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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084001
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】加飾フィン
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20240617BHJP
   F24F 13/15 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B60H1/34 611B
F24F13/15 B
F24F13/15 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198143
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】308016242
【氏名又は名称】豊和化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】石黒 陽子
(72)【発明者】
【氏名】長尾 高志
(72)【発明者】
【氏名】糸谷 良樹
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081AB03
3L081FA06
3L081FB01
3L081HB02
3L211BA22
3L211BA52
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】簡便に加飾部材をフィンに取り付けることができ、加飾部材の不用意な外れを効果的に防止することができる加飾フィンを提供する。
【解決手段】加飾フィン4は、フィン本体40と下流側縁部に沿って嵌着される加飾部材50とから構成される。加飾部材50は、上流側に設けられた収容凹部51と、収容凹部51内に設けられた係止爪54と、上流側に突設された棒状部材55とを備える。フィン本体40は、収容凹部51に嵌入されるガイド凸部42と、係止爪54を係止する鉤形溝45と、棒状部材55が嵌入され組み付け時のスライドを許容する隙間が設けられた嵌入穴46とを備える。フィン本体40のガイド凸部42を加飾部材50の収容凹部51に嵌入させ、加飾部材50の棒状部材55をフィン本体40の嵌入穴46に挿入し、加飾部材50をスライドさせて係止させた状態で、棒状部材55の先端部が、加飾フィン4に熱溶着される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジスタの内側に通風路を有したリテーナの下流側端部に、空気吹出口が設けられ、該空気吹出口に支軸を介して回動操作可能に軸支される、加飾フィンにおいて、
該加飾フィンのフィン本体の下流側縁部に、該フィン本体に沿って加飾部材が嵌着され、
該加飾部材は、該加飾部材の上流側に設けられた収容凹部と、該収容凹部内に設けられた複数の係止爪と、上流側に突設され、該フィン本体内に嵌入される棒状部材と、を備え、
該フィン本体は、該収容凹部に嵌入されるガイド凸部と、該ガイド凸部に設けられ、該係止爪を長手方向にスライドさせて係止する鉤形溝と、該棒状部材が嵌入される嵌入穴と、を備え、
該嵌入穴は、嵌入された該棒状部材の周囲に、加飾フィンの組み付け時のスライドを許容する隙間が設けられ、
該フィン本体の該ガイド凸部を該加飾部材の該収容凹部に嵌入させ、該加飾部材の該棒状部材を該フィン本体の該嵌入穴に挿入し、該加飾部材をスライドさせて係止させた状態で、該棒状部材における該嵌入穴から該フィン本体の上流側に露出した先端部が、該加飾フィンに熱溶着されたことを特徴とする加飾フィン。
【請求項2】
前記加飾部材をスライドさせて係止させた状態の前記棒状部材には、挿入穴を設けた位置決め部材が該挿入穴を通して嵌入され、
該位置決め部材は、前記嵌入穴内側に設けられた複数のリブに接触して、該嵌入穴で該棒状部材を位置決めすることを特徴とする請求項1に記載の加飾フィン。
【請求項3】
前記棒状部材の先端部は、前記位置決め部材に熱溶着されることを特徴とする請求項2に記載の加飾フィン。
