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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083994
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】測定端末、および測定システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/01 20060101AFI20240617BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240617BHJP
   G01K 1/024 20210101ALI20240617BHJP
【FI】
A61B5/01 100
A61B5/11 200
G01K1/024
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198132
(22)【出願日】2022-12-12
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】井戸 寛
(72)【発明者】
【氏名】古谷 隆博
(72)【発明者】
【氏名】亘理 聡一
(72)【発明者】
【氏名】河合 剛
(72)【発明者】
【氏名】来仙 貴久
(72)【発明者】
【氏名】谷井 恵一
【テーマコード(参考)】
2F056
4C038
4C117
【Fターム(参考)】
2F056AE01
2F056AE07
4C038VB31
4C117XB01
4C117XC15
4C117XD21
4C117XE03
4C117XE23
4C117XE26
4C117XE36
4C117XG05
4C117XH02
4C117XJ52
(57)【要約】
【課題】測定端末における測定結果を示すデータ量を削減して測定端末の小型軽量化をより進めるとともに、測定端末と本体機器との間の迅速なデータ通信を可能とする測定システムを提供する。
【解決手段】測定端末10は、測定対象の温度を検出する温度センサ4と自身の動きを検出する加速度センサ5と、全体の動作を制御する制御部6と、時間情報を生成する基準クロック12と、前記温度センサと前記加速度センサとにより測定された測定結果数値を記憶する記憶部16と、前記測定結果数値と当該測定結果数値が測定された時間間隔を示す測定タイミングデータとを含む測定データを生成する測定データ生成部13と、外部の機器へのデータ通信が可能なデータ送信部とを備える。また、測定システムは、上記測定端末10と、前記測定端末と短距離通信手段により接続されて、前記測定端末から前記測定データを受信する本体機器20とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の温度を検出する温度センサと自身の動きを検出する加速度センサと、
全体の動作を制御する制御部と、
時間情報を生成する基準クロックと、
前記温度センサと前記加速度センサとにより測定された測定結果数値を記憶する記憶部と、
前記測定結果数値と当該測定結果数値が測定された時間間隔を示す測定タイミングデータとを含む測定データを生成する測定データ生成部と、
外部の機器へのデータ通信が可能なデータ送信部とを備えたことを特徴とする、測定端末。
【請求項2】
前記測定端末が、測定対象者に装着されて前記測定対象者の体温と身体の動きとを検出する生体情報取得端末である、請求項1に記載の測定端末。
【請求項3】
外形形状が、短径と長径とを有する長円形である、請求項1に記載の測定端末。
【請求項4】
外部の機器とのデータ通信に使用されるアンテナとして、回路基板と一体で構成され、動作電源である電池から離間して配置されたパターンアンテナを有する、請求項1に記載の測定端末。
【請求項5】
前記制御部は、前記測定端末から前記外部の機器へのデータ送信タイミングの間隔における前記加速度センサによる測定値の最大値を前記加速度センサによる測定値とする、請求項1に記載の測定端末。
【請求項6】
前記加速度センサが、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の加速度を検出する3次元加速度センサであり、前記制御部は、X軸方向とY軸方向とZ軸方向それぞれの測定値の合成加速度から前記加速度センサによる測定値の前記最大値を求める、請求項5に記載の測定端末。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれかに記載された測定端末と、
前記測定端末と短距離通信手段により接続されて、前記測定端末から前記測定データを受信する本体機器とを有することを特徴とする、測定ステム。
【請求項8】
前記本体機器は、前記測定端末から送信された前記測定データについて、前記測定タイミングデータを時刻データに変換し、前記温度センサと前記加速度センサとの測定値と前記時刻データとを含む測定結果データを生成する、請求項7に記載の測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、小型の測定端末を用いて、一定の期間にわたって測定対象の温度や動きなどの変化を把握する際に用いられる測定端末と、この測定端末を使用する測定システムに関し、特に、周囲の温度と自身の動きを検出することができる測定端末と、これを用いた測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一定の期間、例えば数日間から2週間程度にわたって測定対象者に体温計を装着して、体温の変化を把握する体温測定システムが知られている。
【0003】
このような体温測定システムにおいては、測定端末である体温計と、体温計との間の無線または有線の通信によってデータが転送される本体機器とを有していて、体温計での測定結果は、随時、または、一定の時間間隔でまとめて、若しくは、測定期間が終了した後に一度に、のいずれかのタイミングでこの本体機器に送信されて管理される。
