(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084081
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】貨幣処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/32 20190101AFI20240617BHJP
【FI】
G07D11/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198270
(22)【出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】平野 伶菜
(72)【発明者】
【氏名】濱田 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】白崎 政実
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA06
3E141CA09
3E141FH02
3E141FH04
3E141FJ05
3E141FK02
(57)【要約】
【課題】レシート用紙の使用量を削減することができる貨幣処理装置を提供する。
【解決手段】出納機1は、売上金以外の貨幣の取引処理の取引明細を印字したレシートR1を出力可能なプリンタ60と、レシートR1に入金明細を印字するか否かの設定を受け付けるキーボード50と、キーボード50により入力された設定に基づいてプリンタ60を制御する制御部70とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
売上金以外の貨幣の取引処理の取引明細を印字した印字媒体を出力可能な出力部と、
前記印字媒体に入金明細を印字するか否かの設定を受け付ける入力部と、
前記入力部により入力された設定に基づいて前記出力部を制御する制御部と、
を備えていることを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項2】
前記入力部は、前記印字媒体を出力するか否かの設定を受け付け可能であることを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記入力部は、前記売上金以外の貨幣の取引処理の取引に際して出金不足が生じた場合にのみ、前記印字媒体を出力する設定を受け付け可能であることを特徴とする請求項2に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記売上金以外の貨幣の取引処理は、入金された貨幣を異なる貨幣に交換する両替処理であることを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記売上金以外の貨幣の取引処理は、経費を入金する経費入金処理であることを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、出納機等の貨幣処理装置は、ショッピングモール等の商業施設のバックヤードに設置され、売上金の入金、釣銭補充金等の出金、交通費や消耗品の購入費用等の経費の精算等に使用されている(例えば、特許文献1参照)。このような貨幣処理装置は、商業施設の従業員だけでなく、商業施設に入店している店舗(テナント)の従業員も使用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、貨幣処理装置において入出金取引を行う場合、入出金された金種及び金額をレシートに印字するのが一般的であるところ、レシートが長くなってしまい、レシート用紙を大量に消費することになる。
【0005】
そこで、本発明は、レシート用紙の使用量を削減することができる貨幣処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る貨幣処理装置は、売上金以外の貨幣の取引処理の取引明細を印字した印字媒体を出力可能な出力部と、前記印字媒体に入金明細を印字するか否かの設定を受け付ける入力部と、前記入力部により入力された設定に基づいて前記出力部を制御する制御部と、を備えている構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、レシート用紙の使用量を削減することができる貨幣処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る出納機を示す斜視図。
