(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083995
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】車両の制御方法及び車両の制御システム
(51)【国際特許分類】
B60W 20/12 20160101AFI20240617BHJP
B60K 6/46 20071001ALI20240617BHJP
B60W 10/06 20060101ALI20240617BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20240617BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240617BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240617BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240617BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20240617BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20240617BHJP
B60W 20/17 20160101ALN20240617BHJP
【FI】
B60W20/12
B60K6/46 ZHV
B60W10/06 900
B60W10/08 900
G01C21/26 A
G08G1/09 A
B60L15/20 J
B60L50/16
B60L58/10
B60W20/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198137
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手塚 淳
【テーマコード(参考)】
2F129
3D202
5H125
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129CC18
2F129CC25
2F129EE80
2F129FF02
2F129FF17
2F129FF18
2F129FF20
2F129FF36
2F129FF64
3D202AA07
3D202BB00
3D202BB08
3D202BB09
3D202BB11
3D202CC24
3D202CC45
3D202CC59
3D202DD13
3D202DD16
3D202DD22
3D202DD44
3D202DD45
3D202DD50
3D202EE24
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BA00
5H125BD17
5H125CA02
5H125CA09
5H125CA18
5H125CC04
5H125CC07
5H125EE49
5H125EE55
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB08
5H181FF13
5H181FF14
(57)【要約】
【課題】ドライバが運転に集中できる車両の制御方法及び車両の制御システムを提供する。
【解決手段】エンジンにより駆動された発電機の発電電力を充電するバッテリと、バッテリの電力によって駆動輪を駆動させるモータとを備え、選択可能な複数の走行モードを有する車両の制御方法が提供される。この車両の制御方法は、複数の走行モードが、エンジンを停止した状態で走行するEVモードと、エンジンを駆動して、発電機により電力を発電しながら走行するチャージモードとを含む。そして、地図情報と、ユーザにより当該地図情報における地図上に指定されたEVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアを含むエリア情報とを取得し、車両は、EVモード走行エリア内ではEVモードで走行し、チャージモード走行エリア内ではチャージモードで走行する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンにより駆動された発電機の発電電力を充電するバッテリと、前記バッテリの電力によって駆動輪を駆動させるモータとを備え、選択可能な複数の走行モードを有する車両の制御方法であって、
前記複数の走行モードは、前記エンジンを停止した状態で走行するEVモードと、前記エンジンを駆動して、前記発電機により電力を発電しながら走行するチャージモードとを含み、
地図情報と、ユーザにより当該地図情報における地図上に指定されたEVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアを含むエリア情報とを取得し、
前記車両は、前記EVモード走行エリア内では前記EVモードで走行し、前記チャージモード走行エリア内では前記チャージモードで走行する、
車両の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の制御方法であって、
前記エリア情報は、当該エリア情報がアップロードされたクラウドサーバから取得する、
車両の制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の車両の制御方法であって、
前記エリア情報を、前記車両のユーザの端末装置から取得する、
車両の制御方法。
【請求項4】
請求項1に記載の車両の制御方法であって、
前記車両は、前記複数の走行モードを選択可能なスイッチを備え、
前記スイッチからの入力情報を取得した場合、前記車両が前記EVモード走行エリアまたは前記チャージモード走行エリアを走行中であっても、前記入力情報に基づいた走行モードで走行する、
車両の制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の車両の制御方法であって、
前記車両は、走行モードとは異なる記憶モードを選択可能に構成され、
前記記憶モードが選択されている場合、前記スイッチによるEVモードの選択時から前記EVモードの選択解除時までの走行ルートをEVモード走行ルートとして記憶し、前記スイッチによるチャージモードの選択時から前記チャージモードの選択解除時までの走行ルートをチャージモード走行ルートとして記憶し、
前記車両は、前記EVモード走行ルートを走行する場合、前記EVモードで走行し、前記チャージモード走行ルートを走行する場合、前記チャージモードで走行する、
車両の制御方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載の車両の制御方法であって、
前記車両は、前記エンジンから排出される排ガスを処理する触媒を備え、
前記車両が前記EVモードで走行している際に、前記バッテリのSOCが第1の所定の値以下になった場合、前記エンジンの水温が所定の値以下になった場合、または前記触媒の温度が所定の値未満になった場合、走行モードを前記チャージモードに切り替え、
前記車両が前記チャージモードで走行している際に、前記バッテリのSOCが第2の所定の値以上になった場合、走行モードを前記EVモードに切り替える、
車両の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の車両の制御方法であって、
前記車両が前記EVモードで走行している際に、前記バッテリのSOCが所定の値以下になった、前記エンジンの水温が所定の値以下になった、または前記触媒の温度が所定の値未満になったことにより、走行モードを前記チャージモードに切り替える場合、前記車両の乗員に走行モードを切り替えることを報知する、
車両の制御方法。
【請求項8】
エンジンにより駆動された発電機の発電電力を充電するバッテリと、前記バッテリの電力によって駆動輪を駆動させるモータと、道路情報を取得するナビゲーション装置と、複数の走行モードから選択された走行モードを実行するコントローラとを備える車両の制御システムであって、
前記複数の走行モードは、前記エンジンを停止した状態で走行するEVモードと、前記エンジンを駆動して、前記発電機により電力を発電しながら走行するチャージモードとを含み、
前記コントローラは、地図情報を取得する地図情報取得部と、ユーザにより当該地図情報における地図上に指定されたEVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアを含むエリア情報を取得するエリア情報取得部とを有し、
前記コントローラは、前記車両が前記EVモード走行エリア内では前記EVモードで走行し、前記チャージモード走行エリア内では前記チャージモードで走行するように制御する、
