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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084061
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】観察システム、処理装置及び観察方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240617BHJP
   G01P 13/00 20060101ALI20240617BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240617BHJP
   G06V 20/54 20220101ALI20240617BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240617BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
G06T7/00 650B
G01P13/00 B
G08G1/16 D
G06V20/54
H04N23/60 500
H04N7/18 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198231
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100203264
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 未久
(72)【発明者】
【氏名】榊原 大介
(72)【発明者】
【氏名】稲冨 隆彦
【テーマコード(参考)】
2F034
5C054
5C122
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
2F034BA08
5C054CA05
5C054CC02
5C054DA07
5C054EA01
5C054FC12
5C054FC13
5C054HA26
5C054HA30
5C122DA11
5C122DA16
5C122EA06
5C122FH10
5C122FH11
5C122FH12
5C122FH14
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB05
5C122HB09
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB20
5H181CC02
5H181CC04
5H181LL08
5H181LL15
5L096AA03
5L096AA06
5L096BA04
5L096CA04
5L096DA02
5L096FA02
5L096FA18
5L096FA69
5L096GA51
5L096HA05
(57)【要約】
【課題】赤外線画像によって対象物を精度良く検出する技術を提供する。
【解決手段】観察システムは、検出装置と、処理装置とを含む。検出装置は、物体の画像を含む赤外線画像から、物体を移動体として検出する。処理装置は、赤外線画像である第1赤外線画像に含まれる第1物体と、第1赤外線画像よりも過去に撮像された赤外線画像である第2赤外線画像に含まれる第2物体に対する検出装置の検出結果に基づいて、第1赤外線画像において移動体として検出された第1物体を静止物体と判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の画像を含む赤外線画像から、前記物体を移動体として検出する検出装置と、
前記赤外線画像である第1赤外線画像に含まれる第1物体と、前記第1赤外線画像よりも過去に撮像された前記赤外線画像である第2赤外線画像に含まれる第2物体に対する前記検出装置の検出結果に基づいて、前記第1赤外線画像において移動体として検出された前記第1物体を静止物体と判定する処理装置と、を含む、観察システム。
【請求項2】
前記処理装置は、前記検出装置が、所定期間に撮像された前記第1赤外線画像及び前記第2赤外線画像を含む複数の赤外線画像のうち、前記第1物体と他の赤外線画像に含まれる物体とが同一の物体ではないと所定回数以上検出した場合に、前記第1物体を静止物体と判定する、請求項1に記載の観察システム。
【請求項3】
前記処理装置は、
物体を一意に識別可能な識別子と、当該物体の位置情報とを含むデータを前記検出装置から取得し、
前記第1物体の前記識別子と、前記第1赤外線画像よりも過去に撮像された前記第2赤外線画像を含む複数の前記赤外線画像に含まれる前記第2物体の識別子が一致せず、前記第1物体の位置から所定の範囲内の位置に前記第2物体が存在する場合、前記第1物体と前記第2物体とを同じ物体とみなす処理を実行する、請求項1に記載の観察システム。
【請求項4】
前記処理装置は、前記第1物体の移動速度が第1閾値を下回る場合、前記第1物体を前記第2物体と異なる物体であるとみなす処理を実行する、請求項3に記載の観察システム。
【請求項5】
前記処理装置は、
前記第2物体と同じ物体とみなす処理が実行された前記第1物体が、第2閾値以上の移動速度で移動し続けている場合、前記第2物体が路面の模様であると判定する、請求項1に記載の観察システム。
【請求項6】
前記処理装置は、
物体を一意に特定する識別子を含むデータを前記検出装置から取得し、
前記第2物体の静止時間が第3閾値以上である場合、又は、前記第2物体と同じ物体とみなす処理が実行された前記第1物体の識別子が前記第2赤外線画像を含む複数の赤外線画像に含まれる物体の識別子と所定回数以上異なる場合、前記第2物体が障害物であると判定する、請求項1に記載の観察システム。
【請求項7】
赤外線画像である第1赤外線画像に含まれる第1物体と、前記第1赤外線画像よりも過去に撮像された赤外線画像である第2赤外線画像に含まれる第2物体に対する検出結果に基づいて、前記第1赤外線画像において移動体として検出された前記第1物体を静止物体と判定する制御部を備える、処理装置。
【請求項8】
物体の画像を含む赤外線画像から、前記物体を移動体として検出することと、
前記赤外線画像である第1赤外線画像に含まれる第1物体と、前記第1赤外線画像よりも過去に撮像された前記赤外線画像である第2赤外線画像に含まれる第2物体に対する検出結果に基づいて、前記第1赤外線画像において移動体として検出された前記第1物体を静止物体と判定することと、を含む、観察方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、観察システム、処理装置及び観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラが生成した画像に対して画像処理を実行することにより対象物を検出する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-117087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象物を画像処理によって検出する技術に、赤外線カメラが生成した赤外線画像を採用することは有用である。赤外線画像を採用すれば、暗所で対象物を検出したり、遠方の対象物を検出したりすることができる。赤外線画像によって対象物を精度良く検出する技術が望まれる。
【0005】
かかる点に鑑みてなされた本開示の目的は、赤外線画像によって対象物を精度良く検出する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る観察システムは、
物体の画像を含む赤外線画像から、前記物体を移動体として検出する検出装置と、
前記赤外線画像である第1赤外線画像に含まれる第1物体と、前記第1赤外線画像よりも過去に撮像された前記赤外線画像である第2赤外線画像に含まれる第2物体に対する前記検出装置の検出結果に基づいて、前記第1赤外線画像において移動体として検出された前記第1物体を静止物体と判定する処理装置と、を含む。
【0007】
本開示の一実施形態に係る処理装置は、
赤外線画像である第1赤外線画像に含まれる第1物体と、前記第1赤外線画像よりも過去に撮像された赤外線画像である第2赤外線画像に含まれる第2物体に対する検出結果に基づいて、前記第1赤外線画像において移動体として検出された前記第1物体を静止物体と判定する制御部を備える。
【0008】
本開示の一実施形態に係る観察方法は、
