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  • 特開-自転車用動力伝達装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084007
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】自転車用動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 1/10 20100101AFI20240617BHJP
   B62M 9/00 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B62M1/10 A
B62M9/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198151
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】河原 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】播磨 健司
(57)【要約】
【課題】ユーザに適した自転車用動力伝達装置を提供する。
【解決手段】自転車用動力伝達装置100は、第1回転体2、一対の第2回転体3、弾性部材4、及びストッパ部材5を備える。一対の第2回転体3は、第1回転体2を軸方向において挟むように配置される。一対の第2回転体3は、互いに取り外し可能に取り付けられる。弾性部材4は、第1回転体2と一対の第2回転体3とを弾性的に連結する。ストッパ部材5は、一対の第2回転体3間に配置される。第1回転体2は、対向するストッパ面を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に配置される第1回転体と、
前記第1回転体を軸方向において挟むように配置され、互いに取り外し可能に取り付けられる一対の第2回転体と、
前記第1回転体と前記一対の第2回転体とを弾性的に連結する弾性部材と、
前記一対の第2回転体間に配置され、前記一対の第2回転体に取り付けられるストッパ部材と、
を備え、
前記第1回転体は、回転方向において前記ストッパ部材と間隔をあけて対向するストッパ面を有する、
自転車用動力伝達装置。
【請求項2】
前記一対の第2回転体を互いに取り外し可能に取り付けるように構成される複数のボルトをさらに備え、
前記ストッパ部材は、軸方向に貫通する貫通孔を有し、
前記ボルトは、前記貫通孔を貫通するように延びる、
請求項1に記載の自転車用動力伝達装置。
【請求項3】
前記一対の第2回転体のうちの一方の第2回転体に設けられるスプロケット部と、
前記第1回転体と一体的に回転するように構成されるクランクアームと、
をさらに備える、
請求項1に記載の自転車用動力伝達装置。
【請求項4】
前記第1回転体は、
軸方向に延びるハブ部と、
前記ハブ部から径方向外側に延びる外側フランジ部と、
前記ハブ部から径方向内側に延びる内側フランジ部と、
を有し、
前記クランクアームは、前記内側フランジ部に取り付けられる、
請求項3に記載の自転車用動力伝達装置。
【請求項5】
前記クランクアームは、前記内側フランジ部にスプライン嵌合する、
請求項4に記載の自転車用動力伝達装置。
【請求項6】
前記クランクアームは、
径方向に延びるアーム本体部と、
前記アーム本体部の端部から軸方向に延びる取付部と、
を有し、
前記取付部は、前記内側フランジ部内を貫通し、先端部において前記内側フランジ部にカシメ固定される、
請求項4又は5に記載の自転車用動力伝達装置。
【請求項7】
前記ストッパ部材は、前記一対の第2回転体に取り換え可能に取り付けられる、
請求項1に記載の自転車用動力伝達装置。
【請求項8】
前記ストッパ部材は、周方向のサイズが異なる複数種類のストッパ部材から選択されたストッパ部材である、
請求項1に記載の自転車用動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用動力伝達装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
入力プレートと出力プレートとの捩り角度を広角化できるように構成された自転車用動力伝達装置が開示されている。例えば特許文献1に開示された動力伝達装置では、一対の出力プレートが軸方向において入力プレートを挟むように配置されている。そして、弾性部材が第1入力プレートと一対の第2出力プレートとを弾性的に連結している。また、一対の出力プレートを連結する固定ピンがストッパ孔の端部に当接することによって、入力プレートと出力プレートとの相対回転を所定角度範囲内に規制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-059347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、ユーザに適した自転車用動力伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様に係る自転車用動力伝達装置は、第1回転体、一対の第2回転体、弾性部材、及びストッパ部材を備える。第1回転体は、回転可能に配置される。一対の第2回転体は、第1回転体を軸方向において挟むように配置される。一対の第2回転体は、互いに取り外し可能に取り付けられる。弾性部材は、第1回転体と一対の第2回転体とを弾性的に連結する。ストッパ部材は、一対の第2回転体間に配置される。第1回転体は、回転方向においてストッパ部材と間隔をあけて対向するストッパ面を有する。
