(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084057
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】重荷重用タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 9/18 20060101AFI20240617BHJP
B60C 9/20 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B60C9/18 M
B60C9/20 L
B60C9/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198224
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100097238
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 治
(72)【発明者】
【氏名】河内 直人
(72)【発明者】
【氏名】石塚 勝吉
(72)【発明者】
【氏名】向山 知尚
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BA02
3D131BA05
3D131BB03
3D131BC02
3D131BC07
3D131BC31
3D131BC51
3D131DA34
3D131DA43
3D131EB11X
3D131KA02
3D131LA20
(57)【要約】
【課題】転がり抵抗を低減したトラック・バス用等の重荷重用タイヤを提供する。
【解決手段】本発明の重荷重用タイヤ1は、カーカス2と、複数のベルト層3a~3dからなるベルト3と、タイヤ幅方向両最外側に位置する2本のショルダー主溝7を少なくとも有するトレッド層4とを有する、重荷重用タイヤ1であって、複数のベルト層3a~3dのうちタイヤ径方向最内側に位置する最内側ベルト層3aとカーカス2との間に、センタークッションゴム5を有し、センタークッションゴム5の100%モジュラスは、カーカスコーティングゴム及びベルトコーティングゴムの100%モジュラスより低く、センタークッションゴム5の60℃におけるtanδは、カーカスコーティングゴム及びベルトコーティングゴムの60℃におけるtanδより小さく、センタークッションゴム5は、タイヤ幅方向断面視で、2本のショルダー主溝7のタイヤ幅方向内側壁に対応するタイヤ幅方向位置をまたぎ、該タイヤ幅方向位置の間においては、一定の厚さで延びる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビード部間にトロイダル状に跨る、カーカスコーティングゴムで被覆されたカーカスコードよりなるカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置された、ベルトコーティングゴムで被覆されたベルトコードよりなる複数のベルト層からなるベルトと、前記ベルトのタイヤ径方向外側に配置された、タイヤ幅方向両最外側に位置する2本のショルダー主溝を少なくとも有するトレッド層とを有する、重荷重用タイヤであって、
前記複数のベルト層のうちタイヤ径方向最内側に位置する最内側ベルト層と前記カーカスとの間に、センタークッションゴムを有し、
前記センタークッションゴムの100%モジュラスは、前記カーカスコーティングゴム及び前記ベルトコーティングゴムの100%モジュラスより低く、
前記センタークッションゴムの60℃におけるtanδは、前記カーカスコーティングゴム及び前記ベルトコーティングゴムの60℃におけるtanδより小さく、
前記センタークッションゴムは、タイヤ幅方向断面視で、前記2本のショルダー主溝のタイヤ幅方向内側壁に対応するタイヤ幅方向位置をまたぎ、該タイヤ幅方向位置の間においては、一定の厚さで延びることを特徴とする、重荷重用タイヤ。
【請求項2】
前記センタークッションゴムの前記一定の厚さは、0.5~2.0mmである、請求項1に記載の重荷重用タイヤ。
【請求項3】
前記複数のベルト層のうちタイヤ幅方向の幅が最広幅である最広幅ベルト層と前記カーカスとの間、かつ、前記最広幅ベルト層よりタイヤ径方向内側に位置するベルト層のタイヤ幅方向外側の領域に、ショルダークッションゴムが配置され、
前記センタークッションゴムは前記ショルダークッションゴムと同一のゴムで形成され、タイヤ幅方向断面視で、前記センタークッションゴムの端部と前記ショルダークッションゴムとが接触する、請求項1又は2に記載の重荷重用タイヤ。
【請求項4】
タイヤ幅方向断面視で、前記センタークッションゴムの端部と前記ショルダークッションゴムとは、前記ショルダー主溝に対応するタイヤ幅方向位置で接触する、請求項3に記載の重荷重用タイヤ。
【請求項5】
前記最内側ベルト層は、前記コードがタイヤ周方向に対して10°~60°の角度で傾斜して延びる、傾斜ベルト層である、請求項1又は2に記載の重荷重用タイヤ。
【請求項6】
前記トレッド層は、前記2本のショルダー主溝間に主溝を有さない、請求項1又は2に記載の重荷重用タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重荷重用タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばトラック・バス等の負荷荷重の大きい車両に用いられる重荷重用タイヤにおいては、例えばベルト端近傍に設けられるクッションゴムの構造を工夫することでタイヤの転がり抵抗の低減を図ることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年においては環境問題への関心の高まりから、タイヤの低燃費性への要求がさらに高まっており、タイヤ全体のエネルギーロスを抑制することで、転がり抵抗を低減して燃費性を向上させることが希求されている。
【0005】
このような事情に鑑みて、本発明は、転がり抵抗を低減したトラック・バス用等の重荷重用タイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の手段により、解決される。
【0007】
(1)本発明の重荷重用タイヤは、
一対のビード部間にトロイダル状に跨る、カーカスコーティングゴムで被覆されたカーカスコードよりなるカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置された、ベルトコーティングゴムで被覆されたベルトコードよりなる複数のベルト層からなるベルトと、前記ベルトのタイヤ径方向外側に配置された、タイヤ幅方向両最外側に位置する2本のショルダー主溝を少なくとも有するトレッド層とを有する、重荷重用タイヤであって、
