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  • 特開-ハンドルロック装置 図1
  • 特開-ハンドルロック装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008399
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ハンドルロック装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/022 20130101AFI20240112BHJP
   E05B 83/00 20140101ALI20240112BHJP
【FI】
B60R25/022
E05B83/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110241
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】596013143
【氏名又は名称】加藤電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100188075
【弁理士】
【氏名又は名称】石黒 修
(72)【発明者】
【氏名】加藤 学
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ05
2E250KK01
2E250LL18
(57)【要約】
【課題】後からでも機能を付加、強化することができるハンドルロック装置を提供する。
【解決手段】ハンドルロック装置は、有底筒状体のスリーブ部と、スリーブ部に挿通するとともに伸縮自在に保持される軸部3と、軸部3のスリーブ部と反対側の先端に配され、ハンドルに内側から係合する第1フック部5と、スリーブ部に配されハンドルに内側から係合する第2フック部と、第1フック5部と第2フック部とがハンドルに係合する係合状態でスリーブ部と軸部3とを固定する固定部とを備え、係合状態において、スリーブ部はハンドルの外側に突出しており、第1フック部5は軸部3から着脱自在であり、軸部3は第1フック部5側に開口する中空部11を有する。
これにより、中空部11に機能物を埋め込むことで、後から軸部3に機能を付加、強化することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状体のスリーブ部と、
このスリーブ部に挿通するとともに伸縮自在に保持される軸部と、
この軸部の前記スリーブ部と反対側の先端に配され、ハンドルに内側から係合する第1フック部と、
前記スリーブ部に配され前記ハンドルに内側から係合する第2フック部と、
前記第1フック部と前記第2フック部とが前記ハンドルに係合する係合状態で前記スリーブ部と前記軸部とを固定する固定部とを備え、
前記係合状態において、前記スリーブ部は前記ハンドルの外側に突出しているハンドルロック装置において、
前記第1フック部は前記軸部から着脱自在であり、前記軸部は前記第1フック部側に開口する中空部を有することを特徴とするハンドルロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハンドルロック装置において、
前記中空部には、前記軸部より硬度の高い柱状体が埋め込まれていることを特徴とするハンドルロック装置。
【請求項3】
請求項2に記載のハンドルロック装置において、
前記柱状体の表面に網状体が配されていることを特徴とするハンドルロック装置。
【請求項4】
請求項2に記載のハンドルロック装置において、
前記柱状体の表面に高粘性体が配されていることを特徴とするハンドルロック装置。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハンドルロック装置、特にハンドル係合時にハンドルの外側に突出する突出部を有しこの突出部が周辺物に干渉することでハンドル操作を物理的に阻害するハンドルロック装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車盗難として、純正スマートキーの電波を中継する所謂リレーアタックや、CAN通信網に直接接続してコマンド送信することでドアロックや純正セキュリティシステムを解除し、エンジンを始動させ乗り逃げる所謂CANインベーダーによる盗難事例が多発している。
【0003】
そこで、純正品とは別の後付けの盗難警報装置、イモビライザーシステム等の導入が対策として考えられる。
後付け盗難警報装置は盗難犯等に対する威嚇撃退効果が高く、後付けイモビライザーシステムはエンジン始動ができなくなることからそれぞれ自動車盗難に対する防犯効果が高い。
しかし、このようなシステムでは後付けであるため施工費用等までを勘案するとトータルコストが嵩んでしまう問題があった。
【0004】
そこで、安価ではあるが一定の効果を期待できるハンドルロック装置等が広く普及している。
ここで、ハンドルロック装置としては、以下に説明する、スリーブ部、軸部、第1フック部、第2フック部、および、固定部を備えるものが周知の構成となっている(特許文献1参照。)。
【0005】
スリーブ部は有底筒状体となっている。
軸部は、スリーブ部に挿通するとともにスリーブ部に伸縮自在に保持されている。
