(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084092
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】駆動機構
(51)【国際特許分類】
B25B 21/02 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
B25B21/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023015811
(22)【出願日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】111147611
(32)【優先日】2022-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523041263
【氏名又は名称】台湾保來得股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 曜漢
(72)【発明者】
【氏名】陳 金江
(57)【要約】 (修正有)
【課題】駆動機構に関し、特に、インパクトレンチに適用できる駆動機構を提供する。
【解決手段】本開示は、ドライブシャフト、スリーブ、複数のガイド部材、衝撃部、および、出力シャフトを有する駆動機構を提供する。スリーブは、ドライブシャフトにスリーブ状に装着され、ガイド部材を収容するための複数のガイド溝を有する。衝撃部は、スリーブの外側にスリーブ状に装着される。いくつかのガイド部材は、ドライブシャフトに関して直線的な移動はせず、他のガイド部材は、衝撃部に関して直線的な移動はしない。ガイド溝の設計により、ドライブシャフトに入力されたトルクは、出力シャフトにかけられる衝撃トルクへと変換される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向を規定するドライブシャフトと、
前記ドライブシャフトにスリーブ状に装着され、第1のガイド溝および第2のガイド溝を有するスリーブと、
前記スリーブにスリーブ状に装着された衝撃部と、
前記第1のガイド溝内を移動可能であり、前記ドライブシャフトに関して直線的な移動をしない第1のガイド部材と、
前記第2のガイド溝内を移動可能であり、前記ドライブシャフトに関して直線的な移動をしない第2のガイド部材と、を備える駆動機構であって、
前記第1のガイド溝および前記第2のガイド溝は、前記第1のガイド部材が前記第1のガイド溝内を移動し、前記第2のガイド部材が前記第2のガイド溝内を移動する場合、前記スリーブが、前記ドライブシャフトおよび前記衝撃部に関して軸方向に移動することができるよう構成されている、駆動機構。
【請求項2】
前記軸方向において、前記ドライブシャフトに対するテンションを前記衝撃部にかける弾性部材と、
前記ドライブシャフトの反対側である前記駆動機構の側に配置された出力シャフトと、をさらに備え、
前記第1のガイド溝内の前記第1のガイド部材の移動と、前記第2のガイド溝内の前記第2のガイド部材との移動によって、前記弾性部材によって前記衝撃部にかけられた前記テンションは、前記衝撃部によって前記出力シャフトにかけられるトルクに変換される、請求項1に記載の駆動機構。
【請求項3】
前記第1のガイド溝と前記第2のガイド溝とは、前記スリーブの前記軸方向に間隔を置いて配置され、前記スリーブの径方向に角度をもって離れて配置されており、
前記第1のガイド溝は、前記第2のガイド溝より、前記軸方向において前記ドライブシャフトに近く、
前記第1のガイド溝は、前記スリーブを貫通する、請求項2に記載の駆動機構。
【請求項4】
前記ドライブシャフトは、前記第1のガイド部材を収容するための凹部を有し、前記衝撃部は、前記第2のガイド部材を収容するための凹部を有する、請求項3に記載の駆動機構。
【請求項5】
前記第1のガイド部材および前記第2のガイド部材は、ボールである、請求項4に記載の駆動機構。
【請求項6】
前記ドライブシャフトは、前記第1のガイド部材を収容するための貫通孔を有し、前記衝撃部は、前記第2のガイド部材を収容するための凹部を有する、請求項3に記載の駆動機構。
【請求項7】
前記第1のガイド部材は、ピンであり、前記第2のガイド部材は、ボールである、請求項6に記載の駆動機構。
【請求項8】
