(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084128
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】劈開された半導体構造を不動態化する方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/028 20060101AFI20240617BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240617BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240617BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240617BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20240617BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20240617BHJP
H01S 5/02 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
H01S5/028
H01L21/78 U
H01L21/304 645
H01L21/304 645A
H01L21/205
H01L21/318 B
H01L21/316 B
H01S5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023199564
(22)【出願日】2023-11-27
(31)【優先権主張番号】22212687
(32)【優先日】2022-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521513384
【氏名又は名称】コンプテック ソリューションズ オーユー
【氏名又は名称原語表記】COMPTEK SOLUTIONS OY
【住所又は居所原語表記】Voimakatu 14 20520 Turku Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】マケラ ヤーッコ
(72)【発明者】
【氏名】ローン ヨウコ
(72)【発明者】
【氏名】アロンソ ビセンテ カルボ
【テーマコード(参考)】
5F045
5F058
5F063
5F157
5F173
【Fターム(参考)】
5F045AA04
5F045AA15
5F045AA18
5F045AB02
5F045AB04
5F045AB32
5F045AB33
5F045AC11
5F045AC16
5F058BB02
5F058BC02
5F058BC08
5F058BF06
5F058BF17
5F058BF29
5F058BG01
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5F058BG03
5F058BG04
5F058BJ07
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5F063BA07
5F063BA33
5F063BA43
5F063BA44
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5F063DD78
5F157AA02
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5F157AB14
5F157BG02
5F157BG05
5F157BG14
5F157BG32
5F157BG35
5F157BG37
5F157BG58
5F157BH18
5F157BH21
5F173AL06
5F173AP61
5F173AP66
5F173AP82
5F173AQ10
5F173AR68
(57)【要約】 (修正有)
【課題】端面発光レーザデバイスとして利用するために劈開された半導体構造を不動態化する方法を提供する。
【解決手段】端面発光レーザデバイスとして利用するために劈開された半導体構造202を不動態化する方法及びシステムは、第1チャンバ及び第2チャンバを有するエンクロージャと、所与の構造を受け取って移送する移送アームと、第2チャンバ内で所与の構造をその上に取り付ける固定具とを提供することと;第1チャンバ内で、第1ファセット202Aを画定する劈開された半導体構造をその中の移送アーム上に装填することと;移送アームを使用して劈開された半導体構造を移送することと;劈開された半導体構造の第1ファセットを洗浄源からの洗浄ビームに曝露することと;劈開された半導体構造の第1ファセットを酸化源からの酸化剤に曝露して、劈開された半導体構造の第1ファセット上に秩序酸化物層を形成することと、を更に含む。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面発光レーザデバイスとして利用するための劈開された半導体構造を不動態化する方法であって、前記方法は、
・ 第1のチャンバ及び第2のチャンバと、前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへ所与の構造を受け取って移送する移送アームと、前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバの各々がその内部に真空状態を提供するように適合された状態で、前記第2のチャンバ内で前記所与の構造をその上に取り付けるための固定具と、を有するエンクロージャを提供することと、
・ 前記第1のチャンバ内で、その中の前記移送アーム上に第1のファセットを画定する前記劈開された半導体構造を装填することと、
・ 前記劈開された半導体構造を前記第2のチャンバ内の前記固定具上に取り付けるために、前記移送アームを使用して、前記劈開された半導体構造を前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへ移送することと、
・ 前記劈開された半導体構造の前記第1のファセット上に形成された可能性のある自然酸化物層を除去するために、その中の前記固定具を操作することによって、前記第2のチャンバ内の前記劈開された半導体構造の前記第1のファセットを、前記第1のファセットに対向する洗浄源からの洗浄ビームに曝露することと、
・ 前記劈開された半導体構造の前記第1のファセットを加熱するために、その中の前記固定具を操作することによって、前記第2のチャンバ内の前記劈開された半導体構造の前記第1のファセットを、前記第1のファセットに対向する加熱源からの熱エネルギーに曝露することと、
・ 前記劈開された半導体構造の前記第1のファセット上に秩序酸化物層を形成するために、その中の前記固定具を操作することによって、前記第2のチャンバ内の前記劈開された半導体構造の前記第1のファセットを、前記第1のファセットに対向する酸化源からの酸化剤に曝露することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のファセットを前記酸化源からの前記酸化剤に曝露する前に、前記第2のチャンバ内の前記劈開された半導体構造の前記第1のファセットを、前記第1のファセットに対向する堆積源からのIII族原子に、その中の前記固定具を操作することによって曝露して、前記III族原子を前記劈開された半導体構造の前記第1のファセット上に堆積させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記劈開された半導体構造の前記第1のファセット上に形成された前記秩序酸化物層の上のSi、a-Si:H、SiO2、SiNxのうちの少なくとも1つの層を堆積させることを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記洗浄ビームは、水素、アルゴン、キセノン、又はそれらの混合物の原子ビーム、イオン化希ガス及び/又は窒素を含むイオンビームのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記加熱源によって提供される前記熱ビームは、レーザ照射、赤外線放射のうちの少なくとも1つである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化剤は、分子酸素、酸素プラズマ、オゾン、NOx、COのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
複数の劈開された半導体構造は前記第1のチャンバ内に装填され、そのそれぞれの側方ファセットにおいて互いの上に積み重ねられており、前記第1のファセットは前記それぞれの劈開された半導体構造内の前記対応する側方ファセットに直交しており、前記方法は、前記複数の劈開された半導体構造のうちの前記劈開された半導体構造の各々の前記第1のファセットを、前記洗浄源からの前記洗浄ビーム、前記加熱源からの前記熱ビーム、及び前記酸化源からの前記酸化剤のうちの1つ以上に曝露するように、前記第2のチャンバ内で前記固定具を操作することを更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記劈開された半導体構造は、その中に第2のファセットを更に画定し、前記方法は、前記半導体構造を前記エンクロージャから除去することなく、前記劈開された半導体構造の前記第2のファセットを、前記第2のチャンバ内の前記洗浄源からの前記洗浄ビーム、前記加熱源からの前記熱ビーム、及び前記酸化源からの前記酸化剤のうちの1つ以上に曝露するように、前記第2のチャンバ内で前記固定具を操作することを更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
端面発光レーザとして利用するための劈開された半導体構造を不動態化するためのシステムであって、前記システムは、
・ 第1のチャンバ及び第2のチャンバを有するエンクロージャと、
・ 前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバの各々の内部に真空状態を生成するように構成されたポンプと、
・ 前記第2のチャンバ内に取り付けられた洗浄源と、
・ 前記第2のチャンバ内に取り付けられた酸化源と、
・ 前記第2のチャンバ内に取り付けられた加熱源と、
