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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084103
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
H01G4/30 201M
H01G4/30 515
H01G4/30 201N
H01G4/30 201L
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080947
(22)【出願日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】10-2022-0172233
(32)【優先日】2022-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】崔 虎森
(72)【発明者】
【氏名】沈 揆正
(72)【発明者】
【氏名】崔 孝成
(72)【発明者】
【氏名】朴 廷振
(72)【発明者】
【氏名】李 種晧
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC04
5E001AD04
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AH01
5E001AH05
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ02
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE05
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG03
5E082FG04
5E082FG26
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】積層型電子部品を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される内部電極を含む容量形成部と、上記容量形成部の上記第1方向の両端面にそれぞれ配置されるカバーとを含む本体と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記カバー部に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量に対する上記容量形成部に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量の割合は0.55以上1.00以下を満たし、上記容量形成部に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量は1073ppm以上1950ppm以下を満たし、上記容量形成部の中央領域に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズは200nm以上300nm以下であり、サイズに対する標準偏差は100nm以上130nm以下であることができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層と第1方向に交互に配置される内部電極を含む容量形成部と、前記容量形成部の前記第1方向の両端面にそれぞれ配置されるカバー部とを含む本体と、
前記本体上に配置される外部電極と、を含み、
前記カバー部に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量に対する前記容量形成部に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量の割合は0.55以上1.00以下を満たし、
前記容量形成部に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量は1073ppm以上1950ppm以下を満たし、
前記容量形成部の中央領域に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズは200nm以上300nm以下であり、サイズに対する標準偏差は100nm以上130nm以下である、積層型電子部品。
【請求項2】
前記容量形成部のうち、前記カバー部に隣接した領域に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズは130nm以上150nm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記容量形成部のうち、前記カバー部に隣接した領域に含まれた誘電体結晶粒のサイズに対する標準偏差は70nm以上90nm以下である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記カバー部に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量は1950ppm超過2910ppm未満である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記カバー部に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズは、前記容量形成部の中央領域に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズより大きい、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記本体は、前記第1方向に互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に互いに対向する第3面及び第4面、前記第1面~前記第4面と連結され、第3方向に互いに対向する第5面及び第6面を含み、
前記本体の第5面及び第6面にそれぞれ配置されるサイドマージン部と、を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記容量形成部のうち、前記サイドマージン部に隣接した領域に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズは200nm以上250nm以下である、請求項6に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記容量形成部のうち、前記サイドマージン部に隣接した領域に含まれた誘電体結晶粒のサイズに対する標準偏差は100nm以上115nm以下である、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記容量形成部のうち、前記カバー部及び前記サイドマージン部に同時に隣接した領域に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズは160nm以上180nm以下である、請求項6に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記容量形成部のうち、前記カバー部及び前記サイドマージン部に同時に隣接した領域に含まれた誘電体結晶粒のサイズに対する標準偏差は80nm以上90nm以下である、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記サイドマージン部に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量は1950ppm超過2910ppm未満である、請求項6に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズは、前記容量形成部の中央領域に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズより大きい、請求項6に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記誘電体層の前記第1方向の平均サイズは0.6μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記内部電極の前記第1方向の平均サイズは0.6μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記カバー部の第1方向の平均サイズはそれぞれ20μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記サイドマージン部の第3方向の平均サイズはそれぞれ20μm以下である、請求項6に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)等の映像機器、コンピュータ、スマートフォン、及び携帯電話等の様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用されることができる。コンピュータ、モバイル機器等、各種の電子機器が小型化、高出力化するにつれて、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化への要求が増大している。