【請求項4】
前記加飾部材は、長手方向の端部の外側に、前記フィン本体に嵌着される固定爪が設けられ、
該フィン本体には、長手方向の端部の内側に、該固定爪をスライドさせて固定する固定爪受が設けられたことを特徴とする請求項3に記載の加飾フィン。
【請求項5】
前記加飾フィン内の前後方向に、通風路が設けられたことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の加飾フィン。
【請求項6】
前記ガイド凸部の短手方向に、複数の細いリブが設けられたことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の加飾フィン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、自動車室内等の換気や空調の空気吹出口に使用されるレジスタにおいて、空気吹出口側のフィンの下流側縁部に、加飾部材を嵌着させ、フィンの意匠性を向上させることができる加飾フィンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両室内の空気吹出調整用レジスタとして、通風路を形成するリテーナ内に、前可動ルーバと後可動ルーバを前後して且つ相互に直交方向に配設し、空気吹出口から空気を吹き出す際、前可動ルーバのフィン、後可動ルーバの後フィンの角度を変えて、空気の吹出し方向を上下左右に調整するクロスフィン型のレジスタが、広く使用されている。
【0003】
この種のレジスタ用のフィンとして、従来、下記特許文献1により、前可動ルーバのフィンの下流側縁部に、加飾部材を接着剤で接着させた加飾フィンが提案されている。また、下記特許文献2により、前可動ルーバのフィンの下流側縁部に、加飾部材を突部と凹部とで篏合させた加飾フィンが提案されている。この加飾フィンは、加飾部材を容易に組み付けることができるように、加飾部材の内側に凹部を設け、フィンの下流側縁部に突部を設け、加飾部材がその凹部をフィン側の突部に嵌め込まれ、取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-227778号公報
【特許文献2】特許第6879141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された加飾フィンは、加飾部材を接着剤で接着させるため、接着工程を要し、製造コストが高くなるという課題があった。また、特許文献2に記載された加飾フィンは、接着工程を要すことなく加飾部材を取り付けることができるものの、加飾部材を突部と凹部とで篏合させ、前方からフィンの縁部に押し付けて突部と凹部を単純に嵌合させるのみであるため、操作者に触られるなどして、外力を受けたときや、経年変化などにより、相互の嵌合が緩くなると、加飾部材が外れるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、簡便に加飾部材をフィンに取り付けることができ、加飾部材の不用意な外れを効果的に防止することができる加飾フィンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る加飾フィンは、レジスタの内側に通風路を有したリテーナの下流側端部に、空気吹出口が設けられ、該空気吹出口に支軸を介して回動操作可能に軸支される、加飾フィンにおいて、
該加飾フィンのフィン本体の下流側縁部に、該フィン本体に沿って加飾部材が嵌着され、
該加飾部材は、該加飾部材の上流側に設けられた収容凹部と、該収容凹部内に設けられた複数の係止爪と、上流側に突設され、該フィン本体内に嵌入される棒状部材と、を備え、
該フィン本体は、該収容凹部に嵌入されるガイド凸部と、該ガイド凸部に設けられ、該係止爪を長手方向にスライドさせて係止する鉤形溝と、該棒状部材が嵌入される嵌入穴と、を備え、
該嵌入穴は、嵌入された該棒状部材の周囲に、加飾フィンの組み付け時のスライドを許容する隙間が設けられ、
