(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083998
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法、プログラム、およびシステムの生産方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/36 20120101AFI20240617BHJP
【FI】
G06Q20/36
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198140
(22)【出願日】2022-12-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】522200476
【氏名又は名称】スラッシュ フィンテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伸介
【テーマコード(参考)】
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA68
5L055AA68
(57)【要約】
【課題】NFTに実用的な用途を付加するための技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、ウォレットに保有されている少なくとも1つのNFT(Non-Fungible Token)を提示する手段、少なくとも1つのNFTのいずれかである対象NFTをユーザからの指示に応じて選択する手段、スマートコントラクトによって定義された金庫室において対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報を提示する手段、として機能させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ウォレットに保有されている少なくとも1つのNFT(Non-Fungible Token)を提示する手段、
前記少なくとも1つのNFTのいずれかである対象NFTをユーザからの指示に応じて選択する手段、
スマートコントラクトによって定義された金庫室において前記対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報を提示する手段、
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、前記ウォレットに保有されている暗号資産を前記金庫室に移転するとともに、指定されたNFTへ当該暗号資産を関連付けることを分散型台帳システムに要求する手段、として機能させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記要求する手段は、さらに、前記指定されたNFTに関連付けられた暗号資産をロック期間に亘ってロック状態とすることを前記分散型台帳システムに要求する、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータを、前記対象NFTに関連付けられている暗号資産の、指定されたウォレットへの移転を分散型台帳システムに要求する手段、として機能させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記コンピュータを、前記金庫室における前記対象NFTに対する暗号資産の関連付けを解除するとともに、当該金庫室において指定されたNFTへの当該暗号資産を関連付けることを分散型台帳システムに要求する手段、として機能させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記暗号資産の情報を提示する手段は、前記対象NFTに関連付けられている暗号資産のそれぞれの銘柄および残高に関する情報を提示する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記暗号資産の情報を提示する手段は、前記対象NFTに対応するデジタルコンテンツを、前記対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報とともに提示する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、決済手段を選択可能に構成されたアプリケーションのUI(User Interface)上で、前記ユーザからの指示に応じて前記対象NFTが選択された場合に、当該対象NFTに関連付けられている暗号資産による決済の実行に必要な情報を外部装置に出力し、または外部装置から取得することで、決済を開始する手段、として機能させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項9】
コンピュータを、
スマートコントラクトによって定義された金庫室において、NFT(Non-Fungible Token)に関連付けて暗号資産を管理する手段、
前記NFTのいずれかである対象NFTを保有するウォレットのユーザからの要求に応じて、前記対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報を出力する手段
として機能させるプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータを、前記ウォレットのユーザからの要求に応じて、前記ウォレットに保有されている暗号資産を、前記金庫室に移転し、かつ当該金庫室において当該ユーザによって指定されたNFTへ当該暗号資産を関連付ける手段、
として機能させる請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記関連付ける手段は、前記ウォレットのユーザからの要求に応じて、さらに、前記指定されたNFTに関連付けられた暗号資産をロック期間に亘ってロック状態とする、
として機能させる請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータを、前記ウォレットのユーザからの要求に応じて、前記対象NFTに関連付けられている暗号資産を、当該ユーザによって指定されたウォレットへ移転する手段、
として機能させる請求項9に記載のプログラム。
【請求項13】
前記コンピュータを、前記ウォレットのユーザからの要求に応じて、前記金庫室における前記対象NFTに対する暗号資産の関連付けを解除し、当該ユーザによって指定されたNFTに当該暗号資産を関連付ける手段、
としてさらに機能させる請求項9に記載のプログラム。
【請求項14】
スマートコントラクトによって定義された金庫室において、NFT(Non-Fungible Token)に関連付けて暗号資産を管理する手段と、
前記NFTのいずれかである対象NFTを保有するウォレットのユーザからの要求に応じて、前記対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報を出力する手段と
を具備する、情報処理装置。
【請求項15】
コンピュータが、
スマートコントラクトによって定義された金庫室において、NFT(Non-Fungible Token)に関連付けて暗号資産を管理するステップと、
前記NFTのいずれかである対象NFTを保有するウォレットのユーザからの要求に応じて、前記対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報を出力するステップと
を実行する方法。
【請求項16】
複数のコンピュータに、請求項9に記載のプログラムを提供すること
を具備する、システムの生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、方法、プログラム、およびシステムの生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