【0004】
一方、積層セラミックキャパシタに使用される誘電体スラリーに含まれた粒子を分散するためにジルコニアビーズ(zirconia beads)をメディア(media)として用いて分散を行っており、分散により誘電体粒子の凝集を解消することで、比表面積及び粒成長を向上させることができる。誘電体スラリーに含まれた誘電体粒子の粒度が不均一である場合、焼成時に誘電体結晶粒の散布を誘発し、誘電体結晶粒サイズが不均一になることがある。これは、積層セラミックキャパシタのショート(short)発生又は絶縁破壊電圧(BDV:breakdown voltage)低下の原因となり得る。
【0005】
より具体的に、誘電体粉末を作製する際、乾燥過程を伴うことがあるが、このとき、誘電体粒子同士のネッキング(necking)が進行する現象、すなわち、乾燥凝集が発生する可能性がある。このような誘電体粉末の乾燥凝集を解決し、目標とする比表面積を確保するためにジルコニアビーズを用いて分散を行っている。これにより、誘電体スラリー内の誘電体粒子の粒度分布の不均一及び焼成後に誘電体結晶粒の散布が増加する副作用が発生することがある。
【0006】
また、ジルコニアビーズの摩耗により誘電体スラリーの内部にジルコニウム(Zr)成分が不純物の形で流入し、これが、誘電体の焼成時に粒界(grain boundary)移動度を遅らせて粒成長を抑制する副作用を引き起こす可能性がある。また、ジルコニウム(Zr)の場合、焼成時にTi位置に固溶して焼結を促進する役割を果たすこともあるが、過剰に含有すると、固溶されなかったジルコニウム(Zr)が誘電体結晶粒の粒成長を抑制することがある。
【0007】
一方、流入するジルコニウム(Zr)成分が一定である場合、焼成制御が可能であるが、分散設備の内部においてジルコニアビーズの摩耗量が一定でないため、焼成工程中に誘電体結晶粒の散布を引き起こし、さらに、分散時間が増加するほどジルコニウム(Zr)の流入量が増加し、副作用はさらに激しくなる可能性があるため、ジルコニウム(Zr)不純物の流入を制御することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2014-0007942号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする幾つかの課題の一つは、ジルコニウム(Zr)の含量を制御して誘電体結晶粒の粒度分布を改善することである。
【0010】
本発明が解決しようとする幾つかの課題の一つは、誘電体粒子のサイズを微細かつ均一に製造することにより、誘電体結晶粒のサイズも微細かつ均一に形成できるようにすることで、電界集中現象を抑制し、絶縁破壊電圧(BDV)の低下を防止することである。
【0011】
但し、本発明が解決しようとする幾つかの課題は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される内部電極を含む容量形成部と、上記容量形成部の上記第1方向の両端面にそれぞれ配置されるカバーとを含む本体と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記カバー部に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量に対する上記容量形成部に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量の割合は0.55以上1.00以下を満たし、上記容量形成部に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量は1073ppm以上1950ppm以下を満たし、上記容量形成部の中央領域に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズは200nm以上300nm以下であり、サイズに対する標準偏差は100nm以上130nm以下であることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の様々な効果の一つは、誘電体結晶粒の粒度分布が改善されたことである。
【0014】
本発明の様々な効果の一つは、積層型電子部品の誘電容量を改善し、絶縁破壊電圧(BDV)の低下を抑制することである。
【0015】
但し、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示す。
図2図1のサイドマージン部及び本体の外観を概略的に示す。
図3図2の本体の外観を概略的に示す。
図4図1の内部電極の積層構造を示す分離斜視図を概略的に示す。
図5図1のI-I’線に沿った断面図を概略的に示す。
図6図1のII-II’線に沿った断面図を概略的に示す。
図7図6において内部電極を除いた断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさ等は、より明確な説明のために誇張されることがあり、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0018】
そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されるものではない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素に対しては、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0019】
図面において、第1方向は積層方向又は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0020】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものであり、図2は、図1のサイドマージン部及び本体の外観を概略的に示すものであり、図3は、図2の本体の外観を概略的に示すものであり、図4は、図1の内部電極の積層構造を示す分離斜視図を概略的に示すものであり、図5は、図1のI-I’線に沿った断面図を概略的に示すものであり、図6は、図1のII-II’線に沿った断面図を概略的に示すものであり、図7は、図6において内部電極を除いた断面図を概略的に示すものである。
【0021】
以下、図1図7を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品について詳細に説明する。但し、積層型電子部品の一例として積層セラミックキャパシタについて説明するが、本発明は、誘電体組成物を用いる様々な電子製品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、又はサーミスタなどにも適用することができる。
【0022】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、誘電体層111及び誘電体層111と第1方向に交互に配置される内部電極121、122を含む容量形成部Acと、容量形成部Acの第1方向の両端面にそれぞれ配置されるカバー部112、113とを含む本体110と、本体110上に配置される外部電極131、132と、を含み、カバー部112、113に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量に対する容量形成部Acに含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量の割合は0.55以上1.00以下を満たし、容量形成部Acに含まれたジルコニウムZrの平均含量は1073ppm以上1950ppm以下を満たし、容量形成部Acの中央領域a1に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズは200nm以上300nm以下であり、サイズに対する標準偏差は100nm以上130nm以下であることができる。
【0023】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0024】