第1フック部は、軸部のスリーブ部と反対側の先端に配され、ハンドルに内側から係合する。
第2フック部は、スリーブ部に配されハンドルに内側から係合する。
固定部は、第1フック部と第2フック部とがハンドルに係合する係合状態でスリーブ部と軸部とを固定する。
そして、係合状態において、スリーブ部はハンドルの外側に突出している。
【0006】
しかし、このようなハンドルロック装置では、スリーブ部から軸部を取り外すことができるだけであり、軸部等に後から機能を付加、強化することは容易ではなかった。このため、自動車盗難犯による電動のこぎり等による軸部の切断によるロックの強制解除に対応することは難しくなっているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平3-135862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、後からでも機能を付加、強化することができるハンドルロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のハンドルロック装置は、以下に説明する、スリーブ部、軸部、第1フック部、第2フック部、および、固定部を備える。
スリーブ部は有底筒状体となっている。
軸部は、スリーブ部に挿通するとともにスリーブ部に伸縮自在に保持されている。
【0010】
第1フック部は、軸部のスリーブ部と反対側の先端に配され、ハンドルに内側から係合する。
第2フック部は、スリーブ部に配されハンドルに内側から係合する。
固定部は、第1フック部と第2フック部とがハンドルに係合する係合状態でスリーブ部と軸部とを固定する。
そして、係合状態において、スリーブ部はハンドルの外側に突出している。
【0011】
ここで、第1フック部は軸部から着脱自在であり、軸部は第1フック部側に開口する中空部を有している。
これにより、中空部に機能物を埋め込むことで、後から軸部に機能を付加、強化することができる。
例えば、中空部に軸部より硬度の高い柱状体を埋め込むことで、軸部の耐切断性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)ハンドルロック装置の平面図であり、(b)ハンドル係合時のハンドルロック装置の平面図であり、(c)スリーブ部から軸部を取り外したハンドルロック装置の平面図である(実施例1)。
図2】(a)軸部と第1フック部とを分離させた平面図であり、(b)軸部から柱状体を取り出した平面図である(実施例1)。
図3】軸部から柱状体を取り出した平面図である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示を実施するための形態を実施例に基づいて説明する。
なお、以下の実施例は具体的な一例を開示するものであり、本開示が以下の実施例に限定されないことは言うまでもない。
【実施例0014】
[実施例1の構成]
実施例1のハンドルロック装置1の構成を、図1、2を用いて説明する。
ハンドルロック装置1は、以下に説明する、スリーブ部2、軸部3、第1フック部5、第2フック部6、および、固定部8を備える。
【0015】
スリーブ部2は、鋳鉄製で有底筒状体となっている。
軸部3は、鋳鉄製でスリーブ部2に挿通するとともにスリーブ部2に伸縮自在に保持されている。
【0016】
第1フック部5は、軸部3のスリーブ部2と反対側の先端に配され、ハンドルHに内側から係合する。
第2フック部6は、スリーブ部2に配されハンドルHに内側から係合する。
固定部8は、スリーブ部2に設けられ、第1フック部5と第2フック部6とがハンドルHに係合する係合状態でスリーブ部2と軸部3とを固定する。
そして、係合状態において、スリーブ部2はハンドルHの外側に突出する突出部9を有している(図1(b)参照。)。
【0017】
ここで、スリーブ部2と軸部3との固定態様であるが、固定部8をロック状態とした際に、軸部3の伸縮状態を変化させない固定態様であっても、軸部3の伸びる状態を許容しても縮む状態は許容しない所謂ラチェット式の固定態様であってもよい。
なお、固定部8をロック状態とするには、例えば、鍵を鍵穴に差し込み、シリンダーを鍵穴がロック位置となるように回すことで実現することができる。
【0018】
なお、軸部3をスリーブ部2から引き抜くことで、スリーブ部2から軸部3を取り外すことができる(図1(c)参照。)。すなわち、第1フック部5を含めた軸部3をスリーブ部2とは別個に扱うことができる。
【0019】
[実施例1の特徴的な構成]
ここで、第1フック部5は軸部3から着脱自在であり、軸部3は第1フック部5側に開口する中空部11を有している。
より具体的には、第1フック部5には雄螺子15が設けられており、軸部3には雌螺子16が設けられており、雄螺子15と雌螺子16とを螺合させたり、螺合を解いたりすることで第1フック部5は軸部3から着脱自在となっている(図2(a)参照。)。
【0020】
また、軸部3には、第1フック部5側にのみ開口する円柱状に区画された中空部11が形成されている(図2(b)参照。)。
すなわち、軸部3は第1フック部5側に開口する有底筒状体となっている。
【0021】
そして、中空部11には、鋳鉄製の軸部3より硬度の高いSUS304製の円柱状の柱状体20が埋め込まれている。
