(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083981
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】円環状基板の検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/95 20060101AFI20240617BHJP
B65G 47/24 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
G01N21/95 A
B65G47/24 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198109
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(71)【出願人】
【識別番号】512012735
【氏名又は名称】株式会社エスピーテック
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 孝充
(72)【発明者】
【氏名】鶴見 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】仲主 喜代志
(72)【発明者】
【氏名】菊池 徹
【テーマコード(参考)】
2G051
3F081
【Fターム(参考)】
2G051AA71
2G051AB02
2G051AC11
2G051BA01
2G051BB01
2G051CA04
2G051CA07
2G051CB01
2G051DA01
2G051DA06
2G051DA13
3F081AA03
3F081BC01
3F081BD15
3F081BE04
3F081BF15
3F081CA31
3F081CC08
3F081EA09
3F081EA20
(57)【要約】
【課題】事前の準備工程を設けたり、検査中に搬送手段を止めたりすることなく、連続して検査が可能であり、複数の光源や補正処理を必要とすることなく、圧延した金属板から打ち抜かれた円環状基板の欠陥を正確に検出できる円環状基板の検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
【解決手段】搬送される円環状基板の圧延目又は研削目を検出するとともに、検出された圧延目又は研削目を一定方向に揃えるように円環状基板の圧延目又は研削目を調整する調整部と、圧延目又は研削目が一定方向に揃えられた円環状基板を搬送する検査コンベアと、円環状基板に対して上方から光を照射する第1の照明装置と、円環状基板の光照射面を撮影する第1のラインカメラと、を有し、第1のラインカメラによって撮像された光照射面の画像を用いて、円環状基板の表面の欠陥を検査する第1の欠陥検査部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延金属板から打ち抜いた円環状基板の表面に存在する欠陥を検査する円環状基板の検査装置であって、
搬送される前記円環状基板の圧延目又は研削目を検出するとともに、検出された圧延目又は研削目を一定方向に揃えるように前記円環状基板の圧延目又は研削目を調整する調整部と、
圧延目又は研削目が一定方向に揃えられた前記円環状基板を搬送する検査コンベアと、前記円環状基板に対して上方から光を照射する第1の照明装置と、前記円環状基板の光照射面を撮影する第1のラインカメラと、を有し、前記第1のラインカメラによって撮像された前記光照射面の画像を用いて、前記円環状基板の表面の欠陥を検査する第1の欠陥検査部と、を備える、
円環状基板の検査装置。
【請求項2】
圧延目又は研削目が一定方向に揃えられた前記円環状基板の上面側を吸着して搬送する基板保持装置と、前記基板保持装置によって上面側が保持される前記円環状基板に対して下方から光を照射する第2の照明装置と、前記円環状基板の光照射面を撮影する第2のラインカメラと、を有し、前記第2のラインカメラによって撮像された前記光照射面の画像を用いて、前記円環状基板の裏面の欠陥を検査する第2の欠陥検査部、をさらに備える、
請求項1に記載の円環状基板の検査装置。
【請求項3】
前記基板保持装置は、平面視で前記第2のラインカメラと重なる位置に配置されて前記円環状基板の上面中央側を吸引する吸引装置と、搬送方向に沿って延設されて前記円環状基板の上面の外周両端を支持するように配置された左右一対の吸着搬送ベルトと、を有する、
請求項2に記載の円環状基板の検査装置。
【請求項4】
前記調整部は、
前記円環状基板の圧延目又は研削目を検出するための照明装置と、前記光が照射された前記円環状基板の光照射面を撮影するエリアカメラと、搬送方向に沿って左右に並べて配置されて互いの搬送速度を異ならせて搬送するように互いに独立して駆動される第1の角度振りコンベア部及び第2の角度振りコンベア部と、を有し、
前記円環状基板の圧延目又は研削目と直交する方向に現れる光芒を前記エリアカメラで撮影するとともに、搬送方向に対して前記光芒の軸線がなす角度を検出し、前記角度を基に、前記第1の角度振りコンベア部及び前記第2の角度振りコンベア部の各搬送速度を調整して前記円環状基板を搬送しながら水平に回転させることにより、前記角度を前記円環状基板の搬送方向に対して所定の範囲内に揃える、
請求項1に記載の円環状基板の検査装置。
【請求項5】
前記調整部の上流に設けられ、複数の前記円環状基板を積層した円柱状の積層体を搬入する搬入機構と、
前記搬入機構により搬入された前記積層体の上から1枚目の前記円環状基板を剥離する剥離機構と、を備える
請求項1に記載の円環状基板の検査装置。
【請求項6】
前記剥離機構は、上から1枚目の前記円環状基板を除いた前記積層体の外周面を押さえる押さえ部と、前記積層体の上から1枚目の前記円環状基板を前記積層体から剥離させる剥離爪と、前記剥離爪により剥離された前記円環状基板を搬送する剥離搬送装置と、を有する、
請求項5に記載の円環状基板の検査装置。
【請求項7】
前記剥離搬送装置は、平面視で前記積層体と重なる位置に配置されて前記円環状基板の上面中央側を吸引する吸引装置と、搬送方向に沿って延設されて前記円環状基板の上面の外周両端を支持するように左右一対配置された吸着搬送ベルトと、を有する、
請求項6に記載の円環状基板の検査装置。
【請求項8】
前記剥離機構は、前記積層体から剥離された前記円環状基板が2枚以上重なった重なり状態であることを検出する厚さ検出センサと、重なり状態の前記円環状基板を搬送経路から排出する重なり基板排出部とを、さらに有する、
請求項5~7のいずれか1項に記載の円環状基板の検査装置。
【請求項9】
検査が完了した前記円環状基板を搬出する搬出機構を備え、
前記搬出機構は、検査が完了した前記円環状基板を、欠陥が発見されなかった前記円環状基板を搬出する第1搬出部と、欠陥が発見された前記円環状基板を搬出する第2搬出部と、第1の欠陥検査部の検査に不具合があった前記円環状基板を搬出する第3搬出部と、に振り分ける、
請求項1に記載の円環状基板の検査装置。
【請求項10】
圧延金属板から打ち抜いた円環状基板の表面に存在する欠陥を検査する円環状基板の検査方法であって、
搬送される前記円環状基板の圧延目又は研削目を検出するとともに、検出された圧延目又は研削目を一定方向に揃えるように前記円環状基板の圧延目又は研削目を調整する調整工程と、
