(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084018
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】医療用骨穿刺針の把持装置、医療用骨穿刺ツール、医療用骨穿刺針の制御装置、医療用骨穿刺針を用いた骨穿刺方法及び医療用骨穿刺ツールシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20240617BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20240617BHJP
A61B 17/56 20060101ALI20240617BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
A61B34/35
A61B6/03 377
A61B17/56
A61B17/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198174
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】522483459
【氏名又は名称】イメージング&ロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷本 圭司
(72)【発明者】
【氏名】亀川 哲志
(72)【発明者】
【氏名】松野 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】平木 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】松井 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】譯樋 健
【テーマコード(参考)】
4C093
4C160
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093BA17
4C093FA06
4C160FF47
4C160LL09
4C160LL39
4C160LL42
(57)【要約】
【課題】従来技術と比較して、骨穿刺を行うに際して術者の被ばくを低減させる。また、従来技術と比較して、骨穿刺を行うに際して遠隔操作による骨穿刺針の位置決め、把持、開放を容易にかつ確実に行えるようにする。また、従来技術と比較して、骨穿刺を行うに際して力の調整を精度よく確実に行えるようにする。
【解決手段】医療用骨穿刺針の把持装置は、骨穿刺針を針軸周りに回転可能に、当該骨穿刺針の基端部を保持する回転部と、記回転部を駆動する回転駆動部と、骨穿刺針を針軸周りに回転可能に回転部を把持する把持部と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨穿刺針を針軸周りに回転可能に、当該骨穿刺針の基端部を保持する回転部と、
前記回転部を駆動する回転駆動部と、
前記骨穿刺針を針軸周りに回転可能に前記回転部を把持する把持部と、
を備えた医療用骨穿刺針の把持装置。
【請求項2】
前記把持部は、前記回転部の外周面を回転可能に把持する、
請求項1に記載の医療用骨穿刺針の把持装置。
【請求項3】
前記把持部は、前記回転部の摺動面を摺動可能に把持する、
請求項1に記載の医療用骨穿刺針の把持装置。
【請求項4】
前記把持部は、第1及び第2のフィンガを含み、前記第1及び第2のフィンガを、前記回転部を挟持する方向に移動させることで前記回転部を把持し、前記第1及び第2のフィンガを、前記回転部から離間する方向に移動させることで前記回転部を開放する、
請求項1に記載の医療用骨穿刺針の把持装置。
【請求項5】
骨穿刺針を針軸周りに回転可能に、当該骨穿刺針の基端部を保持する回転部と、
前記回転部を駆動する回転駆動部と、
前記骨穿刺針を針軸周りに回転可能に前記回転部を把持する把持部と、
前記把持部が装着されたアーム部と、
骨穿刺針を穿刺軸方向に移動させる穿刺駆動部と、
を備えた医療用骨穿刺ツール。
【請求項6】
前記把持部は、前記回転部の外周面を回転可能に把持する、
請求項5に記載の医療用骨穿刺ツール。
【請求項7】
前記把持部は、前記回転部の摺動面を摺動可能に把持する、
請求項5に記載の医療用骨穿刺ツール。
【請求項8】
前記把持部は、第1及び第2のフィンガを含み、前記第1及び第2のフィンガを、前記回転部を挟持する方向に移動させることで前記回転部を把持し、前記第1及び第2のフィンガを、前記回転部から離間する方向に移動させることで前記回転部を開放する、
請求項5に記載の医療用骨穿刺ツール。
【請求項9】
前記回転駆動部の回転駆動力を前記回転部に伝動する伝動部、
を備えた請求項5に記載の医療用骨穿刺ツール。
【請求項10】
骨穿刺針を骨穿刺開始位置から穿刺軸方向に移動させる穿刺駆動部と、
骨穿刺針を針軸周りに回転させる回転駆動部と、
骨穿刺針の穿刺軸方向の反力を検出する反力検出部と、
前記反力検出部で検出された反力が制御開始値に達してから、当該制御開始値よりも高い上限値に達するまでの移動速度制御区間では、骨穿刺針の穿刺軸方向の移動速度を、検出された反力が大きくなるほど低くなる所定の移動速度に調整すると共に、骨穿刺針の針軸周りの回転速度を、所定の回転速度に調整する穿刺制御部と、
を備えた医療用骨穿刺針の制御装置。
【請求項11】
骨穿刺針を骨穿刺開始位置から穿刺軸方向に移動させる穿刺駆動部と、
骨穿刺針を針軸周りに回転させる回転駆動部と、
骨穿刺針の穿刺軸方向の反力を検出する反力検出部と、
前記骨穿刺開始位置から、前記反力検出部で検出された反力が制御開始値に達するまでの第1の移動区間では、骨穿刺針の穿刺軸方向の移動速度を第1の移動速度に調整し、
前記反力検出部で検出された反力が前記制御開始値に達してから、当該制御開始値よりも高い上限値に達するまでの第2の移動区間では、骨穿刺針の穿刺軸方向の移動速度を、前記第1の移動速度以下であって、検出された反力が大きくなるほど低くなる第2の移動速度に調整すると共に、骨穿刺針の針軸周りの回転速度を、所定の回転速度に調整し、
前記反力検出部で検出された反力が前記上限値に達した時点で、骨穿刺針の穿刺軸方向への移動を停止させる穿刺制御部と、
を備えた医療用骨穿刺針の制御装置。
【請求項12】
前記穿刺制御部は、前記反力検出部で検出された反力が前記上限値に達した時点で、骨穿刺針の穿刺軸方向への移動を停止させ、その後に、骨穿刺針の穿刺軸方向への移動を再開し、骨穿刺針の穿刺軸方向の移動速度を、検出された反力が小さくなるほど高くなる第3の移動速度に調整し、
骨穿刺針が穿刺軸方向の目標位置に達した時点で、骨穿刺針の穿刺軸方向への移動を停止させる、
請求項11に記載の医療用骨穿刺針の制御装置。
【請求項13】
前記反力検出部で検出された反力が前記上限値に達してから反力が当該上限値を下回った場合に、骨穿刺針の穿刺軸方向の移動速度を、検出された反力が小さくなるほど高くなる第3の移動速度に調整し、
骨穿刺針が穿刺軸方向の目標位置に達した時点で、骨穿刺針の穿刺軸方向への移動を停止させる、
請求項12に記載の医療用骨穿刺針の制御装置。
