(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084077
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】荷物搬送方法及びシートパレット
(51)【国際特許分類】
B65G 67/04 20060101AFI20240617BHJP
B65D 19/22 20060101ALI20240617BHJP
B65D 19/32 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B65G67/04
B65D19/22 A
B65D19/32 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198262
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】591206500
【氏名又は名称】株式会社 ダイサン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小瀧 大蔵
【テーマコード(参考)】
3E063
3F076
【Fターム(参考)】
3E063AA05
3E063BA13
3E063CA22
3E063DA05
3F076AA02
3F076BA01
3F076CA03
3F076CA05
3F076CA07
3F076DA05
3F076DA07
3F076DB09
3F076FA07
3F076GA05
(57)【要約】
【課題】本発明は、シートパレットに載置された荷物の側面を押圧することにより、シートパレットと共に荷物を移動可能とした荷物搬送方法の提供を目的とする。
【解決手段】荷物搬送方法では、ゴムシート16により上面12が下面14に比べ高摩擦であるシートパレット10の上に荷物20を載置し、荷物20を側方から押圧して、シートパレット10と共に荷物20を押圧方向に移動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が下面に比べ高摩擦であるシートパレットの上に荷物を載置し、
前記荷物を側方から押圧して、前記シートパレットと共に前記荷物を押圧方向に移動させる、
荷物搬送方法。
【請求項2】
前記荷物を前記シートパレットと共に荷物台から輸送車両の荷台に移動させることで前記輸送車両に荷積みする、
請求項1に記載の、荷物搬送方法。
【請求項3】
前記シートパレットは、上下方向に昇降可能とされた前記荷物台の上に配置される、
請求項2に記載の、荷物搬送方法。
【請求項4】
前記シートパレットは、水平方向に移動可能とされた前記荷物台の上に配置される、
請求項2に記載の、荷物搬送方法。
【請求項5】
前記荷物を前記荷台の縁から遠ざかる方向へ押圧して移動させる、
請求項2に記載の、荷物搬送方法。
【請求項6】
前記荷台には、前記シートパレットの下面との摩擦を低減する滑動部材が敷設されている、
請求項2に記載の、荷物搬送方法。
【請求項7】
前記シートパレットの上に載置されている前記荷物が、両側面が開放可能とされた輸送車両の荷台に配置された状態において、
前記荷物を前記荷台の一方の側面側から押圧し、前記荷物を前記シートパレットと共に前記荷台の他方の側面側に隣接して前記荷台と略同じ高さに配置した荷降ろし領域まで前記荷物を前記シートパレットと共に押圧によって移動させて前記輸送車両から荷降ろしする、
請求項1に記載の、荷物搬送方法。
【請求項8】
前記シートパレットは、上面に高摩擦層が設けられて高摩擦とされている、
請求項1に記載の、荷物搬送方法。
【請求項9】
前記高摩擦層は、前記シートパレットの上面に接合されている、
請求項8に記載の、荷物搬送方法。
【請求項10】
前記シートパレットは、前記荷物の移動方向の前方の端部が上方へ延出されている、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の、荷物搬送方法。
【請求項11】
一方の面が、他方の面と比べて高摩擦とされている、
シートパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートパレットを用いた荷物搬送方法、及びシートパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォークリフト本体に設置したウインチと、該ウインチから繰り出されるワイヤロープを該フォークリフト本体の前方へ案内し導出するための案内導出手段と、ウインチの先端に取り付けた引き出し治具とを備えており、荷物が積載されたシートパレットのタブを引き出し治具で把持し、ウインチのワイヤロープを巻き取って該シートパレットを引き寄せ可能であり、かつフォークに平パレットをセットして置き、引き寄せたシートパレットごとその上に積載された荷物を該平パレットに積み付け可能である治具牽引装置付フォークリフト(プッシュプルアタッチメントが取り付けられたフォークリフト)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートパレットを用いた荷物搬送方法においては、特許文献1に示されているようにプッシュプルアタッチメント付フォークリフト等の高価な機器を用いる方法がある。
【0005】
ここで、特許文献1に示されているシートパレットを用いた荷物搬送は、荷物を積載したシートパレットの端部を牽引して移動させるだけであり、同じく特許文献1に開示されているプッシュプルアタッチメント付フォークリフトにあっては、シートパレット上の荷物を押圧して移動させる機能があるものの、これはシートパレットに積載された荷物をプラテン上から移動させ、床面等に降ろすためのものである。