前記複数のベルト層のうちタイヤ径方向最内側に位置する最内側ベルト層と前記カーカスとの間に、センタークッションゴムを有し、
前記センタークッションゴムの100%モジュラスは、前記カーカスコーティングゴム及び前記ベルトコーティングゴムの100%モジュラスより低く、
前記センタークッションゴムの60℃におけるtanδは、前記カーカスコーティングゴム及び前記ベルトコーティングゴムの60℃におけるtanδより小さく、
前記センタークッションゴムは、タイヤ幅方向断面視で、前記2本のショルダー主溝のタイヤ幅方向内側壁に対応するタイヤ幅方向位置をまたぎ、該タイヤ幅方向位置の間においては、一定の厚さで延びることを特徴とする。
この構成によれば、センタークッションゴムがカーカスコーティングゴム及びベルトコーティングゴムの変形を負担し、ゴムの歪エネルギーロスを低減して、トラック・バス用タイヤ等の重荷重用タイヤの転がり抵抗を低減することができる。
【0008】
(2)上記(1)の重荷重用タイヤにおいて、
前記センタークッションゴムの前記一定の厚さは、0.5~2.0mmであることも好ましい。
上記の範囲のセンタークッションゴムの厚さにすることによって、重量増加による転がり抵抗の悪化を抑えつつ、ゴムの歪エネルギーロスを低減して、タイヤの転がり抵抗をより低減することができる。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)の重荷重用タイヤにおいて、
前記複数のベルト層のうちタイヤ幅方向の幅が最広幅である最広幅ベルト層と前記カーカスとの間、かつ、前記最広幅ベルト層よりタイヤ径方向内側に位置するベルト層のタイヤ幅方向外側の領域に、ショルダークッションゴムが配置され、
前記センタークッションゴムは前記ショルダークッションゴムと同一のゴムで形成され、タイヤ幅方向断面視で、前記センタークッションゴムの端部と前記ショルダークッションゴムとが接触することも好ましい。
この構成によれば、センタークッションゴムとショルダークッションゴムとの間の剛性段差を低減し、耐久性の悪化を回避することができる。
【0010】
(4)上記(3)の重荷重用タイヤにおいて、
タイヤ幅方向断面視で、前記センタークッションゴムの端部と前記ショルダークッションゴムとは、前記ショルダー主溝に対応するタイヤ幅方向位置で接触することも好ましい。
この構成によれば、歪エネルギーが大きくなるショルダー主溝に対応するタイヤ幅方向位置のゴムを厚くすることで、歪エネルギーロスを十分に低減することができる。
【0011】
(5)上記(1)~(4)のいずれかの重荷重用タイヤにおいて、
前記最内側ベルト層は、前記コードがタイヤ周方向に対して10°~60°の角度で傾斜して延びる、傾斜ベルト層であることも好ましい。
この構成によれば、カーカスプライと最内側ベルト層との間の定歪的な変形が大きいベルト構成であっても、十分に歪エネルギーロスを低減することができる。
【0012】
(6)上記(1)~(5)のいずれかの重荷重用タイヤにおいて、
前記トレッド層は、前記2本のショルダー主溝間に主溝を有さないことも好ましい。
この構成によれば、ショルダー主溝以外の主溝、例えばセンター主溝を設けた場合に生じるショルダー主溝側からセンター主溝側へのゴム膨出によって、歪エネルギーロスがセンター主溝近傍でかえって悪化する現象を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、転がり抵抗を低減した重荷重用タイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる重荷重用タイヤのタイヤ幅方向部分断面図である。
【
図2】
図1に示す重荷重用タイヤのタイヤ幅方向部分断面の拡大図である。
【
図3】本発明の一実施形態にかかる重荷重用タイヤのベルト構造の模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態にかかる重荷重用タイヤのセンタークッションゴムと、ショルダークッションゴムとの重なり方を示す、タイヤ幅方向断面視での模式図である。(a)センタークッションゴムの端部と、ショルダークッションゴムの端部とが、タイヤ径方向の片側で重なって接触している例を示す模式図である。(b)センタークッションゴムの端部と、ショルダークッションゴムの端部とが、タイヤ径方向の片側で重なって接触している他の例を示す模式図である。(c)センタークッションゴムの端部と、ショルダークッションゴムの端部とが、タイヤ幅方向でのみ接触している例の模式図である。
【
図5】RFタグの配置位置の例を説明するための、本発明の一実施形態にかかる重荷重用タイヤのタイヤ幅方向部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るタイヤの実施形態について、図面を参照しつつ例示説明する。
各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。
本明細書において、「タイヤ周方向」とは、タイヤの回転軸(軸線)を中心にタイヤが回転する方向をいい、「タイヤ径方向」とは、タイヤの回転軸と直交する方向をいい、「タイヤ幅方向」とは、タイヤの回転軸と平行な方向をいう。
また、本明細書において、タイヤ径方向に沿ってタイヤの回転軸に近い側を「タイヤ径方向内側」と称し、タイヤ径方向に沿ってタイヤの回転軸から遠い側を「タイヤ径方向外側」と称する。
また、本明細書において、タイヤ幅方向に沿ってタイヤ赤道面CLに近い側を「タイヤ幅方向内側」と称し、タイヤ幅方向に沿ってタイヤ赤道面CLから遠い側を「タイヤ幅方向外側」と称する。
さらに、本明細書において、「タイヤ周方向に延びる」とは、少なくともタイヤ周方向成分を有して延びることをいう。即ち、「タイヤ周方向に延びる」とは、タイヤ周方向に沿う向きに(即ち、タイヤ周方向に対して0°の角度で、タイヤ周方向に対して傾斜せずに)延びていてもよく、タイヤ周方向に対して90°以外の角度で傾斜して(即ち、タイヤ周方向に対して0°超90°以外の傾斜角度で、タイヤ周方向に対して傾斜して)延びていてもよいことを、意味する。
さらにまた、本明細書において、「タイヤ幅方向に延びる」とは、少なくともタイヤ幅方向成分を有して延びることをいう。即ち、「タイヤ幅方向に延びる」とは、タイヤ幅方向に沿う向きに(即ち、タイヤ幅方向に対して0°の角度で、タイヤ幅方向に対して傾斜せずに)延びていてもよく、タイヤ幅方向に対して90°以外の角度で傾斜して(即ち、タイヤ幅方向に対して0°超90°以外の傾斜角度で、タイヤ幅方向に対して傾斜して)延びていてもよいことを、意味する。