物体の画像を含む赤外線画像から、前記物体を移動体として検出することと、
前記赤外線画像である第1赤外線画像に含まれる第1物体と、前記第1赤外線画像よりも過去に撮像された前記赤外線画像である第2赤外線画像に含まれる第2物体に対する検出結果に基づいて、前記第1赤外線画像において移動体として検出された前記第1物体を静止物体と判定することと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、赤外線画像によって対象物を精度良く検出する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る観察システムの概略構成を示す図である。
図2図1に示す観察システムのブロック図である。
図3】赤外線画像の一例を示す図である。
図4】トラッキングデータの一例を示す図である。
図5】赤外線画像の一例を示す図である。
図6】観察処理の流れを示すフローチャートである。
図7】同一性判定処理の流れを示すフローチャートである。
図8】誤検出判定処理の流れを示すフローチャートである。
図9】トラッキングデータの削除処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る観察システム1は、路側システム又は路側機である。観察システム1は、通信システムに含まれる。観察システム1を含む通信システムは、例えば、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)の安全運転支援通信システムである。安全運転支援通信システムは、安全運転支援システムと呼ばれたり、安全運転支援無線システムと呼ばれたりする。
【0013】
観察システム1は、例えば、交差点等の路側帯に配置される。観察システム1は、観察領域を観察する。観察領域は、例えば、道路等の路面である。観察システム1は、観察領域を観察し、観察領域に存在する対象物を検出する。観察システム1が検出対象とする対象物は、予め設定される。対象物は、移動可能な物体(移動体)である。対象物の種類は、例えば、歩行者、自転車、自動二輪車、普通自動車及び大型自動車である。観察システム1は、対象物(移動体)を検出すると、後述するような通知データを周囲の移動体に送信する。
【0014】
観察システム1は、検出装置10と、処理装置20とを含む。検出装置10と処理装置20とは、通信線を介して通信可能である。
【0015】
図2に示すように、検出装置10は、赤外線カメラ11と、通信部12と、記憶部13と、制御部14とを備える。
【0016】
赤外線カメラ11は、例えば、遠赤外線カメラ又は近赤外線カメラである。本実施形態では、検出装置10は、1つの赤外線カメラ11を備える。ただし、検出装置10は、2つ以上の赤外線カメラ11を備えてよい。この場合、検出装置10は、遠赤外線カメラ及び近赤外線カメラの両方を備えてよい。
【0017】
赤外線カメラ11は、観察領域から放射される赤外線を検出することにより、観察領域の赤外線画像を生成可能である。赤外線カメラ11は、任意のフレームレートで赤外線画像を生成してよい。赤外線カメラ11は、図1に示すように、観察領域の赤外線画像を生成可能に構造物に固定される。構造物は、例えば、電柱又は街灯等である。
【0018】
通信部12は、通信線を介して処理装置20と通信可能な少なくとも1つの通信モジュールを含んで構成される。通信モジュールは、通信線の規格に対応した通信モジュールである。通信線の規格は、例えば、有線通信規格又は近距離無線通信規格である。
【0019】
記憶部13は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ又はこれらのうちの少なくとも2種類の組み合わせを含んで構成される。半導体メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等である。RAMは、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)等である。ROMは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等である。記憶部13は、主記憶装置、補助記憶装置又はキャッシュメモリとして機能してよい。記憶部13には、検出装置10の動作に用いられるデータと、検出装置10の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0020】
制御部14は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路又はこれらの組み合わせを含んで構成される。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。制御部14は、検出装置10の各部を制御しながら、検出装置10の動作に関わる処理を実行する。
【0021】
制御部14は、赤外線カメラ11から赤外線画像のデータを取得する。制御部14は、赤外線画像に対して画像認識処理を実行することにより、対象物を検出する。画像認識処理は、例えば、パターンマッチング又は深層学習等の機械学習等の処理である。赤外線画像のデータは、可視光画像のデータとは異なり、彩度の情報等を含まない。そのため、制御部14は、赤外線画像に対する画像認識処理によって赤外線画像に描画された物体の形状を認識することにより、対象物を検出する。
【0022】
制御部14は、対象物を検出すると、検出した対象物にオブジェクトIDを付与する。オブジェクトIDは、検出した対象物を一意に識別可能な識別情報である。オブジェクトIDは、対象物の識別子の一例である。後述するように第1周期毎に画像認識処理を実行して対象物を検出する場合、制御部14は、第1周期毎に検出する対象物において、同じ物体に対応する対象物には、同じオブジェクトIDを付与する。制御部14は、第1周期毎に検出する対象物において、異なる物体に対応する対象物には、異なるオブジェクトIDを付与する。
【0023】
制御部14は、対象物を検出すると、対象物の検出データを検出する。制御部14は、赤外線画像に対して画像認識処理を実行することにより、対象物の検出データを検出してよい。対象物の検出データは、例えば、対象物の種類、対象物の位置情報及び対象物の速度情報等を含む。本実施形態では、対象物の位置情報は、対象物の赤外線画像上の位置情報であるものとする。ただし、対象物の位置情報は、対象物の実空間上の位置情報であってもよい。対象物の赤外線画像上の位置情報は、赤外線画像に対して定めされる2次元座標系で与えられてよい。この2次元座標系は、例えば、後述の図5に示すようなxy座標系である。xy座標系は、互いに直交するx軸方向及びy軸方向によって構成される。
【0024】
制御部14は、対象物を検出すると、対象物のオブジェクトIDとともに対象物の検出データを通信部12によって処理装置20に送信する。
【0025】
制御部14は、第1周期毎に、赤外線カメラ11から赤外線画像のデータを取得し、取得した赤外線画像に対して画像認識処理を実行することにより対象物を検出してよい。第1周期は、予め設定されてよい。第1周期は、赤外線カメラ11が赤外線画像を生成するフレームレートに基づいて設定されてよい。制御部14は、第1周期毎に、対象物のオブジェクトIDとともに対象物の検出データを処理装置20に送信してよい。
【0026】
ところで、上述したように、赤外線画像のデータは、可視光画像のデータとは異なり、彩度の情報等を含まない。そのため、制御部14は、赤外線画像に対する画像認識処理によって赤外線画像に描画された物体の形状を認識することにより、対象物を検出する。したがって、赤外線画像に描画された静止物体の形状が対象物の形状に類似していると、制御部14が、その静止物体を対象物として誤検出してしまう場合がある。以下、この誤検出の一例を、図3を参照して説明する。
【0027】
例えば、図3に、赤外線画像30を示す。制御部14は、赤外線画像30に対して画像認識処理を実行することにより、バウンディングボックス31,32,32に描画された物体を対象物として検出する。具体的には、制御部14は、バウンディングボックス31,32のそれぞれに描画された物体を対象物の歩行者として検出する。また、制御部14は、バウンディングボックス33に描画された物体を対象物の普通自動車として検出する。ここで、バウンディングボックス32に描画された物体は、静止物体であるガードレールの端部である。つまり、バウンディングボックス32に描画された物体は、歩行者ではない。しかしながら、バウンディングボックス32に描画された物体の形状が歩行者の形状と類似しているため、制御部14は、この物体を歩行者として誤検出している。