【0006】
このように、従来のシートパレットの用法によれば、例えば、トラック荷台の奥部にシートパレットに積載した荷物を配置する場合には、トラック荷台の奥部に向かって牽引する牽引装置を配置するスペースがないため、トラック荷台の奥部に先ずシートパレットを敷き、その上に手役務によって荷物を積み上げていくしか方法がないという問題がある。
【0007】
シートパレットには、硬質素材より成る標準的なパレットに比べ、厚さが非常に薄いために荷物を積載した状態での輸送や保管のスペース効率が良く、軽くて扱いやすく、安価であり、使用後の収納スペース効率も良いという利点があるものの、上記したような使用上の制約の問題が一因となって、標準パレットに比べ普及が進まないのが実情である。
【0008】
本発明は、シートパレットに載置された荷物を、安価な装置により押圧方向にシートパレットと共に移動可能とした荷物搬送方法、シートパレットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一態様の荷物搬送方法は、上面が下面に比べ高摩擦であるシートパレット上に荷物を載置し、前記荷物を側方から押圧して、前記シートパレットと共に前記荷物を押圧方向に移動させる。
【0010】
本態様の荷物搬送方法では、シートパレットの上面が下面に比べ高摩擦であるため、荷物を側方から押圧した場合に、シートパレットと共に荷物が押圧方向に移動する。これにより、シートパレットに載置された荷物を、従来技術のように牽引装置を用いずに、押圧によってシートパレットと共に搬送することができる。
【0011】
このため、本態様の荷物搬送方法を用いることにより、例えば、倉庫等の壁面直近やトラック荷台の最奥部のようにシートパレットの前方に牽引装置を配置して牽引するスペースがない場合でも、従来のようにそのような場所に先ずシートパレットを敷いた上で手荷役により荷物をシートパレット上に移載する必要はなく、予め荷物を積載した状態で搬送されてきたシートパレットを押圧することにより、壁面直近やトラック荷台最奥部に移動し配置することが可能となる。
【0012】
この結果、シートパレットの利用範囲が格段に広がり、従来のフォーク挿入口を有する厚みのある標準的パレットに積載した状態で荷物を保管又は輸送する場合に比べ、保管効率や輸送効率が改善され、手荷役も減らすことができ、時間節約、省力化、省エネにも有効である。
【0013】
なお、本発明において、シートパレットの「上面」とは、シートパレットの荷物を載置する側の外面を意味し、「下面」とは、「上面」とは反対側の外面を意味し、また、「上面」を「表面」、「下面」を「裏面」と呼ぶこともある。
【0014】
また、本発明において、シートパレットの上面が「高摩擦」であるとは、シートパレット上面に荷物を搭載した場合に、シートパレット上面と荷物底面との間の摩擦抵抗が、シートパレット下面と床面(輸送機器の荷台表面等も含む)との間の摩擦抵抗よりも高い部分がシートパレット上面側に設けられていることを意味する。
【0015】
また、本発明において、シートパレット(又はその他の形態のパレット)の上面に1個以上の荷物を載置してシートパレット上の荷物をシートパレットと共に一つの荷役単位として扱えるようにすることを「ユニット化」と呼び、そのようにユニット化した荷物とシートパレットを「荷物ユニット」又は単に「ユニット」と呼ぶこともある。
【0016】
第二態様の荷物搬送方法は、第一態様に記載の荷物搬送方法において、前記荷物を前記シートパレットと共に前記荷物台から輸送車両の荷台に移動させることで前記輸送車両に荷積みする。
【0017】
本態様の荷物搬送方法では、シートパレット上面に載置された荷物を側方から押圧することにより、荷物台から輸送車両の荷台に荷物がシートパレットと共に移動する。これにより、シートパレットに載置された荷物を、牽引装置を用いずに、輸送車両の荷台に荷積みすることができる。
【0018】
このため、従来、狭隘な輸送車両の荷台にあっては、荷台の最奥部などに荷物を載置したシートパレットを荷積みしようとした場合、牽引装置を配置するスペースがないために、荷台最奥部などにシートパレットを敷いた上で、手荷役により荷物をシートパレット上に積み上げる方法などが行われていたが、本態様の荷物搬送方法を用いることにより、プッシュプルアタッチメント付フォークリフト等により輸送車両の荷台端部に荷物を載置したシートパレットを載せた後に、荷物側面を押圧することによってシートパレットと共に輸送車両の奥部に移動させ荷積みすることができる。
【0019】
この結果、輸送車両による物流において、シートパレットが利用しやすくなり、荷物の保管効率や輸送効率が改善され、また、輸送車両における荷役作業において、手荷役も減らすことができ、時間節約、省力化、省エネにも有効である。
【0020】
第三態様の荷物搬送方法は、第一態様又は第二態様に記載の荷物搬送方法において、前記シートパレットは、上下方向に昇降可能とされた荷物台の上に配置される。
【0021】
本態様の荷物搬送方法では、シートパレットが、上下方向に昇降する荷物台に配置されている。これにより、一の高さの位置でシートパレットに載置された荷物を、高さが異なる他の位置において荷物を押圧し、シートパレットと共に移動させることができる。
【0022】