【0004】
一定期間測定対象者の体表に密着して配置される必要があることから、体温計には小型軽量であることが強く求められる。このため、測定結果を記憶する記憶部の大きさ、すなわち容量に制限があり、また、測定の都度本体機器にデータを送信する方法では、送信部が頻繁に動作することとなって体温計での電力負荷が増大し、体温計が備える動作電源としてのバッテリーの容量が大きくなり、結果として測定端末が大きく重いものとなってしまうという問題がある。
【0005】
従来、測定対象者に装着される体温計と、体温計での測定結果を無線通信で受け取る本体機器である体温表示装置とを有する体温測定システムにおいて、体温を測定する間隔を広げてデータ量を小さくする一方、体温計に測定対象者の心拍数を検出する機能を備えて、体温と心拍数とから測定対象者の体調が悪いと判断された場合には、体温を測定する間隔を短くするものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014- 64751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載された従来の体温測定システムでは、測定対象者の心拍数を把握することで、体温の変化のみによる判断よりも正確に測定対象者の体調変化を検知でき、体温計での体温測定頻度を高くすることで測定対象者の体温変化を正確に追跡することができる。
【0008】
しかし、例えば、測定対象者の体温の変化について当該測定対象者の動作との関係を解析する場合には、測定対象者の体温データの他にその動作状態を把握する必要があり、このような目的のために、体温を測定する温度センサと身体の動きを測定する3次元加速度センサとを備えた測定端末により測定対象者の生体情報を測定する生体情報測定システムが実用化されている。
【0009】
体温データに加えて測定対象者の身体の動きを示す3次元加速度センサの測定値を測定端末で取得し、これを本体機器へと送信する必要があるため、一つ一つのデータ量が大きくなる。特に、測定対象者の体温が上昇するなど体調が変化した場合に、生体データの取得間隔が短くなるような設定では測定頻度が高い状態で生体情報を測定することとなり、測定結果を示す情報量が増大して測定端末内部の記憶容量が圧迫されるとともに、測定端末と本体機器との間での無線通信時のデータ量が大きくなってデータ送信時間が長くなってしまう。また、測定端末の消費電力が大きくなり、電池の放電が進行して測定端末を使用できる時間が短くなる。
【0010】
なお、このデータ容量に関する課題は、測定対象者の生体データを測定する生体情報測定システムに限られたものではなく、測定端末の周囲の環境温度と測定端末の動きとを継続して測定する測定システム全体に共通するものである。
【0011】
本願は、上記従来技術の有する課題を解決することを目的とするものであり、測定端末における測定結果を示すデータ量を削減して測定端末の小型軽量化をより進めるとともに、測定端末と本体機器との間の迅速なデータ通信を可能とする測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本願で開示する測定端末は、測定対象の温度を検出する温度センサと自身の動きを検出する加速度センサと、全体の動作を制御する制御部と、時間情報を生成する基準クロックと、前記温度センサと前記加速度センサとにより測定された測定結果数値を記憶する記憶部と、前記測定結果数値と当該測定結果数値が測定された時間間隔を示す測定タイミングデータとを含む測定データを生成する測定データ生成部と、外部の機器へのデータ通信が可能なデータ送信部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本願で開示する測定システムは、本願で開示する測定端末と、前記測定端末と短距離通信手段により接続されて、前記測定端末から前記測定データを受信する本体機器とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記構成により、本願で開示する測定端末は、温度センサによる測定と加速度センサによる測定値が測定された測定時間を示す測定タイミングデータを、測定間隔を示す時間情報とすることで取り扱うデータ量を削減することができる。このため、測定端末が備える記憶部の容量の増大を抑え外部機器へ送信するデータ量が小さくなるので、測定端末の小型軽量化を実現することができる。
【0015】
また、本願で開示する測定システムは、測定端末で測定された測定データを受信する本体機器を備えることで、本体機器でのデータ処理を前提として測定端末で取り扱われるデータ量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態にかかる測定システムに用いられる測定端末の構成を示す分解斜視図である。
図2図2は、本実施形態にかかる測定システムに用いられる測定端末の動作面に注目した各部材の関係を説明するための模式図である。
図3図3は、本実施形態にかかる測定システムの測定端末を測定対象者が装着している状態を示すイメージ図である。
図4図4は、本実施形態にかかる測定システムの測定端末における、加速度センサの測定軸と外形形状後の関係を説明する斜視図である。
図5図5は、本実施形態にかかる測定システムの各部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の測定端末は、測定対象の温度を検出する温度センサと自身の動きを検出する加速度センサと、全体の動作を制御する制御部と、時間情報を生成する基準クロックと、前記温度センサと前記加速度センサとにより測定された測定結果数値を記憶する記憶部と、前記測定結果数値と当該測定結果数値が測定された時間間隔を示す測定タイミングデータとを含む測定データを生成する測定データ生成部と、外部の機器へのデータ通信が可能なデータ送信部とを備える。