より具体的に、本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量を形成する容量形成部Acを含むことができる。
【0025】
本体110の具体的な形状に特に限定はないが、図示のように、本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなってもよい。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0026】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1及び第2面1、2、第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に互いに対向する第3及び第4面3、4、第1~第4面1、2、3、4と連結され、第3方向に互いに対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0027】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0028】
誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り限定されない。一般的に、ペロブスカイト(ABO)系材料を使用することができ、例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを使用することができる。チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、セラミック粉末の例示として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶した(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)又はBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。
【0029】
また、誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末に、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0030】
このとき、容量形成部Acに含まれるジルコニウム(Zr)の含量は、後述する2段階の解砕を経たジルコニアビーズによる投入含量であり得る。但し、特にこれに限定されるものではなく、ジルコニウム(Zr)元素を含む添加剤の投入によるものであってもよい。
【0031】
誘電体層111の厚さtdは特に限定する必要はない。
【0032】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、誘電体層111の厚さは0.6μm以下であってもよく、より好ましくは0.4μm以下であってもよい。
【0033】
ここで、誘電体層111の厚さtdは、第1及び第2内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の厚さtdを意味することができる。
【0034】
一方、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の第1方向のサイズを意味することができる。また、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の平均厚さtdを意味することができ、誘電体層111の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0035】
誘電体層111の第1方向の平均サイズは、本体110の第1及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つの誘電体層111を第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定した平均値であることができる。上記等間隔である30個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0036】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に積層されてもよい。
【0037】
内部電極121、122は第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができ、第1及び第2内部電極121、122は本体110を構成する誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0038】
より具体的に、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出することができ、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体110の第3面3には、第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体110の第4面4には、第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0039】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は第1外部電極131とは連結されず、第2外部電極132と連結されることができる。このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されてもよい。
【0040】
一方、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと、第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0041】
内部電極121、122を形成する材料は特に限定されず、電気伝導性に優れた材料を使用することができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0042】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
一方、内部電極121、122の厚さteは特に限定する必要はない。
【0044】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、内部電極121、122の厚さは0.6μm以下であってもよく、より好ましくは0.4μm以下であってもよい。
【0045】
ここで、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の第1方向のサイズを意味することができる。また、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の平均厚さteを意味することができ、内部電極121、122の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0046】
内部電極121、122の第1方向の平均サイズは、本体110の第1及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つの内部電極121、122を第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定した平均値であることができる。上記等間隔である30個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極121、122に拡張して平均値を測定すると、内部電極121、122の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0047】
一方、本体110は、容量形成部Acの第1方向の両端面(end-surface)上に配置されたカバー部112、113を含むことができる。
【0048】
より具体的に、容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112、及び容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。
【0049】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの上下面にそれぞれ第1方向に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0050】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0051】