圧延目又は研削目が一定方向に揃えられた状態で搬送される前記円環状基板に対して、第1の照明装置によって前記円環状基板に対して上方から光を照射し、第1のラインカメラによって撮像された前記円環状基板の光照射面の画像を用いて、前記円環状基板の表面の欠陥を検査する第1の欠陥検査工程と、を備える、
円環状基板の検査方法。
【請求項11】
圧延目又は研削目が一定方向に揃えられた前記円環状基板の上面側を吸着して搬送する基板保持装置と、前記基板保持装置によって上面側が保持される前記円環状基板に対して下方から光を照射する第2の照明装置と、前記円環状基板の光照射面を撮影する第2のラインカメラと、を有し、前記第2のラインカメラによって撮像された前記光照射面の画像を用いて、前記円環状基板の裏面の欠陥を検査する第2の欠陥検査工程、をさらに備える、
請求項10に記載の円環状基板の検査方法。
【請求項12】
前記第2の欠陥検査工程は、平面視で前記第2のラインカメラと重なる位置に配置された吸引装置によって前記円環状基板の上面中央側を吸引し、搬送方向に沿って延設された左右一対の吸着搬送ベルトによって前記円環状基板の上面の外周両端を支持することにより、圧延目又は研削目が一定方向に揃えられた前記円環状基板の上面側を保持して搬送する、
請求項11に記載の円環状基板の検査方法。
【請求項13】
前記調整工程は、圧延目又は研削目を検出するための照明装置によって前記円環状基板に対して光を照射し、エリアカメラによって撮像された前記円環状基板の光照射面の画像を用いて、前記円環状基板の圧延目又は研削目と直交する方向に現れる光芒の軸線が搬送方向に対してなす角度を検出し、搬送方向に沿って左右に並べて配置されて互いの搬送速度を異ならせて搬送するように互いに独立して駆動される第1の角度振りコンベア部及び第2の角度振りコンベア部の各搬送速度を、前記角度を基に調整して前記円環状基板を搬送しながら水平に回転させることにより、前記角度を前記円環状基板の搬送方向に対して所定の範囲内に揃える、
請求項10に記載の円環状基板の検査方法。
【請求項14】
前記調整工程の前に、複数の前記円環状基板を積層した円柱状の積層体を搬入する搬入工程と、前記搬入工程により搬入された前記積層体の上から1枚目の前記円環状基板を剥離する剥離工程と、をさらに備える
請求項10に記載の円環状基板の検査方法。
【請求項15】
前記剥離工程は、押さえ部によって上から1枚目の前記円環状基板を除いた前記積層体の外周面を押さえ、剥離爪によって前記積層体の上から1枚目の前記円環状基板を前記積層体から剥離させ、剥離搬送装置により前記積層体から剥離させた前記円環状基板を搬送する、
請求項14に記載の円環状基板の検査方法。
【請求項16】
前記剥離工程は、平面視で前記積層体と重なる位置に配置された吸引装置によって前記円環状基板の上面中央側を吸引し、搬送方向に沿って延設された左右一対の吸着搬送ベルトによって前記円環状基板の上面の外周両端を支持することにより、前記積層体から剥離した前記円環状基板の上面側を保持して搬送する、
請求項15に記載の円環状基板の検査方法。
【請求項17】
前記積層体から剥離された前記円環状基板が2枚以上重なった重なり状態であることを検出する厚さ検出センサを有し、重なり状態の前記円環状基板を搬送経路から排出する二重基板排出工程、をさらに備える、
請求項14~16のいずれか1項に記載の円環状基板の検査方法。
【請求項18】
検査が完了した前記円環状基板を搬出する搬出工程、をさらに備え、
前記搬出工程は、検査が完了した前記円環状基板を、欠陥が発見されなかった前記円環状基板を搬出する第1搬出部と、欠陥が発見された前記円環状基板を搬出する第2搬出部と、検査工程に不具合があった前記円環状基板を搬出する第3搬出部と、に振り分ける、
請求項10に記載の円環状基板の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延した金属板から打ち抜いた円環状基板の表面に存在する疵等の欠陥を検査する円環状基板の検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク駆動装置等の情報記憶装置に用いられるディスク基板は、一般に、アルミニウムによって製造されている。ディスク基板の製造では、アルミニウム合金を圧延し、圧延されたアルミニウム板を円環状に打抜いてディスクブランクとし、ディスクブランクを加圧焼鈍して平面化し、研削による鏡面加工を行ってグラウンド・サブストレート基板(以下、アルミニウム基板とも言う)を形成する。その後、この基板の表面に、ニッケル-リンめっきを施し、研磨による鏡面加工を行った後、その上から磁性膜をスパッタリングにより成膜することが行われている。
【0003】
その際、アルミニウム基板の表面に疵や錆び等の欠陥があると、後工程の研磨作業によっても除去することができず、不良品となることがある。現在、資源枯渇の観点から、様々なもののリサイクルが進み、多量に消費されている金属のリサイクルも以前から行われていることから、アルミニウム基板からアルミニウム基板へ効率的な再利用を図るには、不良のアルミニウム基板を出荷前に確実に選別して排除することが重要である。そこで、アルミニウム基板を矯正焼鈍する前に、アルミニウム基板の表面の疵や異物からなる欠陥の有無を検査することがある。
【0004】
このアルミニウム基板の表面の検査では一般に、光学的な検査装置が用いられており、検査装置に搬送されてきたディスク基板の表面を照明装置で照明し、アルミニウム基板の表面の画像を撮像装置によって取り込み、欠陥の有無の判定を行っている。
【0005】
しかし、検査装置に搬送されてくるアルミニウム基板の表面には、アルミニウム合金を圧延した際の「圧延目」や、研削による鏡面加工に伴う「研削目」と称される筋状の微小凹凸が一方向に沿って形成されており、照明光の反射に影響を与えている。この圧延目は、検査装置で搬送される際に、必ずしも一定方向に揃っていないため、圧延目の方向によっては照明光が散乱反射されてコントラストが確保できず、アルミニウム基板の表面の欠陥を正確に確認できないという問題がある。
【0006】
このような問題に対して、例えば、特許文献1では、圧延後の金属条材を打ち抜いた磁気ディスク用ブランク材の矯正焼鈍を行う前に、ブランク載置台回転によって各ブランク材の面の圧延目が一定方向で揃うように回転操作し、圧延目が揃った状態で一枚ずつ積み重ねることを特徴とする積層ブランクを矯正焼鈍する方法が提案されている。
【0007】
また、特許文献2では、ターンテーブルの回転による缶蓋の圧延方向の変化にともなって、缶蓋のカール部に塗布したコンパウンドのショルダー側境界部を照明する照明方向を変更して被測定部分の輝度を均一化して撮影する缶蓋のコンパウンド塗膜位置検査方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-148119号公報
【特許文献2】特開昭63-151803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1では、事前にブランクの圧延目を揃えた状態で積層する工程を設けることで、圧延目を揃えた状態でアルミニウム基板の矯正焼鈍できるものであるが、アルミニウム基板の検査の直前に圧延目を揃える手段を配置することで検査の不具合を解消し得ることについては記載されておらず、示唆もされていない。