該フィン本体の該ガイド凸部を該加飾部材の該収容凹部に嵌入させ、該加飾部材の該棒状部材を該フィン本体の該嵌入穴に挿入し、該加飾部材をスライドさせて係止させた状態で、該棒状部材における該嵌入穴から該フィン本体の上流側に露出した先端部が、該加飾フィンに熱溶着されたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る加飾フィンによれば、加飾部材のフィン本体への取り付けの際に、収容凹部をガイド凸部に嵌入させて加飾部材を棒状部材とともにスライドさせ、その状態で、棒状部材の先端部を加飾フィンに熱溶着させるため、簡便に且つ強固に取り付けることができる。また、加飾部材は、係止爪が鉤形溝に係止され、棒状部材が嵌入穴に対して固定されるため、加飾部材の全体を確実に固定することができる。
【0009】
ここで、上記加飾フィンにおいて、前記加飾部材をスライドさせて係止させた状態の前記棒状部材には、挿入穴を設けた位置決め部材が該挿入穴を通して嵌入され、
該位置決め部材は、前記嵌入穴内側に設けられた複数のリブに接触して、該嵌入穴で該棒状部材を位置決めする構成とすることができる。
【0010】
これによれば、棒状部材とともに加飾部材は、フィン本体に対する位置が正確に決められ、形状のばらつきがない加飾フィンを製造することができる。
【0011】
また、上記加飾フィンにおいて、前記棒状部材の先端部は、前記位置決め部材に熱溶着される構成とすることができる。
【0012】
これによれば、溶着部によって位置決め部材及び棒状部材の嵌入穴からの外れが阻止され、加飾部材の外れを防止することができる。
【0013】
また、上記加飾フィンにおいて、前記加飾部材は、長手方向の端部の外側に、前記フィン本体に嵌着される固定爪が設けられ、
該フィン本体には、長手方向の端部の内側に、該固定爪をスライドさせて固定する固定爪受が設けられた構成とすることができる。
【0014】
これによれば、加飾部材の長手方向の端部の固定爪がフィンの固定爪受によって固定されるため、加飾部材の外れを防止することができる。
【0015】
また、上記加飾フィンにおいて、前記加飾フィン内の前後方向に、通風路が設けられた構成とすることができる。
【0016】
これによれば、加飾フィン内の通風路に風を通すことができ、フィン本体の回動操作により、送風方向を変えることができる。
【0017】
また、上記加飾フィンにおいて、前記ガイド凸部の短手方向に、複数の細いリブが設けられた構成とすることができる。
【0018】
これによれば、ガイド凸部を嵌入する加飾部材の収容凹部が、細いリブを加飾部材の当てリブとして作用させ、組み付け時の位置決めと組み付け後の加飾部材のがたつきの防止を行なうことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の加飾フィンによれば、簡便に加飾部材を取り付けることができ、かつ、加飾部材の外れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の加飾フィンを用いたレジスタの右上前方からの斜視図である。
図2】同加飾フィンを用いたレジスタの分解斜視図である。
図3】同加飾フィンの正面図である。
図4】同加飾フィンを構成する加飾部材の正面図(A)、その背面図(B)、その平面図(C)、その右上前方からの斜視図(D)、その右上後方からの斜視図(E)である。
図5】同加飾フィンを構成するフィン本体の正面図(A)、部分拡大図付きのその背面図(B)、その平面図(C)、その左上前方からの斜視図(D)である。
図6】同加飾フィンの部分拡大図付きの背面図(A)、その左上前方からの斜視図(B)、その後方からの斜視図(C)、その分解斜視図(D)である。
図7図3のVII-VII線断面図及びその部分拡大図であり、加飾部材をフィン本体に嵌着させてスライドさせ、棒状部材に位置決め部材を嵌めて、棒状部材の先端部を熱溶着させた状態を示す断面図である。