【0028】
このように検出装置10が静止物体を対象物として誤検出した場合であっても、本実施形態では、処理装置20が後述するように対象物として誤検出された静止物体を特定することができる。
【0029】
図2に示すように、処理装置20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。
【0030】
通信部21は、路面上の移動体と通信可能な少なくとも1つの通信モジュールを含んで構成される。通信モジュールは、例えば、路車間通信の規格に対応した通信モジュールである。通信部21は、この通信モジュールによって、例えばITSに割り当てられている700MHz帯において路面上の移動体と無線通信を実行してよい。
【0031】
通信部21は、通信線を介して検出装置10と通信可能な少なくとも1つの通信モジュールを含んで構成される。通信モジュールは、通信線の規格に対応した通信モジュールである。通信線の規格は、例えば、有線通信規格又は近距離無線通信規格である。
【0032】
記憶部22は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ又はこれらのうちの少なくとも2種類の組み合わせを含んで構成される。半導体メモリは、例えば、RAM又はROM等である。RAMは、例えば、SRAM又はDRAM等である。ROMは、例えば、EEPROM等である。記憶部22は、主記憶装置、補助記憶装置又はキャッシュメモリとして機能してよい。記憶部22には、処理装置20の動作に用いられるデータと、処理装置20の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0033】
制御部23は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路又はこれらの組み合わせを含んで構成される。プロセッサは、例えば、CPU若しくはGPU等の汎用プロセッサ又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA又はASIC等である。制御部23は、処理装置20の各部を制御しながら、処理装置20の動作に関わる処理を実行する。
【0034】
制御部23は、検出装置10から、対象物のオブジェクトIDとともに対象物の検出データを、通信部21によって受信する。制御部23は、順次受信するこれらのデータによって、同じ物体に対応する対象物をトラッキングする。上述したように、対象物は、歩行者等の移動可能な物体である。制御部23は、同じ物体に対応する対象物をトラッキングすることにより、物体が対象物として誤検出された静止物体であるか否かを判定する。
【0035】
制御部23は、同じ物体に対応する対象物をトラッキングすることにより、当該物体の静止時間が時間閾値(第3閾値)以上であると判定した場合、当該物体が対象物として誤検出された静止物体であると判定してよい。物体の静止時間は、物体が静止状態を維持し続けている時間である。時間閾値は、歩行者等の対象物が一時停止する時間に基づいて設定されてよい。時間閾値は、歩行者等の対象物が一時停止する時間以上であってよい。時間閾値は、例えば、30秒である。物体の静止時間が時間閾値以上である場合、当該物体が静止物体であり、さらに検出装置10によって対象物として連続的に誤検出され続けている可能性が高い。よって、このような構成により、制御部23は、精度良く、物体が対象物として誤検出された静止物体であるか否かを判定することができる。
【0036】
制御部23は、同じ物体に対応する対象物をトラッキングすることにより、例えば、複数の第1周期を含む所定期間において、静止状態の当該物体が検出装置10によって異なる対象物として回数閾値(所定回数)以上検出されたと判定した場合、当該物体が対象物として誤検出された静止物体であると判定してよい。回数閾値は、静止物体が過去に異なる対象物として誤検出された回数に基づいて設定されてよい。ここで、同じ物体であっても、異なる時刻に生成された複数の赤外線画像のそれぞれにおいて描画されるその形状が異なる場合がある。同じ物体であっても、異なる時刻に生成された複数の赤外線画像のそれぞれにおいて描画されるその形状が異なると、検出装置10が異なる対象物として検出してしまう場合がある。つまり、同じ静止物体であっても、検出装置10によって異なる対象物として複数回検出される場合がある。よって、このような構成により、制御部23は、精度良く、物体が対象物として誤検出された静止物体であるか否かを判定することができる。
【0037】
ここで、上述したように、同じ物体であっても、異なる時刻に生成された複数の赤外線画像のそれぞれにおいて描画されるその形状が異なると、検出装置10が異なる対象物として検出してしまう場合がある。同じ物体であっても、異なる時刻において、検出装置10が異なる対象物として検出してしまうと、検出装置10によって異なるオブジェクトIDが付与される。
【0038】
そこで、制御部23は、異なるオブジェクトIDが付与されている対象物であっても、同じ物体に対応する可能性が高い場合、それらを同じ物体とみなしてトラッキングしてよい。制御部23は、順次受信する対象物のオブジェクトID及び対象物の検出データによって、対象物のトラッキングデータを生成又は更新していくことにより、対象物をトラッキングしてよい。以下、トラッキングデータを用いた処理について説明する。
【0039】
図4に、トラッキングデータの一例を示す。トラッキングデータには、同じ物体に対応する対象物のデータが物体のデータとして登録される。図4では、リスト番号毎に、物体のデータが登録される。物体のデータは、物体のオブジェクトID、物体の静止時間、変更前のオブジェクトID、オブジェクトIDの変更回数、最新の受信時刻、物体の位置情報、物体の種類及び路面フラグを含む。
【0040】
物体のオブジェクトIDは、物体を一意に識別可能な識別情報である。物体のオブジェクトIDは、物体の識別子の一例である。制御部23は、検出装置10から順次受信する同じ物体に対応する対象物のオブジェクトIDのうち、最新のオブジェクトIDを物体のオブジェクトIDとして登録する。つまり、物体のオブジェクトIDは、その物体に対応する対象物の最新のオブジェクトIDとなる。
【0041】
物体の静止時間は、上述したように、物体が静止状態を維持し続けている時間である。トラッキングデータでは、物体の静止時間として、物体のオブジェクトIDが最新のオブジェクトIDに変更されてから、その物体が静止状態を維持し続けている時間が登録される。トラッキングデータには、後述する処理によって、静止状態とみなせる物体のデータが登録される。したがって、制御部23は、物体のオブジェクトIDが最新のオブジェクトIDに変更された時刻から現在時刻までをカウントすることにより、静止時間をカウントする。
【0042】
変更前のオブジェクトIDは、物体のオブジェクトIDが最新のオブジェクトIDに変更される前のオブジェクトIDである。
【0043】
オブジェクトIDの変更回数は、物体のオブジェクトIDが変更された回数である。
【0044】
最新の受信時刻は、検出装置10から順次受信する同じ物体に対応する対象物の検出データのうちの最新の検出データを処理装置20が検出装置10から受信した時刻である。
【0045】
物体の位置情報は、物体の赤外線画像上の位置情報である。制御部23は、検出装置10から順次受信する同じ物体に対応する対象物の検出データのうちの最新の検出データに含まれる対象物の位置情報を物体の位置情報として登録する。
【0046】
物体の種類は、歩行者、自転車、自動二輪車、普通自動車及び大型自動車との対象物の種類と、障害物と、路面(例えば、路面の模様)とを含む。障害物は、上述した対象物の種類に含まれない静止物体である。障害物は、例えば、図3に示されるようなガードレールである。制御部23は、検出装置10から順次受信する同じ物体に対応する対象物の検出データのうちの最新の検出データに含まれる対象物の種類を物体の種類として登録する。後述するように、トラッキングデータに登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体であると判定されると、この物体の種類は、障害物又は路面に更新される。
【0047】
