(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084014
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240617BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240617BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B41J29/38
B41J29/38 301
H04N1/00 002A
H04N1/00 E
H04N1/00 912
G06F3/16 520
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198166
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新川 綾佳
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061HK11
2C061HN15
5C062AA05
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB25
5C062AB30
5C062AB35
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC26
5C062AD02
5C062AE01
5C062AE15
5C062AF14
(57)【要約】
【課題】動作音以外の音が録音されてしまうのを防止することができる情報処理装置及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、動作音が発生する対象装置の開閉部が開いている場合は、前記対象装置の内部に設けられたマイクによる前記動作音の録音を禁止する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
動作音を発生する対象装置の開閉部が開いている場合は、前記対象装置の内部に設けられたマイクによる前記動作音の録音を禁止する
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記開閉部が閉じている場合は、前記動作音の録音を許可する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記動作音の録音を開始した後に前記開閉部が開いた場合は、録音した前記動作音を削除する
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記対象装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置である
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記開閉部は、前記記録媒体を収容するトレイ及び色材を収容するカートリッジを交換する際に開閉するカバーの少なくとも一方を含む
請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記画像形成装置に外付けされた給紙装置の開閉部が開いている場合は、前記動作音の録音を許可する
請求項4又は請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータに、
動作音を発生する対象装置の開閉部が開いている場合は、前記対象装置の内部に設けられたマイクによる前記動作音の録音を禁止させる
ことを含む処理を実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シートに画像形成を行う画像形成装置において、前記画像形成装置の正常時の動作音を記憶している記憶手段と、前記画像形成装置から発生する動作音を検知する音検知手段と、前記記憶手段に記憶されている第1の音情報と、前記音検知手段により検知された第2の音情報と、前記画像形成装置の動作情報とに基づいて、前記画像形成装置の異常箇所を特定する特定手段と、を有することを特徴とする画像形成装置、が開示されている。
【0003】
特許文献2には、印刷用紙上に画像を形成する画像形成部と、前記印刷用紙を搬送する搬送部とを有する画像処理装置において、前記画像処理装置内部の音を電気信号に変換する音変換部と、該音変換部が変換した電気信号を解析する音解析部と、該音解析部が解析した結果を出力する出力部と、を備えたことを特徴とする画像処理装置、が開示されている。
【0004】