図8図3のVIII-VIII線断面図(A)、加飾部材をフィン本体に嵌着させてスライドさせる前の部分拡大断面図(B)、同加飾部材をスライドさせた状態の部分拡大断面図(C)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る加飾フィンを図1図8に基づいて説明する。なお、本発明の範囲は、実施形態で開示される範囲に限定されるものではない。実施形態に係る加飾フィン4は、図1及び図2に示すように、調整された空気の吹出口としての空気吹出口24の後側のリテーナ2内に、風向等を調整するための縦可動の前可動ルーバ3と横可動の後可動ルーバ7とがそれぞれ配設されたレジスタに使用される。具体的には、前可動ルーバ3の上下方向中央に配置される加飾フィン4として使用される。加飾フィン4は、内側の前後方向に通風路41が設けられ、前可動ルーバ3と後可動ルーバ7を回動させて空気の吹出方向を調整する操作ノブ11が設けられている。そして、操作ノブ11が設けられた加飾フィン4の下流側縁部に、加飾部材50が嵌着されている。なお、本明細書において、レジスタと加飾フィン4の向きは、図1に示すように、リテーナ2の空気吹出口24を有する側を前とし、リテーナ2内の通風路21の空気吸入口22側を後とする。上下左右は、レジスタを前側から見た際の上下左右とし、図示で使用する、Fは前、Bは後、Uは上、Dは下、Lは左、Rは右を示す。また、調整された空気の流れから、前を下流側、後ろを上流側と表現することがある。さらに、加飾フィン4の中心を基準に、内側又は外側と表現することがある。
【0022】
図1及び図2に示すように、レジスタの筐体となるリテーナ2は、内側に通風路21を設けた略角筒状の筐体であり、前側に、ルーバ収容部23が設けられ、ルーバ収容部23に、風向を上下に調整する前可動ルーバ3と風向を左右に調整する後可動ルーバ7が配設される。
【0023】
前可動ルーバ3は、上下方向中央に配置される加飾フィン4と、上下2本の前フィン30とを左右方向(水平方向)に、上下に間隔をおいて配置され、加飾フィン4と前フィン30は、左右に配設した軸受板36に対し、両側の支軸31を介して回動可能に保持される。加飾フィン4と前フィン30の一端に突設された連結軸32には、1本のリンクバー35が連結され、加飾フィン4と前フィン30が同期してその向きを上下に変え得る構造となっている。上下方向中央に配置される加飾フィン4には、操作ノブ11が左右に摺動可能に外嵌され、操作ノブ11に操作者が指を当てて前可動ルーバ3を上下に傾動させるとともに、左右方向にスライドさせて、後可動ルーバ7を左右に傾動させるようになっている。また、操作ノブ11は、回動させることにより、連結棒12(図2)を介して図示しないダンパープレートを回動させて、通風路21の開放と閉鎖を行なうようになっている。
【0024】
後可動ルーバ7は、上下方向の7本の後フィン71が左右に間隔をおいて配置され、上下に配設した軸受板76に対し回動可能に保持される。それぞれの後フィン71には、1本のリンクバーが連結され、左右の中心の1本の後フィン71の前部に、連係部75が設けられ、操作ノブ11の後部の連結棒12と係合し、操作ノブ11を左右方向に摺動させたとき、後可動ルーバ7の後フィン71の向きを左右に調整する構造となっている。
【0025】
図1図3に示すように、加飾フィン4は、左右方向を長手方向とする略角柱形状をなし、加飾フィン4内の前後方向に貫通する通風路41が設けられ、通風路41内に風を通すことができるとともに、加飾フィン4(前可動ルーバ3)の回動操作により、送風方向を変えることができる。加飾フィン4は、加飾フィン4内の通風路41の左右を略3等分する2枚のブレード41aが加飾フィン4の上下を連結するように前後上下方向に設けられ、加飾フィン4の剛性が高められている。
【0026】
図6に示すように、加飾フィン4には、下流側端部(前端部)に、フィン本体40に沿って加飾部材50が嵌着されている。加飾部材50とフィン本体40を含めたレジスタを構成する各々の部品は、黒色系統の合成樹脂から形成され、加飾部材50には、例えば、黒色系統とは異なる系統の色彩として銀メッキが施されている。
【0027】
図4に示すように、加飾部材50は、左右方向を長手方向とし、上下方向を短手方向とする略矩形形状をなし、加飾部材50の前後方向に貫通する通風路41が設けられ、正面側(前側)から見た形状は左右方向を長手方向とする長方形の額縁形状である。
【0028】