NFT(Non-Fungible Token)は、例えばデジタルアートなどのデジタルコンテンツと一意的に関連付けられる。NFTは、当該NFTに関連付けられるデジタルコンテンツの真正性や所有権を主張するために用いられる。
【0003】
デジタルコンテンツに関連付けられたNFTの保有者は、当該デジタルコンテンツを鑑賞したり、当該デジタルコンテンツを所有しているかのような感覚を味わったりできる。また、NFTを用いたゲームも展開されている。
【0004】
特許文献1には、ユーザに関連付けられたNFTを元に当該ユーザにポイントを付与することを企図した技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のNFTは、実用的な用途が十分に用意されているとは言いがたかった。
特許文献1の技術は、NFTの保有によりユーザに副次的な経済的恩恵をもたらす可能性はあるが、NFTそのものの用途を拡張するものではない。
【0007】
本開示の目的は、NFTに実用的な用途を付加するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、ウォレットに保有されている少なくとも1つのNFT(Non-Fungible Token)を提示する手段、少なくとも1つのNFTのいずれかである対象NFTをユーザからの指示に応じて選択する手段、スマートコントラクトによって定義された金庫室において対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報を提示する手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態の分散型台帳システムの構成を示す図である。
【
図4】ウォレットに保有されている暗号資産による決済の説明図である。
【
図6】本実施形態の入金処理のフローチャートである。
【
図7】本実施形態の出金処理のフローチャートである。
【
図8】本実施形態の出金処理において表示される画面例を示す図である。
【
図9】本実施形態の出金処理において表示される画面例を示す図である。
【
図10】変形例1の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図11】変形例1のサーバの構成を示すブロック図である。
【
図12】変形例1の決済処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
(1)情報処理システムの構成
情報処理システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、情報処理システム1は、クライアント装置10と、分散型台帳システム50とを備える。
クライアント装置10及び分散型台帳システム50は、ネットワークNW(例えば、インターネット又はイントラネット)を介して接続される。
【0013】
クライアント装置10は、外部装置(例えば分散型台帳システム50)にリクエストを送信する情報処理装置の一例である。クライアント装置10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。クライアント装置10のユーザは、分散型台帳システム50によって実現される所定の決済システムにおいて例えば暗号資産またはトークン(NFT(Non-Fungible Token)を含み得る)の移転に関する取引(トランザクション)を行う者である。ここで、「暗号資産」とは、独自のブロックチェーン(ネットワーク)上で発行される暗号資産(狭義の暗号資産であり、プラットフォームトークンとも呼ばれる)に限られず、既存のブロックチェーン技術を用いて発行された独自の暗号資産(いわゆるトークン(Fungible Token))を包含する意味で用いられる。
【0014】
分散型台帳システム50は、分散型台帳を管理する。一例として、分散型台帳システム50は、暗号資産またはトークン(NFTを含み得る)の移転に関する取引の履歴を管理する。特に、後述するように、分散型台帳システム50は、スマートコントラクトによって定義された金庫室(Vault)において、NFTに関連付けて暗号資産を管理する。かかる管理には、以下の少なくとも1つが含まれ得る。
・金庫室から他のウォレットへの暗号資産の譲渡
・他のウォレットから金庫室への暗号資産の譲受
・NFTへの暗号資産の関連付け
・NFTに対する暗号資産の関連付けの解除
・NFTに対する暗号資産の関連付け状態の把握
【0015】
分散型台帳は、例えばブロックチェーンである。分散型台帳システム50は、相互に接続された複数のコンピュータ(クライアント装置10を含み得る)を含む。また、分散型台帳システム50には、決済システムの各機能を実現するためのスマートコントラクトが保存されており、クライアント装置10からの要求に応じて当該スマートコントラクトが実行される。
【0016】
(1-1)クライアント装置の構成
クライアント装置の構成について説明する。
図2は、本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
図2に示すように、クライアント装置10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。クライアント装置10は、ディスプレイ21に接続される。
【0018】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0019】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ)のプログラム
【0020】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0021】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、クライアント装置10の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ12は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Array)
【0022】
入出力インタフェース13は、クライアント装置10に接続される入力デバイスから情報(例えば、ユーザの指示)を取得し、かつ、クライアント装置10に接続される出力デバイスに情報(例えば画像)を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイ21、スピーカ、又は、それらの組合せである。
【0023】
通信インタフェース14は、クライアント装置10と外部装置(例えば、分散型台帳システム50)との間の通信を制御するように構成される。
【0024】
ディスプレイ21は、画像(静止画、または動画)を表示するように構成される。ディスプレイ21は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイである。
【0025】
(1-2)分散型台帳システムの構成
分散型台帳システムの構成について説明する。
図3は、本実施形態の分散型台帳システムの構成を示す図である。
【0026】
図3に示すように、分散型台帳システム50は、複数のノードコンピュータ55-1~55-4を備える。
【0027】
ノードコンピュータ55は、ネットワーク(
図1のネットワークNWを含み得る)を介して互いに接続される。本実施形態では、ネットワークは、公衆網、プライベートネットワーク、専用線、VPN(Virtual Private Network)、またはそれらの組み合わせを含み得る。ノードコンピュータ55は、ネットワークと、例えば、有線または無線により接続されている。ノードコンピュータ55は、ピア・ツー・ピア方式で互いに通信する。
