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▶ 株式会社オメガの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083984
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】水質浄化方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20230101AFI20240617BHJP
【FI】
C02F1/28 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198113
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【テーマコード(参考)】
4D624
【Fターム(参考)】
4D624AA04
4D624AB02
4D624BA02
4D624DA04
4D624DA07
4D624DB06
(57)【要約】
【課題】活性炭を使用した処理がし易い水質浄化方法を提供しようとするもの。
【解決手段】活性炭処理の吸着量と時間の吸着曲線において、累積最大吸着量に対し累積吸着量が低い時点で活性炭を抜き出して再生すると共に、前記抜き出した活性炭の吸着量に応じて活性炭の再生時間を調整するようにした。前記活性炭に対する被処理水のCOD成分の累積最大吸着量0.1~1.0g/活性炭1gに対し、浄化処理時の累積吸着量を0.01~0.1g/活性炭1gと約1/10に設定してもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性炭処理の吸着量と時間の吸着曲線において、累積最大吸着量に対し累積吸着量が低い時点で活性炭を抜き出して再生すると共に、前記抜き出した活性炭の吸着量に応じて活性炭の再生時間を調整するようにしたことを特徴とする水質浄化方法。
【請求項2】
前記活性炭に対する被処理水のCOD成分の累積最大吸着量0.1~1.0g/活性炭1gに対し、浄化処理時の累積吸着量を0.01~0.1g/活性炭1gと約1/10に設定した請求項1記載の水質浄化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排水その他の被処理水の水質浄化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、活性炭に関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、活性炭は、細孔を有する多孔性の炭素質物質で,大きな比表面積と吸着能を持つ物質である。一般にヤシ殻、おがくず等の植物、石炭、石油、合成樹脂等を原料とし、これらを炭素化、賦活して製造する。
賦活法には、ガス賦活法や薬品賦活法等がある。細孔量や比表面積が大きいことを利用して、脱臭や脱色、水質浄化、有害物質の吸着などに用いられている、というものである。
これに対し、活性炭を使用した処理がし易い水質浄化方法が得たいという要望があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-23420
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこでこの発明は、活性炭を使用した処理がし易い水質浄化方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の水質浄化方法は、活性炭処理の吸着量と時間の吸着曲線において、累積最大吸着量に対し累積吸着量が低い時点で活性炭を抜き出して再生すると共に、前記抜き出した活性炭の吸着量に応じて活性炭の再生時間を調整するようにしたことを特徴とする。
前記再生として、活性炭を約900℃程度に昇温する賦活を例示することができる。
【0006】
この水質浄化方法は、活性炭処理の吸着量と時間の吸着曲線(吸着量の経時変化曲線)において、累積最大吸着量(例えば活性炭1g当たりCOD 0.2g)に対し累積吸着量が低い時点(例えば活性炭1g当たりCOD 0.02g)で活性炭を抜き出して再生するようにしたので、その時点では活性炭の微細孔の吸着度合いは低い段階である。
【0007】
そして、前記抜き出した活性炭の吸着量(例えば活性炭1g当たりCOD 0.02g)に応じて活性炭の再生時間を調整するようにしたので、活性炭の再生時間は、微細孔への吸着度合いが低い時点の活性炭に対応する時間で足りることとなる。