特許文献3には、音声を収集して音声データを出力する音声収集手段と、前記音声データを音声記憶手段に記憶させる音声録音手段と、画像データに前記音声データを付加するデータ編集手段と、前記音声収集手段の収集する音声データに含まれている騒音のレベルが、所定の限界閾値レベル以下のときにのみ前記音声録音手段に前記音声録音動作を行わせる制御手段と、を備えていることを特徴とする画像形成装置、が開示されている。
【0005】
特許文献4には、診断対象が発する音を録音する録音手段と、使用者からの操作を受け付ける受付手段と、前記受付手段が操作を受け付けた場合、受け付けた時を含む前後の所定時間の録音データを診断用データとして取得する取得手段と、前記受付手段による操作の受付前に、前記録音手段が録音を開始したことを警告する警告手段と、を有する診断装置、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-079263号公報
【特許文献2】特開2008-290288号公報
【特許文献3】特開2016-111472号公報
【特許文献4】特開2017-120199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、動作音以外の音が録音されてしまうのを防止することができる情報処理装置及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1態様に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、動作音を発生する対象装置の開閉部が開いている場合は、前記対象装置の内部に設けられたマイクによる前記動作音の録音を禁止する。
【0009】
また、第2態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記開閉部が閉じている場合は、前記動作音の録音を許可する。
【0010】
また、第3態様に係る情報処理装置は、第2態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記動作音の録音を開始した後に前記開閉部が開いた場合は、録音した前記動作音を削除する。
【0011】
また、第4態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記対象装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置である。
【0012】
また、第5態様に係る情報処理装置は、第4態様に係る情報処理装置において、前記開閉部は、前記記録媒体を収容するトレイ及び色材を収容するカートリッジを交換する際に開閉するカバーの少なくとも一方を含む。
【0013】
また、第6態様に係る情報処理装置は、第4態様又は第5態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記画像形成装置に外付けされた給紙装置の開閉部が開いている場合は、前記動作音の録音を許可する。
【0014】
また、第7態様に係る情報処理プログラムは、コンピュータに、動作音を発生する対象装置の開閉部が開いている場合は、前記対象装置の内部に設けられたマイクによる前記動作音の録音を禁止させる、ことを含む処理を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
第1態様、及び第7態様によれば、動作音以外の音が録音されてしまうのを防止することができる、という効果を有する。
【0016】
第2態様によれば、開閉部が閉じていない場合に動作音の録音を許可する場合と比較して、対象装置の外部の音が録音されてしまうのを防止することができる。
【0017】
第3態様によれば、動作音の録音を開始した後に開閉部が開いた場合に、録音した動作音を削除しない場合と比較して、動作音に基づいて対象装置の異常を診断する場合の誤診断を防止することができる。
【0018】
第4態様によれば、画像形成装置の動作音以外の音が録音されてしまうのを防止することができる。
【0019】
第5態様によれば、記録媒体を収容するトレイ又は色材を収容するカートリッジを交換する際に開閉するカバーが開いている場合に、対象装置の動作音以外の音が録音されてしまうのを防止することができる。
【0020】
第6態様によれば、外付けされた給紙装置の開閉部が開いている場合に動作音の録音を許可しない場合と比較して、不必要に動作音の録音が禁止されてしまうのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】画像形成装置及び給紙装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】画像形成装置の内部の構成の一例を示す概略図である。