【請求項14】
骨穿刺針を遠隔操作により穿刺軸方向に移動させて骨を穿刺する医療用骨穿刺針を用いた骨穿刺方法であって、
骨穿刺針が体表から、骨穿刺針の穿刺軸方向の反力が制御開始値に達する第1の骨穿刺深さ位置までは、骨穿刺針の穿刺軸方向の移動速度を、第1の移動速度に調整するステップと、
前記反力が制御開始値に達してから、当該制御開始値よりも高い上限値に達するまでの第2の移動区間では、骨穿刺針の穿刺軸方向の移動速度を、前記第1の移動速度以下であって、反力が大きくなるほど低くなる第2の移動速度に調整すると共に、骨穿刺針の針軸周りの回転速度を、所定の回転速度に調整するステップと、
前記反力が前記上限値に達した時点で、骨穿刺針の穿刺軸方向への移動を停止させるステップと、
前記反力が前記上限値を下回った時点で、骨穿刺針の穿刺軸方向への移動を再開し、骨穿刺針が目標位置に達するまで穿刺軸方向の移動速度を、反力が小さくなるほど高くなる第3の移動速度に調整するステップと、
を含む医療用骨穿刺針を用いた骨穿刺方法。
【請求項15】
骨穿刺針の穿刺軸方向の反力に応じて骨穿刺針の穿刺軸方向の移動速度を調整する移動速度制御が行われる医療用骨穿刺ツールシステムであって、
前記移動速度制御の制御開始持の開始時反力値を設定する開始時反力値設定部と、
前記移動速度制御の停止時の停止時反力値を設定する停止時反力値設定部と、
現在の反力と、設定された開始時反力値と、設定された停止時反力値との相対的な大きさの関係を表示する表示部と、
を備えた医療用骨穿刺ツールシステム。
【請求項16】
前記開始時反力値設定部と、前記停止時反力値設定部と、前記表示部がインタフェース表示画面に配置されている、
請求項15に記載の医療用骨穿刺ツールシステム。
【請求項17】
骨の硬さを選択する選択部
が備えられ、
前記選択部によって選択された骨の硬さに応じて、前記開始時反力値及び前記停止時反力値が設定される、
請求項15又は16に記載の医療用骨穿刺ツールシステム。
【請求項18】
骨穿刺針の針軸周りの回転速度を設定する回転速度設定部
を備えた請求項15又は16に記載の医療用骨穿刺ツールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用骨穿刺針の把持装置、医療用骨穿刺ツール、医療用骨穿刺針の制御装置、医療用骨穿刺針を用いた骨穿刺方法及び医療用骨穿刺ツールシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
CT(Computed Tomography;コンピュータ断層撮影)ガイド下でIVR(Interventional Radiology:画像下治療)手技を実施するために、従来より穿刺ロボットが開発されている。
【0003】
術者は穿刺ロボットを遠隔操作して患者に対して針穿刺を行うことができる。このため術者の被ばくを防ぐことができる。
【0004】
また穿刺ロボットを用いて軟部組織に対して生検やアブレーションのための針穿刺を実施する治験が行われている。
【0005】
特許文献1(特許第6440177号公報)には、穿刺ロボットによる穿刺時の穿刺力を検出する力センサを設け、力センサで検出された穿刺力を術者に提示するという発明が記載されている。
【0006】
特許文献2(特開2021-191382号公報)には、遠隔操作で穿刺針把持装置の第1フィンガと第2フィンガを操作して、穿刺針の基端を把持すると共に、穿刺針を開放するという発明が記載されている。
【0007】
特許文献3(国際公開WO2018/143262)には、骨髄液の採取品質を良好に保つことを目的に、骨髄穿刺器具の穿刺先端部を、吸引速度と関連付けられた適切な速度で進入させるために、穿刺先端部の移動速度を術者に確認可能に表示するという発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許6440177号公報
【特許文献2】特開2021-191382号公報
【特許文献3】国際公開WO2018/143262
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これまでに開発されている穿刺ロボットを用いた穿刺は,骨穿刺には対応していなかった。
【0010】
一方で、従来の骨穿刺手技は、手持ちの電動ドライバーで専用の針を回転させながら患者の骨を穿刺するというものであった。
【0011】
本発明は、従来技術と比較して、骨穿刺を行うに際して術者の被ばくを低減することを課題とする。
【0012】
また本発明は、従来技術と比較して、骨穿刺を行うに際して遠隔操作による骨穿刺針の位置決め、把持、開放を容易にかつ確実に行えるようにすることを課題とする。
【0013】
また本発明は、従来技術と比較して、骨穿刺を行うに際して力の調整を精度よく確実に行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の態様は、骨穿刺針を針軸周りに回転可能に、当該骨穿刺針の基端部を保持する回転部と、前記回転部を駆動する回転駆動部と、前記骨穿刺針を針軸周りに回転可能に前記回転部を把持する把持部と、を備えた医療用骨穿刺針の把持装置である。
【0015】
第2の態様は、第1の態様において、前記把持部は、前記回転部の外周面を回転可能に把持する、医療用骨穿刺針の把持装置である。
【0016】
第3の態様は、第1の態様において、前記把持部は、前記回転部の摺動面を摺動可能に把持する、医療用骨穿刺針の把持装置である。
【0017】
第4の態様は、第1の態様において、前記把持部は、第1及び第2のフィンガを含み、前記第1及び第2のフィンガを、前記回転部を挟持する方向に移動させることで前記回転部を把持し、前記第1及び第2のフィンガを、前記回転部から離間する方向に移動させることで前記回転部を開放する、医療用骨穿刺針の把持装置である。
【0018】
第5の態様は、骨穿刺針を針軸周りに回転可能に、当該骨穿刺針の基端部を保持する回転部と、前記回転部を駆動する回転駆動部と、前記骨穿刺針を針軸周りに回転可能に前記回転部を把持する把持部と、前記把持部が装着されたアーム部と、骨穿刺針を穿刺軸方向に移動させる穿刺駆動部と、を備えた医療用骨穿刺ツールである。
【0019】
第6の態様は、第5の態様において、前記把持部は、前記回転部の外周面を回転可能に把持する、医療用骨穿刺ツールである。
【0020】
第7の態様は、第5の態様において、前記把持部は、前記回転部の摺動面を摺動可能に把持する、医療用骨穿刺ツールである。
【0021】
第8の態様は、第5の態様において、前記把持部は、第1及び第2のフィンガを含み、前記第1及び第2のフィンガを、前記回転部を挟持する方向に移動させることで前記回転部を把持し、前記第1及び第2のフィンガを、前記回転部から離間する方向に移動させることで前記回転部を開放する、医療用骨穿刺ツールである。
【0022】
第9の態様は、第5の態様において、前記回転駆動部の回転駆動力を前記回転部に伝動する伝動部、を備えた医療用骨穿刺ツールである。
【0023】
第10の態様は、骨穿刺針を骨穿刺開始位置から穿刺軸方向に移動させる穿刺駆動部と、
【0024】