車両の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御方法及び車両の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンにより駆動される発電機と、発電機によって充電されるバッテリと、バッテリから供給される電力により駆動力を発生させるモータとを備えるシリーズハイブリッド車両が知られている。
【0003】
シリーズハイブリッド車両では、騒音を低減するため、エンジンによる発電を停止した状態で走行するEVモードや、エンジンを駆動し、発電機によって発電しながら走行するチャージモード等、複数の走行モードを有するものがある。特許文献1には、スイッチの操作により選択可能な複数の走行モードを有するハイブリッド車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のハイブリッド車両では、スイッチ操作により走行モードを選択するため、同じルートを走行する際にも、毎回、ドライバ等がスイッチを押さなければならない。従って、ドライバは常にスイッチ操作を意識しなければならず、ドライバが運転に集中できなくなる虞がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みたものであり、ドライバが運転に集中できる車両の制御方法及び車両の制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、エンジンにより駆動された発電機の発電電力を充電するバッテリと、バッテリの電力によって駆動輪を駆動させるモータとを備え、選択可能な複数の走行モードを有する車両の制御方法が提供される。この車両の制御方法は、複数の走行モードが、エンジンを停止した状態で走行するEVモードと、エンジンを駆動して、発電機により電力を発電しながら走行するチャージモードとを含む。そして、地図情報と、ユーザにより当該地図情報における地図上に指定されたEVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアを含むエリア情報とを取得し、車両は、EVモード走行エリア内ではEVモードで走行し、チャージモード走行エリア内ではチャージモードで走行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両は、ドライバ等のユーザにより指定されたEVモード走行エリア内ではEVモードで走行し、チャージモード走行エリア内ではチャージモードで走行する。即ち、車両がユーザにより指定されたEVモード走行エリア内及びチャージモード走行エリア内を走行する際には、スイッチ操作をしなくても、ドライバが所望する走行モードで車両が走行する。従って、ドライバは、より運転に集中することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態の車両制御システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、EVまたはチャージモード走行エリアの指定を説明するフローチャートである。
【
図3】
図3は、走行モード制御を説明するフローチャートである。
【
図4】
図4は、モード要求の種類と優先度を示す図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の車両制御システムの概略構成図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の車両制御システムにおける記憶モードを説明するフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2実施形態の車両制御システムにおける走行モード制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態による車両制御システム100の概略構成図である。車両制御システム100は、エンジンによる駆動される発電用のモータ(発電機)と、駆動用のモータとを備える、いわゆるシリーズハイブリッド車両に適用される。但し、本実施形態で説明する車両の制御方法は、シリーズハイブリッド車両だけでなく、パラレルハイブリッド車両、プラグインハイブリッド車両、シリーズハイブリッドとパラレルハイブリッドを併用した車両等にも適用することができる。
【0012】
図1に示すように、車両制御システム100は、エンジン1、発電機2、発電機インバータ3、バッテリ4、駆動インバータ5、駆動モータ6、EVスイッチ(EVSW)7、チャージスイッチ(チャージSW)8、触媒9、ナビゲーション装置10及びコントローラ20等から構成される。
【0013】
エンジン(内燃機関)1は、不図示のギヤを介して発電機2と機械的に接続されており、発電機2が発電するための動力を発電機2へ伝達する。エンジン1は、燃料を燃焼することで動力を発生する。本実施形態の車両制御システム100が適用される車両は、シリーズハイブリッド車両であるため、エンジン1は、主として発電機2を回転駆動させるための駆動源として用いられる。
【0014】
発電機2は、エンジン1からの動力によって回転することにより発電するモータジェネレータである。即ち、エンジン1の駆動力は発電機2に伝達され、発電機2はエンジン1の駆動力によって発電する。発電機2によって発電された電力は、駆動インバータ5を介して駆動モータ6に供給されるとともに、バッテリ4に充電される。
【0015】
発電機インバータ3は、発電機2、バッテリ4、及び駆動インバータ5に電気的に接続されており、発電機2が発電する交流の電力を直流の電力に変換して、駆動インバータ5及びバッテリ4に供給する。駆動インバータ5に供給された発電機2の電力は、駆動インバータ5から駆動モータ6に供給され、駆動モータ6を駆動させる。また、発電機2の電力は発電機インバータ3からバッテリ4にも供給され、これによりバッテリ4が充電される。発電機インバータ3の動作は、後述のコントローラ20により制御される。なお、発電機2が発電する電力がすべて駆動モータ6の駆動力として消費される場合には、発電機インバータ3からバッテリ4に電力が供給されない。
【0016】
バッテリ4は、リチウムイオンバッテリによって構成されるがこれに限られない。バッテリ4は、発電機2が発電した電力及び駆動モータ6の回生電力を充電する一方で、駆動モータ6を駆動させるための駆動電力を放電する。具体的には、エンジン1が駆動している場合、発電機2が発電した電力のうち、駆動モータ6の駆動力に用いられる電力を差し引いた電力がバッテリ4に充電される。また、エンジン1が駆動している場合、発電機2が発電した電力では駆動モータ6を駆動するのに不足する場合、不足分の電力がバッテリ4から駆動インバータ5を介して駆動モータ6に供給される。一方、エンジン1が停止している場合、駆動モータ6を駆動させるための電力が、バッテリ4から駆動インバータ5を介して駆動モータ6に供給される。
【0017】
バッテリ4の充電状態(SOC:State Of Charge)は、満充電時に対する充電量(残充電容量)の割合で表され、バッテリ4の充電量に応じて0~100[%]の間で値が変化する。なお、バッテリ4には、バッテリ4の温度を検出する不図示のバッテリ温度センサが備えられている。また、発電機インバータ3及び駆動インバータ5とバッテリ4とを電気的に接続する配線上には、バッテリ4の電流値を検出する不図示のバッテリ電流センサが設けられている。バッテリ温度センサにより検出されたバッテリ4の温度、及びバッテリ電流センサにより検出されたバッテリ4の電流値は、後述のコントローラ20に送信される。
【0018】
駆動インバータ5は、発電機インバータ3を介して発電機2から供給される直流の電力及びバッテリ4から供給される直流の電力を交流の電力に変換して、駆動モータ6に供給し、駆動モータ6を駆動する。即ち、発電機2(発電機インバータ3)及びバッテリ4からの電力は、駆動インバータ5を介して駆動モータ6に供給される。また、駆動インバータ5は、駆動モータ6で回生発電された交流の電力を直流の電力に変換して、バッテリ4に供給する。
【0019】
駆動モータ6は、発電機インバータ3及びバッテリ4から駆動インバータ5を介して供給される交流電流により駆動し、駆動輪に駆動力を伝達する。また、車両の減速時やコースト走行中等に駆動輪に連れ回されて回転するときに、回生駆動力を発生させることで、車両の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する。回収した電気エネルギーは、回生電力としてバッテリ4に充電される。
【0020】