路面フラグは、物体が路面である可能性が高いか否かを示すフラグである。路面フラグは、「True」又は「False」に設定される。「True」との路面フラグは、物体が路面である可能性が高いことを示す。「False」との路面フラグは、物体が路面である可能性が低いことを示す。路面フラグは、物体のデータをトラッキングデータに登録する際、「False」に設定される。
【0048】
制御部23は、対象物のオブジェクトID及び検出データを受信すると、トラッキングデータを生成又は更新する前に、同一判定処理を実行する。
【0049】
<同一性判定処理>
同一性判定処理は、処理対象物(第1物体)がトラッキングデータに登録済みの物体(第2物体)の何れかと同じ物体であるか否かを判定する処理である。処理対象物は、検出装置10から制御部23がオブジェクトIDを受信した対象物である。以下、受信したオブジェクトIDは、「処理対象物のオブジェクトID」とも記載される。本実施形態に係る同一性判定処理は、第1判定処理と、第2判定処理とを含む。まず、制御部23は、第1判定処理を実行する。
【0050】
<<第1判定処理>>
第1判定処理は、受信したオブジェクトIDがトラッキングデータに登録済みの物体のオブジェクトIDの何れかに一致するか否かを判定する処理である。
【0051】
制御部23は、第1判定処理において受信したオブジェクトIDがトラッキングデータに登録済みの物体のオブジェクトIDの何れかに一致すると判定した場合、処理対象物がトラッキングデータに登録済みの物体と同じ物体であると判定する。この場合、制御部23は、同一性判定処理において処理対象物がトラッキングデータに登録済みの物体と同じ物体であると判定する。
【0052】
制御部23は、第1判定処理において受信したオブジェクトIDがトラッキングデータに登録済みの物体のオブジェクトIDの何れとも一致しないと判定した場合、第2判定処理を実行する。
【0053】
<<第2判定処理>>
第2判定処理は、処理対象物とトラッキングデータに登録済みの物体とが同じ物体であるとみなせるか否かを判定する処理である。本実施形態では、制御部23は、処理対象物から基準範囲(所定の範囲)内にトラッキングデータに登録済みの物体が存在するか否かを判定することにより、第2判定処理を実行する。基準範囲は、第1周期及び対象物の平均速度等に基づいて、設定されてよい。制御部23は、オブジェクトIDとともに受信した対象物の検出データに含まれる対象物の位置情報と、トラッキングデータに登録済みの物体の位置情報とを比較することにより、第2判定処理を実行する。本実施形態では、上述したように、対象物の位置情報は、対象物の赤外線画像上の位置情報である。したがって、基準範囲は、赤外線画像上の範囲として設定されてよい。ただし、対象物の位置情報が対象物の実空間上の位置情報である場合、基準範囲は、実空間上の範囲として設定されてよい。
【0054】
制御部23は、第2判定処理において処理対象物から基準範囲内に登録済みの物体が存在すると判定した場合、処理対象物と当該登録済みの物体とが同じ物体であるとみなせると判定する。制御部23は、処理対象物と当該登録済みの物体とが同じ物体であるとみなせると判定した場合、同一性判定処理において処理対象物がトラッキングデータに登録済みの物体と同じであると判定する。
【0055】
制御部23は、処理対象物から基準範囲内に登録済みの物体が存在しないと判定した場合、処理対象物と同じ物体であるとみなせる登録済みの物体が存在しないと判定する。制御部23は、処理対象物と同じ物体であるとみなせる登録済みの物体が存在しないと判定した場合、同一性判定処理において処理対象物がトラッキングデータに登録済みの物体の何れとも同じ物体ではないと判定する。
【0056】
ここで、基準範囲は、赤外線画像に対して定められる2次元座標系における互いに異なる2方向のそれぞれにおいて異なる範囲で設定されてよい。例えば、基準範囲は、図5に示すようなx軸方向における第1距離範囲と、y軸方向における第2距離範囲とが異なるように、設定されてよい。例えば、第1距離範囲と第2距離範囲とが独立に設定されることにより、第1距離範囲と第2距離範囲とは、結果として異なるように設定される。第1距離範囲と第2距離範囲とは、赤外線画像に描画された構造物又は物体等の構成に応じて、独立に設定されてよい。このような構成により、静止物体ではない処理対象物のデータによってトラッキングデータに登録済みの物体のデータを更新してしまう可能性を低減することができる。例えば、図5に示すような赤外線画像34には、横断歩道が描画される。歩行者が横断歩道を進む方向は、x軸方向に対応する。図5では、第1距離範囲と第2距離範囲とを独立に設定することにより、第1距離範囲が、第2距離範囲よりも短くなるように設定されてよい。第1距離範囲は、例えば、実空間上の20cmに対応する赤外線画像上の距離であってよい。このような構成により、例えば、処理対象物が信号待ちをしている歩行者である場合、第2判定処理において、歩行者である処理対象物と、トラッキングデータに登録済みの歩行者ではない物体とが同じ物体であるとみなせると判定される可能性が低減する。結果として、同一性判定処理において、歩行者である処理対象物が、トラッキングデータに登録済みの歩行者ではない物体と同じ物体であると判定される可能性が低減する。これにより、歩行者である処理対象物のデータによって、トラッキングデータに登録済みの歩行者ではない物体のデータを更新してしまう可能性を低減することができる。
【0057】
<トラッキングデータの生成>
制御部23は、同一性判定処理において処理対象物がトラッキングデータに登録済みの物体の何れとも同じ物体ではないと判定した場合、処理対象物の速度が第1閾値を下回るか否かを判定する。第1閾値は、静止状態とみなせる速度であってもよいし、静止状態とみなせる速度に速度の検出誤差を加味したものであってもよい。第1閾値は、後述の第2閾値よりも大きくてよい。
【0058】
制御部23は、処理対象物の速度が第1閾値を下回ると判定した場合、処理対象物をトラッキングデータに新たに登録する。制御部23は、処理対象物をトラッキングデータに新たに登録することにより、その処理対象物のトラッキングデータを生成する。
【0059】
制御部23は、処理対象物の速度が第1閾値以上であると判定した場合、処理対象物をトラッキングデータには登録しない。処理対象物の速度が第1閾値以上である場合、処理対象物が誤検出された静止物体である可能性は低い。つまり、処理対象物は、歩行者、自転車、自動二輪車、普通自動車及び大型自動車の何れかである可能性が高い。
【0060】
<トラッキングデータの更新>
制御部23は、同一性判定処理において処理対象物がトラッキングデータに登録済みの物体の何れかと同じ物体であると判定した場合、処理対象物の速度が第2閾値を下回るか否かを判定する。第2閾値は、静止状態とみなせる速度であってよい。第2閾値は、第1閾値よりも小さくてよい。以下、同一性判定処理において処理対象物と同じ物体であると判定されたトラッキングデータに登録済みの物体は、「処理対象物に対応する登録済みの物体」とも記載される。
【0061】
制御部23は、処理対象物の速度が第2閾値以上であると判定した場合、処理対象物が停止状態から発進した対象物であるか否かを判定する。例えば、歩行者等の対象物は、一時停止した後に発進する場合がある。この場合、対象物が停止状態であるときに、制御部23が上述したように対象物の速度が第1閾値を下回ると判定し、当該対象物をトラッキングデータに登録してしまう場合がある。そこで、制御部23は、処理対象物が停止状態から発進した対象物であるか否かを判定する。一例として、制御部23は、処理対象物のオブジェクトIDがトラッキングデータにおいて処理対象物に対応する登録済みの物体のオブジェクトIDと一致し、且つ処理対象物の種類が当該登録済みの物体の種類と一致するか否かを判定する。処理対象物の種類は、処理対象物のオブジェクトIDとともに受信した対象物の検出データに含まれる対象物の種類である。制御部23は、処理対象物のオブジェクトIDが当該登録済みの物体のオブジェクトIDと一致し、且つ処理対象物の種類が当該登録済みの物体の種類と一致すると判定した場合、処理対象物が停止状態から発進した対象物であると判定する。一方、制御部23は、処理対象物のオブジェクトIDが当該登録済みの物体のオブジェクトIDと一致し、且つ処理対象物の種類が当該登録済みの物体の種類と一致すると判定しない場合、処理対象物が停止状態から発進した対象物ではないと判定する。
【0062】