骨穿刺針を針軸周りに回転させる回転駆動部と、骨穿刺針の穿刺軸方向の反力を検出する反力検出部と、前記反力検出部で検出された反力が制御開始値に達してから、当該制御開始値よりも高い上限値に達するまでの移動速度制御区間では、骨穿刺針の穿刺軸方向の移動速度を、検出された反力が大きくなるほど低くなる所定の移動速度に調整すると共に、骨穿刺針の針軸周りの回転速度を、所定の回転速度に調整する穿刺制御部と、を備えた医療用骨穿刺針の制御装置である。
【0025】
第11の態様は、骨穿刺針を骨穿刺開始位置から穿刺軸方向に移動させる穿刺駆動部と、骨穿刺針を針軸周りに回転させる回転駆動部と、骨穿刺針の穿刺軸方向の反力を検出する反力検出部と、前記骨穿刺開始位置から、前記反力検出部で検出された反力が制御開始値に達するまでの第1の移動区間では、骨穿刺針の穿刺軸方向の移動速度を第1の移動速度に調整し、前記反力検出部で検出された反力が前記制御開始値に達してから、当該制御開始値よりも高い上限値に達するまでの第2の移動区間では、骨穿刺針の穿刺軸方向の移動速度を、前記第1の移動速度以下であって、検出された反力が大きくなるほど低くなる第2の移動速度に調整すると共に、骨穿刺針の針軸周りの回転速度を、所定の回転速度に調整し、前記反力検出部で検出された反力が前記上限値に達した時点で、骨穿刺針の穿刺軸方向への移動を停止させる穿刺制御部と、を備えた医療用骨穿刺針の制御装置である。
【0026】
第12の態様は、第11の態様において、前記穿刺制御部は、前記反力検出部で検出された反力が前記上限値に達した時点で、骨穿刺針の穿刺軸方向への移動を停止させ、その後に、骨穿刺針の穿刺軸方向への移動を再開し、骨穿刺針の穿刺軸方向の移動速度を、検出された反力が小さくなるほど高くなる第3の移動速度に調整し、骨穿刺針が穿刺軸方向の目標位置に達した時点で、骨穿刺針の穿刺軸方向への移動を停止させる、医療用骨穿刺針の制御装置である。
【0027】
第13の態様は、第12の態様において、前記反力検出部で検出された反力が前記上限値に達してから反力が当該上限値を下回った場合に、骨穿刺針の穿刺軸方向の移動速度を、検出された反力が小さくなるほど高くなる第3の移動速度に調整し、骨穿刺針が穿刺軸方向の目標位置に達した時点で、骨穿刺針の穿刺軸方向への移動を停止させる、医療用骨穿刺針の制御装置である。
【0028】
第14の態様は、骨穿刺針を遠隔操作により穿刺軸方向に移動させて骨を穿刺する医療用骨穿刺針を用いた骨穿刺方法であって、骨穿刺針が体表から、骨穿刺針の穿刺軸方向の反力が制御開始値に達する第1の骨穿刺深さ位置までは、骨穿刺針の穿刺軸方向の移動速度を、第1の移動速度に調整するステップと、前記反力が制御開始値に達してから、当該制御開始値よりも高い上限値に達するまでの第2の移動区間では、骨穿刺針の穿刺軸方向の移動速度を、前記第1の移動速度以下であって、反力が大きくなるほど低くなる第2の移動速度に調整すると共に、骨穿刺針の針軸周りの回転速度を、所定の回転速度に調整するステップと、前記反力が前記上限値に達した時点で、骨穿刺針の穿刺軸方向への移動を停止させるステップと、
【0029】
前記反力が前記上限値を下回った時点で、骨穿刺針の穿刺軸方向への移動を再開し、骨穿刺針が目標位置に達するまで穿刺軸方向の移動速度を、反力が小さくなるほど高くなる第3の移動速度に調整するステップと、を含む医療用骨穿刺針を用いた骨穿刺方法である。
【0030】
第15の態様は、骨穿刺針の穿刺軸方向の反力に応じて骨穿刺針の穿刺軸方向の移動速度を調整する移動速度制御が行われる医療用骨穿刺ツールシステムであって、前記移動速度制御の制御開始持の開始時反力値を設定する開始時反力値設定部と、前記移動速度制御の停止時の停止時反力値を設定する停止時反力値設定部と、現在の反力と、設定された開始時反力値と、設定された停止時反力値との相対的な大きさの関係を表示する表示部と、を備えた医療用骨穿刺ツールシステムである。
【0031】
第16の態様は、第15の態様において、前記開始時反力値設定部と、前記停止時反力値設定部と、前記表示部がインタフェース表示画面に配置されている、医療用骨穿刺ツールシステムである。
【0032】
第17の態様は、第15又は第16の態様において、骨の硬さを選択する選択部が備えられ、前記選択部によって選択された骨の硬さに応じて、前記開始時反力値及び前記停止時反力値が設定される、医療用骨穿刺ツールシステムである。
【0033】
第18の態様は、第15又は第16の態様において、骨穿刺針の針軸周りの回転速度を設定する回転速度設定部を備えた医療用骨穿刺ツールシステムである。
【発明の効果】
【0034】
第1乃至第18の態様によれば、従来技術と比較して、骨穿刺を行うに際して術者の被ばくを低減することができる。また、第1乃至第9の態様によれば、従来技術と比較して、骨穿刺を行うに際して遠隔操作による骨穿刺針の位置決め、把持、開放を容易にかつ確実に行うことができる。第10乃至第18の態様によれば、従来技術と比較して、骨穿刺を行うに際して力の調整を精度よく確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、医療用骨穿刺ロボットシステムの全体の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、骨穿刺ロボットの外観を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、骨穿刺ロボットを制御する制御装置のブロック図である。
【
図6】
図6は、回転部を側面からみた部分断面図で
図6(A)は、回転部を
図5Aの矢視Aからみた正面図で、
図6(B)は、回転部を上面からみた図で、
図6(C)は
図6(A)のA-A断面図である。
【
図7A】
図7Aは、把持部が把持動作を行った状態を示す図で、把持装置を上面からみた断面図である。
【
図7B】
図7Bは、把持部が開放動作を行った状態を示す図で、把持装置を上面からみた断面図である。
【
図8】
図8は、操作用コントローラに設けられた操作子を例示する図である。
【
図9】
図9は、操作用PCのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図10】
図10は、ディスプレイのインタフェース表示画面の表示内容を示す図である。
【
図11】
図11は、骨穿刺針の力制御の特性を示すグラフである。
【
図12】
図12は、骨穿刺制御プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、医療用骨穿刺針の把持装置、医療用骨穿刺ツール、医療用骨穿刺針の制御装置、医療用骨穿刺針を用いた骨穿刺方法及び医療用骨穿刺ツールシステムの実施の形態について説明する。
【0037】
図1は、医療用骨穿刺ツールシステム500の全体の構成を示す。
【0038】
ここで、医療用骨穿刺ツールは、医療用骨穿刺ロボット、医療用骨穿刺マニピュレータ、医療用骨穿刺ハンドツールを含む。
【0039】
以下では、医療用骨穿刺ロボットを想定して説明する。
【0040】