【0016】
以下、特に断りのない限り、各要素の位置関係や寸法等は、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態で測定されるものとする。また、タイヤを適用リムに装着し、タイヤに規定内圧を充填し、最大荷重を負荷した状態で、路面と接触することになる、タイヤの全周にわたる外周面を「トレッド踏面」といい、トレッド踏面のタイヤ幅方向の端を、「トレッド端」という。
【0017】
本明細書において、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association, Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指すが、これらの産業規格に記載のないサイズの場合は、空気入りタイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。「適用リム」には、現行サイズに加えて将来的に前述の産業規格に記載されるサイズも含まれる。「将来的に記載されるサイズ」の例として、ETRTO 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズが挙げられ得る。
【0018】
本明細書において、「規定内圧」とは、前述したJATMA YEAR BOOK等の産業規格に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいい、前述した産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。また、本明細書において、「最大荷重」とは、前述した産業規格に記載されている適用サイズのタイヤにおける最大負荷能力に対応する荷重、又は、前述した産業規格に記載のないサイズの場合には、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する荷重を意味する。
【0019】
本明細書において、「主溝」とは、上記基準状態において、溝幅(トレッド踏面における開口幅)が4mm以上のものをいう。ここで、本明細書において、「溝幅」は、上記基準状態において、トレッド踏面における溝の延在方向に垂直な断面において、トレッド踏面と平行な方向に測るものとする。溝幅は、トレッド踏面に垂直な方向に一定でもよいし変化してもよい。但し、本明細書において、特に断りのない限り、「溝幅」は、トレッド踏面における溝幅、即ち、トレッド踏面における開口幅を指すものとする。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態にかかる重荷重用タイヤ(以下、単にタイヤともいう)のタイヤ幅方向部分断面図である。
図1は、タイヤ赤道面CLを境界とするタイヤ幅方向の一方の半部のみを示しているが、他方の半部についても同様の構成である。なお、
図1は、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、上記基準状態におけるタイヤを示している。また、
図2は、
図1に示す重荷重用タイヤのタイヤ幅方向部分断面の拡大図である。
【0021】
本実施形態のタイヤ1は、一対のビード部に埋設されたビードコア11間をトロイダル状に跨るカーカス2のクラウン部のタイヤ径方向外側にベルト3及びトレッド層4をこの順に備えている。
【0022】
図1に示す例では、カーカス2は1枚のカーカスプライから構成されているが、必要に応じて2枚以上のカーカスプライで構成することもできる。カーカス2(ひいては、カーカスプライ)を構成するカーカスコードはカーカスコーティングゴムで被覆されている。カーカスコードの材質は、特には限定されないが、例えばスチールコード等の金属繊維コード等を用いることができる。
ここで、特に限定されないが、通常、カーカスコーティングゴムの100%モジュラスは、3~20MPaの範囲であることが好ましく、5~10MPaの範囲であることがより好ましい。また、カーカスコーティングゴムの60℃におけるtanδは、0.1~1.0の範囲であることが好ましく、0.15~0.4の範囲であることがより好ましい。
なお、本実施形態において、カーカス2はラジアル構造であり、カーカスコードはタイヤ周方向に対して実質的に90度の傾斜角度で傾斜して延びている。
【0023】
本実施形態では、
図1~
図3に示すように、ベルト3は、第1のベルト層3cと、該第1のベルト層3cのタイヤ径方向内側に位置する(この例では隣接して位置する)第2のベルト層3bとの2層からなる傾斜ベルト3bcと、傾斜ベルト3bcのタイヤ径方向外側に位置する1層の外側ベルト層3dと、傾斜ベルト3bcのタイヤ径方向内側に位置する1層の内側ベルト層3aと、の4層のベルト層3a~3dからなる。いずれのベルト層もベルトコーティングゴムで被覆されたベルトコードにより構成されている。本例では、複数のベルト層3a~3dのうち、内側ベルト層3aが、タイヤ径方向最内側に位置する最内側ベルト層である。また、本例では、複数のベルト層3a~3dのうち、第2のベルト層3bが、タイヤ幅方向の幅が最広幅である最広幅ベルト層である。
なお、
図3は、本実施形態のタイヤにおけるベルト構造を模式的に描いたものであり、紙面上下方向がタイヤ周方向であり、カーカス2及び各ベルト層3a~3dのハッチングは、カーカスコード及びベルトコードの延在方向の1例を模式的に示している。
ここで、特に限定されないが、通常、ベルトコーティングゴムの100%モジュラスは、3~20MPaの範囲であることが好ましく、5~10MPaの範囲であることがよりに好ましい。また、ベルトコーティングゴムの60℃におけるtanδは、0.1~1.0の範囲であることが好ましく、0.15~0.4の範囲であることがより好ましい。さらに、ベルトコーティングゴムは、各ベルト層で異なったゴム組成物で構成されていても、同一のゴム組成物で構成されていてもよい。
なお、本実施形態では、ベルトの層数を4層としているが、軽量化の観点からは、外側ベルト層3d及び内側ベルト層3aのうちの一方又は両方を設けずに、2層又は3層のベルト層からなる構成とすることもできる。また、タイヤの耐久性の観点からは、傾斜ベルト3bcのタイヤ径方向外側又は内側に位置するベルト層の層数を増やして5層以上のベルト層からなる構成とすることもできる。あるいは、第1のベルト層3cと第2のベルト層3bとのタイヤ径方向の間に、他のベルト層を備える構成とすることもできる。
【0024】