・ 第1のファセットを画定する前記劈開された半導体構造を受け取り、前記第1のチャンバから前記第2のチャンバに移送するように構成された移送アームと、
・ 前記所与の構造を前記第2のチャンバ内でその上に取り付けるように適合された固定具と、
を備え、前記固定具が、
・ 前記第1のファセットを前記洗浄源に対向して配置することによって、前記第2のチャンバ内の前記劈開された半導体構造の前記第1のファセットを前記洗浄源からの洗浄ビームに曝露し、
・ 前記加熱源に対向して前記第1のファセットを配置することによって、前記第2のチャンバ内の前記劈開された半導体構造の前記第1のファセットを前記加熱源からの熱エネルギーに曝露し、
・ 前記第1のファセットを前記酸化源に対向して配置することによって、前記第2のチャンバ内の前記劈開された半導体構造の前記第1のファセットを前記酸化源からの酸化剤に曝露する、
ように操作されるように構成されている、システム。
【請求項10】
前記加熱源は、レーザ、赤外線ランプのうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法によって形成された端面発光レーザデバイスであって、前記端面発光レーザは、
・ 指定された波長の光を生成するように適合された多重量子井戸構造を有する劈開された半導体構造と、前記半導体構造をその結晶方向に沿って劈開することによって画定される少なくとも1つのファセットであって、前記少なくとも1つのファセットは、その上に形成された前記秩序酸化物層を備える、少なくとも1つのファセットと、
を備える、端面発光レーザデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体デバイスの不動態化に関する。より具体的には、本開示は、端面発光レーザデバイスとして利用するための劈開された半導体構造を不動態化する方法に関する。
【背景】
【0002】
半導体レーザ又はダイオードレーザは、多くの用途における実装のために、電気エネルギーを光に変換するように動作可能な電気光学デバイスである。特に、III-V族半導体化合物に基づく半導体レーザは、高速光記録、高速印刷、様々なネットワーク及び伝送、ドップラー光レーダ、光信号処理、高速光マイクロ波源、他の固体レーザ用ポンプ源、ファイバ増幅器、医療用途などに広く使用されている。
【0003】
複数の制御可能な特性及び多様な用途を有するそのようなダイオードレーザは、放出される光の1つ以上の所望の特性及び/又はデバイスの信頼性に対する適切な改善に対する継続的な必要性を生み出す。例えば、高出力用途では、最大量の出力パワーが動作のために望まれる。しかしながら、出力パワーは、デバイス自体への漸進的な損傷によって制限されることが多い。ここで、高出力半導体レーザの故障の主な根本原因は、高出力端面発光型レーザチップの最大出力を損なう現象である壊滅的光学ミラー損傷(COMD)として知られている。COMDによる故障の根本的な原因は、レーザチップの出力ファセット(複数可)における表面欠陥である。半導体レーザによって放出された光は、表面によって部分的に吸収され、欠陥は、非放射性再結合中心として作用し、部分的に吸収された光によって励起された電荷キャリアの再結合に起因する熱発生の増加をもたらす。典型的には、温度が上昇すると、材料の有効バンドギャップが減少し、より多くの吸収及び非放射性再結合をもたらす。一方、温度の上昇はまた、分子結合の再分配をもたらし、これは一般に、界面における強い良好に秩序立った分子結合の不在下で、より高い欠陥密度をもたらす。更に、高出力パワーでの長時間動作は、半導体レーザの1つ以上のファセットに配置された1つ以上のミラーの劣化を引き起こすかなりの量の熱を発生させる。
【0004】
劣化の結果として、対応するミラー損傷は、半導体レーザの寿命を短くし、それによって、頻繁なレーザ交換の必要性のために運用コストを増加させる。更に、そのような効果は、正のフィードバックループを妨げ、COMDの光パワー閾値レベルを超えると、ファセットの急速な微小爆発をもたらす。例示的なシナリオでは、アルミニウム(Al)含有化合物半導体レーザは、酸素と相互作用する極めて高い傾向のためにCOMDに対して最も敏感であることが観察されており、酸素は、多くの場合、欠陥状態の原因である。欠陥状態を形成する自然の傾向を有するAl及び酸素(O)結合とは別に、それらの熱力学的安定性に起因して、そのような欠陥を低減することも著しく困難である。その結果、表面におけるAl-O結合を回避するための既知の方法の大部分は、コーティング前にファセットが酸素に曝露されるのを防止することに関する。
【0005】
上述の問題を解決するためにいくつかの試みがなされてきた。いくつかの例では、アルゴン(Ar)イオンビームエッチング(正又は負のいずれか)、遠隔プラズマエッチング、又は原子状酸化水素還元が、表面酸化物層を除去するために使用され、その後、ケイ素、窒化ケイ素SiNx、水素化ケイ素(SiH)、又は結晶ZnSe堆積が行われて、欠陥状態密度が低減された表面を不動態化し、ファセットを更なる酸化から保護する。他の例では、超高真空(UHV)システムは、一般に洗浄方法を利用し、続いて少なくとも10nm厚の結晶不動態化層、例えばZnSeを堆積させるように構成される。更に本明細書では、試料の装填、洗浄、堆積、及びフリップなどの工程は、システムの異なるチャンバ内で行われる。しかし、システムは、工程のいずれかの間に真空の中断(又は周囲への露出)を有さない。しかしながら、それは、単一チャンバ内で実行され得るプロセス及び/又はシステムと比較して、依然として非常に複雑かつ低速である。更に、いくつかの例では、ZnSe結晶層が保護/不動態化コーティングとして使用される。ここで、洗浄方法としての原子状水素エッチングは、エッチング自体からの欠陥発生を回避するために利用される。非Al化合物半導体の場合、このような方法は高品質の界面を提供することができる。しかしながら、原子状水素は、それ自体ではAl-O結合の効率的な除去を提供しない可能性がある。更に、いくつかの例では、低エネルギー水素プラズマが、洗浄のために利用され、その後、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)でオーバーコーティングされ、低エネルギーAr+イオンビーム又はプラズマを利用して、表面自然酸化物を除去し、続いてSiコーティングである。
【0006】
上述した全ての不動態化方法は、不動態化処理の前又はそれと同時に自然酸化物を除去することを必要とする。別の技術は、E2技術として知られる、レーザファセット上に存在するAl-O結合を完全に回避することを含む。E2技術は、デバイスのファセットが、処理されたウェハから劈開されるまで、その周囲にさらされることを防止することによって、表面上の酸化物形成を回避することを含む。この劈開は、UHV「in-situ」で行われ、その後、デバイスは、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、又はアンチモン(Sb)のいずれか1つの薄層でコーティングされ、表面コーティングは、デバイスからの光の伝搬を容易にし、同時に活性領域界面を周囲からの酸素との相互作用から保護するために、吸収端を有する必要がある。しかしながら、E2法の主な欠点の1つは、処理されたウェハをUHV内でバーに劈開する必要があることであり、これは非常に複雑なプロセスであり、非常に低いスループットを有し、非常に高価な装置を必要とする。レーザバーが「ex-situ」で、すなわちUHV外で劈開される場合、レーザファセットの酸化は不可避であり、レーザファセット上に存在する自然酸化物からの欠陥状態をもたらすことが理解されよう。
【摘要】
【0007】
本開示は、端面発光レーザデバイスとして利用するための劈開された半導体構造を不動態化する方法及びシステムを提供しようとするものである。本開示は更に、この方法によって形成された端面発光レーザデバイスを提供しようとする。本開示の目的は、先行技術において遭遇する問題を少なくとも部分的に克服する解決策を提供することである。
【0008】
一態様において、本開示の一実施形態は、端面発光レーザデバイスとして利用するための劈開された半導体構造を不動態化する方法を提供し、方法は、
・ 第1のチャンバ及び第2のチャンバと、第1のチャンバから第2のチャンバへ所与の構造を受け取って移送する移送アームと、第1のチャンバ及び第2のチャンバの各々がその内部に真空状態を提供するように適合された状態で、第2のチャンバ内で所与の構造をその上に取り付けるための固定具と、を有するエンクロージャを提供することと、
・ 第1のチャンバ内で、その中の移送アーム上に第1のファセットを画定する劈開された半導体構造を装填することと、
・ 劈開された半導体構造を第2のチャンバ内の固定具上に取り付けるために、移送アームを使用して、劈開された半導体構造を第1のチャンバから第2のチャンバへ移送することと、
・ 劈開された半導体構造の第1のファセット上に形成された可能性のある自然酸化物層を除去するために、その中の固定具を操作することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを、第1のファセットに対向する洗浄源からの洗浄ビームに曝露することと、
・ 劈開された半導体構造の第1のファセットを加熱するために、その中の固定具を操作することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを、第1のファセットに対向する加熱源からの熱エネルギーに曝露することと、
・ 劈開された半導体構造の第1のファセット上に秩序酸化物層を形成するために、その中の固定具を操作することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを、第1のファセットに対向する酸化源からの酸化剤に曝露することと、を含む。
【0009】
別の態様において、本開示の一実施形態は、端面発光レーザデバイスとして利用するための劈開された半導体構造を不動態化するシステムを提供する。このシステムは、
・ 第1のチャンバ及び第2のチャンバを有するエンクロージャと、
・ 第1のチャンバ及び第2のチャンバの各々の内部に真空状態を生成するように構成されたポンプと、
・ 第2のチャンバ内に取り付けられた洗浄源と、
・ 第2のチャンバ内に取り付けられた加熱源と、
・ 第2のチャンバ内に取り付けられた酸化源と、
・ 第1のファセットを画定する劈開された半導体構造を受け取り、第1のチャンバから第2のチャンバに移送するように構成された移送アームと、