【
図3】両替処理の入出金明細を印字したレシートのフォーマットを示す図。
【
図4】両替処理において出金不足が生じた際にレシートに追記されるメッセージを示す図。
【
図5】両替処理において入出金されない金種を省略したレシートの一例を示す図。
【
図6】プリンタの印字設定を変更するための設定メニュー画面を示す図。
【
図7】両替処理に伴って印字されるレシートの印字設定を選択する選択画面を示す図。
【
図8】レシートが出力される流れを示すフローチャート。
【
図9】経費入金処理の入出金明細を印字したレシートのフォーマットを示す図。
【
図10】経費入金処理において出金不足が生じた際にレシートに追記されるメッセージを示す図。
【
図11】経費入金処理において入出金されない金種を省略したレシートの一例を示す図。
【
図12】経費入金処理においておつりがなく「おつり明細」の欄を省略した、経費入金処理に伴って出力されるレシートの一例を示す図。
【
図13】経費入金処理に伴って出力されるレシートの出力設定を選択する選択画面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0010】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0011】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0012】
図1は、貨幣処理装置の一実施形態である、紙幣及び硬貨等を処理する出納機1を示す。出納機1は、ショッピングモール等の商業施設に設置されて、商業施設の従業員及び商業施設に入店する店舗の従業員が使用することができる。なお、以下の説明では、出納機1に対して操作者側を前、出納機1に対して操作者とは反対側を後、操作者から出納機1を視て左右を左右とする。
【0013】
出納機1は、
図1に示すように、紙幣の入出金処理を受け付ける紙幣処理部10と、バラ硬貨の入出金処理を受け付けるバラ硬貨処理部20と、棒金の出金処理を受け付ける棒金支払部30とが、左から紙幣処理部10、バラ硬貨処理部20及び棒金支払部30の順に並んで設けられている。
【0014】
紙幣処理部10は、紙幣処理部10の前面略中央に設けられた紙幣入出金口11から投入された紙幣を機内の紙幣収納部に金種毎に振り分けて収納する紙幣入金処理と、機内の紙幣収納部から繰り出された紙幣を紙幣入出金口11から機外へ払い出す紙幣出金処理と、を行う。
【0015】
また、紙幣処理部10は、紙幣入出金口11に入金された紙幣を紙幣の真偽及び金種を識別し、真の紙幣のみを受け付ける図示しない紙幣受付部を備えている。紙幣受付部は、受け付けた真の紙幣を金種別に振り分けて収納する。また、紙幣受付部は、紙幣入出金口11に投入された紙幣が偽札、識別不能な紙幣又は外国紙幣である場合、その紙幣を受け付けずに入金リジェクト口12から排出する。
【0016】
バラ硬貨処理部20は、バラ硬貨処理部20の上面に設けられた投入口21から投入されたバラ硬貨を機内のバラ硬貨収納部に金種毎に振り分けて収納するバラ硬貨入金処理と、機内のバラ硬貨収納部から繰り出されたバラ硬貨をバラ硬貨処理部20の前面下方に設けられた出金箱22から機外へ払い出すバラ硬貨出金処理と、を行う。
【0017】
また、バラ硬貨処理部20は、投入口21に投入された硬貨を硬貨の真偽及び金種を識別し、真の硬貨のみを受け付ける図示しない硬貨受付部を備えている。硬貨受付部は、受け付けた真の硬貨を金種別に振り分けて収納する。また、硬貨受付部は、投入口21に投入された硬貨が偽貨、識別不能な硬貨又は外国硬貨である場合、その硬貨を受け付けずに入金リジェクト口23から排出する。
【0018】
棒金支払部30は、バラ硬貨を所定の包装単位枚数だけ纏めて包装フィルムで包装した棒金を機内の棒金収納部に金種毎に振り分けて収納しており、棒金収納部に収納された棒金を繰り出して出金口31から機外へ払い出す棒金出金処理を行う。
【0019】
出納機1には、ディスプレイ40と、入力部としてのキーボード50とが設けられている。ディスプレイ40及びキーボード50は、紙幣処理部10の上面に載置されている。
【0020】
