(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084099
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】輸送用ポート
(51)【国際特許分類】
B64F 1/32 20060101AFI20240617BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20240617BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20240617BHJP
B64D 1/12 20060101ALI20240617BHJP
B64U 101/69 20230101ALN20240617BHJP
【FI】
B64F1/32
B64U10/13
B65G61/00 530
B64D1/12
B64U101:69
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023062805
(22)【出願日】2023-04-07
(62)【分割の表示】P 2022197594の分割
【原出願日】2022-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】522303870
【氏名又は名称】TOMPLA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤本 高史
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 淳子
(57)【要約】
【課題】ドローンにより荷物の輸送に用いられ、荷物の受け取りを容易に行うことができる輸送用ポートを提供する。
【解決手段】
ドローンにより荷物の輸送に用いられる輸送用ポートであって、周壁に、内部に収容された荷物を取り出し可能な取出口が形成され、上方に向けて開口する中空状を呈し、ドローンにより輸送された荷物を内部に収容する収容部と、収容部の上端に連結され、上方に向かうに従い次第に内径が拡大する中空状を呈し、ドローンにより輸送された荷物を収容部に搬入する搬入部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローンにより荷物の輸送に用いられる輸送用ポートであって、
周壁に、内部に収容された荷物を取り出し可能な取出口が形成され、上方に向けて開口する中空状を呈し、ドローンにより輸送された荷物を内部に収容する収容部と、
前記収容部の上端に連結され、上方に向かうに従い次第に内径が拡大する中空状を呈し、ドローンにより輸送された荷物を前記収容部に搬入する搬入部と、を備える輸送用ポート。
【請求項2】
前記収容部は、平面視で矩形状を呈する、請求項1に記載の輸送用ポート。
【請求項3】
前記搬入部は、中心軸周りに延びる周方向の全域を覆う布状のカバー部材を備えている、請求項1に記載の輸送用ポート。
【請求項4】
前記カバー部材には、空気の流れを通過させる複数の通気口が、互いに間隔をあけて複数形成されている、請求項3に記載の輸送用ポート。
【請求項5】
前記収容部は、平面視における頂点それぞれをなす上下方向に延びる複数の第1フレームを備え、
前記搬入部は、複数の前記第1フレームそれぞれの上端部に連結され、上方に向かうに従い次第に水平方向の外側に向けて延びる第2フレームを複数有する、請求項1に記載の輸送用ポート。
【請求項6】
前記搬入部の上端開口部における1辺の長さは、前記収容部の上端部における1辺の長さの3倍以上である、請求項5に記載の輸送用ポート。
【請求項7】
前記収容部の内部には、ドローンが着陸することなく、
前記搬入部は、その上方を飛行中のドローンから投下された荷物を、前記収容部に向けて搬入する、請求項1に記載の輸送用ポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輸送用ポートに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ドローンを用いた輸送システムの開発が進められている。