【
図4】情報処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本開示の実施形態の一例を説明する。
【0023】
初めに、本実施形態に係る情報処理装置の概略について説明する。
【0024】
図1に示す画像形成システム100は、画像形成装置10と、当該画像形成装置10の外部に備わる給紙装置40を含む。なお、画像形成装置10は、本実施形態に係る対象装置の一例である。なお、対象装置は、画像形成装置10以外の装置によって実現されても構わない。また、本実施形態では、画像形成装置10に外付けされた給紙装置40を備えた画像形成システム100について説明するが、画像形成システム100は画像形成装置10のみで実現されてもよい。
【0025】
本実施形態に係る画像形成装置10は、ユーザーの指定によるジョブを受付け、指定されたジョブを実行する。画像形成装置10が実行するジョブの一例は、読み込んだ原稿等から生成される原稿画像を、用紙等の記録媒体に形成する印刷ジョブである。
【0026】
また、本実施形態に係る画像形成装置10は、内部にマイクが設けられ、画像形成装置10に異常が発生しているか否かを判定するための異常診断処理に用いる動作音を録音する。ここで、動作音とは、例えば画像形成装置10がジョブを実行することで生じる、画像形成装置10の内部に備わる機械構成の音を示す。機械構成の一例は、用紙を搬送する搬送ローラ等の回転体及び当該搬送ローラを駆動するためのモータ等の駆動源であるが、これらに限られない。動作音の一例は、上記搬送ローラ及び上記モータ等が、画像形成装置10のジョブの実行により稼働することで生じる音である。
【0027】
ここで、画像形成装置10は、当該画像形成装置10に備わる給紙トレイが開放された状態、並びに、トナー又はインク等の色材を収容するカートリッジを交換する際に開閉されるカバー(以下、「前カバー」と表記)が開放された状態であっても、ユーザーから指示されるジョブを開始する場合がある。また、画像形成装置10がジョブを実行中に、給紙トレイ又は前カバーが開放されても、当該画像形成装置10はジョブを継続して実行する場合がある。
【0028】
上記の場合に動作音の録音が行われると、例えば画像形成装置10の近くで会話する人物同士の会話内容までが録音データに含まれてしまい、機密情報の漏洩に繋がる虞がある。
【0029】
また、動作音の録音が行われるジョブの実行中に、前カバー及び給紙トレイが開放されたり、開放された状態にある前カバー及び給紙トレイが閉じられたりすると、録音データに開閉音が含まれてしまい、録音データに基づく異常診断処理において適切な結果を得ることが難しくなる。なお、会話と、前カバー及び給紙トレイ等の開閉音とは、動作音以外の音の一例である。
【0030】
そこで、本実施形態に係る画像形成装置10は、前カバー及び給紙トレイ等の開閉部が開いている場合は、動作音の録音を禁止する。
【0031】
以下、画像形成システム100の構成について詳細に説明する。
【0032】
図1に示すように、画像形成装置10は、前カバー101、給紙トレイ102、給紙トレイ103、給紙トレイ104、及び給紙トレイ105を備える。また、
図1に示す例によれば、画像形成装置10に対して外付けされた給紙装置40は、給紙トレイ401、及び給紙トレイ402を備える。
【0033】
以下、画像形成装置10に備わる給紙トレイ102~105を総称する際は、本体給紙トレイ28と称する。また、給紙装置40に備わる給紙トレイ401、402を総称する際は、外付け給紙トレイ40Aと称する(
図3参照)。
【0034】
ユーザーは、前カバー101を開放して、
図2に示すように、画像形成装置10の画像形成部16に交換可能に設けられたイエロー(Y)用のカートリッジ24Y、マゼンタ(M)用のカートリッジ24M、シアン(C)用のカートリッジ24C、ブラック(K)用のカートリッジ24Kを交換できる。なお、カートリッジ24Y、24M、24C、24Kを区別しない場合はカートリッジ24と称する。また、ユーザーは、本体給紙トレイ28、及び外付け給紙トレイ40Aを開放して、各給紙トレイの用紙を補充できる。
【0035】
なお、前カバー101、給紙トレイ102~給紙トレイ105(本体給紙トレイ28)は、対象装置の開閉部の一例である。また、給紙トレイ401、402(外付け給紙トレイ40A)は、給紙装置40の開閉部の一例である。
【0036】
図3は、画像形成装置10、及び給紙装置40の構成の一例を示すブロック図である。
図3に示す画像形成装置10は、制御部12、画像読取部14、画像形成部16、表示部18、操作部20、マイク22、カートリッジ24、カバー開閉センサ25、記憶部26、本体給紙トレイ28、給紙トレイ開閉センサ29、排出部30、通信部32等の構成部を含む。なお、制御部12は、情報処理装置の一例である。