ディスプレイ40には、初期設定又は操作者の操作に応じて予め登録された複数のアイコンや入力フォーム等の選択項目を含む操作画面が表示される。なお、ディスプレイ40に表示される選択項目は、アイコンや入力フォームの形式に限定されるものではない。
【0021】
キーボード50は、操作者によるキーの押下を介して操作入力を受け付ける。また、キーボード50には、操作者を特定するカードを読み取るカードリーダー51が設けられている。出納機1の操作は、カードリーダー51によって認証された操作者が出納機1へのアクセス権限を持つ場合に限定される。
【0022】
出納機1には、印字媒体である各種レシートを印刷する出力部としてのプリンタ60が設けられている。プリンタ60は、棒金支払部30の上面に載置されている。プリンタ60がレシートを出力する出力設定は、ディスプレイ40に表示される後述の設定画面にて任意に変更可能である。
【0023】
図2に示すように、出納機1には、その動作を制御する制御部70が設けられている。制御部70は、動作制御部71と、表示制御部72と、を備えている。動作制御部71は、出納機1を構成する各種機器の動作を制御する。表示制御部72は、ディスプレイ40に表示される各種画面を制御する。また、記憶部73には、出納機1の動作に必要な各種情報が保存される。さらに、記憶部73には、後述するレシートの出力とともに操作履歴、動作履歴及び印字履歴等を含む電子ジャーナルが記憶される。
【0024】
なお、ディスプレイ40は、タッチ操作入力を受け付けるタッチパネルであっても構わない。タッチパネルで構成されたディスプレイ40は、例えば、ディスプレイ40上に表示されたアイコンに対する操作者のタッチ入力を検知すると、当該アイコンの選択を受け付けるボタン機能を有する。
【0025】
次に、本実施形態に係る出納機1の主な機能について説明する。
【0026】
出納機1は、商業施設や店舗の売上金の入金処理等に加えて、売上金以外の貨幣の取引処理を受け付け可能である。ここで、売上金以外の貨幣の取引処理とは、例えば、両替処理や、交通費、宿泊費又は消耗品の購入費用等に払い出す経費の入金処理等である。まず、出納機1の基本的な動作について説明する。
【0027】
<入金処理>
商業施設や店舗の売上金の入金処理において、操作者が、カードリーダー51による操作者の認証後に、ディスプレイ40及びキーボード50を操作して、入金処理を選択すると、紙幣入出金口11及び投入口21が開き、売上金等がそれぞれ投入される。紙幣処理部10及びバラ硬貨処理部20は、それぞれ投入された紙幣及び硬貨の真偽及び金種を識別しつつ、機内の紙幣収納部及びバラ硬貨収納部に金種毎に振り分けて収納する。
【0028】
正常に識別された紙幣及び硬貨の金種別金額及び総合計金額等の入金情報がディスプレイ40に表示され、操作者が総合計金額等の確認後にキーボード50を介した完了操作を経ることで入金が確定し、プリンタ60は、入金情報が印字されたレシートを出力する。
【0029】
<出金処理>
商業施設や店舗にあっては、営業開始前に当日の営業に必要な釣銭準備金を出納機1から予め出金させることがある。操作者は、カードリーダー51による操作者の認証後に、ディスプレイ40及びキーボード50を操作して、出金処理(又は釣銭準備金出金処理)を選択し、予め設定されている釣銭準備金パターン、又は都度指定する金種別の枚数及び金額を入力する。出納機1は、この入力操作に基づき、紙幣処理部10の紙幣収納部より紙幣を紙幣入出金口11に出金し、又はバラ硬貨処理部20のバラ硬貨収納部より硬貨を出金箱22に出金する。操作者は、出金が正常に行われたことを確認した後に、紙幣入出金口11及び出金箱22より紙幣及び硬貨を取り出す。
【0030】
上述した出金処理と並行して、プリンタ60は、出金された紙幣及び硬貨の金種別金額及び総合計金額等の出金情報が印字されたレシートを出力する。
【0031】
<両替処理>
上述したように釣銭準備金を出金した場合であっても、当日の入出金状況によっては一部金種が現に不足したり、不足が予見される状況になるときがある。そのため、出納機1では、商業施設や店舗に向けた両替処理が可能である。
【0032】
両替金を払い出す両替処理では、出納機1は、商業施設の従業員又は店舗の従業員によって紙幣入出金口11に投入された紙幣又は投入口21に投入された硬貨と同額の紙幣又は硬貨を紙幣入出金口11、出金箱22又は出金口31へ払い出す。払い出される紙幣又は硬貨の組み合わせは、記憶部73に予め記憶されたものであっても構わないし、操作者によって設定されたものであっても構わない。