このような輸送システムでは、例えば下記の特許文献1に示すように、ドローンが輸送した荷物を受け取るための専用のドローンポートが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなポートを用いてドローンによる荷物の輸送を行う場合には、ドローンを所定のドローンポート上に着陸させる必要があり、着陸時の位置精度が荷物の受け取りの難易度に影響を与えていた。このため、ドローンの着陸時の位置精度に依存せずに、容易に荷物の受け取りが可能なドローンポートが用いられていた。
【0005】
本開示の目的は、荷物の受け取りを容易に行うことができる輸送用ポートを提供することにある。
【0006】
本発明の一実施形態は、ドローンにより荷物の輸送に用いられる輸送用ポートであって、周壁に、内部に収容された荷物を取り出し可能な取出口が形成され、上方に向けて開口する中空状を呈し、ドローンにより輸送された荷物を内部に収容する収容部と、収容部の上端に連結され、上方に向かうに従い次第に内径が拡大する中空状を呈し、ドローンにより輸送された荷物を収容部に搬入する搬入部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、荷物の受け取りを容易に行うことができる輸送用ポートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る輸送用ポートの全体の構成を示す図である。
【
図4】
図1に示す輸送用ポートの使用状態を示す図のうち、ドローンが輸送用ポートに接近している状態を示す図である。
【
図5】
図1に示す輸送用ポートの使用状態を示す図のうち、ドローンが輸送した荷物を投下した状態を示す図である
【
図6】
図1に示す輸送用ポートの使用状態を示す図のうち、ドローンが輸送用ポートから離れる状態を示す図である。
【
図7】変形例に係る輸送用ポートの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)輸送用ポート1の構成
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付し、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る輸送用ポート1は、ドローン100により荷物Bの輸送に用いられるドローン用のポートである。輸送用ポート1は、専らドローン100による荷物Bの輸送に用いられることから、ドローンポートと呼ぶこともできる。
輸送用ポート1は、例えば、公園や広場などの公共のエリアに設置されて使用される。輸送用ポート1は、ドローン100が輸送した荷物Bを収容できるように、上方に向けて開口する中空状を呈している。言い換えれば、輸送用ポート1は、中心軸O(
図2参照)が上下方向に延びる筒状を呈している。
【0011】
輸送用ポート1は、可搬性を備えることで建築基準法上の建築物に該当せず、後述する各構成を備えることで、廉価な構造を実現している。また、ドローン用のポートとして比較的シンプルな構成を備えていることで長期間の使用に耐え得る耐久性を実現している。
【0012】
輸送用ポート1は、下方に位置する収容部10と、収容部10の上方に位置する搬入部20と、を備えている。収容部10および搬入部20は、平面視で同軸上に配置され、互いに連結されている。
【0013】
収容部10は、ドローン100により輸送された荷物Bを内部に収容する機能を有する。収容部10の周壁12には、内部に収容された荷物Bを取り出し可能な取出口13が形成されている。収容部10は、上方に向けて開口する中空状を呈している。図示の例では、収容部10は平面視で矩形状を呈している。すなわち、収容部10は内径の大きさが上下方向の全域において一律である矩形筒状を呈している。
【0014】
収容部10は、上下方向に延びる複数の第1フレーム11を備えている。第1フレーム11は、例えばスチール製のパイプ材により構成されている。第1フレーム11は、平面視における頂点となる位置に配置されている。図示の例では、4本の第1フレーム11が、平面視で矩形状をなす収容部10の各頂点にそれぞれ配置されている。
【0015】
収容部10の周壁12は、例えばスチール材のメッシュ構造により形成されている。周壁12は、メッシュ構造(網目状)のため、外部から内部の状態が視認可能となっている。また、周壁12のメッシュ構造は、通気口となることで、風およびドローン100の飛行中に発生する下方向へ吹き降ろす気流(ダウンウォッシュ)が、輸送用ポート1に与える影響を低減することができる。