【0037】
制御部12は、制御部12に接続される各構成部を制御する。制御部12は、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置)12A、ROM(Read Only Memory;読み出し専用メモリ)12B、RAM(Random Access Memory;ランダムアクセスメモリ)12C、不揮発性メモリ12D、入出力インターフェース(I/O)部12Eを含む。
【0038】
CPU12Aは、中央演算処理ユニットであり、情報処理プログラム26Aを記憶部26から読み出して実行する。なお、情報処理プログラム26Aの詳細は後述する(
図4参照)。CPU12Aは、RAM12Cを作業領域として、読み出したプログラムを実行することで画像形成装置10等を制御する。なお、CPU12Aは、プロセッサの一例である。
【0039】
CPU12A、ROM12B、RAM12C、及び不揮発性メモリ12Dは、バスを介してI/O部12Eと相互に通信可能に接続される。
【0040】
画像読取部14は、例えば画像形成装置10にセットされた原稿を読み取って原稿画像を生成するCCD(Charge-Coupled Device;電荷結合素子)イメージセンサ等を備える。
【0041】
画像形成部16は、例えば電子写真方式、又はインクジェット記録方式等を用いて、画像読取部14で生成された原稿画像を用紙等の記録媒体上に形成する。電子写真方式を採用した場合は、カートリッジ24は、色材の一例としてのトナーを収容したトナーカートリッジである。また、インクジェット記録方式を採用した場合は、カートリッジ24は、色材の一例としてのインクを収容したインクカートリッジである。本実施形態では、画像形成部16が電子写真方式により画像を記録媒体に形成する場合について説明する。
【0042】
表示部18は、例えばタッチパネルと、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等とを組み合わせて構成される。表示部18には、ユーザーのタッチ操作、及び画像形成装置10の処理等に応じた画像、ポップアップ画像等が表示される。
【0043】
操作部20は、画像形成装置10に備わる操作キー、操作ボタン、及び電源ボタン等である。
【0044】
ユーザーは、表示部18に対するタッチ操作、又は操作部20への操作ボタンの押下等により、画像形成装置10に対してジョブを指定したり、ジョブの開始を指示したりすることができる。
【0045】
マイク22は、画像形成装置10の内部に設置され、画像形成部16等が発生する動作音を収集する。マイク22は、画像形成部16等が発生する動作音を収集できる場所に配置される。マイク22の配置等の詳細は後述する。また、収集された動作音は、随時記憶部26へ録音データ26Bとして記憶される。
【0046】
カートリッジ24は、
図2に示すように、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の色材のカートリッジ24Y、24M、24C、24Kを備える。ユーザーは、各カートリッジを交換することで、不足する色材を補充できる。なお、
図2においては、説明を簡単にするため、感光体、帯電器、現像器、及び転写ローラ等の図示を省略している。
【0047】
カバー開閉センサ25は、前カバー101の開閉の状態を検知する。
【0048】
記憶部26は、例えばSSD(Solid State Drive)、またはHDD(Hard Disk Drive)により構成される。記憶部26は、例えば情報処理プログラム26A、及び各種プログラムを記憶する。また、記憶部26は、例えば録音データ26Bを記憶する。
【0049】
録音データ26Bは、ジョブの実行により画像形成部16等から発生された動作音を録音したデータである。
【0050】
給紙トレイ開閉センサ29は、例えば給紙トレイ102、給紙トレイ103、給紙トレイ104、及び給紙トレイ105に対して1つずつ設けられる。各給紙トレイ開閉センサ29は、対応する給紙トレイ102~105の開閉の状態を検知する。
【0051】
排出部30には、例えば印刷ジョブが終了することで排出される印刷物が蓄積される。
【0052】
通信部32は、例えば画像形成装置10の外部に備わるサーバー50と画像形成装置10とを通信可能に接続するためのインターフェースである。通信部32には、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、LAN(Local Area Network)等の通信規格が用いられる。