【0006】
この構成によれば、ユーザは、一対の第2回転体を互いに取り外して、例えば、好みのストッパ部材に取り換えたり、好みの弾性部材に取り換えたりすることができる。この結果、ユーザに適した自転車用動力伝達装置とすることができる。
【0007】
第2態様に係る自転車用動力伝達装置は、第1態様に係る自転車用動力伝達装置において、複数のボルトをさらに備える。各ボルトは、一対の第2回転体を互いに取り外し可能に取り付けるように構成される。ストッパ部材は、軸方向に貫通する貫通孔を有する。ボルトは、貫通孔を貫通するように延びる。
【0008】
第3態様に係る自転車用動力伝達装置は、第1又は第2態様に係る自転車用動力伝達装置において、スプロケット部、及びクランクアームをさらに備える。スプロケット部は、一対の第2回転体のうちの一方の第2回転体に取り付けられる。クランクアームは、第1回転体と一体的に回転するように構成される。
【0009】
第4態様に係る自転車用動力伝達装置は、第3態様に係る自転車用動力伝達装置において、次のように構成される。第1回転体は、ハブ部、外側フランジ部、及び内側フランジ部を有する。ハブ部は、軸方向に延びる。ハブ部は筒状である。外側フランジ部は、ハブ部から径方向外側に延びる。内側フランジ部は、ハブ部から径方向内側に延びる。クランクアームは、内側フランジ部に取り付けられる。
【0010】
第5態様に係る自転車用動力伝達装置は、第4態様に係る自転車用動力伝達装置において、次のように構成される。クランクアームは、内側フランジ部にスプライン嵌合する。
【0011】
第6態様に係る自転車用動力伝達装置は、第4又は第5態様に係る自転車用動力伝達装置において、次のように構成される。クランクアームは、アーム本体部と、取付部とを有する。アーム本体部は、径方向に延びる。取付部は、アーム本体部の端部から軸方向に延びる。取付部は、内側フランジ部内を貫通する。取付部は、その先端部において内側フランジ部にカシメ固定される。
【0012】
第7態様に係る自転車用動力伝達装置は、第1~第6態様のいずれかに係る自転車用動力伝達装置において、次のように構成される。ストッパ部材は、周方向のサイズが異なる複数種類のストッパ部材から選択されたストッパ部材である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザに適した自転車用動力伝達装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】動力伝達装置の断面図。
図2】動力伝達装置の正面図。
図3】変形例に係る動力伝達装置の断面図。
図4】変形例に係る動力伝達装置の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態に係る自転車用動力伝達装置(以下、単に動力伝達装置とも言う)について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、軸方向とは、動力伝達装置の回転軸Oが延びる方向である。また、周方向とは、回転軸Oを中心とした円の周方向であり、径方向とは、回転軸を中心とした円の径方向である。また、回転方向とは、自転車が走行する際に動力伝達装置が回転する方向である。
【0016】
図1は動力伝達装置の断面図である。図1に示すように、動力伝達装置100は、第1回転体2、一対の第2回転体3、複数の弾性部材4、複数のストッパ部材5、スプロケット部6、クランクアーム7、複数のボルト8a、及びナット8bを有している。動力伝達装置100は、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。
【0017】
動力伝達装置100は、自転車に搭載される。動力伝達装置100は、例えば、電気モータなどを有さない人力のみによって駆動される自転車に搭載される。なお、動力伝達装置100は、電気モータを有している自転車に搭載されてもよい。この場合、例えば、自転車は、電気モータのみによって駆動される電動モードと、人力のみによって駆動される人力モードとを有してもよい。なお、自転車は、電気モータと人力とによって駆動されるアシストモードを有してもよいし、アシストモードを有していなくてもよい。動力伝達装置100は、クランクアーム7の先端部に取り付けられたペダル(図示省略)に入力されたトルクを駆動輪(図示省略)へと伝達するように構成されている。