このとき、容量形成部Acに含まれるジルコニウム(Zr)の含量は、後述する2段階の解砕を経たジルコニアビーズによる投入含量であり得る。但し、特にこれに限定されるものではなく、ジルコニウム(Zr)元素を含む添加剤の投入によるものであってもよい。
【0052】
一方、カバー部112、113の厚さtcは特に限定する必要はない。
【0053】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtcは100μm以下であってもよく、好ましくは30μm以下であってもよく、超小型製品では、より好ましくは20μm以下であってもよい。
【0054】
ここで、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の第1方向のサイズを意味することができる。また、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の平均厚さtcを意味することができ、カバー部112、113の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0055】
カバー部112、113の第1方向の平均サイズは、本体110の第1及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つのカバー部を第2方向に等間隔である30個の地点で厚さを測定した平均値であることができる。
【0056】
一方、本体110の第3方向の両端面(end-surface)上にはサイドマージン部114、115が配置されてもよい。
【0057】
より具体的に、サイドマージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1サイドマージン部114、及び第6面6に配置された第2サイドマージン部115を含むことができる。すなわち、サイドマージン部114、115は、本体110の第3方向の両端面(end-surface)に配置されることができる。
【0058】
サイドマージン部114、115は、図示のように、本体110の第1及び第3方向の断面(cross-section)を基準に、第1及び第2内部電極121、122の第3方向の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0059】
サイドマージン部114、115は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0060】
サイドマージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にサイドマージン部114、115が形成される箇所を除き、導電性ペーストを塗布して内部電極121、122を形成し、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極121、122が本体110の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの第3方向の両端面(end-surface)に第3方向に積層して形成することもできる。
【0061】
第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0062】
このとき、容量形成部Acに含まれるジルコニウム(Zr)の含量は、後述する2段階の解砕を経たジルコニアビーズによる投入含量であり得る。但し、特にこれに限定されるものではなく、ジルコニウム(Zr)元素を含む添加剤の投入によるものであってもよい。
【0063】
一方、第1及び第2サイドマージン部114、115の幅wmは特に限定する必要はない。
【0064】
但し、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、第1及び第2サイドマージン部114、115の幅wmは100μm以下であってもよく、好ましくは30μm以下であってもよく、超小型製品では、より好ましくは20μm以下であってもよい。
【0065】
ここで、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115の第3方向のサイズを意味することができる。また、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115の平均幅wmを意味することができ、サイドマージン部114、115の第3方向の平均サイズを意味することができる。
【0066】
サイドマージン部114、115の第3方向の平均サイズは、本体110の第1及び第3方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つのサイドマージン部を第1方向に等間隔である30個の地点で第3方向のサイズを測定した平均値であることができる。
【0067】
本発明の一実施形態では、セラミック電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは、内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0068】
外部電極131、132は本体110上に配置され、内部電極121、122と連結されることができる。
【0069】
より具体的に、外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。すなわち、第1外部電極131は本体の第3面3に配置されて第1内部電極121と連結されることができ、第2外部電極132は本体の第4面4に配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0070】
外部電極131、132は、金属などのような電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてもよく、さらに、多層構造を有してもよい。
【0071】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132a及び電極層131a、132a上に配置されるめっき層131b、132bを含むことができる。
【0072】
電極層131a、132aに対するより具体的な例を挙げると、電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であってもよく、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であってもよい。
【0073】
また、電極層131a、132aは、本体110上に焼成電極及び樹脂系電極が順次に形成された形態であってもよい。
【0074】
また、電極層131a、132aは、本体110上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されてもよく、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであってもよい。
【0075】
電極層131a、132aに使用される導電性金属は、静電容量の形成のために上記内部電極121、122と電気的に連結できる材質であれば、特に限定されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。電極層131a、132aは、上記導電性金属粉末にガラスフリットを添加して設けられた導電性ペーストを塗布した後、焼成することにより形成することができる。
【0076】
めっき層131b、132bは実装特性を向上させる役割を果たす。
【0077】
めっき層131b、132bの種類は特に限定されず、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む単一層のめっき層131b、132bであってもよく、複数の層で形成されてもよい。
【0078】
めっき層131b、132bに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131b、132bはNiめっき層又はSnめっき層であってもよく、電極層131a、132a上にNiめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層、Snめっき層が順次に形成された形態であってもよい。また、めっき層131b、132bは、複数のNiめっき層及び/又は複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0079】
