる。
【0031】
つまり、EGR弁33にデポジット成分とともに付着した凝縮水が蒸発する前に、凝縮水とともにデポジット成分をEGR弁33から排出することにより、EGR弁33にデポジットが堆積することを抑制することができる。
【0032】
<3.EGR制御装置>
図3は、本実施形態に係るEGR制御装置50の構成のうち、EGR弁33へのデポジットの堆積を抑制する処理に関連する部分の機能構成を示すブロック図である。EGR制御装置50は、CPU等の一つ又は複数のプロセッサからなる処理部51と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶素子を含む記憶部53とを備える。記憶部53は、プロセッサによって実行されるコンピュータプログラムやプログラムの実行に用いられる種々のパラメータの他、取得されたデータ及び演算結果のデータ等を記憶する。
【0033】
EGR制御装置50は、一つ又は複数のプロセッサがコンピュータプログラムを実行することで、EGR弁33へのデポジットの堆積を抑制する処理を実行する装置として機能する。当該コンピュータプログラムは、EGR制御装置50が実行すべき後述する動作をプロセッサに実行させるためのコンピュータプログラムである。プロセッサにより実行されるコンピュータプログラムは、EGR制御装置50に備えられた記憶部53として機能する記録媒体に記録されていてもよく、EGR制御装置50に内蔵された記録媒体又はEGR制御装置50に外付け可能な任意の記録媒体に記録されていてもよい。
【0034】
コンピュータプログラムを記録する記録媒体としては、ハードディスク、フロッピーディスク及び磁気テープ等の磁気媒体、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、及びBlu-ray(登録商標)等の光記録媒体、フロプティカルディスク等の磁気光媒体、RAM及びROM等の記憶素子、並びにUSB(Universal Serial Bus)メモリ及びSSD(Solid State Drive)等のフラッシュメモリ、その他のプログラムを格納可能な媒体であってよい。
【0035】
なお、EGR制御装置50は、車両に搭載された制御装置(ECU:Electronic Control Unit)により構成されてもよく、スマートホン等の携帯端末により構成されてもよく、移動体通信網を介して車両と通信可能な外部サーバにより構成されてもよい。
【0036】
処理部51は、判定処理部61及び開閉処理部63を備える。これらの各部は、具体的には、プロセッサによるプログラムの実行によって実現される機能である。また、EGR制御装置50は、バルブ温度センサ32及び外気温センサ41のセンサ信号を取得可能に構成されている。
【0037】
判定処理部61は、内燃機関11の停止後に、EGR弁33の温度に基づいて、EGRガスが冷却されて生成される凝縮水がEGR弁33に付着する予想時刻を判定する判定処理を実行する。本実施形態では、判定処理部61は、内燃機関11が停止したときのEGR弁33の周囲環境に基づいて凝縮水が発生する露点温度(以下、「凝縮水発生温度」ともいう)を推定し、EGR弁33の温度が凝縮水発生温度まで低下する予想時刻を判定する。
【0038】
開閉処理部63は、凝縮水が付着する予想時刻以降にEGR弁33を開閉して凝縮水をEGR弁33から排出する開閉処理を実行する。開閉処理部63は、弁体83の傘部85とシート部材87とが当接するシート部分に溜まる凝縮水をデポジット成分とともに排出することで、内燃機関11の始動後に凝縮水が蒸発してデポジットがシート部分に堆積することを抑制する。
【0039】
<4.EGR制御装置の動作例>
ここまで、EGR制御装置50の構成例を説明した。続いて、EGR制御装置50による処理動作例を説明する。
【0040】
図4は、本実施形態にかかるEGR制御装置50のメインルーチンの動作を示すフローチャートである。
EGR制御装置50の判定処理部61は、内燃機関11が運転中の状態において、内燃機関11が停止したか否かを判定する(ステップS11)。ここでは、判定処理部61は、アイドリングストップ機能による内燃機関11の停止や、ハイブリッド電気自動車のハイブリッド走行中における内燃機関11の停止ではなく、内燃機関11を停止させるスイッチ操作が行われたか否かを判定する。例えば判定処理部61は、イグニッションスイッチ又は車両システムのスタートスイッチがオフにされたときに、内燃機関11が停止したと判定してもよい。なお、内燃機関11の停止時においては、排気通路21側から吸気通路15側へ不活性ガスが進入することを防ぐために、EGR弁33は閉弁状態とされる。
【0041】
