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特開2024-84011廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法
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  • 特開-廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084011
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/16 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
C08J11/16 ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198162
(22)【出願日】2022-12-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】593065785
【氏名又は名称】増岡窯業原料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 久生
(72)【発明者】
【氏名】増岡 順
(72)【発明者】
【氏名】各務 喜仁
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA27
4F401AB06
4F401AD08
4F401CA58
4F401CA70
4F401CB14
4F401EA07
4F401FA01Z
4F401FA06Z
4F401FA07Z
(57)【要約】      (修正有)
【課題】廃棄された炭素繊維強化プラスチック(廃炭素繊維強化プラスチック)を水酸化アルカリ存在下で熱分解し、その後熱処理を行う二段階方式により、炭素繊維を劣化させること無く、高強度の炭素繊維を効率的に回収することができる廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法を提供すること。
【解決手段】廃棄された炭素繊維強化プラスチックから劣化させること無く高強度の炭素繊維を効率的に回収する廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法であって、廃炭素繊維強化プラスチックを水酸化アルカリ溶液中で加熱処理する廃材溶融工程と、前記廃材溶融工程済の廃炭素繊維強化プラスチックをトレーに充填する廃材充填工程と、前記廃材充填工程済の廃炭素繊維強化プラスチックを熱処理炉にて熱処理する廃材熱処理工程を備えることを特徴とする廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄された炭素繊維強化プラスチックから劣化させること無く高強度の炭素繊維を効率的に回収する廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法であって、
廃炭素繊維強化プラスチックを水酸化アルカリ溶液中で加熱処理する廃材溶融工程と、
前記廃材溶融工程済の廃炭素繊維強化プラスチックをトレーに充填する廃材充填工程と、
前記廃材充填工程済の廃炭素繊維強化プラスチックを熱処理炉にて熱処理する廃材熱処理工程を備えることを特徴とする廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法。
【請求項2】
前記廃材溶融工程は、廃炭素繊維強化プラスチック重量部100に対して、水酸化ナトリウムを150重量部~300重量部を加えてから、220℃~330℃の温度で、50分~120分、加熱処理することを特徴とする請求項1に記載の廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法。
【請求項3】
前記廃材充填工程は、廃炭素繊維強化プラスチックをトレーに充填する際、トレーの長手方向の中心線に沿った所定の幅を凹ませて高さが低くなるように充填し、
前記廃材熱処理工程は、廃炭素繊維強化プラスチックが充填されたトレーの積載方法が、熱処理炉の入口側から見て3列になるように複数の廃炭素繊維強化プラスチックが充填されたトレーを積載するのであるが、真ん中の列に積載されたトレーの数は隣接する外側の列に積載されたトレーの数よりも少なくなるように積載することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水酸化アルカリを用いた溶融処理と溶融処理後の熱処理の二段階方式に拠る、廃棄された炭素繊維強化プラスチック(廃炭素繊維強化プラスチック)からの炭素繊維の回収技術に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とは、炭素繊維を樹脂で固めた複合材料のことである。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、低密度、高強度、高剛性、高耐久性等の材料特性があり、これを活かして主に構造材料としての需要が伸びている。