【0010】
また、特許文献2では、高精度で検査を行うためには、照明装置による照射方向を適宜変更するために照明装置を動かしたり、照明装置の数を増やしたりする必要があり、高精度検査を行うためには困難を伴なう。
【0011】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、事前の準備工程を設けたり、検査中に搬送手段を止めたりすることなく、連続して検査が可能であり、異なる角度から照射される複数の光源を設けたり、補正処理をしたりすることなく、圧延した金属板から打ち抜かれた円環状基板の欠陥を効率良く且つ正確に検出できる円環状基板の検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は、円環状基板の検査装置に係る[1]の構成により達成される。
[1] 圧延金属板から打ち抜いた円環状基板の表面に存在する欠陥を検査する円環状基板の検査装置であって、
搬送される前記円環状基板の圧延目又は研削目を検出するとともに、検出された圧延目又は研削目を一定方向に揃えるように前記円環状基板の圧延目又は研削目を調整する調整部と、
圧延目又は研削目が一定方向に揃えられた前記円環状基板を搬送する検査コンベアと、前記円環状基板に対して上方から光を照射する第1の照明装置と、前記円環状基板の光照射面を撮影する第1のラインカメラと、を有し、前記第1のラインカメラによって撮像された前記光照射面の画像を用いて、前記円環状基板の表面の欠陥を検査する第1の欠陥検査部と、を備える、
円環状基板の検査装置。
【0013】
本発明の上記目的は、円環状基板の検査方法に係る下記[2]の構成により達成される。
[2] 圧延金属板から打ち抜いた円環状基板の表面に存在する欠陥を検査する円環状基板の検査方法であって、
搬送される前記円環状基板の圧延目又は研削目を検出するとともに、検出された圧延目又は研削目を一定方向に揃えるように前記円環状基板の圧延目又は研削目を調整する調整工程と、
圧延目又は研削目が一定方向に揃えられた状態で搬送される前記円環状基板に対して、第1の照明装置によって前記円環状基板に対して上方から光を照射し、第1のラインカメラによって撮像された前記円環状基板の光照射面の画像を用いて、前記円環状基板の表面の欠陥を検査する第1の欠陥検査工程と、を備える、
円環状基板の検査方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の円環状基板の検査方法によれば、圧延目又は研削目の揃っていない円環状基板に対しても、搬送手段を止めることなく、連続して検査が可能であり、異なる角度から照射される複数の光源を設けたり、補正処理をしたりすることなく、圧延金属板から打ち抜かれた円環状基板の欠陥を効率良く且つ正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の円環状基板の検査装置の構成を示した概略図である。
【
図3】(A)~(C)は、剥離爪部の作用を示したモデル図である。
【
図4】(A)は、剥離搬送装置の作動態様を示した概略図であり、(B)は、吸着コンベアを示した底面図である。
【
図5】位相調整装置と、表面検査装置と、裏面検査装置と、を示す概略図である。
【
図6】(a)は、金属製基板の表面に現れる光芒を示す模式図であり、(b)は金属製基板の搬送方向と光芒とがなす角度αを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る円環状基板の検査装置と、円環状基板の検査方法について、図面を参照して説明する。また、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の円環状基板の検査装置は、搬送方向の上流側より順に、搬入装置10と、剥離装置20と、位相調整装置40と、表面検査装置60と、裏面検査装置70と、搬出装置80と、を備えている。以下、各装置について詳説するが、本発明の検査装置では、HDD用ディスク基板の製造過程における、圧延されたアルミニウム板から打ち抜かれた円環状の圧延基板や、これに加圧焼鈍、研削加工を施したグラウンド・サブストレート基板(円環状のアルミニウム基板)を検査の対象としている。したがって、本実施例では、このアルミニウム基板を金属製基板Wとして示し、金属製基板Wを積層したものを積層体2として示している。
また、この積層体2は、上下方向の不図示の軸支部に挿通された2枚の平坦な円環状スペーサの間に20~40枚程度の金属製基板Wを積層して矯正焼鈍したものである。積層体2は、上下方向に重ねた金属製基板Wの平坦面同士が圧着されることにより、中心に上下方向の貫通孔が形成された円柱状となる。
さらに、搬入装置10、剥離装置20、位相調整装置40、表面検査装置60、裏面検査装置70及び搬出装置80は、演算処理装置100と有線又は無線で接続されており、各装置での制御が実行される。なお、各装置10,20,40,60,70,80には、それぞれ図示しない制御部が別途設けられても良い。
【0018】
(搬入装置10)
搬入装置10は、不図示の搬送コンベアにより所定の搬入位置に搬入された積層体2を剥離装置20の近傍へ搬送し、該積層体2を移送部によって後述する剥離装置20の積層体支持部21に移送する搬入工程が行われる。
【0019】
(剥離装置20)
剥離装置20は、
図2に示すように、積層体支持部21と、押さえ部22と、剥離爪部23と、エアブロー装置24と、高さ検出装置25と、吸着コンベア30と、第1搬送コンベア26と、厚さ検出センサ27と、重なり基板排出部28と、を備えている。剥離装置20では、搬入工程によって積層体支持部21に支持された積層体2上面から1枚の金属製基板Wを剥離して、位相調整装置40側へと搬送する剥離工程と、該剥離工程によって積層体2から剥離された金属製基板Wが2枚以上重なった重なり状態が検出された場合には、金属製基板Wを搬送経路から排出する重なり基板排出工程と、が行われる。
【0020】
剥離工程は、まず、搬入工程によって積層体支持部21に搬入された積層体2の上面位置が所定の作業高さとなるように、積層体2の支持高さを調整する。次に、積層体2の外周面を押さえ部22により押さえる。次に、積層体2の上から1枚目の金属製基板Wを剥離爪23Aにより剥離させる。このとき、エアブロー装置24によって積層体2に向けてエアを供給することにより、積層体2からの金属製基板Wの剥離作業を補助する。次に、積層体2から剥離した金属製基板Wの上面を吸着コンベア30によって吸着し、第1搬送コンベア26に向けて搬送する。
【0021】
このとき、積層体2上面から金属製基板Wを剥離したことによって積層体2の高さが低くなるため、積層体支持部21と高さ検出装置25とを用いて、積層体2の支持位置を調整して、積層体2の上面を所定の作業高さとする。その後は、積層体2から全ての金属製基板Wを剥離するまで上記の作業を繰り返す。
【0022】
重なり基板排出工程は、まず、第1搬送コンベア26により搬送される金属製基板Wの厚さを厚さ検出センサ27により検出することにより、金属製基板Wが2枚以上重なった重なり状態であるか否かを検出する。次に、金属製基板Wの重なり状態が検出された場合には、重なり基板排出部28によって重なり状態の金属製基板Wを、第1搬送コンベア26の搬送路上から排出する。