【0018】
このようにすることで、本願で開示する測定端末は、温度情報に加えて測定端末の動きを示す加速度データとデータが測定された時間情報を削減した状態で処理することができる。この結果、小型軽量化された測定端末を実現することができる。
【0019】
上記構成の測定端末において、前記測定端末が、測定対象者に装着されて前記測定対象者の体温と身体の動きとを検出する生体情報取得端末であることが好ましい。生体情報を取得する測定端末として求められる、小型軽量化が実現された測定端末を用いることで、測定対象者の負担を軽減することができる。
【0020】
また、外形形状が、短径と長径とを有する長円形であることが好ましい。
【0021】
さらに、外部の機器とのデータ通信に使用されるアンテナとして、回路基板と一体で構成され、動作電源である電池から離間して配置されたパターンアンテナを有することが好ましい。このようにすることで、測定端末が装着される部材との間で所定の電波帯域へのマッチングを実現することができる。
【0022】
また、前記制御部は、前記測定端末から前記外部の機器へのデータ送信タイミングの間隔における前記加速度センサによる測定値の最大値を前記加速度センサによる測定値とすることが好ましい。このようにすることで、測定端末から外部機器へと送信される測定データにおける加速度センサの測定値の情報量を小さくすることができる。
【0023】
この場合において、前記加速度センサが、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の加速度を検出する3次元加速度センサであり、前記制御部は、X軸方向とY軸方向とZ軸方向それぞれの測定値の合成加速度から前記加速度センサによる測定値の前記最大値を求めることが好ましい。
【0024】
本願で開示する測定システムは、本願で開示する測定端末と、前記測定端末と短距離通信手段により接続されて、前記測定端末から前記測定データを受信する本体機器とを有する。
【0025】
このようにすることで、本願で開示する測定システムは、本体機器でデータ処理を行うことができ、より小型軽量化された測定端末を使用する測定システムとして実現することができる。
【0026】
本願で開示する測定システムにおいて、前記本体機器は、前記測定端末から送信された前記測定データについて、前記測定タイミングデータを時刻データに変換し、前記温度センサと前記加速度センサとの測定値と前記時刻データとを含む測定結果データを生成することが好ましい。このようにすることで、測定端末で処理するデータ量を削減しながら、測定結果を測定された時間情報とともに取得することができる測定システムを実現することができる。
【0027】
以下、本願で開示する測定端末とこの測定端末が使用される測定システムについて、具体的な実施形態を用いて説明する。
【0028】
なお、例えば、本発明にかかる測定端末を備えた測定システムによって測定対象者の生体情報を継続的に把握することで、国連の提唱する持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の目標3「すべての人に健康と福祉を」に寄与することができる。
【0029】
(実施の形態)
以下では、本願で開示する測定端末、および測定システムとして、測定端末によって測定対象者の体温とその動作とを把握する生体情報測定システムを例示して説明する。より具体的には、体温を測定する温度センサと、身体の動きを検出する3次元加速度センサとを内蔵した測定端末を、温度センサが測定対象者の体温を測定可能なように測定対象者の体表に触れるように装着した状態で、所定の測定期間(一例として2週間)にわたって継続して、測定対象者の体温の変化と身体の動きの変化とを生体データとして取得する生体情報測定システムを例示する。
【0030】
<測定端末>
図1は、本実施形態にかかる生体情報測定システムで使用される、測定端末の構成を説明するための分解斜視図である。
【0031】
また、図2は、本実施形態にかかる生体情報測定システムの測定端末の特に動作面に注目した各部材の関係を説明するための模式図である。
【0032】
さらに、図3は、本実施形態にかかる生体情報測定システムの測定端末を測定対象者が装着している状態を示すイメージ図である。
【0033】
本実施形態にかかる生体情報測定システムの測定端末10は、測定対象者30の体表に密着して配置される。また、例えば2週間の測定期間の間、測定対象者30に装着された状態が続くことになるため、測定対象者30の負担にならないように、小型軽量であることが強く求められる。さらに、測定対象者30が入浴したり、汗をかいたりすることにより、測定端末10が水や水分に晒された場合でも、正常に動作して測定対象者の体温と動きを測定することができるように、防水処置が施されている。
【0034】
図1に分解斜視図を示すように、測定端末10は、一例として、ポリプロピレンなどの樹脂製の上側筐体1と下側筐体2とが外殻を構成していて、この外殻の内部に回路基板3や電池8などが組み込まれた状態で、上側筐体1と下側筐体2との接続部分が超音波圧着されて内部を水密に保っている。なお、図1に示す測定端末10は、短軸と長軸とを有する長円形であり、その外形は、一例として短径が22mm、長径が30mm、厚さが4.5mmである。
【0035】
測定端末10の基板3上にはチップタイプの温度センサ4が配置され、温度センサ4の温度感知部と測定対象者30の体表とを熱的に接続する金属端子9が配置されている。金属端子9の図1中の下端側の部分は下側筐体2に形成された同径の開口部内に埋め込まれるようになっていて、金属端子9の下端面は下側筐体2の下面と同じ位置にあって、測定端末10が測定対象者30の体表に装着された際に、金属端子9の下端面が測定対象者30の皮膚に直接触れるようになっている(図4参照)。なお、金属端子9の温度を温度センサ4でより確実に検出することができるように、金属端子9と温度センサ4との間には伝熱グリスを塗布することが好ましい。