【0028】
ノードコンピュータ55は、例えばブロックチェーン技術を用いて分散型台帳を管理する。
具体的には、いずれかのノードコンピュータ55は、記録すべき暗号資産またはトークンのトランザクションに関するデータを取得する。ノードコンピュータ55は、取得したデータを含むブロックを作成し、ブロックチェーンに追加する。ノードコンピュータ55は、追加したブロックの情報を他のノードコンピュータ55へ送信する。他のノードコンピュータ55は、受信したブロックの正しさを検証し、検証に成功すると、ブロックチェーンに当該ブロックを追加する。ノードコンピュータ55は、例えば、連結されるブロックの数(承認数)に従ってブロックチェーンを確定する。これにより、分散型台帳システム50を構成する複数のノードコンピュータ55に亘って、同一の分散型台帳が保存されることになる。なお、保存されるデータは、適宜に暗号化される。
【0029】
分散型台帳システム50の構成は、
図3に示されるものに限定されない。例えば、分散型台帳システム50は、5台以上のノードコンピュータ55を備えていてもよいし、2台または3台のノードコンピュータ55を備えていてもよい。また、分散型台帳システム50を構成するノードコンピュータ55の数は、時間とともに変動してもよい。
【0030】
ノードコンピュータ55のハードウェア構成は、クライアント装置10と同一または類似であってよいので詳細な説明を省略する。一例として、ノードコンピュータ55は、プロセッサ、記憶装置、入出力インタフェース、通信インタフェース、入力デバイス、出力デバイス、またはそれらの組み合わせを備える。
【0031】
(2)実施形態の一態様
本実施形態の一態様について説明する。
図4は、ウォレットに保有されている暗号資産による決済の説明図である。
図5は、本実施形態の一態様の説明図である。
【0032】
情報処理システム1の基本的な機能により、クライアント装置10のユーザは、自らのウォレットに保有されている暗号資産による決済を行うことができる。
【0033】
図4に示すように、クライアント装置10は、ユーザU11からの指示に応じて、ウォレットW12にログインする。クライアント装置10は、ウォレットW12に保有されている暗号資産の情報を分散型台帳システム50に問い合わせる。クライアント装置10は、ウォレットW12に保有されている暗号資産の情報を取得し、ユーザU11に提示する。
【0034】
ユーザU11は、提示された情報を確認し、決済に用いる暗号資産(例えば、ウォレットW12に保有されているAコイン)を選択する。クライアント装置10は、選択された暗号資産による決済に対応する取引を分散型台帳システム50に要求する。分散型台帳システム50は、要求された取引を実行する。
【0035】
さらに、クライアント装置10のユーザは、自らのウォレットに保有されているNFT(Non-Fungible Token)を用いて暗号資産による決済を行うことができる。具体的には、分散型台帳システム50によって実行されるスマートコントラクトにより、金庫室が定義される。金庫室は、暗号資産をNFTに関連付けて保有し、かつ当該金庫室に保有されている暗号資産へのアクセス(出金)を当該暗号資産に関連付けられたNFTの保有者、およびマスターキーに相当するオーナーアドレスにのみ許可するように構成される。金庫室に対する暗号資産の出し入れは、クライアント装置10からの要求に応じて、分散型台帳システム50が実行する。
【0036】
つまり、
図5に示すように、ユーザU11は、ウォレットW12に保有されている暗号資産(例えば、Aコイン)の代わりに、NFTのいずれか(例えば、NFT β)(以下、「対象NFT」という)を選択し得る。この場合に、クライアント装置10は、金庫室V13において対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報を分散型台帳システム50に問い合わせる。クライアント装置10は金庫室V13において対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報を取得し、ユーザU11に提示する。
【0037】
ユーザU11は、提示された情報を確認し、決済に用いる暗号資産(例えば、金庫室V13において対象NFTに関連付けられているAコイン)を選択する。クライアント装置10は、選択された暗号資産による決済に対応する取引を分散型台帳システム50に要求する。分散型台帳システム50は、要求された取引を実行する。
【0038】
このように、情報処理システム1によれば、ユーザは、自らのウォレットにおいて保有するNFTをあたかもプリペイドカードのように決済に用いることができる。また、プリペイドカードと同様、NFTの移転時には、当該NFTに関連付けられている暗号資産も実質的に移転される。つまり、金庫室においてNFTに関連付けられている暗号資産は、当該NFTの現保有者以外は過去の保有者であっても出金できないので、当該NFTを他者に譲渡するだけで、かかる暗号資産もまた他者に実質的に譲渡することができる。この仕組を利用すれば、暗号資産を関連付けておいたNFTをギフトとしてプレゼントすることができる。また、金庫室においてNFTに関連付けられている暗号資産は、他のNFTに関連付けられている暗号資産、およびウォレットに保有されている暗号資産とは独立であるので、例えば目的別の預金または支出管理をすることも容易である。要するに、本実施形態によれば、NFTにデジタルコンテンツの鑑賞に留まらない実用的な用途を付加することができる。
【0039】
(3)情報処理
本実施形態の情報処理について説明する。
なお、以降の説明では、分散型台帳システム50が何らかの処理を実行する旨の説明をする場合があるが、かかる処理は実際には分散型台帳システム50を構成する少なくとも1つのノードコンピュータによって実行されることになる。
【0040】
(3-1)入金処理
本実施形態の入金処理について説明する。
図6は、本実施形態の入金処理のフローチャートである。
【0041】
本実施形態の入金処理は、例えば、クライアント装置10が所定のアプリケーション(例えば、暗号資産による決済を行うための決済アプリケーション、または暗号資産による決済を行うためのSaaS(Software as a Service)の画面を表示するためのWebブラウザ)を実行中に、ユーザの指示に応じて開始し得る。
【0042】
図6に示すように、クライアント装置10は、NFTの提示(S210)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、現在ログイン中のウォレットに保有されているNFTの情報を分散型台帳システム50に問い合わせる。なお、クライアント装置10は、ウォレットにログインしていない場合には、問い合わせに先立って、ユーザにウォレットへのログインを要求してもよい。クライアント装置10は、ウォレットに保有されているNFTの情報を分散型台帳システム50に問い合わせる。分散型台帳システム50は、要求に応じて、NFTの情報をクライアント装置10へ送信する。クライアント装置10は、NFTの情報をユーザに提示する。一例として、クライアント装置10は、NFTの情報に基づく画面をディスプレイ21に表示する。
【0043】
NFTの情報は、例えば、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・NFTに対応するデジタルコンテンツ(例えば、サムネイル画像のような縮小版を含み得る)
・コントラクトアドレス
・トークンID
・トークン規格
・金庫室において関連付けられている暗号資産の残高の有無
【0044】