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の2019年の市場規模は約1兆6000億円、2035年には約3兆5000億円に達する見込みである。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の利用増加により、寿命を終えた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の廃棄物(廃炭素繊維強化プラスチック)も増加するため、再生技術が希求されている。しかしながら、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の工程中に出る廃材や使用済み製品は通常の焼却炉では処理が困難であり、現在、廃棄された炭素繊維強化プラスチック(廃炭素繊維強化プラスチック)の大半は埋め立て処理されており、新たな再生処理方法が求められている。
【0003】
従来の再生処理法として、燃焼法、超臨界流体法、常圧溶解法等が挙げられるが、燃焼法による再生処理は、他の処理方法と比較して、大量処理が可能である。しかしながら今後発生する複雑形状かつ大型形状の廃炭素繊維強化プラスチックや、様々なマトリックスを含んだ廃炭素繊維強化プラスチックを処理する際、(廃炭素繊維強化プラスチックの)処理量としては非常に少量である。炭素繊維の状態を(非常に)綺麗な状態(劣化等が無い)で保持するための熱処理には(常温からの温度上昇~徐冷までの)処理時間が非常に長く掛かる為である。超臨界流体法による再生処理は、炭素繊維の劣化は少ないものの、溶剤を高温、高圧にする必要があり、さらに、大量の排水、危険なガスを放出するという問題がある。常圧溶解法による再生処理は、炭素繊維の劣化が少ないものの、溶剤を高温にする必要、長い処理時間が必要等の問題がある。
【0004】
現時点で、事業化に至ったものは燃焼法の一部のみである。燃焼法においては再生処理を行う際、1次処理破砕を行うことで比表面積を増やす処理を行うため、再生する際の炭素繊維製品のサイズが限られている。炭素繊維は高価であり、廃炭素繊維強化プラスチックから炭素繊維を回収する技術が希求されている。かかる現状に鑑み、出願人らは鋭意開発を行い、廃棄された炭素繊維強化プラスチック(廃炭素繊維強化プラスチック)を水酸化アルカリ存在下で熱分解をすることで、1時破砕処理を軽減し、その後熱処理を行う二段階方式による高強度の炭素繊維を効率的に回収する方法を新たに開発した。
【0005】
特許文献1には、「所定の厚さを有する立体形状の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を原料として、取扱い性に優れた再生炭素繊維を効率的且つ安価に製造する製造方法を提供することを課題とする(特許文献1:要約の課題)」ことを課題として、「本発明の再生炭素繊維の製造方法は、1mm以上300mm以下の厚さに成形されている炭素繊維強化プラスチックを原料として、炭化乾留炉の炭化乾留室内に炭素繊維強化プラスチックを収容する工程と、200℃以上800℃以下の目標温度で炭化乾留室を維持する加熱工程と、を備えている。本発明の製造方法は、炭化乾留室の内部に高さ方向を三分割以上に分割する区画を形成し、それぞれの区画に対して、有効容積の70容積%以下となるように炭素繊維強化プラスチックを収容していることを特徴とする(特許文献1:要約の解決手段から抜粋)」再生炭素繊維の製造方法および再生炭素繊維(特許文献1:発明に名称)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-082037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に係る再生炭素繊維の製造方法および再生炭素繊維(特許文献1:発明に名称)は、「本発明の再生炭素繊維の製造方法は、炭化乾留室の区画を形成する棚の水蒸気供給路から過熱水蒸気が供給されることで、炭化乾留室全体をより均一に加熱することができる。この結果、厚さのある炭素繊維強化プラスチックから、より迅速に再生炭素繊維を製造することができる。(特許文献1:0013段落)」との記載より、熱処理工程において、炭化乾留室全体をより均一に加熱することができるようにするための過熱水蒸気を供給するための設備を設置している。通常の熱処理とは異なり、過熱水蒸気を供給するための設備を設置しなければならないので、設置コスト面、メンテナンス面で問題があると言える。
【0008】
本発明の目的は、今後、複雑形状・大型形状・様々なマトリックスを含んだ炭素繊維強化プラスチックを使用した製品が廃棄されることに備えて、廃炭素繊維強化プラスチックを水酸化アルカリ存在下で熱分解し、その後熱処理を行う二段階方式により、炭素繊維を劣化させること無く、高強度の炭素繊維を効率的に回収することができる廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、廃棄された炭素繊維強化プラスチックから劣化させること無く高強度の炭素繊維を効率的に回収する廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法であって、廃炭素繊維強化プラスチックを水酸化アルカリ溶液中で加熱処理する廃材溶融工程と、前記