IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 協立エアテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ダンパー接続構造 図1
  • 特開-ダンパー接続構造 図2
  • 特開-ダンパー接続構造 図3
  • 特開-ダンパー接続構造 図4
  • 特開-ダンパー接続構造 図5
  • 特開-ダンパー接続構造 図6
  • 特開-ダンパー接続構造 図7
  • 特開-ダンパー接続構造 図8
  • 特開-ダンパー接続構造 図9
  • 特開-ダンパー接続構造 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008400
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ダンパー接続構造
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/02 20060101AFI20240112BHJP
   F24F 13/14 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
F24F13/02 D
F24F13/14 Z
F24F13/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110242
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】390022666
【氏名又は名称】協立エアテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】柿原 秀規
(72)【発明者】
【氏名】関 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】木下 圭一郎
【テーマコード(参考)】
3L080
3L081
【Fターム(参考)】
3L080AA05
3L080AB04
3L081AA03
3L081AB02
(57)【要約】
【課題】ダンパー設置作業並びにダンパー設置後のダンパー交換作業を容易に行うことができるダンパー接続構造を提供する。
【解決手段】ダンパー接続構造101は、円筒型ケーシング21の内部に可動羽根を有するダンパー20を、所定距離を隔てて対向状態にあるダクト22,23の開口端部22a,23a同士の間に設置し、ダンパー20の円筒型ケーシング21の開口端部21a(21b)と、ダクト22(23)の開口端部22a(23a)との間に接続部材31(32)を介在させ、ダンパー20とダクト22,23とを接続することによって形成される。接続部材31,32は短管部31a,32a及びフランジ部31,32bを有し、ダンパー20の円筒型ケーシング21の開口端部21a,21bの外周にはダンパーフランジ部21c,21dが設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒型ケーシングの内部に可動羽根を有するダンパーの前記筒型ケーシングの上流側の開口端部並びに下流側の開口端部にそれぞれダクトの開口端部を接続して形成されるダンパー接続構造であって、
前記筒型ケーシングの両方の前記開口端部の外周に設けられたダンパーフランジ部と、
前記ダクトの開口端部に差し込み可能な短管部及び前記短管部の外周に設けられたフランジ部を有する一対の接続部材と、
前記ダクトの開口端部に前記短管部を差し込んだ状態にある前記接続部材のフランジ部と、前記ダンパーフランジ部との間にパッキンなどの気密手段を挟持した状態で前記フランジ部と前記ダンパーフランジ部とを固定する固定手段と、を備えたダンパー接続構造。
【請求項2】
前記ダンパーの筒型ケーシングの軸心方向の長さと、一対の前記接続部材の短管部の軸心方向の長さとの和が、対向状態にあるダクトの開口端部同士間の距離より大であって、前記ダンパーの筒型ケーシングの開口端部と前記ダクトの開口端との離隔距離に応じて前記ダクトの開口端部に対する前記接続部材の短管部の差込深さが調整可能である請求項1記載のダンパー接続構造。
【請求項3】
前記固定手段が、前記接続部材のフランジ部と前記ダンパーフランジ部とを圧着方向に締め付けるボルトナット、若しくは、前記接続部材のフランジ部及び前記ダンパーフランジ部の外周に着脱可能に係合して前記接続部材のフランジ部と前記ダンパーフランジ部とを圧着方向に挟持する開閉式クランプである請求項1または2記載のダンパー接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の空調設備を構成するダクトの途中にダンパーを設置する場合に用いられるダンパー接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の空調設備の一部を構成するダクトは、その横断面形状が円形の丸型ダクトと、四角形の角型ダクトとがあるが、丸型ダクトに設置されるダンパーは差し込み式の接続構造(例えば、特許文献1の図2参照)が採用され、角型ダクトに接続されるダンパーはフランジ式の接続構造(例えば、特許文献2の図5参照)が採用されている。