ステップS210の後に、クライアント装置10は、NFTの選択(S211)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS210において提示した情報に対して、ユーザからいずれかのNFTを選択するための指示を受け付ける。クライアント装置10は、金庫室において、選択されたNFTに関連付けられている暗号資産の情報を分散型台帳システム50に問い合わせる。
【0045】
ステップS211の後に、分散型台帳システム50は、暗号資産の情報の取得(S250)を実行する。
具体的には、分散型台帳システム50は、ステップS211においてクライアント装置10によって送信された問い合わせを受信する。分散型台帳システム50は、受信した問い合わせに応じて、金庫室において、ユーザによって選択されたNFTに関連付けられている暗号資産の情報をクライアント装置10へ送信する。
【0046】
ステップS250の後に、クライアント装置10は、暗号資産の情報の提示(S212)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS250において分散型台帳システム50によって送信された情報を受信する。クライアント装置10は、受信した情報を提示する。一例として、クライアント装置10は、暗号資産の情報に基づく画面をディスプレイ21に表示する。
【0047】
暗号資産の情報は、暗号資産の銘柄を示す情報(例えば、暗号資産の名称、暗号資産のティッカーシンボル、暗号資産のアイコン、暗号資産のコントラクトアドレス、またはそれらの組み合わせ)と、暗号資産の残高を示す情報とを含む。
【0048】
ステップS212の後に、クライアント装置10は、入金指示の受付(S213)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS212において提示した情報に対して、ユーザから、選択中のNFTに関連付けられるいずれかの銘柄の暗号資産について、入金を行うための指示を受け付ける。ここで、入金とは、ソースにある暗号資産を、ソースから金庫室に移転し、かつ当該金庫室において入金対象のNFTに新たに関連付けることを意味する。ソースとは、NFTに入金される暗号資産の出所を意味し、例えばウォレットまたは金庫室において暗号資産と関連付けられている他のNFTであり得る。なお、ソースが金庫室において暗号資産と関連付けられている他のNFTである場合には、NFTの移転は不要である(つまり、入金対象となる暗号資産が関連付けられるNFTの情報を書き換えるだけでよい)。
【0049】
ユーザは、入金数量と、ソース(例えば、自らのウォレット、または当該ウォレットに保有され、かつ金庫室において暗号資産と関連付けられているNFT)とを指定可能である。クライアント装置10は、ユーザ指示に応じて、入金要求を生成する。入金要求は、入金対象となるNFTおよび暗号資産の銘柄と、入金数量と、ソースとを特定可能な情報(例えば、ウォレットアドレス、またはNFTのコントラクトアドレスおよびトークンID)を含むことができる。クライアント装置10は、入金要求を分散型台帳システム50へ送信する。
【0050】
ステップS213の後に、分散型台帳システム50は、暗号資産の入金(S251)を実行する。
具体的には、分散型台帳システム50は、クライアント装置10からの入金要求に応じて取引を実行する。第1例として、分散型台帳システム50は、クライアント装置10がログイン中のウォレットから、入金対象として指定されたNFTへ、入金数量分の指定銘柄の暗号資産を移転(譲渡)する取引(換言すれば、ログイン中のウォレットから金庫室に暗号資産を移転し、かつ当該金庫室において、指定されたNFTに当該暗号資産を関連付ける取引)を実行する。第2例として、分散型台帳システム50は、ソースとして指定された他のNFTから、入金対象として指定されたNFTへ、入金数量分の指定銘柄の暗号資産を移転する取引(換言すれば、金庫室において、他のNFTに対する暗号資産の関連付けを解除するとともに、指定されたNFTに当該暗号資産を関連付ける取引)を実行する。
【0051】
(3-2)出金処理
本実施形態の出金処理について説明する。
図7は、本実施形態の出金処理のフローチャートである。
図8は、本実施形態の出金処理において表示される画面例を示す図である。
図9は、本実施形態の出金処理において表示される画面例を示す図である。
【0052】
本実施形態の出金処理は、例えば、クライアント装置10が所定のアプリケーション(例えば、暗号資産による決済を行うための決済アプリケーション、または暗号資産による決済を行うためのSaaSの画面を表示するためのWebブラウザ)を実行中に、ユーザの指示に応じて開始し得る。或いは、クライアント装置10がウォレットアプリまたはWebブラウザ(例えばEC(Electronic Commerce)サイトの決済画面)の実行中に、ユーザがNFTに関連付けられた暗号資産による決済手段を選択したことに応じて、上記所定のアプリケーションが起動し、本出金処理が開始し得る。
【0053】
図7に示すように、クライアント装置10は、NFTの提示(S310)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、現在ログイン中のウォレットに保有されているNFTの情報を分散型台帳システム50に問い合わせる。なお、クライアント装置10は、ウォレットにログインしていない場合には、問い合わせに先立って、ユーザにウォレットへのログインを要求してもよい。クライアント装置10は、ウォレットに保有されているNFTの情報を分散型台帳システム50に問い合わせる。分散型台帳システム50は、NFTの情報をクライアント装置10へ送信する。クライアント装置10は、NFTの情報をユーザに提示する。一例として、クライアント装置10は、かかるNFTの情報に基づく画面をディスプレイ21に表示する。
【0054】
一例として、クライアント装置10は、
図8の画面をディスプレイ21に表示する。
図8の画面は、オブジェクトJ20~J23,J24a~J24dを含む。
【0055】
オブジェクトJ20は、決済額に関する情報を表示する。決済額に関する情報は、決済可能な暗号資産の銘柄を示す情報と、当該暗号資産により決済を行う場合の出金数量を示す情報とを含む。
【0056】
なお、決済以外の出金(送金)時には、オブジェクトJ20の代わりに、出金を行う暗号資産の銘柄と、出金数量との指定をユーザから受け付けるオブジェクトが画面に配置されてもよい。非出金時(例えば入金処理の実行時)には、オブジェクトJ20が画面から取り除かれてもよい。
【0057】
オブジェクトJ21およびJ23は、タブ形式で切り替え表示可能に構成される。
オブジェクトJ21は、ウォレットに保有されている暗号資産の管理(例えば、残高確認、または入出金)を行うためのUI(User Interface)を表示する。一例として、オブジェクトJ21は、ウォレットに保有されている暗号資産の情報を表示し、当該暗号資産に対する管理を行うためのユーザ指示を受け付ける。暗号資産の情報は、暗号資産の銘柄を示す情報と、暗号資産の残高を示す情報とを含む。
【0058】
オブジェクトJ23は、ウォレットに保有されているNFTに金庫室において関連付けられている暗号資産の管理(例えば、残高確認、または入出金)を行うためのUIを表示する。初期状態では、オブジェクトJ23には、オブジェクトJ24が配置される。オブジェクトJ24a~J24dは、それぞれ対応するNFT(ウォレットに保有されているNFT)の情報を表示するとともに、当該NFTを選択するユーザ指示を受け付ける。なお、オブジェクトJ24は、金庫室において関連付けられている暗号資産の残高がないNFTと、かかる残高があるNFTとを区別可能に表示してもよい。
【0059】