【0023】
積層体支持部21は、積層体2の中心に挿通される不図示の支持軸と、載置された積層体2の支持位置を上下方向に調整可能な支持台と、を有している。積層体支持部21は、
図2に示すように、平面視で吸着コンベア30の搬送始端側を挟むように一対配置されている。
【0024】
押さえ部22は、平面視で積層体2を挟むように一対配置されている。各押さえ部22は、上下方向に延設されて積層体2の上から1枚目の円環状基板を除いた積層体の外周面を押さえる押さえ片22Aと、押さえ片22Aを積層体2の外周面に向かう進出方向と積層体2の外周面から離間する退出方向とに進退可能に支持する押さえ片支持部22Bと、を有している。
【0025】
押さえ片22Aは、積層体2の外周面に沿って平面視で円弧状に形成された押さえ面を有し、摩擦力の高いゴムや高分子材料で成型されている。押さえ片支持部22Bは、一対の押さえ片22Aを積層体2の外周面に同時に当接させて押さえる押さえ姿勢と、一対の押さえ片22Aを積層体2から離間させた非押さえ姿勢とに切換えることができる。
【0026】
なお、押さえ部22は、積層体2の外周面を押さえることによって、剥離爪部23で積層体2から上から1枚目の金属製基板Wを剥離する剥離作業が実行可能な構成であれば良い。すなわち、押さえ片22Aは、積層体2の上から1枚目を除いた全ての金属製基板Wの外周面を押さえる構成には限られない。例えば、積層体2の上から2枚目の円環状基板の外周面のみを押さえる構成であっても良い。
【0027】
剥離爪部23は、平面視で積層体2の外周に等間隔に3箇所配置されている。各剥離爪部23は、積層体2の上から1枚目の金属製基板Wの外周面側に当接する剥離爪23Aと、剥離爪23Aを積層体2の外周面に向かう進出方向と積層体2の外周面から離間する離間方向とに進退可能に支持する爪支持部23Bと、を有している。
【0028】
剥離爪23Aは、積層体2の外周面に向けて水平方向に延設されており、その基端側は上方揺動のみを許容する水平方向の揺動軸29を介して爪支持部23B側に支持されている。これにより、剥離爪23Aは、
図3(A)~(C)に示すように、積層体2の上から1枚目の金属製基板Wの外周面に当接した場合、積層体2側から受ける反力によって上方揺動する。すなわち、剥離爪部23によって金属製基板Wが持ち上げることができるため、積層体2の上から1枚目の金属製基板Wを効率良く且つ確実に剥離させることができる。
【0029】
また、剥離爪23Aは、積層体2の外周面側に3箇所から同時に作用することによって、積層体2の上から1枚目の金属製基板Wを剥離させることができる構成であれば良く、上記構成には限られない。例えば、剥離爪23Aが積層体の上から1枚目の金属製基板Wと上から2枚目の金属製基板との間に進入することにより、積層体2の上から1枚目の金属製基板Wを剥離させる不図示の侵入部を備えた構成としても良い。
【0030】
エアブロー装置24は、平面視で、積層体2の周囲に複数、図示する例では2つ配置されている。各エアブロー装置24は、平面視で、積層体2の外周面上部側に向けて、異なる角度からエアを供給する。すなわち、エアブロー装置24により、積層体2の上面からの金属製基板Wの剥離を促すとともに、剥離爪部23によって積層体2から剥離した金属製基板Wを浮かせて円滑且つ確実に吸着コンベア30に吸着させることができる。
【0031】
高さ検出装置25は、積層体の外周面に向けて照射されるレーザーセンサ又は光センサ等からなる高さ検出センサ25Aと、高さ検出センサ25Aを高さ調整可能に支持するセンサ支持部25Bと、高さ検出センサ25Aの照射方向であって平面視で積層体2の反対側に設置された受け板25Bと、を備えている。高さ検出装置25は、積層体支持部21に支持される積層体2が、剥離装置20によって上から1枚目の金属製基板Wの剥離作業が実行可能な作業高さに支持されたことを検出できる。
【0032】
具体的に説明すると、高さ検出装置25は、剥離装置20によって積層体2の上から1枚目の金属製基板Wが取出された場合、積層体2の高さが金属製基板W1枚分低くなるため、高さ検出センサのレーザー又は光が、積層体2の上面の上方を通過して、受け板25Cに照射された状態となる。このため、積層体2の上面が剥離作業を行う高さ位置よりも低いことを検出できる。該状態を検出した場合、高さ検出センサ25Aのレーザー又は光が積層体2の外周面によって遮られるまで、積層体支持部21による積層体2の支持位置を高くすることにより、積層体2を所定の作業高さに調整できる。
【0033】
厚さ検出センサ27は、吸着コンベア30から剥離した金属製基板Wを受け取った第1搬送コンベア26の搬送経路の上方に配置されいる。厚さ検出センサ27は、第1搬送コンベア26の上方から金属製基板Wまでの高さ距離を検出することにより、剥離装置20によって積層体から剥離された金属製基板Wが1枚の剥離状態なのか、2枚以上が重なった重なり状態なのかを判別できる。
【0034】
重なり基板排出部28は、第1搬送コンベア26の左右一方側に配置された排出シュート28Aと、第1搬送コンベア26の左右他方側に配置されて排出シュート28Aに向けて進退作動する押出装置28Bとを備えている。重なり基板排出部28は、厚さ検出センサ27によって、第1搬送コンベア26上の金属製基板Wが重なり状態であることが検出された場合には、第1搬送コンベア26上にある重なり状態の金属製基板Wを、押出装置28Bにより排出シュート28Aへと押し出す。
【0035】
ここで、
図4に基づき、吸着コンベア30について具体的に説明する。
図4(A)は、吸着コンベアの作動態様を示したモデル図であり、
図4(B)は、吸着コンベアの要部底面図である。
【0036】
吸着コンベア30は、下方が開放された直方体状の筐体31と、筐体31の下面側で長手方向に沿って延設された左右一対の吸着搬送ベルト32A,32Bと、筐体31上部の搬送上流側に配置された吸引装置33と、筐体31の上部の搬送下流側に設けられた上下方向の軸支部34とを備えている。
【0037】
吸着搬送ベルト32A,32Bは、
図4(A)に示すように、筐体31の長手方向に沿って複数並べて配置された従動プーリ35と、不図示のモータ等により駆動する駆動プーリ36とによって掛け回されている。吸着搬送ベルト32は、筐体31下面の搬送経路の幅方向の両側に一対配置されることにより、金属製基板W上面の両外縁側を支持できる。これにより、一対の吸着搬送ベルト32の間である、筐体31下面の長手方向中央側は開口部が形成される。
【0038】
吸着搬送ベルト32A,32Bは、
図4(B)に示すように、断面円形に形成されることによって金属製基板Wとの接触面積を減らす一方、2本のコンベアベルト32A,32Bを用いることで金属製基板Wの荷重を分散することができる。これにより、積層体2から剥離した金属製基板Wを搬送する際にコンベアベルト32A,32Bが金属製基板Wと摺接した場合であっても金属製基板Wを損傷することなく、高速で搬送することができる。
【0039】
吸引装置33は、左右一対の吸着搬送ベルトの間に配置されている。また、吸引装置33は、吸引コンベア30の搬送上流側であって、平面視で積層体支持部21の積層体2と重なる位置に設置されている。
【0040】