制御部23は、処理対象物が停止状態から発進した対象物であると判定した場合、トラッキングデータから、処理対象物に対応する登録済みの物体のデータを削除する。又は、制御部23は、後述するトラッキングデータの削除処理において、処理対象物に対応する登録済みの物体のデータを削除してもよい。この場合、制御部23は、処理対象物に対応する登録済みの物体のデータに、削除フラグを付与してよい。
【0063】
制御部23は、処理対象物が停止状態から発進した対象物ではない(停止せずに第2閾値以上の移動速度で移動し続けている)と判定した場合、トラッキングデータにおいて処理対象物に対応する登録済みの物体が、誤検出された静止物体であると判定する。本実施形態では、制御部23は、当該登録済みの物体が路面である可能性が高いと判定する。制御部23は、トラッキングデータにおいて処理対象物に対応する登録済みの物体の路面フラグをTrueに更新する。このケースは、検出装置10が路面の模様を対象物として誤検出し、制御部23が対象物として誤検出された路面の模様をトラッキングデータに物体として登録し、処理対象物が登録済みの物体すなわち路面の模様上を通過した場合であると考えられる。制御部23は、トラッキングデータにおいて処理対象物に対応する登録済みの物体の種類を路面に更新する。
【0064】
制御部23は、処理対象物が第2閾値以上の移動速度で移動し続けている場合、登録済みの物体が路面(例えば、路面の模様)であると判定してもよい。制御部23は、登録済みの物体が路面であると判定した場合、トラッキングデータにおいて処理対象物に対応する登録済みの物体の種類を路面に更新してよい。
【0065】
制御部23は、処理対象物の速度が第2閾値を下回ると判定した場合すなわち処理対象物が静止状態とみなせると判定した場合、誤検出判定処理を実行する。
【0066】
<<誤検出判定処理>>
誤検出判定処理は、トラッキングデータに登録済みの物体のデータによって、処理対象物に対応する登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体であるか否かを判定する処理である。
【0067】
制御部23は、トラッキングデータから処理対象物に対応する登録済みの物体の静止時間の情報を取得する。制御部23は、取得した物体の静止時間が時間閾値(第3閾値)以上であるか否かを判定する。
【0068】
制御部23は、静止時間が時間閾値以上であると判定した場合、処理対象物に対応する登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体であると判定する。ここで、路面以外の静止物体は、交通上の障害物となり得る。そこで、制御部23は、登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体であると判定すると、トラッキングデータの当該登録済みの物体の種類を障害物に更新する。
【0069】
制御部23は、静止時間が時間閾値を下回ると判定した場合、例えば、複数の第1周期を含む所定期間における、トラッキングデータから処理対象物に対応する登録済みの物体のオブジェクトIDの変更回数の情報を取得する。制御部23は、取得したオブジェクトIDの変更回数が回数閾値(所定回数)以上であるか否かを判定する。回数閾値は、上述したように、静止物体が過去に異なる対象物として誤検出された回数に基づいて設定されてよい。つまり、トラッキンググデータを用いる場合、回数閾値は、過去に誤検出された静止物体のオブジェクトIDが変更された回数に基づいて設定されてよい。
【0070】
制御部23は、オブジェクトIDの変更回数が回数閾値以上であると判定した場合、処理対象物に対応する登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体であると判定する。制御部23は、登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体であると判定すると、トラッキングデータの処理対象物に対応する登録済みの物体の種類を障害物に更新する。
【0071】
制御部23は、オブジェクトIDの変更回数が回数閾値を下回ると判定した場合、処理対象物に対応する登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体ではないと判定する。制御部23は、検出装置10から受信した処理対象物の検出データによって、トラッキングデータの処理対象物に対応する登録済みの物体のデータを更新する。例えば、制御部23は、処理対象物の検出データによって、物体のオブジェクトID、変更前のオブジェクトID、オブジェクトIDの変更回数、最新の受信時刻、物体の位置情報及び物体の種類の少なくとも何れかを更新する。
【0072】
<通知データの生成>
制御部23は、検出装置10から受信した対象物のオブジェクトID及び検出データと、更新後又は生成後のトラッキングデータとに基づいて、周囲の移動体に送信する通知データを生成する。通知データは、例えば、対象物のオブジェクトID、対象物の種類、対象物の実空間上の位置情報及び対象物の速度情報等を含む。制御部23は、検出装置10から受信した対象物の赤外線画像上の位置情報を実空間上の位置情報に変換することにより、対象物の実空間上の位置情報を取得してよい。
【0073】
制御部23は、第2周期毎に、通知データを生成してよい。第2周期は、検出装置10から処理装置20へ対象物のオブジェクトID等が送信される第1周期よりも長くてよい。制御部23は、第2周期内に検出装置10から受信した対象物のオブジェクトID及び検出データによって、通知データを生成してよい。
【0074】
通知データの生成において、制御部23は、トラッキングデータを参照し、物体の種類が障害物である物体を特定してよい。物体の種類が障害物である物体は、上述したように、対象物として誤検出された静止物体である。制御部23は、物体の種類が障害物である物体については、通知データにおける対象物の種類を障害物にした上で通知データに含めてよい。通知データにおける対象物の種類を障害物にしておくことにより、通知データを受信した移動体は、障害物の存在を把握することができる。このような構成により、交通上の安全を確保することができる。また、交通安全支援システムにおいて移動可能な物体のみを注視する場合がある。この場合、制御部23は、物体の種類が障害物である物体については、通知データに含めなくてもよい。このような構成により、処理装置20と移動体との間の通信量を削減することができる。
【0075】
通知データの生成において、制御部23は、トラッキングデータを参照し、物体の種類が路面である物体を特定してよい。制御部23は、物体の種類が路面である物体については、通知データに含めなくてもよい。路面は、交通上の障害物になる可能性が低い。物体の種類が路面である物体を通知データに含めないことにより、処理装置20と移動体との間の通信量を削減することができる。
【0076】
制御部23は、生成した通知データを周囲の移動体に通信部21によって送信する。制御部23は、トラッキングデータから物体の種類が障害物又は路面である物体のデータを、通知データの生成後に削除してよいし、後述するトラッキングデータの削除処理において削除してもよい。
【0077】
<トラッキングデータの削除処理>
制御部23は、タイマー時間毎に、トラッキングデータの削除処理を実行する。タイマー時間は、記憶部22の記憶容量に基づいて設定されてよい。
【0078】
制御部23は、最新の検出データの受信時刻から現在時刻までの時間が設定時間以上の登録済みの物体のデータをトラッキングデータから削除する。設定時間は、記憶部22の記憶容量に基づいて設定されてよい。このような構成により、検出装置10によってある程度の時間検出されない物体のデータをトラッキングデータから削除することができる。このような物体のデータをトラッキングデータから削除することにより、制御部23がトラッキングデータ内を検索する際の処理負荷を削減することができる。
【0079】
本実施形態では、制御部23は、タイマー時間毎に、トラッキングデータを参照し、最新の検出データの受信時刻から現在時刻までの時間が設定時間以上の物体が存在するか否かを判定する。制御部23は、最新の検出データの受信時刻から現在時刻までの時間が設定時間以上の物体が存在すると判定した場合、最新の検出データの受信時刻から現在時刻までの時間が設定時間以上の物体のデータをトラッキングデータから削除する。
【0080】