次いで、判定処理部61は、凝縮水がEGR弁33内に付着する凝縮水発生温度T_0を設定する(ステップS13)。凝縮水が発生する温度はEGR弁33内のEGRガスが流通する空間の露点温度であり、EGRガスの湿度及び圧力によって変化し得る。内燃機関11の停止後、所定の時間を経過した後のEGR弁33内の圧力は大気圧と見做すことができる。したがって、EGRガスの湿度が分かれば、凝縮水発生温度T_0を推定することができる。EGRガスの湿度は、湿度計を用いて検出されてもよいが、本実施形態では、判定処理部61は、マップデータ(第1のマップデータ)を用いて、内燃機関11の停止前の運転状態に基づいてEGRガスの湿度を推定する。
【0042】
第1のマップデータは、内燃機関11の実機を用いた実験あるいはシミュレーションによって、内燃機関11の運転状態に応じた排気の湿度を記録したデータであってよい。内燃機関11の運転状態は、例えば吸気流量、EGRガス流量、燃料噴射量、燃料噴射タイミング、燃焼温度及び燃焼タイミングによって定義される運転条件である。第1のマップデータには、想定される運転状態に応じた排気の湿度があらかじめ求められて記録される。したがって、判定処理部61は、内燃機関11の停止前の運転状態の情報を特定し、第1のマップデータを用いて特定される排気の湿度をEGRガスの湿度とする。
【0043】
また、記憶部53には、大気圧下でのEGRガスの湿度と飽和温度との関係を示す参照データがあらかじめ記憶されている。判定処理部61は、参照データに基づいて、求めた湿度のEGRガスの大気圧下での飽和温度を特定し、当該飽和温度を凝縮水発生温度T_0として設定する。
【0044】
次いで、判定処理部61は、凝縮水がEGR弁33に付着する予想時刻を判定する判定処理を実行する(ステップS15)。以下、凝縮水がEGR弁33に付着する予想時刻を判定する第1の判定処理の例及び第2の判定処理の例を説明する。
【0045】
(第1の判定処理)
図5は、第1の判定処理の概要を示す説明図である。
第1の判定処理において、判定処理部61は、所定の第1時刻Ti_aのEGR弁33の温度(第1温度)T_ev1を取得し、第1時刻Ti_aから所定の第1時間Ti1経過後の第2時刻Ti_bにおけるEGR弁33の温度(第2温度)T_ev2を取得する。また、判定処理部61は、第1温度T_ev1及び第2温度T_ev2の温度勾配に基づいてEGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0まで低下する予想時刻Ti_cを推定する。
【0046】
図6は、凝縮水がEGR弁33に付着する予想時刻Ti_cを判定する第1の判定処理を示すフローチャートである。
まず、判定処理部61は、EGR弁33の第1温度T_ev1を取得する(ステップS31)。EGR弁33の温度は、バルブ温度センサ32のセンサ信号に基づいて取得することができるが、EGRガス温度センサ38のセンサ信号に基づいて推定されてもよい。内燃機関11の停止後、1回目に取得される第1温度T_ev1は、内燃機関11の停止時のEGR弁33の温度に相当する。
【0047】
次いで、判定処理部61は、取得した第1温度T_ev1が、ステップS13で求めた凝縮水発生温度T_0を超えているか否かを判定する(ステップS33)。判定処理部61は、第1温度T_ev1が凝縮水発生温度T_0を超えていない場合(S33/No)、凝縮水が発生しないと判定し(ステップS41)、判定処理を終了する。
【0048】
一方、判定処理部61は、第1温度T_ev1が凝縮水発生温度T_0を超えている場合(S33/Yes)、第1温度T_ev1を取得してからの経過時間が所定の第1時間Ti1に到達したか否かを判定する(ステップS35)。第1時間Ti1は、EGR弁33の温度変化の勾配を推定可能な任意の時間に設定される。第1時間Ti1が短すぎると、EGR弁33の温度勾配の推定精度が低下して、EGR弁33の温度が凝縮水発生温度まで低下する予想時刻Ti_cの判定精度が低下する。一方、第1時間Ti1が長すぎると、温度勾配に基づいてEGR弁33の温度が凝縮水発生温度まで低下する予想時刻Ti_cの判定が遅れ、凝縮水の発生を防ぐことができないおそれがある。このような観点から、第1時間Ti1は、例えば10~60分の範囲内に設定されるとよい。
【0049】
判定処理部61は、第1温度T_ev1を取得してからの経過時間が所定の第1時間Ti1に到達したと判定しない場合(S35/No)、ステップS35の判定を繰り返し実行する。一方、判定処理部61は、第1温度T_ev1を取得してからの経過時間が所定の第1時間Ti1に到達したと判定した場合(S35/Yes)、EGR弁33の第2温度T_ev2を取得する(ステップS37)。
【0050】