以下では、本発明の一実施形態についてより具体的に説明する。
【0080】
積層セラミックキャパシタに使用される誘電体スラリーに含まれた誘電体粒子を分散するために、ジルコニアビーズ(zirconia beads)をメディア(media)として用いて分散を行っており、分散により誘電体粒子の凝集を解消することで、比表面積及び粒成長が向上することができる。誘電体スラリーに含まれた誘電体粒子の粒度が不均一である場合、焼成時に誘電体結晶粒の散布を誘発し、誘電体結晶粒サイズが不均一になることがある。これは、積層セラミックキャパシタのショート(short)発生又は絶縁破壊電圧(BDV:breakdown voltage)低下の原因となり得る。
【0081】
より具体的に、誘電体粉末を作製する際、乾燥過程を伴うことがあるが、このとき、誘電体粒子同士のネッキング(necking)が進行する現象、すなわち、乾燥凝集が発生する可能性がある。このような誘電体粉末の乾燥凝集を解決し、目標とする比表面積を確保するために、ジルコニアビーズを用いて分散を行っている。これにより、誘電体スラリー内の誘電体粒子の粒度分布の不均一及び焼成後に誘電体結晶粒の散布が増加する副作用が発生することがある。
【0082】
また、ジルコニアビーズの摩耗により誘電体スラリーの内部にジルコニウム(Zr)成分が不純物の形で流入し、これは、誘電体の焼成時に粒界(grain boundary)移動度を遅らせて粒成長を抑制する副作用を引き起こす可能性がある。流入するジルコニウム(Zr)成分が一定である場合、焼成制御が可能であるが、分散設備の内部においてジルコニアビーズの摩耗量が一定でないため、焼成工程中に誘電体結晶粒の散布を引き起こし、さらに、分散時間が増加するほどジルコニウム(Zr)の流入量が増加し、副作用はさらに激しくなる可能性があるため、ジルコニウム(Zr)不純物の流入を制御することが重要である。
【0083】
そこで、本発明は、ジルコニウム(Zr)不純物の流入を最小化し、誘電体スラリー内部の誘電体粒子の粒度分布及び焼成後の誘電体結晶粒のサイズを均一かつ改善された分布を実現することにより、誘電容量の向上、ショート短絡及び電界集中現象による絶縁破壊電圧を抑制できる効果がある。
【0084】
従来の分散方法は、誘電体粉末と溶剤、分散剤を秤量して投入した後、ジルコニアビーズを用いて、一定時間の間、同一周速で分散を行って目標とする比表面積(BET)を達成する方法を用いていた。しかし、これによれば、ジルコニウム(Zr)不純物流入の制御が容易ではなく、分散時間が長くなるにつれて不純物の流入含量が多くなる可能性がある。
【0085】
したがって、本発明の一実施形態において、誘電体層の原料となる誘電体スラリーを分散する工程段階を2段階に分けて行うことができる。
【0086】
まず、相対的に遅い周速で誘電体粒子間に発生した凝集を解消し、弱い結合を分離する弱解砕(soft milling)段階を一定時間の間行う。弱解砕段階の進行中には、遅い周速により不純物の流入がないか、又は殆どない。
【0087】
その後、弱解砕の周速より速い周速で分散を行うことにより、誘電体粒子の比表面積(BET)を制御して誘電体粒子のサイズを均一に形成する強解砕(hard milling)段階を一定時間の間行う。強解砕段階を行うことにより、目標とする誘電体粒子の比表面積(BET)に到達する工程時間を短縮させ、不純物の流入を最小化することができる。
【0088】
解砕段階を2段階に分けて行うことで、目標とする誘電体粒子の比表面積(BET)に到達する工程時間を短縮することができ、ジルコニウム(Zr)不純物の流入を最小化して焼結特性の制御をより円滑に行うことができる効果がある。
【0089】
2段階の解砕を行うことによって製造された本発明の一実施形態である積層型電子部品100は、カバー部112、113に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量に対する容量形成部Acに含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量の割合は0.55以上1.00以下を満たすことができ、容量形成部Acに含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量は1073ppm以上1950ppm以下を満たすことができる。
【0090】
容量形成部Acに含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量が1073ppm以上1950ppm以下を満たすことにより、誘電体結晶粒の粒成長を制御することができ、微細かつ均一なサイズの誘電体結晶粒を形成することができ、信頼性が向上できる。
【0091】
容量形成部Acに含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量が1073ppm未満である場合、誘電体結晶粒のサイズが小さく、十分な誘電容量の実現が困難である可能性がある。容量形成部Acに含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量が1950ppmを超える場合、過度なジルコニウムの含量により誘電体粒子の焼結力を低下させ、十分な誘電容量を確保しにくくなる可能性があり、容量確保のために焼成温度を上昇させる場合、内部電極の凝集などの副作用が発生する可能性がある。
【0092】
ここで、容量形成部Acに含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量は、ジルコニウム(Zr)元素を含む添加剤を投入しなかった結果であり得る。すなわち、ジルコニアビーズから投入された不純物の含量に該当することができる。
【0093】
ジルコニウム添加剤を投入する場合において、微細かつ均一なサイズの誘電体粒子を製造するためには、ジルコニアビーズによる不純物の流入含量が過度になることがある。あるいは、ジルコニアビーズによる不純物の流入含量を調節してジルコニウム含量を制御する場合には、微細かつ均一なサイズの誘電体粒子を製造しにくくなる可能性がある。
【0094】
容量形成部Acに含まれたジルコニウムの平均含量を測定する方法は以下の通りであり、カバー部112、113又はサイドマージン部114、115に含まれたジルコニウムの平均含量を測定する方法と同一であり得る。
【0095】
誘電体層において、各元素の含量を測定する方法の例について説明する。非破壊工法の場合、TEM-EDSを用いてチップの中央部で誘電体粒子内部の成分を分析することができる。焼結が完了した本体の断面のうち、誘電体層を含む領域から集束イオンビーム(FIB)装置を用いて薄片化された分析試料を用意する。そして、薄片化された試料をArイオンミリングを用いて表面のダメージ層を除去し、その後STEM-EDSを用いて得られたイメージで各成分のマッピング(mapping)と定量分析を行う。この場合、各成分の定量分析グラフは、各元素の質量分率(wt%)で得られることができるが、これをモル分率(mol%)に換算して表すことができる。
【0096】
また、破壊工法の場合、積層型キャパシタを粉砕して内部電極を除去した後、誘電体層部分を選別し、このように選別された誘電体層を誘導結合プラズマ分光分析器(ICP-OES)、誘導結合プラズマ質量分析器(ICP-MS)などの装置を用いて誘電体の成分を分析することができる。
【0097】
また、ジルコニウムの含量を制御することにより、容量形成部Acの中央領域a1に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズは200nm以上300nm以下であり、誘電体結晶粒のサイズに対する標準偏差は100nm以上130nm以下であることができる。
【0098】
2段階の解砕過程を経ることによって、微細かつ均一なサイズの誘電体粒子を製造することができ、ジルコニウムによる焼結特性を制御することにより、平均サイズ200nm以上300nm以下、及び標準偏差100nm以上130nm以下の微細かつ均一なサイズの誘電体結晶粒を形成することができる。
【0099】
誘電体結晶粒の平均サイズが200nm以上300nm以下を満たすことにより、誘電容量が改善されることができ、サイズに対する標準偏差が100nm以上130nm以下を満たすことにより、絶縁破壊電圧及び信頼性を改善することができ、特性の制御をより容易に行うことができる。
【0100】
誘電体結晶粒の平均サイズが200nm未満である場合、目標とする誘電特性を実現しにくくなるか、又は焼結が進行しない可能性があり、誘電体結晶粒の平均サイズが300nmを超える場合、絶縁破壊電圧又は信頼性が低下する可能性がある。
