(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084032
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】搬送方法及び搬送補助装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/12 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
B66F9/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198193
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒川 真
(72)【発明者】
【氏名】白猪 亮輔
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AE02
3F333AE05
3F333AE38
3F333AF02
(57)【要約】
【課題】搬送対象物を安定した状態で搬送することが可能な搬送方法及び搬送補助装置を提供する。
【解決手段】搬送対象物をフォークリフトにより搬送する搬送方法であって、前記搬送対象物を、車輪を備えた架台に載置し、前記フォークリフト側に設けられた支持部材により、前記架台よりも上方にて前記搬送対象物を支持しつつ搬送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物をフォークリフトにより搬送する搬送方法であって、
前記搬送対象物を、車輪を備えた架台に載置し、前記フォークリフト側に設けられた支持部材により、前記架台よりも上方にて前記搬送対象物を支持しつつ搬送することを特徴とする搬送方法。
【請求項2】
搬送対象物をフォークリフトにより搬送する際に用いる搬送補助装置であって、
車輪を備え前記搬送対象物が載置される架台と、
前記フォークリフト側に設けられ前記搬送対象物を支持する支持部材と、
を有することを特徴とする搬送補助装置。
【請求項3】
請求項2に記載の搬送補助装置において、
前記支持部材が、前記フォークリフトが備えるフォーク部に沿う方向への前記搬送対象物の移動を規制する移動規制部材を有することを特徴とする搬送補助装置。
【請求項4】
請求項3に記載の搬送補助装置において、
前記支持部材が、
前記フォーク部が挿通されて装着されるフォーク鞘に固定され、前記フォーク鞘よりも上方にて前記搬送対象物を支持する高位置支持部材を備えていることを特徴とする搬送補助装置。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の搬送補助装置において、
前記架台と前記フォークリフトとの間に介在される緩衝材を備えていることを特徴とする搬送補助装置。
【請求項6】
請求項4に記載の搬送補助装置において、
前記架台と前記高位置支持部材とを連結する連結部材を備えていることを特徴とする搬送補助装置。
【請求項7】
請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の搬送補助装置において、
前記支持部材が、
前記搬送対象物の外側に突出し前記支持部材により支持される突出部材を有し、
前記突出部材は、前記搬送対象物に直接固定、または、取り外し可能に設けられることを特徴とする搬送補助装置。
【請求項8】
請求項7に記載の搬送補助装置において、
前記突出部材が、前記搬送対象物の重心より上側に設けられることを特徴とする搬送補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトにより搬送対象物を搬送する搬送方法及び搬送補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フォークリフトにより搬送対象物を搬送する際に、例えば特許文献1のように、パレット等を使わずフォークリフトに設けられたクランプ装置により搬送対象物を直接クランプし、吊り下げて搬送することは知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、搬送対象物をクランプ装置により直接クランプし、吊り下げて搬送する場合には、フォークリフトの走行中に生じる振動により搬送対象物が揺れるなどして不安定になるおそれがある。このとき、搬送対象物が長尺の部材の場合には、搬送対象物の下端部側がより大きく揺れるため、搬送対象物を安定した状態で搬送することが難しいという課題があった。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、搬送対象物を安定した状態で搬送することが可能な搬送方法及び搬送補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するため本発明の搬送方法は、