図6は、観察処理の流れを示すフローチャートである。図6に示す観察処理は、本実施形態に係る観察方法の一例に相当する。検出装置10が対象物のオブジェクトIDとともに対象物の検出データを処理装置20に送信すると、制御部23は、ステップS1の処理を開始する。
【0081】
制御部23は、検出装置10から、対象物のオブジェクトIDとともに対象物の検出データを、通信部21によって受信する(ステップS1)。
【0082】
制御部23は、処理対象物(第1物体)がトラッキングデータに登録済みの物体(第2物体)の何れかと同じ物体であるか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2の処理は、同一性判定処理である。
【0083】
制御部23は、処理対象物がトラッキングデータに登録済みの物体の何れとも同じ物体ではないと判定した場合(ステップS2:NO)、ステップS3の処理に進む。制御部23は、処理対象物がトラッキングデータに登録済みの物体の何れかと同じ物体であると判定した場合(ステップS2:YES)、ステップS5の処理に進む。
【0084】
ステップS3の処理では、制御部23は、処理対象物の速度が第1閾値を下回るか否かを判定する。制御部23は、処理対象物の速度が第1閾値を下回ると判定した場合(ステップS3:YES)、処理対象物をトラッキングデータに新たに登録する(ステップS4)。制御部23は、処理対象物の速度が第1閾値以上であると判定した場合(ステップS3:NO)、ステップS14の処理に進む。
【0085】
ステップS5の処理では、制御部23は、処理対象物の速度が第2閾値を下回るか否かを判定する。制御部23は、処理対象物の速度が第2閾値以上であると判定した場合(ステップS5:NO)、ステップS6の処理に進む。制御部23は、処理対象物の速度が第2閾値を下回ると判定した場合(ステップS5:YES)、ステップS11の処理に進む。
【0086】
ステップS6の処理では、制御部23は、処理対象物が停止状態から発進した対象物であるか否かを判定する。制御部23は、処理対象物が停止状態から発進した対象物であると判定した場合(ステップS6:YES)、ステップS7の処理に進む。制御部23は、処理対象物が停止状態から発進した対象物ではないと判定した場合(ステップS6:NO)、ステップS8の処理進む。
【0087】
ステップS7の処理では、制御部23は、トラッキングデータから、処理対象物に対応する登録済みの物体のデータを削除する。トラッキングデータから当該登録済みの物体のデータを削除する代わりに、制御部23は、トラッキングデータにおける処理対象物に対応する登録済みの物体のデータに、削除フラグを付与してもよい。
【0088】
ステップS8の処理では、制御部23は、トラッキングデータにおいて処理対象物に対応する登録済みの物体が、誤検出された静止物体であると判定する。ステップS9の処理では、制御部23は、トラッキングデータにおいて処理対象物に対応する登録済みの物体の路面フラグをTrueに更新する。ステップS10の処理では、制御部23は、トラッキングデータにおいて処理対象物に対応する登録済みの物体の種類を路面に更新する。
【0089】
ステップS11の処理では、制御部23は、トラッキングデータに登録済みの物体のデータによって、処理対象物に対応する登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体であるか否かを判定する。ステップS11の処理は、誤検出判定処理である。
【0090】
制御部23は、処理対象物に対応する登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体ではないと判定した場合(ステップS11:NO)、ステップS12の処理に進む。制御部23は、処理対象物に対応する登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体であると判定した場合(ステップS11:YES)、ステップS13の処理に進む。
【0091】
ステップS12の処理では、制御部23は、検出装置10から受信した処理対象物の検出データによって、トラッキングデータの処理対象物に対応する登録済みの物体のデータを更新する。
【0092】
ステップS13の処理では、制御部23は、トラッキングデータの処理対象物に対応する登録済みの物体の種類を障害物に更新する。
【0093】
ステップS14の処理では、制御部23は、検出装置10から受信した対象物のオブジェクトID及び検出データと、更新後又は生成後のトラッキングデータとに基づいて、周囲の移動体に通知する通知データを生成する。制御部23は、通知データの生成後、トラッキングデータから、物体の種類が障害物又は路面である物体のデータを削除してもよい。制御部23は、生成した通知データを周囲の移動体に通信部21によって送信する。
【0094】
図7は、同一性判定処理の流れを示すフローチャートである。図7に示す同一性判定処理は、図6に示すようなステップS2の処理に対応する。制御部23は、図6に示すようなステップS1の処理の実行後、ステップS21の処理を開始する。
【0095】
制御部23は、ステップS1の処理で受信したオブジェクトIDがトラッキングデータに登録済みの物体のオブジェクトIDの何れかに一致するか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21の処理は、第1判定処理である。
【0096】
制御部23は、受信したオブジェクトIDがトラッキングデータに登録済みの物体のオブジェクトIDの何れかに一致すると判定した場合(ステップS21:YES)、ステップS26の処理に進む。
【0097】
制御部23は、受信したオブジェクトIDがトラッキングデータに登録済みの物体のオブジェクトIDの何れとも一致しないと判定した場合(ステップS21:NO)、ステップS22の処理に進む。
【0098】
ステップS22の処理では、制御部23は、処理対象物から基準範囲内にトラッキングデータに登録済みの物体が存在するか否かを判定する。ステップS22の処理は、第2判定処理に対応する。
【0099】
制御部23は、処理対象物から基準範囲内に登録済みの物体が存在しないと判定した場合(ステップS22:NO)、処理対象物と同じ物体であるとみなせる登録済みの物体が存在しないと判定する(ステップS23)。制御部23は、処理対象物と同じ物体であるとみなせる登録済みの物体が存在しないと判定した場合、処理対象物がトラッキングデータに登録済みの物体の何れとも同じ物体ではないと判定する(ステップS24)。制御部23は、ステップS24の処理の実行後、図6に示すようなステップS3の処理に進む。
【0100】
制御部23は、処理対象物から基準範囲内に登録済みの物体が存在すると判定した場合(ステップS22:YES)、ステップS25の処理に進む。ステップS25の処理では、制御部23は、処理対象物と当該登録済みの物体とが同じ物体であるとみなせると判定する。制御部23は、ステップS25の処理後、ステップS26の処理に進む。
【0101】
ステップS26の処理では、制御部23は、処理対象物がトラッキングデータに登録済みの物体と同じ物体であると判定する。制御部23は、ステップS26の処理の実行後、図6に示すようなステップS5の処理に進む。
【0102】
図8は、誤検出判定処理の流れを示すフローチャートである。図8に示す誤検出判定処理は、図6に示すようなステップS9の処理に対応する。制御部23は、図6に示す観察処理において処理対象物の速度が第2閾値を下回ると判定した場合(ステップS5:YES)、ステップS31の処理を開始する。
【0103】
制御部23は、トラッキングデータから処理対象物に対応する登録済みの物体の静止時間の情報を取得する(ステップS31)。制御部23は、取得した物体の静止時間が時間閾値以上であるか否かを判定する(ステップS32)。
【0104】
制御部23は、物体の静止時間が時間閾値以上であると判定した場合(ステップS32:YES)、ステップS35の処理に進む。
【0105】
制御部23は、物体の静止時間が時間閾値を下回ると判定した場合(ステップS32:NO)、ステップS33の処理に進む。
【0106】
ステップS33の処理では、制御部23は、トラッキングデータから処理対象物に対応する登録済みの物体のオブジェクトIDの変更回数の情報を取得する。制御部23は、取得したオブジェクトIDの変更回数が回数閾値以上であるか否かを判定する(ステップS34)。
【0107】