【0018】
図2は、いくつかの弾性部材4、クランクアーム7、及び一対の第2回転体3のうち一方の第2回転体3を取り外した状態の動力伝達装置100の正面図である。図2に示すように、動力伝達装置100は、回転方向R(図2の時計回り)に回転するように構成されている。
【0019】
<第1回転体>
図1及び図2に示すように、第1回転体2は、複数の第1収容部21を有している。なお、本実施形態では、第1回転体2は、3つの第1収容部21を有している。各第1収容部21は、軸方向に貫通している。各第1収容部21は、周方向に間隔をあけて配置されている。各第1収容部21は、等間隔に配置されている。
【0020】
第1回転体2は、回転方向Rに回転可能に配置されている。第1回転体2は、クランクアーム7からトルクが入力される。第1回転体2は、クランクアーム7と一体的に回転するように構成されている。
【0021】
第1回転体2は、ハブ部22と、外側フランジ部23と、内側フランジ部24とを有している。ハブ部22は、軸方向に延びる円筒状である。動力伝達装置100が自転車に搭載された状態では、このハブ部22内をクランクシャフト(図示省略)が延びる。
【0022】
外側フランジ部23は、ハブ部22から径方向外側に延びている。この外側フランジ部23に、第1収容部21が形成されている。外側フランジ部23は、ハブ部22の軸方向中央部に形成されている。
【0023】
内側フランジ部24は、ハブ部22から径方向内側に延びている。内側フランジ部24は、その内周面にスプライン孔241を有している。内側フランジ部24は、ハブ部22の軸方向端部に形成されている。内側フランジ部24が配置される位置は、外側フランジ部23が配置されている位置と軸方向において異なる。すなわち、径方向視において、内側フランジ部24は、外側フランジ部23と重複しない。
【0024】
第1回転体2は、複数のストッパ面25を有している。詳細には、第1回転体2は、複数の切欠き部26を有している。各切欠き部26は、周方向に間隔をあけて配置されている。切欠き部26は、周方向において、一対の第1収容部21の間に配置されている。各切欠き部26は、径方向外側に向かって開口している。切欠き部26を画定する内壁面のうち、回転方向Rを向く面がストッパ面25となる。
【0025】
ストッパ面25は、回転方向Rを向いている。ストッパ面25は、回転方向においてストッパ部材5と間隔をあけて対向している。
【0026】
第1回転体2は、例えば、鉄や、ステンレス、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などによって構成することができる。
【0027】
<第2回転体>
一対の第2回転体3は、回転方向Rに回転可能に配置されている。一対の第2回転体3は、第1回転体2と相対回転可能に配置されている。
【0028】
一対の第2回転体3は、互いに実質的に同じ構成であるため、以下では一方の第2回転体3について説明し、他方の第2回転体3の詳細な説明を省略する。
【0029】
一対の第2回転体3は、軸方向において互いに間隔をあけて配置されている。この一対の第2回転体3の間に、第1回転体2が配置されている。すなわち、一対の第2回転体3は、第1回転体2を軸方向において挟むように配置されている。詳細には、第1回転体2の外側フランジ部23が、軸方向において一対の第2回転体3の間に配置されている。
【0030】
一対の第2回転体3は、複数のボルト8a及びナット8bによって、互いに取り外し可能に取り付けられている。このため、一対の第2回転体3は、互いに一体的に回転する。
【0031】
ボルト8aは、一対の第2回転体3を互いに取り外し可能に取り付けるように構成されている。具体的には、ボルト8aは、各第2回転体3に形成された貫通孔を軸方向に貫通し、ナット8bと螺合している。ボルト8aとナット8bとの螺合を解除することによって、一対の第2回転体3を互いに取り外すことができる。また、ボルト8aとナット8bとを螺合することで、取り外した一対の第2回転体3を互いに容易に取り付けることができる。
【0032】
この一対の第2回転体3の軸方向間には各ストッパ部材5が配置されている。各ストッパ部材5は、第1回転体2の切欠き部26内に配置されている。ストッパ部材5は、一対の第2回転体3と一体的に回転するように、一対の第2回転体3に取り付けられている。
【0033】
自転車の走行時において、第1回転体2と第2回転体3との捩り角度が所定の角度になると、ストッパ面25はストッパ部材5と当接する。このようにストッパ部材5がストッパ面25と当接することによって、第1回転体2が一対の第2回転体3に対して、それ以上相対回転することを規制する。すなわち、ストッパ部材5がストッパ面25と当接するまでは第1回転体2は一対の第2回転体3と相対回転する。そして、ストッパ部材5がストッパ面25と当接した後は、第1回転体2は一対の第2回転体3と一体的に回転する。なお、ストッパ面25がストッパ部材5と当接したときの第1回転体2と第2回転体3との捩り角度を最大捩り角度と称する。なお、動力伝達装置100にトルクが入力されていない状態では、第1回転体2と第2回転体3との捩り角度は0度である。