搬送対象物をフォークリフトにより搬送する搬送方法であって、
前記搬送対象物を、車輪を備えた架台に載置し、前記フォークリフト側に設けられた支持部材により、前記架台よりも上方にて前記搬送対象物を支持しつつ搬送することを特徴とする。
【0007】
このような搬送方法によれば、車輪を備えた架台に搬送対象物を載置した状態で、架台よりも上方にて支持部材により支持しつつフォークリフトにより搬送するので、搬送対象物を安定させた状態で搬送することが可能となる。
【0008】
また、本発明の搬送補助装置は、
搬送対象物をフォークリフトにより搬送する際に用いる搬送補助装置であって、
車輪を備え前記搬送対象物が載置される架台と、
前記フォークリフト側に設けられ前記搬送対象物を支持する支持部材と、
を有することを特徴とする。
【0009】
このような搬送補助装置によれば、搬送対象物を、車輪を備えた架台に載置し、載置された搬送対象物を支持する支持部材を有しているので、フォークリフトにより搬送対象物を支持して搬送する際に、搬送対象物の下端が振られにくい。このため、搬送対象物を安定した状態で搬送することが可能となる。
【0010】
このとき、架台と支持部材とにより搬送対象物の重量を分散して支持するので、搬送対象物の重量が架台にも作用して搬送対象物と架台との間で生じる摩擦力により、搬送対象物の下端の振れが規制される。また搬送対象物と架台との摩擦力により、搬送対象物とともに架台が走行するので、搬送対象物の下端の振れを規制しつつも、より小さな力により滑らかに搬送することが可能となる。
【0011】
本発明の搬送補助装置は、
前記支持部材が、前記フォークリフトが備えるフォーク部に沿う方向への前記搬送対象物の移動を規制する移動規制部材を有することを特徴とする。
【0012】
このような搬送補助装置によれば、支持部材には、フォーク部に沿う方向への搬送対象物の移動を規制する移動規制部材が設けられているので、支持部材により支持する搬送対象物を、移動規制部材により搬送方向に押圧すること、及び、搬送対象物がフォーク部から外れることを防止することが可能となる。
【0013】
本発明の搬送補助装置は、
前記支持部材が、
前記フォーク部が挿通されて装着されるフォーク鞘に固定され、前記フォーク鞘よりも上方にて前記搬送対象物を支持する高位置支持部材を有することを特徴とする。
【0014】
このような搬送補助装置によれば、支持部材は、フォーク部が挿通されて装着されるフォーク鞘に固定され、フォーク鞘よりも上方にて搬送対象物を支持する高位置支持部材を備えているので、搬送対象物をより高い位置で支持することが可能となる。このため、より安定した状態で搬送することが可能となる。
【0015】
本発明の搬送補助装置は、
前記架台と前記フォークリフトとの間に介在される緩衝材を有することを特徴とする。
【0016】
このような搬送補助装置によれば、架台は、フォークリフトとの間に介在される緩衝材を有しているので、架台とフォークリフトとの接触時における衝撃を抑制し、また、架台とフォークリフトとが接触しつつ移動する際には、フォークリフト側の振動が架台に伝達されることを抑制することが可能となる。
【0017】
本発明の搬送補助装置は、
前記架台と前記高位置支持部材とを連結する連結部材を備えていることを特徴とする。
【0018】
このような搬送補助装置によれば、架台と高位置支持部材とは連結部材で連結されているので、搬送対象物の下端を支持する架台と、搬送対象物の上側を支持する高位置支持部材とを一体となった状態で移動させることが可能となる。このため、搬送対象物の上下の部位が互いに異なる方向に振られることを抑制し、より安定した状態で支持しつつ搬送することが可能となる。
【0019】
本発明の搬送補助装置は、
前記支持部材が、
前記搬送対象物の外側に突出し前記支持部材により支持される突出部材を有し、
前記突出部材は、前記搬送対象物に直接固定、または、取り外し可能に設けられることを特徴とする。
【0020】
このような搬送補助装置によれば、支持部材が有する突出部材は、搬送対象物の外側に突出させて設けられるので、フォークリフト側から容易に支持することが可能となる。また、突出部材が搬送対象物に直接固定されていると搬送対象物と突出部材とにずれが生じないので、より安定して支持することが可能となり、取り外し可能に設けられる場合には、外側に突出部材を直接設けることができない搬送対象物であっても突出部材を設けて安定した状態で搬送することが可能となり、また、取り外しも容易である。
【0021】
本発明の搬送補助装置は、
前記突出部材が、前記搬送対象物の重心より上側に設けられることを特徴とする。
【0022】