EVスイッチ(EVSW)7は、エンジン1を停止した状態で、バッテリ4の電力のみにより走行するEVモードで走行したい場合にドライバが押すスイッチである。EVSW7が押されると、コントローラ20に入力信号(EVモード要求信号)が送信され、コントローラ20の制御によりエンジン1は停止する、または駆動しない。なお、EVSW7が押されてEVモードが選択された後、EVSW7が再度押されると、コントローラ20にEVモード解除信号が送信され、EVモードの選択が解除される。但し、EVSW7によるEVモードの選択及び解除の方法はこれに限られない。
【0021】
チャージスイッチ(チャージSW)8は、エンジン1を駆動し、バッテリ4を充電しながら走行するチャージモードで走行したい場合にドライバが押すスイッチである。チャージSW8が押されると、コントローラ20に入力信号(チャージモード要求信号)が送信され、コントローラ20の制御によりエンジン1が駆動する。なお、チャージモードで走行中の際にも、発電機2からの供給電力だけでは駆動モータ6の要求駆動力を満たすことができない場合は、バッテリ4から駆動モータ6に電力が供給される。この場合、チャージモードであっても、バッテリ4への充電が行われない。即ち、チャージモードとは、エンジン1を駆動して、発電機2により電力を発電しながら走行する走行モードである。なお、チャージSW8が押されてチャージモードが選択された後、チャージSW8が再度押されると、コントローラ20にチャージモード解除信号が送信され、チャージモードの選択が解除される。但し、チャージSW8によるチャージモードの選択及び解除の方法はこれに限られない。
【0022】
触媒9は、例えば三元触媒であり、エンジン1から排出される排ガスを浄化する。触媒9は、排気中のNOx、CO、HC等を酸化、還元することにより無害な窒素、水、二酸化炭素等へと浄化する。触媒9は、所定の活性温度以上の温度になると、高効率で排気ガスを浄化可能となる。
【0023】
ナビゲーション装置10は、地図データベース及び地球測位システム(GPS)等から自車両の現在位置を取得し、取得した自車両の現在位置に基づき、自車両の周囲の道路情報や交通情報を取得する。ナビゲーション装置10により取得された道路情報等は、後述のコントローラ20に送信される。
【0024】
コントローラ20は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RΑM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えた1または複数のコンピュータで構成される。本実施形態では、コントローラ20は、バッテリ4の状態やドライバのスイッチ操作等に応じて要求される走行モードで車両が走行するように、エンジン1や発電機2、駆動モータ6の動作を制御するようプログラムされている。なお、コントローラ20による走行モード制御の詳細は後述する。
【0025】
コントローラ20は、バッテリ電流センサにより検出されたバッテリ4の電流値を取得し、当該電流値に基づきバッテリ4のSOCを算出し、取得する。また、コントローラ20は、ドライバ等によりEVSW7またはチャージSW8が押されると、EVSW7またはチャージSW8からの入力信号を取得する。また、車両制御システム100は、不図示の速度センサ、駆動力センサ、エンジン水温センサ、触媒温度センサ等の各種センサを備え、コントローラ20は、各種センサが検知した車速、車両の駆動力、エンジン水温、触媒温度等の検知情報を適宜取得する。更に、コントローラ20は、ナビゲーション装置10から、道路情報等を取得する。
【0026】
コントローラ20は、パワートレインコントローラ(PTC)21、第1モータコントローラ(MC1)22、第2モータコントローラ(MC2)23、バッテリコントローラ(LBC(Lithium Battery Controller))24を含む。
【0027】
PTC21は、エンジン1の動作を制御するとともに、第1モータコントローラ22及び発電機インバータ3を介して発電機2の動作を制御し、第2モータコントローラ23及び駆動インバータ5を介して駆動モータ6の動作を制御する。PTC21は、後述のバッテリコントローラ(LBC)24から、バッテリ4のSOC及びバッテリ4の温度を取得し、ドライバのスイッチ操作があった場合、EVSW7またはチャージSW8からの入力信号を取得する。また、PTC21は、各種センサから検知情報を適宜取得し、ナビゲーション装置10から、道路情報等を取得する。そして、PTC21は、ドライバのスイッチ操作、バッテリ4のSOC、または各種センサから取得した検知情報に応じた走行モードで車両が走行するように、エンジン1、発電機2、駆動モータ6の目標動作を決定する。
【0028】
具体的には、まず、PTC21は、車両が、バッテリ4のSOCのマネージメント上の要求(SOCマネージメント要求)に応じた走行モードで走行するように、エンジン1、発電機2、駆動モータ6の目標動作を決定する。より具体的には、車両の駆動力Fが閾値Fth以上の場合は、駆動モータ6による消費電力が大きいため、PTC21は、エンジン1を駆動し、発電機2により発電しながら走行するチャージモードで走行するように、エンジン1、発電機2、駆動モータ6の目標動作を決定する。一方、車両の駆動力Fが閾値Fth未満の場合には、駆動モータ6による消費電力は小さいため、PTC21は、エンジン1を停止した状態で走行するEVモードで走行するように、エンジン1、発電機2、駆動モータ6の目標動作を決定する。ここで、駆動力Fの閾値Fthは、車速Vとバッテリ4のSOCに応じて、バッテリ4のSOCが過小になる虞がないような値に決定される。例えば、車速Vとバッテリ4のSOCに対応させた駆動力Fの閾値Fthのマッピングを予め設定しておき、当該マッピングに従って、駆動力Fの閾値Fthを決定することができる。即ち、駆動力Fの閾値Fthは、一定の値ではなく、車速Vとバッテリ4のSOCに応じて変化する。なお、本実施形態では、車両の駆動力Fが閾値Fth以上であるか否かにより走行モードが選択されるが、必ずしもこれに限られない。例えば、単にバッテリ4のSOCが所定の値以上である場合に、EVモードで走行するようにエンジン1、発電機2、駆動モータ6の目標動作を決定し、所定の値未満の場合に、チャージモードで走行するようにエンジン1、発電機2、駆動モータ6の目標動作を決定してもよい。
【0029】
次に、ドライバのスイッチ操作があり、スイッチからの入力信号を受信した(スイッチ操作によるモード要求があった)場合、PTC21は、当該操作に応じた走行モードで走行するように、エンジン1、発電機2、駆動モータ6の目標動作を決定する。具体的には、ドライバによりEVSW7が押され、EVSW7からEVモード要求信号を取得した場合、PTC21は、エンジン1を停止した状態で走行するEVモードで走行するように、エンジン1、発電機2、駆動モータ6の目標動作を決定する。一方、ドライバによりチャージSW8が押され、チャージSW8からチャージモード要求信号を取得した場合、PTC21は、エンジン1を駆動し、発電機2により発電しながら走行するチャージモードで走行するように、エンジン1、発電機2、駆動モータ6の目標動作を決定する。なお、スイッチ操作によるモード要求があった場合には、車両の駆動力Fが閾値Fth以上であるか否かに関わらず、スイッチ操作に応じてエンジン1、発電機2、駆動モータ6の目標動作が決定される。即ち、SOCマネージメント要求よりもスイッチ操作によるモード要求が優先される。
【0030】
また、PTC21は、触媒8の温度、エンジン1の水温、バッテリ4のSOCに基づき、発電が要求される場合、または、バッテリ4のSOCに基づき、充電の禁止が要求される場合、当該要求に応じた走行モードで走行するように、エンジン1、発電機2、駆動モータ6の目標動作を決定する。具体的には、触媒9の温度が所定の閾値CTth未満になった(触媒要求がある)場合、エンジン1の水温が所定の閾値ETth以下になった(暖房要求がある)場合、またはバッテリ4のSOCが所定の第1閾値SOCth1以下になった(充電要求がある)場合、発電が要求される。この場合、PTC21は、エンジン1を駆動し、発電機2により発電しながら走行するチャージモードで走行するように、エンジン1、発電機2、駆動モータ6の目標動作を決定する。一方、バッテリ4のSOCが所定の第2閾値SOCth2以上になった場合、充電の禁止が要求される。この場合、PTC21は、エンジン1を停止した状態で走行するEVモードで走行するように、エンジン1、発電機2、駆動モータ6の目標動作を決定する。なお、触媒9の温度閾値CTthは、例えば、触媒9が高効率で排気ガスを浄化可能となる温度に設定され、エンジン1の水温閾値ETthは、例えば、エンジン1の暖気運転が必要になる温度に設定される。また、バッテリ4のSOCの第1閾値SOCth1は、例えば、それを下回るとバッテリ4の性能に影響が出るような値に設定され、第2閾値SOCth2は、例えば、それを上回ると過充電によりバッテリ4の性能に影響が出るような値に設定される。また、触媒要求、暖房要求、充電要求、充電禁止要求(以下、充電要求等ともいう)があった場合、スイッチ操作によるモード要求の有無及び車両の駆動力Fが閾値Fth以上であるか否かに関わらず、充電要求等に応じてエンジン1、発電機2、駆動モータ6の目標動作が決定される。即ち、触媒要求、暖房要求、充電要求、充電禁止要求は、スイッチ操作によるモード要求及びSOCマネージメント要求よりも優先される。