【0036】
また、測定端末10の基板3上には、X軸、Y軸、Z軸の三方向それぞれの加速度を検出することができるチップタイプの3次元加速度センサ5が配置されている。
【0037】
測定端末10の動作全体を制御する制御部である制御回路6は、本実施形態にかかる生体情報測定システムでは、測定端末10と後述する本体機器であるスマートフォン20との間の短距離データ通信をブルートゥース(登録商標:以下この注記は省略する)規格で行われるため、ブルートゥース規格の通信制御に対応したSOC(System On Chip)が用いられている。なお、制御回路6として、データ通信として用いられるブルートゥース規格の送受信を実行できるブルートゥース規格のSOCを用いることで、基板3上に配置するチップが1つで済み基板サイズの小型化が可能となり測定端末の小型化を実現することができる。
【0038】
測定端末10は、本体機器であるスマートフォン20との通信を行うためのアンテナ7を備えている。本実施形態に示す測定端末10では、アンテナ7としてパターンアンテナが採用され、アンテナ7は回路基板と一体で構成され、動作電源である電池8から離間して配置されている。
【0039】
このようにすることで、測定端末10が測定対象者30の表皮に配置された際に測定対象者の身体の間でアンテナ7のマッチングが取れるようになり、ブルートゥース規格での通信を行う上で好ましい通信帯域(一例として、2.402~2.48GHz)を確保することができる。
【0040】
なお、アンテナ7と電池8とはなるべく離して配置することが好ましく、図1に示すように、測定端末の筐体内で反対側の位置になるように配置することが好ましい。電池8によるアンテナ7からのデータ送信に対する影響を避けるために、電池8とアンテナ7との間隔は0.5mm以上とすることが好ましく、1mm以上とすることがより好ましく、2mm以上とすることがさらに好ましく、4mm以上とすることが特に好ましい。また、電池の厚みを考慮すれば、アンテナ7と電池8との間隔は電池の厚みよりも大きくすることが好ましく、電池の厚みの1.5倍以上とすることがより好ましく、電池の厚みの2倍以上とすることがさらに好ましい。一方で、測定端末10の小型化のためには、アンテナ7と電池8との間隔は10mm以下とすることが好ましく、8mm以下とすることがより好ましい。
【0041】
本実施形態にかかる生体情報測定システムの測定端末10は、その動作電源としてボタン型の電池8を備えている。電池8としては、ボタン型の一次電池の他にも、例えば空気電池や充放電可能な二次電池も使用可能ではあるが、空気電池の場合は、正極活物質として使用される酸素を取り入れる必要があるため、上下の筐体1、2が防水されてシーリングされている本実施形態の測定端末10の場合は、別途水分が侵入しないようにされた空気孔を設ける必要がある。また、二次電池を使用することで、測定端末10を繰り返し使用することができるようになるが、小型の二次電池は容量が小さく頻繁に充電する必要性や充電時に発熱する可能性があるため、途切れなく継続して体温を測定する用途には不向きであり、二次電池よりも上記例示したボタン型の一次電池を用いることがより好ましい。
【0042】
図2に示されているように、本実施形態にかかる測定端末10は、上下の筐体1、2の内部にフォトトランジスタ19が配置されている。筐体1、2の少なくともいずれか一方を、上述のようにポリプロピレンなどの一定以上の透光性を有する樹脂部材で構成するとともに内部にフォトトランジスタ19を備え、フォトトランジスタ19が光を検知したら測定端末10内部の電気回路が動作を開始するように設定し、さらに、製造後すぐに測定端末10をラミネートフィルム50などの光を通さない部材の内部に密封して保管することで、ユーザが、測定端末10を保管用のラミネートフィルム50から取り出すことで自動的に測定端末10が動作を開始するようにできる。また、使用開始時にラミネートフィルム50から取り出すまでの間測定端末10の動作を最低限の維持動作のみに限定して、測定端末10が実際に使用される前に電池8が消耗する事態を効果的に回避することができる。
【0043】
なお、測定端末10は、自身の識別指標である端末IDと測定端末10の各種動作を行う上での制御プログラムが記録され、さらには、測定された測定対象者30の体温の測定値や身体の動きを示す加速度データを記録する記憶部16を備えている。記憶部16は、EEPROM(E2PROM)などの汎用の記憶素子を用いることができる。
【0044】
測定端末10は、測定対象者30の皮膚に金属端子5が接触するように装着される。測定端末10が所定の体温測定期間の間同じ状態で測定対象者の表皮に接触しているように維持するため、測定端末10の全体を医療用のサージカルテープなどの粘着テープ40で覆って測定対象者30に貼り付けることが好ましい。なお、測定端末10の短径が22mm、長径が30mmという所定の大きさを有しているため、測定対象者30の深部体温を測定することは困難であるが、なるべく測定端末10が外気に晒されない部分に装着されることが好ましい。この観点から、測定端末10の装着場所としては、測定対象者30の服内温度が検出でき、また、測定端末10を装着していることによる違和感を、測定対象者が感じにくい場所であって、さらに、表皮の動きが比較的小さな場所として、胸から脇腹にかけての部分が好ましい。
【0045】
図3に、測定対象者が体温計を装着している状態のイメージ図を示す。
【0046】
図4は、測定端末を測定対象者の体表に密着させる背面側の下側筐体側から見た斜視図である。
【0047】