医療用骨穿刺ツールシステムとしての骨穿刺ロボットシステム500は、大きくは、骨穿刺針110を穿刺軸方向に移動させる穿刺軸6を含む各駆動軸1~7を備えた骨穿刺ロボット200と、寝台710上の患者に対してX線を照射してCT撮影(Computed Tomography;コンピュータ断層撮影)してCT透視画像(体軸断面、矢状断面、冠状断面の各断層画像)を取得するCT装置700と、CT装置700で取得したCT透視画像を表示画面810に表示する外部モニタ800と、骨穿刺ロボット200の駆動を操作する操作インタフェース1000を含んで構成される。
【0041】
操作インタフェース1000は、タッチパネルで構成されたインタフェース表示画面600を有するディスプレイ1100と、操作用コントローラ1200と、操作用PC(パーソナルコンピュータ)1300を含んで構成される。
【0042】
(骨穿刺ロボット)
【0043】
図2は、骨穿刺ロボット200の外観を斜視図で示す。
図2において図中手前側が患者の頭方向、図中奥側が患者の足(尾)方向とする。
【0044】
骨穿刺ロボット200は、第1駆動軸1、第2駆動軸2、第3駆動軸3、第4駆動軸4、第5駆動軸5、第6駆動軸(穿刺軸)6、第7駆動軸(回転軸)7を有した7軸を備える。
【0045】
第1及び第2駆動軸部201は、基台209の上端に取り付けられ、骨穿刺針110が床面から高さ方向に移動する方向及び患者の頭尾方向に移動する方向に直動する。
【0046】
第3駆動軸部203は、第1及び第2駆動軸部201の上端に取り付けられ、骨穿刺針110が患者の左右方向に移動する方向に直動する。
【0047】
第4駆動軸部204は、第3駆動軸部203の先端に取り付けられ、骨穿刺針110が患者の左右方向に傾斜する方向に回転する。
【0048】
第5駆動軸部205は、第4駆動軸部204の先端に取り付けられ、穿刺軸110が患者の頭尾方向に傾斜する方向に回転する。
【0049】
第6駆動軸部206は、第5駆動軸部205の先端に取り付けられ、骨穿刺針110が穿刺軸方向に直動する。
【0050】
第7駆動軸部207は、第6の駆動軸部206の先端に取り付けられ、骨穿刺針110を針軸110C周りに回転させる。
【0051】
第4駆動軸部204、第5駆動軸部205、第6の駆動軸部206は、穿刺ロボット200のアーム部210に相当する。アーム部210の先端には把持装置100が装着されている。把持装置100は、把持部140を含んで構成されている。把持部140は、把持制御指令に応じて、回転部120を介して骨穿刺針110を針軸110C周りに回転可能に骨穿刺針110を把持する。また把持部140は、開放制御指令に応じて、回転部120を開放する動作を行う。
【0052】
(骨穿刺ロボットの制御装置)
【0053】
骨穿刺ロボットシステム500には、各第1乃至第7駆動軸1~7を駆動制御するための穿刺制御部310が設けられている。
【0054】
図3は、骨穿刺ロボット200を制御する制御装置300のブロック図を示す。
【0055】
第1乃至第7駆動軸1~7はそれぞれ、電源231を駆動源とし、アクチュエータとしての例えば電動モータ231~237によって駆動される。第6軸(穿刺軸)6を駆動する電動モータ236は、穿刺駆動部220を構成する。第7軸(回転軸)7を駆動する電動モータ237は、回転駆動部130を構成する。
【0056】
把持部140は、空圧源232を駆動源とし、アクチュエータとしての例えばエアシリンダ217によって駆動される。なお、各第1乃至第7駆動軸1~7の駆動源、把持部140の駆動源の種類は任意である。また、電動、空圧に限定されるわけでなく、油圧を用いる実施も可能である。
【0057】
第1乃至第6駆動軸1~6の現在の位置及び第7軸7の現在の回転速度はそれぞれ、取得部221~227で取得される。取得部221~227は、エンコーダ等の直動位置検出センサ、回転位置検出センサで構成することができる。
【0058】
反力検出部230は、骨穿刺針110の穿刺軸方向の反力Fzを検出する。
【0059】
穿刺制御部310は、制御指令信号を入力可能に、コントローラ接続ケーブル291を介して操作用コントローラ1200に電気的に接続されている。操作用コントローラ1200で行われる操作に応じて出力される制御指令信号は、コントローラ接続ケーブル291を介して穿刺制御部310に入力される。
【0060】
穿刺制御部310は、データを送受信可能にLANケーブル290を介して操作用PC1300に接続されている。
【0061】
取得部221~227で取得された第1乃至第6駆動軸1~6の現在の位置及び第7軸7の現在の回転速度を示すデータ並びに反力検出部230で検出された現在の反力Fzを示すデータは、LANケーブル290を介して操作用PC1300に送信される。
【0062】
インタフェース表示画面600で設定された設定値を示すデータは、LANケーブル290を介して穿刺制御部310に送信される。
【0063】
穿刺制御部310は、入力された駆動位置・速度制御指令信号に応じて第1乃至第6駆動軸1~6の位置及び第7軸の回転速度を制御する。すなわち穿刺制御部310は、取得部221~226で取得された各駆動軸1~6の位置をフィードバックして、所望位置になるように各第1乃至第6駆動軸1~6の位置を調整する。穿刺制御部310は、取得部227で取得された駆動軸7の回転速度をフィードバックして、所望回転速度になるように第7駆動軸7の回転速度を調整する。
【0064】
また穿刺制御部310は、入力された把持・開放制御指令信号に応じて把持部140による把持動作及び開放動作を制御する。
【0065】
また穿刺制御部310に力制御指令信号が入力されると、インタフェース表示画面600で設定された設定値と、反力検出部230で検出された反力Fzに基づいて、後述する骨穿刺制御プログラムに従い穿刺駆動部220及び回転駆動部130を駆動制御する。
【0066】
(把持装置)
【0067】
骨穿刺ロボット200は、把持装置100を含んで構成されている。
【0068】
【0069】
図4は、把持装置100の側面図である。
図5Aは、回転部120を側面からみた部分断面図である。
図5Bは、上方押え保持板部材127Aを示す図である。
図6は、回転部120を側面からみた部分断面図で、
図6(A)は、回転部120を
図5Aの矢視Aからみた正面図で、
図6(B)は、回転部120を上面からみた図で、
図6(C)は
図6(A)のA-A断面図である。
図7Aは、把持部140が把持動作を行った状態を示す図で、把持装置100を上面からみた断面図である。
図7Bは、把持部140が開放動作を行った状態を示す図で、把持装置100を上面からみた断面図である。
【0070】
把持装置100は、フレーム部160と、把持動作駆動部170と、把持部140と、回転部120と、回転駆動部130と、把持部140と、伝導部150を含んで構成されている。
【0071】
フレーム部160は、アーム部210の先端に取り付けられている。フレーム部160には、反力検出部230が取り付けられている。反力検出部230は、例えば把持部140に作用する応力を検出することにより、骨穿刺針110に印加される反力を検出する。
【0072】
骨穿刺針110の針軸110Cに一致する方向を穿刺軸方向(例えばZ軸方向)と定義する。穿刺軸方向(例えばZ軸方向)の反力は、穿刺深さ方向(例えばZ軸の+方向)とは逆方向に印加される力であると定義する。