このため、本態様の荷物搬送方法を用いることにより、例えば、荷役作業を行うプラットフォームの床面に配置されている荷物を載置したシートパレットのユニットを、プラットフォーム端部に設けられたトラックヤードに接舷したトラックその他の輸送機器の荷台に押圧によって移動させるような場合、輸送機器の機種の違いによりプラットフォーム床面と荷台に段差が生じても、ユニットの荷物側面を押圧してプラットフォーム端部の荷物台上に移動させた上で、荷物台を昇降させて高さ調節を行えば、続いてユニットの荷物側面を押圧することによって、ユニットを輸送機器の荷台に移動させることができる。
【0023】
また、例えば、到着した輸送機器に既にシートパレットに荷物を載せたユニットが搭載されており、その上に新たなユニットを段積みするような場合でも、同様に新たなユニットの荷物側面を押圧することにより荷物台上に移動させた上で、荷物台を昇降させて高さ調節を行えば、新しいユニットの荷物側面を押圧することによって、既に搭載されているユニットの最上段に新たなユニットを段積みすることができる。
【0024】
この結果、連続した平面を有する床面上を牽引することによって移動させることしかできない従来のシートパレットの利用方法に比べ、床面に不連続な段差が存在する場合であっても、牽引及び押圧の両方向でシートパレットの利用が可能となり、シートパレットの利用範囲が格段に広がる効果がある。
【0025】
第四態様の荷物搬送方法は、第一態様から第三態様のいずれか一態様に記載の荷物搬送方法において、前記シートパレットは、水平方向に移動可能とされた荷物台の上に配置される。
【0026】
本態様の荷物搬送方法では、シートパレットが、水平方向に移動が可能な荷物台に配置されている。これにより、一の位置でシートパレットに載置された荷物のユニットを、床面として連続していない任意に離れた他の位置に移動させることができる。
【0027】
このため、本態様の荷物搬送方法を用いることにより、例えば、荷役作業を行うプラットフォームの床面に配置されている荷物を載置したシートパレットのユニットを、そのプラットフォームとは離れた位置に待機しているトラックその他の輸送機器の荷台に移動させるような場合、先ず本態様における移動可能な荷物台をプラットフォーム端部に接舷させ、必要があれば高さ調整をした上で、ユニットの荷物側面を押圧してユニットを荷物台上に移動させ、続いて荷物台を輸送機器の位置まで移動させて輸送機器の荷台に接舷させ、ここでも必要があれば高さ調整をした上で、荷物台上のユニットの荷物側面を押圧することによって、ユニットを輸送機器の荷台に移動することができる。
【0028】
この結果、連続した平面を有する床面上を牽引することによって移動させることしかできない従来のシートパレットの利用方法に比べ、床面が全く連続していない他の任意の場所への移動に対しても、牽引及び押圧の両方向でシートパレットの利用が可能となり、シートパレットの利用範囲が更に広がる効果がある。
【0029】
第五態様の荷物搬送方法は、第二態様から第四態様のいずれか一態様に記載の荷物搬送方法において、前前記荷物を前記荷台の縁から遠ざかる方向へ押圧して移動させる。
【0030】
本態様の荷物搬送方法では、荷台に配置した荷物を、荷台の縁から遠ざかる方向へ押圧することにより移動させる。例えば、押圧部材を備えた押圧用車両を荷台の後方に配置し、荷台上に積載されている荷物を載置したシートパレットのユニットの荷物後側面に前記押圧部材の押圧面部を当接し、前記押圧用車両を前進させ、荷台後端に接近させることにより、ユニットを荷台奥部へ移動させる。これにより、荷台上に積載されているユニットを、最大で押圧部材の全長に対応する位置まで移動させることができる。このため、本態様の搬送方法を用いることにより、従来、手荷役以外では荷物を載置したシートパレットのユニットを荷台上で押進させることができなかったものが押圧用車両の動力を用いて押進可能になると共に、荷台の奥行きが長い大型輸送車両においても、押圧部材として必要な長さのものを選び、又は、必要な長さに適宜継ぎ足して延長できるもの或いは適宜伸縮可能なものを選ぶことにより、最奥部を含め任意の位置まで押進させることが可能となる。例えば、フォークリフトのフォークを押圧部材としてフォークの長さだけ荷台の奥に一旦移動したユニットに対して、フォークリフト本体に長尺の押圧部材を取り付けるか又はフォーク先端に押圧部材を継ぎ足すことにより、ユニットを荷台の更に奥に又は最奥部まで移動させるようなことも可能となる。この結果、輸送車両による物流において、シートパレットが利用しやすくなり、荷物の保管効率や輸送効率が改善され、また、輸送車両における荷役作業において、手荷役も減らすことができ、時間節約、省力化、省エネにも有効である。なお、本発明においては、押圧用車両の前進に代えて、又は、押圧用車両の前進と併用して、伸縮可能な押圧部材の端部を荷物後側面に当接させ、前方に伸張させることによってシートパレットユニットを荷台の奥部へ移動させることを排除しない。
【0031】
第六態様の荷物搬送方法は、第二態様から第五態様のいずれか一態様に記載の荷物搬送方法において、前記荷台には、前記シートパレット下面との摩擦を低減する滑動部材が敷設されている。
【0032】
この荷物搬送方法では、輸送車両の荷台にシートパレット下面との摩擦を低減する滑動部材が設けられている。なお、本発明においては、滑動部材は、輸送車両の荷台に恒久的に敷設されていてもよく、また、随時必要に応じて敷設されてもよい。これにより、荷台上において、荷物が載置されたシートパレットのユニットの荷物側面を押圧することによりユニットを荷台の奥部に向けて移動させる際に、シートパレット下面と荷台表面の間の摩擦抵抗が小さくなる。このため、輸送車両の荷台に滑動部材が設けられていない場合と比して、小さい力でユニットを輸送車両の荷台の奥部に押進させ、荷積みすることができる。この結果、シートパレットを利用する荷役作業において、省力化の効果がある。
