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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084064
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】米粉めんおよび米粉めんの麺生地
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20240617BHJP
【FI】
A23L7/109 G
A23L7/109 A
A23L7/109 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198234
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】505389880
【氏名又は名称】興和物産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129573
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博正
(72)【発明者】
【氏名】新井 利昌
【テーマコード(参考)】
4B046
【Fターム(参考)】
4B046LA07
4B046LB01
4B046LB04
4B046LC02
4B046LC08
4B046LC17
4B046LC20
4B046LE03
4B046LG09
4B046LG15
4B046LG19
4B046LG20
4B046LG29
4B046LG30
4B046LG37
4B046LP03
4B046LP41
(57)【要約】
【課題】量産により適していて、歯ごたえおよび旨味がより得られ、従来の米粉を用いた麺と異なる色の明るさおよび色調にする。
【解決手段】生めん類である米粉めんは、1.0重量%以上5.0重量%未満の昆布粉であって、粒径が75μm以下の昆布粉と、0.02重量%以上1.0重量%未満のアルギル酸エステルと、4.0重量%以上8.0重量%未満のグルテンと、8対2乃至3対7の重量比の米粉および小麦粉とが水で混捏されて製造される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生めん類である米粉めんにおいて、
1.0重量%以上5.0重量%未満の昆布粉であって、粒径が75μm以下の昆布粉と、
0.02重量%以上1.0重量%未満のアルギル酸エステルと、
4.0重量%以上8.0重量%未満のグルテンと、
8対2乃至3対7の重量比の米粉および小麦粉と
が水で混捏されて製造される米粉めん。
【請求項2】
請求項1に記載の米粉めんにおいて、
摂氏30度以下の温度の水で混捏して製造される
麺。
【請求項3】
請求項1に記載の米粉めんにおいて、
米粉は、50.0重量%とされている
麺。
【請求項4】
1.0重量%以上5.0重量%未満の昆布粉であって、粒径が75μm以下の昆布粉と、
0.02重量%以上1.0重量%未満のアルギル酸エステルと、
4.0重量%以上8.0重量%未満のグルテンと、
8対2乃至3対7の重量比の米粉および小麦粉と
が水で混捏されて製造される米粉めんの麺生地。
【請求項5】
請求項4に記載の米粉めんの麺生地において、
摂氏30度以下の温度の水で混捏して製造される
麺生地。
【請求項6】
請求項4に記載の米粉めんの麺生地において、
米粉は、50.0重量%とされている
麺生地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は米粉めんおよび米粉めんの麺生地に関し、特に、米粉を用いた米粉めんおよび米粉めんの麺生地に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、米粉を用いた製麺技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、アミロースの割合が15質量%以上23質量%以下である米粉を主原料とする乾燥米麺であって、89質量%以上の米粉と、0.1質量%以上1.0質量%以下のアルギン酸エステルと、含有量がアルギン酸エステルと同等以上である吸水性粒子とを含み、吸水性粒子は、粒径が50μm以上400μm以下であって、アルギン酸塩を主成分とし、吸水して体積増加及びゲル化する性質を有することを特徴とする乾燥米麺が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この乾燥米麺において、吸水性粒子は、昆布類、ワカメ類、もずく類及びあかもく類から選択される少なくとも1種である海藻類の粉末である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】常見崇史、他2名、“米粉を用いた新規製麺技術開発(3) -植物繊維を利用した米粉麺-”、埼玉県産業技術総合センター研究報告、第10巻、2012