廃材溶融工程済の廃炭素繊維強化プラスチックをトレーに充填する廃材充填工程と、前記廃材充填工程済の廃炭素繊維強化プラスチックを熱処理炉にて熱処理する廃材熱処理工程を備えることを特徴とする廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載された発明は、請求項1において、前記廃材溶融工程は、廃炭素繊維強化プラスチックに対して、水酸化ナトリウムを1.1倍~1.3倍の重量を加えてから、250℃~350℃にて加熱処理する廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載された発明は、請求項1または請求項2において、前記廃材充填工程は、廃炭素繊維強化プラスチックをトレーに充填する際、トレーの長手方向の中心線に沿った所定の幅を凹ませて高さが低くなるように充填し、前記廃材熱処理工程は、廃炭素繊維強化プラスチックが充填されたトレーの積載方法が、熱処理炉の入口側から見て3列になるように複数の廃炭素繊維強化プラスチックが充填されたトレーを積載するのであるが、真ん中の列に積載されたトレーの数は隣接する外側の列に積載されたトレーの数よりも少なくなるように積載する廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、廃棄された炭素繊維強化プラスチックから劣化させること無く高強度の炭素繊維を効率的に回収する廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法である。廃炭素繊維強化プラスチックを水酸化アルカリ溶液中で加熱処理する廃材溶融工程と、廃材溶融工程済の廃炭素繊維強化プラスチックをトレーに充填する廃材充填工程と、廃材充填工程済の廃炭素繊維強化プラスチックを熱処理炉にて熱処理する廃材熱処理工程を備えている。水酸化アルカリを用いた溶融処理と溶融処理後の熱処理の二段階方式により、炭素繊維を劣化させること無く、高強度の炭素繊維を効率的に回収することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法の工程の流れを説明するための図である。
図2】廃材充填工程を説明するための図である。
図3】廃材熱処理工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法の工程の流れ>
以下、本発明に係る廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法の一実施形態について、図1図3に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法の工程の流れを説明するための図である。
【0015】
本発明に係る廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法は、図1に記載したように、マトリクス樹脂内に分散されつつ固められた廃炭素繊維強化プラスチック(以下、炭素繊維と記載する)を水酸化アルカリ処理(廃材溶融工程)した後、熱処理(廃材充填工程、廃材熱処理工程)すること、即ち、二段階処理することに特徴がある。要するに、水酸化アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を用いた溶融処理と、溶融処理後の熱処理の二段階方式に拠ることが大きな特徴である。第一段階として水酸化アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)を用いた溶融処理を廃材溶融工程で行い、その後第二段階として、廃材充填工程、廃材熱処理工程にて熱処理を行う。尚、廃材溶融工程、及び(廃材充填工程を含む)廃材熱処理工程にてマトリックス樹脂はガス、及び炭化物になる(図1参照)。
【0016】
<廃材溶融工程>
廃材溶融工程では、炭素繊維を、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属化合物の存在下にて加熱処理する。この加熱処理によって、炭素繊維に含まれるマトリックス樹脂を(廃材熱処理工程に移行する前にある程度)分解させることができる。
【0017】
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等)の水酸化物、無機酸塩(例:リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩)、有機酸塩が挙げられるが、マトリックス樹脂の分解を低温で良好に進行させることができる点から、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムがより好ましい。
【0018】
廃材溶融工程は、炭素繊維表面の酸化劣化を抑制でき、強度(引張強度等)がバージン材と遜色ない程度の炭素繊維を回収できる点から、非酸化性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。非酸化性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスが挙げられる。さらに、廃材溶融工程における実施形態は、安全面およびコスト面などの点から、アルカリ金属化合物(水酸化ナトリウム)の使用量が、炭素繊維100質量部に対して、150~300質量部であり、加熱温度が220~330℃であり、加熱時間が50分~2時間であることが好ましい。