ステップS310の後に、クライアント装置10は、NFTの選択(S311)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS310において提示した情報に対して、ユーザからいずれかのNFTを選択するための指示(例えば、オブジェクトJ24a~J24d(
図8)のいずれかの選択)を受け付ける。クライアント装置10は、金庫室において、選択されたNFTに関連付けられている暗号資産の情報を分散型台帳システム50に問い合わせる。
【0060】
ステップS311の後に、分散型台帳システム50は、暗号資産の情報の取得(S330)を実行する。
具体的には、分散型台帳システム50は、ステップS311においてクライアント装置10によって送信された問い合わせを受信する。分散型台帳システム50は、受信した問い合わせに応じて、金庫室において、ユーザによって選択されたNFTに関連付けられている暗号資産の情報を問い合わせる。分散型台帳システム50は、暗号資産の情報をクライアント装置10へ送信する。
【0061】
ステップS330の後に、クライアント装置10は、暗号資産の情報の提示(S312)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS330において分散型台帳システム50によって送信された情報を受信する。クライアント装置10は、受信した情報を提示する。一例として、クライアント装置10は、暗号資産の情報に基づく画面をディスプレイ21に表示する。
【0062】
一例として、クライアント装置10は、
図9の画面をディスプレイ21に表示する。
図9の画面は、オブジェクトJ20~J23,J30,J31a~J31c,J32~J33を含む。
【0063】
オブジェクトJ30は、選択中のNFT(つまり、ステップS311において選択されたNFT)の情報を表示する。
【0064】
オブジェクトJ31a~J31cは、金庫室において、選択中のNFTに関連付けられている各暗号資産の情報を表示するとともに、当該暗号資産(の銘柄)を選択するユーザ指示を受け付ける。
【0065】
なお、ユーザは、オブジェクトJ20に示される暗号資産の銘柄を選択できる場合がある。具体的には、分散型台帳システム50が、ユーザによって選択された暗号資産と、決済可能な暗号資産(の銘柄)とが流動性プールされている分散型取引所(DEX:Decentralized Exchange)を探索する。そっして、該当するDEXを発見した場合に、分散型台帳システム50は、ユーザによって選択された暗号資産による決済要求を受け付け、暗号資産の交換および交換後の暗号資産の移転の取引を行えばよい。
【0066】
オブジェクトJ32は、選択中のNFTに関連付けられる暗号資産のチャージ(入金)を行うためのユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ32が選択されたことに応じて、クライアント装置10は、
図6に示した入金処理を、例えば入金指示の受付(S213)から開始してもよい。
【0067】
オブジェクトJ33は、NFTの選択画面(つまり、
図8の画面)に戻るためのユーザ指示を受け付ける。
【0068】
ステップS312の後に、クライアント装置10は、出金指示の受付(S313)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS312において提示した情報に対して、ユーザから、選択中のNFTに関連付けられるいずれかの銘柄の暗号資産について、出金を行うための指示を受け付ける。ここで、出金とは、金庫室において出金対象のNFTに関連付けられている暗号資産を、宛先に移転することを意味する。宛先とは、出金対象のNFTに関連付けられる暗号資産の行き先を意味し、例えばウォレットまたは金庫室において暗号資産と関連付けられている他のNFTであり得る。
【0069】
ユーザは、出金数量と、宛先(例えば、自らのウォレット、他社のウォレット、または、いずれかのウォレットに保有され、かつ金庫室において暗号資産と関連付けられている他のNFT)とを指定可能である。なお、決済のために出金を行う場合には、出金数量および宛先は、ユーザが指定するとは限らず、例えばユーザの取引相手によって指定された情報、または暗号資産のレートなどの情報に基づいて特定され得る。クライアント装置10は、ユーザ指示に応じて、出金要求を生成する。出金要求は、出金対象となるNFTおよび暗号資産の銘柄と、出金数量と、宛先とを特定可能な情報を含むことができる。クライアント装置10は、出金要求を分散型台帳システム50へ送信する。
【0070】
ステップS313の後に、分散型台帳システム50は、暗号資産の出金(S331)を実行する。
具体的には、分散型台帳システム50は、クライアント装置10からの出金要求に応じて取引を実行する。第1例として、分散型台帳システム50は、出金対象のNFTから、宛先として指定されたウォレットへ、出金数量分の指定銘柄の暗号資産を譲渡する取引を実行する。第2例として、分散型台帳システム50は、出金対象のNFTから、宛先として指定された他のNFTへ、出金数量分の指定銘柄の暗号資産を譲渡する取引を実行する。
【0071】
(4)小括
以上説明したように、本実施形態のクライアント装置10は、ウォレットに保有されている少なくとも1つのNFT(Non-Fungible Token)を提示し、少なくとも1つのNFTのいずれかである対象NFTをユーザからの指示に応じて選択する。他方、分散型台帳システム50は、スマートコントラクトによって定義された金庫室において、NFTに関連付けて暗号資産を管理し、対象NFTを保有するウォレットのユーザからの要求に応じて、対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報を出力する。クライアント装置10は、金庫室において対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報を提示する。これにより、ウォレットのユーザは、当該ウォレットに保有されているNFTに対し、金庫室において関連付けられている暗号資産の情報を確認し、資産管理を行うことができる。
【0072】
クライアント装置10は、ウォレットに保有されている暗号資産を金庫室に移転するとともに、指定されたNFTへ当該暗号資産を関連付けることを分散型台帳システム50に要求してもよい。他方、分散型台帳システム50は、かかる要求に応じて、ウォレットに保有されている暗号資産を、金庫室に移転し、かつ当該金庫室において当該ユーザによって指定されたNFTへ当該暗号資産を関連付けてもよい。これにより、ユーザは、預金口座への預け入れやプリペイドカードへのチャージと同様に、自己のウォレットに保有されている暗号資産を、指定されたNFTに関連付けられる暗号資産として追加することができる。
【0073】
クライアント装置10は、対象NFTに関連付けられている暗号資産の、指定されたウォレットへの移転を分散型台帳システム50に要求してもよい。他方、分散型台帳システム50は、かかる要求に応じて、対象NFTに関連付けられている暗号資産を、当該ユーザによって指定されたウォレットへ移転してもよい。これにより、ユーザは、対象NFTに関連付けられている暗号資産を、任意のウォレットに移転することができる。つまり、ユーザは、対象NFTをあたかもプリペイドカードやキャッシュカードのように、決済または送金に用いることができる。
【0074】
クライアント装置10は、金庫室における対象NFTに対する暗号資産の関連付けを解除するとともに、当該金庫室において指定されたNFTへの当該暗号資産を関連付けることを分散型台帳システム50に要求してもよい。他方、分散型台帳システム50は、かかる要求に応じて、金庫室における対象NFTに対する暗号資産の関連付けを解除し、当該ユーザによって指定されたNFTに当該暗号資産を関連付けてもよい。これにより、ユーザは、対象NFTに関連付けられている暗号資産を、任意のNFTに付け替えることができる。つまり、ユーザは、対象NFTをあたかもプリペイドカードやキャッシュカードのように、決済または送金に用いることができる。