【0073】
反力検出部230は、穿刺軸方向(Z軸方向)の反力Fzを検出する。反力検出部230は、穿刺軸(Z軸)に垂直となるX軸方向の反力Fx、Y軸方向の反力Fyを検出する。
【0074】
把持動作駆動部170は、フレーム部160の先端に取り付けられている。把持動作駆動部170には、エアシリンダ217、リニアガイド171、ラック・ピニオン機構172及びバネロッド部材173が設けられている。リニアガイド171は、キャリッジ171Aと、ガイドレール171Bを含んで構成されている。ラック・ピニオン機構172は、ラック172A、ラック172B、ピニオンギア172Cを含んで構成されている。バネロッド部材173は、ロッド部173A、バネ部173Bを含んで構成されている。
【0075】
(把持部)
【0076】
把持部140は、把持動作駆動部170の先端に把持動作及び開放動作が可能に取り付けられている。
【0077】
把持部140は、骨穿刺針110を針軸110C周りに回転可能に把持する。
【0078】
把持部140は、第1及び第2のフィンガ141、142を含んでいる。第1及び第2のフィンガ141、142は上面からみてそれぞれ左側のフィンガ、右側のフィンガに対応する。第1及び第2のフィンガ141、142を、回転部120を挟持する方向、つまり把持動作方向140Aに移動させることで回転部120を把持する。また第1及び第2のフィンガ141、142を、回転部120から離間する方向、つまり開放動作方向140Bに移動させることで回転部120を開放する。
【0079】
第1及び第2のフィンガ141、142はそれぞれ、リニアガイド171に沿って滑動自在に把持動作駆動部170に連結されている。すなわち第1及び第2のフィンガ141、142はそれぞれ、フィンガ接続部141A、142Aを介してリニアガイド171のキャリッジ171Aに連結されている。リニアガイド171のガイドレール171Bは、その長手方向が把持動作方向140A及び開放動作方向140Bに一致するように把持動作駆動部170に配置されている。
【0080】
第1及び第2のフィンガ141、142はそれぞれ、ラック172A、ラック172Bに連結されている。ラック172A、ラック172Bはそれぞれ、把持動作方向140A及び開放動作方向140Bに移動可能に、ピニオンギア172Cの対向面に歯合している。
【0081】
ラック172A、ラック172Bのうちのいずれか一方、例えばラック172Aには、バネロッド部材173のロッド部173Aに連結されている。ロッド部173Aは、把持動作方向140A及び開放動作方向140Bに移動可能に把持動作駆動部170に配置されている。
【0082】
ロッド部173Aには、ロッド部173Aに対して開放動作方向140Bに付勢力を付与するバネ部173Bが巻回されている。
【0083】
ロッド部173Aには、エアシリンダ217の空圧力を、ロッド部173Aの把持動作方向140B(ロッド部173Aの長手方向)に付与するシリンダロッド217Aが連結されている。
【0084】
このため把持制御指令信号、つまりエアシリンダ217へのエア供給をオンとする信号が生成されると、エアシリンダ217のシリンダロッド217Aが把持動作方向140A側に動作し、バネ部173Bの付勢力に抗してロッド部173Aが把持動作方向140A側に移動する。ロッド部173Aが把持動作方向140A側に移動するに応じてラック172Aが同じ把持動作方向140A側に移動する。一方のラック172Aの所定距離の移動に応じてピニオンギア172Cを介して対向する他方のラック172Bがラック172Aの移動距離と等距離だけ把持動作方向140A側に移動する。このためラック172A、ラック172Bの移動量に応じた移動量だけ第1及び第2のフィンガ141、142がそれぞれリニアガイド171に沿って把持動作方向141A側、つまり第1及び第2のフィンガ141、142を閉じる側に移動する。これにより第1及び第2のフィンガ141、142によって、回転部120が挟持される。
【0085】
図示しないリミットスイッチにより把持動作終端位置を検出してもよい。把持動作終端位置は、第1及び第2のフィンガ141、142によって回転部120を把持した際に、第1及び第2のフィンガ141、142に対して回転部120の摺動面122が摺動自在となり、かつガタツキが生じない程度に、第1及び第2のフィンガ141、142の内側内周面143が、回転部120の外周面121との間で所定のクリアリンスを保持する位置に位置決めされることが望ましい。
【0086】
上記リミットスイッチにより把持動作終端位置が検出されると、エアシリンダ217のシリンダロッド217Aがロック状態となり、第1及び第2のフィンガ141、142が把持動作終端位置に位置決めされる。
【0087】
開放制御指令信号、つまりエアシリンダ217へのエア供給をオフする信号が生成されると、エアシリンダ217のシリンダロッド217Aがアンロック状態となる。このためバネ部173Bの付勢力によってロッド部173Aが開放動作方向140B側に移動する。ロッド部173Aが開放動作方向140B側に移動するに応じてラック172Aが同じ開放動作方向140B側に移動する。一方のラック172Aの所定距離の移動に応じてピニオンギア172Cを介して対向する他方のラック172Bがラック172Aの移動距離と等距離だけ開放動作方向140B側に移動する。このためラック172A、ラック172Bの移動量に応じた移動量だけ第1及び第2のフィンガ141、142がそれぞれリニアガイド171に沿って開放動作方向141B側、つまり第1及び第2のフィンガ141、142を開く側に移動する。これにより第1及び第2のフィンガ141、142から、回転部120が開放される。
【0088】
アーム部210には、針開放ボタン211が設けられている。非常時等に針開放ボタン211が押されると、エアシリンダ217へのエア供給がオフにされ、第1及び第2のフィンガ141、142を開放状態にすることができる。
【0089】
(回転部)
【0090】
回転部120の外周面121は、把持部140によって回転可能に把持される。回転部120は、円筒形状に形成されている。回転部120は、下フランジ部123と、上フランジ部124と、これらの間の円筒部129を含んで構成されている。第1及び第2のフィンガ141、142は、回転体としての回転部120の軸受けとして機能する。円筒部129の外周面121を、軸受け面としての内側面143が円弧状に形成された第1及び第2のフィンガ141、142が挟持する。第1及び第2のフィンガ141、142の材質としては、造影剤による撮影に及ぼす影響及び回転負荷等の影響を考慮してPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂を用いることが望ましい。同様に回転部120の材質としては、さらにオートクレープ滅菌を考慮してMCナイロンを用いることが望ましい。
【0091】
回転部120の摺動面122は、把持部140によって摺動可能に把持される。回転部120を回転させながら骨穿刺針110で穿刺を行うことにより下フランジ部123の上面123Aと外周面121が第1及び第2のフィンガ141、142から荷重を受けて摺動する。