前記スリーブは、第3のガイド溝および第4のガイド溝をさらに有し、 前記第3のガイド溝は、前記第1のガイド溝の反対側に配置され、
前記第4のガイド溝は、前記第2のガイド溝の反対側に配置され、
前記駆動機構は、
前記ドライブシャフトに関して直線的な移動はしないが、前記第3のガイド溝内を移動できる第3のガイド部材と、
前記ドライブシャフトに関して直線的な移動はしないが、前記第4のガイド溝内を移動できる第4のガイド部材と、
をさらに有する、請求項3に記載の駆動機構。
【請求項9】
前記ドライブシャフトは、前記第1のガイド部材および前記第3のガイド部材を収容するための2つの凹部を有し、前記衝撃部は、前記第2のガイド部材および前記第4のガイド部材を収容するための2つの凹部を有する、請求項8に記載の駆動機構。
【請求項10】
前記第1のガイド部材、前記第2のガイド部材、前記第3のガイド部材、および、前記第4のガイド部材は、ボールである、請求項9に記載の駆動機構。
【請求項11】
前記ドライブシャフトは、前記第1のガイド部材および前記第3のガイド部材を収容するための貫通孔を有し、前記衝撃部は、前記第2のガイド部材を収容するための凹部を有する、請求項8に記載の駆動機構。
【請求項12】
前記第1のガイド部材および前記第2のガイド部材は、前記ドライブシャフトの貫通孔に収容されるピンの2つの端部であり、前記第2のガイド部材は、ボールである、請求項11に記載の駆動機構。
【請求項13】
シャフトを有する入力機構と、
前記入力機構にスリーブ状に装着されるスリーブと、
前記スリーブにスリーブ状に装着される衝撃部と、
出力機構と、
軸方向において、前記入力機構に対するテンションを前記衝撃部にかける弾性部材と、を備える駆動機構であって、
前記衝撃部にかけられた前記テンションは、力-トルク変換機構によって、前記出力機構にかけられるトルクに変換される、駆動機構。
【請求項14】
前記スリーブは、第1のガイド溝および第2のガイド溝を有し、
前記駆動機構は、
前記第1のガイド溝内を移動可能であり、前記入力機構に関して直線的な移動はしない第1のガイド部材と、
前記第2のガイド溝内を移動可能であり、前記衝撃部に関して直線的な移動はしない第2のガイド部材と、をさらに備え、
前記力-トルク変換機構は、前記第1のガイド溝内での前記第1のガイド部材の移動、および、前記第2のガイド溝内での前記第2のガイド部材の移動によって、前記弾性部材により前記衝撃部にかけられた前記テンションを、前記衝撃部により前記出力機構にかけられるトルクへと変換する、請求項13に記載の駆動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動機構に関し、特に、インパクトレンチに適用できる駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
インパクトドライバは、高トルクをかけることができる工具である。一般的なインパクトドライバは、可動なドライブシャフト、衝撃部、出力シャフト、ボール、および、弾性部材を有する。ドライブシャフトと衝撃部とはどちらもガイド溝を有する。衝撃部は、ドライブシャフトにスリーブ状に装着され、ボールは、ガイド溝内に配置される。弾性部材は、ドライブシャフトと衝撃部との間にテンションをもたらす。ドライブシャフトおよび衝撃部のガイド溝の形状の設計では、ガイド溝内をボールが移動することによって、回転しているドライブシャフトが衝撃部を回転させると同時に軸方向に移動させる。出力シャフトが当接する衝撃部の表面は、複数の突起ブロックを有し、回転している衝撃部は、臨界点に達すると自動的に後方へ移動して、突起部ブロックが出力シャフトに当接するようになっている。このとき、弾性部材は、圧縮されて、より大きなテンションを蓄える。出力シャフトが当接する表面が突起ブロックの表面を越えるように衝撃部が回転し続けると、弾性部材に蓄えられたテンションが衝撃部にかけられ、瞬時に前方への衝撃をもたらす。このとき、ボールの移動はガイド溝内に制限されるので、衝撃は、衝撃部にかかるトルクに変換されることになり、それによって、衝撃部の突起ブロックが出力シャフトに周方向の衝撃を与えることにより、出力シャフトが瞬間トルクを生成し、ネジを締める、緩めるといった目的が達成される。
【0003】