制御部23は、オブジェクトIDの変更回数が回数閾値以上であると判定した場合(ステップS34:YES)、ステップS35の処理に進む。制御部23は、オブジェクトIDの変更回数が回数閾値を下回ると判定した場合(ステップS34:NO)、ステップS36の処理に進む。
【0108】
ステップS35の処理では、制御部23は、処理対象物に対応する登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体であると判定する。制御部23は、ステップS35の処理の実行後、図6に示すようなステップS11の処理に進む。
【0109】
ステップS36の処理では、制御部23は、処理対象物に対応する登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体ではないと判定する。制御部23は、ステップS36の処理の実行後、図6に示すようなステップS10の処理に進む。
【0110】
図9は、トラッキングデータの削除処理の流れを示すフローチャートである。トラッキングデータの削除処理は、図6に示すような観察処理とは、非同期に実行されてよい。
【0111】
制御部23は、ステップS42の処理を前回実行してからタイマー時間が経過したか否かを判定する(ステップS41)。制御部23は、ステップS42の処理を前回実行してからタイマー時間が経過したと判定した場合(ステップS41:YES)、ステップS42の処理に進む。制御部23は、ステップS42の処理を前回実行してからタイマー時間が経過したと判定しない場合(ステップS41:NO)、ステップS41の処理を再度実行する。
【0112】
ステップS42の処理では、制御部23は、トラッキングデータを参照し、最新の検出データの受信時刻から現在時刻までの時間が設定時間以上の物体が存在するか否かを判定する。制御部23は、最新の検出データの受信時刻から現在時刻までの時間が設定時間以上の物体が存在すると判定した場合(ステップS42:YES)、ステップS43の処理に進む。制御部23は、最新の検出データの受信時刻から現在時刻までの時間が設定時間以上の物体が存在しないと判定した場合(ステップS42:NO)、ステップS41の処理に戻る。
【0113】
ステップS43の処理では、制御部23は、最新の検出データの受信時刻から現在時刻までの時間が設定時間以上の物体のデータをトラッキングデータから削除する。制御部23は、ステップS43の処理の実行後、ステップS41の処理に戻る。
【0114】
制御部23は、ステップS42の処理を前回実行してからタイマー時間が経過したと判定した場合(ステップS41:YES)、ステップS43の処理に進む前に、トラッキングデータを参照し、物体の種類が障害物又は路面である物体を特定してもよい。制御部23は、物体の種類が障害物又は路面である物体のデータをトラッキングデータから削除してもよい。
【0115】
制御部23は、ステップS42の処理を前回実行してからタイマー時間が経過したと判定した場合(ステップS41:YES)、ステップS43の処理に進む前に、トラッキングデータに削除フラグが付与された物体のデータが存在するか否かを判定してもよい。制御部23は、削除フラグが付与された物体のデータが存在すると判定した場合、トラッキングデータから、削除フラグが付与された物体のデータを削除してもよい。
【0116】
このように本実施形態に係る処理装置20では、制御部23は、赤外線画像である第1赤外線画像に含まれる第1物体と、第1赤外線画像よりも過去に撮像された赤外線画像である第2赤外線画像に含まれる第2物体に対する検出装置10の検出結果に基づいて、第1赤外線画像において移動体として検出された第1物体を静止物体と判定する。このような構成により、対象物として誤検出された静止物体を特定することができる。よって、本実施形態では、赤外線画像によって対象物を精度良く検出する技術を提供することができる。
【0117】
さらに、本実施形態では、制御部23は、同じ物体に対応する対象物をトラッキングすることにより、当該物体が対象物として誤検出された静止物体であるか否かを判定する。物体が対象物として誤検出された静止物体であるか否かを判定することにより、対象物として誤検出された静止物体を特定することができる。このような構成により、本実施形態では、赤外線画像によって対象物を精度良く検出する技術を提供することができる。
【0118】
また、本実施形態では、制御部23は、同じ物体に対応する対象物のトラッキングデータを生成又は更新することにより、対象物をトラッキングしてもよい。トラッキングデータを利用することにより、効率良く、対象物をトラッキングすることができる。
【0119】
また、本実施形態では、制御部23は、第1判定処理において受信したオブジェクトIDがトラッキングデータに登録済みの物体のオブジェクトIDの何れとも一致しないと判定した場合、第2判定処理を実行してもよい。上述したように、同じ物体であっても、検出装置10によって異なるオブジェクトIDが付与される場合がある。つまり、処理対象物とトラッキングデータに登録済みの物体とが同じ物体であっても、第1判定処理において受信した処理対象物のオブジェクトIDがトラッキングデータに登録済みの物体のオブジェクトIDの何れとも一致しないと判定される場合がある。このような場合、本実施形態では、処理対象物とトラッキングデータに登録済みの物体とが同じ物体であるとみなせるか否かを判定する第2判定処理が実行される。このような構成により、より確実に、同じ物体に対応する対象物をトラッキングすることができる。
【0120】
また、本実施形態では、第2判定処理における基準範囲は、赤外線画像に対して定められる2次元座標系における互いに異なる2方向のそれぞれにおいて異なる範囲で設定されてもよい。このような構成により、上述したように、静止物体ではない処理対象物のデータによってトラッキングデータに登録済みの物体のデータを更新してしまう可能性を低減することができる。
【0121】
また、本実施形態では、制御部23は、同一性判定処理において処理対象物がトラッキングデータに登録済みの物体の何れかと同じ物体であると判定した場合、処理対象物の速度が第2閾値を下回るか否かを判定してもよい。制御部23は、処理対象物の速度が第2閾値以上であると判定した場合、処理対象物に対応する登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体であると判定してもよい。このケースは、上述したように、検出装置10が路面の模様を対象物として誤検出し、制御部23が対象物として誤検出された路面の模様をトラッキングデータに物体として登録し、処理対象物が登録済みの物体すなわち路面の模様上を通過した場合と考えられる。よって、このような構成により、路面の模様が対象物として誤検出された場合であっても、路面の模様が誤検出されたことを検出することができる。
【0122】
また、本実施形態では、制御部23は、処理対象物の速度が第2閾値以上であると判定した場合、処理対象物が停止状態から発進した対象物であるか否かを判定してよい。制御部23は、処理対象物が停止状態から発進した対象物ではないと判定した場合、処理対象物に対応する登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体であると判定してもよい。上述したように、例えば、歩行者等の対象物は、一時停止した後に発進する場合がある。この場合、対象物が停止状態であるときに、制御部23が上述したように対象物の速度が第1閾値を下回ると判定し、当該対象物をトラッキングデータに登録してしまう場合がある。制御部23は、処理対象物が停止状態から発進した対象物であるか否かを判定することにより、より精度良く、処理対象物に対応する登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体であると判定することができる。
【0123】
また、本実施形態では、制御部23は、周囲の移動体に送信する通知データに、路面である可能性が高い登録済みの物体のデータを含めないようにしてもよい。上述したように、路面は、交通上の障害物になる可能性が低い。路面である可能性が高い対象物を通知データに含めないことにより、処理装置20と移動体との間の通信量を削減することができる。
【0124】