【0033】
すなわち、例えば、操作者が、持参した万券8枚を紙幣入出金口11に投入すると、投入された紙幣が紙幣受付部によって識別されて、受け付けた入金額8万円がディスプレイ40に表示される。この時点では両替設定はまだ行われていないため、両替未設定金額は8万円、両替設定済み金額は0円とディスプレイ40に表示される。そして、操作者は、受け付けた入金額(すなわち、両替未設定金額8万円)の範囲内において、両替したい金種及び数量をキーボード50を介して設定する。
【0034】
一例として、まず、五千券を6枚と両替設定することで、五千券の両替設定済み金額は3万円、両替設定済み合計金額も3万円と表示され、両替未設定金額は5万円に減額表示される。続いて、千券を35枚と両替設定することで、千券の両替設定済み金額は3万5千円、両替設定済み合計金額は6万5千円と増額表示され、両替未設定金額は1万5千円に減額表示される。以下同様にして、500円硬貨を20枚(1万円)、50円硬貨を棒金2本(100枚:5千円)の両替設定することで、両替設定済み合計金額は8万円と増額表示され、両替未設定金額は0円に減額表示される。
【0035】
一般的に、両替未設定金額が0円になると、両替設定が完了したとみなされ、例えば、ディスプレイ40に「両替動作を開始しますか」の表示と、両替実行可否のボタンが表示され、両替実行のボタンが選択される又はキーボード50上の実行ボタンが押下されると、両替設定された金種及び数量の出金が開始される。
【0036】
すなわち、両替設定された五千券6枚と千券35枚は、紙幣収納部から紙幣入出金口11へ出金され、両替設定された500円硬貨20枚は、バラ硬貨収納部から出金箱22へ出金され、両替設定された50円硬貨の棒金2本は、棒金収納部から出金口31へ出金される。
【0037】
また、上述した両替処理と並行して、プリンタ60は、両替処理の入出金明細を印字した
図3に示す印字媒体としてのレシートR1を出力する。
【0038】
レシートR1には、入金された金種、枚数及び金額を示す「預り明細」、出金された金種、枚数及び金額を示す「支払明細」が記載されている。「預り明細」の「紙幣計数明細」とは、紙幣入出金口11に投入された紙幣に対応しており、「預り明細」の「硬貨計数明細」とは、投入口21に投入された硬貨に対応している。また、「支払明細」の「紙幣計数明細」とは、紙幣入出金口11へ払い出された紙幣に対応しており、「支払明細」の「硬貨計数明細」とは、出金箱22に払い出された硬貨に対応しており、「支払明細」の「硬貨計数明細(棒金)」とは、出金口31へ払い出された棒金に対応している。
【0039】
両替処理において、入金額に対して出納機1内に収納されている紙幣及び硬貨の金額が少なく出金額が不足している場合には、
図4に示す出金不足が生じていることを示すメッセージM1がレシートR1の「支払明細」に続けて印字される。操作者は、メッセージM1が印字されたレシートR1が出力されると、出納機1の管理者等に出金不足が生じていることを伝え、紙幣又は硬貨の補填を依頼する。ここで、収納している紙幣及び硬貨の金額が少なくて出金額が不足する場合とは、一般的に、両替処理が実行されているときに、紙幣又は硬貨の一部に不都合が生じて出金不可となり、リジェクト(出金不可)された分が多くなったときに発生する。
【0040】
なお、両替処理において入出金されない金種については、
図5に示すように、レシートR1に印字される「預り明細」及び「支払明細」のうち入出金されない金種に関する記載を省略することが好ましい。
【0041】
図6は、ディスプレイ40に表示され、操作者がプリンタ60の出力設定を変更するための操作画面(設定メニュー画面)S1である。
図6に示す設定メニュー画面には、「両替印字設定」のアイコンI10、「経費入金印字設定」のアイコンI11が含まれている。操作者がキーボード50のキー入力により、ディスプレイ40に表示された設定メニュー画面S1に含まれるアイコンI10、I11が選択された後に、「実行」のアイコンI12が選択されると、表示制御部72は、選択されたアイコンI10、I11に対応する機能を実現するように別の操作画面をディスプレイ40に表示する。
【0042】