【0003】
特許文献1に記載された風量調整ユニット(差し込み式のダンパー)をダクトの途中に設置する場合、例えば、図9図10に示すような工程を経てダンパー接続構造100が形成されている。
【0004】
図9に示すように、建物の躯体1に垂下状に取り付けられた複数の吊りボルト2及びナット4によってダンパー10を吊り下げ状態に保持し、ダンパー10を形成する筒状ケーシング11の一方の開口端部11aをダクト12の開口端部12aに差し込み、筒状ケーシング11の他方の開口端部11bをダクト13の開口端部13aに差し込む。
【0005】
次に、筒状ケーシング11の開口端部11a側において筒状ケーシング11とダクト12とが重なり合った部分及び筒状ケーシング11の開口端部11b側において筒状ケーシング11とダクト13とが重なり合った部分にそれぞれビス14を螺着させた後、ダクト12の開口端部12aの外周付近及びダクト13の開口端部13aの外周付近に粘着テープ(図示せず)を巻き付けると、図10に示すダンパー接続構造100が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-240065号公報
【特許文献2】実開平5-94645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図10に示すように、従来の差込接続方式のダンパー接続構造100において、既設のダンパー10を交換する必要が生じた場合、ダクト12,13の一部を、例えば、二点鎖線12c,13cで示す位置にて切断する必要があるので、この切断作業に多くの労力と時間を要している。
【0008】
また、図10に示すように、一般にダンパー10及びダクト12,13は建物の天井3の裏側に設置されているので、ダンパー接続構造100において、既設のダンパー10を交換する必要が生じた場合、前述したダクト12,13の切断作業だけでなく、天井3の一部解体作業、既設のダンパー10と新たなダンパー10との交換作業、新たなダンパー10とダクト12,13との接続作業、天井3の復旧作業などの多くの作業を行う必要があるため、これらの作業に多大な労力と時間が費やされている。
【0009】
一方、特許文献2の図5などに記載されたフランジ式のダンパー接続構造は、設置後のダンパー交換作業は比較的容易であるが、ダクトにもフランジを設けなければならないので、煩雑である。また、ダンパー及びダクトが丸型の場合は、従来使用されているスパイラルダクトとは別にフランジ付きのダクトを準備する必要があり、施工性の悪化を招いている。
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ダンパー設置作業並びにダンパー設置後のダンパー交換作業を容易に行うことができるダンパー接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るダンパー接続構造は、筒型ケーシングの内部に可動羽根を有するダンパーの前記筒型ケーシングの上流側の開口端部並びに下流側の開口端部にそれぞれダクトの開口端部を接続して形成されるダンパー接続構造であって、
前記筒型ケーシングの両方の開口端部の外周に設けられたダンパーフランジ部と、
前記ダクトの開口端部に差し込み可能な短管部及び前記短管部の外周に設けられたフランジ部を有する一対の接続部材と、
前記ダクトの開口端部に前記短管部を差し込んだ状態にある前記接続部材のフランジ部と、前記ダンパーフランジ部との間にパッキンなどの気密手段を挟持した状態で前記フランジ部と前記ダンパーフランジ部とを固定する固定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
このような構成とすれば、接続部材を予めダクトの開口端部に取り付け、その後、接続部材のフランジ部とダンパーフランジ部との間に気密手段を挟持した状態で固定手段にて固定することにより、ダンパーをダクトの途中に設置することができるので施工性が向上する。また、接続部材の短管部が、接続対象であるダクトの開口端部に差し込み可能であることにより、ダクト側のフランジ加工が不要となる(フランジ付きダクトを準備しなくても従来のダクトで対応可能である)ため、施工工程の簡略化を図ることができる。
【0013】