本実施形態にかかる生体情報測定システムでは、測定端末10が長円形であることを利用して測定対象者30が測定端末10を装着する際に3次元加速度センサ5が正しい方向となるように規制することができる。一例として、図4に示すように3次元加速度センサ5をそのX軸が測定端末10の長径(長手)方向となるように配置し、測定対象者30が測定端末10を装着する際にその長径方向を水平方向となるように体表面に装着する(図3参照)ことで、3次元加速度センサ5で測定対象者30の身体の動きの方向を正しく検出することができる。なおこの場合は、図4に示すように、3次元加速度センサ5のY軸方向が測定端末10の短径方向、Z軸方向が測定端末10の厚み方向となる。もちろん、測定端末10の短径方向を3次元加速度センサ5のX軸とすることも可能であり、この場合は、測定対象者30は測定端末10の短径方向が水平方向となるように、すなわち、縦長の状態で体表面に固定するようにする。
【0048】
<生体情報測定システム>
以下、上述した測定端末を用いた生体情報測定システムにおける、測定端末と本体機器との間のデータ処理について説明する。
【0049】
図5は、本実施形態にかかる生体情報測定システムの各部の構成例を示すブロック図である。
【0050】
なお図5は、本実施形態にかかる生体情報測定システムの測定端末10と、本体機器であるスマートフォン20とについて、その動作内容や機能面の観点から構成部材を記載したものである。このため、図5に示すそれぞれのブロックは物理的な構成、例えば、それぞれの機能を実現する回路素子の構成をブロックとして示すものではない。このため、図5では、一つの構成部材として示されているブロックを複数の回路ブロックで、場合によっては異なる回路基板上に分散して構成されている場合があり、反対に、図5に示す複数のブロックを一つの回路素子で実現している場合もあり得る。
【0051】
本実施形態にかかる生体情報測定システムは、測定対象者30の体表に装着されて体温と動作とを測定する測定端末10と、この測定端末10と短距離無線通信で接続されて測定端末10で測定された測定対象者30の体温の測定と、身体の動きを示す加速度データとを受け取る本体機器であるスマートフォン20とを有している。
【0052】
測定端末10は、測定対象者30の体温と身体の動きとを計測する生体情報取得部11、測定端末10内部での時間情報の基準となるクロック信号を出力する基準クロック12、生体情報取得部11で取得された測定対象者30の体温の測定値と身体の動きを示す加速度データ、さらに、その測定値が得られた測定タイミングを表す測定タイミングデータとを組み合わせて生体データを生成する生体データ生成部13、測定対象者30の体温の変化に基づいて生体情報を測定する測定時間の間隔を変更する測定間隔変更部14、生体データ生成部13で生成された生体データを記憶する記憶部16、記憶部16に記憶された生体データを本体機器であるスマートフォン20へと送信するデータ送信部17、スマートフォン20から送信される測定タイミングデータの校正値などを受信するデータ受信部18、これら測定端末10内の各部の動作を制御する制御部である制御回路15を備えている。なお、上述したように、制御回路15は、ブルートゥース規格のデータの送受信を制御する送信部17と受信部18の機能を兼ねたSOCで構成されている。
【0053】
本体機器としてのスマートフォン20は、その携帯電話としての機能から、現在時刻を取得する現在時刻取得部21、液晶パネルや有機ELパネルなどの画像表示デバイスと表示する画像のデータ処理を行う処理回路とを含む画像表示部24、使用されるアプリケーションソフトや写真や音声、メールなどでの通信記録などを記憶するRAMやCPUのキャッシュメモリなどの記憶部25、キャリア通信を行うデータ送信部26、データ受信部27とを備えている。なお、本実施形態の生体情報測定システムでは測定端末10との間のデータの送受信をブルートゥース規格に基づいて行われるが、スマートフォン20は各種の機器との間でブルートゥース規格でのデータ通信が行われ、データ送信部26とデータ受信部27とはブルートゥース規格でのデータの送受信を行う機能も備えている。
【0054】
測定結果データ生成部22は、測定端末10とのデータ通信が成立したとき(一例としてアドバタイズ信号間隔2.57秒)に測定端末10から送信された生体データのうち、体温や身体の動きが測定された時を示す時間情報である測定タイミングデータを、前回の測定時からの測定間隔を示す情報から、測定時を示す時刻情報に置き換えた測定結果データに変換する。生体データから測定結果データへのデータ変換は、スマートフォン20にインストールされた本実施形態で示す体温測定システムを制御するアプリケーションソフトが行い、変換された測定結果データは順次スマートフォン20の記憶部25に記憶される。なお、体温データから測定結果データへのデータ変換の詳細については、後に詳述する。
【0055】
また、タイミングデータ較正部23は、測定結果データ生成部22により生成された測定結果データに基づいて、測定端末10の基準クロック12のクロック周波数の検証を行う。そして、クロック周波数に誤差がある場合には、この誤差を較正する較正データが作成される。較正データは、データ送信部26からブルートゥース規格の通信を通じて測定端末10のデータ受信部18に送信され、測定端末10の制御部15は、以降得られた体温データに記録される時間情報としての測定タイミングデータを、較正データを用いて較正する。なお、タイミングデータ較正部23の機能も、本実施形態にかかる体温測定システムに対応するアプリケーションソフトによって実行される。また、タイミングデータの較正についての詳細については、後に詳述する。
【0056】
スマートフォン20は、測定端末10との間のブルートゥース規格によるデータ通信が成立し、測定端末10から記憶部16に記録されていた生体データの送受信が無事に行われたことを、スマートフォン20の画像表示部24で表示して、測定対象者30または、データ管理を行う監督者などに報知することができる。
【0057】
<測定結果データのデータ処理>
次に、本実施形態にかかる体温測定システムにおける、測定結果データの処理について説明する。
【0058】