図4(B)、(E)に示すように、加飾部材50は、左右方向に上下の2本に分かれ、上下のそれぞれの上流側に、フィン本体40のガイド凸部42が嵌入される収容凹部51が備えられている。収容凹部51は、下流側が加飾部材50によって閉塞され、通風路41側の内側壁53と外側の外側壁52によって、上下前後方向の断面は上流側が開口したコ字形状としている。上下それぞれの収容凹部51には、左右方向に3つの係止爪54が備えられ、係止爪54は、内側壁53と外側壁52の後端部を上下に架橋するように設けられている。加飾部材50は、フィン本体40のガイド凸部42を収容凹部51に嵌入させて、右にスライドさせられることによって、フィン本体40に嵌着される。
【0029】
加飾部材50の左右両端部のそれぞれの後側には、フィン本体40の支軸31が嵌入されるように切り欠かれた切欠部58が形成され、右側の切欠部58には、フィン本体40の右側の支軸31の根元に設けられた固定爪受48を上下から挟持する固定爪57が設けられている。加飾部材50の左側の端部の内側には、フィン本体40の嵌入穴46に嵌入する棒状部材55が後方に突出して設けられている。棒状部材55の基部56は、棒状部材55の強度を高めるため、太く形成されている。
【0030】
図5に示すように、フィン本体40は、左右方向を長手方向とする略角柱形状をなし、フィン本体40内の前後方向に貫通する通風路41が設けられ、通風路41によって、左右方向に上下の2本に分かれ、上下のそれぞれの下流側に、加飾部材50の収容凹部51に嵌入されるガイド凸部42が備えられている。ガイド凸部42には、収容凹部51に嵌入されスライドされた際に、加飾部材50の係止爪54を引き込んで挟着する(図8)L字形状の鉤形溝45が係止爪54に対応した位置にそれぞれ形成されている。ガイド凸部42の短手方向には、図5(C)、(D)に示すように、細いリブ43が設けられ、細いリブ43は、加飾部材50の当てリブとして作用させ、組み付け時の位置決めと組み付け後の加飾部材50のがたつきの防止を行なう。
【0031】
図5(A)、(B)に示すように、フィン本体40の左側の前後方向に、加飾部材50の棒状部材55が嵌入される嵌入穴46が設けられている。嵌入穴46は、加飾フィン4の組み付け時の棒状部材55のスライドを許容する隙間が設けられ、後方側に、棒状部材55のスライドを左右方向に制限する横長開口47が設けられている。
【0032】
図7に示すように、嵌入穴46に嵌入された棒状部材55は、その先端部が横長開口47から上流側に露出し、加飾部材50が右にスライドされた際には、横長開口47に沿って右にスライドする。右にスライドした後の棒状部材55には、挿入穴61を設けた位置決め部材60が挿入穴61を通して嵌入され、固定される。
【0033】
横長開口47の後側の嵌入穴46の内側には、図5(B)に示すように、リブ46aが設けられ、棒状部材55に位置決め部材60が嵌入される際に、位置決め部材60の位置決めと組み付け後の加飾部材50のがたつきの防止を行なう。
【0034】
フィン本体40の右側の支軸31の根元には、固定爪受48が設けられ、固定爪受48は、加飾部材50が右にスライドされた際に、加飾部材50の固定爪57によって上下から挟持されて固定される。
【0035】
加飾部材50のフィン本体40への取り付けは、先ず、加飾部材50の上下それぞれの収容凹部51に、フィン本体40のガイド凸部42を嵌合させる。図8(B)に示すように、加飾部材50の全ての係止爪54は、それぞれ対応するフィン本体40の鉤形溝45に嵌め込む。このとき、棒状部材55は、嵌入穴46を通り、棒状部材55の先端部が横長開口47の左寄りから後側(上流側)に露出する(図7)。
【0036】
次に、フィン本体40に対して加飾部材50を右にスライドさせる。このとき、鉤形溝45に嵌め込まれた係止爪54は、図8(C)に示す如く、鉤形溝45の右奥に嵌め込まれる。ガイド凸部42を嵌入する加飾部材50の収容凹部51は、細いリブ43を加飾部材50の当てリブとして作用させ、位置決めと加飾部材50のがたつきが防止される。加飾部材50の右側の切欠部58の固定爪57は、右にスライドさせることによって、フィン本体40の右側の支軸31の根元に設けられた固定爪受48を上下から挟持して固定される。棒状部材55は、図7に示すように、嵌入穴46と横長開口47の中を右にスライドする。