【特許文献1】特開2019-17261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に記載の製麺技術では、米粉を糊化させるために摂氏90度以上に加熱する必要があり、量産に適していない。また、特許文献1の乾燥米麺では歯ごたえを出すのは困難である。さらに、従来の米粉を用いた麺は、うどんなどのように白くなってしまいがちであり、うどんと区別がつきにくい。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、量産により適していて、歯ごたえおよび旨味がより得られ、従来の米粉を用いた麺と異なる色の明るさおよび色調にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面の米粉めんは、生めん類である米粉めんであって、1.0重量%以上5.0重量%未満の昆布粉であって、粒径が75μm以下の昆布粉と、0.02重量%以上1.0重量%未満のアルギル酸エステルと、4.0重量%以上8.0重量%未満のグルテンと、8対2乃至3対7の重量比の米粉および小麦粉とが水で混捏されて製造される。
【0008】
摂氏30度以下の温度の水で混捏して製造することができる。
【0009】
米粉は、50.0重量%とすることができる。
【0010】
本発明の一側面の米粉めんの麺生地は、1.0重量%以上5.0重量%未満の昆布粉であって、粒径が75μm以下の昆布粉と、0.02重量%以上1.0重量%未満のアルギル酸エステルと、4.0重量%以上8.0重量%未満のグルテンと、8対2乃至3対7の重量比の米粉および小麦粉とが水で混捏されて製造される。
【0011】
摂氏30度以下の温度の水で混捏して製造することができる。
【0012】
米粉は、50.0重量%とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、量産により適していて、歯ごたえおよび旨味がより得られ、従来の米粉を用いた麺と異なる色の明るさおよび色調にできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】麺を噛む力を測定する測定器を説明する図である。
図2】麺を押す力を測定する測定器を説明する図である。
図3】昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれの遊離アミノ酸の成分量を示すグラフである。
図4】昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれの有機酸の成分量を示すグラフである。
図5】昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれの色の明るさおよび色調をLab値で示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る一実施の形態の米粉めんである昆布米粉麺および本発明に係る一実施の形態の米粉めんの麺生地である昆布米粉麺生地について説明する。昆布米粉麺および昆布米粉麺生地は、いずれも、米粉、小麦粉、昆布粉、アルギル酸エステルおよびグルテンを冷水で混捏して製造される。昆布米粉麺は、生めん、むしめん、ゆでめんまたは冷凍めんである。すなわち、昆布米粉麺は、生めん類である。
【0016】
なお、生めん類の表示に関する公正競争規約において、「この規約で「生めん類」とは、小麦粉等の穀粉類を主原料として製めん、成形したもの及び製めん、成形した後「ゆで」、「むし」、「油揚げ」、「半なま」又は「冷凍」の工程を経たもの(以下「加工したもの」という。)であって、「うどん」、「そば」、「中華めん」、「生マカロニ類」、「生スパゲッティ類」、「ソフトスパゲッティ式めん」、「大麦めん」、「大麦そば」、「冷めん」、「米粉めん」及び「ぎょうざの皮等」並びにこれらに準ずるものとして公正取引協議会で査定し、消費者庁長官及び公正取引委員会の承認を得たものをいい、乾めん、即席めん、食堂で顧客に提供するために調理しためん類及び自動調理販売機により販売されるめん類は含まない。」とされている。
【0017】
以下、昆布米粉麺および昆布米粉麺生地に用いられる米粉および小麦粉について説明する。昆布米粉麺および昆布米粉麺生地において、米粉および小麦粉は、昆布粉、アルギル酸エステルおよびグルテンを除いて、8対2乃至3対7の重量比とされる。より好ましくは、米粉および小麦粉は、昆布粉、アルギル酸エステルおよびグルテンを除いて、5対5の重量比とされる。米粉および小麦粉を、昆布粉、アルギル酸エステルおよびグルテンを除いて、5対5の重量比とした場合、より好ましい歯ごたえが得られ、のどごしも好ましい。さらに好ましくは、米粉は、50.0重量%とされている。米粉は、50.0重量%とした場合、さらに好ましい歯ごたえが得られ、のどごしもさらに好ましい。
【0018】
なお、生めん類の表示に関する公正競争規約においては、米粉めんは、米穀粉30%以上、小麦粉70%以下の割合で混合したものを主たる原料とし、これに水又は湯を加えて製めんしたもの又は製めんした後加工したものとされている。すなわち、昆布米粉麺は、米粉めんである。
【0019】
昆布米粉麺および昆布米粉麺生地に用いられる米粉は、胚芽と糠を取り除いた米を細かく砕いて粉状にしたものである。米粉は、いわゆる微細米粉である。米粉は、うるち米である米を製粉した粉である。米粉は、生のままの粉である。米粉の用途表記は、麺全般用の3番である。米粉の75μm以下の粒径の比率は、50%以上である。米粉の澱粉損傷度は、10%未満である。米粉の澱粉損傷度が高くなると水分を含みやすくなる。米粉のアミロース含有率は、20%以上である。米粉のアミロースが多くなると麺離れ(麺同士がくっつきにくい)がよくなり、食味が良いとされている。