周壁12は、二つの第1フレーム11の間に連結され、収容部10の外壁を構成するように4面に配置されている。
【0016】
図2は、
図1に示す輸送用ポート1の正面図である。
図2に示すように、収容部10の取出口13は、周壁12の一つに形成されている。取出口13は開閉自在な扉を有していてもよいし、扉を有さない単なる開口であってもよい。図示の例では、取出口13は開口により形成されている。
使用者は取出口13を介して収容部10内にアクセスすることで、収容部10に収容された荷物Bを取り出すことができる。
【0017】
収容部10の内部には、表裏面が上下方向を向く底板14が配置されている。底板14は、取出口13から収容部10の内部にアクセスした際に、荷物Bが取り出しやすい高さとなるように、収容部10内に底部を構成している。
【0018】
収容部10の下端部は、設置される地面に対して固定されている。収容部10の固定方法としては、例えばコンクリート等の固定ブロックなどに収容部10の下端部をワイヤー部材で固定する方法などを採用することができる。
【0019】
搬入部20は、収容部10の上端に連結されている。搬入部20は、上端の開口の位置が、ユーザが手を伸ばしても届かない程度の高さとなるように設定されている。具体的には、搬入部20の上端の開口の高さは、2500mm以上であることが好ましい。また、高さの上限としては4000mm以下、好ましくは3000mm以下であることが好ましい。
搬入部20は、上方に向かうに従い次第に内径が拡大する中空筒状を呈している。搬入部20は、ドローン100により輸送された荷物Bを収容部10に搬入する機能を有する。搬入部20は、下端部が、収容部10の上端の開口縁に連結されている。
【0020】
図3は、
図1に示す輸送用ポート1の平面図である。
図3に示すように、搬入部20は、平面視で矩形状を呈している。
搬入部20は、中心軸O周りに延びる周方向の全域を覆う布状(シート状)のカバー部材21を備えている。カバー部材21は、平面視で収容部10の開口と重ならないように、搬入部20の内側に配置され、搬入部20に内周面を形成している。カバー部材21は、糸又は繊維を織り合わせて形成された織布であってもよいし、繊維を化学処理や別処理で絡ませた不織布であってもよい。糸又は繊維は、天然素材であってもよいし、化学素材であってもよい。
図2に示すように、カバー部材21は、上方に向かうに従い次第に内径が拡大する中空筒状を呈している。カバー部材21は、後述する複数のフレームにより支持されている。
【0021】
カバー部材21には、空気の流れを通過させる複数の通気口(図示せず)が、互いに間隔をあけて複数形成されている。通気口は、視認可能な大きさであってもよいし、視認不可能な大きさの微細な通気性加工又は透湿性加工であってもよい。通気口は、雨水などの液体を通過させる構造であってもよいし、液体の通過させずに空気のみを通過させる構造であってもよい。
【0022】
図2および
図3に示すように、搬入部20は、収容部10の第1フレーム11それぞれの上端部に連結され、上方に向かうに従い次第に水平方向の外側に向けて延びる第2フレーム22を複数有している。図示の例では、搬入部20は、4つの第2フレーム22を備えている。第2フレーム22は、スチール製のパイプ材により構成されている。
【0023】
第2フレーム22は、搬入部20の上端の開口縁を構成し、横方向に延びる上端フレーム23の横方向の一方の端部を支持している。上端フレーム23は、スチール製のパイプ材により構成されている。
第2フレーム22は平面視で互いに矩形状を呈するように配置された上端フレーム23の各頂点に連結されている。
【0024】
搬入部20はさらに、上端フレーム23を支持する複数の第3フレーム24を備えている。第3フレーム24は、スチール製のパイプ材により構成されている。
第3フレーム24は、収容部10の第1フレーム11それぞれの上端部に連結され、搬入部20の上端フレーム23の横方向の中央部分に向けて延びている。図示の例では、1つの上端フレーム23に対して、それぞれ2本の第3フレーム24が連結されている。すなわち、第3フレーム24は、上端フレーム23の中央部を支持している。
【0025】