さらに、ダンパーとダクトとをフランジ接続していることにより、固定手段を解除すれば、ダンパーの取り外しが可能となるため、ダンパーの交換や点検などの保守作業も容易に行うことができる。従来の差込接続方式のダンパーにおいては、既設のダンパーを取り外す場合、ダクトの一部を切断する必要があったが、そのようなダクト切断作業が不要である。
【0014】
従来のダンパー交換作業においては、天井の一部解体、ダクト切断、ダンパー交換、ダクト接続、天井復旧作業などの多くの作業を行う必要があり、多大な日数と費用が掛かっていたが、本発明により、ダンパー交換に付随する作業工程、作業時間及び作業費用を大幅に軽減することができるので、ダンパー設置作業並びにダンパー設置後のダンパー交換作業を容易に行うことができる。
【0015】
前記ダンパー接続構造においては、前記ダンパーの筒型ケーシングの軸心方向の長さと、一対の前記接続部材の短管部の軸心方向の長さとの和が、対向状態にあるダクトの開口端部同士間の距離より大であって、前記ダンパーの筒型ケーシングの開口端部と前記ダクトの開口端部との離隔距離に応じて前記ダクトの開口端部に対する前記接続部材の短管部の差込深さが調整可能であるようにすることができる。
【0016】
このような構成とすれば、対向状態にあるダクトの開口端部同士の間にダンパーを配置したとき、ダンパーの筒型ケーシングの開口端部とダクトの開口端との離隔距離に応じて、施工現場にて、接続部材の短管部の差込深さを調整しながら接続部材のフランジ部とダンパーフランジ部とを接続することができるため、作業性が向上する。
【0017】
改修工事などにおいて既設のダクトの一部を切断したことにより、対向状態にあるダクトの開口端部同士間の距離が改修工事前より広がったような場合でも、別途ダクトを継ぎ足すことなく、ダクトの開口端部に対する接続部材の短管部の差込深さを調整することにより対応可能である。
【0018】
前記ダンパー接続構造において、前記固定手段は、前記接続部材のフランジ部と前記ダンパーフランジ部とを圧着方向に締め付けるボルトナット、若しくは、前記接続部材のフランジ部及び前記ダンパーフランジ部の外周に着脱可能に係合して前記接続部材のフランジ部と前記ダンパーフランジ部とを圧着方向に挟持する開閉式クランプを用いることができる。
【0019】
前記固定手段がボルトナットであれば、汎用部品及び汎用工具を用いて設置作業、交換作業を行うことができ、前記接続部材のフランジ部と前記ダンパーフランジ部と厚み方向のサイズ変更にも容易に対応することができるので施工性が良好である。一方、前記固定手段が開閉式クランプであれば、前記接続部材のフランジ部及び前記ダンパーフランジ部への着脱を短時間で行うことができるので、ダンパー設置作業及び交換作業の迅速化を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、ダンパー設置作業並びにダンパー設置後のダンパー交換作業を容易に行うことができるダンパー接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態であるダンパー接続構造の施工工程を示す一部省略正面図である。
図2図1に示す工程の後工程を示す一部省略正面図である。
図3図2に示す工程の後工程を示す一部省略正面図である。
図4】その他の実施の形態であるダンパー接続構造の施工工程を示す一部省略正面図である。
図5図4に示す工程の後工程を示す一部省略正面図である。
図6】その他の実施の形態であるダンパー接続構造を示す一部省略正面図である。
図7図6に示すダンパー接続構造の施工工程を矢線A方向から見た一部省略垂直断面図である。
図8】その他の実施の形態であるダンパー接続構造を示す一部省略分解斜視図である。
図9】従来のダンパー接続構造の施工工程を示す一部省略正面図である。
図10】従来のダンパー接続構造を示す一部省略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1図8に基づいて、本発明の実施形態であるダンパー接続構造101,102,103について施工工程を参照しながら説明する。なお、後述する施工工程はそれぞれ一例を示すものであり、これらの施工工程に限定するものではない。
【0023】
図1図3に基づいてダンパー接続構造101について説明する。本実施形態に係るダンパー接続構造101(図3参照)は、図2に示すように円筒型ケーシング21の内部に可動羽根(図示せず)を有するダンパー20を、所定距離を隔てて対向状態にあるダクト22,23の開口端部22a,23a同士の間に設置し、ダンパー20の円筒型ケーシング21の上流側の開口端部21a(下流側の開口端部21b)と、上流側のダクト22(下流側のダクト23)の開口端部22a(23a)との間に接続部材31(32)を介在させて、ダンパー20とダクト22,23とを接続することによって形成される。
【0024】