次いで、判定処理部61は、第1温度T_ev1と第2温度T_ev2と第1時間Ti1とに基づいてEGR弁33の温度変化の温度勾配(ΔT_ev/Ti1)を算出し、凝縮水がEGR弁33に付着する予想時刻Ti_cを判定する(ステップS39)。温度勾配に基づく予想時刻Ti_cは、EGR弁33の温度T_evが一定の温度勾配で低下するものとして判定してもよく、あらかじめ求められて記憶部53に記憶された温度変化曲線を考慮して判定してもよい。判定処理部61は、求めた予想時刻Ti_cを記憶部53に記憶して、判定処理を終了する。
【0051】
(第2の判定処理)
第2の判定処理は、EGR弁33の温度T_evと、EGR弁33の温度T_evを取得した時刻(現在時刻)と、外気温T_eとに基づいて、外気温T_eの影響によるEGR弁33の温度T_evの変化を予測し、EGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0まで低下する予想時刻Ti_cを推定する。
【0052】
図7は、凝縮水がEGR弁33に付着する予想時刻Ti_cを判定する第2の判定処理を示すフローチャートである。
まず、判定処理部61は、上述した第1の判定処理のステップS31~ステップS33と同様の手順で、EGR弁33の温度T_evを取得し(ステップS51)、取得した温度T_evが、ステップS13で求めた凝縮水発生温度T_0を超えているか否かを判定する(ステップS53)。判定処理部61は、EGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0を超えていない場合(S53/No)、凝縮水が発生しないと判定し(ステップS59)、判定処理を終了する。
【0053】
一方、判定処理部61は、EGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0を超えている場合(S53/Yes)、現在時刻及び外気温の情報を取得する(ステップS55)。外気温T_eの情報は、外気温センサ41のセンサ信号に基づいて取得することができる。現在時刻の情報は、この後外気温が上昇する時間帯であるのか低下する時間帯であるのかを判断するために用いられる。
【0054】
次いで、判定処理部61は、取得したEGR弁33の温度T_ev、現在時刻及び外気温T_eの情報に基づいて、凝縮水がEGR弁33に付着する予想時刻Ti_cを判定する(ステップS57)。具体的に、記憶部53には、少なくともEGR弁33の温度T_evと、EGR弁33の温度T_evを計測した時刻(現在時刻)と、外気温T_eと、EGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0まで低下するまでの経過時間との関係をあらかじめ求めたマップデータ(第2のマップデータ)が記憶されている。第2のマップデータは、あらかじめ実機を用いた実験やシミュレーションにより作成されて記憶部53に記憶される。
【0055】
判定処理部61は、第2のマップデータを用いて、取得したEGR弁33の温度T_ev、現在時刻及び外気温T_eの情報に基づいて、EGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0まで低下するまでの経過時間Ti3を求める。そして、判定処理部61は、現在時刻に経過時間Ti3を加算し、凝縮水がEGR弁33に付着する予想時刻Ti_cを判定する。判定処理部61は、求めた予想時刻Ti_cを記憶部53に記憶して、判定処理を終了する。
【0056】
図4に戻り、開閉処理部63は、EGR弁33に凝縮水が発生する可能性があるか否かを判定する(ステップS17)。具体的に、開閉処理部63は、ステップS15の判定処理の結果、予想時刻Ti_cが設定されている場合にはEGR弁33に凝縮水が発生する可能性があると判定する。一方、開閉処理部63は、ステップS15の判定処理の結果、凝縮水が発生しないと判定されている場合にはEGR弁33に凝縮水が発生する可能性がないと判定する。
【0057】
開閉処理部63は、EGR弁33に凝縮水が発生する可能性があると判定しない場合(S17/No)、EGR弁33へのデポジットの堆積を抑制する処理を終了する。一方、開閉処理部63は、EGR弁33に凝縮水が発生する可能性があると判定した場合(S17/Yes)、内燃機関11が始動したか否かを判定する(ステップS19)。開閉処理部63は、内燃機関11が始動したか否かを、内燃機関11の運転を制御する機能による処理の信号に基づいて判定してもよく、内燃機関11の回転数を計測するセンサのセンサ信号に基づいて判定してもよい。
【0058】
開閉処理部63は、内燃機関11が始動したと判定した場合(S19/Yes)、現在時刻がステップS15で設定された予想時刻Ti_cに到達しているか否かにかかわらず、EGR弁33を開閉する(ステップS21)。この開閉動作は、仮にEGR弁33に凝縮水が付着していることを想定して、当該凝縮水をEGR弁33内から排出するために行われる。したがって、現在時刻が予想時刻Ti_cに到達していない場合、開閉処理部63は、EGR弁33を開閉する動作を行わなくてもよい。