・ 所与の構造を第2のチャンバ内でその上に取り付けるように適合された固定具と、
を備える。そして前記固定具が、
・ 洗浄源に対向する第1のファセットを配置することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを洗浄源からの洗浄ビームに曝露し、
・ 加熱源に対向して第1のファセットを配置することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを加熱源からの熱エネルギーに曝露し、
・ 酸化源に対向する第1のファセットを配置することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを酸化源からの酸化剤に曝露する、
ように操作されるように構成されている。
【0010】
更に別の態様では、本開示はまた、上述の方法によって形成される端面発光レーザデバイスを提供し、端面発光レーザデバイスは、
・ 指定された波長の光を生成するように適合された多重量子井戸構造を有する劈開された半導体構造と、
・ 半導体構造をその結晶方向に沿って劈開することによって画定される少なくとも1つのファセットであって、少なくとも1つのファセットは、その上に形成された秩序自然酸化物層を備える、少なくとも1つのファセットと、を備える。
【0011】
本開示の実施形態は、従来技術における前述の問題を実質的に排除するか、又は少なくとも部分的に対処し、端面発光レーザデバイスとして利用するための劈開された半導体構造を不動態化するための改善された方法を提供する。
【0012】
本開示の追加の態様、利点、特徴、及び目的は、添付の特許請求の範囲と併せて解釈される例示的な実施形態の図面及び詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
ここで、本開示の実施形態を、単なる例として、以下の図面を参照して説明する。
【
図1A】本開示の実施形態による、端面発光レーザデバイスとして利用するための劈開された半導体構造を不動態化する方法に含まれる工程を列挙したフローチャートである。
【
図1B】本開示の実施形態による、端面発光レーザデバイスとして利用するための劈開された半導体構造を不動態化する方法に含まれる工程を列挙した代表的なフローチャートである。
【
図2A】本開示の一実施形態による、内部に複数の半導体構造を含む例示的な半導体劈開バーの代表的な図である。
【
図2B】本開示の一実施形態による、
図2Aの半導体バーの劈開された半導体構造のうちの1つの代表的な図である。
【
図2C】本開示の実施形態による、端面発光レーザデバイスとして利用するために劈開された半導体構造を不動態化するためのシステムの例示的な概略図である。
【
図3A】本開示の1つ以上の実施形態による、その第1のファセットを洗浄する前の例示的な劈開された半導体構造の代表的な図である。
【
図3B】本開示の1つ以上の実施形態による、第1のファセットを洗浄した後の例示的な劈開された半導体構造の代表的な図である。
【
図3C】本開示の1つ以上の実施形態による、秩序自然酸化物層で不動態化されたその第1のファセットを有する例示的な劈開された半導体構造の代表的な図である。
【
図4A】本開示の1つ以上の実施形態による、システムの例示的な積層固定具の概略図である。
【
図4B】本開示の1つ以上の実施形態による、複数の劈開された半導体構造を保持する例示的な固定具の詳細図である。
【
図5】本開示の1つ以上の実施形態による、劈開された半導体構造を不動態化するための例示的な第2のチャンバの概略図である。
【
図6】本開示の一実施形態による、加熱源からの距離の尺度としての劈開された半導体構造における温度変化のグラフ表示である。
【
図7】本開示の実施形態による、劈開された半導体構造における電圧に対する微分走査トンネル分光法IV曲線のグラフ表示である。
【実施形態の詳細説明】
【0014】
以下の詳細な説明は、本開示の実施形態及びそれらが実装され得る方法を示す。本開示を実施するいくつかのモードが開示されたが、当業者は、本開示を実施又は実践するための他の実施形態も可能であることを認識するであろう。
【0015】
一態様において、本開示の一実施形態は、端面発光レーザデバイスとして利用するための劈開された半導体構造を不動態化する方法を提供し、方法は、
・ 第1のチャンバ及び第2のチャンバと、第1のチャンバから第2のチャンバへ所与の半導体構造を受け取って移送する移送アームと、第1のチャンバ及び第2のチャンバの各々がその内部に真空状態を提供するように適合された状態で、第2のチャンバ内で所与の半導体構造をその上に取り付けるための固定具と、を有するエンクロージャを提供することと、
・ 第1のチャンバ内で、その中の移送アーム上に第1のファセットを画定する劈開された半導体構造を装填することと、
・ 劈開された半導体構造を第2のチャンバ内の固定具上に取り付けるために、移送アームを使用して、劈開された半導体構造を第1のチャンバから第2のチャンバへ移送することと、
・ 劈開された半導体構造の第1のファセット上に形成された可能性のある自然酸化物層を除去するために、その中の固定具を操作することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを、第1のファセットに対向する洗浄源からの洗浄ビームに曝露することと、
・ 劈開された半導体構造の第1のファセットを加熱するために、その中の固定具を操作することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを、第1のファセットに対向する加熱源からの熱エネルギーに曝露することと、
・ 劈開された半導体構造の第1のファセット上に秩序酸化物層を形成するために、その中の固定具を操作することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを、第1のファセットに対向する酸化源からの酸化剤に曝露することと、を含む。
【0016】
本明細書で使用される「不動態化」という用語は、半導体デバイスの内部構造を汚染物質及び酸化から保護するように構成された不動態化層の製造(又は形成)のプロセスを指す。汚染及び酸化は、半導体デバイスの電力効率を低下させる原子レベルでの欠陥をもたらし、信頼性の問題を引き起こす可能性があり、製造歩留まりを低下させ、したがってコストを増加させる。したがって、不動態化は、表面欠陥密度を前例のないレベルまで低減することを可能にし、したがって、III-V族半導体ベースのデバイスの効率の上昇及び製造歩留まりの増加をもたらす。不動態化層は、例えば、劈開された半導体構造上の酸化物層及び/又は窒化物層から形成される。
【0017】
「半導体構造」という用語は、その上又はその中に半導体デバイスの要素が製作又は取り付けられる材料の層又はブロックを指す。典型的には、半導体構造は、任意の金属、非金属、半導体材料、又は金属、非金属及び半導体材料の組み合わせの層、支持基板上に堆積された任意の材料の層、又は支持構造自体であってもよい。本実施例では、半導体構造、半導体チップは、端面発光レーザデバイス、並びに他のHEMT及びMESFET構造を形成するのに適したGaAs又はリン化インジウム(InP)ベースの構造とすることができる。しかしながら、半導体構造は、本開示に従って所望のパターン(例えば、サブハーフミクロン)を生成することが望まれる任意の材料から形成されてもよい。
【0018】
半導体構造は、分子線エピタキシ又は有機金属化学蒸着などの技術を含む、形成される様々な従来の技術、集積回路、又は電子構造を使用して形成することができる。理解され得るように、半導体構造の形成に際して、半導体構造のバーは、従来の技術を介して劈開され、端面発光レーザデバイスとして利用するための方法を介して更に処理される。複数の劈開された半導体構造、レーザチップは、単一の半導体バーの一部であってもよく、半導体バー全体が所与の時間に処理されてもよく、又は好ましくは、本開示の方法及びシステムの大量生産及び効率の改善のために、複数のそのような積層された半導体バーが所与の時間に処理されてもよいことが理解されよう。
【0019】
端面発光レーザデバイスは、本開示の方法を実施することによって劈開された半導体構造を使用して製造され、それによって本開示の全ての特徴及び利点を達成する。任意選択的に、劈開された半導体構造上に製造される端面発光レーザデバイスは、目標レージング特性を提供するように適合され、「レージング特性」という用語は、半導体デバイスによって生成されるレーザのスペクトル放射特性及び/又は特性を指す。半導体デバイスの目標レージング特性は、半導体デバイスの所望のレージング作用を提供するために、入力電流、電圧、電力、キャビティ間隔などの入力を変化させることによって、実装に基づいて適合される。
【0020】
この方法は、第1のチャンバ及び第2のチャンバと、第1のチャンバから第2のチャンバへ所与の半導体構造を受け取って移送する移送アームと、第1のチャンバ及び第2のチャンバの各々がその内部に真空状態を提供するように適合された状態で、第2のチャンバ内で所与の構造をその上に取り付けるための固定具と、を有するエンクロージャを提供することを含む。「エンクロージャ」は、所与の半導体構造を不活性に保管し、周囲からの露出を防止するためのマルチチャンバシステムを備える外部本体を指す。本明細書では、エンクロージャは、所与の半導体構造(すなわち、劈開された半導体構造)を装填又は移送することができる第1のチャンバと、所与の半導体構造を第1のチャンバ又は第2のチャンバに移送又はそこから受け取るように構成された移送アームと、を備える。更に、エンクロージャは、所与の構造を(移送されると)第2のチャンバに取り付けるように構成された固定具を備える。
【0021】
本明細書において、「移送アーム」という用語は、所与の半導体構造及び/又は固定具をエンクロージャ内の所望の位置又は向きに移送又は再配向するように構成された、手動で作動されるアーム又は自動で作動されるアーム又はロボットアームを指す。典型的には、移送アームは、第1のチャンバと第2のチャンバとの間のエンクロージャ内で移動可能かつ伸長可能なアームであり、真空完全性を維持しながら、1つのチャンバ内で半導体構造/固定具を取り上げ、それを精密な(直線)運動によって別のチャンバに移送するか、又は1つのチャンバ内で移動することを可能にする。
【0022】