本実施形態では、第1のベルト層3cのベルトコードと第2のベルト層3bのベルトコードとは、層間で互いに交差するように、タイヤ周方向に対して10°~80°の角度で傾斜して延びている。本実施形態においては、第1のベルト層3cのベルトコードと第2のベルト層3bのベルトコードとが、タイヤ周方向に対して、層間で互いに交差するように反対向きに同角度で傾斜して延びている。しかし、本発明においては、第1のベルト層3cのベルトコードと第2のベルト層3bのベルトコードとは、タイヤ周方向に対して、層間で互いに交差するように反対向きに異なる角度で傾斜して延びていてもよい。また、本発明においては、第1のベルト層3cのベルトコードと第2のベルト層3bのベルトコードとは、タイヤ周方向に対して、層間で互いに交差するように同じ向きに(タイヤ周方向の一方側がタイヤ幅方向の同じ方向に傾斜するように)異なる角度で傾斜して延びていてもよい。なお、本実施形態では、ベルトコードはスチールコードであるが、他の材質のコードやフィラメントを用いることができる。
【0025】
また、本実施形態のタイヤ1では、外側ベルト層3dのベルトコードは、タイヤ周方向に対して10°~80°の角度で傾斜して延びている。本実施形態においては、第1のベルト層3cのベルトコードと外側ベルト層3dのベルトコードとが、タイヤ周方向に対して、層間で互いに交差するように反対向きに同角度で傾斜して延びている。しかし、本発明においては、第1のベルト層3cのベルトコードと外側ベルト層3dのベルトコードとは、タイヤ周方向に対して、層間で互いに交差するように反対向きに異なる角度で傾斜して延びていてもよい。さらに、本実施形態では、内側ベルト層3aのベルトコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は、第1のベルト層3cのベルトコード及び第2のベルト層3bのベルトコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度より小さい。
【0026】
本実施形態では、トレッド層4は、少なくともタイヤ幅方向両外側に位置する2本のショルダー主溝7を有する。ここで、前記2本のショルダー主溝7とは、一方の半部において最外側に位置する1本の主溝と、他方の半部において最外側に位置する1本の主溝とで、構成される主溝である。
なお、
図1には、図示の範囲で一方の半部における1つのショルダー主溝7のみが図示されているが、トレッドパターンはこれに限定されない。
【0027】
従来、重荷重用タイヤにおいては、カーカスコーティングゴムで被覆されたカーカスコードよりなるカーカスプライ(ひいては、カーカス)と、ベルトコーティングゴムで被覆されたベルトコードよりなるベルト層とが、直接接触していた。本実施形態のタイヤ1は、これに対し、
図1及び
図2に示すように、内側ベルト層3a(最内側ベルト層)と前記カーカス2との間に、センタークッションゴム5を有することを特徴とする。
【0028】
本実施形態のタイヤ1において、センタークッションゴム5の100%モジュラスは、カーカス2のカーカスコーティングゴム及びベルト3のベルトコーティングゴムの100%モジュラスより低い。このように、カーカスコーティングゴム及ベルトコーティングゴムのような比較的高弾性のコーティングゴム間に、容易に変形するより低弾性のセンタークッションゴム5を設けることで、センタークッションゴム5が高ロスのカーカスコーティングゴム及びベルトコーティングゴムの代わりに変形を負担することができる。さらにセンタークッションゴム5の60℃におけるtanδは、カーカス2のカーカスコーティングゴム及びベルト3のベルトコーティングゴムの60℃におけるtanδより小さい。このような構成にすることで、センタークッションゴム5が変形する場合であっても、変形による歪エネルギーロスを低減することができる。
【0029】
そして、本実施形態のタイヤ1によれば、上記センタークッションゴム5を設けることで、ベルト3全体の周方向剛性を小さくすることができる。これにより、内圧印加時ひいては荷重時に、周差により、タイヤ径方向より外側の第1のベルト層3cが第2のベルト層3bよりもタイヤ周方向により大きく伸びている状態から、ベルトの伸縮性により、第2のベルト層3bがタイヤ周方向に伸びるとともに、第1のベルト層3cがタイヤ周方向に縮むことができ、ひいては、第1のベルト層3cと第2のベルト層3bとの間のタイヤ周方向の伸びの差を是正(抑制)することができて、第1のベルト層3cと第2のベルト層3bとの間の歪エネルギーロスを低減することができる。
【0030】
そして、本実施形態のタイヤ1によれば、
図1及び
図2に示すように上記センタークッションゴム5を設けることで、センタークッションゴム5を設けたタイヤ幅方向位置において、タイヤ1のタイヤ径方向厚さが大きくなる。すなわち、センタークッションゴム5を設けない場合と比較して、タイヤ1のショルダー領域で、タイヤ1がラウンド化する。これにより、ショルダー領域においても、接地圧を低減することができ、歪エネルギーロスを低減することができる。
【0031】
さらに、本実施形態のタイヤ1において、
図1及び
図2に示すように、上記センタークッションゴム5は、タイヤ幅方向断面視で、前記2本のショルダー主溝7のタイヤ幅方向内側壁7aに対応するタイヤ幅方向位置をまたいでいる。換言すれば、センタークッションゴム5は、タイヤ幅方向断面視で、少なくとも、一方のタイヤ半部におけるショルダー主溝7のタイヤ幅方向内側壁(タイヤ幅方向内側の溝壁)7aに対応するタイヤ幅方向位置から、他方のタイヤ半部におけるショルダー主溝7のタイヤ幅方向内側壁(タイヤ幅方向内側の溝壁)7aに対応するタイヤ幅方向位置までに亘って、タイヤ幅方向に連続して延びている。こうすることで、特に歪が集中しやすいショルダー主溝間のタイヤ幅方向領域において、効果的にベルト3のタイヤ幅方向全域に亘って、歪エネルギーロスを低減することができる。
また、本実施形態において、センタークッションゴム5は、タイヤ幅方向断面視で、該タイヤ幅方向位置の間においては、一定の厚さで延びている。すなわち、センタークッションゴム5は、一方のショルダー主溝7のタイヤ幅方向内側壁7aに対応する位置から、もう一方のショルダー主溝7のタイヤ幅方向内側壁7aに対応する位置に向かって、本例ではカーカス(ひいては、カーカスプライ)2と平行(略水平)に、厚さがタイヤ幅方向で変化する事なく、一定の厚さで延びている。こうすることで、偏りが生じることなく、歪エネルギーロスを均一に低減させることができる。ここで、一定の厚さとは、製造誤差を考慮し、厚さが5%程度変動するものを含むことができる。
【0032】