このような搬送補助装置によれば、搬送対象物に固定される突出部材は、搬送対象物の重心より上側に設けられるので、架台に載置された搬送対象物の重心より上側を支持することにより、搬送対象物を重心の上側と下側とで支持して搬送対象物が転倒し難い状態で搬送することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、搬送対象物を安定した状態で搬送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る搬送補助装置を用いて鋼管をフォークリフトにて搬送する状態を示す図である。
【
図2】本発明に係る搬送補助装置と搬送される鋼管を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る搬送補助装置を示す側面図である。
【
図5】本発明に係る搬送方法を示す図である(その1)。
【
図6】本発明に係る搬送方法を示す図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、フォークリフトにて搬送対象物を搬送する際の、搬送方法及び搬送に用いる搬送補助装置に関するものである。本実施形態においては、搬送対象物として、例えば長尺の鋼管を例に挙げて説明するが、フォークリフトにより搬送可能であれば、何ら限定されるものではない。
【0026】
図1に示すように、本実施形態のフォークリフト1は、車体1aと、車体1aの前方に設けられたマスト1bと、マスト1bに沿って昇降可能に設けられたバックレスト1cと、バックレスト1cに取り付けられるフォーク部1dと、を有している。フォーク部1dは、車体1aの前後方向に沿って2本設けられており、2本のフォーク部1dは、車体1aの幅方向に間隔を空けて配置されている。
【0027】
搬送補助装置3は、
図2に示すように、車輪40を備え鋼管2が載置される架台4と、架台4に載置された鋼管2をフォークリフト1により支持するための支持部材5と、を有している。支持部材5は、2本のフォーク部1dが各々挿入されるフォーク鞘51と、各フォーク鞘51の上に取り付けられた嵩上げ材52と、各嵩上げ材52に設けられたズレ止め材53と、鋼管2に固定された突出部材54と、架台4と嵩上げ材52とを連結する連結部材としての架台繋ぎ材55と、を有している。
【0028】
架台4は、上面が平坦な架台フレーム41と、架台フレーム41における四隅の下面に固定された車輪40と、架台フレーム41に設けられた架台緩衝材42とを、有し、走行可能に構成されている。
【0029】
架台フレーム41は、例えば複数本のH型鋼材を、平面視において外形が矩形状をなす格子状に溶接したフレーム本体41aの上に、平坦な鋼板41bが接合されて構成されている。架台フレーム41は、鋼管2の外周円よりも広い面積を有しており、架台4の幅は、支持部材5により鋼管2が支持された状態にて鋼管2の両側に位置する2つのフォーク鞘51の、幅方向において外側に位置する側面間の幅とほぼ同じに形成されている。
【0030】
架台緩衝材42は、例えば合成樹脂製の弾性材である。架台緩衝材42は、矩形状の架台フレーム41の4辺をなす外周面の1つに、外側に突出させて設けられており、鋼管2を載置して搬送する際にフォークリフト1と対向する側に配置される。
【0031】
突出部材54は、鋼管2がフォークリフト1により支持される際に、嵩上げ材52により支持される部位をなす。突出部材54は、鋼管2の外周面において直径方向に沿って2箇所に設けられ、互いに相反する方向に突出している。突出部材54は、例えば角筒状の鋼材でなり、鋼材の貫通方向が水平方向に沿うように配置され、鋼材の外周面をなす1つの平面が、鋼材の下側に位置して水平をなすように固定されている。突出部材54は、長手方向を鉛直に向けて配置した鋼管2の重心Gとなる位置よりも上側に設けられている。尚、搬送する鋼管に、外側に突出して支持可能な部位、例えば、フランジ等が設けられている場合には、突出部材を設ける必要はない。
【0032】
フォーク鞘51は、フォークリフト1のフォーク部1dに被せる筒状の部材であり、長手方向における一方の端部からフォーク部1dを挿入して装着可能である。フォーク鞘51の上面は平坦であり、この上面に嵩上げ材52が固定されている。
【0033】
嵩上げ材52は、フォークリフト1のフォーク部1dの昇降移動範囲における上端部よりも上側で鋼管2に固定された突出部材54を支持することを可能とすべく設けられる。嵩上げ材52が、フォーク鞘よりも上方にて搬送対象物を支持する高位置支持部材に相当する。
【0034】
嵩上げ材52は、例えば2本のH型鋼材を、各々長手方向を上下方向(縦方向)に向けるとともに、水平方向(横方向)に互いに間隔を空けて並べて配置し、2本のH型鋼材の上端に、横方向に向けたH型鋼材を架け渡して接合して門型に形成されている。
【0035】