また、本実施形態では、制御部23は、同一性判定処理において処理対象物がトラッキングデータに登録済みの物体の何れかと同じ物体であると判定した場合、処理対象物の速度が第2閾値を下回るか否かを判定してもよい。制御部23は、処理対象物の速度が第2閾値を下回ると判定した場合、処理対象物に対応する登録済みの物体の静止時間の情報を取得してもよい。制御部23は、取得した物体の静止時間が時間閾値以上であると判定した場合、処理対象物に対応する登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体であると判定してもよい。処理対象物の速度が第2閾値を下回り、さらに処理対象物に対応する登録済みの物体の静止時間が時間閾値以上である場合、静止物体が連続して対象物として誤検出されている可能性が高い。よって、このような構成により、より精度良く、処理対象物に対応する登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体であると判定することができる。
【0125】
また、本実施形態では、制御部23は、取得した物体の静止時間が時間閾値を下回ると判定した場合、トラッキングデータから処理対象物に対応する登録済みの物体のオブジェクトIDの変更回数の情報を取得してもよい。制御部23は、取得した変更回数が回数閾値以上であると判定した場合、処理対象物に対応する登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体であると判定してもよい。上述したように、同じ静止物体であっても、検出装置10によって異なる対象物として複数回検出される場合がある。よって、このような構成により、より精度良く、処理対象物に対応する登録済みの物体が対象物として誤検出された静止物体であると判定することができる。
【0126】
また、本実施形態では、制御部23は、トラッキングデータにおける物体の種類が障害物である物体のデータについては、通知データにおける対象物の種類を障害物とした上で、周囲の移動体に送信する通知データに含めてもよい。通知データにおける対象物の種類を障害物にしておくことにより、通知データを受信した移動体は、障害物の存在を把握することができる。このような構成により、交通上の安全を確保することができる。
【0127】
また、本実施形態では、制御部23は、トラッキングデータにおける物体の種類が障害物である物体のデータについては、通知データに含めなくてもよい。このような構成により、処理装置20と移動体との間の通信量を削減することができる。
【0128】
また、本実施形態では、制御部23は、最新の検出データの受信時刻から現在時刻までの時間が設定時間以上の登録済みの物体のデータをトラッキングデータから削除してもよい。このような構成により、検出装置10によってある程度の時間検出されない物体のデータをトラッキングデータから削除することができる。このような物体のデータをトラッキングデータから削除することにより、制御部23がトラッキングデータ内を検索する際の処理負荷を削減することができる。
【0129】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能である。複数の機能部等は、1つに組み合わせられたり、分割されたりしてよい。上述した本開示に係る各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施され得る。つまり、本開示の内容は、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことができる。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれる。例えば、各実施形態において、各機能部、各手段、各ステップ等は論理的に矛盾しないように他の実施形態に追加し、若しくは、他の実施形態の各機能部、各手段、各ステップ等と置き換えることが可能である。また、各実施形態において、複数の各機能部、各手段、各ステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上述した本開示の各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施することもできる。
【0130】
例えば、処理装置20の制御部23は、図6に示すようなステップS4の処理において処理対象物をトラッキングデータに登録する際、処理対象物の速度を物体の登録時の速度としてトラッキングデータに登録してもよい。
【0131】
例えば、処理装置20は、検出装置10の制御部14を備えてもよい。処理装置20の制御部23は、上述した制御部14の機能を有してもよい。つまり、処理装置20の制御部23は、上述した制御部14が実行する処理と同じ又は類似の処理を実行してもよい。この場合、検出装置10は、赤外線カメラ11が生成した赤外線画像のデータを処理装置20に送信してよい。処理装置20が備える制御部14又は制御部23が、赤外線画像に対して画像認識処理を実行することにより、対象物を検出してよい。
【0132】
一実施形態において、(1)観察システムは、
物体の画像を含む赤外線画像から、前記物体を移動体として検出する検出装置と、
前記赤外線画像である第1赤外線画像に含まれる第1物体と、前記第1赤外線画像よりも過去に撮像された前記赤外線画像である第2赤外線画像に含まれる第2物体に対する前記検出装置の検出結果に基づいて、前記第1赤外線画像において移動体として検出された前記第1物体を静止物体と判定する処理装置と、を含む。
【0133】
(2)上記(1)に記載の観察システムにおいて、
前記処理装置は、前記検出装置が、所定期間に撮像された前記第1赤外線画像及び前記第2赤外線画像を含む複数の赤外線画像のうち、前記第1物体と他の赤外線画像に含まれる物体とが同一の物体ではないと所定回数以上検出した場合に、前記第1物体を静止物体と判定してもよい。
【0134】
(3)上記(1)又は(2)に記載の観察システムにおいて、
前記処理装置は、
物体を一意に特定する識別子と、当該物体の位置情報とを含むデータを前記検出装置から取得し、
前記第1物体の前記識別子と、前記第1赤外線画像よりも過去に撮像された前記第2赤外線画像を含む複数の前記赤外線画像に含まれる前記第2物体の識別子が一致せず、前記第1物体の位置から所定の範囲内の位置に前記第2物体が存在する場合、前記第1物体と前記第2物体とを同じ物体とみなす処理を実行してもよい。
【0135】
(4)上記(1)から(3)までの何れか1つに記載の観察システムにおいて、
前記処理装置は、前記第1物体の移動速度が第1閾値を下回る場合、前記第1物体を前記第2物体と異なる物体であるとみなす処理を実行してもよい。
【0136】
(5)上記(1)から(4)までの何れか1つに記載の観察システムにおいて、
前記処理装置は、
前記第2物体と同じ物体とみなす処理が実行された前記第1物体が、第2閾値以上の移動速度で移動し続けている場合、前記第2物体が路面の模様であると判定してもよい。
【0137】
(6)上記(1)から(5)までの何れか1つに記載の観察システムにおいて、
前記処理装置は、
物体を一意に特定する識別子を含むデータを前記検出装置から取得し、
前記第2物体の静止時間が第3閾値以上である場合、又は、前記第2物体と同じ物体とみなす処理が実行された前記第1物体の識別子が前記第2赤外線画像を含む複数の赤外線画像に含まれる物体の識別子と所定回数以上異なる場合、前記第2物体が障害物であると判定してもよい。
【0138】
一実施形態において、(7)処理装置は、
赤外線画像である第1赤外線画像に含まれる第1物体と、前記第1赤外線画像よりも過去に撮像された赤外線画像である第2赤外線画像に含まれる第2物体に対する検出結果に基づいて、前記第1赤外線画像において移動体として検出された前記第1物体を静止物体と判定する制御部を備える。
【0139】
一実施形態において、(8)観察方法は、
物体の画像を含む赤外線画像から、前記物体を移動体として検出することと、
前記赤外線画像である第1赤外線画像に含まれる第1物体と、前記第1赤外線画像よりも過去に撮像された前記赤外線画像である第2赤外線画像に含まれる第2物体に対する検出結果に基づいて、前記第1赤外線画像において移動体として検出された前記第1物体を静止物体と判定することと、を含む。
【符号の説明】
【0140】
1 観察システム
10 検出装置
11 赤外線カメラ
12 通信部
13 記憶部
14 制御部
20 処理装置
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
30,34 赤外線画像
31,32,33 バウンディングボックス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9