本実施形態の生体情報測定システムでは、測定対象者30の生体情報を一定の測定期間にわたって測定し続ける。また、作成された生体データは、測定端末10の記憶部16に順次保管されていき、測定端末10と本体機器であるスマートフォン20との間にデータ通信が成立したタイミングで、記憶部16に記憶されていた生体データがブルートゥース規格でのデータ通信によってスマートフォン20へと送信される。小型軽量化が強く求められるとともに、測定対象者30の便宜を図るために本体機器であるスマートフォン20とのデータ通信の頻度を下げることを考えると、測定端末10内で取り扱われる生体データのデータサイズは小さいほど好ましい。
【0059】
そこで、本実施形態の体温測定システムでは、温度センサから温度情報として出力される体温の測定値について、25℃~41℃の温度範囲に限定することで8bitのデータ(分解能:0.0625℃)にパッキングしている。これにより、例えば温度センサ4が有する、16bitの規格で±256℃、分解能が0.0078125℃という標準の設定と比較して、体温情報に必要なデータサイズを半分にできる。本実施形態のように、温度センサを体温測定の用途に特化した場合には、上記した温度範囲25℃~41℃、分解能0.0625℃での温度データが取得できれば実用上の問題は生じない。
【0060】
また、測定対象者30の身体の動きを示す3次元加速度センサ5の出力については、一例として、測定間隔を40ms、姿勢検出のためのデータ処理間隔を1s(秒)として25回分の測定データを対象とする。加速度の測定精度は、ノミナル値として±4Gの場合0.002G(12bitの分解能)とすることができる。ただし、実用上は8bitの分解能とすることが可能である。
【0061】
次に、測定タイミングを示す時間情報は、標準クロック12を利用して、高精度に生成した。本実施形態にかかる測定端末では、測定タイミングを実時間ではなく時間間隔として決めたため、その時間間隔を示す値は仕様を満足する8bitとした。このため、温度データ8bitと加速度データ8bit(1軸当たり)×3軸(X,Y,Z軸)=24bitをまとめて40bitのデータが生成される。
【0062】
なお、測定タイミングデータについては、上述のように基準クロックのクロック周波数データから、前回の測定時のデータとの差を求めて得ることができるが、このデータを秒単位ではなく分単位のデータすることで、測定間隔データ自体を小さな値とすることができ、結果として生体データをさらに小さくすることができる。また、この測定間隔について、例えば、1分間隔、5分間隔、10分間隔など、複数の異なる測定間隔を段階的に設定しておき、さらに、1分間隔を「1」、5分間隔を「2」、10分間隔を「3」というように記号化することで、測定タイミングデータを表すデータ量を一層小さいものにすることができ、生体データをより少ないデータ量で表すことができるようになる。
【0063】
なお、上述したように、本実施形態の生体情報測定システムでは、測定間隔変更部14において、体温の測定結果に基づいて測定対象者30の体調評価がなされて、生体情報を測定する間隔が変動する。このため、測定された体温を含む生体情報とともに当該生体情報が測定された時間の情報である測定タイミングデータとを紐つけて管理することが必要である。
【0064】
次に、前回の生体情報測定時との測定間隔の時間情報を測定タイミングデータとして有している生体データから、例えばUNIXデータとしての実際の測定時刻を表すデータを備えた測定結果データへと変換するデータ変換について説明する。
【0065】
測定端末10の記憶部16でのデータ保管時や、測定端末10とスマートフォン20との間の生体データの通信時における容量を低減するために時間情報として測定間隔が使用されていた生体データを、標準的な時・分(・秒)形式の時間情報に変換することで、その後測定結果を示すデータとして一般的なデータ処理等を行うことができるようになる。
【0066】
上述したように、測定端末10の制御部15は、本体機器であるスマートフォン20とのデータ通信が成立すると、記憶部16に記憶されていた全ての生体データと、直前の測定タイミングからデータ送信時までの経過時間情報である時間データとを送信する。
【0067】
以下では、測定結果データ生成部22での具体的なデータ変換例を説明する。なお、以下の例では、現在時刻は秒のデータを切り捨てた分単位のもので示す。
【0068】
まず、測定端末10とスマートフォン20との間のデータ通信が行われた時刻(年・月・日・時・分)をTCとする。
【0069】
測定端末10からは、複数の生体データTと、直前のタイミングで取得された最後の体温データ計測時からの経過時間情報TEが送信される。また、記憶部15に記憶されている体温データTについて、測定時間が新しい順にT(N)、T(N―1)、T(N-2)、・・・とし、さらに、それぞれの体温データTに含まれる測定間隔の時間情報である測定タイミングデータSを、それぞれS(N)、S(N-1)、S(N-2)、・・・と表すこととする。
【0070】
測定端末10からのデータ通信時の直前に測定された生体データT(N)、すなわち送信された生体データTの内で最も新しい生体データの測定時刻J(N)は、J(N)=TC-TEである。
【0071】
その一つ前、すなわち、2番目に新しい生体データT(N-1)の測定時刻J(N-1)は、J(N-1)=J(N)-S(N)となる。もう一つ前、すなわち、3番目に新しい生体データT(N-2)の測定タイミングの測定時刻J(N-2)は、J(N-2)=J(N-1)-S(N-1)となる。以下、順次求められた生体データの生体情報測定時刻Jから、その生体データに含まれる一つ前の測定からの測定間隔を示す測定タイミングデータSを差し引くことで、順次一つ前の生体情報測定時刻Jが把握できる。
【0072】