図1に示すように、所定距離を隔てて対向状態にあるダクト22,23の開口端部22a,23aにそれぞれ接続部材31,32を取り付ける。図1において、開口端部22a,23a同士を対向させた状態にあるダクト22,23は新たに配設されたものであるが、前述した図10に示すように、既設のダンパー10を交換するため二点鎖線12c,13cで示す位置にて切断した後のダクト12,13であってもよい。
【0025】
一対の接続部材31,32はそれぞれ横断面が円形状の短管部31a,32aと、短管部31a,32aの外周に設けられたフランジ部31b,32bと、を有する。接続部材31,32の短管部31a,32aはそれぞれダクト22,23の開口端部22a,23aに差し込み可能である。
【0026】
図1に示すように、ダクト22の開口端部22aに接続部材31の短管部31aを差し込み、ダクト22と接続部材31の短管部31aとが重なり合った部分に、ダクト22の外周からビス孔(図示せず)を開設し、ビス24を螺着して締め付ける。同様に、ダクト23の開口端部23aに接続部材32の短管部32aを差し込み、ダクト23と接続部材32の短管部32aとが重なり合った部分にダクト23の外周からビス孔(図示せず)を開設し、ビス24を螺着して締め付ける。この後、ダクト22の開口端部22aの外周部分及びダクト23の開口端部23aの外周部分に粘着テープ(図示せず)を巻き付けると、接続部材31,32の取り付けが完了する。
【0027】
次に、図2に示すように、ダクト22,23に取り付けられて対向状態にある接続部材31,32の間にダンパー20を配置し、円筒型ケーシング21の上部に設けられた取り付け部材21f,21fを、建物の躯体1に垂下状に取り付けられた吊りボルト2,2の下部に係合させ、吊りボルト2,2にナット4,4を螺着すると、ダンパー20が吊り下げ状態に保持される。
【0028】
この後、図3に示すように、円筒型ケーシング21の開口端部21a,21bの外周に設けられたダンパーフランジ部21c,21dをそれぞれ接続部材31,32のフランジ部31b,32bに対向させ、接続部材31,32のフランジ部31b,32bと、ダンパーフランジ部21c,21dとの間にパッキンなどの気密手段(図示せず)を挟持した状態でフランジ部31b,32bとダンパーフランジ部21c,21dとを十字穴付き六角ボルト5及びヘキサートナット6で固定手段するとダンパー接続構造101が形成される。
【0029】
なお、接続部材31,32のフランジ部31b,32bとダンパーフランジ部21c,21dとの固定手段は十字穴付き六角ボルト5及びヘキサートナット6に限定しないので、従来のボルトナット(図示せず)を用いることもできる。
【0030】
ダンパー接続構造101は、接続部材31,32を予めダクト22,23の開口端部22a,23aに取り付けた後、接続部材31,32のフランジ部31b,32bとダンパーフランジ部21c,21dとの間に気密手段を挟持した状態で固定手段(十字穴付き六角ボルト5及びヘキサートナット6など)にて固定することにより、ダンパー20をダクトの途中(ダクト22,23の間)に設置することができるので施工性が良好である。
【0031】
また、接続部材31,32の短管部31a,32aが、接続対象であるダクト22,23の開口端部22a,23aに差し込み可能であるため、ダクト22,23側のフランジ加工が不要であり、フランジ付きダクトを準備しなくても従来のダクトで対応可能であるため、施工工程の簡略化を図ることができる。
【0032】
さらに、ダンパー20とダクト22,23とをフランジ接続していることにより、固定手段(十字穴付き六角ボルト5及びヘキサートナット6など)を解除すれば、ダンパー20の取り外しが可能となるため、ダンパー20の交換や点検などの保守作業も容易に行うことができる。図10に示す従来の差込接続方式のダンパー10においては、既設のダンパー10を取り外す場合、ダクト12,13の一部を切断する必要があったが、ダンパー接続構造101においては、そのようなダクト切断作業が不要である。
【0033】
また、図10に示す従来のダンパー接続構造100においては、ダンパー交換作業の際に、天井3の一部解体、ダクト12,13の切断、ダンパー10の交換、新たなダンパーとダクト12,13との接続、天井3の復旧作業などの多くの作業を行う必要があり、多大な日数と費用が掛かっていたが、ダンパー接続構造101においては、ダンパー20の交換に付随する作業工程、作業時間及び作業費用を大幅に軽減することができるので、ダンパー20の設置作業並びにダンパー20の設置後のダンパー交換作業を容易に行うことができる。
【0034】
なお、ダンパー接続構造100の施工工程は図1図3に基づいて説明した事例に限定されないので、例えば、建物の躯体1から垂下された吊りボルト2,2にダンパー20を吊り下げ状態に取り付けた後、ダンパー20の円筒型ケーシング21の開口端21a(または21b)に、接続部材31(または32)を介在させてダクト22(または23)を接続し、次に、円筒型ケーシング21の開口端21b(または21a)に、接続部材32(または31)を介在させてダクト23(または22)を接続してダンパー接続構造100を形成することもできる。