【0020】
昆布米粉麺および昆布米粉麺生地に用いられる小麦粉は、ふすま類を取り除いて、小麦を製粉した粉である。すなわち、小麦粉は、小麦を細かく砕いて粉状にしたものである。小麦粉は、含有するタンパク質が13.5%乃至14.5%の、いわゆる強力粉である。小麦粉の粒径は、150μm以下とされている。
【0021】
次に、昆布米粉麺および昆布米粉麺生地に用いられるアルギル酸エステルについて説明する。アルギル酸エステルは、藻類などに含まれる多糖類で食物繊維であるアルギン酸に、酸化プロピレンを加えて、構造中のカルボキシル基にプロピレングリコールをエステル結合した誘導体である。ここで、アルギン酸は、昆布、ワカメに代表される褐藻や紅藻に含まれる天然多糖類である。食品衛生法においては、アルギル酸エステルの正式名称は、アルギン酸プロピレングリコールエステルとされている。アルギル酸エステルは、増粘安定に有効である。0.02重量%以上1.0重量%未満のアルギル酸エステルを用いることで、混合したグルテンおよび小麦粉のグルテンが溶け出すことがなく、麺および麺生地を安定させることができる。
【0022】
アルギル酸エステルが、0.02重量%未満であると、混合したグルテンおよび小麦粉のグルテンが溶け出してしまう。一方、1.0重量%以上のアルギル酸エステルの添加は、食品衛生法により規制されている。
【0023】
次に、昆布米粉麺および昆布米粉麺生地に用いられるグルテンについて説明する。グルテンは、小麦、ライ麦などの穀物の胚乳から生成されるタンパク質の1種であるグルテニンおよびグリアジンが水を吸収して網目状につながったものである。小麦タンパクの1種であるグルテニンは、水溶性ではないが水分子と結合しタンパク質同士とも結合する特性があり、コイルのような構造を持つ。グルテンは、胚乳内の貯蔵タンパク質であるグリアジンとグルテニンを、水分の介在下で反応させて、結びつかせたものである。グルテンは、弾力は弱いが粘着力が強くて伸びやすいグリアジンと、弾力に富むが伸びにくいグルテニンとが絡み合う事で、粘着力と弾力を適度に兼ね備えたものになる。グルテンを添加することにより、麺に、弾性や柔軟性を持たせ、粘りを持たせることができる。
【0024】
グルテンが4.0重量%未満では、粘りが足りず、麺が切れやすくなる。また、グルテンが8.0重量%以上になると、麺の歯切れがわるくなり、歯ごたえが強くなりすぎる。
【0025】
次に、昆布米粉麺および昆布米粉麺生地に用いられる昆布粉について説明する。昆布粉は、昆布を気流粉砕し、200メッシュの篩にかけたものである。200メッシュの篩により、昆布粉の粒径は75μm以下になる。気流粉砕する昆布には、根昆布も含まれている。昆布粉の粒径が75μmを超えると、昆布に含まれるアミノ酸などの溶け出しが少なくなり、旨味が少なくなる。昆布粉を1.0重量%以上5.0重量%未満とすることで、麺の食感が良く、より好ましい旨味が感じられる。また、昆布粉を1.0重量%以上5.0重量%未満とすることで、新蕎麦に近い色合いのほのかな緑色の麺になる。
【0026】
昆布粉が1.0重量%未満であると、粘りが足りず、麺が切れやすくなり、また、旨味が少なくなる。また、昆布粉が1.0重量%未満であると、麺の色が白くなる。一方、昆布粉が5.0重量%以上になると、昆布粉が膨潤して、粘りが少なくなり、米粉との相互作用で麺から離れた食感になり、歯ごたえが悪くなる。また、麺の色が黒くなる。
【0027】
このように、昆布米粉麺は、生めん類である米粉めんである。昆布米粉麺は、1.0重量%以上5.0重量%未満の昆布粉であって、粒径が75μm以下の昆布粉と、0.02重量%以上1.0重量%未満のアルギル酸エステルと、4.0重量%以上8.0重量%未満のグルテンと、8対2乃至3対7の重量比の米粉および小麦粉とが水で混捏されて製造される。
【0028】
昆布米粉麺は、摂氏30度以下の温度の水で混捏して製造される。米粉を糊化させる必要がなく、熱湯を必要とせず、量産により適している。
【0029】
よりに好ましくは、昆布米粉麺は、米粉が、50.0重量%とされている。
【0030】
また、昆布米粉麺生地は、米粉めんの麺生地である。昆布米粉麺生地は、1.0重量%以上5.0重量%未満の昆布粉であって、粒径が75μm以下の昆布粉と、0.02重量%以上1.0重量%未満のアルギル酸エステルと、4.0重量%以上8.0重量%未満のグルテンと、8対2乃至3対7の重量比の米粉および小麦粉とが水で混捏されて製造される。
【0031】
昆布米粉麺生地は、摂氏30度以下の温度の水で混捏して製造される。米粉を糊化させる必要がなく、熱湯を必要とせず、量産により適している。
【0032】
より好ましくは、昆布米粉麺生地は、米粉が、50.0重量%とされている。
【0033】
次に、昆布米粉麺および昆布米粉麺生地の歯ごたえ、旨味並びに色の明るさおよび色調について説明する。以下、昆布米粉麺と米粉麺とを対比して説明する。米粉麺と対比される昆布米粉麺は、米粉、小麦粉、昆布粉、アルギル酸エステルおよびグルテンを冷水で混捏して製造される。米粉麺と対比される昆布米粉麺において、昆布粉は、3.0重量%とされ、グルテンは、4.0重量%とされ、アルギル酸エステルは、0.2重量%とされ、米粉は、50.0重量%とされている。小麦粉は、42.8重量%とされている。加水は、40重量%とした。
【0034】