【0092】
回転部120は、骨穿刺針110を針軸110C周りに回転可能に、骨穿刺針110の基端部111を保持する。
【0093】
回転部120は、骨穿刺針110を上方より挿入する上方挿入口125と、骨穿刺針110の針部112を挿入して針部112を下方に突出させる針部挿入孔126と、骨穿刺針110の基端部111を両側方から押さえ保持する側方押え保持部128と、穿刺針110の基端部111を上方から下方に向けて押さえ保持する上方押え保持部127を備えている。
【0094】
骨穿刺針110は、針部112を下方に向けて挿入口125から挿入される。針部挿入孔126に、骨穿刺針110の針部112が挿入され針部112が下方に突出される。これにより針部112が挿入口126によって保持され、骨穿刺針110の回転中心位置が位置決めされる。また同時に側方押え保持部128によって骨穿刺針110の基端部111が両側方から押さえ保持される。これにより骨穿刺針110の軸回り方向の動きが拘束される。
【0095】
上方押え保持部127は、上方押え保持板部材127Aと、固定ピン127Bと、固定部材127Cを含んで構成されている。上方押え保持板部材127Aは、骨穿刺針110の基端部111の上端に当接する当接部127D、固定ピン挿通孔127Eが形成されている。固定部材127Cは、回転部120の上端面120Uに形成されている。固定部材127Cには、上方押え保持部127の挿入口127Fと、固定ピン挿通孔127Gが形成されている。
【0096】
上方押え保持板部材127Aを、固定部材127Cの挿入口127Fに挿入して、固定ピン127Bを、固定ピン挿通孔127E、127Gに挿通させることにより、上方押え保持板部材127Aにより骨穿刺針110の基端部111が上方から押さえ保持される。これにより骨穿刺針110の反力に応じた上向きの動きが拘束される。なお上方押え保持板部材127Aの材質には、PEEK樹脂を用い、固定ピン127Bの材質には、MCナイロンを用いることが望ましい。
【0097】
(回転駆動部)
【0098】
回転駆動部130は、回転部120を駆動する。回転駆動部130は、電動モータ237で構成することができる。例えば電動モータ237としての回転駆動部130は、第2フィンガ142に取り付けられている。電動モータ237は、回転軸237Cが骨穿刺針110の針軸110Cと平行となるように第2フィンガ142に取り付けられている。電動モータ237は、CT装置700と干渉しない位置、高さに配置されている。
【0099】
(伝動部)
【0100】
伝動部150は、回転駆動部130の回転駆動力を回転部120に伝動する。伝動部150は、モータギア151と、アイドラギア152と、穿刺針回転ギア153を含んで構成されている。
【0101】
モータギア151は、電動モータ237の回転軸237Cに固定されている。
【0102】
アイドラギア152の回転軸152Cは、第2フィンガ142に回転可能に取り付けられている。アイドラギア152は、回転軸152Cが骨穿刺針110の針軸110Cと平行となるように第2フィンガ142に取り付けられている。
【0103】
モータギア151はアイドラギア152に歯合されている。
【0104】
穿刺針回転ギア153は、回転部120の下端に固定されている。穿刺針回転ギア153は、回転中心が骨穿刺針110の針軸110Cと同心となるように、回転部120に対して位置決め固定されている。
【0105】
アイドラギア152は、穿刺針回転ギア153に歯合されている。なお、軸間距離、減速比等を確保できるのであれば、アイドラギア152を省略して、モータギア151を直接穿刺針回転ギア153に歯合させるようにしてもよい。
【0106】
またギアを用いて伝動部150を構成しているが、ベルト、チェーン等の任意の伝動手段を用いてもよい。
【0107】
伝動部150は、電動モータ237の回転速度を所定の減速比で減速して回転部120を所定の回転速度N(rpm)で回転させる。骨穿刺を適正に行うために、例えば6(rpm)程度で骨穿刺針110を回転させることができる。
【0108】
(操作インタフェース)
【0109】
操作用コントローラ1200は、骨穿刺ロボット200の第1乃至第7駆動軸1~7の駆動及び把持部140の駆動を操作する操作部として構成されている。
【0110】
図8に示すように、操作用コントローラ1200は、骨穿刺ロボット200の第1乃至第6駆動軸1~6の位置及び第7駆動軸7の回転を操作する駆動位置・速度制御指令用操作具1201~1207と、把持部140の駆動を操作する把持・開放制御指令用操作子1208(1208A、1208B)と、選択内容に応じた力制御指令信号を生成する力制御モード選択操作子1209(1209A、1209B)とを備えている。
【0111】
操作用PC1300は、パーソナルコンピュータで構成される。
【0112】
図9は、操作用PC1300のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図9に示すように、操作用PC1300では、システムバス1315を介してCPU(Central Processing Unit)1311、ROM(Read Only Memory)1312、RAM(Random Access Memory)1313、ストレージ1314、入力装置1316、ディスプレイ(表示装置)1100、通信I/F1318が相互に通信可能に接続されている。
CPU1311は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、システムバス1315に接続される各デバイスを制御したりする。すなわち、CPU1311は、ROM1312又はストレージ1314からプログラムを読み出し、RAM1313を作業領域としてプログラムを実行する。CPU1311は、ROM1312又はストレージ1314に記録されているプログラムにしたがって、システムバス1315に接続される各デバイスの制御及び各種の演算処理を行う。ROM1312又はストレージ1314は、CPU1311が実行する制御プログラムであるBIOS(Basic Input/Output System)やOS(Operating System)や、実施形態を実現するためのコンピュータで読み取りが可能で実行が可能な骨穿刺制御プログラム400及び必要な各種データを保持している。
【0113】
ROM1312は、各種制御プログラム及び各種データを格納する。RAM1313は、CPU11の主メモリ、ワークエリア等として機能し作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ1314は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、BIOS、OSを含む各種プログラム及び各種データを格納する。
【0114】
入力装置1316は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0115】