図示の例では、搬入部20の上端開口部における1辺の長さ(上端フレーム23の長さ)は、収容部10の上端開口部における1辺の長さの3倍以上となっている。なお、搬入部20および収容部10の相対的な大きさの比率は、任意に変更することができる。
【0026】
(2)輸送用ポート1の使用方法
次に、このような輸送用ポート1を用いて荷物Bを輸送する際の使用方法について説明する。
図4は、輸送用ポート1の使用状態を示す図のうち、ドローン100が輸送用ポート1に接近している状態を示す図である。
【0027】
まず、ユーザが、自身が使用するスマートフォンなどのユーザ端末を操作して、例えば専用の荷物B受け取り用のアプリケーションソフトなどから荷物Bの輸送を依頼する。この際、荷物Bの受け取り場所として、輸送用ポート1の位置を特定可能な識別情報を入力する。
その後、荷物Bの出荷場所から、指定された位置の輸送用ポート1に向けて、ドローン100が荷物Bを保持した状態で輸送飛行を開始する。
【0028】
図4に示すように、荷物Bを保持した状態で輸送飛行を行うドローン100は、ユーザから荷物Bの受け取り場所として指定された輸送用ポート1の位置に到着する。これにより、当該荷物Bがドローン100により輸送用ポート1の近傍まで輸送される。
【0029】
図5は、輸送用ポート1の使用状態を示す図のうち、ドローン100が輸送した荷物Bを投下した状態を示す図である。
図5に示すように、輸送用ポート1の位置に到着したドローン100は、輸送用ポート1の上方において、保持している荷物Bをリリースすることで、輸送用ポート1の内側に向けて投下する。図示の例では、ドローン100は搬入部20よりも高い位置から荷物Bを投下しているが、搬入部20の上端部よりも低い位置から荷物Bを投下してもよい。
【0030】
ドローン100が荷物Bを投下する際は、投下地点においてホバリング(停止飛行)を行うことが好ましい。ドローン100が速度を有している状態で荷物Bを投下すると、荷物Bが速度を有した状態で投下されるため、当該速度に応じた衝撃を荷物Bに与えるおそれがあるためである。
【0031】
また、ドローン100は、輸送用ポート1の上方のうち、搬入部20(カバー部材21)の上方から荷物Bを投下することが好ましい。仮に収容部10の上方から荷物Bを投下すると、収容部10の底板14まで直接荷物Bが落下することになり、荷物Bが受ける落下の衝撃が大きくなるおそれがあるためである。
【0032】
投下された荷物Bは、搬入部20のカバー部材21の内面に落下する。この際、布状のカバー部材21が変形することで、荷物Bのカバー部材21の内面への着地の衝撃が吸収される。搬入部20のカバー部材21の内面に載置された荷物Bは、カバー部材21の内面を滑り落ちるように、下方に向けて移動する。
【0033】
荷物Bは、カバー部材21の内面を滑り落ちるように降下し、収容部10の上端開口に到達すると、収容部10の内側に受けて落下する。これにより搬入部20による収容部10の内部への荷物Bの搬入が行われる。
すなわち、搬入部20は、その上方を飛行中(停止飛行中を含む)のドローン100から投下された荷物Bを、収容部10に向けて搬入する。
【0034】
その後、ユーザは、収容部10の取出口13から収容部10の内部にアクセスをして、収容部10の内部に収容された荷物Bを回収する。これにより、ドローン100による荷物Bの輸送が完了する。
【0035】
図6は、輸送用ポート1の使用状態を示す図のうち、ドローン100が輸送用ポート1から離れる状態を示す図である。
図6に示すように、ドローン100は、荷物Bを輸送用ポート1の内部に投下した後に、例えば出荷場所である所定のポートに向けて帰還飛行を行う。このため、収容部10の内部には、ドローン100が着陸することはない。
【0036】
(3)小括
以上説明したように、本実施形態に係る輸送用ポート1は、取出口13が形成され、上方に向けて開口する中空状を呈する収容部10と、収容部10の上端に連結され、上方に向かうに従い次第に内径が拡大する中空状を呈する搬入部20と、を備えている。
このため、飛行中のドローン100が、輸送する荷物Bを輸送用ポート1の上方から投下した際に、搬入部20により確実に荷物Bを受け止めて、収容部10の内側に搬入することができる。このため、ドローン100の着陸の位置精度に依存せずに、荷物Bの受け取りを容易に行うことができる。