【0053】
サーバー50は、例えば録音データ26Bを用いて異常診断処理を実行する。サーバー50の一例はPC(Personal Computer)である。なお、異常診断処理は、画像形成装置10が実行するよう構成されてもよい。画像形成装置10が異常診断処理を実行する場合は、例えば異常診断処理プログラムを予め記憶部26等に記憶しておく。
【0054】
給紙装置40は、上述した外付け給紙トレイ40Aの他に、外付け給紙トレイ開閉センサ40Bを備える。外付け給紙トレイ開閉センサ40Bは、例えば給紙トレイ401、及び給紙トレイ402に対して1つずつ設けられる。各外付け給紙トレイ開閉センサ40Bは、給紙トレイ401、及び給紙トレイ402それぞれの開閉の状態を検知する。
【0055】
画像読取部14、画像形成部16、表示部18、操作部20、マイク22、カートリッジ24、カバー開閉センサ25、記憶部26、本体給紙トレイ28、給紙トレイ開閉センサ29、排出部30、通信部32、及び給紙装置40等は、制御部12と相互に通信可能に接続される。
【0056】
なお、以下では、カバー開閉センサ25によって検知される前カバー101の開閉の状態を示す情報をカバー開閉情報と称する。また、給紙トレイ開閉センサ29によって検知される給紙トレイ102~105の開閉の状態を示す情報を給紙トレイ開閉情報と称する。また、外付け給紙トレイ開閉センサ40Bによって検知される給紙トレイ401、402の開閉の状態を示す情報を外付け給紙トレイ開閉情報と称する。また、これらの情報を総称する際は、開閉情報と称する。
【0057】
開閉情報では、前カバー101、給紙トレイ102~105、及び給紙トレイ401、402それぞれの開閉の状態が、例えば「0」及び「1」等の値で表現されている。開閉情報は、前カバー101、給紙トレイ102~105、及び給紙トレイ401、402それぞれの開閉の状態の変化に応じて更新される。例えば、前カバー101が開放された状態のカバー開閉情報が「1」とすると、当該前カバー101が閉じられた場合は、カバー開閉情報は「0」に更新される。
【0058】
次に
図2を参照して、マイク22の配置について説明する。
【0059】
図2は、画像形成装置10の内部の構成の一例を示す概略図である。
【0060】
図2に示す例によれば、画像形成部16の近傍にマイク22Aが配置され、搬送部51の近傍にマイク22Bが配置される。マイク22Aは、例えば画像形成部16を構成する図示しない感光体ドラム、現像ローラ、転写ローラ、及び定着部の定着ローラ52等の回転体、並びに、これらの回転体を駆動するモータが発生する動作音を収集する。また、マイク22Bは、中間転写ベルト54を駆動する駆動ローラ56及び用紙を搬送する搬送ベルト58を駆動する駆動ローラ60等の回転体、並びに、これら回転体を駆動するモータ等が派生する動作音を収集する。
【0061】
なお、
図4に示す例では、マイク22の数を2つとしたが、これに限らず、マイク22の数を1つにしてもよいし、3つ以上設置してもよい。また、設置する場所も、
図4に示す例に限らず、異常診断に用いる動作音が収集できる場所であればよい。
【0062】
図3に示すマイク22A、及びマイク22Bを含むマイク22は、対象装置の内部に設けられたマイクの一例である。
【0063】
次に、情報処理プログラム26Aによる画像形成装置10の動作について説明する。
【0064】
図4は、情報処理プログラム26Aの処理の流れを示すフローチャートである。情報処理プログラム26Aは、CPU12Aによって実行される。
【0065】
ステップS100において、CPU12Aは、ユーザーからジョブ実行の指示を受け付ける。
【0066】
ステップS102において、CPU12Aは、開閉情報に基づいて、前カバー101、本体給紙トレイ28、及び外付け給紙トレイ40Aの少なくとも1つが開放状態であるか否かを判定する。例えばカバー開閉情報、給紙トレイ開閉情報、及び外付け給紙トレイ開閉情報のうち少なくとも1つの開閉情報が開放状態を示す場合は、前カバー101、本体給紙トレイ28、及び外付け給紙トレイ40Aの少なくとも1つが開放状態であると判定する。
【0067】
前カバー101、本体給紙トレイ28、及び外付け給紙トレイ40Aの少なくとも1つが開放状態である場合、ステップS104の処理へ進む。前カバー101、本体給紙トレイ28、及び外付け給紙トレイ40Aのいずれもが開放状態ではない場合、言い換えると、前カバー101、本体給紙トレイ28、及び外付け給紙トレイ40Aがいずれも閉じられている場合、ステップS106の処理へ進む。
【0068】