米粉麺は、従来の米粉を用いた麺であり、米粉、小麦粉、アルギル酸エステルおよびグルテンを冷水で混捏して製造される。米粉麺において、グルテンは、4.0重量%とされ、アルギル酸エステルは、0.2重量%とされ、米粉は、50.0重量%とされている。小麦粉は、45.8重量%とされている。加水は、40重量%とした。
【0035】
図1は、麺を噛む力を測定する測定器を説明する図である。測定対象物11は、測定対象であり、昆布米粉麺若しくは米粉麺または昆布米粉麺生地若しくは米粉麺の麺生地のいずれかである。測定器31は、所定の形状のプローブである測定子33が測定対象物11に所定の深さだけ押し込まれるときの力を測定することで、対象物の硬さを測定する。測定対象物11は、テーブル32に載置される。測定治具34は、測定子33が測定対象物11に押し込まれたとき、測定子33が測定対象物11から逃げないように、測定対象物11を挟み込んで固定する。麺を噛む力を測定する測定子33は、三角形の面が横側に配置され、側面の尖った角が下向きに配置されている三角柱に形成されている。すなわち、測定子33は、三角柱の直線状の尖った角で測定対象物11に押し込まれる。測定子33の形状は、人間の歯の形状を模している。
【0036】
測定器31は、測定者の操作により、測定子33を測定対象物11に押し込む。測定器31は、測定子33に加えられた力を測定する。すなわち、測定子33の形状が、人間の歯の形状を模しているので、測定子33を用いて測定される噛む力は、測定対象物11を噛んだときの歯ごたえに対応している。
【0037】
表1および表2は、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれを測定対象物11として、噛む力を測定した結果を示す表である。この場合、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれの麺幅を、1.875mmとし、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれの麺厚を、1.8mmとした。昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれの麺を5本の束にして、テーブル32の上面から0.5mmに測定子33の下端が到達するときの力を測定した。5本の束にしたのは、麺を食する場合、麺は、束で咀嚼されるからである。
【0038】
まず、測定対象物11である、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれを、摂氏100度の熱湯で3分間茹でて、摂氏18度乃至20度の冷水に60秒間を晒して、噛む力を測定した。すなわち、表1は、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれのゆでめんの噛む力を測定した結果を示す。
【表1】
【0039】
ゆでめんである昆布米粉麺の測定対象物11の噛む力を測定した結果、11の測定対象物11のそれぞれについて、6.93(N),10.55(N),9.84(N),9.71(N),10.44(N),9.95(N),9.38(N),9.60(N),8.85(N),8.84(N)および9.38(N)の力が計測された。ゆでめんである昆布米粉麺の測定対象物11の噛む力の平均値は、9.41(N)であった。
【0040】
ゆでめんである米粉麺の測定対象物11の噛む力を測定した結果、12の測定対象物11のそれぞれについて、10.01(N),8.41(N),8.74(N),7.88(N),7.15(N),8.80(N),8.60(N),8.82(N),8.85(N),8.65(N),8.71(N)および9.13(N)の力が計測された。ゆでめんである米粉麺の測定対象物11の噛む力の平均値は、8.65(N)であった。
【0041】
このように、ゆでめんである昆布米粉麺を噛む場合には、ゆでめんである米粉麺を噛む場合に比較して、より大きな力が必要であり、ゆでめんである米粉麺に比較して、ゆでめんである昆布米粉麺では、より歯ごたえが得られる。
【0042】
次に、測定対象物11である、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれを、摂氏100度の熱湯で3分間茹でて、摂氏18度乃至20度の冷水に60秒間を晒して、さらに摂氏100度の熱湯で20秒間湯煎してから、噛む力を測定した。すなわち、表2は、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれの湯煎したゆでめんの噛む力を測定した結果を示す。
【表2】
【0043】
湯煎したゆでめんである昆布米粉麺の測定対象物11の噛む力を測定した結果、4の測定対象物11のそれぞれについて、3.87(N),4.32(N),3.41(N)および4.40(N)の力が計測された。湯煎したゆでめんである昆布米粉麺の測定対象物11の噛む力の平均値は、4.00(N)であった。
【0044】
湯煎したゆでめんである米粉麺の測定対象物11の噛む力を測定した結果、8の測定対象物11のそれぞれについて、3.27(N),3.57(N),3.76(N),3.78(N),3.52(N),3.51(N),3.69(N)および3.71(N)の力が計測された。湯煎したゆでめんである米粉麺の測定対象物11の噛む力の平均値は、3.60(N)であった。
【0045】