しかしながら、ドライブシャフトと衝撃部にガイド溝を形成するには、精密加工技術が要求されるので、加工時間だけでなく、コストも増大することになる。さらに、ガイド溝は、ドライブシャフトおよび衝撃部に配置されるので、ドライブシャフトおよび衝撃部のそれぞれがガイド溝の形状に合わせた設計を有することはできても、異なる用途に合わせてガイド溝の形状を容易に変えることはできない。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態において、本開示は、ドライブシャフト、スリーブ、衝撃部、第1のガイド部材、および、第2のガイド部材を備える駆動機構を提供する。スリーブは、ドライブシャフトにスリーブ状に装着され、第1のガイド溝と第2のガイド溝とを有する。衝撃部は、スリーブにスリーブ状に装着される。第1のガイド部材は、第1のガイド溝内で移動可能であり、ドライブシャフトに関して直線的な移動はしないよう構成されている。第2のガイド部材は、第2のガイド溝内で移動可能であり、衝撃部に関して直線的な移動はしないよう構成されている。第1のガイド溝における第1のガイド部材の移動、および、第2のガイド溝における第2のガイド部材の移動により、スリーブは、ドライブシャフトおよび衝撃部に対して軸方向に移動することができる。
【0005】
いくつかの実施形態において、本開示は、入力機構、スリーブ、衝撃部、および、弾性部材を備える駆動機構を提供する。スリーブは、入力機構にスリーブ状に装着される。衝撃部は、スリーブにスリーブ状に装着される。弾性部材は、軸方向において、入力機構に対するテンションを衝撃部にかけるよう構成されている。力-トルク変換機構により、衝撃部にかけられたテンションは、出力機構にかけられるトルクに変換される。
【0006】
上記内容は、概ね本開示の技術的特徴を説明しており、本開示の詳細は、以下の記載によってより理解されよう。本開示の請求項の対象を構成する他の技術的特徴は、以下の内容に説明されている。本開示の分野における当業者は、概念または特定の実施形態を利用することによって、他の構造または製造プロセスを容易に変更または設計することができ、それによって本開示と同じ目的を達成できる。本開示の分野における一般知識を有する人であれば、等価な構造が、請求項で定義された趣旨および範囲を逸脱し得ないことを理解するはずである。
【0007】
添付の図面と共に本開示を読む場合、本開示の構成は、以下の実施形態によってより理解することができる。本開示の内容を明確に記載するために、特徴は、比率を反映せずに描かれていることがあり、特徴の寸法は、拡大または縮小されていることもあり得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態による駆動機構を示す斜視図である。
【
図2】
図1の駆動機構を示す側面図および断面図である。
【
図4】本開示の他の実施形態による駆動機構を示す斜視図である。
【
図6】本開示の一実施形態による異なる回転角度における駆動機構を示す透視図である。
【
図7】
図6の駆動機構の透視図に対応する斜視図である。
【0009】
本開示の図面および実施形態において、同じまたは同様の要素は、同じ参照符号によって示されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本開示の一実施形態による駆動機構1を示す斜視図である。
図2は、
図1の駆動機構を示す側面図および断面図である。
図3は、
図1の駆動機構を示す分解図である。いくつかの実施形態では、
図4は、他の実施形態による駆動機構を示す斜視図であり、
図5は、
図4に示された駆動機構を示す分解図である。
【0011】
いくつかの実施形態では、駆動機構1は、ドライブシャフト11,スリーブ12,衝撃部13(
図1および4では破線で示されている)、弾性部材15,出力シャフト14,複数のガイド部材16、転がり部材17,および、環状ガスケット18を主に有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、駆動機構11は、ユーザに近い近位端111と、ユーザから遠い遠位端112とを有する。いくつかの実施形態では、ドライブシャフト11は、その近位端111に環状突起部113を有する。いくつかの実施形態では、スリーブ12は、ドライブシャフト11の遠位端112からドライブシャフト11にスリーブ状に装着され、衝撃部13は、スリーブ12の外周壁にスリーブ状に装着されている。