上記構成の吸着コンベア30によれば、まず、積層体2から剥離した金属製基板Wを、積層体2の真上側に配置された吸引装置33によって吸い上げ、金属製基板Wの上面両端側を吸着搬送ベルト32A,32Bによって支持する。次に、吸引装置33によって吸着搬送ベルト32A,32B側に支持された金属製基板Wを、吸着搬送ベルト32A,32Bによって搬送下流側の第1搬送コンベア26側に搬送する。次に、吸着搬送ベルト32A,32Bによって第1搬送コンベア26の始端側まで搬送された金属製基板Wは、吸引装置33までの距離が離れることにより吸引装置33から受ける吸引力が弱くなるため、自重によって第1搬送コンベア26へと自由落下する。以上により、剥離装置20によって積層体2上面から剥離された金属製基板Wを効率良く第1搬送コンベア26まで搬送できる。
【0041】
また、吸着コンベア30は、軸支部34に挿通された揺動軸を軸に左右揺動可能に支持されている。これにより、吸着コンベア30は、左右一方側に揺動作動されると、平面視で左右一方の積層体支持部21の真上に吸引装置33が配置され、左右他方側に揺動作動されると、平面視で左右他方側の積層体支持部21の真上に吸引装置33が配置される。
【0042】
これにより、吸着コンベア30が揺動軸34を軸に左右一方に揺動されると、剥離装置20は、揺動した側の積層体支持部21に支持された積層体2に対して金属製基板Wの剥離作業を行う。このとき、搬入装置10により左右他方側の積層体支持部21へ積層体2の搬入作業が行われる。次に、左右一方側に配置された積層体2から全ての金属製基板Wの剥離作業が完了した場合には、吸着コンベア30は、左右一方側から左右他方側へと自動的に揺動作動され、剥離装置20が左右他方側の積層体支持部21に支持された積層体2から金属製基板Wの剥離作業を行う。このとき、搬入装置10により左右一方側の積層体支持部21への積層体2の搬入作業が行われる。
【0043】
上述の搬入装置10及び剥離装置20によれば、搬入装置10による積層体2の搬入作業と、剥離装置20による積層体2からの金属製基板Wの剥離作業とを、途切れることなく連続して行うことができるため、作業効率が高くなる。
【0044】
(位相調整装置40)
位相調整装置40は、位相検出部41と、位相合わせ部(位相調整コンベア)42と、を有している。位相調整装置40では、剥離装置20による金属製基板の剥離工程の次工程として、位相検出部41により搬送された金属製基板Wの圧延目Wa又は研削目からなる位相を検出し、位相合わせ部42により金属製基板Wの位相を一定方向に揃える位相調整工程(調整工程)が行われる。
【0045】
位相検出部41は、まず、第1搬送コンベア26により剥離装置20から搬送されてくる金属製基板Wを第2搬送コンベア46で受け取り、金属製基板Wの上方に配置した位相検出用の照明装置であるリング照明47から光を照射する。金属製基板Wの表面には、圧延に由来する筋状の微小凹凸、即ち圧延目(または研削による鏡面加工に伴う研削目)Waが形成されており、金属製基板Wの表面に光を照射すると、
図6(a)に示すように、圧延目Waと直交する光芒15が現れ、この光芒15を位相検出用の撮像装置として用いるエリアカメラであるCCDカメラ48で撮影する。
【0046】
そして、
図6(b)に示すように、演算処理装置100は、光芒15の軸線C1と、金属製基板Wの搬送方向の軸線C2とがなす角度αを求める。
【0047】
位相合わせ部42は、第2搬送コンベア46の下流側であって、搬送経路の幅方向両側に設けられ、かつ、互いの搬送速度を異ならせて搬送するように互いに独立して駆動される第1の角度振りコンベア部51及び第2の角度振りコンベア部52を備える。
図7は位相合わせ部42を示す上面図であり、
図8はその側面図である。
【0048】
第1の角度振りコンベア部51及び第2の角度振りコンベア部52はそれぞれ、筐体50に取り付けられたサーボモータ(駆動モータ)51a,52aと、筐体50内に配置され、サーボモータ51a,52aからの動力を駆動プーリ53aに伝達する、ベルトプーリなどの動力伝達部58と、駆動プーリ53a及び複数の従動プーリ53bに巻き掛けられ、断面円形の複数本(本実施形態では、2本)のコンベアベルト54,55と、を備える。
【0049】
また、第1の角度振りコンベア部51及び第2の角度振りコンベア部52には、搬送される金属製基板Wの外周面と対向する筐体50の部分に、金属製基板Wの外周面を案内するように、搬送方向に沿って延びる案内面を有する樹脂製のガイド部材56が設けられる。
【0050】
これにより、第1の角度振りコンベア部51の搬送速度はサーボモータ51aの回転数により、第2の角度振りコンベア部52の搬送速度はサーボモータ52aの回転数により、それぞれ調整される。また、第1の角度振りコンベア部51と第2の角度振りコンベア部52は、互いの搬送速度を異ならせることで、金属製基板Wは、ガイド部材56の案内面に案内されながら、位相合わせ部42を約0.5秒で高速搬送される間に、水平な状態で回転する。
【0051】
即ち、第1の角度振りコンベア部51の搬送速度を第2の角度振りコンベア部52の搬送速度よりも早くすると、金属製基板Wは
図7にて時計回りに回転し、その逆に第2の角度振りコンベア部52の搬送速度を第1の角度振りコンベア部51の搬送速度よりも早くすると、金属製基板Wは
図7にて反時計回りに回転する。従って、位相検出部41で検出した光芒15の軸線C1と金属製基板Wの搬送方向の軸線C2とがなす角度αに応じて、第1の角度振りコンベア部51と第2の角度振りコンベア部52との搬送速度の差を調整することにより、金属製基板Wの角度αを所定の範囲内に収めることができる。
【0052】
さらに、第1の角度振りコンベア部51及び第2の角度振りコンベア部52は、断面円形のコンベアベルト54,55によって金属製基板Wとの接触面積を減らす一方、2本のコンベアベルト54,55を用いることで金属製基板Wの荷重を分散することができる。これにより、位相調整の際にコンベアベルト54,55が金属製基板Wと摺接した場合であっても金属製基板Wを損傷することなく、高速で搬送することができる。
【0053】
剥離装置20から搬送されてくる金属製基板Wの圧延目Waは、金属製基板Wごとに様々な方向を向いて、角度αも様々な値となるが、位相合わせ部42によって、全ての金属製基板Wの圧延目Waが実質的に搬送方向に揃ったものとなる。なお、本実施形態では、位相合わせ部42による角度αの分解能は±2°で、補正精度は、±5°以内としている。
【0054】
また、位相合わせ部42は、第1の角度振りコンベア部51及び第2の角度振りコンベア部52の上流側及び下流側に、上流側透過センサ57A及び下流側透過センサ57Bをそれぞれ備える。
そして、下流側透過センサ57Bによって金属製基板Wの排出が検出される前に、上流側透過センサ57Aによって金属製基板Wの搬入が検出された場合に、表面検査装置60は、上流側透過センサ57Aによって検出された金属製基板Wを再検査対象として、検査を行わず、或いは、検査結果を正しい検査として扱わずに、後工程へ送る。
【0055】