【0033】
第七態様の荷物搬送方法は、第一態様から第六態様のいずれか一態様に記載の荷物搬送方法において、前記シートパレット上に載置されている前記荷物が、両側面が開放可能とされた輸送車両の荷台に配置された状態において、前記荷物を前記輸送車両の一方の側面側から押圧し、前記荷物を前記シートパレットと共に前記荷台の他方の側面側に隣接して前記荷台と略同じ高さに配置した荷降ろし領域まで前記荷物を前記シートパレットと共に押圧によって移動させて前記輸送車両から荷降ろしする。
【0034】
本態様の荷物搬送方法では、荷台の両側面が開放可能とされた輸送車両が用いられ、シートパレットに載置された荷物を輸送車両の一方の側面側から押圧することにより、シートパレットと共に他方の側面側に荷台と略同じ高さに配置した荷降ろし領域に荷降ろしする。これにより、シートパレットに載置された荷物を輸送車両から荷降ろしすることができる。このため、従来、シートパレットに載置された荷物をシートパレットと共に荷降ろしするにはシートパレットを牽引するプッシュプルアタッチメント付フォークリフトその他の牽引装置を必要としたが、本態様の荷物搬送方法を用いることにより、牽引装置を用いずに荷降ろしすることができる。この結果、シートパレットを利用する荷役作業において、高価な牽引装置に代えて比較的安価な押圧部材等の利用が可能となり、シートパレット普及に効果があり、それに伴って、荷物の保管効率や輸送効率の改善にも効果がある。
【0035】
なお、荷降ろし領域は、輸送用車両の荷台から荷物を移動させて荷降ろしさせる場所を指し、荷物台、荷役用のプラットフォーム等、荷台から荷物を移動させることが可能とされれば、特に限定されない。
【0036】
第八態様の荷物搬送方法は、第一態様から第七態様のいずれか一態様に記載の荷物搬送方法において、前記シートパレットは、上面に高摩擦層が設けられて高摩擦とされている。
【0037】
本態様の荷物搬送方法では、シートパレットの上面が下面に比べ高摩擦となる高摩擦層が設けられている。これにより、シートパレットに載置された荷物を、従来技術のように牽引装置を用いずに、押圧によってシートパレットと共に搬送することができる。
【0038】
また、本発明において、シートパレットの上面に設けられた「高摩擦層」とは、シートパレット上面に荷物を搭載した場合に、シートパレット上面と荷物底面との間の摩擦抵抗が、シートパレット下面と床面(輸送機器の荷台表面等も含む)との間の摩擦抵抗よりも高くなるような表層部分がシートパレット上面側に設けられていることを意味する。
【0039】
また、この場合の「表層部分」とは、シートパレット上面に接して外部に向けて設けられている層状物の部分又はシートパレット上面に接して内部に向けて設けられている層状領域を意味し、例えば、比較的表面摩擦の大きいゴムシート、粗面シート、それらの複合材シート等の高摩擦シート材をシートパレット上面に重ねただけの構成における高摩擦シート材部分、そのような高摩擦シート材をシートパレット上面側に接着剤、ボルト、ステープラ、縫い糸等の接合手段で接合したシートパレット構造における高摩擦シート材部分、シートパレット上面側に生ゴム等の適度に粘着性を有する粘着素材を塗布したシートパレット構造におけり塗布層部分、シートパレット自体の上面が凹凸面、メッシュ面等の高摩擦面に加工され、裏面が平滑な低摩擦面となっているシートパレット構造における上面加工層部分、シートパレット自体の上面側をゴム素材等の高摩擦素材とし、下面側を樹脂素材、紙素材等の比較的滑動性の良い素材とした複合材構造におけるシートパレットの上面高摩擦素材層を含む。
【0040】
なお、本発明において、高摩擦層は、シートパレット上面とその上面に載置された荷物底面との間に、荷物側面を押圧しても荷物がシートパレット上面で滑動しないだけの静摩擦抵抗を生じる限り、必ずしもシートパレット上面の全面に設けられる必要はない。
【0041】
第九態様の荷物搬送方法は、第八態様に記載の荷物搬送方法において、前記高摩擦層は、前記シートパレットの上面に接合されている。
【0042】
本態様の荷物搬送方法では、高摩擦層はシートパレットの上面に接合されている。これにより、シートパレットと高摩擦層は一体化されている。このため、シートパレットと高摩擦層とは常に一個の物体として扱うことができる。この結果、荷物搬送の度にシートパレットの上面に設ける高摩擦層を用意し、シートパレットと共に持ち運びし、シートパレットとは別に管理する等の手間を省くことができ、シートパレット利用時の利便性が向上し、シートパレット普及に効果があり、それに伴って、荷物の保管効率や輸送効率の改善にも効果がある。
【0043】
第十態様の荷物搬送方法は、第一態様から第九態様のいずれか一態様に記載の荷物搬送方法において、前記シートパレットは、前記荷物の移動方向の前方の端部が上方へ延出されている。
【0044】
本態様の荷物搬送方法では、シートパレットは荷物の移動方向の前方の端部が上方へ延出されている。これにより、シートパレットの移動方向の端部が床面から隔離する。このため、載置されている荷物側面を押圧してシートパレットと共に移動させる際、移動方向の端部が上方へ延出されていないシートパレットを用いる場合と比して、シートパレットの移動方向の端部が、移動方向前方の床面に存在する凹凸等を乗り越えやすく、荷物側面を押圧して移動させやすくなる。この結果、シートパレットの使いやすさが向上し、シートパレット普及に効果があり、それに伴って、荷物の保管効率や輸送効率の改善にも効果がある。