以上のように、本実施形態のタイヤ1によれば、センタークッションゴム5によりタイヤの幅方向全域に亘って、ゴムのエネルギーロスを低減して、転がり抵抗を低減させることができる。
【0033】
ここで、センタークッションゴム5に、高ロスのカーカスコーティングゴム及びベルトコーティングゴムの代わりに、十分に変形を負担させる観点からは、センタークッションゴム5の100%モジュラスは、1~3MPaであることが好ましく、2~3MPaであることがより好ましい。また、センタークッションゴム5が変形する場合であっても、変形による歪エネルギーロスを十分に低減することができるようにする観点からは、センタークッションゴム5の60℃におけるtanδは、0.01~0.15であることが好ましく、0.01~0.1であることがより好ましく、0.01~0.05であることがさらに好ましい。
【0034】
ここで、本発明にあっては、前記センタークッションゴム5の一定の厚さは、0.5~2.0mmであることが好ましい。上記の範囲のセンタークッションゴム5の厚さにすることによって、センタークッションゴム5のボリュームを抑えて、かえって、重量増加による転がり抵抗の悪化を回避しつつ、カーカスコーティングゴム及びベルトコーティングゴムの変形を、センタークッションゴム5が確実に負担し、歪エネルギーロスを低減することで、転がり抵抗を低減し得る。
【0035】
また、本発明にあっては、
図1及び
図2に示すように、前記複数のベルト層のうちタイヤ幅方向の幅が最広幅である最広幅ベルト層(第2のベルト層3b)と前記カーカス2との間、かつ、前記最広幅ベルト層3bよりタイヤ径方向内側に位置するベルト層(内側ベルト層3a)のタイヤ幅方向外側の領域に、ショルダークッションゴム6を配置し、前記センタークッションゴム5は前記ショルダークッションゴム6と同一のゴムで形成され、タイヤ幅方向断面視で、前記センタークッションゴム5の端部と前記ショルダークッションゴム6とが接触することが好ましい。このようにセンタークッションゴム5の端部と、センタークッションゴム5に加えてショルダー部に設けたショルダークッションゴム6とが接触することで、カーカスコーティングゴムとベルトコーティングゴムとが、直接接触することなく、歪エネルギーロスの一点への集中を避けることができる。さらに、センタークッションゴム5とショルダークッションゴム6を同一のゴムで形成することで、センタークッションゴム5とショルダークッションゴム6との間の剛性段差を低減し、接触部が故障の起点となる、耐久性の悪化を回避することができる。
ここで、
図4(a)(b)に示すように、センタークッションゴム5の端部は、ショルダークッションゴム6と、タイヤ径方向の片側で重なって接触していてもよい。このようにすることで、製造上のばらつきによって、センタークッションゴム5とショルダークッションゴム6との間に、空隙が生じることを、回避することができる。さらに、センタークッションゴム5又はショルダークッションゴム6の端部は、
図4(a)に示すようにテーパー形状となっていてもよい。このようにすることで、端部での剛性段差を小さくすることができる。一方、実施形態はこれには限定されない。例えば、タイヤ幅方向の広い範囲で、タイヤ径方向に重なって接触していてもよく、剛性段差の低減の観点からは、
図4(c)に示すようにセンタークッションゴム5の端部とショルダークッションゴム6とがタイヤ幅方向でのみ、重なって(すなわち、接触して)いてもよい。
【0036】
また、本発明にあっては、
図1及び
図2に示すように、前記センタークッションゴム5の端部と前記ショルダークッションゴム6とは、前記ショルダー主溝7に対応するタイヤ幅方向位置で接触することが好ましい。このようにすることで、歪エネルギーが大きくなるショルダー主溝に対応するタイヤ幅方向位置のゴムを厚くし、歪エネルギーロスを十分に低減することができる。
【0037】
また、本発明にあっては、
図3に示すように、前記最内側ベルト層(内側ベルト層3a)は、前記コードがタイヤ周方向に対して10°~60°の角度で傾斜して延びる、傾斜ベルト層であることが好ましい。このようにすることで、カーカスプライと最内側ベルト層との間の定歪的な変形が大きく、最内側ベルト層がタイヤ径方向に大きく膨出し、歪エネルギーロスが境界面で集中する、ベルト構成であっても、十分に歪エネルギーロスを低減することができる。
ここで、より好適には、前記コードは、タイヤ周方向に対して30°~50°の角度で傾斜して延びる、傾斜ベルト層であることが好ましい。
【0038】
また、本発明にあっては、前記トレッド層4は、前記2本のショルダー主溝7間に主溝を有さないことが好ましい。このようにすることで、ショルダー主溝以外の主溝、例えばセンター主溝を設けた場合に生じるショルダー主溝側からセンター主溝側へのゴム膨出によって、歪エネルギーロスがセンター主溝近傍でかえって悪化する現象を抑制することができる。
なお、前記2本のショルダー主溝7間には、主溝を有さないことが好ましいが、タイヤ幅方向の開口部の寸法が小さいサイプやタイヤ周方向に延びる細溝や湯溝を設けてもよい。このようにすることで、ゴム膨出による歪エネルギーロスの悪化を抑制しつつ、タイヤの諸性能を向上させることができる。
【0039】
また、本発明にあっては、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLに対応する位置での第1のベルト層3cのタイヤ径方向径と、タイヤ幅方向における第1のベルト層3cのタイヤ幅方向端に対応する位置での第1のベルト層3cのタイヤ径方向径との差であるベルト径差が、5mmより小さいことが好ましい。ベルト径差を小さくすること、すなわち、ベルト層の端部の高さを高くすることで、転がり抵抗を低減することができる。さらに、ベルト径差は、4mmより大きいことが好ましい。ベルト径差を大きくすること、すなわち、ベルト層の端部の高さを低くすることで、タイヤのトレッド層4の張替えを行う、タイヤ更生を行う場合であっても、作業時の台タイヤの損傷を防止することができる。
【0040】
また、本発明にあっては、ベルト3は、コードがタイヤ周方向に対して5°以下の角度で延びる、周方向ベルト層を含まないことが好ましい。周方向ベルト層を含むベルトでは、周方向ベルト層がタガ効果を発揮し、内圧印加時ひいては荷重時に、周差により、第2のベルト層3bがタイヤ周方向に伸びるとともに、第1のベルト層3cがタイヤ周方向に縮むことによる、第1のベルト層3cと第2のベルト層3bとの間のタイヤ周方向の伸びの差が小さくなる。それゆえ、センタークッションゴム5を設けたことによる転がり抵抗の低減の効果に対し、センタークッションゴム5による重量増加による転がり抵抗の悪化の影響がかえって大きくなる。
【0041】
また、タイヤ1は、