【0075】
クライアント装置10は、対象NFTに関連付けられている暗号資産のそれぞれの銘柄および残高に関する情報を提示してもよい。これにより、ユーザは、対象NFTに関連付けられている暗号資産の詳細を把握することができる。
【0076】
クライアント装置10は、対象NFTに対応するデジタルコンテンツを、対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報とともに提示してもよい。これにより、ユーザは、対象NFTに対応するデジタルコンテンツを、物理的なプリペイドカードの券面と同様に鑑賞や収集の対象として楽しむことができる。
【0077】
(5)変形例
本実施形態の変形例について説明する。
【0078】
(5-1)変形例1
変形例1について説明する。変形例1は、例えば実店舗における決済時に、金庫室においてNFTに関連付けられている暗号資産を使用可能とする例である。
【0079】
(5-1-1)情報処理システムの構成
情報処理システムの構成について説明する。
図10は、変形例1の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0080】
図10に示すように、情報処理システム2は、クライアント装置10と、サーバ30と、分散型台帳システム50と、決済端末70とを備える。
クライアント装置10及びサーバ30は、ネットワークNWを介して接続される。
クライアント装置10及び分散型台帳システム50は、ネットワークNWを介して接続される。
サーバ30及び分散型台帳システム50は、ネットワークNWを介して接続される。
決済端末70及びサーバ30は、ネットワークNWを介して接続される。
決済端末70及び分散型台帳システム50は、ネットワークNWを介して接続される。
【0081】
サーバ30は、クライアント装置10から送信されたリクエストに応じたレスポンスをクライアント装置10に提供する情報処理装置の一例である。サーバ30は、金庫室においてNFTに関連付けられている暗号資産による決済に伴う残高の変動を記録するためのデータベースを備える。このデータベースでは、分散型台帳システム50への取引の記録が完了するよりも前に、クライアント装置10からの要求内容に基づいて、NFT間の暗号資産の移動が記録されるので、二重決済を防止しながら迅速に決済を完了させることができる。サーバ30は、例えば、サーバコンピュータである。
【0082】
決済端末70は、例えば実店舗に設置される。決済端末70は、以下の少なくとも1つが可能に構成される。
・通信インタフェースによる無線通信(例えばNFC(Near-field communication))
・カメラによるコード情報(例えば、QRコード(登録商標)などの二次元コード)の読み取り
・ディスプレイへのコード情報の表示
決済端末70は、クライアント装置10と同様のハードウェアを備えることができる。
【0083】
クライアント装置10には、決済手段を選択可能に構成されたアプリケーション(例えば、ウォレットアプリ)(以下、「特定アプリ」という)がインストールされている。ユーザは、特定アプリのUI(User Interface)に任意のNFTを追加することができる。
【0084】
クライアント装置10は、以下の少なくとも1つが可能に構成される。
・通信インタフェース14による無線通信(例えばNFC(Near-field communication))
・カメラ(入力デバイスの一例)によるコード情報の読み取り
・ディスプレイ21へのコード情報の表示
【0085】
(5-1-1-1)サーバの構成
サーバの構成について説明する。
図11は、本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
【0086】
図11に示すように、サーバ30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34とを備える。
【0087】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0088】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0089】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理の実行結果
【0090】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動することによって、サーバ30の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ32は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU
・GPU
・ASIC
・FPGA
【0091】
入出力インタフェース33は、サーバ30に接続される入力デバイスから情報(例えばユーザの指示)を取得し、かつ、サーバ30に接続される出力デバイスに情報(例えば画像)を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
【0092】
通信インタフェース34は、サーバ30と外部装置(例えば、クライアント装置10、または分散型台帳システム50)との間の通信を制御するように構成される。
【0093】
(3)情報処理
変形例1の情報処理について説明する。
図12は、変形例1の決済処理のフローチャートである。
変形例1の決済処理は、特定アプリのUI上でいずれかのNFTを選択したことに応じて開始する。
【0094】
図12に示すように、クライアント装置10は、暗号資産の情報の問い合わせ(S410)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、金庫室において、選択されたNFTに関連付けられている暗号資産の情報をサーバ30に問い合わせる。
【0095】
ステップS410の後に、サーバ30は、暗号資産の情報の取得(S430)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS410においてクライアント装置10によって送信された問い合わせを受信する。サーバ30は、受信した問い合わせに応じて、必要に応じて分散型台帳システム50に、金庫室において、ユーザによって選択されたNFTに関連付けられている暗号資産の情報を問い合わせ、サーバ30が関知していない入出金の情報(例えば、本実施形態の入金処理または出金処理の結果)を反映するようにデータベースを更新する。分散型台帳システム50は、暗号資産の情報をサーバ30へ送信する。サーバ30は、暗号資産の情報をクライアント装置10へ送信する。
【0096】
ステップS430の後に、クライアント装置10は、暗号資産の情報の提示(S411)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS430においてサーバ30によって送信された情報を受信する。クライアント装置10は、受信した情報を提示する。一例として、クライアント装置10は、暗号資産の情報に基づく画面をディスプレイ21に表示する。
【0097】