【0045】
第十一態様のシートパレットは、一方の面が、他方の面と比べて高摩擦とされている。
【0046】
本態様のシートパレットでは、高摩擦面を上面とし、シートパレット上面に荷物を載置した状態で、荷物を側方から押圧することにより、シートパレットと共に荷物を押圧方向に移動させることができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、シートパレットに載置された荷物を、安価な装置により押圧方向にシートパレットと共に移動可能とした荷物搬送方法、シートパレットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る荷物搬送方法を説明する図であり、上面に高摩擦層を有するシートパレットによりユニット化された荷物が、荷物台に載置された様子を示す図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る荷物を説明する図であり、上面に高摩擦層を有するシートパレットにより荷物がユニット化された様子を示す図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る荷物搬送方法を説明する図であり、上面に高摩擦層を有するシートパレットによりユニット化された荷物が、荷物台から輸送車両の荷台に移動される様子を示す図である。
【
図4】本発明の第一実施形態の変形例に係る荷物搬送方法を説明する図であり、上面に高摩擦層を有するシートパレットによりユニット化された荷物が、輸送車両の荷台上を奥に向かって移動される様子を示す図である。
【
図5】本発明の第二実施形態に係る荷物搬送方法を説明する図であり、上面に高摩擦層を有するシートパレットによりユニット化された荷物が、輸送車両の側方に配置された荷物台から輸送車両の荷台に向かって移動される様子を示す図である。
【
図6】本発明の第二実施形態に係る荷物搬送方法を説明する図であり、上面に高摩擦層を有するシートパレットによりユニット化された荷物が、輸送車両の側方に配置された荷物台から輸送車両の荷台に向かって移動した様子を示す図である。
【
図7】本発明の第二実施形態に係る荷物搬送方法を説明する図であり、上面に高摩擦層を有するシートパレットによりユニット化された荷物が、輸送車両の荷台から、輸送車両の側方に配置された荷物台に向かって移動される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施形態の具体例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、同一又は等価な構成要素及び部品には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0050】
また、各図に示す矢印TPは、鉛直方向であって上方向を示し、矢印LHは、水平方向であって幅方向左方向を示し、矢印RHは、水平方向であって幅方向右方向を示し、矢印FRは、水平方向であって前方向を示し、矢印RRは、水平方向であって後方向を示す。
【0051】
また、下記の説明では、「上下方向」を、「上方向及び下方向の両方向」又は「上方向及び下方向のいずれか一方向」という意味で用いる場合がある。「左右方向」を、「右方向及び左方向の両方向」又は「右方向及び左方向のいずれか一方向」という意味で用いる場合がある。なお、「左右方向」は、横方向、水平方向ともいえる。「前後方向」を、「前方向及び後方向の両方向」又は「前方向及び後方向のいずれか一方向」という意味で用いる場合がある。なお、「前後方向」は、横方向、水平方向ともいえる。また、上下方向、左右方向、前後方向は、互いに交差する方向(具体的には、直交する方向)である。
【0052】
なお、本開示のおける「前方向」とは、用いる輸送車両が主として進行する方向を示し、「後方向」とは、用いる輸送車両が主として後退する方向を示す。
【0053】
なお、本開示の説明において、「荷積み」とは、荷物20を輸送車両に積み込むことを示し、「荷降ろし」とは、荷物20を輸送車両から降ろす作業のことを示す。
【0054】
また、「荷積み」及び「荷降ろし」の両方の作業を併せて「荷卸し」と称する場合がある。
【0055】
なお、本開示のおける説明において、「作業者」は、特定の人物に限定されない。すなわち、「作業者」は、一人で荷卸し作業を行ってもよく、複数人で荷卸し作業を行ってもよい。
【0056】
また、本開示のおける説明において、「作業者」は、輸送車両を運転及び操作する運転者と区別されない。すなわち、輸送車両を運転及び操作する人物は、「作業者」とは別の人物とされる場合も含まれるものとする。
【0057】
図1から
図4を適宜参照しながら、本発明の第一実施形態を説明する。
【0058】
[第一実施形態]
(構成)
図1に本実施形態に係る荷物搬送方法を示す。本実施形態に係る荷物搬送方法では、押圧用車両としてのフォークリフト40と、輸送車両としてのトラック30と、荷物台48と、シートパレット10を用いる。また、本実施形態に係る荷物搬送方法では、
図2に示されるように、上面12に高摩擦層としてのゴムシート16が配置されたシートパレット10の上に荷物20が載置され、ユニット22が構成されている。
【0059】
本実施形態に係るフォークリフト40は、フォークの先端に押圧部材44が取り付けられている。この押圧部材44は、後述する搬送手順において、荷物20を押圧するブロック状の部分である。なお、押圧部材44の材質は、荷物20を押圧する際に容易に変形しない材料であれば特に限定されないが、一例として硬質性の合成樹脂が好適に用いられる。