【0037】
また、本実施形態に係る輸送用ポート1は、収容部10が、平面視で矩形状を呈している。このため、段ボールなど、一般的な梱包資材が直方体状であることを踏まえると、平面視において、収容部10を梱包資材と同じ矩形状とすることが可能となる。このため、仮に複数の荷物Bを収容部10の内部に収容した際に、荷物Bの収容性が確保しやすくなる。
【0038】
また、本実施形態に係る輸送用ポート1は、搬入部20が、中心軸O周りに延びる周方向の全域を覆うカバー部材21を備えている。そして、カバー部材21が布状なので、荷物Bが搬入された際に、荷物Bが搬入部20と干渉した際の衝撃を和らげることができる。
【0039】
また、カバー部材21が布状なので、輸送用ポート1の上部に位置する搬入部20を軽量化することで重心を下方に位置させることができ、輸送用ポート1の姿勢を安定させることができる。また、搬入部20の軽量化に伴い、輸送用ポート1の全体が軽量化され可搬性が確保しやすくなる。
また、カバー部材21が複数のフレームの内側に配置されていることで、カバー部材21の表面を滑り落ちる荷物Bが、フレームに引っかかるのを防ぐことができる。
【0040】
また、カバー部材21には、空気の流れを通過させる複数の通気口が、互いに間隔をあけて複数形成されている。このように、カバー部材21に通気口が複数形成されているので、強風時などに輸送用ポート1が受ける風の一部を通気口から逃がすことで、輸送用ポート1が受ける外力を低減することができる。これにより、強風時などにおいても輸送用ポート1の姿勢を安定させることができる。また、ドローン100の飛行中に発生する下方向へ吹き降ろす気流(ダウンウォッシュ)が、カバー部材21の通気口から外部に向けて排気されることで、ダウンウォッシュが輸送用ポート1に与える影響を低減することができる。
【0041】
また、収容部10が、平面視における頂点それぞれをなす上下方向に延びる複数の第1フレーム11を備えている。そして搬入部20が、複数の第1フレーム11それぞれの上端部に連結され、上方に向かうに従い次第に水平方向の外側に向けて延びる第2フレーム22を複数有している。このため、輸送用ポート1に一定の剛性を具備させつつ、可搬性を確保するための軽量化がしやすくなる。
【0042】
また、本実施形態に係る輸送用ポート1において、搬入部20の上端開口部における1辺の長さは、収容部10の上端部における1辺の長さの3倍以上となっている。このため、搬入部20の横方向の大きさ(平面視における面積)を十分に確保して、ドローン100から投下された荷物Bを、確実に搬入部20によりキャッチして、収容部10内に搬入することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る輸送用ポート1は、収容部10の内部には、ドローン100が着陸することなく、搬入部20が、その上方を飛行中のドローン100から投下された荷物Bを、収容部10に向けて搬入する。このため、ドローン100の着陸時の精度を問わずに荷物Bの搬送に用いることができ、廉価な機体を用いることが可能となり、ドローン100による輸送システムを廉価に実現することができる。これにより、ドローン100による輸送システムを採用するハードルを下げることができる。
【0044】
(4)変形例
次に、搬入部20の変形例について説明する。
図7は、変形例に係る輸送用ポート1の正面断面図である。
図7に示す輸送用ポート1では、搬入部20がカバー部材21を備えておらず、カバー部材21に代えてガイド部材25を備えている。ガイド部材25は、上下方向に延びるスチール製のパイプ材であり、横方向に間隔をあけて、搬入部20の内側に並べて配置されている。ガイド部材25は、4面の搬入部20の外周部に等間隔に配置されている。
【0045】
変形例に係る輸送用ポート1では、搬入部20の上方から投下された荷物Bは、ガイド部材25の上面に接触する。荷物Bは、互いに隣り合うガイド部材25の間に挟まるように保持された状態で、下方に向けて移動する。2つのガイド部材25の内側を滑り落ちるように降下した荷物Bは、収容部10の上端開口に到達すると、収容部10の内側に受けて落下する。これにより搬入部20から収容部10の内部への荷物Bの搬入が完了する。