ステップS411の後に、クライアント装置10は、決済指示の受付(S412)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS411において提示した情報に対して、ユーザから、選択中のNFTに関連付けられるいずれかの銘柄の暗号資産により、決済を行うための指示を受け付ける。クライアント装置10は、ユーザ指示の受け付けに応じて、決済情報を外部装置(例えば決済端末70)に出力する。第1例として、決済を行うための指示の後に、ユーザがクライアント装置10を決済端末70に近づけると、例えばNFCによりクライアント装置10から決済端末70へ決済情報が伝送される。第2例として、決済を行うための指示の後に、クライアント装置10はディスプレイ21に決済情報を表すコード情報を表示し、ユーザがディスプレイ21を決済端末70の読み取り手段に近づける。
【0098】
決済情報は、NFTに関連付けられている暗号資産による決済の実行に必要な情報の一例である。決済情報は、例えば、選択中のNFT(および、必要な場合は暗号資産の銘柄)を特定可能な情報と、ユーザが当該NFTに関連付けられた暗号資産を処分する権限があること(つまり、ユーザのウォレットに当該NFTが保有されていること)を示す情報(例えば、ユーザのウォレットアドレス)とを含む。
【0099】
ステップS412の後に、決済端末70は、決済情報の取得(S470)を実行する。
具体的には、決済端末70は、ステップS412においてクライアント装置10から出力された決済情報を取得する。一例として、決済端末70は、受信信号または読み取り画像の復号処理を行う。
【0100】
ステップS470の後に、決済端末70は、決済要求(S471)を実行する。
具体的には、決済端末70は、ステップS470において取得した決済情報に基づいて決済要求を生成する。決済要求は、ユーザが選択したNFTを特定可能な情報と、決済に用いられる暗号資産の銘柄および出金数量を特定可能な情報と、ユーザが当該NFTに関連付けられた暗号資産を処分する権限があることを示す情報と、決済に係る暗号資産の譲受するためのNFTを特定可能な情報とを含み得る。決済端末70は、決済要求をサーバ30へ送信する。
【0101】
ステップS471の後に、サーバ30は、決済(S431)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS471において決済端末70によって送信された決済要求を受信する。サーバ30は、決済要求の受信に応じて、分散型台帳システム50に取引の実行を要求する。サーバ30は、前述のオーナーアドレスを用いることで、ユーザの指定したNFTに金庫室において関連付けられている暗号資産にユーザに代わってアクセスする。例えば、サーバ30は、金庫室においてユーザが選択したNFTに関連付けられている暗号資産を、上記所定のウォレットに移転する取引の実行を分散型台帳システム50に要求する。分散型台帳システム50は、要求に応じて取引を実行する。
【0102】
ここで、前述のように、決済の迅速化のために、サーバ30は、金庫室において各NFTに関連付けられている暗号資産の残高を管理するデータベースが構築される。そして、サーバ30は、受信した決済要求に応じてデータベースの更新を試み、金庫室においてユーザが選択したNFTに関連付けられている暗号資産が残高不足とならなかった場合には、分散型台帳システム50へ取引の実行を要求するとともに、当該取引の実行完了を待たずに決済成功を示す情報を決済端末70(および必要な場合にはクライアント装置10)へ送信してもよい。サーバ30は、かかる場合(つまり決済成功の場合)には、決済要求に基づいてデータベースを更新する。他方、サーバ30は、金庫室においてユーザが選択したNFTに関連付けられている暗号資産が残高不足となった場合には、分散型台帳システム50へ取引の実行を要求することなく、決済失敗を示す情報を決済端末70(および必要な場合にはクライアント装置10)へ送信してもよい。かかる場合(つまり決済失敗の場合)には、決済要求に基づくデータベースの更新は行わない。
【0103】
なお、このようなデータベースは、本実施形態において説明した入金処理および出金処理においても利用されてよい。つまり、前述の入金処理および出金処理を、サーバ30を介して行うようにしてもよい。
【0104】
図12の例では、クライアント装置10は、決済指示の受け付けに応じて、決済情報を外部装置に出力する。しかしながら、代わりに、クライアント装置10は、外部装置(例えば決済端末70)から、NFTに関連付けられている暗号資産による決済の実行に必要な情報を取得してもよい。そして、クライアント装置10は、決済端末70に代わって、取得した情報に応じて決済要求を生成し、決済要求をサーバ30へ送信してもよい。
【0105】
クライアント装置10が取得する情報は、例えば、決済に用いられる暗号資産の銘柄および出金数量を特定可能な情報と、決済に係る暗号資産の譲受するためのNFTを特定可能な情報(例えば、コントラクトアドレスおよびトークンID)とを含み得る。第1例として、ユーザは、クライアント装置10を決済端末70に近づけると、例えばNFCにより決済端末70からクライアント装置10へ情報が伝送される。第2例として、決済端末70はそのディスプレイに情報を表すコード情報を表示し、ユーザがクライアント装置10のカメラを当該ディスプレイに近づける。
【0106】
以上説明したように、変形例1のクライアント装置10は、決済手段を選択可能に構成されたアプリケーションのUI上で、ユーザからの指示に応じて対象NFTが選択された場合に、当該対象NFTに関連付けられている暗号資産による決済の実行に必要な情報を外部装置に出力、または外部装置から取得することで決済を開始する。これにより、ユーザは、NFTを物理的なプリペイドカードと同様の感覚で実店舗等で使用することができる。
【0107】
(6)その他の変形例
記憶装置11は、ネットワークNWを介して、クライアント装置10と接続されてもよい。ディスプレイ21は、クライアント装置10に内蔵されてもよい。記憶装置31は、ネットワークNWを介して、サーバ30と接続されてもよい。
【0108】
上記の情報処理の各ステップは、クライアント装置10及びサーバ30の何れでも実行可能である。例えば、いずれかの装置によって行われるとして説明された処理が別の装置によって行われたり、複数の装置のやり取りによって行われるとして説明された処理が単一の装置によって行われたりしてもよい。また、上記説明では、各処理において各ステップを特定の順序で実行する例を示したが、各ステップの実行順序は、依存関係がない限りは説明した例に制限されない。
【0109】
実施形態の情報処理システム1は、コンピュータが前述の情報処理を実行するためのプログラムを、当該情報処理システム1を構成する各装置(例えば、クライアント装置10、サーバ30、分散型台帳システム50を構成する各ノードコンピュータ、および決済端末70)に提供することで生産できる。
【0110】
金庫室において暗号資産を関連付けられるNFTは、SBT(Soulbound Token)などの譲渡不可能なトークンであってもよい。この場合に、かかるNFTは、デビットカードのように振る舞うこともできる。
【0111】
本実施形態の入金指示の受付(S213)において、クライアント装置10は、ユーザから、暗号資産のロック期間を含む入金指示を受け付けてもよい。この場合に、入金指示により金庫室においてNFTに関連付けられた暗号資産は、ロック期間が満了するまでロック状態となる(つまり、出金または決済に用いることができない)。ただし、ロック状態の暗号資産は、その他の点ではNFTに関連付けられている通常の暗号資産と同様に扱われる。例えば、ロック状態の暗号資産は、その関連付けられているNFTの移転時には、当該NFTに関連付けられている通常の暗号資産とともに実質的に移転される。
【0112】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 :情報処理システム
10 :クライアント装置
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