「固定具」という用語は、劈開された半導体構造を確実に配置し、支持し、取り付け、その外部操作を可能にするように構成されたカスタマイズされた支持デバイスを指す。一例では、固定具は、あるタイプの治具(積層治具、プレート治具、チャネル治具など)であってもよい。別の例では、固定具は、複数の劈開された半導体構造を取り付けるように構成された金属フレームであってもよい。任意選択で、固定具は、各劈開された半導体構造の少なくとも1つのファセットが処理のために露出される開口部を有することができる。更に、固定具は、積み重ねられた劈開された半導体構造を有する他の固定具と共に取り付けられてもよく、それによって本方法に従って一緒に処理されてもよいことが理解されるであろう。有利なことに、劈開された半導体構造のそのような配置は、本方法を介して一度に並行して処理され得る半導体構造の数がより多いために、大量生産を可能にすることによって、本方法の効率を改善する。いくつかの実施形態では、複数の劈開された半導体構造を有する半導体バーは、固定具(積層治具など)内で互いの上に積層される。例えば、そのような固定具は、半導体バーを形成するために互いに積み重ねられた5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90又は100個の劈開された(半導体)構造を含んでもよい。任意選択で、そのような複数の半導体バーは、その中のコンタクト金属の存在に起因して、劈開された半導体構造の積層を防止するために、例えばGaAs構造などのスペーシング構造によって分離されてもよい。
【0023】
方法は、第1のチャンバ内で、その中の移送アーム上に第1のファセットを画定する劈開された半導体構造を装填することを更に含む。典型的には、第1のファセットを画定する劈開された半導体構造は、積層固定具(例えば、積層治具)上に装填され、それによって、更なる移送及び/又は動作のために第1のチャンバに装填される。
【0024】
従来、半導体構造は、異なる処理プロセスへの曝露のために異なるチャンバ間で移動されるように操作固定具上に取り付けられ、大気への曝露の固有のリスクを有するエンクロージャを放置することさえ必要とし得る。上述の非効率性を克服するために、本開示は、半導体構造の複数のファセットが単一のチャンバ内で露出され、洗浄され、加熱され、不動態化などされ得る新規な手法を提供する。
【0025】
方法は、劈開された半導体構造を第2のチャンバ内の固定具上に取り付けるために、移送アームを使用して、劈開された半導体構造を第1のチャンバから第2のチャンバへ移送することを更に含む。いくつかの例では、動作中、劈開された半導体構造は、第1のチャンバ内に装填される前に、最初に積層固定具上に装填されてもよく、更に、積層固定具全体が劈開された半導体構造と共に、移送アームを使用して、エンクロージャ内に装填された劈開された半導体構造の更なる処理のためにエンクロージャを離れることなく(したがって大気に曝露されることなく)、第2のチャンバに移送されてもよい。特に、複数の劈開された半導体構造を有する半導体バーは、その中の複数の劈開された半導体構造の各々を同時に処理するために固定具上に取り付けられる。好ましくは、複数のそのような半導体バーは、劈開された半導体構造の同時処理のために固定具内に積み重ねられてもよく、大量生産及び高スループットを可能にする。
【0026】
本明細書では、劈開された半導体構造は、複数の劈開された半導体構造の第1のファセットが同じ方向に整列されるように固定具上に取り付けられ、方法の処理工程は、第1のファセットの各々に同様に影響を及ぼす。更に、劈開された半導体構造が第1のチャンバ内に装填されると、劈開された半導体構造は、積層固定具と共に第2のチャンバに移送され、ここで、劈開された半導体構造の第1のファセットが更に洗浄及び/又は不動態化されてもよく、その後、半導体構造の第2のファセットが同様に露出され(移送アームの操作によって)、第2のチャンバ内で加熱され、洗浄され、不動態化される。有利には、動作中に、単一のチャンバ、すなわち第2のチャンバが利用され、両方のファセット、すなわち第1のファセット及び第2のファセットが、処理中に、他のチャンバを使用することなく、又はエンクロージャを残すことなく、処理、洗浄、及び不動態化されて、方法をより高速かつ効率的にすることができる。
【0027】
1つ以上の実施形態では、固定具は、移送アームに結合され、移送アームに対して操作される複数の自由度を有するように適合され、劈開された半導体構造は、積層固定具上及び第1のチャンバ内のその上に装填される。更に、劈開された半導体構造が装填された積層固定具は、更なる処理のために、第2のチャンバ内の固定具に移送される。固定具は、移送アームに結合するように適合され、結合は、複数の自由度(DoF)が移送アームに対して操作されることを可能にし、それによって、劈開された半導体構造の便利で効率的な移送及び装填を可能にする。一例では、移送アームに結合された固定具は、並進軸x、y、z軸のうちの1つ以上並びに回転軸α,β及びγ-のうちの1つ以上に沿った移動の完全な自由を可能にする
【0028】
方法は、劈開された半導体構造の第1のファセット上に形成された可能性のある自然酸化物層を除去するために、その中の固定具を操作することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを、第1のファセットに対向する洗浄源からの洗浄ビームに曝露することを更に含む。所与の半導体構造上の汚染物質は、半導体製造中にレーザデバイスを製造する歩留まりに深刻な影響を与える可能性があり、したがって、所与の半導体構造のファセットからのそのような汚染物質の除去又は洗浄が、半導体構造の不動態化中に必要とされる可能性があることが理解されよう。したがって、劈開された半導体構造を第2のチャンバに移送する際に、劈開された半導体構造の第1のファセットは、その中の固定具を操作することによって洗浄源からの洗浄ビームに曝露される。
【0029】
本明細書では、「洗浄ビーム」という用語は、任意の可能性のある酸化物層又は他の汚染物質(例えば、塵、錆、グリースなど)の劈開された半導体構造の表面(又はファセット)を除去する(又は洗浄する)ように構成された洗浄ビーム源からの照射ビームを指す。一例では、本方法は、自然酸化物層を除去するために、表面に損傷を与えることなく洗浄することができるマイクロパルスレーザ又は高出力レーザ、すなわち高出力を有する短パルスレーザを使用することができる。ここで、高出力短パルスレーザへのパワー入力(又はピークパワー)は、より短い持続時間に対して非常に高いので、熱影響部(HAZ)は他のタイプのレーザよりも低く、洗浄プロセスは他のタイプのレーザと比較してより短い時間しかかからない。更に、有益なことに、そのような実装は、不動態化方法全体に対して1つ又は2つのレーザのみを必要とする。別の例では、本方法は、異なる波長及び出力を有する連続波長レーザを使用することができる。別の例では、本方法は、可能性のある自然酸化物層を除去するためにイオンビームを使用することができる。更に他の例では、本方法は、実施態様に基づいて、連続波長レーザ、又は異なる波長若しくは出力のパルスレーザを使用することができる。本方法は、洗浄効果を潜在的に改善するために、レーザ強度、波長、パルス持続時間、パルス幅、及び入射角などの本質的なレーザパラメータを変更することができ、実装の必要性に基づいて任意の洗浄源及び対応する洗浄ビーム技法を使用することができることが理解されよう。
【0030】
そのような洗浄工程は、所与の半導体構造の更なる処理の前に、劈開された半導体構造の第1のファセットから任意の可能な汚染物質を除去する。有益なことに、これらの汚染物質及び自然酸化物の除去は、その上に秩序酸化物層(Kontrox(登録商標)層としても知られている、すなわち、薄い長距離秩序酸化物層)を形成し、他の酸化物膜を半導体構造の上に堆積及び成長させるために不可欠である。そうでなければ、長距離酸化物を生成することは不可能であり得ることが理解されよう。除染剤が存在する場合、長距離秩序酸化物形成は成功しない。したがって、除染剤及び自然酸化物を除去する必要がある。いくつかの例では、長距離秩序酸化物を形成するための酸素の付着は、所定の温度条件を提供することによって支援され得る。
【0031】
1つ以上の実施形態では、洗浄ビームは、水素、アルゴン、キセノン、又はそれらの混合物の原子ビーム、イオン化希ガス及び/又は窒素を含むイオンビームのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、本方法によって利用される洗浄ビームは、イオン化希ガス(ヘリウム、アルゴンなど)及び/又は窒素を含むイオンビーム、すなわち、任意の可能な汚染物質を除去するために劈開された半導体構造に向けられたエネルギーイオンのビームである。特に、イオン化ビームは、洗浄プロセスを最適化するために100電子ボルト以下のエネルギーレベルを有する。他の実施形態では、本方法によって利用される洗浄ビームは、原子状水素、アルゴン、キセノン、又はそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む原子ビーム、すなわち、任意の可能な自然酸化物層を除去するために半導体構造に向けられたエネルギー原子のビームである。
【0032】
方法は、劈開された半導体構造の第1のファセットを加熱するために、その中の固定具を操作することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを、第1のファセットに対向する加熱源からの熱ビームに曝露することを更に含む。加熱は、酸化工程の前、間及び/又は後に適用され得ることが理解され得る。一般に、劈開された半導体構造は洗浄プロセス中に加熱されるが、酸化中又は酸化後に必ずしも加熱が必要とされない場合もある。本明細書では、固定具全体は、加熱源からの入射熱ビームを均一に収容する(又は直接面する)ために、操作又は再位置付けされてもよい。有利なことに、熱ビームの最大量は、操作に起因して劈開された半導体構造の露出された第1のファセットによって受け取られ、それによって、レーザ放射のより高い精度の制御及び増加したエネルギー効率に起因して、第1のファセットを効率的かつ正確に加熱する。
【0033】