ステップS104において、CPU12Aは、開閉情報に基づいて、外付け給紙トレイ40Aのみが開放状態であるか否かを判定する。具体的には、CPU12Aは、外付け給紙トレイ開閉情報が開放状態を示し、かつ、カバー開閉情報及び給紙トレイ開閉情報が閉鎖状態を示すか否かを判定する。
【0069】
外付け給紙トレイ40Aのみが開放状態であると判定された場合は、ステップS106の処理へ進む。言い換えると、前カバー101、本体給紙トレイ28、及び外付け給紙トレイ40Aのうち、外付け給紙トレイ40Aのみが開放状態の場合は、ステップS106の処理へ進む。一方、カバー開閉情報及び給紙トレイ開閉情報の少なくとも一つが開放状態を示す場合、つまり、前カバー101、及び本体給紙トレイ28の少なくとも1つが開放状態である場合は、ステップS108の処理へ進む。
【0070】
ステップS106において、CPU12Aは、ユーザーから指定されたジョブを開始すると共に、マイク22による動作音の収集及び録音を開始する。
【0071】
ステップS108においては、CPU12Aは、ユーザーから指定されたジョブを開始する。
【0072】
ステップS110において、CPU12Aは、開放状態の前カバー101、及び本体給紙トレイ28の少なくとも1つが閉じられ、前カバー101及び本体給紙トレイ28のいずれも閉じた状態になったか否かを判定する。
【0073】
前カバー101及び本体給紙トレイ28のいずれも閉じた状態であると判定された場合は、ステップS112の処理へ進む。前カバー101、及び本体給紙トレイ28の少なくとも1つが開放状態の場合は、ステップS111の処理へ進む。
【0074】
ステップS111において、CPU12Aは、ジョブが終了したか否かを判定し、ジョブが終了した場合はステップS124へ移行し、ジョブが終了していない場合はステップS110へ戻る。
【0075】
ステップS112において、CPU12Aは、マイク22による動作音の収集及び録音を開始する。
【0076】
ステップS114において、CPU12Aは、開閉情報に基づいて、前カバー101、本体給紙トレイ28、及び外付け給紙トレイ40Aの少なくとも1つが開放されたか否かを判定する。
【0077】
前カバー101、本体給紙トレイ28、及び外付け給紙トレイ40Aの少なくとも1つが開放されたと判定された場合は、ステップS116の処理へ進む。前カバー101、本体給紙トレイ28、及び外付け給紙トレイ40Aのいずれもが開放されていない場合は、ステップS122の処理へ進む。
【0078】
ステップS116において、CPU12は、前カバー101、本体給紙トレイ28、及び外付け給紙トレイ40Aのうち、外付け給紙トレイ40Aのみが開放されたか否かを判定する。具体的には、外付け給紙トレイ開閉情報のみが開放状態を示すか否かを判定する。外付け給紙トレイ開閉情報のみが開放状態を示す場合、つまり、外付け給紙トレイ40Aのみが開放された場合はステップS122の処理へ進む。一方、カバー開閉情報及び給紙トレイ開閉情報の少なくとも1つが開放状態を示す場合、つまり、前カバー101、及び本体給紙トレイ28のうち少なくとも1つが開放された場合は、ステップS118の処理へ進む。
【0079】
ステップS118において、CPU12Aは、マイク22による動作音の収集及び録音を停止する。
【0080】
ステップS120において、CPU12Aは、ステップS106により録音が開始され、ステップS118で録音が停止されるまでに記憶されている録音データ26Bを削除する。
【0081】
ステップS122において、CPU12Aは、ジョブが終了したか否かを判定し、ジョブが終了した場合はステップS124へ移行し、ジョブが終了していない場合はステップS114へ戻る。
【0082】
ステップS124において、CPU12Aは、ユーザーより指定されたジョブの録音データ26Bが記憶部26に記憶されているか否かを判定する。ステップS120の処理が実行されず、録音データ26Bが記憶部26に記憶されている場合は、ステップS126の処理へ進む。ステップS120の処理の実行により録音データ26Bが削除され、記憶部26に記憶されていない場合は、情報処理プログラム26Aによる処理が終了する。
【0083】
ステップS126において、画像形成装置10が異常診断処理を行う場合、CPU12は、録音データ26Bを用いて異常診断処理を実行する。一方、ステップS126において、サーバー50が異常診断処理を行う場合、CPU12Aは、録音データ26Bをサーバー50へ送信する。
【0084】
異常診断処理は、例えば録音データ26Bを周波数解析した解析結果を用いたり、録音データ26B及び録音データの解析結果を用いて機械学習した学習モデルを用いたりして行われる。
【0085】
ステップS126の処理が実行されると、情報処理プログラム26Aによる処理が終了する。