このように、湯煎したゆでめんである昆布米粉麺を噛む場合には、湯煎したゆでめんである米粉麺を噛む場合に比較して、より大きな力が必要であり、湯煎したゆでめんである米粉麺に比較して、湯煎したゆでめんである昆布米粉麺では、より歯ごたえが得られる。
【0046】
表3は、昆布米粉麺生地または米粉麺の麺生地のそれぞれを測定対象物11として、噛む力を測定した結果を示す表である。この場合、昆布米粉麺生地および米粉麺の麺生地のそれぞれの幅を、15mmとし、昆布米粉麺生地および米粉麺の麺生地のそれぞれの厚さを、3mmとした。昆布米粉麺生地または米粉麺の麺生地のそれぞれについて、テーブル32の上面から0.75mmに測定子33の下端が到達するときの力を測定した。
【0047】
測定対象物11である、昆布米粉麺生地および米粉麺の麺生地のそれぞれを、摂氏100度の熱湯で10分間茹でて、摂氏18度乃至20度の冷水に120秒間を晒して、噛む力を測定した。すなわち、表3は、昆布米粉麺生地および米粉麺の麺生地のそれぞれの茹で生地である噛む力を測定した結果を示す。
【表3】
【0048】
測定対象物11としての、茹で生地である昆布米粉麺生地の噛む力を測定した結果、12の測定対象物11のそれぞれについて、21.43(N),20.43(N),19.24(N),18.98(N),21.05(N),21.68(N),19.39(N),19.85(N),18.85(N),18.49(N),18.31(N)および18.19(N)の力が計測された。測定対象物11としての、茹で生地である昆布米粉麺生地の噛む力の平均値は、19.66(N)であった。
【0049】
測定対象物11としての、茹で生地である米粉麺の麺生地の噛む力を測定した結果、12の測定対象物11のそれぞれについて、18.82(N),18.90(N),18.20(N),14.71(N),13.92(N),13.39(N),17.56(N),15.72(N),13.95(N),20.89(N),19.95(N)および18.60(N)の力が計測された。測定対象物11としての、茹で生地である米粉麺の麺生地の噛む力の平均値は、17.05(N)であった。
【0050】
このように、茹で生地である昆布米粉麺生地を噛む力には、茹で生地である米粉麺の麺生地を噛む力に比較して、より大きな力が必要であり、米粉麺の麺生地を麺にした場合の米粉麺に比較して、昆布米粉麺生地を麺にした場合の昆布米粉麺では、より歯ごたえが得られる。
【0051】
図2は、麺を押す力を測定する測定器を説明する図である。図1の場合と同様の部分には同一の符号を付してあり、その説明は省略する。測定対象物12は、測定対象であり、昆布米粉麺若しくは米粉麺または昆布米粉麺生地若しくは米粉麺の麺生地である。測定対象物12は、テーブル41に載置される。測定子42は、麺を押す力を測定するプローブである。測定子42の下面は、半径10mmの円形に形成されている。測定子42の形状は、測定対象物12の弾力または硬さなどの測定を意図している。
【0052】
測定器31は、測定者の操作により、測定子42を測定対象物12に押し込む。測定器31は、測定子42に加えられた力を測定する。すなわち、測定子42を用いて測定される押す力は、測定対象物12を頬張ったときの弾力や飲み込んだときの喉越しに対応している。
【0053】
表4は、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれを測定対象物12として、押す力を測定した結果を示す表である。この場合、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれの麺幅を、1.875mmとし、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれの麺厚を、1.8mmとした。昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれの麺を5本の束にして、テーブル41の上面から0.5mmに測定子42の下端が到達するときの力を測定した。
【0054】
まず、測定対象物12である、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれを、摂氏100度の熱湯で3分間茹でて、摂氏18度乃至20度の冷水に120秒間を晒して、押す力を測定した。すなわち、表4は、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれのゆでめんの押す力を測定した結果を示す。
【表4】
【0055】
ゆでめんである昆布米粉麺の測定対象物12の押す力を測定した結果、8の測定対象物12のそれぞれについて、12.21(N),11.74(N),12.24(N),10.23(N),10.41(N),10.21(N),10.01(N)および10.76(N)の力が計測された。ゆでめんである昆布米粉麺の測定対象物12の押す力の平均値は、10.98(N)であった。
【0056】
ゆでめんである米粉麺の測定対象物12の押す力を測定した結果、9の測定対象物12のそれぞれについて、8.51(N),7.33(N),7.44(N),7.07(N),7.15(N),8.28(N),8.40(N),7.76(N)および7.76(N)の力が計測された。ゆでめんである米粉麺の測定対象物12の押す力の平均値は、7.74(N)であった。