【0031】
PTC21により決定されたエンジン1、発電機2、駆動モータ6の目標動作は、目標動作指令として第1モータコントローラ(MC1)22及び第2モータコントローラ(MC2)23に送信される。また、PTC21は、エンジン1及び発電機2の目標動作に基づき、エンジン1の動作を制御する。
【0032】
第1モータコントローラ22は、PTC21からの目標動作指令を受信し、当該目標動作指令に基づき発電機インバータ3の動作を決定するとともに、発電機インバータ3に動作指令を送信する。発電機インバータ3は、第1モータコントローラ22の動作指令に基づき動作することで、発電機2からの電力を変換して駆動インバータ5及びバッテリ4に供給する。このように、第1モータコントローラ22は、発電機インバータ3の動作を制御する。
【0033】
第2モータコントローラ23は、PTC21からの目標動作指令を受信し、当該目標動作指令に基づき駆動インバータ5の動作を決定するとともに、駆動インバータ5に動作指令を送信する。駆動インバータ5は、第2モータコントローラ23の動作指令に基づき動作することで、駆動モータ6を駆動する。このように、第2モータコントローラ23は、駆動インバータ5の動作を制御する。
【0034】
LBC24は、バッテリ温度センサからバッテリ4の温度の検知情報を、バッテリ電流センサからバッテリ4の電流の検知情報を取得する。また、バッテリ4の電流値に基づきバッテリ4のSOCを算出し、取得する。LBC24は、取得したバッテリ4の温度の検知情報及びバッテリ4のSOCの情報をPTC21に送信する。
【0035】
以上のとおり、車両制御システム100では、触媒要求、暖房要求、充電要求、充電禁止要求が無い場合、車両がSOCマネージメント要求に応じた走行モードで走行するように制御される。また、ドライバは、スイッチ操作をすることで、所望の走行モードで走行することができる。
【0036】
ところで、スイッチ操作により所望の走行モードを選択する場合、同じルートを走行する際にも、毎回、ドライバ等がスイッチを押さなければならず、ドライバは常にスイッチ操作を意識しなければならなくなる。このため、ドライバが運転に集中できない虞がある。そこで、本実施形態においては、ドライバ等のユーザ(以下、単にユーザともいう)が地図上にEVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアを指定し、車両は、ユーザにより指定されたEVモード走行エリア内ではEVモードで走行し、チャージモード走行エリア内ではチャージモードで走行するものとした。即ち、車両がEVモード走行エリア内及びチャージモード走行エリア内を走行する際には、スイッチ操作をしなくても、ドライバが所望する走行モードで車両が走行する。従って、ドライバは、より運転に集中することができる。
【0037】
以下、コントローラ20による走行モード制御の詳細を説明する。
【0038】
図1に示すように、コントローラ20は、更に地図情報取得部25及びエリア情報取得部26を有する。また、PTC21は、不図示の記憶装置を備える。
【0039】
地図情報取得部25は、クラウドサーバ及びPTC21と相互に通信可能に構成され、ユーザが使用するスマートフォンのアプリの情報がアップロード(送信及び記憶)されたクラウドサーバから地図情報を取得する。取得された地図情報は、PTC21に送信される。
【0040】
エリア情報取得部26は、クラウドサーバ及びPTC21と相互に通信可能に構成され、ユーザが使用するスマートフォンのアプリ内の地図上に指定されたEVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアを含むエリア情報を、当該スマートフォンのアプリの情報がアップロード(送信及び記録)されたクラウドサーバから取得する。また、エリア情報取得部26は、各EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアに対して指定された時間帯情報を、当該スマートフォンのアプリの情報がアップロード(送信及び記録)されたクラウドサーバから取得する。取得されたエリア情報及び時間帯情報は、PTC21に送信される。
【0041】
即ち、ユーザは、スマートフォンのアプリ内の地図上にEVモードで走行したいエリア(EVモード走行エリア)と時間帯、及びチャージモードで走行したいエリア(チャージモード走行エリア)と時間帯を指定することができる。当該アプリはアプリ内の地図情報と、ユーザにより当該地図情報における地図上に指定されたEVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアを含むエリア情報と、各EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアに対して指定された時間帯情報とをクラウドサーバにアップロードする。そして、前述のように、地図情報取得部25及びエリア情報取得部26は、クラウドサーバから、それぞれ地図情報と、エリア情報及び時間帯情報とを取得し、PTC21に送信する。
【0042】
PTC21は、地図情報、エリア情報及び時間帯情報を受信すると、不図示の記憶装置に記録する。そして、ナビゲーション装置10からの道路情報等と、記録した地図情報、エリア情報及び時間帯情報とに基づき、車両が指定されたEVモード走行エリアまたはチャージモード走行エリアを指定された時間帯に走行する場合、指定された走行モードで走行するように、エンジン1、発電機2、駆動モータ6の目標動作を決定する。
【0043】
PTC21により決定されたエンジン1、発電機2、駆動モータ6の目標動作は、目標動作指令として第1モータコントローラ22、第2モータコントローラ23、バッテリコントローラ24に送信されるとともに、PTC21は、エンジン1及び発電機2の目標動作に基づき、エンジン1の動作を制御する。第1モータコントローラ22は、PTC21からの目標動作指に基づき、発電機インバータ3の動作を制御し、第2モータコントローラ23は、PTC21からの目標動作指に基づき、駆動インバータ5の動作を制御する。
【0044】
このように、本実施形態では、車両がユーザにより指定されたEVモード走行エリア内ではEVモードで走行し、チャージモード走行エリア内ではチャージモードで走行するように、制御される(当該制御を以下、自動EV/チャージモード制御という)。即ち、車両がユーザにより指定されたEVモード走行エリア内及びチャージモード走行エリア内を走行する際には、スイッチ操作をしなくても、ドライバが所望する走行モードで車両が走行する。従って、ドライバは、より運転に集中することができる。
【0045】
なお、前述の充電要求等(触媒要求、暖房要求、充電要求、充電禁止要求)、またはスイッチ操作によるモード要求がある場合には、これらは自動EV/チャージモード制御よりも優先され、車両は充電要求等及びスイッチ操作によるモード要求に応じた走行モードで走行する。
【0046】
図2は、EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアの指定を説明するフローチャートである。
【0047】
EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアを指定する場合、ステップS11において、ユーザはスマートフォンのアプリを起動する。
【0048】
ステップS12において、ユーザはアプリ画面表示に従って、ユーザIDを入力する。なお、ユーザIDは、車両制御システム100を備えた車両ごとに登録設定されている。
【0049】
ステップS13において、ユーザはアプリ画面表示に従って、EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアと時間帯を指定する。
【0050】