操作者が、設定メニュー画面S1において、「両替印字設定」のアイコンI10が選択された場合には、表示制御部72は、ディスプレイ40に表示される画面を、設定メニュー画面S1から
図7に示すレシートR1を出力する際の出力設定を選択可能な操作画面(両替印字設定選択画面)S2に切り替える。
【0043】
図7に示す選択画面S2において、キーボード50は、選択項目「レシート印字」について「しない」、「する」又は「支払不足時」の三者択一のラジオボタンI20~I22、選択項目「預り明細印字」について「しない」又は「する」の二者択一のラジオボタンI23~I24、入力内容を確定させる「実行」のアイコンI25、及びディスプレイ40に表示された選択画面S2を
図6に示す設定メニュー画面S1に切り替える「取消」のアイコンI26を選択する操作入力を受け付ける。
【0044】
選択項目「レシート印字」について「しない」のラジオボタンI20が選択された上で「実行」のアイコンI25が選択された場合には、動作制御部71は、両替処理の際にレシートR1を出力しないようにプリンタ60を制御する。
【0045】
選択項目「レシート印字」について「する」のラジオボタンI21が選択された上で「実行」のアイコンI25が選択された場合には、動作制御部71は、両替処理の際にレシートR1を出力するようにプリンタ60を制御する。
【0046】
選択項目「レシート印字」について「支払不足時」のラジオボタンI22が選択された上で「実行」のアイコンI25が選択された場合には、動作制御部71は、両替処理が正常に実行される場合にはレシートR1を出力せず、出金する紙幣又は硬貨に不足がある場合にはレシートR1を出力するようにプリンタ60を制御する。
【0047】
また、選択項目「預り明細印字」について「しない」のラジオボタンI23が選択された上で「実行」のアイコンI25が選択された場合には、動作制御部71は、両替処理の際に、「預り明細」を省略したレシートR1を出力するようにプリンタ60を制御する。
【0048】
一方、選択項目「預り明細印字」について「する」のラジオボタンI24が選択された上で「実行」のアイコンI25が選択された場合には、動作制御部71は、両替処理の際に、「預り明細」を印字したレシートR1を出力するようにプリンタ60を制御する。
【0049】
ここで、上述した両替処理と並行して、プリンタ60による両替処理の入出金明細を印字したレシートR1を出力する流れについて
図8に基づいて説明する。
【0050】
ステップSP1において、動作制御部71は、
図7に示す両替印字設定選択画面S2において、選択項目「預り明細印字」について「しない」のラジオボタンI23又は「する」のラジオボタンI24の何れが選択されたかを確認する。「する」のラジオボタンI24が選択されている場合、ステップSP2へ進み、「しない」のラジオボタンI23が選択されている場合、ステップSP3へ進む。
【0051】
ステップSP2では、預り明細を含む印字テキストの作成を行う。他方、ステップSP3では、預り明細を含まない印字テキストの作成が行われる。そして、いずれの場合であっても続いてステップSP4へ進む。
【0052】
ステップSP4では、動作制御部71は、
図7に示す両替印字設定選択画面S2において、選択項目「レシート印字」について「しない」のラジオボタンI20、「する」のラジオボタンI21又は「支払不足時」のラジオボタンI22の何れが選択されたかを確認する。
【0053】
ステップSP4で、「する」のラジオボタンI21が選択されている場合、ステップSP5へ進む。ステップSP5では、動作制御部71は、ステップSP2又はステップSP3の何れかで作成された印字テキストに従い、プリンタ60を制御してレシート印字を行い、ステップSP7へ進む。
【0054】
ステップSP4で、「しない」のラジオボタンI20が選択されている場合、レシート印字を行わずに、ステップSP7へ進む。
【0055】
ステップSP4で、「支払不足時」のラジオボタンI22が選択されている場合、ステップSP6へ進む。ステップSP6では、紙幣及び硬貨の出金において、少なくとも一部の金種及び数量において支払不足が発生したか否かが判断される。支払不足が発生した場合、ステップSP5へ進み、少なくとも不足明細の印字テキストが作成された上で、プリンタ60を制御してレシート印字を行う。
【0056】
他方、ステップSP6で、支払不足が発生しなかった場合、レシート印字を行わずに、ステップSP7へ進む。