なお、本実施例では、位相検出部41による角度αの検出は、金属製基板Wが第2搬送コンベア46上にある時に実行されるが、金属製基板Wが位相合わせ部42の第1の角度振りコンベア部51及び第2の角度振りコンベア部52の上にある時に実行しても良い。この場合、第1の角度振りコンベア部51及び第2の角度振りコンベア部52の上流側で位相検出部41による角度αの検出をした後に、第1の角度振りコンベア部51及び第2の角度振りコンベア部52の搬送速度の調整が開始される。
【0056】
(表面検査装置60)
表面検査装置60は、位相合わせ部42の次工程にて、金属製基板Wの表面の欠陥を検査する第1の欠陥検査工程が行われる。検査方法としては、
図5に示すように、検査コンベア63で搬送される金属製基板Wに対し、検査コンベア63の上方に配置された第1の照明装置64で金属製基板の表面に光を照射し、第1の照明装置64の上方に配置された第1の撮像装置65であるCCDラインカメラを用いて金属製基板Wの表面を撮影し、画像解析して欠陥の有無を調べる。
【0057】
第1の照明装置64には、第1の撮像装置65が撮影する金属製基板Wの幅方向全域を照明できるようにライン型照明が使用されている。第1の撮像装置65には、CCDラインカメラが用いられているので、CCDアレイの1ライン分の隙間があれば観察が可能であり、撮像結果をスキャン合成することで安定した検査が可能となる。
【0058】
また、第1の撮像装置65により撮像される金属製基板Wは、位相合わせ部42により金属製基板Wの圧延目Waの方向が揃えられているため、全ての金属製基板Wにおいて、カメラの映像に乱反射や、暗視野状態が起こることがなくなり、高精度なライン検査が可能となる。
【0059】
(裏面検査装置70)
裏面検査装置70は、第1欠陥検査工程の次工程にて、金属製基板Wの裏面の欠陥を検査する第2の欠陥検査工程が行われる。検査方法としては、
図5に示すように、吸着コンベア71により金属製基板Wの上面を吸い上げた状態で、吸着コンベア71の下方に配置された第2の照明装置72で金属製基板Wの裏面に光を照射し、第2の撮像装置73であるCCDラインカメラを用いて金属製基板Wの裏面を撮影し、画像解析して欠陥の有無を調べる。
【0060】
第2の照明装置72には、第2の撮像装置73が撮影する金属製基板Wの幅方向全域を照明できるようにライン型照明が使用されている。第2の撮像装置73には、CCDラインカメラが用いられているので、CCDアレイの1ライン分の隙間があれば観察が可能であり、撮像結果をスキャン合成することで安定した検査が可能となる。
【0061】
吸着コンベア71は、下方が開放された直方体状の筐体74と、筐体74の下面側で長手方向に沿って延設された左右一対の吸着搬送ベルト75,75と、筐体74上部の搬送上流側に配置された吸引装置76と、を備えている。
【0062】
吸着コンベア71は、
図4(A)に示される吸着コンベア30と同様に、吸引装置76によって吸着搬送ベルト75に吸着させた金属製基板Wを搬送することができる。このとき、金属製基板Wは、上面側が吸着搬送ベルト75に支持されて下方側が開放された状態となる。このため、
図5に示すように、吸引装置76の下方側に配置された第2の撮像装置73によって金属製基板Wの下面側を撮影できる。
【0063】
なお、金属製基板Wの表面と裏面とに形成される圧延目Waは、金属製基板Wの表裏面で実質的に同じ方向に形成されている。このため、表面検査装置60の検査コンベア63から裏面検査装置70の吸着コンベア71が受け取った金属製基板Wは、位相合わせ部42により位相が揃った状態が維持されている。すなわち、吸着コンベア71は、裏面の圧延目Waが揃った状態の金属製基板Wを搬送することができる。
【0064】
第1の撮像装置65及び第2の撮像装置73により撮像される金属製基板Wは、位相合わせ部42により金属製基板Wの圧延目Waの方向が揃えられているため、全ての金属製基板Wにおいて、カメラの映像に乱反射や、暗視野状態が起こることがなくなり、高精度なライン検査が可能となる。
【0065】
上記により、金属製基板Wの表面と裏面の欠陥検査が完了する。なお、表面検査装置60と、裏面検査装置70とは、検査対象の金属製基板Wが位相調整装置40による位相調整工程の後であれば、順番が逆に配置された構成であっても良い。
【0066】
(搬出装置80)
搬出装置80は、
図5及び
図9に示されるように、吸着コンベア71の搬送終端側で吸着搬送された金属製基板Wを受け取る第3搬送コンベア81と、第3搬送コンベア81から受け取った金属製基板Wを検査結果に応じて3箇所に振り分ける振分コンベア82と、振分コンベア82から検査が完了した金属製基板Wを搬出する3つの搬出コンベア83,84,85と、を備える。
【0067】
振分コンベア82は、第3搬送コンベア81の下流側に配置され、搬送基端側を軸に左右方向に揺動作動可能に軸支されている。
【0068】
振分コンベア82の搬送下流側には、検査済みの金属製基板Wの受け渡し先として、欠陥が発見されなかった金属製基板W1を搬出する第1搬出コンベア83と、欠陥が発見された金属製基板W2を搬出する第2搬出コンベア84と、検査工程に不具合があった前記金属製基板W3を搬出する第3搬出コンベア85と、が平面視で放射状に配置されている。
【0069】
上述したように、表面検査装置60及び裏面検査装置70は、欠陥のない良品W1、欠陥のある不良品W2の他、正常な検査ができていなかったり、目視検査が必要であったりする再検査品W3とを、判定する。このため、振分コンベア82は、欠陥のない良品W1、欠陥のある不良品W2、再検査品W3の検査結果に応じて左右揺動作動することにより金属製基板W1,W2,W3の搬出先を振り分ける。
【0070】
第1搬出コンベア83の搬送端側には、欠陥の発見されなかった金属製基板W1を回収する良品回収装置86が設けられている。良品回収装置86は、所定角度毎に金属製基板W1の中心孔が挿通される上下方向の支持軸が配置される円盤状のターンテーブルと、中心軸を軸にターンテーブルを回転駆動させる不図示のモータと、支持軸に積層された金属製基板Wの高さを検出する不図示のセンサと、を有する。図示する例では、ターンテーブルには、支持軸が中央の回転軸を中心に90°毎に配置され、モータによって、90°毎に回転作動する。
【0071】
第2搬出コンベア84の搬送端側には、欠陥の発見された金属製基板W2を回収する欠陥品回収装置87が設けられ、第3搬出コンベア85の搬送端側には、再検査の必要な金属製基板W3を回収する再検査品回収装置88が設けられている。欠陥品回収装置87と、再検査品回収装置88とは、両端側に金属製基板W2,W3の中心孔が挿通される上下方向の支持軸が配置された長手状の板状部材からなるターンテーブルと、中心軸を軸にターンテーブルを回転駆動させる不図示のモータと、支持軸に積層された金属製基板Wの高さを検出する不図示のセンサと、を有する。図示する例では、ターンテーブルには、モータによって180°毎に回転作動する。
【0072】
上記により、各回収装置86,87,88は、各搬出コンベア83,84,85の搬送終端側に支持軸を配置し、該支持軸に金属製基板Wの中心が挿通させながら積層する。ターンテーブル上で積層した金属製基板Wが所定高さに到達したことが検出された場合、隣接する支持軸が各搬出コンベアの搬送終端側に配置されるようにターンテーブルを回転作動する。すなわち、作業者は、各搬出コンベア83,84,85から搬出される金属製基板W1,W2,W3を、各回収装置86,87,88によって所定枚数を積層させた状態にしてから効率良く搬出できる。