【0057】
このように、ゆでめんである米粉麺を変形させる力に比較すると、ゆでめんである昆布米粉麺に所定の変形をさせるには、押す力として、より大きな力が必要であり、ゆでめんである米粉麺に比較して、ゆでめんである昆布米粉麺では、頬張ったときに、より強い弾力が感じられ、飲み込んだときに、より滑らかな喉越し感が得られる。
【0058】
表5は、昆布米粉麺生地または米粉麺の麺生地のそれぞれを測定対象物12として、押す力を測定した結果を示す表である。この場合、昆布米粉麺生地および米粉麺の麺生地のそれぞれの幅を、15mmとし、昆布米粉麺生地および米粉麺の麺生地のそれぞれの厚さを、3mmとした。昆布米粉麺生地または米粉麺の麺生地のそれぞれについて、テーブル41の上面から0.75mmに測定子42の下端が到達するときの力を測定した。
【0059】
測定対象物12である、昆布米粉麺生地および米粉麺の麺生地のそれぞれを、摂氏100度の熱湯で10分間茹でて、摂氏18度乃至20度の冷水に120秒間を晒して、押す力を測定した。すなわち、表5は、昆布米粉麺生地および米粉麺のそれぞれの茹で生地の押す力を測定した結果を示す。
【表5】
【0060】
測定対象物12としての、茹で生地である昆布米粉麺生地の押す力を測定した結果、3の測定対象物12のそれぞれについて、28.92(N),29.50(N)および33.80(N)の力が計測された。測定対象物12としての、茹で生地である昆布米粉麺生地の押す力の平均値は、30.74(N)であった。
【0061】
測定対象物12としての、茹で生地である米粉麺の麺生地の押す力を測定した結果、3の測定対象物12のそれぞれについて、22.02(N),20.45(N)および20.83(N)の力が計測された。測定対象物12としての、茹で生地である米粉麺の麺生地の押す力の平均値は、20.10(N)であった。
【0062】
このように、茹で生地である米粉麺の麺生地を変形させる力に比較すると、茹で生地である昆布米粉麺生地に所定の変形をさせるには、押す力として、より大きな力が必要であり、麺にした場合の米粉麺に比較して、麺にした場合の昆布米粉麺では、頬張ったときに、より強い弾力が感じられ、飲み込んだときに、より滑らかな喉越し感が得られる。
【0063】
このように、昆布米粉麺および昆布米粉麺生地によれば、歯ごたえがより得られる。また、弾力がより強く、喉越しもより良くなる。
【0064】
次に、昆布米粉麺および昆布米粉麺生地の旨味について説明する。液体クロマトグラフィー/質量分析法により、昆布米粉麺生地から作った昆布米粉麺および米粉麺から得られる遊離アミノ酸および有機酸を分析した。遊離アミノ酸および有機酸の分析には、四重極質量分析装置を用いた。
【0065】
粉砕処理した試料(昆布米粉麺または米粉麺)10mgに超純水500μLを加え、試験管ミキサーを使用して1分間激しく撹拌した。その後、1分間超音波処理を行った試料溶液を、摂氏-4度で13,000rpmの回転数で20分間遠心分離した。
【0066】
得られた上清500μLを、カットオフ分子量3,000の遠心式限外濾過フィルターユニットを使用して、摂氏4度で14,000×gで20分間遠心処理を行った。遠心式限外濾過フィルターユニットを通過した通過溶液を回収後、遠心式限外濾過フィルターユニットに超純水400μLを追加し、再度、摂氏4度で14,000×gで20分間遠心処理を行った。2回分の遠心式限外濾過フィルターユニットを通過した通過溶液を合わせ、超純水で1mLに定容し、試料溶液とした。
【0067】
得られた試料溶液を超純水で段階的に希釈し、アミノ酸および有機酸分析用の試料溶液とした。液体クロマトグラフで分離した種々の成分を、質量分析部でイオン化させ、イオン化されたターゲットイオンを質量電荷比(m/z)毎に分離して検出した。質量電荷比は、測定対象成分であるアミノ酸または有機酸ごとに決められている。測定対象成分のターゲットイオン面積について、標準試料のピーク面積との比較により、成分量を算出した。
【0068】
表6は、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれの遊離アミノ酸の成分量(mg/100g)の測定した結果を示す表である。
【表6】
【0069】
昆布米粉麺に含まれる遊離アミノ酸として、グリシン,アラニン,GABA,セリン,プロリン,バリン,トレオニン,イソロイシン,ロイシン,アスパラギン,アスパラギン酸,グルタミン,リシン,グルタミン酸,フェニルアラニン,アルギニン,チロシンおよびトリプトファンが検出された。昆布米粉麺に含まれる、グリシンの成分量は0.53(mg/100g)であり、アラニンの成分量は1.41(mg/100g)であり、GABAの成分量は1.28(mg/100g)であり、セリンの成分量は0.76(mg/100g)であり、プロリンの成分量は0.63(mg/100g)であり、バリンの成分量は0.42(mg/100g)であり、トレオニンの成分量は0.42(mg/100g)であり、システインの成分量は0.00(mg/100g)であり、イソロイシンの成分量は0.22(mg/100g)であり、ロイシンの成分量は0.41(mg/100g)であり、アスパラギンの成分量は4.74(mg/100g)であり、アスパラギン酸の成分量は2.73(mg/100g)であり、グルタミンの成分量は6.72(mg/100g)であり、リシンの成分量は0.41(mg/100g)であり、グルタミン酸の成分量は2.21(mg/100g)であり、メチオニンの成分量は0.00(mg/100g)であり、ヒスチジンの成分量は0.00(mg/100g)であり、フェニルアラニンの成分量は0.34(mg/100g)であり、アルギニンの成分量は0.86(mg/100g)であり、チロシンの成分量は0.22(mg/100g)であり、トリプトファンの成分量は1.46(mg/100g)であった。昆布米粉麺に含まれる遊離アミノ酸の成分量の合計は、25.77(mg/100g)であった。