【0057】
ステップSP7では、ステップSP5でレシート印字を行った場合、印字履歴を電子ジャーナルとして記憶部73に記憶して、両替処理に伴う一連の印字処理が完了する。
【0058】
なお、選択項目「預り明細印字」について「しない」又は「する」のラジオボタンI23~I24は、選択項目「レシート印字」について「しない」のラジオボタンI20が選択されたときには、非表示又は選択不能とし、選択項目「レシート印字」について「する」のラジオボタンI21が選択されたときにのみ選択可能に表示されても構わない。
【0059】
なお、選択画面S2における選択項目「預り明細印字」について、印字又は非印字だけでなく条件付き印字の設定を設けても構わない。
【0060】
具体的には、選択項目「預り明細印字」について、「しない」のラジオボタンI23及び「する」のラジオボタンI24に加えて、「指定金額を超えない場合に印字する」のラジオボタンを表示する。「指定金額を超えない場合に印字する」のラジオボタンが選択された状態で、入金額が指定金額を超えた場合には、動作制御部71は、「預り明細」を省略したレシートR1を出力するようにプリンタ60を制御する。一方、両替処理において入金額が指定金額以下の場合には、動作制御部71は、「預り明細」を印字したレシートR1を出力するようにプリンタ60を制御する。
【0061】
指定金額は、例えば、レシートR1に印字された場合に印紙税法で売上代金として課税対象となり得る金額(例えば、5万円)未満の金額が初期値で設定されても構わないし、操作者が「指定金額を超えない場合に印字する」のラジオボタンを選択する度に設定しても構わない。また、「指定金額を超えない場合に印字する」のラジオボタンの代わりに、「指定金額を超えた場合に印字する」のラジオボタンを表示しても構わない。この場合、両替処理において入金額が指定金額以下の場合には、「預り明細」を省略したレシートR1を出力し、両替処理において入金額が指定金額を超えた場合には、「預り明細」を印字したレシートR1を出力する。
【0062】
また、両替処理は、異なる金種間で日本円を交換するものに限らず、日本円に外国貨を受け取って日本円に払い出すもの、又は日本円を受け取って外国貨を払い出すものであっても構わない。または、紙幣を新しい紙幣へ交換する新券両替であっても良い。
【0063】
例えば、外国貨から日本円への両替処理で出力されるレシートR1の「預り明細」には、記憶部73に予め記憶された両替時点での両替レート情報、外国貨を日本円に換算した日本円換算金額等が印字される。そして、例えば、
図7に示す選択画面S2において、選択項目「預り明細印字」について「しない」のラジオボタンI23が選択された場合、両替処理の際に出力されるレシートR1には、日本円換算金額等を含む「預り明細」が印字されない。
【0064】
また、選択項目「レシート印字」のラジオボタンI20~I22、選択項目「預り明細印字」のラジオボタンI23~I24は、操作者の所属や権限(ランク)により選択可能にするか否かをそれぞれ設定しても構わない。
【0065】
例えば、操作者を、出納機1を設定する商業施設に所属する者又は店舗に所属する者に区分する場合、操作者が商業施設に所属する者のときは、選択項目「預り明細印字」について「しない」のラジオボタンI23を非表示又は選択不能とする。これは、出納機1を設定する商業施設に所属する者が行う両替処理は、社内での金銭の移動または交換に過ぎず、レシートR1に印字された「預り明細」の金額にかかわらず収入印紙の貼付は不要なためである。
【0066】
一方、操作者が店舗に所属する者のときは、選択項目「預り明細印字」について「する」のラジオボタンI24を非表示又は選択不能とする。これは、店舗に所属する者が行う両替処理では、「預り明細」を省略したレシートR1を出力することにより、高額入金の場合であっても、収入印紙の貼付が不要となる。
【0067】
このようにして、本実施形態に係る出納機1は、売上金以外の貨幣の取引処理の一つである両替処理の取引明細を印字したレシートR1を出力可能なプリンタ60と、レシートR1に入金明細を印字するか否かの設定を受け付けるキーボード50と、キーボード50により入力された設定に基づいてプリンタ60を制御する制御部70と、を備える構成とした。
【0068】