【0034】
ストッパ部材5は、一対の第2回転体3に、取り換え可能に取り付けられている。具体的には、ストッパ部材5は、軸方向に貫通する貫通孔51を有している。このストッパ部材5の貫通孔51内を、ボルト8aが貫通するように延びている。ボルト8a及びナット8bの螺合を解除してボルト8aを取り外し、また、一対の第2回転体3の一方を他方から取り外すことによって、ストッパ部材5を別のストッパ部材5に取り換えることができる。なお、動力伝達装置100に用いられるストッパ部材5は、例えば、周方向のサイズが異なる複数種類のストッパ部材から選択することができる。詳細には、ストッパ部材5は、外径が異なる複数種類のストッパ部材から選択することができる。このようにストッパ部材5を取り換えることにより、ストッパ面25とストッパ部材5との距離を変更して、第1回転体2と第2回転体3との最大捩り角度を変更することができる。
【0035】
第2回転体3は、円板状であって、中央部に貫通孔を有している。この第2回転体3の貫通孔内を、第1回転体2のハブ部22が軸方向に延びている。
【0036】
第2回転体3は、複数の第2収容部31を有している。なお、本実施形態では、第2回転体3は3つの第2収容部31を有している。各第2収容部31は、周方向に間隔をあけて配置されている。
【0037】
第2収容部31は、第2回転体3を軸方向に貫通している。第2収容部31は、周方向に延びている。各第2収容部31は、実質的に同じ円周上に配置されている。第2収容部31は、軸方向において第1収容部21と対向するように配置されている。すなわち、軸方向視において、第2収容部31は、第1収容部21と重複するように配置されている。
【0038】
第2回転体3は、第1切り起こし部32と、第2切り起こし部33とを有している。第1切り起こし部32、及び第2切り起こし部33は、第2回転体3の一部を切り起こすことによって形成されている。
【0039】
第1切り起こし部32は、弾性部材4に対して径方向外側に配置されている。第2切り起こし部33は、弾性部材4に対して径方向内側に配置されている。第1及び第2切り起こし部32、33は、弾性部材4の軸方向移動を規制するように構成されている。
【0040】
第2回転体3は、例えば、鉄や、ステンレス、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などによって構成することができる。
【0041】
一対の第2回転体3のうち一方には、スプロケット部6が設けられている。例えば、スプロケット部6は、第2回転体3とは別部材であり、ボルト8a及びナット8bによって、第2回転体3に取り付けられている。スプロケット部6は、一対の第2回転体3と一体的に回転する。スプロケット部6は外周端部に複数の歯を有している。このスプロケット部6にはチェーン(図示省略)が掛けられており、チェーンなどを介してスプロケット部6から駆動輪(図示省略)へとトルクが伝達される。
【0042】
<弾性部材>
弾性部材4は、第1収容部21、及び第2収容部31内に収容されている。弾性部材4は、例えばコイルスプリングである。弾性部材4は、第1回転体2と、一対の第2回転体3とを回転方向において弾性的に連結している。すなわち、第1回転体2からのトルクが、弾性部材4を介して一対の第2回転体3へ伝達される。また、弾性部材4は、第1回転体2及び一対の第2回転体3とともに回転する。トルクを伝達する際に弾性部材4が収縮することにより、第1回転体2と第2回転体3とが互いに捩れる。弾性部材4が収縮していない状態では、第1回転体2と第2回転体3とは捩れず、捩り角度は0度となる。
【0043】
<クランクアーム>
クランクアーム7は、第1回転体2と一体的に回転するように構成されている。すなわち、クランクアーム7は、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。クランクアーム7は、第1回転体2の内側フランジ部24に取り付けられる。詳細には、クランクアーム7は、内側フランジ部24にスプライン嵌合するように構成されている。
【0044】
クランクアーム7は、アーム本体部71と、取付部72とを有している。アーム本体部71は、径方向に延びている。取付部72は、アーム本体部71の両端部のうち、一方の端部から軸方向に延びている。なお、アーム本体部71の両端部のうち他方の端部には、ペダル(図示省略)が取り付けられる。
【0045】