また、柱状体20の表面にはSUS304製の平織の網状体22が配されている(図2(b)参照。)。
【0022】
[実施例1の効果]
実施例1のハンドルロック装置1は、スリーブ部2、軸部3、第1フック部5、第2フック部6、および、固定部8を備える。
スリーブ部2は有底筒状体となっている。
軸部3は、スリーブ部2に挿通するとともにスリーブ部2に伸縮自在に保持されている。
【0023】
第1フック部5は、軸部3のスリーブ部2と反対側の先端に配され、ハンドルHに内側から係合する。
第2フック部6は、スリーブ部2に配されハンドルHに内側から係合する。
固定部8は、第1フック部5と第2フック部6とがハンドルHに係合する係合状態でスリーブ部2と軸部3とを固定する。
そして、係合状態において、スリーブ部2はハンドルHの外側に突出している。
【0024】
また、第1フック部5は軸部3から着脱自在であり、軸部3は第1フック部5側に開口する中空部11を有している。
また、中空部11には、軸部3より硬度の高い柱状体20が埋め込まれている。
さらに、柱状体20の表面には、網状体22が配されている。
【0025】
ここで、第1フック部5は軸部3から着脱自在であり、軸部3は第1フック部5側に開口する中空部11を有している。
これにより、中空部11に機能物を埋め込むことで、後から軸部3に機能を付加、強化することができる。
【0026】
また、中空部11には、軸部3より硬度の高い柱状体20が埋め込まれている。
これにより、電動のこぎり等に対する軸部3の耐切断性能を高めることができる。
なお、硬度の急激な変化により、電動のこぎり等の刃の欠損等を誘発でき、さらに耐切断性能を高めることができる。
【0027】
また、柱状体20の表面に網状体22が配されている。
これにより、網状体22が電動のこぎり等の刃に絡みつくことにより。電動のこぎり等の往復動作等を阻害することができる。
このため、電動のこぎり等に対する軸部3の耐切断性能をさらに高めることができる。
【0028】
なお、網状体22を単独に中空部11に配置することは困難であるが、例えば、有底筒状に形成された網状体22に柱状体20を嵌め込み、網状体22と芯材としての柱状体20とを一体として中空部11に開口端から嵌め込むことで、網状体22を中空部11に簡便に配置することができる。
【0029】
[実施例2の構成]
実施例2のハンドルロック装置1を、実施例1のハンドルロック装置1との相違点を中心に図3を用いて説明する。
実施例2のハンドルロック装置1は、中空部11に、軸部3より硬度の高い柱状体20が埋め込まれているとともに、柱状体20の表面にゴム系粘着剤の高粘性体24が配されている。
なお、高粘性体24としては、粘度が100Pa・sを超えるものであればよい、
【0030】
なお、高粘性体24を単独に中空部11に配置することは困難であるが、例えば、予め高粘性体24を配した柱状体20を用意することで、高粘性体24と柱状体20とを一体として中空部11に開口端から嵌め込むことができ、高粘性体24を中空部11に簡便に配置することができる。
【0031】
[実施例2の効果]
柱状体20の表面に高粘性体24が配されている。
これにより、電動のこぎり等の刃に高粘性体24が纏わりつくことで、各刃間に切粉が詰まり、電動のこぎり等の機能を減殺することができる。
このため、電動のこぎり等に対する軸部3の耐切断性能をさらに高めることができる。
【0032】
[変形例]
本願発明はその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形例を考えることができる。
例えば、実施例においては、軸部3より硬度の高い柱状体20としてSUS304製の柱状体20が用いられていたが、この態様に拘るものではなく、βチタン合金、アルミナ焼結体、工業用サファイア等を用いるものであってもよい。
【0033】
また、実施例2においては高粘性体24としてゴム系粘着剤が用いられていたが、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、または、硬化時間の長い接着剤等を用いるものであってもよい。
【0034】
実施例においては、第1フック部5には雄螺子15が、軸部3には雌螺子16が設けられており、雄螺子15と雌螺子16とを螺合させたり、螺合を解いたりすることで第1フック部5は軸部3から着脱自在となっていたが、この態様に拘るものではない。例えば、第1フック部5と軸部3とをスナップフィット方式で着脱自在とするものであってもよい。
【0035】
実施例においては、中空部11に埋め込まれるものは軸部3より硬度の高い柱状体20となっており、電動のこぎり等に対する軸部3の耐切断性能を高めるものであった。換言すると、いわば後から機能を強化するものであった。
これに対し、中空部11に、例えば、蛍光塗料を封入したカプセル等を埋め込むこともできる。これにより、軸部3切断時に盗難犯の衣服に蛍光塗料が付着することになり、素早く犯人特定を行うことができるようになる。すなわち、中空部11に埋め込むものを変更することで容易に後からでも異なる機能を付加することもできる。
【符号の説明】
【0036】
1 ハンドルロック装置 2 スリーブ部 3 軸部 5 第1フック部
6 第2フック部 8 固定部 11 中空部 H ハンドル
図1
図2
図3