【0059】
一方、開閉処理部63は、内燃機関11が始動したと判定しない場合(S19/No)、現在時刻がステップS15で設定された予想時刻Ti_cに到達したか否かを判定する(ステップS23)。開閉処理部63は、現在時刻が予想時刻Ti_cに到達したと判定した場合(S23/Yes)、EGR弁33を開閉する(ステップS21)。この開閉動作は、現在時刻においてEGR弁33に付着していると予測される凝縮水をEGR弁33内から排出するために行われる。
【0060】
開閉処理部63は、現在時刻が予想時刻Ti_cに到達した直後にEGR弁33を開閉してもよく、現在時刻が予想時刻Ti_cに到達してから所定の待機時間を経過した後にEGR弁33を開閉してもよい。待機時間を設けることにより、EGR弁33に付着する凝縮水が水滴となってEGR弁33から落下しやすくすることができる。また、開閉処理部63は、EGR弁33を複数回繰り返し開閉してもよい。これにより、EGR弁33に付着した凝縮水がEGR弁33から落下しやすくすることができる。
【0061】
一方、開閉処理部63は、現在時刻が予想時刻Ti_cに到達したと判定しない場合(S23/No)、現在記録されている予想時刻Ti_cを記録してからの経過時間が所定の第2時間Ti2に到達したか否かを判定する(ステップS25)。所定の第2時間Ti2は、予想時刻Ti_cと実際にEGR弁33に凝縮水が付着する時刻とのずれが大きくなりすぎないように、予想時刻Ti_cを再設定するための時間間隔として任意の時間に設定されてよい。第2時間Ti2は、例えば1~5時間の範囲内に設定されてよい。
【0062】
開閉処理部63は、予想時刻Ti_cを記録してからの経過時間が所定の第2時間Ti2に到達したと判定しない場合(S25/No)、ステップS19に戻り、内燃機関11が始動するか(S19/Yes)、現在時刻が予想時刻Ti_cに到達するか(S23/Yes)、予想時刻Ti_cを記録してからの経過時間が所定の第2時間Ti2に到達するまで(S25/Yes)、ステップS25の判定を繰り返し実行する。
【0063】
一方、開閉処理部63は、予想時刻Ti_cを記録してからの経過時間が所定の第2時間Ti2に到達したと判定した場合(S25/Yes)、ステップS15に戻る。判定処理部61は、凝縮水がEGR弁33に付着する予想時刻Ti_cを判定する処理を実行して、予想時刻Ti_cを更新する(ステップS15)。以降、開閉処理部63は、ステップS17以降の各ステップの処理を上述した手順に沿って実行する。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係るEGR制御装置50は、内燃機関11の停止後に、EGR弁33の温度T_evに基づいて、EGRガスが冷却されて生成される凝縮水がEGR弁33に付着する予想時刻Ti_cを判定する判定処理と、凝縮水が付着する予想時刻Ti_c以降にEGR弁33を開閉して凝縮水をEGR弁33から排出する開閉処理とを実行可能に構成されている。したがって、EGR弁33の弁体83の傘部85とシート部材87とが当接するシート部分に付着した凝縮水がそのまま残留することを防ぐことができる。これにより、内燃機関11の始動後に凝縮水が蒸発して凝縮水に付着していたデポジット成分が変性して硬質のデポジットとなって堆積することを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態に係るEGR制御装置50は、EGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0を超えた状態から凝縮水発生温度T_0まで低下する予想時刻Ti_cを判定する。つまり、EGR制御装置50は、内燃機関11の停止時においてEGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0以下となっている場合には予想時刻Ti_cの判定を行わないように構成されている。これにより、内燃機関11の停止後にEGR制御装置50の不要な起動時間の増加を防ぐことができる。
【0066】
また、本実施形態に係るEGR制御装置50は、内燃機関11の停止時のEGR弁33の第1温度T_ev1と、内燃機関11の停止から所定の第1時間Ti1経過後のEGR弁33の第2温度T_ev2との温度勾配に基づいてEGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0まで低下する予想時刻Ti_cを推定可能に構成され得る。これにより、EGR弁33の実際の温度変化に基づいてEGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0まで低下する予想時刻Ti_cを判定することができ、予想時刻Ti_cの推定精度を高めることができる。