いくつかの実施形態では、衝撃部13は、略空洞の円筒体であり、U字形断面を有する環状溝134を有し、この環状溝134には、環状ガスケット18、および、複数の転がり部材17が収容されている。いくつかの実施形態では、出力シャフト14は、その一端にノッチを有する出力機構である。ノッチはドライブシャフト11の遠位端112の一部にスリーブ状に装着されることができ、それによってドライブシャフト11の遠位端112に当接する。いくつかの実施形態では、出力シャフト14は、長手方向において、スリーブ12の外側壁121に当接する。いくつかの実施形態では、弾性部材15は、ドライブシャフト11にスリーブ状に装着される。いくつかの実施形態では、弾性部材15の一端は、ドライブシャフト11の環状突起部113に当接し、弾性部材15の他端は、衝撃部13の環状ガスケット18に当接する。弾性部材15は、圧縮されると、ドライブシャフト11と衝撃部13との間にテンションをかける。
【0013】
図3に示すように、いくつかの実施形態では、ドライブシャフト11は、軸方向を規定し、ガイド部材16がそれを貫通して配置されるための貫通孔114を有する。この貫通孔114は、ドライブシャフト11の径方向にドライブシャフト11を貫通している。いくつかの実施形態では、ガイド部材16は、貫通孔114を貫通して配置されるピンであり、ドライブシャフト11の外周壁から突出する2つの端部を有する。
【0014】
図5に示すように、いくつかの実施形態では、ドライブシャフト11の外周壁は、ガイド部材16を配置するための複数の凹部114’を有する。いくつかの実施形態では、凹部114’は、ドライブシャフト11の外周壁の径方向において対向する側に配置されている。いくつかの実施形態では、ガイド部材16は、ドライブシャフト11の凹部114’に一部収容され、ドライブシャフト11の外周壁から一部突出し得るボール(例えば鉄球)である。
【0015】
いくつかの実施形態では、衝撃部13の内周壁もガイド部材16を配置するための凹部131を有する。いくつかの実施形態では、凹部131は、衝撃部13の内周壁の径方向において対向する側に概ね位置している。いくつかの実施形態では、ガイド部材16は、衝撃部13の凹部131に一部収容され、衝撃部13の内周壁から一部突出し得るボール(例えば、鉄球)である。
【0016】
いくつかの実施形態では、複数の転がり部材17(例えば、ボール)は、環状ガスケット18と衝撃部13の環状溝134との間に配置される。いくつかの実施形態では、複数の転がり部材17は、好ましくは、28個のボールである。
図2を参照すると、衝撃部13の環状溝134は、長手方向に延び、その距離は、衝撃部13の一端の外面からの高さより小さい。すなわち、環状溝134は、衝撃部13を貫通しない。
図3および5を参照すると、いくつかの実施形態では、衝撃部13の他端の外面は、環状凹面132を形成し、この環状凹面132の領域の一部は、台形の縦断面を有する突起ブロック133を形成する。いくつかの実施形態では、環状凹面132は、衝撃部13の外面と略同一平面上にある外面を有する2つの対向する突起ブロック133を有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、弾性部材15のテンションは、環状ガスケット18および転がり部材17を介して衝撃部13に伝達される。転がり部材17を配置することにより、回転している衝撃部13と環状ガスケット18との間の摩擦を最小限にすることができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、スリーブ12は、中空の円筒体の形状を有し、ガイド部材16がその中で移動するための複数のガイド溝122を有する。
図3および5を参照すると、いくつかの実施形態では、ガイド溝122は、スリーブ12を貫通する。いくつかの実施形態では、ドライブシャフト11の遠位端112に近いガイド溝122は、スリーブ12を貫通しない。いくつかの実施形態では、スリーブ12を貫通しないガイド溝122は、スリーブ12の外周壁に形成される。いくつかの実施形態では、ドライブシャフト11の近位端111に比較的近いスリーブ12のガイド溝122は、スリーブ12を貫通し、ドライブシャフト11の遠位端112に比較的近いスリーブ12のガイド溝122は、スリーブ12を貫通しない。いくつかの実施形態では、スリーブ12は、スリーブ12の長手方向における一方の側または一端に対の(2つの)ガイド溝122を有し、また、スリーブ12の長手方向におけるもう一方の側または他端にも対の(2つの)ガイド溝122を有する。