【0086】
本実施形態によれば、ステップS104、及びステップS116の処理において、前カバー101、及び本体給紙トレイ28の少なくとも一方が開放されていると判定された場合、画像形成装置10は、録音を開始しない又は録音を停止する。言い換えると、本実施形態の画像形成装置10は、前カバー101、及び本体給紙トレイ28の少なくとも一方が開放されている場合には、録音を禁止する。
【0087】
また、ステップS104、及びステップS116の処理において、前カバー101及び本体給紙トレイ28はいずれも閉じていると判定された場合、画像形成装置10は、録音を開始する。言い換えると、本実施形態の画像形成装置10は、ジョブ開始時に前カバー101及び本体給紙トレイ28のいずれもが閉じている場合は録音を許可する。また、本実施形態の画像形成装置10は、ジョブ開始時には開放された状態にあった前カバー101及び本体給紙トレイ28が、ジョブ開始後に、いずれも閉じた状態になった場合は、いずれもが閉じたタイミングで録音を許可する。
【0088】
また、本実施形態によれば、ステップS114、ステップS116、ステップS118、及びステップS120の処理において、動作音の録音を開始した後に前カバー101及び本体給紙トレイ28の少なくとも一方が開いた場合は、録音データ26Bを削除する。
【0089】
また、本実施形態によれば、ステップS102、ステップS104、ステップS114、及びステップS116の処理において、外付け給紙トレイ40Aが開放状態の場合は、録音データ26Bに影響がないため、動作音の録音が開始される、又は動作音の録音は停止されない。言い換えると、給紙装置40の外付け給紙トレイ40Aのみが開放状態である場合、画像形成装置10は動作音の録音を許可する。
【0090】
以上で説明した本実施形態によれば、ジョブ中の動作音の録音データ26Bを用いて、画像形成装置10に備わる、画像形成部16等の機械構成の経年劣化による異常等を検出することができる。
【0091】
また、本実施形態によれば、画像形成装置10に備わる前カバー101、及び本体給紙トレイ28の開閉音が録音データ26Bに含まれる状況においては、録音データ26Bは削除される。従って、開閉音の含まれない録音データ26Bを用いて異常診断処理が実行でき、適切に異常を検出することができる。
【0092】
また、本実施形態によれば、人物同士の会話をマイク22が収集しやすい状況である、前カバー101及び本体給紙トレイ28が開放された状態においては、録音が開始されない、又は録音が停止し、録音が停止された際は、録音データ26Bが削除される。従って、会話を含む虞がある録音データ26Bは削除される。このため、会話が含まれない録音データ26Bを用いて異常診断処理を実行できるため、適切に異常を検出できることに加え、機密情報の漏洩を防ぐことができる。
【0093】
また、画像形成装置10の外部に備わる給紙装置40の外付け給紙トレイ40Aの開閉音はマイク22による動作音の収集に影響しない。本実施形態によれば、外付け給紙トレイ40Aの開閉の状態は、録音の開始及び停止、及び録音データ26Bの削除に影響しないため、ジョブ中の外付け給紙トレイ40Aの開閉に関わらず、動作音を録音できる。
【0094】
以上、実施の形態を説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0095】
また、上記実施の形態は、請求項に係る開示を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の組み合わせにより種々の発明が抽出される。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0096】
また、上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated
【0097】
Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0098】
また、上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0099】