【0067】
また、本実施形態に係るEGR制御装置50は、少なくともEGR弁33の温度T_evと、EGR弁33の温度T_evを計測した時刻と、外気温T_eと、EGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0まで低下するまでの経過時間との関係をあらかじめ求めた第2のマップデータに基づいて、EGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0まで低下する予想時刻Ti_cを推定可能に構成され得る。これにより、内燃機関11の停止後にEGR制御装置50を起動状態とする時間を短くすることができ、電力消費量を減らすことができる。
【0068】
また、本実施形態に係るEGR制御装置50は、内燃機関11の停止後、所定の第2時間Ti2ごとにEGR弁33の温度T_evを取得し、EGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0まで低下する予想時刻Ti_cを判定可能に構成され得る。これにより、予想時刻Ti_cと実際に凝縮水がEGR弁33に付着する時刻とのずれが大きくなることを防ぐことができ、適切なタイミングでEGR弁33から凝縮水を排出することができる。
【0069】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示はかかる例に限定されない。本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0070】
例えば上記実施形態では、内燃機関11のイグニッションスイッチあるいは車両システムのスタートスイッチがオフにされて内燃機関11が停止した場合に実行される処理を説明したが、本開示の技術は上記の例に限定されない。本開示の技術は、アイドリングストップ機能による内燃機関11の停止や、ハイブリッド電気自動車のハイブリッド走行中における内燃機関11の停止時に実行されてもよい。
【0071】
具体的に、EGR制御装置50の判定処理部61は、アイドリングストップ機能による内燃機関11の停止や、ハイブリッド電気自動車のハイブリッド走行中における内燃機関11の停止を検知した場合に、それまでの内燃機関11の運転状態に基づいてEGRガスの湿度と、EGR弁33内の圧力とを求める。また、判定処理部61は、EGRガスの湿度とEGR弁33内の圧力とに基づいて凝縮水発生温度T_0を設定し、EGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0の近傍の値であるか否かを判定する。例えば判定処理部61は、EGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0のプラスマイナス3度の範囲内である場合に、EGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0の近傍の値であると判定してもよい。
【0072】
判定処理部61は、EGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0の近傍の値である場合、現在時刻をEGRガスが冷却されて生成される凝縮水がEGR弁33に付着する予想時刻Ti_cとして設定する。つまり、判定処理部61は、現在の状態が、EGRガスが冷却されて生成される凝縮水がEGR弁33に付着し得る状態であると判定する。そして、開閉処理部63は、EGR弁33の温度T_evが凝縮水発生温度T_0の近傍の値である場合、EGR弁33を開閉して凝縮水を排出する処理を実行する。
【0073】
これにより、アイドリングストップ機能による内燃機関11の停止や、ハイブリッド電気自動車のハイブリッド走行中における内燃機関11の停止時に、閉弁状態のEGR弁33内に凝縮水が付着して、弁体83の傘部85とシート部材87とが当接するシート部分に凝縮水が滞留することを防ぐことができる。したがって、内燃機関11の再始動後にEGR弁33の温度が上昇することに伴って凝縮水が蒸発することによるデポジットの堆積を抑制することができる。
【符号の説明】
【0074】
10:EGRシステム、11:内燃機関、15:吸気通路、21:排気通路、31:EGR通路、32:バルブ温度センサ、33:EGR弁、38:EGRガス温度センサ、41:外気温センサ、50:EGR制御装置、51:処理部、53:記憶部、61:判定処理部、63:開閉処理部、81:弁ハウジング、82:流路、83:弁体、84:軸部、85:傘部、86:スプリングシート、87:シート部材、89:アクチュエータ、91:圧縮スプリング、93:可動軸、T_0:凝縮水発生温度、T_e:外気温、T_ev1:第1温度、T_ev2:第2温度、Ti_a:第1時刻、Ti_b:第2時刻、Ti_c:予想時刻