【0019】
<廃材充填工程、及び廃材熱処理工程、その後の出荷までの工程>
図2は、(廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法における)廃材充填工程におけるトレー内に充填された(廃材溶融工程を経た)炭素繊維の充填状態を説明するための図である。図2に記載したように、炭素繊維をトレー(1000mm×625mm×110mm)に充填する時に(炭素繊維のトレーの底からの高さが)どの地点でも同じ高さになるように均一に充填せずに、トレー内に充填された炭素繊維のトレーの長手方向の中心線に沿った所定の幅(トレーの長手方向と垂直な方向の長さを三等分した時の3分の1の範囲、及びトレーの長手方向における両端部)の高さを低くしている(凹ませている)。廃材熱処理工程後に炭素繊維のトレーの中での置かれた位置の違いによるバラツキが出るのを回避するためである。
【0020】
炭素繊維をトレーに充填する時に均一に同じ高さになるように充填すると、廃材熱処理工程時に、トレーの長手方向中心線上部側に充填された炭素繊維が、過剰に熱処理されて品質にバラツキが出ることが経験上解っている。炭素繊維の色は黒色なので熱(赤外線)を吸収し易い材料である。炭素繊維は特に赤外線領域の波長の光を吸収してしまうため、(黒色の炭素繊維は)温度が上昇し易く結果として熱が籠り易い材料であると考えられる。
【0021】
炭素繊維をトレーに充填する時に(炭素繊維のトレーの底からの高さが)どの地点でも同じ高さになるように充填せずに、トレー内に充填された炭素繊維のトレーの長手方向の中心線に沿った所定の幅(トレーの長手方向と垂直な方向の長さを三等分した時の3分の1の範囲、及びトレーの長手方向における両端部)を凹ませることで、できるだけ炭素繊維が大気に触れる面積を増やせば、炭素繊維に熱が篭り難くなるので、廃材熱処理工程後に、炭素繊維のトレーの中での置かれた位置の違いによる品質バラツキを少なくすることができる。尚、炭素繊維に熱が篭り難くするためには(炭素繊維の充填量をトレーの高さの3分の1程度にする等)1バッチ処理量を減らせば良いのであるが、それでは生産コスト面で問題がある。本発明においては、1バッチの処理量を出来るだけ減らすことなく、一定の品質を確保するための工夫をしている。
【0022】
図3は、廃材熱処理工程における炭素繊維が充填された熱処理炉入口側から見たトレーの積載状態を説明するための図である。廃材熱処理工程では、熱処理炉の入口側から見て3列になるように複数の炭素繊維が充填されたトレーを垂直方向に積載する(図3参照)。真ん中の列のトレーは、7段積載されており、隣接する外側の列のトレーは、9段積載されている(図3参照)。
【0023】
熱処理炉内におけるトレーの積載方法は、熱処理炉の熱処理空間におけるトレーの配置で表現すれば、真ん中の列の炭素繊維が充填されたトレーを積載しない空間を、隣接する外側の列のトレーを積載しない空間よりも大きくなるようにすることで、即ち、真ん中の列のトレーの垂直方向における隙間の方が、隣接する外側の列のトレーの垂直方向における隙間よりも大きくなるようにすることで、熱が篭らないように工夫している。さらに、真ん中の列のトレーと隣接する外側の列のトレーの水平方向における隙間(トレーの長手方向と垂直な方向の長さの6分の1~4分の1の長さの隙間)を形成しても良い(図3参照)。
【0024】
熱処理炉の熱処理空間におけるトレーの配置で表現すれば、真ん中の列の上部側に空間を(生産効率が下がるのにも拘わらず)敢えて作ることで、或いは、(真ん中の列の)炭素繊維が充填されたトレーと上下方向に位置するトレーの隙間量を増やす(隙間量を隣接する外側の列のトレーの二倍(1.8倍~2.2倍)にすることで、熱が篭ることが無くなり、炭素繊維が均一に熱処理されるように工夫されている。
【0025】
熱処理炉に炭素繊維が充填されたトレーを積載した状態で、所定の温度、所定の温度に到達する時間、所定の保持時間、及び所定の保持時間から常温への下降時間にて熱処理を行う。熱処理された炭素繊維は、粉砕工程、及び選別工程を経て、最終的に出荷検査された後、出荷される。
<廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法の効果>
【0026】
現状、廃炭素繊維強化プラスチックの再生において事業化に至ったものは燃焼法の一部のみである。しかも炭素繊維の劣化が生じるという問題があり、再生後の炭素繊維の用途が限られていた。本発明に係る廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法により、高価値な炭素繊維を(事業ベースで)廃炭素繊維強化プラスチックから回収することができるようになったし、再生後の炭素繊維の用途も拡大された。
【0027】