このように変形例に係る輸送用ポート1では、布状のカバー部材21に代えて棒状のガイド部材25を備えているので、風雨の影響を受けにくく、対候性を向上することができる。
【0046】
(5)その他の変形例
本発明は、上記実施形態の構成に限定されない。
例えば、上記実施形態では、収容部10および搬入部20がともに平面視で矩形状を呈する構成を示したが、このような態様に限られない。例えば、収容部10および搬入部20は、平面視で円形状、楕円形状、三角形状、5角形以上の多角形状など、任意の形状の筒構造となっていてもよい。また、収容部10および搬入部20は、それぞれの上端開口部の形状が互いに異なっていてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、収容部10の取出口13に扉が設けられていない構成を示したが、収容部10の取出口13に、例えば電子錠により施錠可能な扉を設けてもよい。電子錠は、ユーザの荷物Bの発送依頼に応じて発行される一度きりのパスワードの入力により開錠できる仕様とすることができる。電子錠へのパスワードの入力は、電子錠自体に設けられた入力インタフェースを操作する仕様であってもよい。また、電子錠へのパスワードの入力は、スマートフォン等のユーザが使用する端末から、専用の荷物B受け取り用のアプリケーションソフトを介して入力する仕様であってもよい。
【0048】
また、搬入部20の内部に、荷物Bを搬送するドローン100と干渉する干渉部材を設けてもよい。干渉部材は、例えば上端フレーム23に連結され、カバー部材21の上方に位置するドローン100と干渉することで、ドローン100に保持された荷物Bを落下させる。このような干渉部材を設けることで、ドローン100から落下した荷物Bの位置が予測しやすくなる。
【0049】
また、カバー部材21は、布状の部材ではなく、例えばスチール材のメッシュ構造により形成されてもよい。この場合には、メッシュ構造が通気口となることで、風およびダウンウォッシュが、輸送用ポート1に与える影響を低減することができる。
また、輸送用ポート1を構成する部材の材料は、スチール材に限られずアルミ材やその他の材料を採用することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態および変形例は、組合せ可能である。
【0051】
(6)付記
以上の実施形態で説明した事項を以下に付記する。
【0052】
(付記1)
ドローンにより荷物の輸送に用いられる輸送用ポート1であって、
周壁12に、内部に収容された荷物を取り出し可能な取出口13が形成され、上方に向けて開口する中空状を呈し、ドローンにより輸送された荷物を内部に収容する収容部10と、
収容部10の上端に連結され、上方に向かうに従い次第に内径が拡大する中空状を呈し、ドローンにより輸送された荷物を収容部10に搬入する搬入部20と、を備える輸送用ポート1。
【0053】
(付記2)
収容部10は、平面視で矩形状を呈する、付記1に記載の輸送用ポート1。
【0054】
(付記3)
搬入部20は、中心軸周りに延びる周方向の全域を覆う布状のカバー部材21を備えている、付記1に記載の輸送用ポート1。
【0055】
(付記4)
カバー部材21には、空気の流れを通過させる複数の通気口が、互いに間隔をあけて複数形成されている、付記3に記載の輸送用ポート1。
【0056】
(付記5)
収容部10は、平面視における頂点それぞれをなす上下方向に延びる複数の第1フレーム11を備え、
搬入部20は、複数の第1フレーム11それぞれの上端部に連結され、上方に向かうに従い次第に水平方向の外側に向けて延びる第2フレーム22を複数有する、付記1に記載の輸送用ポート1。
【0057】
(付記6)
搬入部20の上端開口部における1辺の長さは、収容部10の上端部における1辺の長さの3倍以上である、付記5に記載の輸送用ポート1。
【0058】
(付記7)
収容部10の内部には、ドローンが着陸することなく、
搬入部20は、その上方を飛行中のドローンから投下された荷物を、収容部10に向けて搬入する、付記1に記載の輸送用ポート1。
【符号の説明】
【0059】
1 輸送用ポート
10 収容部
11 第1フレーム
12 周壁
13 取出口
20 搬入部
21 カバー部材
22 第2フレーム
23 上端フレーム
24 第3フレーム
100 ドローン