この構成によれば、顧客の要望に応えて、レシート用紙の使用量を削減することができる。また、レシートR1を出力することにより、操作者は、レシートR1に印字された出金明細と出金された両替金との突合を容易に行うことができる。
【0069】
<経費入金処理>
出納機1では、売上金の管理機能に付随して、交通費や宿泊費等の清算支出、文具や備品等の経費支出等を行う経費管理機能を備えている。このような経費管理機能については、本出願人が本願に先立って出願した特願2022-053419に説明されている。このような経費管理機能を備える出納機1は、経費の不足に備えて経費補充を行う経費入金処理を受け付ける。
【0070】
経費入金処理では、出納機1は、商業施設の従業員又は店舗の従業員によって紙幣入出金口11に投入された紙幣又は投入口21に投入された硬貨を受け付け、入金額とキーボード50を介して入力された経費との差額(おつり)を払い出す。また、プリンタ60は、経費入金処理の入出金明細を印字した
図9に示す印字媒体としてのレシートR2を出力する。
【0071】
レシートR2には、入金された金種、枚数及び金額並びに経費を示す「預り明細」、出金された金種、枚数及び金額を示す「おつり明細」が記載されている。「預り明細」の「紙幣計数明細」とは、紙幣入出金口11に投入された紙幣に対応しており、「預り明細」の「硬貨計数明細」とは、投入口21に投入された硬貨に対応しており、「預り明細」の「入金」とは、出納機1に入金される経費に対応している。また、「おつり明細」の「紙幣計数明細」とは、紙幣入出金口11へ払い出された紙幣に対応しており、「おつり明細」の「硬貨計数明細」とは、出金箱22に払い出された硬貨に対応しており、「おつり明細」の「硬貨計数明細(棒金)」とは、出金口31へ払い出された棒金に対応している。
【0072】
経費入金処理において、払い出すべき出金額に対して出納機1内に収納されている紙幣及び硬貨の金額が少ない場合には、
図10に示す出金不足が生じていることを示すメッセージM2がレシートR2の「おつり明細」に続けて印字される。操作者は、メッセージM2が印字されたレシートR2が出力されると、出納機1の管理者等に出金不足が生じていることを伝え、紙幣又は硬貨の補填を依頼する。
【0073】
なお、経費入金処理において入出金されない金種については、
図11に示すように、レシートR2に印字される「預り明細」及び「おつり明細」のうち入出金されない金種に関する記載を省略することが好ましい。
【0074】
また、入金額と経費とが等しく出金が発生しない場合は、
図12に示すように、レシートR2に印字される「おつり明細」の欄を省略しても構わない。なお、経費入金処理では、おつりを出金不可に設定しても構わない。その場合には、入金された紙幣及び硬貨は、全額経費として入金される。
【0075】
図6に示す設定メニュー画面S1において、「経費入金印字設定」のアイコンI11が選択された場合には、表示制御部72は、ディスプレイ40に表示される画面を、設定メニュー画面S1から
図13に示すレシートR2を出力する際の出力設定を選択可能な操作画面(経費入金印字設定選択画面)S3に切り替える。
【0076】
図13に示す選択画面S3において、キーボード50は、選択項目「預り明細印字」について「しない」又は「する」のラジオボタンI30~I31、入力内容を確定させる「実行」のアイコンI32、及びディスプレイ40に表示された選択画面S3を
図6に示す設定メニュー画面S1に切り替える「取消」のアイコンI33を選択する操作入力を受け付ける。
【0077】
選択項目「預り明細印字」について「しない」のラジオボタンI30が選択された上で「実行」のアイコンI32が選択された場合には、動作制御部71は、経費入金処理の際に、「預り明細」を省略したレシートR2を出力するようにプリンタ60を制御する。
【0078】
一方、選択項目「預り明細印字」について「する」のラジオボタンI31が選択された上で「実行」のアイコンI32が選択された場合には、動作制御部71は、経費入金処理の際に、「預り明細」を印字したレシートR2を出力するようにプリンタ60を制御する。
【0079】
なお、選択画面S3における選択項目「預り明細印字」について、印字又は非印字だけでなく条件付き印字の設定を設けても構わない。
【0080】