【0035】
また、ダンパー20の円筒型ケーシング21の開口端21a(または21b)に、接続部材31(または32)を介在させてダクト22(または23)を接続した後、建物の躯体1から垂下された吊りボルト2,2にダンパー20を吊り下げ状態に取り付け、次に、円筒型ケーシング21の開口端21b(または21a)に、接続部材32(または31)を介在させてダクト23(または22)を接続してダンパー接続構造100を形成することもできる。
【0036】
図1図3に示すダンパー接続構造101の施工工程においては、ダクト22,23の開口端部22a,23aにそれぞれ短管部31a,32aが差し込まれて所定距離を隔てて対向状態にある接続部材31,32の間にダンパー20の円筒型ケーシング21が設置されている。従って、ダンパー20の円筒型ケーシング21の軸心方向の長さと、一対の接続部材31,32の短管部31a,32aの軸心方向の長さとの和が、対向状態にあるダクト22,23の開口端部22a,23a同士間の距離より大である。
【0037】
しかしながら、施工現場の状況により、図4に示すように、対向状態にあるダクト22,25の開口端部22a,25aの離隔距離が、図1に示す、対向状態にあるダクト22,23の開口端部22a,23aの離隔距離より大となる場合がある。このような場合、ダクト22,25の開口端部22a,25aに接続部材31,32(図1図2参照)を差し込むと、対向状態にある接続部材31,32のフランジ部31b,32bの離隔距離がダンパー20の円筒型ケーシング21の軸心方向の長さより大となるので、ダンパー20を吊りボルト2,2に吊り下げ保持したとき、ダンパー20の円筒型ケーシング21の開口端部21b(ダンパーフランジ部21d)が接続部材32のフランジ部32bから離隔した状態となり、ダンパー20とダクト25とが接続不能となる。
【0038】
そこで、図4図5に示すように、接続部材32の短管部32aの軸心方向の長さより長い短管部33aを有する接続部材33を用いれば、ダンパー20の円筒型ケーシング21の開口端部21bとダクト25の開口端部25aとの離隔距離に応じてダクト25の開口端部25aに対する接続部材33の短管部33aの差込深さが調整可能となる。
【0039】
従って、対向状態にあるダクト22,25の開口端部22a,25a同士の間にダンパー20(図2参照)を配置するとき、ダンパー20の円筒型ケーシング21の開口端部21bとダクト25の開口端部25aとの離隔距離に応じて、施工現場にて、接続部材33の短管部33aの差込深さを調整しながら接続部材33のフランジ部33bとダンパーフランジ部21dとを接続することができるため、作業性が向上する。
【0040】
また、改修工事などにおいて既設のダクトの一部を切断したことにより、対向状態にあるダクトの開口端部同士の離隔距離が改修工事前より広がったような場合でも、別途ダクトを継ぎ足すことなく、ダクトの開口端部に対する接続部材の短管部の差込深さを調整することにより対応可能となる。なお、図4図5に基づいて説明したダンパー接続構造の施工工程は一例を示すものであり、この施工工程に限定するものではない。
【0041】
次に、図6図7に基づいて、その他の実施形態であるダンパー接続構造102について説明する。なお、ダンパー接続構造102の構成部分において、図1図3に示すダンパー接続構造101と共通する部分については図1図3中の符号と同符号を付して説明を省略することがある。
【0042】
図6に示すダンパー接続構造102においては、ダンパーフランジ部21cと接続部材31のフランジ部31bとの接続手段並びにダンパーフランジ部21dと接続部材32のフランジ部32bとの固定手段として、接続部材31(32)のフランジ部31b(32b)及びダンパーフランジ部21c(21d)の外周に着脱可能に係合してフランジ部31b(32b)とダンパーフランジ部21c(21d)とを圧着方向に挟持する開閉式クランプ40(40)を用いている。
【0043】
図7に示すように、開閉式クランプ40は、円弧形状をなす一対の挟持部材41,41と、挟持部材41,41の一方の端部同士を回動可能に連結する蝶番部材42と、挟持部材41,41の他方の端部に設けられた係合部材43,43を着脱可能に固定するネジ44と、を備えている。挟持部材41(41)は、その横断面がU字状をなす樋状部材であり、それぞれフランジ部31b(32b)及びダンパーフランジ部21c(21d)の半周領域に係合し、フランジ部31b(32b)とダンパーフランジ部21c(21d)とを圧着方向に挟持する。
【0044】