本明細書では、「熱ビーム」という用語は、任意の可能な汚染物質(例えば、水分)の劈開された半導体構造の表面(又はファセット)を加熱又は洗浄するために所望の位置に向かって熱エネルギーを提供するように構成された熱源からの照射ビームを指す。一例では、方法は、劈開された半導体構造の第1のファセットを加熱するために、表面を損傷することなく加熱することができるマイクロパルスレーザ又は高出力レーザ、すなわち高出力を有する短パルスレーザを使用することができる。ここで、高出力短パルスレーザへのパワー入力(又はピークパワー)は、より短い持続時間に対して非常に高いので、熱影響部(HAZ)は他のタイプのレーザよりも低く、加熱プロセスは他のタイプのレーザと比較してより短い時間しかかからない。更に他の例では、本方法は、実施態様に基づいて、連続波長レーザ、又は異なる波長若しくは出力のパルスレーザを使用することができる。本方法は、加熱効果を潜在的に改善するために、レーザ強度、波長、パルス持続時間、パルス幅、及び入射角などの本質的なレーザパラメータを変更することができ、実装の必要性に基づいて任意の加熱源及び対応する加熱ビーム技法を使用することができることが理解されよう。本実施例では、加熱源は、固体レーザ、ガスレーザなどのレーザのタイプであってもよい。いくつかの例では、加熱源は、熱ビームを劈開された半導体構造の第1のファセットに向けて誘導して、更なる処理の前に潜在的に存在する汚染物質を洗浄及び/又は除去するために第1のファセットを加熱するように構成することができる。例えば、加熱は、洗浄された第1のファセット上のあらゆる水分、ガス、及び他の汚染物質を除去することができる。特に、加熱中に第2のチャンバ内で測定される温度は、加熱源によって提供される熱ビームの局所加熱効果により、既存のシステム及びプロセスとは対照的に、動作中に一定(例えば、室温)のままであってもよく、すなわち、熱ビームは、劈開された半導体構造の露出された第1のファセットのみに局在化される。有利なことに、加熱源のそのような適用を介して、劈開された半導体構造全体に加えられる熱負荷は、加熱が非露出ファセットから行われた従来技術と比較して低く、それによって、構造全体にわたる高温への露出による損傷の対応する高いリスクを防止する。
【0034】
加熱源は、熱ビームを劈開された半導体構造の第1のファセットに向けて誘導して、更なる処理の前に潜在的に存在する汚染物質を洗浄及び/又は除去するために第1のファセットを加熱する。例えば、加熱は、洗浄された第1のファセット上のあらゆる水分、ガス、及び他の汚染物質を除去することができる。加熱中に第2のチャンバ内で測定される温度は、加熱中に実質的に一定(例えば、室温)のままであり、放射(IR放射又はレーザ放射のいずれか)への曝露は、曝露された第1のファセットに局在化され、又は異なる期間にわたって変動されてもよい。例えば、劈開された半導体構造の第1のファセットは、5分間、10分間、15分間、20分間、30分間、60分間などにわたって加熱され得る。当業者であれば、圧力、温度、及び曝露時間は、本開示の範囲を限定することなく、実装に基づいて変更され得ることを理解するであろう。
【0035】
任意選択で、熱ビームは、レーザ照射、赤外線放射のうちの少なくとも1つによって提供される。換言すれば、劈開された半導体構造の第1のファセットを加熱するために熱ビームを提供するために利用される加熱源は、レーザ源、すなわちレーザ(例えば、固体レーザ、ガスレーザ、半導体レーザ)を介した照射、又は赤外源、すなわち赤外(IR)光源(IRランプなど)からの放射である。IR光又はレーザ放射は、劈開された半導体構造を加熱して、劈開後に第1のファセットの表面に物理的に吸着した水分及び汚染物質(例えば、他の汚染物質の中でも、吸着粒子、N2、CO2、又はO2)を除去する。有利なことに、レーザ放射は、熱ビーム出力の高い精度及び精密な制御を提供し、動作中に洗浄された第1のファセットに最小の歪み及び/又は応力をもたらすが、赤外線放射は、より低いエネルギー消費のために方法の効率を改善する。
【0036】
1つ以上の実施形態では、加熱源は、第2のチャンバの外部に取り付けられ、方法は、加熱源からの熱ビームが劈開された半導体構造に到達することを可能にする透明ビューポートを提供する工程を更に含む。「ビューポート」という用語は、加熱源からの熱ビームが、劈開された半導体構造の露出された第1のファセットに到達することを可能にするように構成されたアクセスポート、すなわち、洗浄及び/又は酸化プロセスの後又はその間のアクセスポートを指す。実施の必要性に基づいて、加熱源及び/又はビーム整形器の位置は変更されてもよく、すなわち、第2のチャンバ又はエンクロージャの外部又は内部に取り付けられてもよいことが理解されよう。いくつかの例では、本方法によって使用される加熱源及び/又はビーム整形器は、実装形態の物理的専有面積を低減するために、第1のチャンバ及び/又は第2のチャンバの内部に取り付けられながら、エンクロージャの内側に配置され得る。本実施例では、本方法によって使用される加熱源及び/又はビーム整形器は、第1及び/又は第2のチャンバの外部に取り付けられた状態でエンクロージャの内側に配置されてもよく、又はエンクロージャ全体の外側に配置されてもよく、入口又はアクセスポート、すなわち透明なビューポートを通してアクセス可能であってもよい。
【0037】
方法は、劈開された半導体構造の第1のファセット上に長距離秩序酸化物層を形成するために、その中の固定具を操作することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを、第1のファセットに対向する酸化源からの酸化剤に曝露することと、を更に含む。すなわち、劈開された半導体構造の洗浄された第1のファセットの加熱中又は加熱時に、本方法は、加熱された第1のファセットを酸化源からの酸化剤に曝露して、第2のチャンバ内の固定具を操作することによって秩序酸化物層を形成する工程を更に含む。従来、既存の方法又はシステムは、III-V族からの材料を利用しており、その結果、自然のアモルファス自然酸化物が得られる。しかしながら、そのような材料は、低品質酸化物を提供する無秩序な自然酸化物を提供することが知られており、それによって、より低い品質のレーザデバイスをもたらす。前述の問題を克服するために、本方法は、圧力、温度、使用される酸化剤の量、及び適用時間などの様々な動作パラメータを制御することによって、酸化工程、すなわち秩序酸化物層の形成を制御して、長距離秩序酸化物、すなわち秩序酸化物層を形成することを含む。すなわち、本方法は、半導体構造の洗浄された第1のファセットを、酸化源を使用して長距離秩序を示す秩序酸化物層に変換することを含む。
【0038】
本明細書において、「秩序酸化物層」は、任意の自然酸化物又は任意の他の酸化物などの酸化物の薄い秩序化層を指し、酸化物層は、本質的に保護的、装飾的、又は機能的であり得る。秩序酸化物層は、劈開された半導体構造の表面上の不動態化層として作用し、周囲への露出からの外部効果(腐食など)を防止する。したがって、そのような秩序酸化物層は、複数の劈開された半導体構造の積層構成内のキャリア閉じ込めを改善するために、端面発光レーザデバイスのエネルギー障壁の増加を提供する。ここで、秩序酸化物層の原子位置は、長距離秩序又は並進周期性を示す。ここで、例えば、秩序酸化物層におけるIII-V族原子の位置は、規則的な配列で空間的に繰り返す。更に、秩序酸化物層は、本開示に対するいかなる限定もなしに、長距離秩序及び短距離秩序の両方を有する結晶層であってもよい。秩序酸化物層は、劈開された半導体構造の洗浄された第1のファセットを酸化することによって(特に、従来の堆積技法などによる任意の追加の酸化物の堆積によってではなく)形成されることが当業者によって理解されるであろう。更に、秩序酸化物層の結晶対称性は、III-V族半導体材料の結晶構造と同じであっても異なっていてもよい。いくつかのIII-V族材料は、結晶酸化物構造に対して2つ以上の可能性を有する。異なる構造は、異なる温度、酸素ドーズ量、酸素流量、酸素分圧、及び/又は処理時間でIII-V族半導体表面の変換を行うことによって達成することができる。本発明の劈開された半導体構造から形成された端面発光レーザデバイスは、秩序酸化物層を含む。後に詳細に説明するように、秩序酸化物層の導入は、半導体デバイスにおいて、エネルギーバンドギャップの増大を引き起こし得る。有利なことに、より高いエネルギーギャップは、端面発光レーザデバイスに、より高い温度で動作する能力を与え、さもなければ、エネルギーバンドギャップは、典型的には、従来の半導体の動作中に問題を呈する温度の上昇と共に縮小する。
【0039】
1つ以上の実施形態では、酸化剤は、分子酸素、酸素プラズマ、オゾン、NOx、COのうちの少なくとも1つを含む。酸化剤は、劈開された半導体構造の材料、方法の効率を最適化するための動作条件に基づいて選択され、本開示の範囲を限定することなく、実装に基づいて変化してもよい。例えば、他の酸素含有ガス(例えば、二酸化塩素、二酸化炭素)、他のハロゲン(例えば、塩素、フッ素、臭素など)などの任意の他の酸化剤である。本明細書では、酸素源は、空気中の酸素分子の自然酸化(例えば、紫外線放射又はコロナ放電などによる酸素の熱解離)によって、又は第2のチャンバ内の酸素プラズマを使用する原子解離によって、分子酸素及び/又はオゾン分子を生成することができる。有益なことに、秩序酸化物層形成のそのようなプロセスは、熱力学的に安定であり、更なる望ましくない酸化を防止する効果的な不動態化層を生成する。その結果、欠陥状態の数が減少し、それによって更なるCOMDが防止され、その結果、デバイス寿命が改善され、劈開された半導体の清浄な第1のファセットが、秩序酸化物層の高品質単結晶成長を得るために利用される。
【0040】
1つ以上の実施形態では、方法は、第1のファセットを酸化源からの酸化剤に曝露する前に、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを、第1のファセットに対向する堆積源からのIII族原子に、その中の固定具を操作することによって曝露して、III族原子を劈開された半導体構造の第1のファセット上に堆積させることを更に含む。典型的には、劈開された半導体構造の加熱された第1のファセット上に秩序酸化物層を形成する前に、本方法は、劈開された半導体構造の第1のファセット上にIII族原子、すなわち、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)及びタリウム(Tl)のうちの少なくとも1つを堆積させる工程を更に含む。有利なことに、堆積された層は、追加の不動態化層として機能し、更に、周囲への露出による任意の潜在的な損傷(腐食、浸食など)を防止し、それによって、劈開された半導体構造を利用する端面発光レーザデバイスの寿命を改善する。