それぞれの対のガイド溝122の2つのガイド溝122は、スリーブ12の径方向において対向する側に配置される。いくつかの実施形態では、2つの対のガイド溝122は、どちらもスリーブ12を貫通し得る。いくつかの実施形態では、ドライブシャフト11の遠位端112に比較的近い2つのガイド溝122は、スリーブ12の外周壁から形成されるが、スリーブ12を貫通しない。いくつかの実施形態では、ガイド溝122のそれぞれは、略V字形である。いくつかの実施形態では、2つの対のガイド溝122のうちの一方の対は、他の対のガイド溝122と逆の形状に配置される。すなわち、ドライブシャフト11の近位端111に近いガイド溝122は、V字形であり、ドライブシャフト11の遠位端112に近いガイド溝122は、逆V字形である。いくつかの実施形態では、ガイド溝122のそれぞれは、長手方向において、近位端から遠位端までの間に、距離dを有する。
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、ガイド部材16がガイド溝122のV字形の最下端から最上端まで移動する過程において長手方向(すなわち軸方向)に距離dだけ移動するように、V字形のガイド溝122は、長手方向における近位端から遠位端までの間に特定の距離を有する。
【0019】
図5を参照すると、いくつかの実施形態では、ガイド部材16は、ボールであり、ドライブシャフト11の外周壁の凹部114’に一部収容され、ドライブシャフト11の外周壁から一部突出する。ドライブシャフト11の外周壁から突出するガイド部材16の部分は、スリーブ12のガイド溝122内を移動できる。いくつかの実施形態では、ドライブシャフト11の外周壁の凹部114’におけるガイド部材16は、凹部114’に拘束されるので、ドライブシャフト11に関して直線的な移動はしない。したがって、ドライブシャフト11にかかる力またはトルクは、ガイド部材16を介してスリーブ12に伝達されることができ、その逆もまた然りである。
【0020】
図1および3を参照すると、いくつかの実施形態では、ドライブシャフト11が貫通孔114を有する場合、ガイド部材16は、ピンであり、貫通孔114内に配置される。ピンの2つの端部は、ドライブシャフト11の外周壁から外側に突出する。ピンの突出した部分は、スリーブ12のガイド溝122内を移動できるが、ピンは、ドライブシャフト11に関して直線的な移動はしない。ピンをガイド部材16として使用することにより、ガイド部材16とドライブシャフト11との間の構造強度を高め、それによって、ドライブシャフト11にかかる大きな力またはトルクを、ピンを介してスリーブ12に効率よく伝達することができる。
【0021】
図3および5を参照すると、いくつかの実施形態では、ガイド部材16は、ボールであり、衝撃部13の内周壁の凹部131に一部収容される。衝撃部13の内周壁から突出するガイド部材16の部分は、スリーブ12のガイド溝122内を移動できる。いくつかの実施形態では、衝撃部13の内周壁の凹部131内のガイド部材16は、凹部131に拘束されるので、衝撃部13に関して直線的な移動はしない。したがって、衝撃部13にかかる力またはトルクは、ガイド部材16を介してスリーブ12に伝達されることができ、その逆もまた然りである。
【0022】
上記によれば、ドライブシャフト11と衝撃部13との間の力およびトルクの伝達は、スリーブ12およびガイド部材16によって達成される。特に、ドライブシャフト11に配置されるガイド部材16は、ドライブシャフト11に関して直線的な移動をせず、また、衝撃部13に配置されるガイド部材16は、衝撃部13に関して直線的な移動をしないので、ドライブシャフト11および衝撃部13の移動は、スリーブ12のガイド溝122におけるガイド部材16の移動によって制御されることができ、その結果、力およびエネルギーを伝達するという目的が達成され得る。さらに、
図6を参照すると、ガイド溝122の形状の設計により、ドライブシャフト11に入力されたトルクは、スリーブ12および衝撃部13を前後に移動させることができる軸力に変換され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、駆動機構11のドライブシャフトは、入力機構であり、モータによって供給される電力で回転する入力端を提供する。