【0070】
米粉麺に含まれる遊離アミノ酸として、グリシン,アラニン,GABA,セリン,バリン,トレオニン,ロイシン,アスパラギン,アスパラギン酸,グルタミン,リシン,グルタミン酸,フェニルアラニン,アルギニンおよびトリプトファンが検出された。米粉麺に含まれる、グリシンの成分量は0.45(mg/100g)であり、アラニンの成分量は0.71(mg/100g)であり、GABAの成分量は0.82(mg/100g)であり、セリンの成分量は0.48(mg/100g)であり、プロリンの成分量は0.00(mg/100g)であり、バリンの成分量は0.24(mg/100g)であり、トレオニンの成分量は0.20(mg/100g)であり、システインの成分量は0.00(mg/100g)であり、イソロイシンの成分量は0.00(mg/100g)であり、ロイシンの成分量は0.23(mg/100g)であり、アスパラギンの成分量は4.19(mg/100g)であり、アスパラギン酸の成分量は2.03(mg/100g)であり、グルタミンの成分量は3.82(mg/100g)であり、リシンの成分量は0.24(mg/100g)であり、グルタミン酸の成分量は0.97(mg/100g)であり、メチオニンの成分量は0.00(mg/100g)であり、ヒスチジンの成分量は0.00(mg/100g)であり、フェニルアラニンの成分量は0.21(mg/100g)であり、アルギニンの成分量は0.53(mg/100g)であり、チロシンの成分量は0.00(mg/100g)であり、トリプトファンの成分量は1.43(mg/100g)であった。米粉麺に含まれる遊離アミノ酸の成分量の合計は、16.55(mg/100g)であった。
【0071】
図3は、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれの遊離アミノ酸の成分量を示すグラフである。昆布米粉麺に含まれる遊離アミノ酸は、米粉麺に含まれる遊離アミノ酸に比較して1.5倍以上であることがわかる。特に、昆布米粉麺には、米粉麺に比較すると、旨味であるグルタミン酸が、2倍以上含まれている。また、昆布米粉麺には、米粉麺に比較すると、旨味であるアスパラギン酸が、より多く含まれている。
【0072】
表7は、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれの有機酸の成分量(mg/100g)の測定した結果を示す表である。
【表7】
【0073】
昆布米粉麺に含まれる有機酸として、乳酸,フマル酸,コハク酸,リンゴ酸,クエン酸およびグルコン酸が検出された。昆布米粉麺に含まれる、乳酸の成分量は18.39(mg/100g)であり、フマル酸の成分量は0.76(mg/100g)であり、コハク酸の成分量は1.14(mg/100g)であり、リンゴ酸の成分量は6.93(mg/100g)であり、酒石酸の成分量は0.00(mg/100g)であり、シキミ酸の成分量は0.00(mg/100g)であり、クエン酸の成分量は3.32(mg/100g)であり、グルコン酸の成分量は3.85(mg/100g)であった。昆布米粉麺に含まれる有機酸の成分量の合計は、34.39(mg/100g)であった。
【0074】
米粉麺に含まれる有機酸として、乳酸,フマル酸,コハク酸,リンゴ酸,クエン酸およびグルコン酸が検出された。米粉麺に含まれる、乳酸の成分量は6.81(mg/100g)であり、フマル酸の成分量は0.75(mg/100g)であり、コハク酸の成分量は0.81(mg/100g)であり、リンゴ酸の成分量は5.96(mg/100g)であり、酒石酸の成分量は0.00(mg/100g)であり、シキミ酸の成分量は0.00(mg/100g)であり、クエン酸の成分量は2.10(mg/100g)であり、グルコン酸の成分量は2.80(mg/100g)であった。米粉麺に含まれる有機酸の成分量の合計は、19.22(mg/100g)であった。
【0075】
図4は、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれの有機酸の成分量を示すグラフである。昆布米粉麺に含まれる有機酸は、米粉麺に含まれる有機酸に比較して1.7倍以上であることがわかる。特に、昆布米粉麺には、米粉麺に比較すると、渋みのある穏やかな酸味を感じさせる乳酸が、2.7倍含まれている。また、昆布米粉麺には、米粉麺に比較すると、丸みのある爽快な酸味を感じさせるグルコン酸が、より多く含まれている。
【0076】
このように、昆布米粉麺および昆布米粉麺生地によれば、旨味がより得られる。
【0077】
次に、本発明に係る一実施の形態の麺および麺生地の色の明るさおよび色調について説明する。視覚が味覚に強い影響を与えることはよく知られている。特に、麺においては、色の明るさおよび色調が味覚に強い影響を与える。昆布米粉麺および米粉麺を容器に詰めて、色彩色差計により、昆布米粉麺および米粉麺の色調を測定し、Lab値として表した。