【0060】
トラック30は、本発明に係る輸送車両の一例である。本実施形態におけるトラック30の荷台32は、後方を開放可能とされており、
図1に示されるように、後方から荷物20の荷積み及び荷降ろしが行われる。
【0061】
なお、
図1に示されるように、本実施形態におけるトラック30の荷台32には、スライダーボード38とゴムシート16とが順に重ねられて敷設されている。スライダーボード38は、本発明に係る滑動部材の一例である。スライダーボード38は、下面(
図1、
図3及び
図4における下側の面)が比較的表面摩擦(摩擦係数)が大きいゴムシート16を介して荷台32の表面と接触しているため、荷台32の表面に略固定された状態となっている。
【0062】
本実施形態における荷物台48は、
図1に示されるように、後述する荷物20を上面に載置することが可能とされた台である。この荷物台48は、上面を上下方向に昇降可能とされている。上下方向に昇降可能とする方法は、どのような構成でもよいが、一例としてパンタグラフ機構が好適に採用される。また、荷物台48は、水平方向に移動可能とされている。水平方向に移動可能とする方法は、どのような構成でもよいが、一例としてキャスターが好適に採用される。
【0063】
本実施形態に係るシートパレット10は、
図2にも示されるように上面側にゴムシート16を重ね、下面14よりも上面12のほうが高摩擦とされている。なお、シートパレット10は、後述するように押圧して搬送することが可能とされていれば、下面14及び上面12の摩擦係数は、適当に設定される。また、本実施形態に係るシートパレット10は、
図2及び
図3に示されるように、端部18が床面から離隔するよう上方へと延出されている。この端部18が水平方向に延出する長さ、及び上方に延出する長さは、後述する荷物搬送方法に合わせて適当に設定される。
【0064】
ここで、本実施形態において、荷物20は、
図2にも示されるように、シートパレット10の上面12にゴムシート16を介して載置されている。これにより、シートパレット10と荷物20とがユニット化されて、ユニット22として扱われる。この荷物20は、後述するように側方から押圧した際に容易に変形しなければ、どのような材料又は荷姿で形成されていてもよい。また本実施形態における荷物20は、一例として複数個の箱体が重ねられて配置される。
【0065】
なお、本実施形態において、シートパレット10は、
図1に示されるように、荷物台48にはパレット42を介して載置されている。パレット42は、荷物20が載置されたシートパレット10を載置可能とされていれば、市販されている製品が適当に採用される。
【0066】
続いて、本実施形態に係る荷物20の搬送手順を説明する。
【0067】
(搬送手順)
本実施形態に係る荷物搬送方法では、作業者は、
図1に示されるように、荷物20が載置されたシートパレット10を荷物台48の上に配置したうえで、トラック30の荷台32の後方に荷物台48を隣接させる。続いて、シートパレット10の高さがトラック30の荷台32と略同等の高さとなるように、荷物台48の高さを調節する。
【0068】
続いて、作業者は、
図3に示すように、フォークリフト40を操作して、押圧部材44を荷物20の後側面に当接させ、更にフォークリフトを前進させて後側面を押圧することにより、荷物台48の上から荷台32へと荷物20を滑らせて移動させる。これにより、荷物20は、トラック30の荷台32における後方の縁33を通過し、荷台32の後方端部に載置される。
【0069】
続いて、作業者は、
図4に示されるように、荷物20をトラック30の荷台32の奥部34へと移動させるため、荷物台48をトラック30とフォークリフト40の間から他の場所へ移動させる。また、作業者は、フォークリフト40のフォークの先端に連結部材46を取り付けたうえで、押圧部材44を連結部材46の先に取り付ける。そして、作業者は、
図4に示されるように、フォークリフト40を操作して、荷物20をトラック30の荷台32の後方端部に載置されていた状態から、更にトラック30の荷台32の奥部34へと押圧して移動させる。言い換えれば、作業者は、トラック30の荷台32に配置した荷物20を、荷台32の縁33から遠ざかる方向へ押圧することにより移動させる。
【0070】
続いて、本実施形態に係る荷物搬送方法の作用及び効果を説明する。
【0071】
(作用及び効果)
本実施形態の荷物搬送方法では、シートパレット10の上面12は下面14に比べ高摩擦であり、荷物20を側方から押圧した場合に、シートパレット10と共に荷物20が押圧方向に移動する。これにより、シートパレット10に載置された荷物20を、従来技術のように牽引装置を用いずに、押圧によってシートパレット10と共に搬送することができる。
【0072】
本実施形態の荷物搬送方法を利用することにより、例えば、倉庫等の壁面直近やトラック30等の輸送機器における荷台の最奥部のようにシートパレット10の前方に牽引装置を配置して牽引するスペースがない場合でも、従来のようにそのような場所に先ずシートパレット10を敷いた上で手荷役により荷物20をシートパレット10上に移載する必要がない。予め荷物20を積載した状態で搬送されてきたシートパレット10を押圧することにより、壁面直近やトラック30等の輸送機器における荷台の最奥部のような狭隘な場所に移動し配置することが可能となる。
【0073】
本実施形態の荷物搬送方法では、シートパレット10が、上下方向に昇降可能な荷物台48に配置されている。これにより、一の高さの位置でシートパレット10に載置された荷物20を、高さが異なる他の位置において荷物20を押圧し、シートパレット10と共に移動させることができる。