ディスプレイ1100は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報をインタフェース表示画面600に表示する。ディスプレイ1100は、実施形態ではタッチパネル方式を採用しており、入力装置1316として機能する。
【0116】
ディスプレイ1100のインタフェース表示画面600の表示内容については後述する。
【0117】
通信インタフェース1318は、穿刺制御部310、操作用コントローラ1200を含む他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。通信インタフェース1318は、LAN等のネットワークと接続してデータの送受信の制御を行う。
【0118】
通信インタフェース1318は、LANケーブル290を介して穿刺制御部310に接続されており、穿刺制御部310と操作インタフェース1000の間でデータの送受信を行う。
【0119】
図10は、ディスプレイ1100のインタフェース表示画面600の表示内容を示す。
【0120】
図10に示すように、ディスプレイ1100のインタフェース表示画面600には、開始時反力値設定部610と、停止時反力値設定部620と、穿刺方向反力表示部630と、選択部640と、回転速度設定部650と、回転トルク表示部660と、垂直面反力表示部670が配置されている。開始時反力値設定部610と、停止時反力値設定部620と、穿刺方向反力表示部630と、選択部640は、タッチパネルのタッチボタンで構成することができる。インタフェース表示画面600では、骨穿刺針110の力制御を実行するための制御パラメータの設定及び制御状態の表示を行うことができる。
【0121】
図11は、骨穿刺針110の力制御の特性CLを示すグラフである。
【0122】
図11の横軸は、骨穿刺針110の穿刺軸方向(例えばZ軸方向)の反力Fzを示し、縦軸は、骨穿刺針110の穿刺軸方向(Z軸方向)の移動速度Vを示す。力制御は、第1の移動区間SL1と、第2の移動区間(移動速度制御区間SM)SL2と、第3の移動区間(移動速度制御区間SM)SL3からなる。第1の移動区間SL1では、骨穿刺針110の穿刺軸方向(Z軸方向)の移動速度Vは、所定の移動速度V1に設定される。第2の移動区間(移動速度制御区間SM)SL2、第3の移動区間(移動速度制御区間SM)SL3では、反力Fzに応じて移動速度Vを調整する移動速度制御が行われる。移動速度制御開始時の反力Fzは、制御開始値F0に設定される。移動速度制御における反力Fzの上限値はFeに設定される。反力Fzが上限値Feは、移動速度制御停止時の反力を規定する。反力Fzが上限値Feに達すると、骨穿刺針110の穿刺軸方向(Z軸方向)への移動が停止される。
【0123】
図10に戻り、開始時反力値設定部610では、移動速度制御開始持の開始時反力値(制御開始値)F0を設定することができる。
【0124】
停止時反力値設定部620では、移動速度制御の停止時の停止時反力値(Fz上限値) Feを設定することができる。
【0125】
穿刺方向反力表示部630では、現在の反力Fzと、設定された開始時反力値(制御開始値)F0と、設定された停止時反力値(Fz上限値) Feとの相対的な大きさの関係が表示される。穿刺方向反力表示部630では、力制御の各状態ST1、ST2、ST3、つまり現在の反力Fzが開始時反力値(制御開始値)F0よりも低い状態ST1、現在の反力Fzが開始時反力値(制御開始値)F0以上で停止時反力値(Fz上限値) Feよりも低い状態ST2、現在の反力Fzが停止時反力値(Fz上限値) Fe以上である状態ST3のいずれであるかが識別表示される。例えば状態ST1、ST2、ST3がそれぞれ異なる色、例えば「グリーン(図中ハッチングで示す)」、「イエロー」、「レッド」で識別表示される。
【0126】
選択部640では、穿刺の対象となる軟組織BM0、骨の硬さBM1(弱)、BM2(中)、BM3(強)を選択することができる。選択部640によって選択された軟組織BM0、骨の硬さBM1(弱)、BM2(中)、BM3(強)に応じて、開始時反力値(制御開始値)F0及び停止時反力値(Fz上限値) Feが自動的に設定される。なお、自動で開始時反力値(制御開始値)F0及び停止時反力値(Fz上限値) Feを設定した後で、開始時反力値設定部610、停止時反力値設定部620を手動で操作して、開始時反力値(制御開始値)F0及び停止時反力値(Fz上限値) Feを任意の値に設定し直すことができる。
【0127】
また選択部640によって選択された軟組織BM0、骨の硬さBM1(弱)、BM2(中)、BM3(強)に応じて、骨穿刺針110の穿刺軸方向(Z軸方向)の移動速度V1(第1の移動速度V1という)が設定される。
【0128】
回転速度設定部650では、第2の移動区間SL2における骨穿刺針110の針軸110C周りの回転速度VR0を設定することができる。
【0129】
回転トルク表示部660には、骨穿刺針110の現在の回転トルクRTが表示される。回転トルク表示部660には、骨穿刺針110の現在の回転トルクRTの各状態SR1(第1のしきい値RT1よりも低い状態)、SR2(第1のしきい値RT1以上で第2のしきい値RT2よりも低い状態)、SR3(第2のしきい値RT2以上の状態)のいずれであるかが識別表示される。例えば状態SR1、SR2、SR3がそれぞれ異なる色、例えば「グリーン」、「イエロー(図中クロスハッチングで示す)」、「レッド」で識別表示される。
【0130】
垂直面反力表示部670には、Z軸方向の反力Fz、穿刺軸(Z軸)に垂直となるX軸方向の反力Fx、Y軸方向の反力Fyが表示される。垂直面反力表示部670には、反力Fx、Fyの現在の合力Fxyの各状態SF1(第1のしきい値FX1よりも低い状態)、SF2(第1のしきい値FX1以上で第2のしきい値FX2よりも低い状態)、SF3(第2のしきい値FX2以上の状態)のいずれであるかが識別表示される。例えば状態SF1、SF2、SF3がそれぞれ異なる色、例えば「グリーン」、「イエロー(図中クロスハッチングで示す)」、「レッド」で識別表示される。
【0131】
骨穿刺針110の力制御は、
図12に示す骨穿刺制御プログラム400にしたがい実行される。
図12は、骨穿刺制御プログラム400の処理手順をフローチャートで示す。
【0132】
(回転部の把持)
【0133】
術者が、把持制御指令用操作子1208Aを操作すると、把持制御指令信号が生成され、第1及び第2のフィンガ141、142によって、骨穿刺針110を保持した回転部120が挟持される(S1)。
【0134】
(体表位置への位置決め)
【0135】
術者は、駆動位置制御指令用操作具1201~1206を操作して、各駆動軸1乃至6を動かし、骨穿刺針110を患者の体表面の穿刺開始位置に位置決めする(S2)。
【0136】
(力制御の制御パラメータの設定)
【0137】
力制御開始にあたり、術者は、選択部640を操作して、穿刺の対象となる骨の硬さBM1(弱)、BM2(中)、BM3(強)のうちのいずれを選択して自動設定を行うか、開始時反力値設定部610、停止時反力値設定部620を操作して、手動設定を行う。これにより移動速度制御の開始時反力値(制御開始値)F0及び停止時反力値(Fz上限値) Feが設定される。
【0138】