本実施形態では、情報処理プログラム26Aが記憶部26にインストールされている形態を説明したが、これに限定されるものではない。本実施形態に係る情報処理プログラム26Aを、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記録した形態で提供してもよい。例えば、本実施形態に係る情報処理プログラム26Aを、CD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態、若しくはUSB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカード等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。また、本実施形態に係る情報処理プログラム26Aを、通信部32を介して外部の装置から取得するようにしてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、画像形成装置10における処理を、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、情報処理を、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現する形態としてもよい。
【0101】
その他、上記実施形態で説明した画像形成装置10の構成は一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0102】
また、上記実施の形態で説明した情報処理プログラム26Aの処理の流れ(
図4参照)も一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0103】
以上の実施形態に関し、更に以下を開示する。
【0104】
(((1)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、動作音を発生する対象装置の開閉部が開いている場合は、前記対象装置の内部に設けられたマイクによる前記動作音の録音を禁止する
情報処理装置。
【0105】
(((2)))
前記プロセッサは、
前記開閉部が閉じている場合は、前記動作音の録音を許可する
(((1)))記載の情報処理装置。
【0106】
(((3)))
前記プロセッサは、
前記動作音の録音を開始した後に前記開閉部が開いた場合は、録音した前記動作音を削除する
(((2)))記載の情報処理装置。
【0107】
(((4)))
前記対象装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置である
(((1)))~(((3)))の何れかに記載の情報処理装置。
【0108】
(((5)))
前記開閉部は、前記記録媒体を収容するトレイ及び色材を収容するカートリッジを交換する際に開閉するカバーの少なくとも一方を含む
(((4)))に記載の情報処理装置。
【0109】
(((6)))
前記画像形成装置に外付けされた給紙装置の開閉部が開いている場合は、前記動作音の録音を許可する
(((4)))又は(((5)))に記載の情報処理装置。
【0110】
(((7)))
コンピュータに、
動作音を発生する対象装置の開閉部が開いている場合は、前記対象装置の内部に設けられたマイクによる前記動作音の録音を禁止させる
ことを含む処理を実行させる情報処理プログラム。
【0111】
(((1)))及び(((7)))によれば、動作音以外の音が録音されてしまうのを防止することができる、という効果を有する。
【0112】
(((2)))によれば、開閉部が閉じていない場合に動作音の録音を許可する場合と比較して、対象装置の外部の音が録音されてしまうのを防止することができる、という効果を有する。
【0113】
(((3)))によれば、動作音の録音を開始した後に開閉部が開いた場合に、録音した動作音を削除しない場合と比較して、動作音に基づいて対象装置の異常を診断する場合の誤診断を防止することができる、という効果を有する。
【0114】
(((4)))によれば、画像形成装置の動作音以外の音が録音されてしまうのを防止することができる、という効果を有する。
【0115】
(((5)))によれば、開閉部として、画像形成装置に備わる、記録媒体を収容するトレイ又は色材を収容するカートリッジを交換する際に開閉するカバーが開いている場合に、対象装置の動作音以外の音が録音されてしまうのを防止することができる、という効果を有する。
【0116】
(((6)))によれば、外付けされた給紙装置の開閉部が開いている場合に動作音の録音を許可しない場合と比較して、不必要に動作音の録音が禁止されてしまうのを防ぐことができる、という効果を有する。
【符号の説明】
【0117】
10…画像形成装置、12…制御部、16…画像形成部、22…マイク、22A…マイク、22B…マイク、24…カートリッジ、25…カバー開閉センサ、26…記憶部、26A…情報処理プログラム、26B…録音データ、28…本体給紙トレイ、29…給紙トレイ開閉センサ、40…給紙装置、40A…外付け給紙トレイ、40B…外付け給紙トレイ開閉センサ、50…サーバー、101…前カバー、102~105…給紙トレイ