【0041】
1つ以上の実施形態において、方法は、劈開された半導体構造の第1のファセット上に形成された秩序酸化物層の上のSi、a-Si:H、SiO2、SiNxのうちの少なくとも1つの層を堆積させることを更に含む。典型的には、劈開された半導体構造の第1のファセット上に秩序酸化物層を形成する際に、本方法は、秩序酸化物層の上にアモルファスシリコン、又は二酸化ケイ素、又は窒化ケイ素の層を堆積する工程を更に含む。ここで、堆積された層は、不動態化に対してより高い安定性を提供するように構成された絶縁層として機能し、それによって不動態化層の劣化を防止し、そのための追加の保護を提供する。更に、秩序酸化物層の上に堆積する際に、大気からの湿度などの外部環境への露出による表面での潜在的な酸化による更なる酸化を防止し、それによって起こり得る問題を排除する。堆積層の選択は実装に基づき、本開示の範囲を限定することなく変更され得ることが理解されるであろう。例えば、サファイアは、高性能無線周波数(RF)及び放射線感受性用途に使用することができ、二酸化ケイ素は、他のマイクロエレクトロニクスデバイスにおける短チャネル効果を低減するために使用することができる。
【0042】
1つ以上の実施形態では、複数の劈開された半導体構造は第1のチャンバ内に装填され、そのそれぞれの側方ファセットにおいて互いの上に積み重ねられており、第1のファセットはそれぞれの劈開された半導体構造内の対応する側方ファセットに直交しており、方法は、複数の劈開された半導体構造のうちの劈開された半導体構造の各々の第1のファセットを、洗浄源からの洗浄ビーム、加熱源からの熱ビーム、及び酸化源からの酸化剤のうちの1つ以上に曝露するように、第2のチャンバ内で固定具を操作することを更に含む。すなわち、複数の劈開された半導体構造が第1のチャンバ内に装填される実施形態では、後続の(各スタック内の第1の構造を除く)劈開された半導体構造の各々は、そのそれぞれの側方ファセットにおいて互いの上に積み重ねられる。ここで、固定具は、複数の劈開された半導体構造を確実に配置し、支持し、取り付け、それらの外部操作を可能にするように構成される。理解更に、固定具は、積み重ねられた劈開された半導体構造を有する他の固定具と共に取り付けられてもよく、それによって、方法により共に処理されてもよいことが理解されるであろう。有利なことに、劈開された半導体構造のそのような配置は、本方法を介して一度に並行して処理され得る半導体構造の数がより多いために、大量生産を可能にすることによって、本方法の効率を改善する。いくつかの実施形態では、劈開された半導体構造は、互いの上に固定具(積層治具など)上に取り付けられ、第2のチャンバに提供される。例えば、そのような固定具は、互いに積み重ねられ、第2のチャンバに提供される、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、又は100個の劈開された半導体構造を含んでもよい。任意選択で、劈開された半導体構造は、例えばGaAs構造などのスペーシング構造によって分離されてもよい。更に、本方法は、第2のチャンバ内で固定具を操作すること、すなわち、劈開された半導体構造を含む固定具を再配置及び/又は再配向して、各劈開された半導体構造の第1のファセットを、洗浄源からの洗浄ビーム、加熱源からの熱ビーム、及び酸化源からの酸化剤のうちの1つ以上に曝露することを含む。
【0043】
1つ以上の実施形態では、劈開された半導体構造は、その中に第2のファセットを更に画定し、方法は、半導体構造をエンクロージャから除去することなく、劈開された半導体構造の第2のファセットを、第2のチャンバ内の洗浄源からの洗浄ビーム、加熱源からの熱ビーム、及び酸化源からの酸化剤のうちの1つ以上に曝露するように、第2のチャンバ内で固定具を操作することを更に含む。いくつかの実施態様では、劈開された半導体構造の両方の対向するファセット、すなわち第1のファセット及び第2のファセット上に不動態化層を形成して、そこでの汚染物質及びアモルファス酸化物層の形成を防止することが好ましい。ここで、第2のファセット上に不動態化層を形成するために、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の配向は、第2のファセットが洗浄源からの洗浄ビーム、加熱源からの熱ビーム、及び第2のチャンバ内の酸化源からの酸化剤のうちの1つ以上に曝露され得るように固定具を操作することによって修正される。従来の技術とは対照的に、移送アーム及び固定具の構成は、半導体構造をエンクロージャから取り外す必要なく、第2のファセットが当該プロセスに曝露されることを可能にする。
【0044】
任意選択で、本方法は、積層半導体構造の第2のファセットを露出させるように固定具を操作する工程を更に含み、固定具を操作する工程は、第2のファセットが更なる処理に露出されるように、第2のチャンバ内で、取り付けられた劈開された半導体構造を含む固定具を第1の向きから第2の異なる向きに再配向又は再配置する工程を含む。有利なことに、劈開された半導体構造の両方のファセットの不動態化は、より高いレベルの保護を提供し、したがって、洗浄されたファセット上に汚染物質が堆積することを効果的に防止し、アモルファス酸化物層の再形成を防止する。更に、劈開された半導体構造の両方のファセットを不動態化することは、高温に耐える耐性を改善し、それによって、改善されたレーザデバイス寿命をもたらす。
【0045】
本開示はまた、端面発光レーザとして利用するために劈開された半導体構造を不動態化するためのシステムを提供する。上記で開示された様々な実施形態及び変形形態は、いかなる限定もなしに必要な変更を加えて本システムに適用される。
【0046】
システムは、第1のチャンバ及び第2のチャンバを有するエンクロージャと、第1のチャンバ及び第2のチャンバの各々の内部に真空状態を生成するように構成されたポンプとを備える。本明細書で使用される「ポンプ」は、部分真空を作り出すために、すなわち、チャンバの内部に真空状態を生成するために、密閉空間(エンクロージャ、第1のチャンバ、第2のチャンバなど)からガス分子を引き出すように構成された真空ポンプを指す。例えば、ポンプは、容積式ポンプ、再生ポンプ、エントラップメントポンプのうちの少なくとも1つから選択され得るが、これらに限定されない。
【0047】
システムは、第2のチャンバ内に取り付けられた洗浄源及び酸化源を更に備える。特に、システムは、第2のチャンバ内に洗浄源を取り付けるための第1のポートと、第2のチャンバ内に酸化源を取り付けるための第2のポートとを備える。「ポート」という用語は、エンクロージャの壁を通って延在するアパーチャ又は開口部を指し、ポートの形状、サイズ、及び曲率は、実装形態の要件に従って変更され得る。1つ以上の実施形態では、洗浄源は、無線周波数(RF)プラズマ源、イオンスパッタリング源のうちの少なくとも1つを備え、洗浄源の選択は、方法を最適化するための実装に基づいて行われる。1つ以上の実施形態において、酸化源は、高周波(RF)プラズマ源を含む。本開示の範囲を限定することなく、マスフローコントローラ、真空リークバルブなどを含むがこれらに限定されない他の酸化源も使用され得ることが理解されよう。
【0048】
1つ以上の実施形態では、システムは、第2のチャンバ内に取り付けられた加熱源を更に備える。特に、システムは、第2のチャンバ内に加熱源を取り付けるための第3のポートを備える。ここで、加熱源は、第1のファセットを加熱源に対向して配置することによって、劈開された半導体構造の第1のファセットを加熱源からの熱ビームに曝露するように構成される。
【0049】
第2又は第3のポートは、有利には、加熱源又は酸化源をそれぞれ効果的に収容するように寸法決めされてもよい。1つ以上の実施形態において、加熱源は、レーザ、赤外線ランプのうちの少なくとも1つを含む。加熱源の選択は、劈開された半導体構造の材料及び加熱工程を効果的かつ効率的に実行するための条件に基づいて行うことができる。本実施形態では、加熱源は、レーザ照射、赤外線放射のうちの少なくとも1つによって、方向付けられた熱ビームを提供するように構成される。
【0050】
1つ以上の実施形態において、システムは、第2のチャンバ内に取り付けられた堆積源を更に備える。特に、システムは、堆積源を第2のチャンバ内に取り付けるための第4のポートを備え、固定具は、第1のファセットを酸化源からの酸化剤に曝露する前に、第1のファセットを堆積源に対向して配置することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを堆積源からのIII族原子に曝露するように操作されるように更に構成される。「堆積源」は、劈開された半導体構造のファセット上に材料(III族原子など)の薄層を堆積するように構成されたシステム又はデバイスを指す。例えば、堆積源は熱蒸発源である。1つ以上の実施形態では、堆積源は、流出セル、電子ビーム蒸発器、(例えば、分子金属有機化学気相堆積(MOCVD)及び原子層堆積(ALD)などの技術で使用されるガス前駆体のための)ガス分配ユニットのうちの少なくとも1つを含む。ここでは、第1のファセットを酸化源からの酸化剤に曝露する前に、第1のファセットを堆積源に対向して配置することによって固定具を操作して、入ってくるIII族原子を効果的に収容する。
【0051】
1つ以上の実施形態では、システムは、第2のチャンバ内に取り付けられた監視機器を更に備える。特に、システムは、第2のチャンバ内に監視機器を取り付けるための第5のポートを備え、固定具は、第1のファセットを監視機器に対向して配置することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを露出させて、監視機器による表面結晶構造の監視を可能にするように操作されるように更に構成される。典型的には、表面結晶構造を監視及び分析するために、システムは、第2のチャンバ内に監視機器を取り付けるように構成された第5のポートを備え、効果的な監視及び分析のために、劈開された半導体構造の第1のファセットが監視機器に対向して配置されるように固定具が操作される。
【0052】