具体的には、ユーザは、まず、EVモード走行エリアまたはチャージモード走行エリアのどちらを指定するのか選択した上で、ユーザは、EVモードまたはチャージモードで走行したいエリアの中心をアプリ内の地図上に指定し、EVモード走行エリアまたはチャージモード走行エリアのエリア半径を指定する。また、ユーザは、各走行エリアをEVモードまたはチャージモードで走行したい時間帯を指定する。EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリア及び時間帯の指定は、アプリ内の地図上に複数設定することができる。但し、EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアを、同一の時間帯を指定して重複した位置に指定することは禁止される。
【0051】
EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアと時間帯の指定が完了すると、ステップS14において、アプリ内に入力された情報等がクラウドサーバに送信される。即ち、ユーザID、アプリ内の地図の情報(地図情報)、地図情報内の地図上に指定されEVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアを含むエリア情報、及び各EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアに対して指定された時間帯情報が、アプリからクラウドサーバに送信される。
【0052】
ステップS15において、クラウドサーバは、受信した地図情報、エリア情報、時間帯情報を、受信したユーザIDに紐づいたユーザの情報として記録する。
【0053】
ステップS16において、車両システムが起動されると、クラウドサーバと車両のコントローラ20とが通信状態となる。車両と通信状態になると、ステップS17において、クラウドサーバは、ユーザIDに紐づいた地図情報、エリア情報、時間帯情報を車両のコントローラ20に送信する。
【0054】
ステップS18において、車両のコントローラ20は、受信した地図情報、エリア情報、時間帯情報を不図示の記憶装置に記録する。
【0055】
このように、ユーザはスマートフォンのアプリ上でEVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアと時間帯を指定することができ、地図情報、エリア情報及び時間帯情報がアプリからクラウドサーバにアップロード(送信、記録)される。そして、地図情報、エリア情報及び時間帯情報は、クラウドサーバから車両のコントローラ20に送信及び記録される。
【0056】
なお、本実施形態では、エリア情報及び時間帯情報がスマートフォンのアプリからクラウドサーバを介してコントローラ20に送信及び記録される構成としたが、これに限られない。例えば、アプリから直接、車両のコントローラ20に送信及び記録されるようにしてもよい。また、EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアと時間帯の指定は、車両のユーザの何らかの端末装置を用いればよく、必ずしもスマートフォンのアプリを用いる必要はない。
【0057】
図3は、走行モード制御を説明するフローチャートである。以下の制御は、いずれもコントローラ20により、所定時間ごとに繰り返し実行される。なお、コントローラ20は、車速、車両の駆動力、エンジン水温、触媒温度等の検知情報、自車両の現在位置、道路情報等を適宜取得する。
【0058】
車両のイグニッションスイッチがオンにされる等して、車両システムが起動すると、ステップS101において、コントローラ20は、ユーザによりEVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアと時間帯(以下、EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリア等ともいう)が指定されているか否かを判断する。EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリア等が指定されているか否かは、クラウドサーバから地図情報、エリア情報及び時間帯情報を受信しているか否かで判断する。EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリア等が指定されている場合、コントローラ20は、ステップS102において、自動EV/チャージモード制御を開始する。一方、EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリア等の指定が無い場合、コントローラ20は、自動EV/チャージモード制御は行わず、通常制御を実行する。なお、通常制御とは、SOCマネージメント要求、スイッチ操作によるモード要求及び充電要求等に応じた走行モードで走行するように制御することをいう。
【0059】
ステップS102において、自動EV/チャージモード制御を開始すると、コントローラ20は、ステップS103において、触媒要求、暖房要求、充電要求、充電禁止要求(充電要求等)の有無を判断する。充電要求等がある場合、コントローラ20は、充電要求等に応じた走行モードで走行するようにエンジン1、発電機インバータ3、駆動インバータ5等を制御する。なお、バッテリ4のSOCが上昇する等して、充電要求等が解消されると、コントローラ20は、SOCマネージメント要求に応じた走行モードで走行するように制御しつつ、ステップS103に戻り、ステップS103以降の処理を実行する。
【0060】
ステップS103において、充電要求等が無い場合、コントローラ20は、ステップS104において、スイッチ操作によるモード要求の有無を判断する。スイッチ操作によるモード要求がある場合、コントローラ20は、スイッチ操作によるモード要求に応じた走行モードで走行するように、エンジン1、発電機インバータ3、駆動インバータ5等を制御する。なお、コントローラ20は、スイッチ操作によるEVモードまたはチャージモードの要求が解除されるまで、スイッチ操作によるモード要求に応じた走行モード制御を継続する。スイッチ操作によるモード要求が解除されると、コントローラ20は、SOCマネージメント要求に応じた走行モードで走行するように制御しつつ、ステップS103に戻り、ステップS103以降の処理を実行する。
【0061】
ステップS104において、スイッチ操作によるモード要求が無い場合、コントローラ20は、ステップS105において、自車両の現在位置が、ユーザが指定したEVモード走行エリア内にあり且つ現在時間が当該EVモード走行エリアに対して指定された時間帯であるか否かを判断する。EVモード走行エリア内且つ指定時間帯である場合、コントローラ20は、EVモードで走行するように、エンジン1、発電機インバータ3、駆動インバータ5等を制御する。なお、コントローラ20は、車両が指定時間帯にEVモード走行エリア内を走行している間は、車両がEVモードで走行するように制御する。車両がEVモード走行エリア内を出る、または指定時間帯を過ぎると、コントローラ20は、SOCマネージメント要求に応じた走行モードで走行するように制御しつつ、ステップS103に戻り、テップS103以降の処理を実行する。一方、ステップS105において、EVモード走行エリア内ではない、または指定時間帯ではない場合、コントローラ20は、ステップS106の処理を実行する。
【0062】
ステップS106において、コントローラ20は、自車両の現在位置が、ユーザが指定したチャージモード走行エリア内且つ当該チャージモード走行エリアに対して指定された時間帯であるか否かを判断する。チャージモード走行エリア内且つ指定時間帯である場合、コントローラ20は、チャージモードで走行するように、エンジン1、発電機インバータ3、駆動インバータ5等を制御する。なお、コントローラ20は、車両が指定時間帯にチャージモード走行エリア内を走行している間は、車両がチャージモードで走行するように制御する。車両がチャージモード走行エリア内を出る、または指定時間帯を過ぎると、コントローラ20は、SOCマネージメント要求に応じた走行モードで走行するように制御しつつ、ステップS103に戻り、ステップS103以降の処理を実行する。一方、ステップS106において、チャージモード走行エリア内ではない、または指定時間帯ではない場合、コントローラ20は、SOCマネージメント要求に応じた走行モードで走行するように制御しつつ、ステップS103に戻り、ステップS103以降の処理を実行する。
【0063】