また回転速度設定部650を操作して、第2の移動区間SL2における骨穿刺針110の針軸110C周りの回転速度VR0が設定される。
【0139】
力制御モード選択操作子1208を操作して手動制御モード又は自動制御モードを選択することができる。手動制御モード1208Aが選択されると、
図11に示す力制御の特性CL及び回転速度設定部650の設定値を超えない範囲で、第1乃至第6駆動軸1~6の位置及び第7駆動軸7の手動操作が許容される。自動制御モード1208Bが選択されると、
図11に示す力制御の特性CL及び回転速度設定部650の設定値に従い、第6軸(穿刺軸)6及び第7軸(回転軸)7が自動的に駆動制御される(S3)。
【0140】
(第1の移動区間の制御)
【0141】
第1の移動制御区間SL1は、軟部組織内に骨穿刺針110の針先が刺入されている状態に対応する。骨穿刺針110の針軸110C周りの回転は不要であり、穿刺方向への大きな力も必要ではない。
【0142】
骨穿刺針110が体表から、骨穿刺針110の穿刺軸方向(例えばZ軸方向)の反力Fzが開始時反力値(制御開始値)F0に達する第1の骨穿刺深さ位置P1までは、骨穿刺針110の穿刺軸方向(例えばZ軸方向)の移動速度Vは、第1の移動速度V1に調整される。なお、手動制御モード1208Aが選択されている場合には、第1の移動速度V1を超えない範囲で、第1乃至第6駆動軸1~6の位置及び第7駆動軸7の手動操作が許容される(S4)。
【0143】
(第2の移動区間の制御)
【0144】
骨穿刺針110の穿刺軸方向(例えばZ軸方向)の反力Fzが開始時反力値(制御開始値)F0に達すると、移動速度制御が実行される。
【0145】
第2の移動区間SL2、骨表面から骨皮質内に骨穿刺針110の針先が刺入されている状態に対応する。骨表面で骨穿刺針110の針先が滑らないように針軸周りにゆっくりと回転させると同時に、穿刺方向に大きな力を与えて針先を硬い骨皮質内にゆっくりと刺し込んでいく必要がある。
【0146】
骨穿刺針110の穿刺軸方向(例えばZ軸方向)の反力Fzが開始時反力値(制御開始値)F0に達してから、開始時反力値(制御開始値)F0よりも高い上限値(Fz上限値) Feに達する第2の骨穿刺深さ位置P2までの第2の移動区間SL2(移動速度制御区間SM)では、骨穿刺針110の穿刺軸方向の移動速度Vが、反力Fzが大きくなるほど低くなる所定の移動速度V2に調整される。また第2の移動区間SL2(移動速度制御区間SM)では、骨穿刺針110の針軸110C周りの回転速度VRを、所定の回転速度VR0に調整される(S5)。
【0147】
(移動停止)
【0148】
骨穿刺針110の穿刺軸方向(例えばZ軸方向)の反力Fzが上限値(Fz上限値) Feに達した時点で、骨穿刺針110の穿刺軸方向への移動を停止させる。穿刺針110は、針軸110C周りに、所定の回転速度VR0で回転を継続する(S6)。
【0149】
(移動再開)
【0150】
骨穿刺針110は、針軸110C周りに、所定の回転速度VR0で回転を継続しているため、やがて骨穿刺針110の穿刺軸方向(例えばZ軸方向)の反力Fzが上限値(Fz上限値) Feを下回る。反力Fzが前記上限値(Fz上限値)を下回った時点で、骨穿刺針110の穿刺軸方向への移動を再開する(S7)。
【0151】
(第3の移動区間の制御)
【0152】
第3の移動区間SL3は、骨髄内に骨穿刺針110の針先が進入している状態に対応する。骨髄は骨皮質よりも柔らかく、骨穿刺針110の針部112は骨内に固定されて安定しているため、第2の移動区間SL2のときよりも回転速度を速めつつ、移動速度も速めていく。
【0153】
骨穿刺針110が目標位置Pdに達するまで穿刺軸方向の移動速度Vを、反力Fzが小さくなるほど高くなる第3の移動速度V3に調整される。また骨穿刺針110の針軸110C周りの回転速度は、第1の移動区間SL2時の回転速度VR0よりも低い所定の回転速度VR1に調整される(S8)。
【0154】
(目標位置への位置決め)
【0155】
術者は、表示画面810に表示されるCT透視画像上で骨穿刺針110の針部112の位置と、目標位置Pdの相対位置関係を確認しながら、第6軸(穿刺軸)6を操作することができる。
【0156】
骨穿刺針110が穿刺軸方向の目標位置に達した時点で、骨穿刺針110の穿刺軸方向(Z軸方向)への移動を停止させる(S9)。
【0157】
(骨穿刺針の抜去)
【0158】
目標位置Pdで生検等の手技が行われると、第6軸(穿刺軸)6が穿刺深さ方向とは反対方向に駆動制御され、骨穿刺針110が抜去される(S10)。
【0159】
なお、骨穿刺手技の過程で、非常事象等が生じた場合には、アーム部210に設けられた針開放ボタン211を操作するか、操作用コントローラ1200に設けられた開放制御指令用操作子1208Bを操作することで対処することができる。針開放ボタン211あるいは開放制御指令用操作子1208Bが操作されると、エアシリンダ217へのエア供給がオフにされ、第1及び第2のフィンガ141、142を開放状態にすることができる。
【0160】
実施形態では、本発明が操作インタフェース1000の設定、操作に応じて多関節ロボット200を制御する医療用骨穿刺ロボットシステムシステムの適用例について説明した。
【0161】
しかし、本発明を、医療用骨穿刺マニピュレータに適用してもよい。例えば術者の手元のマスタコンソールの動きに倣うようにスレーブマニピュレータが動作する医療用骨穿刺マニピュレータに本発明を適用することができる。
【0162】
また本発明を、医療用骨穿刺ハンドツールに適用してもよい。
【0163】
実施形態によれば、術者は、CTガイド下で遠隔操作により精度よく骨穿刺手技を行うことができる。このため術者の被ばくを防ぐことができる。また術者は、CT画像から得られる情報に加えてインタフェース表示画面600から得られる反力、移動速度等の情報に基づいて骨穿刺手技を精度よく進めることができる。このためCT透視時間が従来技術と比較して減り、術者の被ばくのみならず患者の被ばく量を低減させることができる。
【0164】
実施形態によれば、遠隔操作により骨穿刺針110の位置決め、骨穿刺針110の把持、開放を容易にかつ確実に行うことができる。
【0165】
実施形態によれば、骨穿刺を行うに際して力の調整が精度よく確実に行われる。このため骨穿刺手技を安全かつ効率的に行うことができる。実施形態によれば、反力に応じて移動速度を調整しているため、硬い骨皮質を骨穿刺針110が不用意に突き抜けてしまうという事象などを確実に抑制できる。なお術後に骨穿刺針110を抜去する際にも抜去作業を容易にかつ安全に行うことができる。
【符号の説明】
【0166】
1~7 駆動軸
100 把持装置
110 骨穿刺針
120 回転部
130 回転駆動部
140 把持部
141 第1フィンガ
142 第2フィンガ
150 伝動部
200 骨穿刺ロボット
210 アーム部
220 穿刺駆動部
230 圧力検出部
300 制御装置
310 穿刺制御部
400 骨穿刺制御プログラム
500 医療用骨穿刺ロボットシステム
600 インタフェース表示画面
610 開始時反力値設定部
620 停止時反力値設定部
630 穿刺方向反力表示部
640 選択部
650 回転速度設定部