図1及び
図5に示すように通信装置としてのRFタグ16を備えてよい。RFタグ16は、ICチップとアンテナとを備える。RFタグ16は、例えば、タイヤ1を構成する同種又は異種の複数の部材の間の位置に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、タイヤ生産時にRFタグ16を取り付け易く、RFタグ16を備えるタイヤの生産性を向上させることができる。本例では、RFタグ16は、例えば、スティフナー8と、スティフナー8に隣接するその他の部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。
RFタグ16は、タイヤ1を構成するいずれかの部材内に埋設されていてもよい。このようにすることで、タイヤ1を構成する複数の部材の間の位置に挟み込まれて配置される場合と比較して、RFタグ16に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ16の耐久性を向上させることができる。本例では、RFタグ16は、例えば、トレッド層4を構成するトレッドゴム、サイドゴム9等のゴム部材内に埋設されてよい。
RFタグ16は、タイヤ幅方向断面視でのタイヤ外面に沿う方向であるペリフェリ長さ方向において、剛性の異なる部材の境界となる位置に、配置されないことが好ましい。このようにすることで、RFタグ16は、剛性段差に基づき歪みが集中し易い位置に、配置されない。そのため、RFタグ16に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ16の耐久性を向上させることができる。本例では、RFタグ16は、例えば、タイヤ幅方向断面視でカーカス2の端部と、このカーカス2の端部に隣接する部材(例えば、ハットゴム12、スティフナー8やサイドゴム9等)と、の境界となる位置に配置されないことが好ましい。
RFタグ16の数は特に限定されない。タイヤ1は、1個のみのRFタグ16を備えてもよく、2個以上のRFタグ16を備えてもよい。ここでは、通信装置の一例として、RFタグ16を例示説明しているが、RFタグ16とは異なる通信装置であってもよい。
【0042】
RFタグ16は、例えば、タイヤ1のベルト3及びトレッド層4を含むトレッド部に配置されてよい。このようにすることで、RFタグ16は、タイヤのサイドカットにより損傷しない。
RFタグ16は、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド中央部に配置されてよい。トレッド中央部は、トレッド層4において撓みが集中し難い位置である。このようにすることで、RFタグ16に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ16の耐久性を向上させることができる。また、タイヤ幅方向でのタイヤの両外側からのRFタグ16との通信性に差が生じることを抑制できる。本例では、RFタグ16は、例えば、タイヤ幅方向において、タイヤ赤道面CLを中心としてトレッド幅の1/2の範囲内に配置されてよい。
RFタグ16は、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド端部に配置されてもよい。RFタグ16と通信するリーダーの位置が予め決まっている場合には、RFタグ16は、例えば、このリーダーに近い一方側のトレッド端部に配置されてよい。本例では、RFタグ16は、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド端を外端とする、トレッド幅の1/4の範囲内に配置されてよい。
【0043】
RFタグ16は、例えば、ビード部間に跨る、1枚以上のカーカスプライを含むカーカス2より、タイヤ内腔側に配置されてよい。このようにすることで、タイヤの外部から加わる衝撃や、サイドカットや釘刺さりなどの損傷に対して、RFタグ16が損傷し難くなる。一例として、RFタグ16は、カーカス2のタイヤ内腔側の面に密着して配置されてよい。別の一例として、カーカス2よりタイヤ内腔側に別の部材がある場合に、RFタグ16は、例えば、カーカス2と、このカーカス2よりタイヤ内腔側に位置する別の部材と、の間に配置されてもよい。カーカス2よりタイヤ内腔側に位置する別の部材としては、例えば、タイヤ内面を形成するインナーライナー10が挙げられる。別の一例として、RFタグ16は、タイヤ内腔に面するタイヤ内面に取り付けられていてもよい。RFタグ16が、タイヤ内面に取り付けられる構成とすることで、RFタグ16のタイヤへの取り付け、及び、RFタグ16の点検・交換が行い易い。つまり、RFタグ16の取り付け性及びメンテナンス性を向上させることができる。また、RFタグ16が、タイヤ内面に取り付けられることで、RFタグ16をタイヤ内に埋設する構成と比較して、RFタグ16がタイヤ故障の核となることを防ぐことができる。
また、カーカス2が、複数枚のカーカスプライを備え、複数枚のカーカスプライが重ねられている位置がある場合に、RFタグ16は、重ねられているカーカスプライの間に配置されていてもよい。
【0044】
RFタグ16は、例えば、タイヤ1のトレッド部において、1枚以上のベルト層を含むベルト3より、タイヤ径方向の外側に配置されてよい。一例として、RFタグ16は、ベルト3に対してタイヤ径方向の外側で、当該ベルト3に密着して配置されてよい。また、別の一例として、RFタグ16は、ベルト3よりタイヤ径方向の外側で、トレッドゴム内に埋設されていてもよい。RFタグ16が、タイヤのトレッド部において、ベルト3よりタイヤ径方向の外側に配置されることで、タイヤ径方向でのタイヤの外側からのRFタグ16との通信が、ベルト3により阻害され難い。そのため、タイヤ径方向でのタイヤの外側からのRFタグ16との通信性を向上させることができる。
また、RFタグ16は、例えば、タイヤ1のトレッド部において、ベルト3よりタイヤ径方向の内側に配置されていてもよい。このようにすることで、RFタグ16のタイヤ径方向の外側がベルト3に覆われるため、RFタグ16は、トレッド踏面からの衝撃や釘刺さりなどに対して損傷し難くなる。この一例として、RFタグ16は、タイヤ1のトレッド部において、ベルト3と、当該ベルト3よりタイヤ径方向の内側に位置するカーカス2と、の間に配置されてよい。
また、ベルト3が、複数のベルト層を備える場合に、RFタグ16は、タイヤ1のトレッド部において、任意の2枚のベルト層の間に配置されてよい。このようにすることで、RFタグ16のタイヤ径方向の外側が1枚以上のベルト層に覆われるため、RFタグ16は、トレッド踏面からの衝撃や釘刺さりなどに対して損傷し難くなる。