なお、本実施形態では、ユーザによりEVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアと時間帯が指定されている場合に自動EV/チャージモード制御を開始することとしたが、必ずしもこれに限られない。例えば、自動EV/チャージモード制御用のスイッチ等を設けて、当該スイッチがオンにされた場合に自動EV/チャージモード制御を開始し、オフにされた場合は、EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアを指定時間帯に走行中であっても、通常制御を実行するようにしてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、ユーザが、EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアとともに、時間帯も指定するものとしたが必ずしもこれに限られない。例えば、時間帯は指定せず、EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアのみを指定するものとしてもよい。この場合、時間帯に関係なく、EVモード走行エリアを走行する場合はEVモードで、チャージモード走行エリアを走行する場合はチャージモードで車両が走行する。
【0065】
図4は、モード要求の種類と優先度を示す図である。
図4の表の上に行くほど優先度が高く、複数のモード要求が同時に発出されている場合には、優先度が最も高い要求により要求される走行モードが選択される。なお、
図4の表中の自動チャージモード要求とは、車両が指定時間帯にチャージモード走行エリアを走行する場合における走行モードの要求、自動EVモード要求とは、車両が指定時間帯にEVモード走行エリアを走行する場合における走行モードの要求である。また、第1SOCマネージメント要求とは、SOCマネージメント要求のうち、車両の駆動力Fが閾値F
th未満の場合における走行モードの要求、第2SOCマネージメント要求とは、SOCマネージメント要求のうち、車両の駆動力Fが閾値F
th以上の場合における走行モードの要求である。
【0066】
図4に示すように、車両の駆動力Fが閾値F
th未満の場合には、第1SOCマネージメント要求によりEVモードが要求され、駆動力Fが閾値F
th以上の場合には、第2SOCマネージメント要求によりチャージモードが要求される。
【0067】
車両が指定時間帯にチャージモード走行エリアを走行する場合、自動チャージモード要求によりチャージモードが要求され、車両が指定時間帯にEV走行エリアを走行する場合、自動EVモード要求によりEVモードが要求される。
図4に示すように、自動チャージモード要求及び自動EVモード要求は、SOCマネージメント要求よりも優先される。従って、車両が第1SOCマネージメント要求によりEVモードで走行している場合でも、車両が指定時間帯にチャージモード走行エリアに入ると、走行モードはチャージモードに切り替えられる。同様に、車両が第2SOCマネージメント要求によりチャージモードで走行している場合でも、車両が指定時間帯にEVモード走行エリアに入ると、走行モードはEVモードに切り替えられる。このように、自動チャージモード要求及び自動EVモード要求がSOCマネージメント要求よりも優先されるため、EVモード走行エリア及びチャージモード走行エリア内では、スイッチ操作無しにユーザの所望する走行モードで走行することができる。
【0068】
ドライバによるスイッチ操作があった場合、スイッチ操作に応じた走行モードが要求され、スイッチ操作によるモード要求は、SOCマネージメント要求、自動チャージモード要求及び自動EVモード要求よりも優先される。従って、車両が第1SOCマネージメント要求または自動EVモード要求によりEVモードで走行している場合でも、ドライバによりチャージSW8が押された場合、走行モードはチャージモードに切り替えられる。同様に、車両が第2SOCマネージメント要求または自動チャージモード要求によりチャージモードで走行している場合でも、ドライバによりEVSW7が押され場合、走行モードはEVモードに切り替えられる。このように、スイッチ操作によるモード要求をSOCマネージメント要求、自動チャージモード要求及び自動EVモード要求よりも優先させるため、ドライバの意思により走行モードを乗車中に適宜変更することができる。従って、ドライバは、所望の走行モードにいつでも変更できるため、ドライバの運転快適度(ドライバビリティ)が向上する。
【0069】
充電要求等(触媒要求、暖房要求、充電要求、充電禁止要求)があった場合、これらの要求に応じた走行モードが要求される。充電要求等は、他の要求に比べ最も優先される。即ち、車両が他の要求によりEVモードで走行している場合でも、触媒9の温度が所定の閾値CTth(例えば、500℃)未満になった場合、エンジン1の水温が所定の閾値ETth(例えば、50℃)以下になった場合、またはバッテリ4のSOCが所定の第1閾値SOCth1(例えば、20%)以下になった場合には、走行モードはチャージモードに切り替えられる。また、車両が他の要求によりチャージモードで走行している場合でも、バッテリ4のSOCが所定の第2閾値SOCth2(例えば、80%)以上になった場合には、走行モードはEVモードに切り替えられる。なお、本実施形態においては、触媒要求、充電禁止要求、暖房要求、充電要求の順に優先度を高く設定しているが、充電要求等の中での優先順位はこれに限られず、適宜変更してもよい。このように、充電要求等を他の要求に対し最も優先させるため、バッテリ4の充電不足及び過充電、エンジン1や触媒9が低温になること等により車両システムの性能に影響が及ぶことが防止される。
【0070】
なお、乗員がエンジン1の騒音を無くしたい場合に、予告なしにEVモードからチャージモードに切り替えられてエンジン音が発生すると、乗員に不快感を与える虞がある。従って、車両がEVモードで走行している場合に、触媒要求、暖房要求または充電要求があり、走行モードをチャージモードに切り替える場合、コントローラ20は、不図示の報知手段により、チャージモードに切り替えることを乗員に報知する。例えば、チャージモードに切り替えられる前に、ディスプレイに表示する及び/または音声により通知する等の方法により報知することが可能である。これにより、予期せぬエンジン音の発生により乗員に不快感を与えることを防止できる。
【0071】
上記した第1実施形態の車両制御システム100及び車両制御システム100の制御方法によれば、以下の効果を得ることができる。
【0072】
車両制御システム100の制御方法によれば、地図情報と、ユーザにより当該地図情報における地図上に指定されたEVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアを含むエリア情報とを取得し、車両は、EVモード走行エリア内ではEVモードで走行し、チャージモード走行エリア内ではチャージモードで走行する。即ち、車両がユーザにより指定されたEVモード走行エリア内及びチャージモード走行エリア内を走行する際には、ドライバ等がスイッチ操作をしなくても、ドライバが所望する走行モードで車両が走行する。従って、ドライバは、より運転に集中することができる。
【0073】
車両制御システム100の制御方法によれば、地図上に指定されたEVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアを含むエリア情報を、当該エリア情報がアップロードされたクラウドサーバから取得し、車両は、EVモード走行エリア内ではEVモードで走行し、チャージモード走行エリア内ではチャージモードで走行する。従って、車両がユーザにより指定されたEVモード走行エリア内及びチャージモード走行エリア内を走行する際には、スイッチ操作をしなくても、ドライバが所望する走行モードで車両が走行するため、ドライバは、より運転に集中することができる。
【0074】
車両制御システム100の制御方法によれば、地図上に指定されたEVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアを含むエリア情報を、車両のユーザの端末装置から取得し、車両は、EVモード走行エリア内ではEVモードで走行し、チャージモード走行エリア内ではチャージモードで走行する。従って、車両がユーザにより指定されたEVモード走行エリア内及びチャージモード走行エリア内を走行する際には、スイッチ操作をしなくても、ドライバが所望する走行モードで車両が走行するため、ドライバは、より運転に集中することができる。
【0075】
車両制御システム100の制御方法によれば、車両は複数の走行モード(EVモードまたはチャージモード)を選択可能なスイッチ(EVSW7、チャージSW8)を備える。そして、スイッチからの入力情報を取得した場合、車両がEVモード走行エリアまたはチャージモード走行エリアを走行中であっても、入力情報に基づいた走行モードで走行する。これにより、ドライバはスイッチ操作により走行モードを乗車中に適宜変更することができる。即ち、ドライバは、所望の走行モードにいつでも変更できるため、ドライバビリティが向上する。