【0073】
本実施形態の検査装置によれば、金属板を圧延して打ち抜かれたブランクをPVA砥石で研削加工したグラウンド・サブストレート基板における欠陥の有無を高精度で検査することができる。そして、上記の表面検査装置60及び裏面検査装置70による両検査に合格したディスク基板は、常法に従い、ジンケート処理、無電解ニッケル-リンめっきを施し、研磨加工され、その上から磁性膜をスパッタリングにより成膜する。
【0074】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものでなく、適宜、変更、改良などが可能である。
例えば、本実施形態の位相調整コンベアは、表面検査システムでの適用に限らず、円環状の金属製基板を搬送させながら回転させる機構が必要ないずれのシステムにも適用可能である。
【0075】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 圧延金属板から打ち抜いた円環状基板の表面に存在する欠陥を検査する円環状基板の検査装置であって、
搬送される前記円環状基板の圧延目又は研削目を検出するとともに、検出された圧延目又は研削目を一定方向に揃えるように前記円環状基板の圧延目又は研削目を調整する調整部と、
圧延目又は研削目が一定方向に揃えられた前記円環状基板を搬送する検査コンベアと、前記円環状基板に対して上方から光を照射する第1の照明装置と、前記円環状基板の光照射面を撮影する第1のラインカメラと、を有し、前記第1のラインカメラによって撮像された前記光照射面の画像を用いて、前記円環状基板の表面の欠陥を検査する第1の欠陥検査部と、を備える、
円環状基板の検査装置。
本構成によれば、圧延目又は研削目の揃っていない円環状基板に対しても、搬送手段を止めることなく、連続して検査が可能であり、複数の光源や補正処理を必要とすることなく、圧延金属板から打ち抜かれた各円環状基板の欠陥を正確に検出することができる。
【0076】
(2) 圧延目又は研削目が一定方向に揃えられた前記円環状基板の上面側を吸着して搬送する基板保持装置と、前記基板保持装置によって上面側が保持される前記円環状基板に対して下方から光を照射する第2の照明装置と、前記円環状基板の光照射面を撮影する第2のラインカメラと、を有し、前記第2のラインカメラによって撮像された前記光照射面の画像を用いて、前記円環状基板の裏面の欠陥を検査する第2の欠陥検査部、をさらに備える、
(1)に記載の円環状基板の検査装置。
本構成によれば、円環状基板の表面と裏面の欠陥検査を一貫して行うことができるとともに、円環状基板を裏返すことなく円環状基板の裏面を検査できるため、作業効率が向上する。
【0077】
(3) 前記基板保持装置は、平面視で前記第2のラインカメラと重なる位置に配置されて前記円環状基板の上面中央側を吸引する吸引装置と、搬送方向に沿って延設されて前記円環状基板の上面の外周両端を支持するように配置された左右一対の吸着搬送ベルトと、を有する、
(2)に記載の円環状基板の検査装置。
本構成によれば、基板保持装置が円環状基板の上面を保持して搬送している最中に円環状基板の裏面を撮影できる。また、基板保持装置と、第2のラインカメラとが平面視で重なるように配置されるとともに、円環状基板をひっくり返す構成を省略できるため、第2の欠陥検査部を簡略化できる。
【0078】
(4) 前記調整部は、
前記円環状基板の圧延目又は研削目を検出するための照明装置と、前記光が照射された前記円環状基板の光照射面を撮影するエリアカメラと、搬送方向に沿って左右に並べて配置されて互いの搬送速度を異ならせて搬送するように互いに独立して駆動される第1の角度振りコンベア部及び第2の角度振りコンベア部と、を有し、
前記円環状基板の圧延目又は研削目と直交する方向に現れる光芒を前記エリアカメラで撮影するとともに、搬送方向に対して前記光芒の軸線がなす角度を検出し、前記角度を基に、前記第1の角度振りコンベア部及び前記第2の角度振りコンベア部の各搬送速度を調整して前記円環状基板を搬送しながら水平に回転させることにより、前記角度を前記円環状基板の搬送方向に対して所定の範囲内に揃える、
(1)~(3)のいずれか1つに記載の円環状基板の検査装置。
本構成によれば、圧延目又は研削目を揃えた状態の円環状基板を第1の欠陥検査部に送ることができるため、円環状基板の欠陥検査を正確に行うことができる。
【0079】
(5) 前記調整部の上流に設けられ、複数の前記円環状基板を積層した円柱状の積層体を搬入する搬入機構と、
前記搬入機構により搬入された前記積層体の上から1枚目の前記円環状基板を剥離する剥離機構と、を備える
(1)~(4)のいずれか1つに記載の円環状基板の検査装置。
本構成によれば、検査装置に積層体を搬入する作業と、積層体から円環状基板を剥がす作業を一体的に自動化できるため、円環状基板の検査を効率良く行うことができる。
【0080】
(6) 前記剥離機構は、上から1枚目の前記円環状基板を除いた前記積層体の外周面を押さえる押さえ部と、前記積層体の上から1枚目の前記円環状基板を前記積層体から剥離させる剥離爪と、前記剥離爪により剥離された前記円環状基板を搬送する剥離搬送装置と、を有する、
(5)に記載の円環状基板の検査装置。
本構成によれば、積層体の上から1枚ずつ順番に円環状基板を剥がし、剥がした円環状基板を効率良く、調整部へと搬送できる。
【0081】
(7) 前記剥離搬送装置は、平面視で前記積層体と重なる位置に配置されて前記円環状基板の上面中央側を吸引する吸引装置と、搬送方向に沿って延設されて前記円環状基板の上面の外周両端を支持するように左右一対配置された吸着搬送ベルトと、を有する、
(6)に記載の円環状基板の検査装置。
本構成によれば、吸引装置を左右一対の吸着搬送ベルトの間に配置したことにより、吸引装置による吸引力を効率よく円環状基板の上面に作用させることができる。このため、剥離搬送装置は、積層体の上面から剥離した円環状基板を円滑且つ確実に吸着保持し、搬送できる。
【0082】
(8) 前記剥離機構は、前記積層体から剥離された前記円環状基板が2枚以上重なった重なり状態であることを検出する厚さ検出センサと、重なり状態の前記円環状基板を搬送経路から排出する重なり基板排出部とを、さらに有する、
(5)~(7)のいずれか1つに記載の円環状基板の検査装置。
本構成によれば、剥離機構によって積層体から剥離した円環状基板が重なり状態となった場合に、重なり状態の円環状基板を調整部に搬送される前に、搬送経路から排出することができるため、重なり状態の円環状基板をそのまま検査して検査不良が起きることや、調整部や第1の欠陥検査部に重なり状態の円環状基板が搬送されて不具合がでることを防止できる。
【0083】
(9) 検査が完了した前記円環状基板を搬出する搬出機構を備え、
前記搬出機構は、検査が完了した前記円環状基板を、欠陥が発見されなかった前記円環状基板を搬出する第1搬出部と、欠陥が発見された前記円環状基板を搬出する第2搬出部と、第1の欠陥検査部の検査に不具合があった前記円環状基板を搬出する第3搬出部と、に振り分ける、
(1)~(8)のいずれか1つに記載の円環状基板の検査装置。