一実施形態では、衝撃部13は、略空洞の円筒体の形状を有し、一端に環状凹面132を有する。一実施形態では、出力シャフト14は、衝撃部13の環状凹面132に当接する。
図3および5を参照すると、一実施形態では、ドライブシャフト11に当接する出力シャフト14の端部は、衝撃部13の環状凹面132に当接する略直平行六面体形状の突起ブロック141を有し、また、ドライブシャフト11にスリーブ状に装着するための円形ノッチ142を突起ブロック141の中心に有する。
【0024】
図6および7を参照すると、図の中段は、駆動機構1が完全に伸ばされた状態を示しており、ガイド部材16は、2つの対のガイド溝122の軸方向に最も遠い位置にある。使用される際、駆動機構1は、作業中の固定する、締める、または、緩める要求に従い時計回りまたは反時計回りに回転し、その結果、スリーブ12は、ガイド溝112およびガイド部材16によって衝撃部13を軸方向に(前後に)移動させる。
図6および7の上段における例示的な駆動機構1の図を参照すると、衝撃部13がユーザに向かって後ろに移動した時点で、(まだ回転中の)出力シャフト14の突起ブロック141は、衝撃部13の環状凹面132から衝撃部13の突起ブロック133の上に移動するようになる。このとき、後退した衝撃部13が弾性部材15を圧縮し、それによって、ドライブシャフト11と衝撃部13との間にテンションが生じるようになる。このテンションが衝撃部13を出力シャフト14に向かって押す。ここで、出力シャフト14は、衝撃部13に関して回転し続けている。衝撃部13の突起ブロック133がさらに回転して、当接している出力シャフト14の突起ブロック141の外面を過ぎると、弾性部15のテンションが衝撃部13を前方に押すことにより、出力シャフト14の突起ブロック141が衝撃部13の環状凹面132へと戻る。
【0025】
本開示の力-トルク変換機構を以下に詳しく説明する。上述のプロセスにおいて、ドライブシャフト11は、ドライブシャフト11に配置されたガイド部材16を介して、回転運動エネルギーをスリーブ12に伝達する。ガイド部材16の移動軌跡は、スリーブが軸方向に移動すると同時に回転するように、V字形のガイド溝122の設計によって制限できる。スリーブ12の移動により、運動エネルギーは、衝撃部13に配置されたガイド部材16にさらに伝達され、これによって、衝撃部13は、軸方向に移動するとともに回転する。弾性部材15のテンションが衝撃部13を前に押すことにより出力シャフト14の突起ブロック141が衝撃部13の環状凹面132に戻る時点で、スリーブ12のガイド溝16の形状の設計により、衝撃部13に対応するガイド部材16は、衝撃部13にかかる軸力をトルクに変換できる。このトルクによって、突起ブロックの側面が出力シャフト14の突起ブロック141の側面に突き当たるので、トルクが出力シャフト14に伝達される。上述の全体の移動プロセスは、ドライブシャフト14が作業する(例えば、ネジを締める、または、緩める)過程において、出力シャフトがネジに衝撃トルクを繰り返し加えることによって省力効果がもたらされるように、ドライブシャフト11が常に回転するものとして繰り返される。
【0026】
以下に、本発明の駆動機構1の動作中における、スリーブ12のガイド溝122、および、ガイド部材16の詳細な移動をさらに説明する。
図6および7の中段の例示的な駆動機構1の図は、ドライブシャフト11に対して完全に伸ばされたスリーブ12を示す。
図6および7の中段および下段の例示的な駆動機構1の図を参照すると、ドライブシャフト11が(ユーザから見て)時計回りに回転する場合、近位端111に近いガイド部材16は、スリーブ12が回転して距離dだけユーザに向かって後ろに移動するように、V字形の最も低い位置(すなわち、V字の中心)からガイド溝122の右端に近づくようになる。このとき、衝撃部13がユーザに向かってさらなる距離dだけ後ろに移動するよう、後退したスリーブ12によって、遠位端112に近い逆V字形の他方のガイド溝122におけるガイド部材16は、対応するガイド溝122の右端に同時に近づくようになる。したがって、上述のプロセスでは、衝撃部13は、軸方向においてユーザに向かって合計距離2d移動する。
【0027】
図6および7の中段および上段における例示的な駆動機構1の図を参照すると、同様に、ドライブシャフト11が(ユーザから見て)反時計回りに回転する場合、