【0101】
誘電体結晶粒のサイズに対する標準偏差の下限は特に限定せず、そのサイズが小さいほど分布が改善されるものであって、好ましいと見なしているが、実質的にこれを制御することは困難であり得るため、下限を100nmに制限したものである。誘電体結晶粒のサイズに対する標準偏差が130nmを超える場合、誘電体結晶粒間のサイズ偏差が大きくなり、電界集中現象による絶縁破壊電圧が発生するか、又はDF(dissipation factor)が増加するおそれがある。
【0102】
容量形成部Acの中央領域a1は、本体110の第2方向の1/2地点における第1及び第3方向の断面(cross-section)を基準に、第1方向及び第3方向の中央部に位置した4μm×4μmサイズの領域を意味することができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0103】
誘電体結晶粒のサイズは、誘電体結晶粒の中心点を通る最小直線サイズ及び最大直線サイズの平均値を意味することができる。
【0104】
一方、誘電体結晶粒の平均サイズ及び標準偏差は、走査電子顕微鏡(SEM)で観察したときに存在する誘電体結晶粒のサイズを測定した値であることができる。
【0105】
下記数式1を参照すると、誘電体結晶粒サイズの標準偏差は、誘電体結晶粒のサイズを測定した値から平均サイズを引いた値を意味する偏差を二乗し、全て加算して総和を求めた後、上記総和を、測定した誘電体結晶粒の数から1を引いた値で除した値を意味する分散に対して平方根をとって求めたものであり得る。
【0106】
標準偏差は、値の分布の均一度を示し、そのサイズが小さいほど均一なサイズの結晶粒を有することを意味することができる。
【0107】
【数1】
【0108】
本発明の一実施形態において、容量形成部Acのうちカバー部112、113に隣接した領域a3に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズは130nm以上150nm以下であり得る。
【0109】
このとき、容量形成部Acのうちカバー部112、113に隣接した領域a3に含まれた誘電体結晶粒のサイズに対する標準偏差は70nm以上90nm以下であり得る。
【0110】
ここで、容量形成部Acのうちカバー部112、113に隣接した領域a3とは、容量形成部Acの第1方向に最外側に配置されている内部電極121、122に隣接した誘電体層111を含む領域を意味することができる。
【0111】
より具体的に、容量形成部Acのうち上部カバー部112に隣接した領域a3は、第1方向に最外側の上部に配置された内部電極121、122に隣接した誘電体層111を含む領域を意味することができ、容量形成部Acのうち下部カバー部113に隣接した領域は、第1方向に最外側の下部に配置された内部電極121、122に隣接した誘電体層111を含む領域を意味することができる。
【0112】
本発明の一実施形態において、容量形成部Acのうちカバー部112、113に隣接した領域a3は、本体110の第2方向の1/2地点における第1及び第3方向の断面(cross-section)を基準に、第3方向の中央において第1方向の端部に位置した4μm×2μm(第3方向×第1方向)サイズの領域を意味することができる。
【0113】
図7では、上部カバー部112に隣接した領域a3のみを示しているが、下部カバー部113に隣接した領域も前述の説明と同じ領域、すなわち、容量形成部Acの中心を通る第3方向の直線を基準に対称な領域を意味することができる。
【0114】
誘電体結晶粒の平均サイズ及び標準偏差は、走査電子顕微鏡(SEM)で観察したときに存在する誘電体結晶粒のサイズを測定した値であることができる。
【0115】
容量形成部Acのうち、カバー部112、113に隣接した領域a3に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズが130nm以上150nm以下である場合、気孔(pore)の数が少なく、緻密度が改善され、外部からの水分浸透などを効果的に抑制できるため、耐湿信頼性が向上することができ、外部からの衝撃に対する耐剛性に優れる。
【0116】
また、サイズに対する標準偏差が70nm以上90nm以下である場合、絶縁破壊電圧及び信頼性を改善することができ、特性の制御をより容易に行うことができる。
【0117】
誘電体結晶粒のサイズに対する標準偏差の下限は特に限定せず、そのサイズが小さいほど分布が改善されるものであって、好ましいと見なしているが、実質的にこれを制御することは困難であり得るため、下限を70nmに制限したものである。誘電体結晶粒のサイズに対する標準偏差が90nmを超える場合、誘電体結晶粒間のサイズ偏差が大きくなり、電界集中現象による絶縁破壊電圧が発生するか、又はDF(dissipation factor)が増加するおそれがある。
【0118】
容量形成部Acのうちカバー部112、113に隣接した領域a3に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズ及びサイズに対する標準偏差は、誘電体スラリーの粒度分布のための2段階の解砕工程のうち、弱解砕及び強解砕の工程条件を制御して実現しようとする特性に合わせて適宜調節することができる。
【0119】
但し、特にこれに限定されるものではなく、後述するカバー部112、113に含まれたジルコニウムの平均含量が容量形成部Acに含まれたジルコニウムの平均含量よりも高いため、容量形成部Acのうちカバー部112、113に隣接した領域a3に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズ及びサイズに対する標準偏差は容量形成部Acのうちカバー部112、113に隣接した領域に配置されている誘電体結晶粒の粒成長に影響を与えた結果であり得る。
【0120】
カバー部112、113に含まれる誘電体層は、容量形成部Acに含まれる誘電体層と同じ原料を使用することができるが、製造工程は異なってもよい。例えば、誘電体スラリーの分散時に、2段階の解砕過程を経るのではなく、従来の同一周速を一定時間の間1段階で進行する分散過程を経たものであってもよい。
【0121】
これは、誘電容量に寄与する容量形成部Acの誘電体スラリーの粒度分布を改善すればよく、誘電容量に寄与しないカバー部112、113の誘電体スラリーの粒度分布を改善することは不要であるためである。
【0122】
よって、カバー部112、113に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量が容量形成部Acに含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量より高いことができ、このような過程により、容量形成部Acに含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量に対するカバー部112、113に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量の割合は0.55以上1.00以下を満たすことができる。
【0123】
より具体的に、カバー部112、113に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量は1950ppmを超えることができる。
【0124】
カバー部112、113に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量は、誘電体層の焼結が進行できる2910ppm未満が好ましいが、特にこれに限定されるものではなく、誘電体の焼結が進行できるジルコニウム(Zr)の含量であればよい。
【0125】
カバー部112、113に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量が相対的に高いため、誘電体結晶粒の粒成長を促進させることができ、カバー部112、113に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズは、容量形成部Acの中央領域a1に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズより大きいことができる。
【0126】
ここで、カバー部112、113に含まれた誘電体結晶粒のサイズは、カバー部112、113の第2方向の1/2地点における第1及び第3方向の断面(cross-section)を基準に、第1方向及び第3方向の中央において4μm×2μm(第3方向×第1方向)サイズの領域c1に存在する誘電体結晶粒のサイズを測定した値であることができる。