【0045】
RFタグ16は、例えば、ショルダークッションゴム6と、トレッド層4と、の間や、ショルダークッションゴム6と、サイドゴム9と、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、RFタグ16への衝撃を、ショルダークッションゴム6により緩和できる。そのため、RFタグ16の耐久性を向上させることができる。
また、RFタグ16は、例えば、ショルダークッションゴム6内に埋設されていてもよい。更に、ショルダークッションゴム6は、隣接する同種又は異種の複数のゴム部材から構成されてよい。かかる場合に、RFタグ16は、ショルダークッションゴム6を構成する複数のゴム部材の間に挟み込まれて配置されてもよい。
【0046】
RFタグ16は、例えば、タイヤ1のサイドウォール部又はビード部の位置に配置されてよい。RFタグ16は、例えば、RFタグ16と通信可能なリーダーに対して近い一方側のサイドウォール部又は一方側のビード部に配置されてよい。このようにすることで、RFタグ16とリーダーとの通信性を高めることができる。一例として、RFタグ16は、カーカス2と、サイドゴム9と、の間や、トレッド層4を構成するトレッドゴムと、サイドゴム9と、の間に配置されてよい。
RFタグ16は、例えば、タイヤ径方向において、タイヤ最大幅となる位置と、トレッド踏面の位置と、の間に配置されてよい。このようにすることで、RFタグ16がタイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側に配置される構成と比較して、タイヤ径方向でのタイヤの外側からのRFタグ16との通信性を高めることができる。
RFタグ16は、例えば、タイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側に配置されていてもよい。このようにすることで、RFタグ16は、剛性の高いビード部近傍に配置される。そのため、RFタグ16に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ16の耐久性を向上させることができる。一例として、RFタグ16は、ビードコア11とタイヤ径方向又はタイヤ幅方向で隣接する位置に配置されてよい。ビードコア11近傍は歪みが集中し難い。そのため、RFタグ16に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ16の耐久性を向上させることができる。
特に、RFタグ16は、タイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側であって、かつ、ビード部のビードコア11よりタイヤ径方向の外側の位置に配置されることが好ましい。このようにすることで、RFタグ16の耐久性を向上させることができるとともに、RFタグ16とリーダーとの通信が、ビードコア11により阻害され難く、RFタグ16の通信性を高めることができる。
また、サイドゴム9がタイヤ径方向に隣接する同種又は異種の複数のゴム部材から構成されている場合に、RFタグ16は、サイドゴム9を構成する複数のゴム部材の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
【0047】
RFタグ16は、スティフナー8と、このスティフナー8に隣接する部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、スティフナー8を配置することにより歪みが集中し難くなった位置に、RFタグ16を配置することができる。そのため、RFタグ16に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ16の耐久性を向上させることができる。RFタグ16は、例えば、
図1に示す例のように、スティフナー8と、サイドゴム9と、の間に挟み込まれて配置されてよい。
また、RFタグ16は、例えば、スティフナー8と、カーカス2と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。カーカス2のうちスティフナー8と共にRFタグ16を挟み込む部分は、スティフナー8に対してタイヤ幅方向の外側に位置してもよく、タイヤ幅方向の内側に位置してもよい。カーカス2のうちスティフナー8と共にRFタグ16を挟み込む部分が、スティフナー8に対してタイヤ幅方向の外側に位置する場合には、タイヤ幅方向のタイヤの外側からの衝撃や損傷により、RFタグ16に加わる負荷を、より低減できる。これにより、RFタグ16の耐久性を、より向上させることができる。
スティフナー8は、ゴムチェーファー13と隣接して配置されている部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ16は、スティフナー8と、ゴムチェーファー13と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
スティフナー8は、タイヤ幅方向の外側でハットゴム12に隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ16は、スティフナー8と、ハットゴム12と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
スティフナー8は、硬さの異なる複数のゴム部材から構成されてよい。かかる場合に、RFタグ16は、スティフナー8を構成する複数のゴム部材の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
RFタグ16は、ハットゴム12と、このハットゴム12に隣接する部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。RFタグ16は、例えば、ハットゴム12と、カーカス2と、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、RFタグ16への衝撃を、ハットゴム12により緩和できる。そのため、RFタグ16の耐久性を向上させることができる。
【0048】
RFタグ16は、例えば、ゴムチェーファー13と、サイドゴム9と、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、ゴムチェーファー13を配置することにより歪みが集中し難くなった位置に、RFタグ16を配置することができる。そのため、RFタグ16に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ16の耐久性を向上させることができる。