ガイド部材16は、スリーブ12が回転してユーザに向かって距離dだけ後ろに移動するよう、V字形のガイド溝の最も低い位置(V字の中心)からガイド溝122の左端に近づくようになる。このとき、衝撃部13がユーザに向かってさらなる距離dだけ後ろに移動するよう、後退したスリーブ12によって、逆V字形の他方のガイド溝122におけるガイド部材16は、対応するガイド溝122の左端に同時に近づくようになる。したがって、上述のプロセスでは、衝撃部13は、ユーザに向かって合計距離2dだけ移動する(後ろに移動する)。
【0028】
衝撃部13が後ろに移動すると、出力シャフト14の突起ブロック141は、衝撃部13の環状凹面132から突起ブロック133の外面まで移動することになり、弾性部材15は、衝撃部13を出力シャフト14に向かって押すテンションを生じるようになる。突起ブロック133が出力シャフト14の突起ブロック141を越えるように衝撃部13が円周方向にさらに回転すると、弾性部材15のテンションが衝撃部13を出力シャフト14に向かって押すので、衝撃部13が前方に移動することにより出力シャフト14の突起ブロック141が衝撃部13の環状凹面132に戻される。弾性部材15のテンションによって衝撃部13が前方に押されると、ガイド溝122の設計上、配置されているガイド部材16によって衝撃部13が同時に回転され、その結果、軸方向のテンションは、衝撃部13にかけられるトルクに変換される。回転している衝撃部13の突起ブロック133が出力シャフト14の突起ブロック141にさらに突き当たることにより、トルクは、出力シャフト14へと伝達される。
【0029】
ドライブシャフト11の外周壁および衝撃部13の内周壁に形成されるガイド溝に比べ、本発明のガイド溝122を有するスリーブ12は、ガイド部材16の移動に対する抵抗を低減することができるので、運動エネルギーの伝達効率を高めることができる(すなわち、使用される工具の消費電力を節約できる)。さらに、本発明のガイド溝122は、スリーブ12に形成されるので、ドライブシャフト11の外周壁および衝撃部13の内周壁にガイド溝を形成する高精度な製造工程を避けることができる。また、本発明は、異なる設計のガイド溝122を有するスリーブ12を交換することによって、異なる使用要求を満たすことができる。さらに、本発明のスリーブ12は、衝撃部13が出力シャフト14に衝撃を与える時間(周期)を増加させるとともに、駆動機構1の動作行程を縮小することができる。
【0030】
文脈内の用語「略」、「実質的に」「基本的に」「約」は、小さい変化を表すために用いられる。それらが事象または状態と共に用いられた場合は、ある事象または状態そのままの状況、または、ある事象または状態と非常に似た状況を指し得る。
【0031】
文脈内の単数形を示す不定冠詞および定冠詞は、明確に定義されない限り、指定された複数のものを含み得る。いくつかの実施形態における記載では、組立部品が他の組立部品“に”または“の上に”配置されることは、前者の組立部品が後者の組立部品の上に直接配置される(すなわち物理的に接している)状況と、前者の組立部品と後者の組立部品との間に1つ以上の組立部品が挟まれている状況とを含み得る。
【0032】
本開示は、特定の実施形態を参照して記載および説明されているが、これらの記載および説明は、本開示を限定するものではない。本開示の技術に詳しい人であれば、添付の請求項において定義された本開示の趣旨および範囲から逸脱せずにさまざまな変更が可能であり、実施形態において、等価な組立部品との交換も可能であることを明確に理解できよう。図面は、実際の尺度および比率にしたがって描かれていないこともある。製造プロセスなどにおけるばらつきにより、本開示における技術と実際的な装置との間には差異があり得る。明確には開示されないが、本開示の他の実施形態も存在し得る。明細書および図面は、限定としてではなく説明のためのものとみなすべきである。実践上の条件、材料、物質組成、方法またはプロセスを本開示の目的、趣旨および範囲に適合させるために、変更がなされてよい。この種のすべての変更は、添付の請求項の範囲内に収まる。内容において開示された方法は、特定の順序で実施される特定の動作と共に記載されているが、本開示の教示を逸脱せずに、動作の組み合わせ、分割、または、再編成により等価な方法を形成し得ることが理解できよう。したがって、動作の順序および分類は、その内容において特に指定しない限り、本開示を限定しない。
【外国語明細書】