【0076】
車両制御システム100の制御方法によれば、車両がEVモードで走行している際に、バッテリ4のSOCが第1閾値SOCth1(第1の所定の値)以下になった場合、エンジン1の水温が閾値ETth(所定の値)以下になった場合、または触媒9の温度が閾値CTth(所定の値)未満になった場合、走行モードをチャージモードに切り替える。また、車両がチャージモードで走行している際に、バッテリ4のSOCが第2閾値SOCth2(第2の所定の値)以上になった場合、走行モードをEVモードに切り替える。これにより、バッテリ4の充電不足及び過充電、エンジン1や触媒9が低温になること等により車両システムの性能に影響が及ぶことが防止される。
【0077】
車両制御システム100の制御方法によれば、バッテリ4のSOCが第1閾値SOCth1(第1の所定の値)以下になった、エンジン1の水温が閾値ETth(所定の値)以下になった、または触媒9の温度が閾値CTth(所定の値)未満になったことにより、走行モードをチャージモードに切り替える場合、車両の乗員に走行モードを切り替えることを報知する。これにより、予期せぬエンジン音の発生により乗員に不快感を与えることを防止できる。
【0078】
車両制御システム100は、コントローラ20が、地図情報を取得する地図情報取得部25と、ユーザにより当該地図情報における地図上に指定されたEVモード走行エリア及びチャージモード走行エリアを含むエリア情報を取得するエリア情報取得部26とを有する。そして、コントローラ20は、車両がEVモード走行エリア内ではEVモードで走行し、チャージモード走行エリア内ではチャージモードで走行するように制御する。即ち、車両がユーザにより指定されたEVモード走行エリア内及びチャージモード走行エリア内を走行する際には、ドライバ等がスイッチ操作をしなくても、ドライバが所望する走行モードで車両が走行する。従って、ドライバは、より運転に集中することができる。
【0079】
(第2実施形態)
図5~
図7を参照して、第2実施形態の車両制御システム100を説明する。本実施形態においては、車両制御システム100が、走行モードとは異なる記憶モードを選択可能に構成された点が第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0080】
記憶モードとは、ドライバ等のユーザによるスイッチ操作により、コントローラ20(PTC21)に、EVモード走行ルート及びチャージモード走行ルートを学習させるモードである。
【0081】
図5は、第2実施形態における車両制御システム100の概略構成図である。
図5に示すように、本実施形態では、車両制御システム100が記憶モードスイッチ(記憶モードSW)30を備える。
【0082】
記憶モードSW30は、記憶モード制御を開始するためのスイッチであり、ユーザが記憶モードSW30を押す(オンにする)と、記憶モード開始信号がコントローラ20(PTC21)に送信される。なお、記憶モードSW30が再度押されると、コントローラ20(PTC21)に記憶モード解除信号が送信され、記憶モードが解除される。
【0083】
記憶モードが選択されている(記憶モードSW30がオンの)状態において、ユーザによりEVSW7が押され、EVモードが選択されると、PTC21は、EVモード走行ルートの記録を開始する。EVモード走行ルートは、地図情報における地図上に記録する。なお、ここでの地図情報は、アプリまたはクラウドサーバから取得したものに限られず、コントローラ20内の地図データベースから取得したものであってもよい。EVモード走行ルートの記録開始後、ユーザにより再度、EVSW7が押され、EVモードが解除されると、PTC21は、EVモード走行ルートの記録を終了する。PTC21は、ユーザにより最初にEVSW7が押された地点(EVモードの選択時)から、ユーザにより再度、EVSW7が押された地点(EVモードの選択解除時)までの走行ルートを、EVモード走行ルートとして記憶装置に記憶する。
【0084】
EVモード走行ルートを記憶した場合、PTC21は、ユーザに、記憶したEVモード走行ルートに対する時間帯を指定させる。即ち、ユーザに対し、次回以降、車両がEVモード走行ルートを走行する際に、自動的にEVモードを選択する時間帯を指定させる。PTC21は、EVモード走行ルートを記憶した後、例えば、不図示のディスプレイ等に時間帯選択画面を表示する。ユーザは当該画面表示に従って操作することで、時間帯を指定することができる。PTC21は、指定された時間帯を記憶装置に記憶する。
【0085】
同様に、記憶モードが選択されている状態において、ユーザによりチャージSW8が押され、チャージモードが選択されると、PTC21は、チャージモード走行ルートの記録を開始する。チャージモード走行ルートは、地図情報における地図上に記録する。チャージモード走行ルートの記録開始後、ユーザにより再度、チャージSW8が押され、チャージモードが解除されると、PTC21は、チャージモード走行ルートの記録を終了する。PTC21は、ユーザにより最初にチャージSW8が押された地点(チャージモードの選択時)から、ユーザにより再度、チャージSW8が押された地点(チャージモードの選択解除時)までの走行ルートを、チャージモード走行ルートとして記憶装置に記憶する。
【0086】
チャージモード走行ルートを記憶した場合、PTC21は、ユーザに、記憶したチャージモード走行ルートに対する時間帯、即ち、次回以降、車両がチャージモード走行ルートを走行する際に、自動的にチャージモードを選択する時間帯を指定させる。PTC21は、チャージモード走行ルートを記憶した後、例えば、不図示のディスプレイ等に時間帯選択画面を表示し、ユーザは当該画面表示に従って操作することで、時間帯を指定する。PTC21は、指定された時間帯を記憶装置に記憶する。
【0087】
このように、本実施形態では、記憶モードを選択可能に構成され、ユーザによるスイッチ操作によって、EVモード走行ルート及びチャージモード走行ルートを記憶することができる。
【0088】
EVモード走行ルートと指定時間帯が記憶されている場合、EVモード走行ルートを指定時間帯に走行する際、PTC21は、車両がEVモードで走行するように、エンジン1、発電機インバータ3、駆動インバータ5等を制御する。
【0089】
同様に、チャージモード走行ルートと指定時間帯が記憶されている場合、チャージモード走行ルートを指定時間帯に走行する際、PTC21は、車両がチャージモードで走行するように、エンジン1、発電機インバータ3、駆動インバータ5等を制御する。
【0090】
図6は、第2実施形態の車両制御システム100における記憶モード(記憶モード制御)を説明するフローチャートである。以下の制御は、いずれもコントローラ20により、所定時間ごとに繰り返し実行される。なお、コントローラ20は、車速、車両の駆動力、エンジン水温、触媒温度等の検知情報、自車両の現在位置、道路情報等を適宜取得する。
【0091】
記憶モードが選択(記憶モードスイッチ30がオン)されて、記憶モード開始信号を受信すると、コントローラ20は、記憶モード制御を開始する。なお、ユーザは、記憶モードSW30をオフにして、記憶モードの選択を解除することにより、いつでも記憶モード制御を終了させることができる。
【0092】
ステップS21において、コントローラ20は、ユーザによりEVモードが選択されたか否かを判断する。EVモードが選択されたか否かは、EVSW7が押されたか否か、即ち、EVSW7からの入力信号を受信したか否かで判断する。EVモードが選択されていない(EVSW7からの入力信号が無い)場合、コントローラ20は、ステップS22の処理を実行する。一方、EVモードが選択された(EVSW7からの入力信号を受信した)場合、コントローラ20は、ステップS23の処理を実行する。
【0093】
ステップS21において、EVSW7からの入力信号が無い場合、コントローラ20は、ステップS22において、ユーザによりチャージモードが選択されたか否かを判断する。チャージモードが選択されたか否かは、チャージSW8が押されたか否か、即ち、チャージSW8からの入力信号を受信したか否かで判断する。チャージモードが選択されていない(チャージSW8からの入力信号が無い)場合、コントローラ20は、EVSW7からの入力信号またはチャージSW8からの入力信号を受信するまで、ステップS21及びステップS22の処理を繰り返す。一方、チャージモードが選択された(チャージSW8からの入力信号を受信した)場合、コントローラ20は、ステップS29の処理を実行する。
【0094】
ステップS21において、EVSW7からの入力信号を受信すると、コントローラ20は、ステップS23において、自車両の現在位置をEVモード走行ルートの開始地点として登録する。