1つ以上の実施形態では、監視機器は、高エネルギー電子回折(RHEED)機器、低エネルギー電子回折(LEED)機器、オージェ電子分光法(AES)機器、残留ガス分析(RGA)機器のうちの少なくとも1つを備える。一般に、本方法は、表面結晶構造を効果的に監視するために、撮像機器(例えば、高解像度カメラ、光検出及び測距機器、ハイパースペクトル撮像機器など)、回折機器(例えば、LEED)、分光法機器(例えば、AES)などの任意の適切な監視技術又はデバイスを使用することができる。そのような監視機器は、ファセットの詳細な分析を提供し、それによって、システムが、システム及び方法を最適化するために、その中の意味のある観察を導出することを可能にする。例えば、劈開された半導体構造又は端面発光レーザデバイスの性能に対する温度の影響を監視するためである。
【0053】
システムは、第1のファセットを画定する劈開された半導体構造を、第1のチャンバから第2のチャンバに受け取って移送するように構成された移送アームと、所与の構造を第2のチャンバ内でその上に取り付けるように適合された固定具と、を更に備え、固定具は、第1のファセットを洗浄源に対向して配置することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを洗浄源からの洗浄ビームに曝露し、第1のファセットを加熱源に対向して配置することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを加熱源からの加熱ビームに曝露し、第1のファセットを酸化源に対向して配置することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを酸化源からの酸化剤に曝露するように操作されるように構成される。
【0054】
システムは、エンクロージャ内の条件を制御するゲートバルブと、第1のチャンバから第2のチャンバへの半導体構造の移送のために移送アーム及び固定具iの各々にコマンド信号を送信することによって、固定具を操作し、移送アーム及び固定具の移動及び/又は位置を制御するように構成されたコントローラと、を更に備える。コントローラは、ゲートバルブ、移送アーム、及び/又は固定具に動作可能に結合されてもよい。ここで、ゲートバルブは、コントローラが、第1のチャンバから第2のチャンバへの半導体構造の移送のためにゲートバルブを開くコマンド信号を送信しない限り、エンクロージャの状態を維持するように構成される。
【0055】
本明細書で使用される「コントローラ」という用語は、移送アーム及び/又は固定具を制御するための情報及び/又は信号を記憶、処理、及び/又は共有するように構成されたプログラム可能及び/又はプログラム不可能な構成要素を含む構造及び/又はモジュールを指す。コントローラは、ディスプレイ、制御ボタン又はジョイスティック、プロセッサ、メモリなどの要素を有してもよい。
【0056】
本開示はまた、先の段落で説明した方法及び/又はシステムによって不動態化された半導体構造を利用する端面発光レーザを提供する。端面発光レーザは、指定された波長の光を生成するように適合された多重量子井戸構造を有する劈開された半導体構造と、半導体構造をその結晶方向に沿って劈開することによって画定された少なくとも1つのファセットとを含み、少なくとも1つのファセットは、その上に形成された秩序酸化物層を含む。
【0057】
1つ以上の実施形態では、劈開された半導体構造は、III-V族化合物半導体材料を含み、秩序酸化物層は、長距離秩序を有する構造を形成するIII族及びV族酸化物結合を含む。1つ以上の実施形態では、秩序酸化物層の厚さは10nm未満である。
【図面の詳細な説明】
【0058】
図1を参照すると、本開示の実施形態による、端面発光レーザデバイスとして利用するための劈開された半導体構造を不動態化する方法100に含まれる工程を列挙したフローチャートである。示されるように、方法100は、工程102、104、106、108、及び110を含む。列挙された工程102、104、106、108、及び110は、必ずしも順番に実行されなくてもよい。
【0059】
工程102において、この方法100は、第1のチャンバ及び第2のチャンバと、第1のチャンバから第2のチャンバへ所与の構造を受け取って移送する移送アームと、第1のチャンバ及び第2のチャンバの各々がその内部に真空状態を提供するように適合された状態で、第2のチャンバ内で所与の構造をその上に取り付けるための固定具と、を有するエンクロージャを提供することを含む。ここでは、第1及び第2のチャンバの各々の内部に真空状態が提供されて(ポンプなどを介して)、劈開された半導体構造の処理中の周囲への外部曝露を防止し、その損傷(COMD、腐食などによる)を防止する。
【0060】
工程104において、方法100は、第1のチャンバ内で、その中の移送アーム上に第1のファセットを画定する劈開された半導体構造を装填することを更に含む。
【0061】
工程106において、方法100は、劈開された半導体構造を第2のチャンバ内の固定具上に取り付けるために、移送アームを使用して、劈開された半導体構造を第1のチャンバから第2のチャンバへ移送することを更に含む。劈開された半導体構造を装填すると、方法100は、劈開された半導体構造を第1のチャンバから第2のチャンバへ移送アームを介して移送し、それにより、更なる処理工程のために、劈開された半導体構造を第2のチャンバ内の固定具上に取り付けることを更に含む。
【0062】
工程108において、方法100は、劈開された半導体構造の第1のファセット上に形成された可能性のある自然酸化物層を除去するために、その中の固定具を操作することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを、第1のファセットに対向する洗浄源からの洗浄ビームに曝露することを更に含む。劈開された半導体構造を第2のチャンバ内に移送する際に、方法100は、劈開された半導体構造の第1のファセット上に形成される可能性のある自然酸化物層を除去するために、劈開された半導体構造の第1のファセット上の固定具を操作し、第1のファセットを洗浄ビームに曝露することによって、劈開された半導体構造の第1のファセットを洗浄する工程を更に含み、固定具は、洗浄源を第1のファセットに対向して位置決めするように操作される。
【0063】
工程110において、方法100は、劈開された半導体構造の第1のファセットを加熱するために、その中の固定具を操作することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを、第1のファセットに対向する加熱源からの熱ビームに曝露することを更に含む。本明細書では、劈開された半導体構造の第1のファセットを洗浄する際、洗浄する間、又は洗浄する前に、及び第2のチャンバ内で劈開された半導体構造の第1のファセットを酸化剤に曝露する際、曝露する間、又は曝露する前に、第1のファセットを加熱源からの熱ビームに曝露して、例えば、更なる処理の前に第1のファセットから水分などの任意の残留汚染物質を除去し、かつ/又は酸化プロセスを補足する。
【0064】
そして、工程112において、方法100は、劈開された半導体構造の第1のファセット上に秩序酸化物層を形成するために、その中の固定具を操作することによって、第2のチャンバ内の劈開された半導体構造の第1のファセットを、第1のファセットに対向する酸化源からの酸化剤に曝露することと、を更に含む。劈開された半導体構造の第1のファセットを加熱する際に、方法100は、劈開された半導体構造の第1のファセット上の不動態化層として機能する秩序酸化物層を形成して、COMD、腐食などの周囲環境への露出による潜在的な損傷を防止し、それによって端面発光レーザデバイスの寿命及び信頼性を改善することを更に含む。
【0065】
図1Bを参照すると、本開示のいくつかの実施形態による、劈開された半導体構造を不動態化するための方法100の代表的なフローチャートが示されている。図示のように、加熱工程、すなわち工程110は、方法100の様々な段階(又は工程)で実行することができる。具体的には、装填された半導体構造202を第2のチャンバ208上に移送した後、加熱工程110は、第1のファセット202Aを洗浄しながら(すなわち、洗浄工程108中に)、又はその上に秩序酸化物層236を形成しながら(酸化工程112)同時に実行されてもよく、及び/又は加熱工程110は、第1のファセット202Aの洗浄(すなわち、洗浄工程108後)及び秩序酸化物層236の形成の前又は後に実行されてもよい。
【0066】
図2Aを参照すると、本開示の一実施形態による、複数の劈開された半導体構造202を含む例示的な半導体バー201の代表的な図が示されている。図示のように、半導体バー201は、互いに隣接して配置された複数の劈開された半導体構造202を含む。更に、図示のように、各劈開された半導体構造202は、第1のファセット202A及び第2のファセット202Bを有する。ここで、半導体バー201は、(上述した)方法100に従って処理され、劈開された半導体構造202は、第1のファセット202A及び/又は第2のファセット202Bを上述した露光プロセスに配置するように積層され、劈開された半導体構造202の均一な処理を可能にする。別の言い方をすれば、露出された第1のファセット202Aは、常に、すなわち洗浄工程208及び/又は酸化工程212の前、間、又は後に加熱することができる。
【0067】
図2Bを参照すると、本開示の実施形態による、例示的な劈開された半導体構造202のうちの1つの代表的な図が示されている。示されるように、劈開された半導体構造202は、その両側に第1のファセット202A及び第2のファセット202Bを提供する。更に、劈開された半導体構造202は、COMD、腐食などからの潜在的な損傷から保護するために、第1及び第2のファセット202A、202Bの各々の上に堆積された堆積された不動態化層230(例えば、III族原子層)を含む。更に、劈開された半導体構造202は、周囲への露出からの更なる保護のために、第1及び第2のファセット202A、202Bの各々の上に堆積された第1の層232を備え、それによって、劈開された半導体構造202を損傷から効果的に保護する。例えば、堆積された第1の層232は金属コーティングである。別の例では、堆積された第1の層232はミラーコーティングである。
【0068】
図2Cを参照すると、本開示の実施形態による、端面発光レーザデバイスとして利用するための劈開された半導体構造202(
図2A及び