【0074】
例えば、荷役作業を行うプラットフォームの床面に配置されている荷物20を載置したシートパレット10のユニット22を、プラットフォーム端部に設けられたトラックヤードに接舷したトラック30等の輸送機器の荷台に押圧によって移動させる場合がある。この場合、輸送機器の機種の違いによりプラットフォーム床面と荷台32に段差が生じても、ユニット22における荷物20の側面を押圧してプラットフォーム端部の荷物台48上に移動させた上で、荷物台48を昇降させて高さ調節を行う。続いて、ユニット22における荷物20の側面を押圧することによって、ユニット22を輸送機器の荷台に移動させることができる。
【0075】
また、本実施形態の荷物搬送方法では、シートパレット10が、水平方向に移動が可能な荷物台48に配置されている。これにより、一の位置でシートパレット10に載置された荷物20のユニット22を、床面として連続していない任意に離れた他の位置に移動させることができる。
【0076】
この結果、連続した平面を有する床面上を牽引することによって移動させることしかできない従来のシートパレット10の利用方法に比べ、床面が全く連続していない他の任意の場所への移動に対しても、牽引及び押圧の両方向でシートパレット10の利用が可能となる。これにより、シートパレット10の利用範囲を更に広げることができる。
【0077】
また、本実施形態の荷物搬送方法では、シートパレット10の上面12に載置された荷物20を側方から押圧することにより、荷物台48からトラック30の荷台32に荷物20がシートパレット10と共に移動する。これにより、シートパレット10に載置された荷物20を、牽引装置を用いずに、トラック30等の輸送車両の荷台に荷積みすることができる。
【0078】
この結果、トラック30等の輸送車両による物流において、シートパレット10が利用しやすくなり、荷物の保管効率や輸送効率が改善され、また、輸送車両における荷役作業において、手荷役も減らすことができ、時間節約、省力化、省エネにも有効である。
【0079】
また、本実施形態の荷物搬送方法では、トラック30の荷台32に、シートパレット10の下面14との摩擦を低減する滑動部材としてのスライダーボード38が敷設されている。なお、本発明においては、スライダーボードは、輸送車両の荷台に恒久的に敷設されていてもよく、また、随時必要に応じて敷設されてもよい。スライダーボード38の敷設により、荷台32上において、荷物20が載置されたシートパレット10上の荷物20の側面を押圧することによりユニット22を荷台32の奥部34に向けて移動させる際に、シートパレット10の下面14と荷台32表面の間の摩擦抵抗が低減される。このため、トラック30の荷台32にスライダーボード38が設けられていない場合と比して、小さい力でユニット22をトラック30における荷台32の奥部34に押進させ、荷積みすることができる。このように、シートパレット10を利用することにより、荷役作業において、省力化することができる。
【0080】
また、本実施形態の荷物搬送方法では、高摩擦層としてのゴムシート16はシートパレット10の上面12に接合されて一体化されている。このため、シートパレット10とゴムシート16とは常に一個の物体として扱うことができる。この結果、荷物20搬送の度にシートパレット10の上面12に設ける高摩擦層用部材を用意し、シートパレット10と共に持ち運びし、シートパレット10とは別に管理する等の手間を省くことができる。このため、シートパレット10の利用時の利便性が向上し、シートパレット10の普及に効果があり、それに伴って、荷物の保管効率や輸送効率を改善することができる。
【0081】
また、本実施形態の荷物搬送方法では、シートパレット10は荷物20の移動方向の前方の端部18が上方へ延出されている。これにより、シートパレット10の移動方向の端部18が床面から隔離する。このため、載置されている荷物20の側面を押圧してシートパレット10と共に移動させる際、シートパレット10の移動方向の端部18が、移動方向前方の床面に存在する凹凸等を乗り越えやすく、荷物20の側面を押圧して移動させやすくなる。この結果、シートパレット10の使いやすさが向上し、シートパレット10の普及に効果があり、それに伴って、荷物の保管効率や輸送効率を改善することができる。
【0082】
また、本実施形態のシートパレット10では、シートパレット10上に荷物20を載置した状態で、荷物20を側方から押圧することにより、シートパレット10と共に荷物20を押圧方向に移動させることができる。これにより、本実施形態のシートパレット10を用いて、シートパレット10に載置された荷物20を、プッシュプルアタッチメント付フォークリフト等の高価なシートパレット移動用装置を用いずに、簡便に移動させることができる。
【0083】
続いて、
図5から
図7を適宜参照しながら、本発明に係る荷物搬送方法の第二実施形態を説明する。なお、本実施形態の説明において、第一実施形態と同様の構成については、第一実施形態と同一の符号を用い、その説明を省略する場合がある。
【0084】
[第二実施形態]
(構成)
図5に示されるように、本実施形態に係る荷物搬送方法では、荷台32の両側が開放可能とされた側あおり36を有するトラック130が用いられる。
【0085】
その他の構成は、第一実施形態と同様である。
【0086】
(搬送手順)
本実施形態における荷物搬送方法では、
図5に示されるように、作業者は、トラック130に対して荷台32の側面(