【0095】
ステップS24において、コントローラ20は、EVモードが解除されたか否かを判断する。EVモードが解除されたか否かは、EVSW7が再度押されたか否か、即ち、EVSW7からの入力信号を再度受信したか否かで判断する。ステップS24において、EVモードが解除されていない(EVSW7からの入力信号が無い)場合、コントローラ20は、再度、EVSW7からの入力信号を受信するまで、ステップS24の処理を繰り返す。
【0096】
ステップS24において、EVSW7からの再度の入力信号を受信すると、コントローラ20は、ステップS25において、自車両の現在位置をEVモード走行ルートの終了地点として登録し、ステップS26において、EVモード走行ルートの開始地点から終了地点までのルートをEVモード走行ルートとして記憶する。
【0097】
ステップS27において、コントローラ20は、ユーザに、記憶したEVモード走行ルートに対する時間帯を指定させる画面を表示させ、ユーザに時間帯を指定させる。
【0098】
ユーザにより時間帯が指定されると、ステップS28において、コントローラ20は、当該時間帯を記憶し、記憶モード制御を終了する。
【0099】
一方、ステップS22において、チャージSW8からの入力信号を受信すると、コントローラ20は、ステップS29において、自車両の現在位置をチャージモード走行ルートの開始地点として登録する。
【0100】
ステップS30において、コントローラ20は、チャージモードが解除されたか否かを判断する。チャージモードが解除されたか否かは、チャージSW8が再度押されたか否か、即ち、チャージSW8からの入力信号を再度受信したか否かを判断する。ステップS30において、チャージSW8からの入力信号が無い場合、コントローラ20は、再度、チャージSW8からの入力信号を受信するまで、ステップS30の処理を繰り返す。
【0101】
ステップS30において、チャージSW7からの再度の入力信号を受信すると、コントローラ20は、ステップS31において、自車両の現在位置をチャージモード走行ルートの終了地点として登録し、ステップS32において、チャージモード走行ルートの開始地点から終了地点までのルートをチャージモード走行ルートとして記憶する。
【0102】
ステップS33において、コントローラ20は、ユーザに、記憶したチャージモード走行ルートに対する時間帯を指定させる画面を表示させ、ユーザに時間帯を指定させる。
【0103】
ユーザにより時間帯が指定されると、ステップS34において、コントローラ20は、当該時間帯を記憶し、記憶モード制御を終了する。
【0104】
なお、EVモード走行ルートと指定された時間帯が、チャージモード走行エリアと指定された時間帯に重複する場合、またはチャージモード走行ルートと指定された時間帯が、EVモード走行エリアと指定された時間帯に重複する場合には、スマートフォンのアプリ上、または車両内のディスプレイ上等で、ユーザに、どちらを優先させるか選択させる。
【0105】
図7は、第2実施形態による走行モード制御を説明するフローチャートである。以下の制御は、いずれもコントローラ20により、所定時間ごとに繰り返し実行される。
【0106】
ステップS201において、コントローラ20は、ユーザによりEVモード走行エリア、チャージモード走行エリア、EVモード走行ルート、及びチャージモード走行ルート(以下、EVモード走行エリア等ともいう)の少なくともいずれか、及び時間帯が指定されているか否かを判断する。即ち、クラウドサーバから地図情報、エリア情報及び時間帯情報を受信している、またはEVモード走行ルートと時間帯、チャージモード走行ルートと時間帯が記憶されているか否かを判断する。EVモード走行エリア等のいずれか及び時間帯が指定されている場合、コントローラ20は、ステップS202において、自動EV/チャージモード制御を開始する。一方、EVモード走行エリア等の指定が無い場合、コントローラ20は、自動EV/チャージモード制御は行わず、通常制御を実行する。
【0107】
ステップS202~S206は、第1実施形態の
図3におけるステップS102~S106と同様の処理であるため、説明を省略する。
【0108】
ステップS206において、チャージモード走行エリア内ではない場合、または指定された時間帯ではない場合、コントローラ20は、ステップS207の処理を実行する。
【0109】
ステップS207において、コントローラ20は、自車両の現在位置が、ユーザが指定したEVモード走行ルート上且つ当該EVモード走行ルートに対して指定された時間帯であるか否かを判断する。EVモード走行ルート上且つ指定時間帯である場合、コントローラ20は、EVモードで走行するように、エンジン1、発電機インバータ3、駆動インバータ5等を制御する。なお、コントローラ20は、車両が指定時間帯にEVモード走行ルート上を走行している間は、車両がEVモードで走行するように制御する。車両がEVモード走行ルートを出る、または指定時間帯を過ぎると、コントローラ20は、SOCマネージメント要求に応じた走行モードで走行するように制御しつつ、ステップS203に戻り、ステップS203以降の処理を実行する。一方、ステップS207において、EVモード走行ルート上ではない、または指定時間帯ではない場合、コントローラ20は、ステップS208の処理を実行する。
【0110】
ステップS208において、コントローラ20は、自車両の現在位置が、ユーザが指定したチャージモード走行ルート上且つ当該チャージモード走行ルートに対して指定された時間帯であるか否かを判断する。チャージモード走行ルート上且つ指定時間帯である場合、コントローラ20は、チャージモードで走行するように、エンジン1、発電機インバータ3、駆動インバータ5等を制御する。なお、コントローラ20は、車両が指定時間帯にチャージモード走行ルート上を走行している間は、車両がチャージモードで走行するように制御する。車両がチャージモード走行ルートを出る、または指定時間帯を過ぎると、コントローラ20は、SOCマネージメント要求に応じた走行モードで走行するように制御しつつ、ステップS203に戻り、ステップS203以降の処理を実行する。一方、ステップS208において、チャージモード走行ルート上ではない、または指定時間帯ではない場合、コントローラ20は、通常制御を実行する。
【0111】
なお、本実施形態では、ユーザが、記憶したEVモード走行ルート及びチャージモード走行ルートに対する時間帯も指定するものとしたが必ずしもこれに限られず、時間帯は指定しないものとしてもよい。この場合、時間帯に関係なく、EVモード走行ルートを走行する場合はEVモードで、チャージモード走行ルートを走行する場合はチャージモードで車両が走行する。
【0112】
上記した第2実施形態の車両制御システム100の制御方法によれば、以下の効果を得ることができる。
【0113】
車両制御システム100の制御方法によれば、車両は、走行モードとは異なる記憶モードを選択可能に構成され、記憶モードが選択されている場合、EVSW7(スイッチ)によるEVモードの選択時からEVモードの選択解除時までの走行ルートをEVモード走行ルートとして記憶し、チャージSW8(スイッチ)によるチャージモードの選択時からチャージモードの選択解除時までの走行ルートをチャージモード走行ルートとして記憶する。そして、車両は、EVモード走行ルートを走行する場合、EVモードで走行し、チャージモード走行ルートを走行する場合、チャージモードで走行する。即ち、EVモード走行ルート及びチャージモード走行ルートを記憶させることで、同じ走行ルートを走行する際には、ドライバ等がスイッチ操作をしなくても、ドライバが所望する走行モードで車両が走行する。従って、ドライバは、より運転に集中することができる。
【0114】
なお、いずれの実施形態においても、ドライバ等は、EVSW7及びチャージSW8のスイッチ操作によりEVモード及びチャージモードの選択が可能であるものとしたが、ユーザによるモード選択の方法は必ずしもこれに限られない。例えば、ユーザが発する音声によりモード選択できるようにしてもよい。
【0115】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0116】
上記した各実施形態は、それぞれ単独の実施形態として説明したが、適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1、エンジン,2、発電機,3、発電機インバータ,4、バッテリ,5、駆動インバータ,6、駆動モータ,7、EVスイッチ(EVSW),8、チャージスイッチ(チャージSW),9、触媒,10、ナビゲーション装置,20、コントローラ,30、記憶モードスイッチ(記憶モードSW),100、車両制御システム