【0078】
Lab色空間は、補色空間の一種で、明度を示す次元Lと補色次元のaおよびbを持ち、CIE(国際照明委員会) XYZ 色空間の座標を非線形に圧縮したものに基づいている。Lab色空間は、人間の視覚を近似するよう設計されている。
【0079】
なお、Lは、明るさ(明度)を示し、0乃至100の数値をとる。0であるLは、黒を表し、100であるLは、白の拡散光を示す。aは、赤紫と青緑との間の色を示し、aの負の値は、青緑よりの色を示す。bは、黄色と青との間の色を示し、bの正の値は、黄色よりの色を示す。
【0080】
表8は、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれの色の明るさおよび色調をLab値で示す表である。
【表8】
【0081】
昆布米粉麺の色の明るさを示すLは、65.2である。また、昆布米粉麺の色調を示すaおよびbは、それぞれ、-3.03および14.6である。
【0082】
一方、米粉麺の色の明るさを示すLは、75.2である。また、米粉麺の色調を示すaおよびbは、それぞれ、-1.45および11.8である。
【0083】
図5は、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれの色の明るさおよび色調をLab値で示すグラフである。図5(A)は、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれのLの値を示すグラフである。図5(B)は、昆布米粉麺および米粉麺のそれぞれの色調を示すグラフである。図5(B)において、横軸は、aの値を示し、縦軸は、bの値を示す。図5(B)において、丸印が昆布米粉麺の色調を示すaおよびbの値を示す。図5(B)において、四角の印が米粉麺の色調を示すaおよびbの値を示す。
【0084】
Lの値から、昆布米粉麺の色の明るさは、米粉麺の色の明るさに比較して暗いことがわかる。また、aおよびbの値から、昆布米粉麺の色調は、米粉麺の色調に比較すると、黄色かかった緑であることがわかる。このように、米粉麺が茶色かかった白い色なのに対して、昆布米粉麺は、新蕎麦に近い色合いのほのかな緑色の麺になる。
【0085】
このように、昆布米粉麺および昆布米粉麺生地によれば、従来の米粉を用いた麺と異なる色の明るさおよび色調にすることができる。
【0086】
次に、本発明に係る一実施の形態の麺の官能評価について説明する。30代から60代までの男女に、昆布米粉麺および米粉麺を試食させて、食感と旨味とについて評価を得た。食感については、評価をする人それぞれが、“コシが十分あり、非常に良好な食感”、“コシがかなりあり、良好な食感”、“コシがあり、問題ない食感”、“コシが乏しい、柔らかい食感”または“コシがなく、延びた食感”のいずれかを選択するものとした。また、旨味については、評価をする人それぞれが、“出汁に合う、旨味が非常にある”、“出汁に合う、旨味を感じる”、“出汁に問題ない味である”、“出汁に少し合わない”または“出汁に合わない”のいずれかを選択するものとした。
【0087】
表9は、昆布米粉麺および米粉麺の食感の評価の結果を示す表である。
【表9】
【0088】
昆布米粉麺の食感について、“コシが十分あり、非常に良好な食感”を選択した者は1名であり、“コシがかなりあり、良好な食感”を選択した者は6名であり、“コシがあり、問題ない食感”を選択した者は9名であり、“コシが乏しい、柔らかい食感”を選択した者は3名であり、“コシがなく、延びた食感”を選択した者は0名であった。これに対して、米粉麺の食感について、“コシが十分あり、非常に良好な食感”を選択した者は0名であり、“コシがかなりあり、良好な食感”を選択した者は1名であり、“コシがあり、問題ない食感”を選択した者は3名であり、“コシが乏しい、柔らかい食感”を選択した者は11名であり、“コシがなく、延びた食感”を選択した者は1名であった。
【0089】
表10は、昆布米粉麺および米粉麺の旨味の評価の結果を示す表である。
【表10】
【0090】
昆布米粉麺の旨味について、“出汁に合う、旨味が非常にある”を選択した者は3名であり、“出汁に合う、旨味を感じる”を選択した者は10名であり、“出汁に問題ない味である”を選択した者は5名であり、“出汁に少し合わない”を選択した者は0名であり、“出汁に合わない”を選択した者は0名であった。これに対して、米粉麺の旨味について、“出汁に合う、旨味が非常にある”を選択した者は0名であり、“出汁に合う、旨味を感じる”を選択した者は3名であり、“出汁に問題ない味である”を選択した者は3名であり、“出汁に少し合わない”を選択した者は5名であり、“出汁に合わない”を選択した者は2名であった。
【0091】
以上のように、昆布米粉麺および昆布米粉麺生地によれば、量産により適していて、歯ごたえおよび旨味がより得られ、従来の米粉を用いた麺と異なる色の明るさおよび色調にすることができる。
【0092】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0093】
11および12 測定対象物, 31 測定器, 32および41 テーブル, 33および42 測定子, 34 測定治具
図1
図2
図3
図4
図5