【0127】
図7では、上部カバー部112の領域c1のみを示しているが、下部カバー部113の領域も前述の説明と同じ領域で誘電体結晶粒のサイズを測定することができる。
【0128】
誘電体結晶粒の平均サイズ及び標準偏差は、走査電子顕微鏡(SEM)で観察したときに存在する誘電体結晶粒のサイズを測定した値であることができる。
【0129】
上述したように、カバー部112、113は、容量形成部Ac又は内部電極121、122を保護する役割を果たすこともあるため、カバー部112、113に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズが容量形成部Acの中央領域a1に含まれた誘電体結晶粒より大きく形成されることで機械的強度を増大させることができ、外部からの衝撃にも剥離(delamination)又はクラック(crack)が発生することを防止することができる。
【0130】
本発明の一実施形態において、容量形成部Acのうち、サイドマージン部114、115に隣接した領域a4に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズは200nm以上250nm以下であり得る。
【0131】
このとき、容量形成部Acのうち、サイドマージン部114、115に隣接した領域a4に含まれた誘電体結晶粒のサイズに対する標準偏差は100nm以上115nm以下であり得る。
【0132】
ここで、容量形成部Acのうち、サイドマージン部114、115に隣接した領域a4とは、容量形成部Acの第3方向に最外側に配置されている誘電体層111を含む領域を意味することができる。
【0133】
より具体的に、容量形成部Acのうち第1サイドマージン部114に隣接した領域は、誘電体層111の第3方向の左側端を含む領域を意味することができ、容量形成部Acのうち第2サイドマージン部115に隣接した領域は、誘電体層111の第3方向の右側端を含む領域を意味することができる。
【0134】
容量形成部Acのうちサイドマージン部114、115に隣接した領域a4は、本体110の第2方向の1/2地点における第1及び第3方向の断面(cross-section)を基準に、第1方向の中央において第3方向の端部に位置した2μm×4μm(第3方向×第1方向)サイズの領域を意味することができる。
【0135】
図7では、第2サイドマージン部115に隣接した領域a4のみを示しているが、第1サイドマージン部114に隣接した領域も前述の説明と同じ領域、すなわち、容量形成部Acの中心を通る第1方向の直線を基準に対称な領域を意味することができる。
【0136】
誘電体結晶粒の平均サイズ及び標準偏差は、走査電子顕微鏡(SEM)で観察したときに存在する誘電体結晶粒のサイズを測定した値であることができる。
【0137】
容量形成部Acのうちサイドマージン部114、115に隣接した領域a4に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズが200nm以上250nm以下である場合、十分な誘電容量の確保が容易であり得る。
【0138】
また、サイズに対する標準偏差が100nm以上115nm以下である場合、絶縁破壊電圧及び信頼性を改善することができ、特性の制御をより容易に行うことができる。
【0139】
誘電体結晶粒の平均サイズが200nm未満である場合、十分な誘電容量の実現が困難である可能性があり、誘電体結晶粒の平均サイズが250nmを超える場合、電界集中現象による絶縁破壊電圧及び信頼性が低下するおそれがある。
【0140】
誘電体結晶粒のサイズに対する標準偏差の下限は特に限定せず、そのサイズが小さいほど分布が改善されるものであって、好ましいと見なしているが、実質的にこれを制御することは困難であり得るため、下限を100nmに制限したものである。誘電体結晶粒のサイズに対する標準偏差が115nmを超える場合、誘電体結晶粒間のサイズ偏差が大きくなり、電界集中現象による絶縁破壊電圧が発生するか、又はDF(dissipation factor)が増加するおそれがある。
【0141】
容量形成部Acのうちサイドマージン部114、115に隣接した領域a4に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズ及びサイズに対する標準偏差は、サイドマージン部114、115に含まれたジルコニウムの平均含量が容量形成部Acに含まれたジルコニウムの平均含量より高いため、容量形成部Acのうちサイドマージン部114、115に隣接した領域に配置されている誘電体結晶粒の粒成長に影響を与えた結果であり得る。
【0142】
サイドマージン部114、115に含まれる誘電体層111は、容量形成部Acに含まれる誘電体層111と同じ原料を使用することができるが、製造工程は異なってもよい。例えば、誘電体スラリーの分散時に、2段階の解砕過程を経るのではなく、従来の同一周速を一定時間の間1段階で進行する分散過程を経たものであってもよい。
【0143】
これは、誘電容量に寄与する容量形成部Acの誘電体スラリーの粒度分布を改善すればよく、誘電容量に寄与しないサイドマージン部114、115の誘電体スラリーの粒度分布を改善することは不要であるためである。
【0144】
よって、サイドマージン部114、115に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量は、容量形成部Acに含まれたジルコニウム(Ac)の平均含量より高いことができる。
【0145】
より具体的に、サイドマージン部114、115に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量は1950ppmを超えることができる。
【0146】
サイドマージン部114、115に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量は、誘電体層の焼結が進行できる2910ppm未満が好ましいが、特にこれに限定されるものではなく、誘電体の焼結が進行できるジルコニウム(Zr)の含量であればよい。
【0147】
サイドマージン部114、115に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量が相対的に高いため、誘電体結晶粒の粒成長を促進させることができ、サイドマージン部114、115に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズは、容量形成部Acの中央領域a1に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズより大きいことができる。
【0148】
ここで、サイドマージン部114、115に含まれた誘電体結晶粒のサイズは、サイドマージン部112、113の第2方向の1/2地点における第1及び第3方向の断面(cross-section)を基準に、第1方向及び第3方向の中央において2μm×4μm(第3方向×第1方向)サイズの領域に存在する誘電体結晶粒のサイズを測定した値であることができる。
【0149】
誘電体結晶粒の平均サイズ及び標準偏差は、走査電子顕微鏡(SEM)で観察したときに存在する誘電体結晶粒のサイズを測定した値であることができる。
【0150】
本発明の一実施形態において、容量形成部Acのうちカバー部112、113及び上記サイドマージン部114、115に同時に隣接した領域a2に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズは160nm以上180nm以下であり得る。
【0151】
このとき、容量形成部Acのうちカバー部112、113及びサイドマージン部114、115に同時に隣接した領域a2に含まれた誘電体結晶粒のサイズに対する標準偏差は80nm以上90nm以下であり得る。
【0152】
ここで、容量形成部Acのうちカバー部112、113及びサイドマージン部114、115に同時に隣接した領域a2は、容量形成部Acの第1方向及び第3方向の端部分に配置されている誘電体層111を含む領域を意味することができる。すなわち、容量形成部Acのコーナーに配置された領域を意味することができる。
【0153】
より具体的に、容量形成部Acのうち上部カバー部112及び第2サイドマージン部115に隣接した領域a2は、第1方向に最外側の上部に配置された内部電極121、122に隣接した誘電体層111の第3方向の右側端を含む領域である右側上部を意味することができる。
【0154】