図2B)を不動態化するためのシステム200の例示的な概略図が示されている。示されるように、システム200は、第1のチャンバ206と、第2のチャンバ208と、第1のチャンバ206及び第2のチャンバ208の各々の内部に真空状態を(例えば、超高真空(UHV)レベルまで)生成するように構成されたポンプ210とを有するエンクロージャ204を備える。システム200は、複数の劈開された半導体構造202を保持するように構成された積層固定具234を更に備える。システム200は、第2のチャンバ208内に洗浄源214を取り付けるための第1のポート212と、第2のチャンバ208内に酸化源218を取り付けるための第2のポート216と、を更に備える。システム200は、第1のチャンバ206が開かれているときに第2のチャンバ208内の超高真空(UHV)レベルが失われるのを防止するために、第1のチャンバ206を第2のチャンバ208から隔離するためのゲートバルブ238を更に備える。典型的には、ゲートバルブ238は、第2のチャンバ208内の真空レベル又は条件の損失を防止するために、第1のチャンバ206が開かれるときに、第1のチャンバ206を第2のチャンバ208から隔離するように構成される。ゲートバルブ238は、複数の劈開された半導体構造202をその中に有する半導体バー201を装填するために第1のチャンバ206が開かれ得るときに、第2のチャンバ208が真空レベル又は条件を失わないように閉じられる。
【0069】
システム200は、第2のチャンバ208内に取り付けられた加熱源222を更に備える。特に、示されるように、システム200は、第2のチャンバ208内に加熱源222を取り付けるための第3のポート220を備える。ここで、固定具226は、第1のファセット202Aを加熱源222に対向して配置することによって、第2のチャンバ208内の劈開された半導体構造202の第1のファセット202Aを加熱源222からの熱ビームに曝露するように操作されるように構成される。ここで、熱ビームは、洗浄及び/又は酸化プロセス中、その前、又はその後のいずれかに加熱源222によって提供されてもよい。図示のように、加熱源222は、第2のチャンバ208の外部に取り付けられたレーザなどの前面照射源である。したがって、システム200は、加熱源222からの熱ビームが、劈開された半導体構造202に効率的に到達することを可能にするために、透明なビューポート221(
図5に示す)を備える。更に、システム200は、加熱源222からの熱ビームを、第2のチャンバ208内に取り付けられた劈開された半導体構造202の露出したファセットに向けられるように成形するためのビーム整形器223(
図5に示す)を備える。
【0070】
更に、
図2Cに示されるように、システム200は、劈開された半導体構造202を第1のチャンバ206から第2のチャンバ208に受け取って移送するように構成された移送アーム224と、所与の構造202を第2のチャンバ208内でその上取り付けるように適合された固定具226と、を更に備え、固定具226は、第1のファセット202Aを洗浄源214に対向して配置することによって第2のチャンバ208内の劈開された半導体構造202の第1のファセット202A(
図2A及び
図2Bに示すように)及び/又は第2のファセット202B(
図2A及び
図2Bに示すように)を洗浄源214からの洗浄ビームに曝露し、第1のファセット202Aを酸化源218に対向して配置することによって、第2のチャンバ208内の劈開された半導体構造202の第1のファセット202Aを酸化源218からの酸化剤に曝露するように操作されるように構成される。いくつかの例では、システム200は、劈開された半導体構造202が最初にシステム200に装填され得る第1のチャンバ206内に配置された取り付け治具又は積層治具234を更に備え、劈開された半導体構造202は、そこから移送アーム224によって第1のチャンバ206から第2のチャンバ208に搬送されて、その中の固定具226に装填され得る。
【0071】
システム200は、第2のチャンバ208内に取り付けられた堆積源242を更に備える。特に、図示のように、システム200は、第2のチャンバ208内に堆積源242を取り付けるための第4のポート240を備える。ここで、固定具226は、第1のファセット202Aを酸化源218からの酸化剤に曝露する前に、第1のファセット202Aを堆積源242に対向して配置することによって、第2のチャンバ208内の劈開された半導体構造202の第1のファセット202Aを堆積源242からのIII族原子に曝露するように操作されるように構成される。システム200は、監視機器(図示せず)を更に備える。監視機器は、第2のチャンバ208内の劈開された半導体構造202の表面の観察及び/又は監視のための可視性を提供するために利用されるように輪郭形成される。この目的のために、
図5に示すように、システム200は、外部に取り付けられた監視機器を使用して第2のチャンバ208内部の劈開された半導体構造202を観察することができるように、透明なビューポートの形態の第5のポート244を更に備える。
【0072】
図3Aを参照すると、第1のファセット202Aを洗浄する前の例示的な劈開された半導体構造202の代表的な図が示されている。示されるように、第1のファセット202Aは、その上に結晶層228を備え、結晶層228は、III族からV族原子を介して形成される。更に、第1のファセット202Aは、劈開された半導体構造202の第1のファセット202Aを汚染するアモルファス酸化物層302を有する。したがって、劈開された半導体構造202を第2のチャンバ208に移送する際に、劈開された半導体構造202の第1のファセット202Aは、そのアモルファス酸化物層302を除去するように固定具226を操作することによって、洗浄源214からの洗浄ビームに曝露される。有益なことに、そのような洗浄工程は、更なる処理の前に、劈開された半導体構造202の第1のファセット202Aからアモルファス酸化物層302を迅速、正確、かつ効率的に除去する。
【0073】
図3Bを参照すると、劈開された半導体構造202の第1のファセット202Aを洗浄した後の例示的な劈開された半導体構造202の代表的な図が示されている。示されるように、劈開された半導体構造202の第1のファセット202Aを洗浄すると、アモルファス酸化物層302は、劈開された半導体構造202の第1のファセット202Aから除去され、その後、必要に応じて他の堆積又は洗浄技術で処理されてもよい。
【0074】
図3Cを参照すると、劈開された半導体構造202の第1のファセット202Aを洗浄した後の例示的な劈開された半導体構造202の代表的な図が示されており、その上に秩序酸化物層236が形成されている。ここで、酸化源218は、第1のファセット202A上に形成された結晶層228上への制御された酸化を介して秩序酸化物層236を形成するように構成され、固定具226は、秩序酸化物層236を生成するために酸化源218からの酸化剤を露出するように操作されるように構成される。
【0075】
図4Aを参照すると、本開示の1つ以上の実施形態による、例示的な積層固定具234の概略図が示されている。示されるように、積層固定具234は、複数の劈開された半導体構造202をその中に保持又は積層するように構成される。積層固定具234は、クランプ402を互いに押し付け、複数の半導体構造202をクランプ402間に「挟まれた」状態に保つために適切な圧力を加えるように構成されたねじ又はばね400のいずれかを備える。
図4Bを参照すると、第2のチャンバ208内に複数の劈開された半導体構造202を保持する例示的な固定具226の詳細図が示されている。示されるように、複数の劈開された半導体構造202の各々は、劈開された半導体構造202の各々の接点を分離及び保護するためにスペーシング要素404によって離間され、その結果、2つの隣接する劈開された半導体構造202の接点は、それらが溶融する可能性があるなど、互いに直接接触しない。スペーシング要素404は、GaAs、サファイアなどであってもよい。
【0076】
図5を参照すると、本開示の1つ以上の実施形態による、劈開された半導体構造202を不動態化するための例示的な第2のチャンバ208の概略図が示されている。示されるように、複数の劈開された半導体構造202は、第2のチャンバ208内の固定具226上に搭載される。ここで、固定具226を操作することによって、洗浄源214は、劈開された半導体構造202の露出されたファセットからアモルファス酸化物層(
図3Aに示されるアモルファス酸化物層302など)を除去するために、所与のファセット(第1のファセット202Aなど)に露出される。更に、固定具226を操作することによって、堆積源242は、劈開された半導体構造202の露出されたファセット上に不動態化層(
図2Bに示される不動態化層230など)を形成するために、所与のファセット(第1のファセット202Aなど)に露出される。更に、固定具226を操作することによって、加熱源222は、劈開された半導体構造202の露出されたファセットを加熱して上述のプロセスを支援するために、所与のファセット(第1のファセット202Aなど)に露出される。本明細書では、加熱源222は、洗浄及び/又は酸化プロセスの前、後、又は間のいずれかで使用されてもよい。
【0077】
図6を参照すると、本開示の一実施形態による、加熱源からの距離の尺度としての劈開された半導体構造202における温度変化のグラフ表現600が示されている。図示のように、x軸及びy軸は、それぞれ、加熱源からの距離(メートル単位)及び温度(摂氏度単位)を示す。ここで、温度は距離の増加と共に減少するので、温度は距離と反比例の関係に従うことが観察される。
【0078】
図7を参照すると、本開示の一実施形態による、劈開された半導体構造202を使用して形成された端面発光レーザデバイスにおける電圧に対する微分走査トンネリング分光法IV曲線のグラフ表示700が示されている。図示のように、x軸及びy軸は、それぞれ、差分IV(すなわち、ΔI/ΔV)及び電圧(ボルト単位)を示す。ここで、動作時にエネルギーバンドギャップが観測される。端面発光レーザデバイス又は劈開された半導体構造202は、秩序自然酸化物層236を含む。上述したように、秩序自然酸化物層236などの)秩序自然酸化物層の導入は、半導体デバイスにおけるエネルギーバンドギャップの増加を引き起こす。より高いエネルギーギャップは、端面発光レーザデバイスに、より高い温度で動作する能力を与え、エネルギーバンドギャップは、典型的には、従来の半導体の使用中に問題を呈する温度の上昇と共に縮小する。例えば、ワイドバンドギャップ材料は、端面発光レーザデバイスがより大きな電圧を切り替えることを可能にする。
【外国語明細書】