取付部72の先端部721は、取付部72の他の部分よりも外径が小さくなっている。この先端部721が、内側フランジ部24にスプライン嵌合する。また、先端部721は、内側フランジ部24を軸方向に貫通する。そして、先端部721が内側フランジ部24にカシメ固定される。詳細には、この先端部721をカシメることにより、先端部721と内側フランジ部24とが密着する。また、先端部721のうち内側フランジ部24から突き出た部分の外径がカシメ加工により大きくなり、内側フランジ部24の内径よりも大きくなる。この結果、先端部721が内側フランジ部24より抜けなくなり、クランクアーム7と第1回転体2とが軸方向において互いに離れる方向に移動することを防止できる。
【0046】
取付部72は、取付孔722を有している。この取付孔722は、軸方向視において矩形状である。この取付孔722にクランクシャフト(図示省略)が嵌合し、クランクアーム7はクランクシャフトと一体的に回転する。
【0047】
<動作>
上述したように構成された動力伝達装置100の動作について説明する。まず、ユーザがペダルを漕ぐことによってクランクアーム7を介して第1回転体2にトルクが入力されると、第1回転体2は回転方向Rに回転する。そして、第1回転体2から一対の第2回転体3へ弾性部材4を介してトルクが伝達される。この結果、一対の第2回転体3が回転方向Rに回転し、駆動輪へとトルクが伝達される。
【0048】
ここで、弾性部材4が圧縮して第1回転体2と第2回転体3との捩り角度が所定の角度に達すると、ストッパ面25がストッパ部材5に当接する。この結果、第1回転体2と一対の第2回転体3とは一体的に回転する。この最大捩り角度は、ストッパ部材5を取り換えることにより、変更することができる。例えば、ストッパ部材5を、より大きい外径を有するストッパ部材5に取り換えることにより、最大捩り角度を小さくすることができる。逆に、ストッパ部材5を、より小さい外径を有するストッパ部材5に取り換えることにより、最大捩り角度を大きくすることができる。なお、動力伝達装置100は、弾性部材4が全圧縮される前に最大捩り角度となるように構成されている。
【0049】
弾性部材4は、第1回転体2に100N・m以下のトルクを入力したときに、第1回転体2と一対の第2回転体3とが最大捩り角度となるようなバネ定数を有していることが好ましい。また、弾性部材4は、第1回転体2に20N・m以上のトルクを入力したときに、第1回転体2と一対の第2回転体3が最大捩り角度となるようなバネ定数を有していることが好ましい。なお、この最大捩り角度となるときに第1回転体2に入力されるトルクを最大トルクと称する。特に限定されるものではないが、例えば、最大トルクを90N・m前後、80N・m前後、70N・m前後、60N・m前後、50N・m前後、40N・m前後、30N・m前後とするようなバネ定数を有する弾性部材4をそれぞれ準備する。そして、これら各弾性部材4からユーザが適宜選択するように構成されていてもよい。
【0050】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の各変形例は、基本的には同時に適用することができる。
【0051】
(a)上記実施形態では、第1回転体2にクランクアーム7が取り付けられ、一対の第2回転体3の一方にスプロケット部6が設けられているが、動力伝達装置100の構成はこれに限定されない。例えば、図3に示すように、一対の第2回転体3のうち一方の第2回転体3にクランクアーム7が取り付けられ、第1回転体2にスプロケット部6が設けられてもよい。
【0052】
(b)上記実施形態では、スプロケット部6は、第2回転体3と別部材として構成されていたが、スプロケット部6の構成はこれに限定されない。例えば、スプロケット部6は、第2回転体3の外周端部に一体的に設けられていてもよい。すなわち、スプロケット部6は、第2回転体3と一つの部材によって構成されていてもよい。詳細には、第2回転体3の外周端部に複数の歯が形成されることによって、スプロケット部6が構成されていてもよい。
【0053】
(c)上記実施形態では、ストッパ部材5は、ボルト8aが貫通する貫通孔51を有しているが、ストッパ部材5の構成はこれに限定されない。例えば、ストッパ部材5は、軸方向を向く両面のそれぞれにネジ孔を有していてもよい。そして、一対のボルト8aが軸方向の両側からストッパ部材5の各ネジ孔に螺合することにより、一対の第2回転体3とストッパ部材5とを互いに固定してもよい。なお、この各ネジ孔は、互いに連結して一つのネジ孔となっていてもよい。
【0054】
(d)図4に示すように、ストッパ部材5は、軸方向視において矩形状であってもよい。この場合、周方向の寸法が異なる複数のストッパ部材5を準備し、このストッパ部材5を取り換えることにより、ストッパ面25とストッパ部材5との距離を変更することができる。
【符号の説明】
【0055】
2 :第1回転体
22 :ハブ部
23 :外側フランジ部
24 :内側フランジ部
25 :ストッパ面
3 :第2回転体
4 :弾性部材
5 :ストッパ部材
51 :貫通孔
6 :スプロケット部
7 :クランクアーム
71 :アーム本体部
72 :取付部
721 :先端部
8a :ボルト
100 :動力伝達装置
図1
図2
図3
図4