図5における左側)に隣接して、ユニット22を載せた荷物台48を配置する。そして、第一実施形態と同様に、シートパレット10とトラック130の荷台32の高さを略同一の高さとする。
【0087】
続いて、作業者は、
図6に示されるように、トラック130の荷台32に対して側方(
図6における左側)から、荷物20を押圧して、シートパレット10と共に荷物20を荷台32に移動させる。これにより、第一実施形態と同様の作業手順により、荷物20をトラック130の荷台32に移動させて荷積みをする。
【0088】
また、本実施形態では、次の手順により、荷物20を荷台32から荷降ろしする。
【0089】
図7に示されるように、作業者は、トラック130を挟んでフォークリフト40とは反対側に荷物台48を配置する。続いて、荷物台48の上面12の高さが荷台32と略同等の高さになるよう調節する。
【0090】
この状態で、作業者は、
図7に示されるように、荷物20を荷台32から荷物台48に向かって押圧することにより、シートパレット10と共に荷物20を移動させる。これにより、荷物20は、シートパレット10と共に荷台32から荷物台48へと移動する。なお、本実施形態における荷物台48は、本発明に係る荷降ろし領域の一例となる。
【0091】
その他の搬送手順は、第一実施形態と同様である。
【0092】
続いて、本実施形態における作用及び効果を説明する。
【0093】
(作用及び効果)
本実施形態の荷物搬送方法では、ユニット22を載せた荷物台48が、両側面が開放可能とされたトラック130の荷台32の一方側面に隣接して配置された状態において、荷物20をトラック130の一方の側面側に向けて押圧する。そして、荷台32と略同じ高さに配置した荷物台48の上面から荷物20をシートパレット10と共に押圧によって荷台32上まで移動させる。これにより、ユニット22をトラック130に荷積みすることができる。
【0094】
また、本実施形態の荷物搬送方法では、両側面が開放可能とされたトラック130の荷台32上に載せられているシートパレット10に載置された荷物20を、トラック130の一方の側面側から押圧する。これにより、荷物20をシートパレット10と共にトラック130の他方の側面側に荷台32と略同じ高さに配置した荷降ろし領域としての荷台32まで移動させる。これにより、ユニット22をトラック130から荷降ろしすることができる。従来、シートパレットに載置された荷物をシートパレットと共に荷降ろしするには、シートパレットを牽引するプッシュプルアタッチメント付フォークリフトその他の牽引装置を必要とした。一方、本態様の荷物搬送方法を用いることにより、牽引装置を用いずに荷降ろしすることができる。この結果、シートパレットを利用する荷役作業において、高価な牽引装置に代えて比較的安価な押圧部材等の利用が可能となり、シートパレットの普及に効果があり、それに伴って、荷物の保管効率や輸送効率の改善にも効果がある。
【0095】
なお、本実施形態において、荷降ろし領域として荷台32を用いたが、本発明における荷降ろし領域は、輸送用車両の荷台から荷物を移動させて荷降ろしさせる場所を指し、荷物台、荷役用のプラットフォーム等、荷台から荷物を移動させて置くことが可能とされれば、特に限定されない。
【0096】
なお、その他の作用及び効果は、第一実施形態と同様である。
【0097】
続いて、第一実施形態又は第二実施形態における変形例を説明する。
【0098】
(変形例)
本実施形態に係る荷物搬送方法では、シートパレット10のゴムシート16は、シートパレット10の上面12に接合されていたが、本発明では、これに限定されない。例えばゴムシートは、シートパレットの上面と分離可能とされていてもよい。
【0099】
また、本実施形態に係る荷物搬送方法では、シートパレット10の上面12にゴムシート16が設けられて高摩擦とされていたが、本発明では、これに限定されない。例えば、シートパレットの上面が、下面と比べて粗く形成されることにより、高摩擦とされていてもよい。
【0100】
また、本実施形態に係る荷物搬送方法では、荷台32には滑動部材としてスライダーボード38が敷設されていたが、本発明では、これに限定されない。例えば、シートパレットの下面が滑らかな表面を有し、荷台の上面と直接接触した場合においても摩擦抵抗がシートパレットの上面側と比べて小さい場合、荷台には滑動部材が敷設されていなくてもよい。
【0101】
また、本実施形態における荷物台48は、水平方向に移動可能とされていたが、本発明では、これに限られない。すなわち、荷物台は、水平方向に移動可動とされていないプラットフォーム等とされていてもよい。
【0102】
また、本実施形態における荷物台48は、鉛直方向に昇降可能とされていたが、本発明では、これに限られない。すなわち、荷物台は、鉛直方向に移動可動とされていないプラットフォーム等とされていてもよい。
【0103】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明したが、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0104】
10 シートパレット
12 シートパレット上面
14 シートパレット下面
16 ゴムシート(高摩擦層の一例)
18 シートパレット端部
20 荷物
22 ユニット
30 トラック(輸送車両の一例)
32 荷台
33 荷台縁
34 荷台奥部
36 側あおり
38 スライダーボード(滑動部材の一例)
40 フォークリフト(押圧用車両の一例)
42 パレット
44 押圧部材
46 連結部材
48 荷物台(荷降ろし領域の一例)
130 トラック(輸送車両の一例)