各H型鋼材は、フランジが上下に位置する状態における高さが、フォーク鞘51の幅と略同一であり、横方向に並ぶ2本のH型鋼は、フランジがフォーク鞘51の長さ方向に沿うように配置される。横方向に架け渡されるH型鋼材は、フランジが上下に位置するように配置されて接合されている。門型に接合された嵩上げ材52は、架け渡された横方向のH型鋼材が、フォーク鞘51の長さ方向(フォークリフト1の前後方向)に沿って配置され、フォーク鞘51の長さ方向における略中央に固定されている。
【0036】
ズレ止め材53は、鋼管2に固定された突出部材54が嵩上げ材52に支持されたときに、鋼管2がフォーク部1dの長手方向に移動することを規制すべく設けられている。ズレ止め材53が、フォーク部に沿う方向への搬送対象物の移動を規制する移動規制部材に相当する。
【0037】
ズレ止め材53は、嵩上げ材52の横方向に架け渡されたH型鋼材の上に、当該H型鋼材の長手方向に互いに間隔を空けて2箇所に設けられている。本実施形態においては、H型鋼材の長手方向における両端部にそれぞれ設けられている。
【0038】
ズレ止め材53は、例えば、角筒状の鋼材でなり、鋼材の貫通方向が前後方向と直交する幅方向に向くように配置されている。ズレ止め材53をなす鋼材は、嵩上げ材52を構成するH型鋼のフランジの幅と同じ長さに切断されて嵩上げ材52の上に固定されている。
【0039】
架台繋ぎ材55は、架台4に載置された鋼管2に固定された突出部材54を、嵩上げ材52により、鋼管2の重量の一部を支持する状態までフォーク部1dを上昇させた位置にて、架台4と嵩上げ材52とを連結する部材である。架台繋ぎ材55は、例えば2つの板部が、断面がL字状をなすように繋がっているアングル材であって、2本のフォーク部1dに装着されているフォーク鞘51の外側で、架台4の架台フレーム41と嵩上げ材52を構成するH型鋼材のフランジに、架台繋ぎ材55の一方の板部が、対面する状態で当接され、架台繋ぎ材55と架台フレーム41または嵩上げ材52を貫通するボルトにナットが螺合されて接合される。
【0040】
搬送補助装置3を用いてフォークリフト1により鋼管2を搬送する搬送方法は、まず、搬送する鋼管2の外周に2つの突出部材54をスポット溶接等により固定する。このとき、鋼管2は、
図5(a)に示すように、上下方向に貫通するように立てた状態で配置したときに重心Gよりも上側に位置するように配置する。
【0041】
次に、
図5(b)に示すように、支持部材5と分離した状態の架台4の架台フレーム41上に鋼管2を立てた状態で載置する。このとき、鋼管2は、架台フレーム41の略中央に配置し、また、鋼管2の外周から突出している2つの突出部材54が、架台フレーム41において架台緩衝材42が設けられているH型鋼材と直交する方向に突出するように配置する。
【0042】
次に、
図5(c)に示すように、2本のフォーク部1dに、嵩上げ材52が固定されたフォーク鞘51をそれぞれ装着したフォークリフト1を、鋼管2が載置された架台4と並べて配置する。フォークリフト1は、フォーク部1dが設けられている前側が、架台4において架台緩衝材42が設けられている側と対向するように配置する。
【0043】
このとき、フォーク部1dは、嵩上げ材52上に設けられたズレ止め材53の上端が、架台4上に載置された鋼管2に固定された突出部材54の下端よりも下に位置するところまで、降下しておく。このため、嵩上げ材52の高さは、フォーク部1dを下げて、ズレ止め材53の上端を、架台4上に載置された鋼管2の突出部材54の下端よりも下に配置することができ、且つ、フォーク部1dを上昇させて突出部材54を支持することができるように、突出部材54の位置に合わせて適宜設定しておく。また、嵩上げ材52は、フォーク部1dにより、鋼管2に設けられた突出部材54を直接支持することが可能であれば、必ずしも設ける必要はない。
【0044】
次に、
図6(a)に示すように、フォークリフト1を前進させる。フォークリフト1は、2つのフォーク鞘51に各々固定された嵩上げ材52の間に鋼管2が配置されるように配置する。また、各嵩上げ材52に設けられ、前後方向に間隔を空けて設けられた2つのズレ止め材53の間に、鋼管2に固定された突出部材54が位置するようにフォークリフト1を前進させて停止する。
【0045】
フォークリフト1を停止したのちに、
図6(b)に示すように、フォーク部1dを上昇させて、嵩上げ材52の上面を突出部材54の下面に当接させ、鋼管2の重量の一部をフォーク部1dにて支持する状態でフォーク部1dを停止する。すなわち、鋼管2の重量一部を、架台4とフォークリフト1とのいずれもが支持するようにフォーク部1dを上昇させて停止する。
【0046】
次に、
図6(c)に示すように、フォーク部1dを停止した位置で、各嵩上げ材52と架台4とを架台繋ぎ材55により連結する。
【0047】
各嵩上げ材52と架台4とを架台繋ぎ材55により連結した状態で、架台4及びフォークリフト1により鋼管2を支持し、フォークリフト1を前進させて鋼管2を搬送する。このとき、フォーク鞘51に固定された嵩上げ材52のズレ止め材53により鋼管2に設けられた突出部材54が進行方向に押されるとともに、架台4に設けられた架台緩衝材42がフォークリフト1のマスト1bに接触して進行方向に押圧されつつ鋼管2が搬送される。尚、フォークリフト1を後退させつつ鋼管2を搬送する場合には、架台4をフォークリフト1のマスト1b側に固定して搬送する。