図7の左部分に示すように、ネジ44を緩めて開いた状態にした挟持部材41,41の間にフランジ部31b(32b)とダンパーフランジ部21c(21d)(図6参照)とを挟んだ状態にして、図7の右部分に示すように、挟持部材41,41を閉じて係合部材43,43を重ね合わせた後、ネジ44を締めつけると、フランジ部31b(32b)とダンパーフランジ部21c(21d)とが固定される。
【0045】
図6に示すように、フランジ部31b(32b)とダンパーフランジ部21c(21d)とを圧着方向に挟持する開閉式クランプ40を用いれば、フランジ部31b(32b)とダンパーフランジ部21c(21d)への着脱を短時間で行うことができるので、ダンパー20の設置作業及び交換作業の迅速化を図ることができる。なお、図6図7に基づいて説明したダンパー接続構造102の施工工程は一例を示すものであり、この施工工程に限定するものではない。
【0046】
次に、図8に基づいて、その他の実施形態であるダンパー接続構造103について説明する。図8に示すように、本実施形態に係るダンパー接続構造103は、四角筒型ケーシング61の内部に可動羽根(図示せず)を有するダンパー60を、所定距離を隔てて対向状態にあるダクト22,23の開口端部22a,23a同士の間に設置し、ダンパー60の四角筒型ケーシング61の開口端部61a(61b)と、ダクト22(23)の開口端部22a(23a)との間に接続部材51(52)を介在させて、ダンパー60とダクト22,23とを接続することによって形成される。
【0047】
ダンパー60の四角筒型ケーシング61の開口端部61a,61bの外周には四角形額縁状のダンパーフランジ部61c,61dが設けられている。接続部材51(52)は、円筒型のダクト22(23)の開口端部22a(23a)に差し込み可能な短管部51a(52a)と、短管部51a(52a)の外周に形成されたフランジ部51b(52b)とを有している。フランジ部51b(52b)外周形状は、ダンパーフランジ部61c,61dと同様に四角形額縁状をなしている。図8に示すダンパー接続構造103を用いることにより、丸筒型ダクト22,23の間に、四角筒型ケーシング61を有するダンパー60を設置することができる。なお、図8に基づいて説明したダンパー接続構造103の施工工程は一例を示すものであり、この施工工程に限定するものではない。
【0048】
接続部材51(52)の短管部51a(52a)並びにフランジ部51b(52b)の形状は前述したものに限定しないので、接続部材の短管部の断面形状並びにフランジ部の断面形状を変更することにより、施工現場におけるダクトの形状やダンパーのケーシングの形状に応じた施工を行うことができる。
【0049】
例えば、角型ダクトと丸型ダクトとの間に丸型ケーシング有するダンパーを設置する場合は、角型短管部と丸型フランジ部を有する接続部材と、丸型短管部と角型フランジ部を有する接続部材を使用することによって対応可能であるため、ダンパーの上流と下流とでダクト形状の変更が可能である。
【0050】
また、角型ダクトと角型ダクトの間に丸型ケーシング有するダンパーを設置する場合は、角型短管部と丸型フランジ部を有する接続部材をダンパーの上流側と下流側に配置することによって対応可能であるため、開口端部同士が対向状態にある角型ダクトの間に丸型ケーシングを有するダンパーを設置することもできる。
【0051】
なお、図1図8に基づいて説明したダンパー接続構造101,102,103は、本発明に係るダンパー接続構造を例示するものであり、本発明に係るダンパー接続構造は、前述したダンパー接続構造101,102,103に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係るダンパー接続構造は、建物の空調設備を構成するダクトなどの各種送風経路にダンパーを設置する手段として建設業や建築業などの産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 躯体
2 吊りボルト
3 天井
4 ナット
5 十字穴付き六角ボルト
6 ヘキサートナット
10,20,60 ダンパー
11,21 円筒型ケーシング
11a,11b,12a,13a,21a,21b,22a,23a,61a,61b 開口端部
12,13,22,23,25 ダクト
14 ビス
21c,21d,61c,61d ダンパーフランジ部
21f 取り付け部材
31,32,33,51,52 接続部材
31a,32a,33a,51a,52a 短管部
31b,32b,33b,51b,52b フランジ部
40 開閉式クランプ
41 挟持部材
42 蝶番部材
43 係合部材
61 四角筒型ケーシング
100,101,102,103 ダンパー接続構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10