21 :ディスプレイ
30 :サーバ
31 :記憶装置
32 :プロセッサ
33 :入出力インタフェース
34 :通信インタフェース
50 :分散型台帳システム
70 :決済端末
【手続補正書】
【提出日】2023-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
前記コンピュータがログインしているウォレットに保有されている少なくとも1つのNFT(Non-Fungible Token)を提示する手段、
前記少なくとも1つのNFTのいずれかである対象NFTをユーザからの指示に応じて選択する手段、
前記コンピュータとは異なる分散型台帳システムによって実行されるスマートコントラクトによって定義された金庫室において前記対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報を、当該対象NFTの選択に応じて、前記分散型台帳システムに問い合わせる手段、
前記問い合わせにより取得した前記対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報を提示する手段、
として機能させ、
前記金庫室は、暗号資産をNFTに関連付けて保有し、
前記分散型台帳システムは、金庫室に保有されている暗号資産へのアクセスを当該暗号資産に関連付けられたNFTを保有するウォレットのユーザ以外のユーザに対して制限し、
前記金庫室に対する暗号資産の出し入れは、前記分散型台帳システムによって実行される、
プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、前記ウォレットに保有されている暗号資産を前記金庫室に移転するとともに、指定されたNFTへ当該暗号資産を関連付けることを前記分散型台帳システムに要求する手段、として機能させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記要求する手段は、さらに、前記指定されたNFTに関連付けられた暗号資産をロック期間に亘ってロック状態とすることを前記分散型台帳システムに要求する、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータを、前記対象NFTに関連付けられている暗号資産の、指定されたウォレットへの移転を前記分散型台帳システムに要求する手段、として機能させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記コンピュータを、前記金庫室における前記対象NFTに対する暗号資産の関連付けを解除するとともに、当該金庫室において指定されたNFTへの当該暗号資産を関連付けることを前記分散型台帳システムに要求する手段、として機能させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記暗号資産の情報を提示する手段は、前記対象NFTに関連付けられている暗号資産のそれぞれの銘柄および残高に関する情報を提示する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記暗号資産の情報を提示する手段は、前記対象NFTに対応するデジタルコンテンツを、前記対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報とともに提示する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、決済手段を選択可能に構成されたアプリケーションのUI(User Interface)上で、前記ユーザからの指示に応じて前記対象NFTが選択された場合に、当該対象NFTに関連付けられている暗号資産による決済の実行に必要な情報を外部装置に出力し、または外部装置から取得することで、決済を開始する手段、として機能させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項9】
分散型台帳システムを構成するコンピュータを、
前記分散型台帳システムによって実行されるスマートコントラクトによって定義された金庫室に対する暗号資産の出し入れを実行する手段、
前記金庫室に保有されている暗号資産をNFT(Non-Fungible Token)に関連付ける手段、
前記NFTのいずれかである対象NFTを保有するウォレットにログインしている、前記分散型台帳システムとは異なるコンピュータからの要求に応じて、前記対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報を出力する手段
として機能させ、
前記暗号資産の出し入れを実行する手段は、前記金庫室に保有されている暗号資産へのアクセスを当該暗号資産に関連付けられたNFTを保有するウォレットのユーザ以外のユーザに対して制限する、
プログラム。
【請求項10】
前記コンピュータを、前記ウォレットのユーザからの要求に応じて、前記ウォレットに保有されている暗号資産を、前記金庫室に移転し、かつ当該金庫室において当該ユーザによって指定されたNFTへ当該暗号資産を関連付ける手段、
として機能させる請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記関連付ける手段は、前記ウォレットのユーザからの要求に応じて、さらに、前記指定されたNFTに関連付けられた暗号資産をロック期間に亘ってロック状態とする、
として機能させる請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータを、前記ウォレットのユーザからの要求に応じて、前記対象NFTに関連付けられている暗号資産を、当該ユーザによって指定されたウォレットへ移転する手段、
として機能させる請求項9に記載のプログラム。
【請求項13】
前記コンピュータを、前記ウォレットのユーザからの要求に応じて、前記金庫室における前記対象NFTに対する暗号資産の関連付けを解除し、当該ユーザによって指定されたNFTに当該暗号資産を関連付ける手段、
としてさらに機能させる請求項9に記載のプログラム。
【請求項14】
分散型台帳システムを構成する情報処理装置であって、
前記分散型台帳システムによって実行されるスマートコントラクトによって定義された金庫室に対する暗号資産の出し入れを実行する手段、
前記金庫室に保有されている暗号資産をNFT(Non-Fungible Token)に関連付ける手段と、
前記NFTのいずれかである対象NFTを保有するウォレットにログインしている、前記分散型台帳システムとは異なるコンピュータからの要求に応じて、前記対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報を出力する手段と
を具備し、
前記暗号資産の出し入れを実行する手段は、前記金庫室に保有されている暗号資産へのアクセスを当該暗号資産に関連付けられたNFTを保有するウォレットのユーザ以外のユーザに対して制限する、
情報処理装置。
【請求項15】
分散型台帳システムを構成するコンピュータが、
前記分散型台帳システムによって実行されるスマートコントラクトによって定義された金庫室に対する暗号資産の出し入れを実行するステップと、
前記金庫室に保有されている暗号資産をNFT(Non-Fungible Token)に関連付けるステップと、
前記NFTのいずれかである対象NFTを保有するウォレットにログインしている、前記分散型台帳システムとは異なるコンピュータからの要求に応じて、前記対象NFTに関連付けられている暗号資産の情報を出力するステップと
を実行し、
前記暗号資産の出し入れを実行するステップでは、前記金庫室に保有されている暗号資産へのアクセスを当該暗号資産に関連付けられたNFTを保有するウォレットのユーザ以外のユーザに対して制限する、
方法。