具体的には、選択項目「預り明細印字」について、「しない」のラジオボタンI30及び「する」のラジオボタンI31に加えて、「指定金額を超えない場合に印字する」のラジオボタンを表示する。「指定金額を超えない場合に印字する」のラジオボタンが選択された状態で、入金額が指定金額を超えた場合には、動作制御部71は、「預り明細」を省略したレシートR2を出力するようにプリンタ60を制御する。一方、経費入金処理において入金額が指定金額以下の場合には、動作制御部71は、「預り明細」を印字したレシートR2を出力するようにプリンタ60を制御する。
【0081】
指定金額は、例えば、レシートR2に印字された場合に印紙税法で売上代金として課税対象となり得る金額(例えば、5万円)未満の金額が初期値で設定されても構わないし、操作者が「指定金額を超えない場合に印字する」のラジオボタンを選択する度に任意に設定しても構わない。また、「指定金額を超えない場合に印字する」のラジオボタンの代わりに、「指定金額を超えた場合に印字する」のラジオボタンを表示しても構わない。この場合、経費入金処理において入金額が指定金額以下の場合には、「預り明細」を省略したレシートR2を出力し、経費入金処理において入金額が指定金額を超えた場合に、「預り明細」を印字したレシートR2が出力する。
【0082】
また、選択項目「預り明細印字」のラジオボタンI30~I31は、操作者の所属や権限(ランク)により選択可能にするか否かをそれぞれ設定しても構わない。
【0083】
例えば、操作者を、出納機1を設定する商業施設に所属する者又は店舗に所属する者に区分する場合、操作者が出納機1の管理者及び商業施設に所属する者のときは、選択項目「預り明細印字」について「しない」のラジオボタンI30を非表示又は選択不能とする。これは、出納機1を設定する商業施設に所属する者が行う経費の入金処理は、社内での金銭の移動に過ぎず、印紙税法で規定される売上代金には当たらないため、レシートR2に印字された「預り明細」の金額にかかわらず収入印紙の貼付は不要なためである。
【0084】
一方、操作者が店舗に所属する者のとき、選択項目「預り明細印字」について「する」のラジオボタンI31を非表示又は選択不能とする。これは、店舗に所属する者が行う経費入金処理では、「預り明細」を省略したレシートR2を出力することにより、高額入金の場合であっても、収入印紙の貼付が不要となる。
【0085】
また、
図13に示す選択画面S3は、
図7に示す選択画面S2と同様に、レシートR2の出力又は非出力を切換可能な選択項目を含むものであっても構わない。さらに、選択項目「預り明細印字」について「しない」又は「する」のラジオボタンI30~I31は、レシートR2の非出力が選択された場合には非表示又は選択不能とし、レシートR2の出力が選択された場合にはのみ選択可能として構わない。
【0086】
このようにして、本実施形態に係る出納機1は、売上金以外の貨幣の取引処理の一つである経費入金処理の取引明細を印字したレシートR1を出力可能なプリンタ60と、レシートR1に入金明細を印字するか否かの設定を受け付けるキーボード50と、キーボード50により入力された設定に基づいてプリンタ60を制御する制御部70と、を備える構成とした。
【0087】
この構成によれば、経費入金処理に伴って出力されるレシートR2に「預り明細」を表示するか否かを選択可能なため、レシートR2への「預り明細」の非表示を予め選択することにより、顧客の要望に応えて、レシート用紙の使用量を削減することができる。また、レシートR2を出力することにより、操作者は、レシートに印字された経費入金の実施確認を容易に行える。
【0088】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。また、上述した実施形態及び各種変形例を組み合わせても構わない。
【0089】
例えば、上述した実施形態では、貨幣処理装置としての出納機1を例に説明したが、売上金の入金処理を行わない装置、例えば両替処理のみを行う両替機や経費の入金処理のみを行う精算機等であっても構わない。
【符号の説明】
【0090】
1:出納機、10:紙幣処理部、11:紙幣入出金口、12:入金リジェクト口、20:バラ硬貨処理部、21:投入口、22:出金箱、23:入金リジェクト口、30:棒金支払部、31:出金口、40:ディスプレイ(表示部)、50:キーボード(入力部)、51:カードリーダー、60:プリンタ(出力部)、70:制御部、71:動作制御部、72:表示制御部、73:記憶部