また、活性炭の吸着平衡が立って汚れ物質などを吸着しなくなるまで処理を行い浄化処理の終了後に活性炭を全量再生するバッチ方式ではなく(活性炭の全量一括交換はたいへん)、浄化処理中に活性炭を抜き出して再生しながら戻すことができる。
【0008】
例えば、被処理水(排水)のCOD(化学的酸素要求量)が24,000ppm、処理量が10m3/日として、COD量は24,000ppm ×10m3/日=240kg/日=10kg/時となる。これに対し、前記累積吸着量が活性炭1g当たりCOD 0.02gとしたら、必要活性炭量はCOD10kg/時÷COD0.02g/活性炭1g=活性炭500kg/時となり、1時間当たり活性炭を500kg再生するように時間調整すればいいこととなり、吸着平衡が立った活性炭の全量一括交換はしなくてもいいことになる。
【0009】
(2)前記活性炭に対する被処理水のCOD成分の累積最大吸着量0.1~1.0g/活性炭1gに対し、浄化処理時の累積吸着量を0.01~0.1g/活性炭1gと約1/10に設定するようにしてもよい。
このように、(排水の性状にもよるが)活性炭に対する被処理水(例えば排水)のCOD成分の累積最大吸着量0.1~1.0g/活性炭1gに対し、浄化処理時の累積吸着量を0.01~0.1g/活性炭1gと約1/10に設定すると、活性炭の吸着平衡が立つぎりぎりのところではなくその約1/10のところで、吸着平衡となるまでにはかなりの余裕がある時点(約9/10の余裕あり)で抜き出して再生することとなり、活性炭処理の安定性(約9/10の余裕)と活性炭の再生量(排水のCOD負荷量(kg)を累積吸着量で割った数値)とのバランスを取ることができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
浄化処理中に活性炭を抜き出して再生しながら戻すことができるので、活性炭を使用した処理がし易い水質浄化方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を説明する。
この実施形態の水質浄化方法は、活性炭処理の吸着量と時間の吸着曲線において、累積最大吸着量(活性炭1g当たりCOD 0.2g)に対し累積吸着量(活性炭1g当たりCOD 0.02g)が低い時点で活性炭を抜き出して再生すると共に、前記抜き出した活性炭の吸着量に応じて活性炭の再生時間を調整するようにした。
【0012】
具体的には、被処理水(排水)のCODが24,000ppm、処理量が10m3/日として、COD量は24,000ppm ×10m3/日=240kg/日=10kg/時となる。これに対し、前記累積吸着量が活性炭1g当たりCOD 0.02gとしており、必要活性炭量はCOD10kg/時÷COD0.02g/活性炭1g=活性炭500kg/時となり、1時間当たり活性炭を500kg再生するように時間調整した。再生の態様は、活性炭を約900℃程度に昇温する賦活とした。
【0013】
また、前記活性炭に対する被処理水(排水)のCOD成分の累積最大吸着量0.2g/活性炭1gに対し、浄化処理時の累積吸着量を0.02g/活性炭1gと約1/10に設定した。
【0014】
次に、この実施形態の水質浄化方法の使用状態を説明する。
この水質浄化方法は、活性炭処理の吸着量と時間の吸着曲線において、累積最大吸着量(活性炭1g当たりCOD 0.2g)に対し累積吸着量が低い時点(活性炭1g当たりCOD 0.02g)で活性炭を抜き出して再生するようにしたので、その時点では活性炭の微細孔の吸着度合いは低い段階であった。
【0015】
そして、前記抜き出した活性炭の吸着量(活性炭1g当たりCOD 0.02g)に応じて活性炭の再生時間を調整するようにしたので、活性炭の再生時間は、微細孔への吸着度合いが低い時点の活性炭に対応する時間で足りることとなった。
また、活性炭の吸着平衡が立って汚れ物質などを吸着しなくなるまで処理を行い浄化処理の終了後に活性炭を全量再生するバッチ方式ではなく、浄化処理中に活性炭を抜き出して再生しながら戻すことができ、活性炭を使用した処理がし易いものであった。
【0016】
さらに、活性炭に対する被処理水(排水)のCOD成分の累積最大吸着量0.2g/活性炭1gに対し、浄化処理時の累積吸着量を0.02g/活性炭1gと約1/10に設定したので、活性炭の吸着平衡が立つぎりぎりのところではなくその約1/10のところで、吸着平衡となるまでにはかなりの余裕がある時点(約9/10の余裕あり)で抜き出して再生することとなり、活性炭処理の安定性(約9/10の余裕)と活性炭の再生量とのバランスを取ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0017】
活性炭を使用して処理がし易いことによって、種々の水質浄化方法の用途に適用することができる。