【0037】
次に、右にスライドした棒状部材55に、挿入穴61を設けた位置決め部材60を挿入穴61に通して嵌入する。このとき、位置決め部材60は、横長開口47の後方の嵌入穴46の内側に設けられたリブ46aに接触して位置決めされ、棒状部材55と加飾部材50もフィン本体40に対して位置決めされる。これにより、棒状部材55と加飾部材50は、フィン本体40に対する位置が正確に決められる。
【0038】
位置決め部材60が嵌入された棒状部材55の先端部は、図7に示すように、加飾フィン4の位置決め部材60に熱溶着され、溶着部55aが形成される。これにより、加飾部材50は、フィン本体40に対して簡便に且つ強固に取り付けることができる。
【0039】
加飾部材50が取り付けられた加飾フィン4は、前可動ルーバ3の上下方向中央に配置され、前可動ルーバ3と後可動ルーバ7とがそれぞれ配設されたレジスタに使用される。加飾フィン4には、前可動ルーバ3と後可動ルーバ7を回動させて空気の吹出方向を調整する操作ノブ11が備えられる。加飾部材50は、黒色系統のレジスタを構成する他の部品とは異なる色彩の銀メッキが施され、レジスタの意匠性が向上されたものとなる。
【0040】
上記構成のレジスタは、自動車の車内のインストルメントパネルやダッシュボードの部分に、そのリテーナ2の後端の空気吸入口22を図示しない通風ダクトに接続するようにして装着される。装着時の図示は省略するが、インストルメントパネルやダッシュボードに、上記構成のレジスタの空気吹出口24を設けたベゼルが嵌着されて装着される。通風ダクトから送られる空気は、リテーナ2内の通風路21から空気吹出口24を通して吹き出される。
【0041】
空気の吹出向きを上または下に調整する場合、操作ノブ11を上または下に操作すると、前可動ルーバ3の加飾フィン4と上下2本の前フィン30が、その左右の支軸31を軸に回動して、その向きが上下に変化し、空気の吹出方向が上下に調整される。空気の吹出向きを左右に調整する場合、操作ノブ11を右または左に摺動操作すると、後可動ルーバ7の後フィン71が、その上下の支軸を軸に回動し、その左右の向きが所定の角度範囲で変化し、空気の吹出方向が左右に調整される。
【0042】
本明細書の実施形態に係る加飾フィン4によれば、加飾部材50のフィン本体40への取り付けの際に、収容凹部51をガイド凸部42に嵌入させて加飾部材50を棒状部材55とともにスライドさせ、その状態で、棒状部材55の先端部を加飾フィン4に熱溶着させるため、簡便に且つ強固に取り付けることができる。また、加飾部材50は、係止爪54が鉤形溝45に係止され、棒状部材55が嵌入穴46に対して固定されるため、加飾部材50の全体を確実に固定することができる。
【0043】
なお、実施形態の加飾フィン4は、その他実施形態として、以下のような形態であってもその実施をすることができる。
【0044】
実施形態の加飾フィン4は、加飾部材50が黒色系統の合成樹脂から形成され、加飾として銀メッキが施されているものを使用したが、加飾は銀メッキに限られるものではなく、他の色彩のメッキや塗装を施すことができる。また、加飾部材50は、形成される合成樹脂そのものの色彩を変えることによって、他部材とは異なる色彩とすることもできる。
【符号の説明】
【0045】
2 リテーナ
3 前可動ルーバ
4 加飾フィン
7 後可動ルーバ
11 操作ノブ
12 連結棒
21 通風路
22 空気吸入口
23 ルーバ収容部
24 空気吹出口
30 前フィン
31 支軸
32 連結軸
35 リンクバー
36 軸受板
40 フィン本体
41 通風路
41a ブレード
42 ガイド凸部
43 リブ
45 鉤形溝
46 嵌入穴
46a リブ
47 横長開口
48 固定爪受
50 加飾部材
51 収容凹部
52 外側壁
53 内側壁
54 係止爪
55 棒状部材
55a 溶着部
56 基部
57 固定爪
58 切欠部
60 位置決め部材
61 挿入穴
71 後フィン
75 連係部
76 軸受板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8