RFタグ16は、例えば、ゴムチェーファー13と、カーカス2と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。このようにすることで、リムから加わる衝撃や損傷により、RFタグ16に加わる負荷を低減できる。そのため、RFタグ16の耐久性を向上させることができる。
【0049】
RFタグ16は、ナイロンチェーファー14と、このナイロンチェーファー14のタイヤ幅方向の外側又は内側で隣接する別の部材と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。このようにすることで、タイヤ変形時に、RFタグ16の位置が変動し難くなる。そのため、タイヤ変形時にRFタグ16に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ16の耐久性を向上させることができる。
ナイロンチェーファー14は、例えば、タイヤ幅方向外側で、ゴムチェーファー13と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ16は、ナイロンチェーファー14と、ゴムチェーファー13と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。ナイロンチェーファー14は、例えば、タイヤ幅方向外側で、サイドゴム9と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ16は、ナイロンチェーファー14と、サイドゴム9と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
ナイロンチェーファー14は、例えば、タイヤ幅方向内側で、スティフナー8と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ16は、ナイロンチェーファー14と、スティフナー8と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。また、ナイロンチェーファー14は、例えば、タイヤ幅方向内側で、ハットゴム12と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ16は、ナイロンチェーファー14と、ハットゴム12と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。更に、ナイロンチェーファー14は、例えば、タイヤ幅方向内側で、カーカス2と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ16は、ナイロンチェーファー14と、カーカス2と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。更に、ナイロンチェーファー14は、例えば、タイヤ幅方向内側で、ワイヤーチェーファー15と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ16は、ナイロンチェーファー14と、ワイヤーチェーファー15と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
このように、RFタグ16は、ナイロンチェーファー14と、このナイロンチェーファー14のタイヤ幅方向の外側又は内側で隣接する別の部材と、の間に挟み込まれて配置されていてよい。特に、RFタグ16のタイヤ幅方向外側が、ナイロンチェーファー14に覆われることで、タイヤ幅方向でのタイヤの外側からの衝撃や損傷により、RFタグ16に加わる負荷を、より低減できる。そのため、RFタグ16の耐久性を、より向上させることができる。
【0050】
RFタグ16は、ワイヤーチェーファー15と、このワイヤーチェーファー15のタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。このようにすることで、タイヤ変形時に、RFタグ16の位置が変動し難くなる。そのため、タイヤ変形時にRFタグ16に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ16の耐久性を向上させることができる。ワイヤーチェーファー15がタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材は、例えば、ゴムチェーファー13などのゴム部材であってよい。また、ワイヤーチェーファー15がタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材は、例えば、カーカス2であってもよい。
【0051】
RFタグ16は、センタークッションゴム5と隣接する部材との間の位置に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、タイヤ生産時にRFタグ16を取り付け易く、RFタグ16を備えるタイヤの生産性を向上させることができる。RFタグ16は、例えば、センタークッションゴム5と、カーカス2との間に挟み込まれて配置されてよい。
【0052】
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を説明したものであり、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係るタイヤは、例えば、トラック及びバス用等の重荷重用タイヤとして、好適に利用できる。
【国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献】
【0054】
持続可能な社会の実現に向けて、SDGsが提唱されている。本発明の一実施形態は「No.7_エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」および「No.13_気候変動に具体的な対策を」などに貢献する技術となり得ると考えられる。
【符号の説明】
【0055】
1:重荷重用タイヤ、 2:カーカス、 3:ベルト、 3a:内側ベルト層(最内側ベルト層)、 3b:第2のベルト層(最広幅ベルト層)、 3c:第1のベルト層、 3d:外側ベルト層、 4:トレッド層、 5:センタークッションゴム、 6:ショルダークッションゴム、 7:ショルダー主溝、 7a:ショルダー主溝の内側壁、 8:スティフナー、 9:サイドゴム、 10:インナーライナー、 11:ビードコア、 12:ハットゴム、 13:ゴムチェーファー、 14:ナイロンチェーファー、 15:ワイヤーチェーファー、 16:RFタグ、 CL:タイヤ赤道面