本構成によれば、搬出機構は、検査結果に応じて、欠陥の発見されなかった円環状基板と、欠陥の発見された円環状基板と、検査工程に不具合のあった円環状基板とに自動的に振り分けるため、検査結果の良好な円環状基板を効率良く取り出すことができる。また、検査工程に不具合のあった円環状基板を再度検査することで、欠陥がないにも関わらず円環状基板が廃棄される事態を効率よく防止できる。
【0084】
(10) 圧延金属板から打ち抜いた円環状基板の表面に存在する欠陥を検査する円環状基板の検査方法であって、
搬送される前記円環状基板の圧延目又は研削目を検出するとともに、検出された圧延目又は研削目を一定方向に揃えるように前記円環状基板の圧延目又は研削目を調整する調整工程と、
圧延目又は研削目が一定方向に揃えられた状態で搬送される前記円環状基板に対して、第1の照明装置によって前記円環状基板に対して上方から光を照射し、第1のラインカメラによって撮像された前記円環状基板の光照射面の画像を用いて、前記円環状基板の表面の欠陥を検査する第1の欠陥検査工程と、を備える、
円環状基板の検査方法。
本構成によれば、圧延目又は研削目を揃えた状態の円環状基板を第1の欠陥検査工程を実行できるため、円環状基板の欠陥検査を効率良く且つ正確に行うことができる。
【0085】
(11) 圧延目又は研削目が一定方向に揃えられた前記円環状基板の上面側を吸着して搬送する基板保持装置と、前記基板保持装置によって上面側が保持される前記円環状基板に対して下方から光を照射する第2の照明装置と、前記円環状基板の光照射面を撮影する第2のラインカメラと、を有し、前記第2のラインカメラによって撮像された前記光照射面の画像を用いて、前記円環状基板の裏面の欠陥を検査する第2の欠陥検査工程、をさらに備える、
(10)に記載の円環状基板の検査方法。
本構成によれば、円環状基板の表面と裏面の欠陥検査を一貫して行うことができるとともに、円環状基板を裏返すことなく円環状基板の裏面を検査できるため、作業効率が向上する。
【0086】
(12) 前記第2の欠陥検査工程は、平面視で前記第2のラインカメラと重なる位置に配置された吸引装置によって前記円環状基板の上面中央側を吸引し、搬送方向に沿って延設された左右一対の吸着搬送ベルトによって前記円環状基板の上面の外周両端を支持することにより、圧延目又は研削目が一定方向に揃えられた前記円環状基板の上面側を保持して搬送する、
(11)に記載の円環状基板の検査方法。
本構成によれば、基板保持装置が円環状基板の上面を保持して搬送している最中に円環状基板の裏面を撮影できるため、円環状基板をひっくり返すことなく効率良く検査を行うことができる。
【0087】
(13) 前記調整工程は、圧延目又は研削目を検出するための照明装置によって前記円環状基板に対して光を照射し、エリアカメラによって撮像された前記円環状基板の光照射面の画像を用いて、前記円環状基板の圧延目又は研削目と直交する方向に現れる光芒の軸線が搬送方向に対してなす角度を検出し、搬送方向に沿って左右に並べて配置されて互いの搬送速度を異ならせて搬送するように互いに独立して駆動される第1の角度振りコンベア部及び第2の角度振りコンベア部の各搬送速度を、前記角度を基に調整して前記円環状基板を搬送しながら水平に回転させることにより、前記角度を前記円環状基板の搬送方向に対して所定の範囲内に揃える、
(10)~(12)の何れか1つに記載の円環状基板の検査方法。
本構成によれば、圧延目又は研削目を揃えた状態の円環状基板を検査できるため、円環状基板の欠陥検査を正確に行うことができる。
【0088】
(14) 前記調整工程の前に、複数の前記円環状基板を積層した円柱状の積層体を搬入する搬入工程と、前記搬入工程により搬入された前記積層体の上から1枚目の前記円環状基板を剥離する剥離工程と、をさらに備える
(10)~(13)の何れか1つに記載の円環状基板の検査方法。
本構成によれば、検査装置に積層体を搬入する作業と、積層体から円環状基板を剥がす作業を一体的に自動化できるため、円環状基板の検査をより効率良く行うことができる。
【0089】
(15) 前記剥離工程は、押さえ部によって上から1枚目の前記円環状基板を除いた前記積層体の外周面を押さえ、剥離爪によって前記積層体の上から1枚目の前記円環状基板を前記積層体から剥離させ、剥離搬送装置により前記積層体から剥離させた前記円環状基板を搬送する、
(14)に記載の円環状基板の検査方法。
本構成によれば、積層体の上から1枚ずつ順番に円環状基板を剥がし、剥がした円環状基板を効率良く調整部へと搬送できる。
【0090】
(16) 前記剥離工程は、平面視で前記積層体と重なる位置に配置された吸引装置によって前記円環状基板の上面中央側を吸引し、搬送方向に沿って延設された左右一対の吸着搬送ベルトによって前記円環状基板の上面の外周両端を支持することにより、前記積層体から剥離した前記円環状基板の上面側を保持して搬送する、
(15)に記載の円環状基板の検査方法。
本構成によれば、吸引装置による吸引力を効率よく円環状基板の上面に作用させることができるため、積層体の上面から剥離した円環状基板を円滑且つ確実に吸着保持し、搬送できる。
【0091】
(17) 前記積層体から剥離された前記円環状基板が2枚以上重なった重なり状態であることを検出する厚さ検出センサを有し、重なり状態の前記円環状基板を搬送経路から排出する二重基板排出工程、をさらに備える、
(14)~(16)のいずれか1つに記載の円環状基板の検査方法。
本構成によれば、重なり状態の円環状基板が調整工程で圧延目又は研削目の調整操作がされたり、第1の欠陥検査工程で、そのまま検査が行われたりすることを防止できる。
【0092】
(18) 検査が完了した前記円環状基板を搬出する搬出工程、をさらに備え、
前記搬出工程は、検査が完了した前記円環状基板を、欠陥が発見されなかった前記円環状基板を搬出する第1搬出部と、欠陥が発見された前記円環状基板を搬出する第2搬出部と、検査工程に不具合があった前記円環状基板を搬出する第3搬出部と、に振り分ける、
(10)~(17)の何れか1つに記載の円環状基板の検査方法。
本構成によれば、搬出機構は、検査結果に応じて、欠陥の発見されなかった円環状基板と、欠陥の発見された円環状基板と、検査工程に不具合のあった円環状基板とに自動的に振り分けるため、検査結果の良好な円環状基板を効率良く取り出すことができる。また、検査工程に不具合のあった円環状基板を再度検査することで、欠陥がないにも関わらず円環状基板が廃棄される事態を効率よく防止できる。
【符号の説明】
【0093】
2 積層体
10 搬入装置(搬入機構)
15 光芒
20 剥離装置(剥離機構)
22 押さえ部
23A 剥離爪
27 厚さ検出センサ
28 重なり基板排出部
30 吸着コンベア(剥離搬送装置)
32 吸着搬送ベルト
33 吸引装置
40 位相調整装置(調整部)
47 リング照明(圧延目又は研削目を検出するための照明装置)
48 CCDカメラ(エリアカメラ)
51 第1の角度振りコンベア部
52 第2の角度振りコンベア部
60 表面検査装置(第1の欠陥検査部)
63 検査コンベア
64 第1の照明装置
65 第1の撮像装置(第1のラインカメラ)
71 吸着コンベア(基板保持装置)
72 第2の照明装置
73 第2の撮像装置(第2のラインカメラ)
75 吸着搬送ベルト
76 吸引装置
80 搬出装置(搬出機構)
83 第1搬出コンベア(第1搬出部)
84 第2搬出コンベア(第2搬出部)
85 第3搬出コンベア(第3搬出部)
W 金属製基板(円環状基板)
Wa 圧延目