なお、図7では、上部カバー部112及び第2サイドマージン部115及び同時に接する隣接した領域a2のみを示しているが、カバー部及びサイドマージン部と同時に接する隣接した領域は、a2領域と対称的な位置に該当する領域を含むことができる。より具体的に、上部カバー部112及び第1サイドマージン部114と同時に接する左側上部、下部カバー部113及び第1サイドマージン部114と同時に接する隣接した領域である左側上部、並びに下部カバー部113及び第2サイドマージン部115と同時に接する隣接した領域である右側下部を含むことができる。
【0155】
一方、容量形成部Acのうちカバー部112、113及びサイドマージン部114、115に同時に隣接した領域a2は、本体110の第2方向の1/2地点における第1及び第3方向の断面(cross-section)を基準に、第1方向及び第3方向の端部に位置した2μm×2μm(第3方向×第1方向)サイズの領域を意味することができる。
【0156】
容量形成部Acのうち、カバー部112、113及び上記サイドマージン部114、115に同時に隣接した領域a2に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズが160nm以上180nm以下である場合、気孔(pore)の数が少なく、緻密度が改善され、外部からの水分浸透などを効果的に抑制できるため、耐湿信頼性が向上することができ、機械的強度が向上して外部からの衝撃に対する耐剛性に優れることができる。
【0157】
また、誘電体結晶粒のサイズに対する標準偏差が80nm以上90nm以下である場合、絶縁破壊電圧及び信頼性を改善することができ、特性の制御をより容易に行うことができる。
【0158】
誘電体結晶粒のサイズに対する標準偏差の下限は特に限定せず、そのサイズが小さいほど分布が改善されるものであって、好ましいと見なしているが、実質的にこれを制御することは困難であり得るため、下限を80nmに制限したものである。誘電体結晶粒のサイズに対する標準偏差が90nmを超える場合、誘電体結晶粒間のサイズ偏差が大きくなり、電界集中現象による絶縁破壊電圧が発生するか、又はDF(dissipation factor)が増加するおそれがある。
【0159】
容量形成部Acのうちカバー部112、113及びサイドマージン部114、115に同時に隣接した領域a1に含まれた誘電体結晶粒の平均サイズ及びサイズに対する標準偏差は、誘電体スラリーの粒度分布のための2段階の解砕工程のうち、弱解砕と強解砕の工程条件を制御して実現しようとする特性に合わせて適宜調節することができる。
【0160】
但し、特にこれに限定されるものではなく、カバー部112、113及びサイドマージン部114、115に含まれたジルコニウムの平均含量が容量形成部Acに含まれたジルコニウムの平均含量より高いため、容量形成部Acのうちカバー部112、113及びサイドマージン部114、115に隣接した領域a1に配置されている誘電体結晶粒の粒成長に影響を与えた結果であり得る。
【0161】
以上のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【0162】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明するが、これは本発明の具体的な理解を助けるためのものであり、本発明の範囲が実施例によって限定されるものではない。
【0163】
(実施例)
以下の表1は、ジルコニアビーズによるジルコニウム(Zr)の添加含量による結晶粒サイズを測定したデータであり、これ以外にさらにジルコニウム添加剤を投入したものではない。
【0164】
試験例1~7のカバー部に含まれたジルコニウム(Zr)の含量は1950ppmに制御し、容量形成部に含まれるジルコニウム(Zr)の含量のみを異ならせた。
【0165】
容量形成部に含まれたジルコニウム(Zr)含量は誘電体スラリーから測定した値であり、焼成前後でジルコニウム(Zr)の含量は変わっていない。
【0166】
容量形成部/カバー部のジルコニウム(Zr)の割合は、カバー部に含まれたジルコニウム(Zr)の含量に対して容量形成部に含まれたジルコニウム(Zr)の含量に対する割合を意味する。
【0167】
容量形成部の中央領域a1の誘電体結晶粒サイズは、本体の第2方向の1/2地点において第1及び第3方向の断面を基準に、中央部の4μm×4μmの範囲に存在する誘電体結晶粒のサイズを測定したものであり、平均サイズ及び標準偏差を計算して表1に記載した。±符号を基準に、前に記載されたサイズが平均サイズであり、後ろに記載されたサイズが標準偏差のサイズである。
【0168】
【表1】
【0169】
試験例1及び試験例2の場合、容量形成部に含まれたジルコニウム(Zr)の含量がそれぞれ2910ppm及び2470ppmと、ジルコニウムが過度に添加され、固溶していないジルコニウムにより焼結力が低下し、これにより誘電体結晶粒の粒成長が進行せず、容量確保が不可能であった。また、試験例7の場合、容量形成部に含まれたジルコニウムの含量が900ppmと、ジルコニウムの投入含量が少ないため、誘電体結晶粒のサイズが200nm未満に形成され、十分な誘電容量を実現できなかった。
【0170】
これに対し、試験例3~試験例6の場合、容量形成部に含まれたジルコニウム(Zr)の含量がそれぞれ1950ppm、1490ppm、1205ppm及び1073ppmと、誘電体結晶粒の平均サイズが200nm以上300nm以下を満たし、標準偏差が100nm以上130nm以下を満たしているため、誘電容量特性が改善されるとともに、絶縁破壊電圧及び信頼性が向上した。
【0171】
以下の表2は、上記表1の試験例2及び試験例3に対して加速寿命試験(HALT)、耐湿信頼性の評価及びStep IR評価を行ったものである。
【0172】
各試験例当たり400個のチップを実装して評価し、各試験ごとに不良と評価したチップの個数をカウントした。
【0173】
加速寿命試験(HALT:Highly Accelerated Life Test)は、温度条件105℃、電圧条件1.2Vrで3時間の間行い、絶縁抵抗(IR)値が10以下に低下した場合、不良と評価した。
【0174】
耐湿信頼性は、温度条件85℃、相対湿度条件85%、電圧条件1.2Vrで2時間の間行い、絶縁抵抗(IR)値が10以下に低下した場合、不良と評価した。
【0175】
Step IR評価は、2時間ごとに電圧条件を異ならせて評価を行い、4V、6V、8V、10Vを2時間ずつ印加したとき、フェイル(fail)と判定されたチップの個数をカウントして不良と評価した。
【0176】
このとき、各区間別に不良と評価したチップを累積的に表記した。
【0177】
【表2】
【0178】
試験例2の場合、全サンプルチップ40個のうち、HALT評価で3個のチップが不良と評価され、耐湿信頼性の評価では5個のチップが不良と評価された。また、Step IR評価において、4Vの電圧条件では不良が発生しなかったが、6Vの電圧条件では2個の不良チップが発生し(累積不良チップ2個)、8Vの電圧条件では2個の不良チップが発生し(累積不良チップ4個)、10Vの電圧条件では6個の不良チップが発生した(累積不良チップ10個)。
【0179】
これに対し、試験例3の場合、全サンプルチップ40個のうち、HALT評価及び耐湿信頼性の評価において不良は発生しなかった。また、Step IR評価において、4Vの電圧条件及び6Vの電圧条件では不良が発生しておらず、8Vの電圧条件では1個の不良チップが発生し、10Vの電圧条件では4個の不良チップが発生した(累積不良チップ5個)。
【0180】
本発明の一実施形態である試験例3の評価結果によれば、2段階の解砕工程を経てジルコニアビーズから流入する不純物の含量を制御する場合、微細かつ均一なサイズの誘電体結晶粒を形成することができ、誘電容量が改善され、絶縁破壊電圧等の電気的特性及び耐湿信頼性等が向上することが確認できる。
【0181】
本発明において使用された「一実施形態」という表現は、互いに同じ実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態に説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明と理解することができる。
【0182】
本発明において使用された用語は、単に一実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0183】
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
112、113:カバー部
114、115:サイドマージン部
121、122:内部電極
131、132:外部電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7