即ち、廃棄された炭素繊維強化プラスチックから、水酸化アルカリ溶液中で加熱処理する廃材溶融工程と、廃材溶融工程済の廃炭素繊維強化プラスチックをトレーに充填する廃材充填工程と、廃材充填工程済の廃炭素繊維強化プラスチックを、熱処理炉にて熱処理する廃材熱処理工程にて、炭素繊維を劣化させること無く(廃棄された炭素繊維強化プラスチックから)高強度の炭素繊維を効率的に回収する廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法を確立することができるようになった。
【0028】
<廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法の変更例>
本発明に係る廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法は、上記した各実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、廃材溶融工程、廃材充填工程、廃材熱処理工程等の工程を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係る廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法は、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、炭素繊維を劣化させること無く、高強度の炭素繊維を効率的に回収することができる廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0030】
10・・炭素繊維(廃材溶融工程後)
20・・トレー
30・・熱処理炉(入口側)
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄された炭素繊維強化プラスチックから劣化させること無く高強度の炭素繊維を効率的に回収する廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法であって、
廃炭素繊維強化プラスチックを水酸化ナトリウム溶液中、又は水酸化カリウム溶液中で加熱処理する廃材溶融工程と、
前記廃材溶融工程済の廃炭素繊維強化プラスチックをトレーに充填する廃材充填工程と、
前記廃材充填工程済の廃炭素繊維強化プラスチックを熱処理炉にて熱処理する廃材熱処理工程を備えており、
前記廃材充填工程は、廃炭素繊維強化プラスチックをトレーに充填する際、トレーの長手方向の中心線に沿った所定の幅(トレーの長手方向と垂直な方向の長さを三等分した時の3分の1の範囲、及びトレーの長手方向における両端部)を凹ませて高さが低くなるように充填し、
前記廃材熱処理工程は、廃炭素繊維強化プラスチックが充填されたトレーの積載方法が、熱処理炉の入口側から見て3列になるように複数の廃炭素繊維強化プラスチックが充填されたトレーを積載するのであるが、真ん中の列に積載されたトレーの数は隣接する外側の列に積載されたトレーの数よりも少なくなるように積載することを特徴とする廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法。
【請求項2】
前記廃材溶融工程は、廃炭素繊維強化プラスチック重量部100に対して、水酸化ナトリウムを150重量部~300重量部を加えてから、220℃~330℃の温度で、50分~120分、加熱処理することを特徴とする請求項1に記載の廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、廃棄された炭素繊維強化プラスチックから劣化させること無く高強度の炭素繊維を効率的に回収する廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法であって、廃炭素繊維強化プラスチックを水酸化ナトリウム溶液中、又は水酸化カリウム溶液中で加熱処理する廃材溶融工程と、前記廃材溶融工程済の廃炭素繊維強化プラスチックをトレーに充填する廃材充填工程と、前記廃材充填工程済の廃炭素繊維強化プラスチックを熱処理炉にて熱処理する廃材熱処理工程を備えており、前記廃材充填工程は、廃炭素繊維強化プラスチックをトレーに充填する際、トレーの長手方向の中心線に沿った所定の幅(トレーの長手方向と垂直な方向の長さを三等分した時の3分の1の範囲、及びトレーの長手方向における両端部)を凹ませて高さが低くなるように充填し、前記廃材熱処理工程は、廃炭素繊維強化プラスチックが充填されたトレーの積載方法が、熱処理炉の入口側から見て3列になるように複数の廃炭素繊維強化プラスチックが充填されたトレーを積載するのであるが、真ん中の列に積載されたトレーの数は隣接する外側の列に積載されたトレーの数よりも少なくなるように積載する廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法であることを特徴とするものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記廃材溶融工程は、廃炭素繊維強化プラスチック重量部100に対して、水酸化ナトリウムを150重量部~300重量部を加えてから、220℃~330℃の温度で、50分~120分、加熱処理する廃炭素繊維強化プラスチックの再生方法であることを特徴とするものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】