このようにして、測定端末10からまとめて送信された全ての生体データの測定時間情報を、一つ前の測定からの経過時間を表す情報から絶対的な時刻情報に変換することができ、これを測定期間の全体にわたって行うことで、測定対象者30の体温と身体の動きを示すデータが、測定期間中にどのように変化したかをその測定時刻とともに把握することができる。
【0073】
本実施形態にかかる生体情報測定システムでは、測定端末10の内部で取り扱われる生体情報測定結果を示す生体データにおいて、測定時間を表す測定タイミングデータを、このように前回の測定時からの測定間隔を表す時間情報とすることで、時間情報を最初から絶対的な時刻の情報として取り扱う場合と比較して、生体データの情報量(必要なbit数)を低減することができる。この時間情報の変換は、上記説明した方法によって、本体部であるスマートフォン20の測定結果データ生成部22で正しく行うことができる。このため、データの精度に影響を与えることなく、最初から時刻データとしての時間情報を持っている場合と比較して、測定端末10内の記憶部16の容量を小さくすることができる。また、同じ容量の記憶部16内により多くの生体データを記憶することができる。さらに、複数の生体データをまとめてスマートフォン20へと送信する場合に、送信時間を短くすることができる。
【0074】
次に、本実施形態にかかる生体情報測定システムにおける、測定端末10の基準クロック12からの時間データの較正について説明する。
【0075】
本実施形態の生体情報測定システムでは、測定端末10とスマートフォン20との間のデータ通信が成立する度に、前回のデータ通信後に測定されて蓄積された生体データTの全てと、最後の測定タイミングからデータ通信の成立時までの経過時間を示す経過時間情報TEが送信される。このため、データ送信時の全ての生体データTにおける測定時間情報Sの総和ΣSとデータ送信までの経過時間情報TEとの和が、前回のデータ送信時から今回のデータ送信時までの測定端末10内での経過時間TTとなる。
【0076】
一方で、スマートフォン側では、常に現在時刻データを把握していて、前回のデータ送信時刻TC(-1)と今回のデータ送信時刻TCとが判明している。このため、前回のデータ送信時と今回のデータ送信時の時間差TH=TC-TC(-1)を算出することができる。
【0077】
そして、測定端末10での経過時間TTと、測定間隔の正しい時間差THとを比較して、その差が大きい場合には、測定端末10内の基準クロック12のクロック周波数が正確でないと判断することができる。
【0078】
測定端末10での生体情報の測定間隔は、基準クロック12のクロック周波数に基づいて定められているため、基準クロック12のクロック周波数に誤差があると、特に、データ通信の間隔が広くなった際に、最初の内に取得された生体データにおける測定タイミングデータに誤差が含まれることとなる。このため、本実施形態の生体情報測定システムでは、上記タイミングデータ較正部23で求められた、TTとTHとの値の差が一定以上に大きい場合には、所定の較正値TKとして、TK=TT/THを求め、測定端末10の生体データ生成部13における測定間隔を示す測定タイミングデータTSDをTSD=TS(N)/TKとすることで、測定端末10内での時間情報を較正する。
【0079】
なお、この時間情報の較正は、測定端末10へのフィードバックを行わずに、スマートフォン20側で生体データを測定結果データに変換する際の時刻データへの変換時に、較正データTKを掛け合わせることによって行うこともできる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態にかかる生体情報測定システムでは、測定端末内部におけるデータ処理で使用される測定時間を示す時間情報である測定タイミングデータを、前回の測定時からの測定間隔に基づく相対的なデータとして把握する。このことによって、測定対象者の体温の測定値と、身体の動きを示す加速度データと、測定タイミングを示す時間情報とを含めた生体データのデータ量を低減することができる。このため、測定端末の小型軽量化、測定端末と本体機器であるスマートフォンとのデータ通信時間の短縮等を行うことができる。結果として、測定対象者が装着する測定端末を小さくすることができ、また、測定端末とスマートフォンとのデータ転送のための接続間隔を広げることができる。さらに、データ通信時間も短くなることで、測定対象者にかかる生体情報取得の負担を低減することができる。
【0081】
なお、測定端末と本体機器であるスマートフォンとのデータ通信は、上記例示したブルートゥース規格によるものには限られず、他のローカルルールでの無線通信や、近接配置した際の電磁誘導を利用したデータ通信方法など、端末機器と本体機器との間での短距離でのデータ通信が可能な各種の方法を採用することができる。
【0082】
また、本体機器は、上記例示したスマートフォンには限られない。測定端末との間で所定の方式でのデータ通信が可能であること、さらに、測定端末から送信された生体データを測定結果データに変換するデータ処理が可能であることの要件を満たせば、各種のパーソナルコンピュータ、タブレット端末を用いて本実施形態にかかる生体情報測定システムを動作させるソフトウェアをインストールすることで、本体機器とすることができる。また、これらの汎用的な機器に限られず、本願で開示する生体情報測定システムに使用されるように特化された専用の本体機器を用いることができる。
【0083】
なお、本体機器として、スマートフォンやパーソナルコンピュータ、タブレット端末を用いた場合には、それぞれの機器が備えるキャリア通信やネット回線への接続などの無線または有線の通信手段が利用できる。そして、例えばインターネット環境を経由して接続可能なクラウドサーバを別途配置して、それぞれの本体機器で取得された測定結果データをビッグデータとして集めることができる。このようにして集められた測定結果データの集合体は、測定対象者の体温と身体の動きの変化を示す情報として集積されて適宜データ解析されることにより、例えば、身体の動きと体温との関係を解析するなどのさらに高度なデータ処理を行うことができ、医療関係分野、スポーツ関係分野などのそれぞれの生体情報のデータ収集目的に応じた集合的データとして使用される。