【0048】
本実施形態の搬送補助装置3によれば、鋼管2を、車輪40を備えた架台4に載置し、架台4よりも上方で鋼管2を支持される支持部材5を有しているので、フォークリフト1により鋼管2を搬送する際に、鋼管2の下端が振られにくい。このため、鋼管2を安定した状態で搬送することが可能となる。
【0049】
このとき、架台4と支持部材5とにより鋼管2の重量を分散して支持するので、鋼管2の重量が架台4に作用して鋼管2と架台4との間で生じる摩擦力により、鋼管の下端の振れが規制される。また、鋼管2と架台4との摩擦力により、鋼管2とともに架台4が走行するので、鋼管2の下端の振れを規制しつつも、より小さな力により滑らかに搬送することが可能となる。
【0050】
また、支持部材5には、フォーク部1dに沿う方向への鋼管2の移動を規制するズレ止め材53が設けられているので、ズレ止め材53により、支持部材5により支持する鋼管を搬送方向に押圧すること、及び、鋼管2が前後方向に移動してフォーク部1dから外れることを防止することが可能となる。
【0051】
また、支持部材5は、フォーク部1dが挿通されて装着されるフォーク鞘51に固定され、フォーク鞘51よりも上方にて鋼管2を支持する嵩上げ材52を備えているので、鋼管2をより高い位置で支持することが可能となる。このため、より安定した状態で搬送することが可能となる。また、フォークリフト1におけるフォーク部1dの昇降範囲の上端よりも上方に重心Gが位置する鋼管2であっても、安定した状態で搬送することが可能となる。
【0052】
また、架台4には、フォークリフト1との間に介在される緩衝材が備えられているので、架台4とフォークリフト1との接触時における衝撃を抑制し、また、架台4とフォークリフト1とが接触しつつ移動する際には、フォークリフト1側の振動が架台4に伝達されることを抑制することが可能となる。
【0053】
また、架台4と嵩上げ材52とは連結されているので、鋼管2の下端を支持する架台4と、鋼管2の上部を支持する嵩上げ材52とが一体となった状態で移動させることが可能となる。このため、鋼管2をより安定した状態で支持しつつ搬送することが可能となる。
【0054】
また、支持部材が有する突出部材は、鋼管2の外側に突出させて固定されるので、鋼管2の両側に配置される嵩上げ材52により支持し、嵩上げ材52の上に設けられたズレ止め材53により搬送方向に押圧すること、及び、鋼管2が嵩上げ材52の間から抜け出て外れることを確実に防止することが可能である。
【0055】
鋼管2に固定される突出部材54は、鋼管2の重心Gより上側に設けられるので、架台4に載置された鋼管2を重心Gより上側を支持することにより、鋼管2を重心Gの上側と下側とで支持して鋼管2が転倒し難い状態で搬送することが可能となる。
【0056】
本実施形態の搬送方法によれば、車輪40を備えた架台4に鋼管2を載置した状態で、架台4の重心Gよりも上方を支持しつつフォークリフト1により移動させるので、搬送中に鋼管2の下端が振られ難い。このため、鋼管2を安定させた状態で搬送することが可能となる。
【0057】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0058】
上記実施形態においては、突出部材54を鋼管2の外周に直接固定した例について説明したが、これに限るものではない。例えば、
図7に示すように、フランジ部6aを備え、鋼管2の外周を囲むような金具6を2つ用い、鋼管2を両側から挟むように配置し、互いのフランジ部6aをボルトナットで締め付けることにより、鋼管2の外周を押圧するように固定して取り付けてもよい。この場合には、フランジ部6aが嵩上げ材52に支持されるとともに、ズレ止め材53により搬送方向に押圧される。
【0059】
また、上記実施形態においては、架台4の上面が平坦である例について説明したが、これに限るものではない。例えば、架台4の上面に、鋼管2の直径より大きな内径の凹部を設ける、或いは、架台4の上面に、鋼管2の直径より大きな内径の環状突部を設け、凹部や環状突部内に鋼管の下端を挿入して搬送可能な架台であっても構わない。
【符号の説明】
【0060】
1 フォークリフト
1a 車体
1b マスト
1c バックレスト
1d フォーク部
2 鋼管(搬送対象物)
3 搬送補助装置
4 架台
5 支持部材
6 金具
6a フランジ部
40 車輪
41 架台フレーム
41a フレーム本体
41b 鋼板
42 架台緩衝材
51 フォーク鞘
52 嵩上げ材(高位置支持部材)
53 ズレ止め材(移動規制部材)
54 突出部材
55 架台繋ぎ材(連結部材)
G 鋼管の重心