【0084】
また、得られたビッグデータを用いて、個々の測定対象者の体温の測定結果に対する各種のフィードバック、例えば、医療関係分野であれば現在の体調評価値や、体調変化の危険度に対する警告表示、スポーツ関係分野であれば、現在の練習メニューによる負荷の大きさの表示や、体調変化による練習中止の勧告を行うことなどに用いることができる。
【0085】
また、スマートフォンの画像表示機能やデータ処理機能を使用することによって、複数の測定対象者から得られた測定結果データの集合体であるビッグデータを使用しなくても、それぞれの測定対象者の生体情報測定結果の表示や、同一の測定対象者の過去の測定結果との対比データを示すなどの、測定対象者への測定情報のフィードバックを行うことができる。
【0086】
これらの場合において、スマートフォンなどの本体機器が取得できる、気温データ、湿度データなどの環境データを、インターネット環境上のクラウドサーバに測定結果データと合わせて送信したり、測定対象者へのフィードバック情報に反映させたり、これらの環境情報に基づいてフィードバック情報を適宜加工したり、各種のバリエーションを付加して測定対象者に通知することができる。
【0087】
以上の説明では、測定端末の測定対象が測定対象者の生体情報として体温と身体の動きとであるものについて説明したが、本実施形態にかかる測定端末での測定対象は温度センサによる環境温度と測定端末の動きを示す加速度データであれば、特定の測定対象者の生体情報には限られない。例えば、ロボットやドローンなどの無線操縦によって制御可能な測定装置によって環境温度と加速度の変化などを測定する場合の測定端末として、本願で開示する測定端末を利用することができる。
【0088】
なお、測定端末で測定対象者の体温以外の温度を計測する場合は、測定される温度範囲が体温を測定対象とする場合と比較して広がり、一例として-10℃から+60℃までとすることが考えられる。また、測定間隔は、適宜変更可能な数値として最小1分間隔から最大60分間隔と設定することができる。この場合の温度センサによる測定値は、±256℃の場合の2Byte分解能値として、0.00781℃の精度での測定とすることができる。
【0089】
加速度センサの測定値としては、測定端末から本体機器へと測定データを送信する間隔における最大値を用いることで必要なデータ量を小さくすることができる。例えば、上述したように測定端末と本体機器との間のデータ送信間隔であるアドバタイズ間隔が2.57秒の場合に、3次元加速度センサによる測定データを、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向それぞれの測定値の合成加速度として各軸測定値の2乗和(X2+Y2+Z2)をとってアドバタイズ期間内の最大値を求め、このときのX軸、Y軸、Z軸それぞれの加速度を各1Byteのデータとする。この状態であれば、前述した温度センサの測定データの2byte、3Byteの測定間隔データその他の識別データを加えて、31Byteで測定データを構成することができる。このとき、測定端末の記憶部で記憶される測定結果を示すデータ量は、1分間隔で計測した場合に90時間(約3.7日分)で31kByteとなり、記憶部であるEEPROM(E2PROM)として小型のタイプを使用することができる。
【0090】
なお、上記実施形態では、測定端末として長円形の外形のものを例示したが、本願で開示する測定端末としてその外形に制約はない。生体情報を取得する測定端末の場合は、円形、楕円形などの丸みを帯びた形状とすることが測定対象者に違和感を与えないため好ましい。一方、測定対象者の生体情報を取得する測定端末以外の場合は、長方形、正方形、その他多角形などを含めたさらに多様な外形の測定端末を使用することができる。
【0091】
ただし、測定対象者が、3次元加速度センサを正しい向きに容易に設置することができるように、測定端末の外形を工夫したり、測定端末の筐体に3次元加速度センサの軸方向を表示したりするなど、測定端末の設置方向がわかるような対応を行うことが好ましい。
【0092】
また、図1に示したように、測定端末のアンテナを回路基板と一体で構成することも必須ではなく、特に、測定対象者の体表面に装着しない場合には、測定端末を固定する部材や、測定端末の近くに存在する部材の影響を考慮して、アンテナ部材の配置を設計することが好ましい。
【0093】
さらに、測定端末の動きを検出する加速度センサとして、3次元加速度センサを用いる例を示したが、測定端末の動く方向が限られている場合には、加速度センサとして2次元センサ、1次元センサなどを用いることができる場合もある。
【0094】
また上記実施形態では、測定端末の測定対象者への装着として、測定対象者の体表に測定端末を直接固定する態様を示したが、本願で開示する測定端末の測定対象者への装着方法は上述した体表面に直接固定する方法には限られず、測定端末を測定対象者が着ている衣服や測定対象者の装備品(ヘルメットなど)に固定することにより測定端末が測定対象者の体表に接触するように、間接的に固定する態様であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本願で開示する測定端末、および測定システムは、測定タイミングを示す時間情報として測定間隔時間を表す情報を用いることで、温度と加速度とを測定する測定端末の小型化やデータ通信量の低減が実現でき、取り扱いが容易で正確なデータを測定することができる測定システムを実現できる。
【符号の説明】
【0096】
10 測定端末
12 水晶振動子(基準クロック)
13 生体データ生成部
14 測定間隔変更部
15 制御部
16 記憶部
17 データ送信部
20 スマートフォン(本体機器)
図1
図2
図3
図4
図5